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2019.09.17

【イベントレポ(後半)】GDMテクニカルアーティスト座談会~やってみる、から一歩先へ~

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毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

2019年8月6日(火)に開催された「テクニカルアーティスト座談会~やってみる、から一歩先へ~」では、4社のゲーム会社からテクニカルアーティストが集合し、それぞれの現在の業務や状況を座談会形式で実施しました。

本記事では、イベント後半に実施された来場者からの質問に応えるスタイルの座談会の模様を、一部抜粋してレポートします。

■登壇者(敬称略)

塩尻 英樹(しおじり ひでき)
株式会社カプコン
技術研究開発部 技術開発室 DCCサポートチーム マネージャー兼チーム長

沼上 広志(ぬまかみ ひろし)
株式会社バンダイナムコスタジオ
技術開発統括本部 技術本部 コアテクノロジ部 コアテクノロジ2課

麓 一博(ふもと かづひろ)
株式会社セガゲームス
第3事業部 第3開発2部 テクニカルサポートセクション セクションマネージャー

今津 隆之(いまづ たかゆき)
株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム事業部 Develop統括部 デザイン部 テクニカルアーティストグループ マネージャー

各社の内情が垣間見えた質疑応答

後半は、来場者との質疑応答と座談会が実施されました。

Q:後輩の育成について

麓氏:後輩育成といえば、自分のセクションでは、新入社員からTAになりたいという人を最初に採用したのが4年前、それが一人目で、今年さらに新人が加入し、若手が二人目となり、最初の4年目が育成を担当しています。

育成に関して、勉強はもちろん大事ですが、新人を開発現場のデザイナーの近くに連れていき、ディスカッションからスタートして、ツール設計に落とし込むところまで一緒に作業して、議事録を取りながら、実装まで携われるような体制にしています。

ナレッジベースに関しては、ナレッジを貯めたとしても、検索して参照することは少ないので、口頭ベース、もしくはまとめて伝えられる人のもとで、育成しています。

塩尻氏:カプコンも同じような感じです。若手を育成するって本当に苦労するんですよ。知識を共有することに関しても、なかなか一朝一夕にはいかないことが多く、やはり師匠と弟子のような関係性で実戦を繰り返すのが、一番の近道かもしれません。

沼上氏:うちの場合はそれ以前の話で、例えばプログラマーで入社した人は、違った方向に育てようとしても、もともとゲームプログラマーになりたい人が多いので、無理やり引っ張ってきても馴染めません。

どちらかと言えば、映像系のテクニカルディレクター希望の人がゲームの開発に来てくれれば、TAやパイプラインエンジニア的な仕事ができると思います。

育成に関しても、業務が多岐に渡るので、結局は自分の背中を見て育って欲しいとなってしまいます。大規模プロジェクトならTAを複数人配置して、他のTAと一緒に成長できるんですが、現在は投入できる人数が限られているため、そういったことができることは少ないです。

今津:DeNAでは新卒からTAになる、というのはまだ先の話かなと思っています。おそらく2~3年ほど、会社としてTA基盤を作ったあとのタイミングですね。現状考えているのは、TAを増やすにはある程度経験があり、特性を持った人材をどんどん引き込んでいく体制だと考えています。

Q:スクリプト管理ツールと効率化・共有化、アセット管理の仕組みと事例について教えてください。また現在着手されている新規ツールについて、作ってよかった、デザイナーから評判の良かったツールなどがあれば教えてください。

塩尻氏:カプコンではスクリプト管理ツールについては、MayaをメインのDCCツールを使用していますので、それを例にすると、Mayaで使うスクリプトやツール関連は一括して管理しています。アーティストにはそれを共通環境として、週に1度、こちらから保証する安定版を提供して開発してもらっています。

沼上氏:社内の共有ツールはいろいろあるのですが、会社の規模も大きいため、各部署でツールが分散して作られており、すべてをまとめることは難しいです。

共有環境で、各ツールをかき集めてビルドする仕組みは作ったんですが、きれいに配布するところまでは実現していません。ですが、ルールや仕組みを作りすぎると気軽にツールを作れなくなるので、加減が悩みどころですね。

今津:DeNAではあまり徹底できていないのが現状です。前職では、サーバにアップし、デザイナー側はランチャーで一括管理、バージョンアップは裏で進行し、起動すれば最新バージョンで使用できる仕組みになっていました。

沼上氏:社内全体だけでなく、プロジェクト単位でルールを決めて運用しており、アーティストがなるべく迷わないような環境を整えています。複数のプロジェクトを横断している開発者が、他のプロジェクトのことを考えないで環境を作ってしまうことがあると問題になります。

麓氏:大きい会社で大規模プロジェクトが複数開発されていると、それぞれが使いやすいように自由に配布しており、それをすべて一つにまとめることは難しいのですが、その間隔をつなぐような情報の共有や、渡すためのパイプ役になることは良くありますね。

沼上氏:よくある話ですが、ものすごい頑張って作ったツールではなく、30分ほどでサッと作ったツールの方が評判が良く、実はそれが10年以上に渡って使われていた、ということがありました。

要は技術力が目的ではなく、問題をどれだけいかに効率よく解決できることが目的なので、目的が一番満たされているのが、良いツールだと感じます。

塩尻氏:弊社での具体例を挙げますが、Maya上でアセット管理するのってとても大変じゃないですか? そう思って、実は社内でMaya上でアーティストがアセット管理できるツールを作ってしまいました。

アーティストが見やすいようにサムネイルを作って、メタ情報を紐付けるなど、いろいろできるようなアセット管理ツールがアーティストにかなり好評で、現在では社内のプロジェクトにほぼ導入されています。

麓氏:実は弊社もアセット管理するツールは、アーティストに喜ばれて使われていますね。また、ランチャー形式でスクリプトを共有するツールも使われています。

今津:DeNAでは、DCCツール系は当たり前に作っていますが、Adobe系のスクリプトが意外とアーティストやUIデザイナーから認知されていなくて、2人で1ヶ月くらいかかる作業の詳細を聞いてみると、ボタン2回くらい押せばできる作業になることが判明しました。

具体的には、ローカライズに関してですが、1個のバナーにおいて8言語の画像を作って出力する作業をしていました。

そこで、その言語をツールで読み込ませエイリアスを作成するツールを作成。その後、目視で確認・微調整を行い、さらに吐き出しツールで自動的に名前を付けてファイルを作成するというフローにすることで、工数の大幅削減を実現しました。

このような方法があること自体が浸透していないので、TA側からアプローチしていけば、感謝もされて嬉しいですね。

沼上氏:できることを知らないから、まず手段を伝えていくんですね。

今津氏:3D系のスタッフはツールで解決できることの幅を理解している人が多く、「これなんとかなるでしょ」という問い合わせがコンスタントにありますが、特に絵描き系のスタッフは意外にツールに頼らず地道に作業する傾向がありますね。

沼上氏:Photoshopで連続してデータを吐き出す作業は頻繁にやっているんですが、要望に応えてツールを作ってから、派生ツールがあちこちに生まれて、誰が作ったかわからないツールが回り回って修正してほしいと要望があったツールが、実は最初に自分が作ったものだった、というあるあるもあります(笑)。

Q:自分の会社でTAグループを立ち上げましたが、なかなか認知されず、自分たちが活躍できる場所を探すことがスムーズにできません。これからどうしていけば良いかアドバイスをお願いします。

塩尻氏:弊社でもTAについては、なかなか認知されませんでした。地道に営業活動をして結果を残すことが大事だと思います。ひとつ成功すれば、プロジェクトに信頼されて次に繋がるので、最初はできるだけ失敗しないように気を付けるように心がけています。

組織だけ作って、社内で「仕事ください!」と伝えても仕事は来ないんです。なので「うちのメンバーはこんなことができます」とスキルをアピールしましょう。

沼上氏:プロジェクトに属しているのなら、現場の作業をしっかり見て、不足している、改善できる部分を拾って、どんどん提案していくと良いと思います。知ったかぶりをせず、常に相談しながら学習して提案を重ねていくことが大切です。

今津:私たちは現在、まさに立ち上げの対応をしているところです。DeNAのデザイン部は100人以上配属しており、各職能に分かれているんですが、それぞれの職能のトップを順番に呼んで困っていることを片っ端からヒアリングしていきました。

また、全体会などで自分たちのグループの役割を伝えたり、何でもいいので相談してくださいとアピールして、最初は泥臭く何でも受けて作業していくと、だんだんと信頼関係が築けて「何か疲れちゃった……」みたいに気軽に声をかけてくれるようになりました(笑)。

沼上氏:信頼関係は大切ですよね。

今津:おそらくそういったお互いの信頼関係からスタートして、「TAなら何とかしてくれる」という雰囲気を作っていくことが大事だと思っています。

塩尻氏:たまに「なんで自分がライセンスサーバ作ってるんだろう……」って思いますもんね(笑)。でもNOって言ってしまうと次がなくなるので、いろいろと解決しています。

麓氏:できないとは言わずに、代案を出して、駆け込み寺のようなポジションになるのが良いかもしれませんね。まずは関係性を構築していくのが、スタートラインだと思います。

沼上氏:ひとつ注意しなければいけないのが、アーティストが「ここが困っているから、この作業をして」と手段を先に伝えてくることがありますが、そのまま受けてはダメで、今何をやりたいのか、目的を確認した上で解決策を提案してあげなければいけません。

噛み砕いて説明してあげても、実は違う方法で解決したほうが良い場合や、やってはいけない手法を頼んでくる場合もあるので、中身の流れを知らないままだと余計なツールを作って、その結果環境を壊してしまうこともありえます。

なので、極力聞き出す努力をすることが必須で、最終的な目的とやりたいことを理解してあげて、それに一番適した解法や使えるツールを教えてあげると良いですね。

Q:UnityやUEなど汎用エンジンを使用しているタイトルについて、TAとして思うところがあれば教えてください。

麓氏:汎用エンジンはフレームが完成している中で環境を作るのですが、別の環境に移行したり、エンジンが変更された時に、これまでの常識が通用しないということが多々あります。そこだけに慣れてしまうのではなく、一から作らなければいけないという覚悟は必要だと思います。

沼上氏:汎用エンジンは、誰でも使いやすい特長を持っていますが、独自な作業をするととたんにハードルが上がり、また、エンジンのバージョンが上がる度に仕様が変わってしまうので、自分的には使いにくいと感じています。ただ、うまく使えば最小限の工数でモノを作れますし、使いどころが肝心だと思っています。

塩尻氏:弊社では現在も内製エンジンを頑張って作っています。メリットはエンジン開発チームとすごく近いので、何かあったときにすぐ相談できることですね。エンジンの技術的に深い話が気軽にできるのは弊社の特殊な環境かもしれませんね。

今津:最近便利に感じるのは、シェーダーをデザイン側で攻められるようになったことですね。ただ、見た目だけは作れますが、そのままでは重すぎて絶対に組み込めないため、結局はエンジニアがそのシェーダーを解析して、一から作ることになっていますが。

まとめ

沼上氏:TAを集めることの意義として、会社の中だけでなくこのようなイベントで集まったり、麓さん、塩尻さんとは以前からやりとりは密にしていて、他社のエキスパートたちを話しているとだいたいみなさん同じようなことを考えていたことがわかりました。

最近では、ある問題について、ある集まりで塩尻さんが話題にしてくれて、自社でもその事象が起きるからちゃんと調べましょう、と二人で環境を調べながらトラブルシューティングができたんです。

その結果、問題が起きているアプリケーションメーカーも知らない、特殊な状況で起きる問題を解決できました。もちろん機密を守ってできる範囲でやれることは多くありますし、このようにTA同士が繋がっておくと必ずいいことがあると思っています。

今津:それぞれの会社にはアイデンティティがありますが、業界全体で見た場合に技術のパーツそのものを全面に出すのではなく、そのパーツを使ってゲームを作れば、こんな感動が与えられる、その感動の部分がアイデンティティだと感じています。ですので、個々の会社だけに閉じず、業界全体でつながって大きな開発環境を作っていければいいと思っています。

塩尻氏:自分も3年くらい前から横のつながりを増やさせていただいて、いろいろな話をする上で、弊社内で役に立つことが爆発的に増えました。情報を聞いているだけでも気付くことが多く、相乗効果もたくさんありましたね。

懇親会の様子

かなりの熱気(酸素も薄かった!?)で盛り上がった懇親会では、4社から集まったテクニカルアーティストと熱いディスカッションを楽しむ来場者の姿を見ることができました。

懇親会では名刺交換はもちろん、仕事についての情報共有や悩み相談など、会社の垣根を超えた交流が魅力のひとつとなっているようです。また、懇親会の最後には、登壇した4名のTAから来場者に向けて締めのお言葉もいただきました。

季節のデザート

今回用意された季節のデザートは、食べられるお花「エディブルフラワー」をたっぷりと使った、夏らしい爽やかなババロアです。当日は真夏の開催ということもあり、涼しげなデザートは大人気であっという間にみなさんのお腹の中へ……!

取材・文・撮影:細谷亮介

▼イベントレポート前半はこちら

【イベントレポ(前半)】GDMテクニカルアーティスト座談会~やってみる、から一歩先へ~

 

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