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2019.02.14

【イベントレポ前編】GDMプランナー向け座談会vol.13 ~コミュニティファーストなプロダクト運営~

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毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

2019年1月18日(金)に開催されたGDMでは、株式会社コルクの佐渡島庸平氏を招き、DeNAの香城卓(通称:けいじぇい)と住吉政一郎とともに、『逆転オセロニア』を事例とした座談会を実施しました。

本記事ではレポート前編として、第一部の「コミュニティファーストなプロダクト運営について」と第二部のテーマ1~2までの対談内容をお伝えします。

※本イベントの前には事前特別対談が行われました。その模様はコチラをご覧ください。

第一部:『逆転オセロニア』流
コミュニティファーストなプロダクト運営

サービス開始から3周年を迎える『逆転オセロニア』。そのプロデューサーを務める香城より、同タイトルでの、コミュニティファーストなプロダクト運営について概要が以下のように紹介されました。

「昨今聞かれるようになったコミュニティファーストについて、『逆転オセロニア』ではプロジェクトの意思決定基準のことであると定義付け、ターゲットは”コミュニティそのもの”を指します。

現在は、物事を決める価値について、”流行っている、話題になっている”といった”プロダクトを取り巻く人の群れ”を見て、人々がその価値を評価する時代になっています。

これからのコミュニティ時代に意識すべきことは、応援・発信してくれる人たち×コミュニティ世論がプロダクトの評価を決める時代であると認識すること。

現在はコミュニティマネジメントが重要な時代であり、プロダクトとコミュニティの距離感と意味合いを把握することが重要だと思います。」

DeNA香城卓(通称:けいじぇい)

続いて、『逆転オセロニア』実践例として、初期事業推移を公開。リリース初期にはひたすらプレイヤーの熱量を増加させたファンコミュニティの後押しが、急激な成長軌道に入る契機になっている、と語りました。

また、オフラインイベントやファンミーティングの開催については、年間30本以上、全国各地のオセロニアン(『逆転オセロニア』のプレイヤー)が住んでいる街へ「自分たちが行く」ことを大切にしている、とのこと。そこでは、オセロニアンのみなさんと運営が直接意見を交わしながら、プロダクトを「共創している」感覚を実感し合いたい、と話しました。

「次の時代に向けて、世界的にコミュニティの重要度は増していると感じる。今後はプロダクト周辺のコミュニティまで、ソーシャル性を統括したデザインが必要だ」と述べて締めくくりました。

第二部:For2020 これからのコミュニティ談義

ここからは、佐渡島氏を迎えて、6つのテーマに沿った座談会がスタートしました。

テーマ(1):そもそもなぜ昨今、コミュニティ重要論が叫ばれだしたのか?

佐伯嶺(以下、佐伯):これまであまり聞かなかった「コミュニティ重要論」が最近なぜ語られ始めてきたのか、逆に今までのままではなぜダメなのか、討論をお願いします! 

住吉政一郎(以下、住吉):コミュニティが重要視されてきたこと=ぜいたくな時代になってきたのを感じています。完全にインフラが整ったスマートフォンアプリゲーム市場が成熟してきたため、コミュニティを通じて遊ぶような楽しみ方に変わってきたと思われます。

株式会社コルク代表 佐渡島庸平氏

佐渡島庸平氏(以下、佐渡島氏): 同じく「世の中全体が、ぜいたくな時代」って重要なキーワードに感じます。野球・相撲・プロレスしかエンタメがなかった戦後に比べ、現在はたくさんの娯楽がありますから。

エンタメが圧倒的な影響力を持っていた頃は、自分たちのコンテンツが簡単にプレイヤーに届くため、手法を深く考えなくて良かったんです。むしろ、雑な届け方でも良しとされていました。

時代は変わり、ソーシャルゲームやマンガがいつも手元にあるのが当たり前になって、(作る側は)読む状況から、どうやったら入り込みやすくするかを、特に考えます。僕がよくマンガ家に対して「これって読者目線じゃないよね」「こういう導入じゃないと理解できないよ」とアドバイスをすることも多いです。

もし、「今のあなたにはこれがおすすめです」と手紙が添えてある本を誕生日プレゼントでもらったら、絶対読みますよね。そういった気持ちをプレイヤーに持つことができるかが、重要なんです。

ゲームの場合、友達に「絶対ハマるから、今ダウンロードして一緒にやろうぜ! 」って誘われることが、やわらかく、かつなめらかなゲームの始め方であり、そのように届け方への繊細さが求められている時代なんだと考えています。

また、コンテンツを作る人が、それを届けた「後」しか考えていないことも多々あります。チュートリアルをものすごくしっかり作ったゲームでも、必ず大ヒットするわけではないですよね。それは、届け方の部分に雑に感じるような問題があるからなんです。

そのあたりを含め、今後のコミュニティファーストには、届け方をセットで考えた、雑でない、口コミでストレスもない、なめらかであることが強く求められています。

住吉:確かになめらかな届け方は必要ですね。SNSを利用しながらゲームで遊ぶときに、機能がまったく親切じゃないことに気づくことも多いです。その導線をどれだけスムーズにするかが、コミュニティの大切さとつながっていくのかもしれません。

DeNA住吉政一郎

佐渡島氏:今でも年配の方って、新聞広告を切り抜いて持っていて、書店に行ってそれを見せて注文して……ってすごい手間をかけさせてるんですよ(笑)。欠品で取り寄せしたら、また一週間後に取りにいって……。ソーシャルゲームの導線のほうがわかりやすいですよ。

香城(以下、けいじぇい):URL踏むだけですもんね(笑)。

住吉:もしかしたら、年配の方は新聞広告のほうが「なめらかな届け方」なのかもしれませんよね。コミュニティそれぞれに対して「何が」なめらかなのか、を考えないと。

佐渡島氏:ECサイトに電話とFAXの申込みを方法を導入したら、すごく売上が伸びたことがありました。年配の人がそれを快適と考えているかわからないですが、習慣化していることは明らかです。

昔は不自然なことに自分が合わせるのが普通で、我慢するのが当たり前。我慢できない若い人との価値観のぶつかり合いは、最近のニュースで見ることが多くなりましたよね。

住吉:コミュニティにしっかり届けるという観点では、ツールの揃っているSNSプラットフォームを使って、スムーズに届けることを第一に考えることが大切だと思います。

佐渡島氏:地域コミュニティについての研究資料を読むと、「祭り」が重要だと記述があります。祭りを開催すると外部の人も訪れるため、村の雰囲気を外に伝えるチャンスになるんです。『逆転オセロニア』なら、オフラインイベントの魅力がSNSにまで波及していけば、絶対に盛り上がるはずですよ。

けいじぇい:そうですね! 個人がそれぞれのアカウントを持てるようになったのも、コミュニティが重要視されてきた要因でもあります。自分も愛称で「けいじぇい」と呼ばれていますが、本名以外でなりたい自分を出せる場所があるのは、楽しいですよね。

佐渡島氏:あっ! そういえば、香城さんのことをみんな「けいじぇいさん」って呼ぶから、僕、なんか呼び間違えてるのかなって、ずっと不安だったんですよ……(笑)。

けいじぇい:会社でも僕のこと「香城」って呼ぶ人いないんです(笑)。今はそうやって「けいじぇい」として『逆転オセロニア』を通じた知見を含めて一つの人格として接することができるような、コミュニティを作りやすい世の中になっていると思います。

佐渡島氏:その感覚はすごい面白いですよ。アカウント複数持っている人も多いですし。過去に別人格を演じるコンテンツを作っているときに、普段では言わないキワドいことが、思わず口から出ちゃったことがあります。そのときに「あ、今って複数の人格を持てる時代なんだ」と実感したことを覚えています。一部の人格だけで会える人たちがいるのって興味深いですね。

けいじぇい:現実の自分ではない、見せたいところだけ、振る舞いたいところだけをチョイスしてコミュニケーションするようになってきている、良い例ですね。

住吉:僕は複数のアカウントを、遊んでいるサービスで分けて使ってますが、人格の設定をあまり作らず「このコンテンツを楽しんでいる人」という純粋な部分に居心地の良さを感じています。

佐渡島氏:予防医学の研究者によると、ここ50年くらいで人間の脳の中でも特に「想像力」が発達しているらしいです。

日本で二次創作が流行るのは、想像力が豊かだからなんです。コミュニティに関わることによって、アカウント上のキャラや性格も望んだ形になれる、それが注目される時代になってきていることは確かですね。

テーマ(2):サービス初期はどうやってファンコミュニティを作るべきか

住吉:最初はファンが少ないコミュニティのほうが作りやすいと思います。『オセロニア』初期のファンミーティングで参加者1名のときは、じっくりと語ることができましたし。人数が少ないからこそ深く関われることは、逆にチャンスかも知れません。

佐渡島氏:それは100%賛成できます。「宇宙兄弟」のときは、人数が最初から多くて運営の方法がなかなかわかりませんでした。コミュニティは雑に扱わないことが原則なはずなのに、ついつい運営者目線になってしまいがちでした。

なので、人数が少ないコミュニティはラッキーだと感じて欲しいですね。フォロワーが500人しかいなければ、全員が選んでくれるようなコミュニティにじっくり育てるべきです。

もし、自分の作品がオリジナルであれば、最初からネタ出しを頑張って、濃いコミュニケーションを心がけましょう。たまに自分の弱みを見せると、さらにフォロワーとの関係性を深く築けると思います。

けいじぇい:全く違う目線ですが、コミュニティって数値化が重要な事業計画とは相反するので、時間軸の考え方を、経営陣などとコンセンサスを早めに取っておくのが大事です。

人間は目に見える数字に注目しがちなので、オーディエンスではなく自分たちも運営に食い込んで盛り上げ、広げてくれる人たちを生むこと、コミュニティが人間関係を拡大させる、という世界観を自分たちの周辺で作ることが大事だと思います。

住吉:さらに、初期はお金をかけないこともポイントです。続けやすい形でじわじわと。

佐伯:でも、じっくり取り組むと、逆にスピード感が出ないと思われないですか? 

DeNA佐伯嶺

佐渡島氏:「紙を100回折ると宇宙に届く高さになる」のと同じく、倍々ゲームみたいに、コミュニティにまず1人を連れてくることを繰り返していけば、加速度的に増えていくはずです。

そして、過剰な関係値は作りすぎず、間口を入りづらく、出やすくします。自然と初期のコミュニティの人も入れ替わりつつ、徐々にサイズが大きくなるなら、問題は少なくなると思いますよ。

住吉:コミュニティがゆっくりと盛り上がり、広がっている途中で「この情報を出せば、これくらいの人数が集まる」みたいな、数字の概念を突然入れてしまうと、とたんにコミュニティがおかしくなるので注意が必要です。

佐渡島氏:実は、地域コミュニティの運営方法が解決策を持っていると思うんです。サイズの違う共存したコミュニティに属しながら、小さい規模では安心できる濃い関係性を、人数や盛り上がりによってサイズが変化する大きなコミュニティでは、流れにまかせる関わり方にすると良いですね。

けいじぇい:『逆転オセロニア』のコミュニティには、オセロニアンの期待するような世界観が必要です。ギスギスせず、強者だけが楽しい場所じゃない、サイズが大きくなってもコミュニティの雰囲気やカラーが維持されることを、コミュニティマネージャー(※)などとしっかり考えて運用していかなければいけませんね。

住吉:『逆転オセロニア』は対戦ゲームですが、「たまたま負けちゃった! 」と言いやすいゲーム性を持っています。コミュニティ内でも負けたことが絶対的な上下にならないのが、親しみやすいコミュニティの性質にもつながっているのかもしれません。

※コミュニティマネージャーとは、オフラインイベントやSNSなどを通じて「プレイヤーの熱量を高めること」をミッションとする職種のことです。

第二部の続きはレポートの後編で! 

イベントレポート後編記事では、さらに盛り上がった第二部のテーマ3~6をもとにした対談内容を紹介しています。コミュニティ論の学び方、失敗例やこれからの未来についても談義されているので、要チェック!

【イベントレポ後編】GDMプランナー向け座談会vol.13 ~コミュニティファーストなプロダクト運営~

取材・文・撮影:細谷亮介

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