【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

スマートフォンゲーム運営において、コミュニティマーケティングに取り組み続けてきたDeNAゲーム事業部マーケティング部。これまでさまざまな施策を通じて、コミュニティの形成/拡大を推進してきましたが、SNSを活用したブランディング活動の重要性を強く感じてきたそうです。

そして今回GeNOM編集部では、この領域を推進してきたマーケティング部の鶴川が、分析部やAIシステム部のメンバーとともに、データを活用してコミュニティマーケティングを進化させる取り組みを行なっていることを聞き、開発中のツールや高度な分析手法の詳細、そして今後の取り組みについてインタビューを実施しました。

コミュニティ運営をテクノロジーで進化させる

――まず最初に、鶴川さんが考えるコミュニティマーケティングの「あるべき姿」について教えてください。

鶴川:まず、コミュニティとはさまざまな定義があり、一言で纏めることは難しいですが、私は「同じ価値観/目的を持った人が集まり共感し合う集合体」だと考えています。

その上で、コミュニティマーケティングとは[su_highlight background=”#fcff99″]「プレイヤーと信頼関係を構築し、そのプレイヤーのゲーム愛を醸成しながら事業を拡張していくマーケティング活動」[/su_highlight]だと私は考えています。

この考え方に沿って、オンライン・オフライン問わず、さまざまなコミュニティ施策を各ゲームを通じて提供してきました。

――コミュニティマーケティングで大事にしていることや課題、今後の展開についてはいかがでしょうか?

鶴川:コミュニティマーケティングの施策の精度をより高めるためには「プレイヤーのことを正確に理解する」ことが、とても大切です。プレイヤーがゲームに求めていることを、誤認無く理解することが、より良いUI/UXの提供に繋がっていくと常に考えています。

ですが、プレイヤーの皆さんがゲームをプレイする目的は千差万別で、コミュニティマーケティングの施策を検討する際、プレイヤーの方々のニーズをMECE(モレなくダブりなく)に把握することに、とても時間がかかっていました。その部分に関して、より効果的な運営が実現できる基盤が必要だと感じていたんです。

――コミュニティを可視化していくことで、さらにプレイヤーの満足度を高めていこうと?

鶴川:はい。それを実現するためのツール開発には、専門的な知識が必要です。技術的な面など、マーケティング部内だけでは実現できないと悩んでいた中で、分析部の安達さんに出会ったのが、プロジェクト開始のきっかけです。

これまで私が抱えていた課題を安達さんに伝えると「全部可能だと思います!」と素晴らしい回答をいただき、さっそく要件を具体的に決め始めたのが2019年1月~3月、少しずつですが4月からツールの運用を開始し始めました。

鶴川将志 | マーケティング部ソーシャルメディアブランディングGr
DeNA入社後、ゲームタイトルのマーケティング全般(TVCMやイベントなど含む)の戦略を策定し、関連部署と連携して全体を推進するマーケティングプロデューサーとして従事。2018年4月にコミュニティマーケティンググループ グループマネージャーに就任し、2019年よりソーシャルメディアブランディンググループを立ち上げる。「ゲームプレイヤーの熱量を高める」ことをグループのミッションとし、オンライン/オフラインのコミュニティ施策の戦略立案と推進を行うチームをマネジメントしている。

――鶴川さんから相談を受けて、第一印象で安達さんはどのように感じましたか?

安達:提案された課題は、個人的にとても興味深かったです。コミュニティマーケティングをデータドリブンにして、コスト削減・業務効率化することで、ゲーム事業だけに留まらず、スポーツ事業やソーシャルライブ事業など、全社的に貢献することができます。

また、コミュニティ分析に関しては科学的な面白さもあります。私たちは、家族・学校・仕事から趣味・SNS上まで、さまざまなコミュニティに所属しています。それを抽出・分析・予測することで、我々はなぜコミュニティを形成するのか、などの本質に迫れたらいいな、と思いを巡らせていました。

鶴川:実は4年ほど前から、コミュニティの分析手法に対して、SNSの運用がどのような影響を与えているのか検討していたのですが、難易度が高く、ことごとく頓挫した経緯があります。ですので、このプロジェクト開始で、ようやく突破口が開けたと言えます。

マーケティング、分析、AIの専門家が、独自分析ツールを開発

――では改めて、今回開発に至ったツールの機能について教えてください。

鶴川:コミュニティマーケティングの分析は定量と定性の両面で行っていますが、定量データを取得することが非常に難しく、今までは定性データを軸にした分析を行っていました。しかしプレイヤーのことを、より正確に理解するためには定量データの分析が不可欠です。

だからこそ、この定量/定性データを照らし合わせて、効率良く分析ができる基盤を作りたいと常々考えていました。

詳細はこの後に説明していきますが、本ツールには主に3つの機能があります。

・分析自動化の強化(TwitterAPIを最大限活用しつつ、分析集計の工数を削減)
・コミュニティの可視化(日々変動するコミュニティの動きを可視化する)
・インフルエンサー発掘(影響力があるプレイヤーを発見する)

先程もお話ししたとおり、まずは安達さんに相談し、その後小口さんや田中さんを巻き込んでプロジェクトが進行していきました。具体的には分析自動化の強化は小口さん、コミュニティの可視化は安達さん、インフルエンサー発掘は田中さんに主に担当していただきつつ、全員で積極的に議論しながら開発を進めています。

安達:DeNAの各事業部において、TwitterなどのさまざまなSNS上で施策が行われているので、今回開発したツール、そして採用している分析手法は組織を横断して使えるため、かなり意義のあるものだと思いますね。

田中:それに、機械学習やAIをコミュニティマーケティングに活用している事例はあまり多くないので、この取り組みを通して、新しい市場を切り拓いていきたいですね。

分析自動化の強化

――それではツールの詳細について質問です。まずは、分析ツールの機能のひとつ「分析自動化の強化」に関して、機能紹介や仕組み、活用方法、運用実績、ケーススタディなどを教えてください。

鶴川:Twitterの数値分析を正しく、かつ少ない工数で可視化したいと考えたのが、この機能のはじまりでした。

小口:まずデータを可視化するため、TwitterのデータをGoogleスプレッドシート(以下GSS)でグラフ化、KPIの数値を出せる仕組みを作りました。

DeNAでは内製BIツール「Argus(アーガス)」を使い、ゲームの行動ログなどを用いてデータ分析をしており、それをプロダクトの改善やUX向上のための施策立案に役立てています。このプロジェクトでもArgusで可視化するという選択肢もありましたが、今回はGSSを採用しました。

その理由としては、[su_highlight background=”#fcff99″]データ分析を後続の業務とシームレスに繋げたいという意図があった[/su_highlight]からです。例えば現行の業務だと、Argusで可視化してそのデータをExcelに落とし、さらにExcelでまた集計してグラフにしてスライドに貼る、みたいな業務があったりします。

データを業務に用いるまでのプロセスが長いので、大元のデータベースが更新されたら、アウトプットのスライドまで一気に自動で更新されるような仕組みがあったらなと思っていました。そうすれば、データの集計作業ではなく、データの結果からプロダクトや施策のことを考えることにより時間を充てられると思いました。

DeNAでは、分析用のデータベースとしてGoogleのBigQueryを利用していますが、年々BigQueryを中心としたビッグデータ解析のエコシステムが成熟してきています。今回のGSSも裏側でBigQueryのデータベースと繋がっていて、誰もが見慣れたGSSのインターフェースからビッグデータ解析ができるようになっています。

また、今回のケースでは利用しませんでしたが、BigQuery MLというSQLで機械学習のモデル開発ができる機能もあり、それもGSSのみをインターフェースにして利用できたりします(詳しくはデータエンジニアリングGrのグループマネージャーが登壇したCloud Next Tokyo 2019の発表をご覧ください)。

小口力也 | 分析部データエンジニアリングGr
2017年に新卒で総合電機メーカーに入社し、全社ITの統括部門で社内システムの企画、開発に従事。2018年にDeNA入社後は、分析部データエンジニアリングGrの立ち上げに参加し、データエンジニアとしてアプリゲームのビッグデータ解析基盤の構築に従事。ゲーム内の行動ログをもとにしたデータウェアハウスの設計、開発から、機械学習を用いた高度な分析のシステム構築など、事業の意思決定をデータドリブンで実現するためのインフラ構築に取り組んでいる。

鶴川:このツールはただ数値を表示するだけではなく、その数値をどう使うかも含めて設計したので、集計結果をそのままレポートできるようになっています。

小口:SQLを用いたGSSからBigQueryへ問い合わせも、スケジューリングができるので、データベースが更新されていれば、GSS上のデータも更新されます。

もし、サマリのグラフなどをGoogle Slideのグラフに連携していれば、それも同様に最新の情報にアップデートされます。データベース、GSS、スライドを連携することで、コミュニティマーケティング関連の分析作業を、革新的ともいえるレベルで効率的にしました。

鶴川:小口さんが話してくれたように、使う側のユーザビリティも意識して作ってくれているので、他事業部への展開のしやすさも大きな強みですね。担当者には「ここに日付を入力するだけですよ」と説明するだけですぐに使えるのでマニュアルもいらず、助かっています。

それとは別で、データを元にどういう観点で、どういう示唆を導き出せるかの考え方を纏めた資料を作りました。ツールの価値を最大限引き出すために利用者の分析力を高める取り組みも、同時に行っています。

――ちなみに、どのようなデータが可視化できるようになっているのでしょうか?

小口:GSSで可視化できるのは「毎日のオーガニック(通常投稿)の投稿数」「リツイート数」「期間中に頻出して使用されたハッシュタグ」など、さまざまな指標です。

また、「Google Natural Language API」というGoogleのサービスを利用して、テキストの感情のスコアを定量的に取得しているので、BigQuery上にそれらのデータを保持しておけば、例えば「この施策におけるプレイヤーの反応がポジティブなのか、ネガティブなのか」といった情報などもGSS上で可視化することもできます。

鶴川:Google Natural Language APIを利用した分析結果と、こちらの感覚がほぼ合致しているので、精度は結構高いと感じましたね。

安達:あと、ツールのユーザビリティにはこだわりましたね。作ったものの、使われなくなってしまうツールが多々ある中で、それを防ぐために、鶴川さん側と、施策に繋げる上で必要・不必要な情報については徹底的に議論した覚えがあります。

鶴川:要件に関しては、自分が事前にマーケティングのメンバーからヒアリングして、安達さんたちとディスカッションしました。良い意味で無駄な要素を削ぎ落とせたと思っています。

小口:このツールでは、期間を指定するだけでKPIを可視化できるんですが、比較も可能になっていて「先月の施策に対する反応」と「今月の施策への反応」を比較したいとき、期間を別々に指定することで、どんな違いがあるのかひと目で分かるようになっています。

――誰でも簡単に扱えるようなユーザビリティが整備されているんですね。ちなみに可視化するまでの過程で苦労した点はありますか?

小口:GSSとBigQueryを連携する機能が「Connected Sheets」や「Data Connector」といった比較的新しい機能で、特にConnected Sheetsについては現在β版なので、周囲に実務で導入している人がおらず、またWeb上に知見もたまっていないので、手探りな部分はありました。

――ちなみに鶴川さんとの連携で大変だった点はありますか?

小口:強いて言えば、鶴川さんの推進力が高いので、次々と全社でニーズを引っ張ってきて頂いたところですかね(笑)。それだけ[su_highlight background=”#fcff99″]「ユーザーコミュニティをもっと良く理解したい、それを施策に活かしたい」[/su_highlight]という全社のニーズが高かったのだと思います。

――現在では案件はまだ増えているんですか?

鶴川:いえ、現在は一旦落ち着いていて、実績を生み出すフェーズに移行する段階に入っています。

小口:BIツールでの可視化については、今後[su_highlight background=”#fcff99″]「Looker」の導入が決まっている[/su_highlight]ことが最近のトピックです。

鶴川:Lookerを使用することでツールのユーザビリティがもっと向上しそうですね。

小口:そうですね。LookerにはViz Blocksというダッシュボードのテンプレートを使って、簡単にダッシュボードを作成できる機能があるのですが、社内外の人が活用できるコミュニティ分析のテンプレートを開発することにも、チャレンジしてみたいですね。

5時間の工数が、10分に短縮

――ちなみに小口さんの開発の成果として、かなり工数削減が実現したと聞いたのですが?

安達:そうなんです。世間でデータドリブンやAIといった概念が浸透している中、コミュニティマーケティングの仕事についてヒアリングしたとき、実はマニュアル作業が多いと聞いて驚かされたんです。これはイケてないね、ということで業務効率化を行いました。

鶴川:この効率化に関しては[su_highlight background=”#ffa299″]「5時間かかっていた作業が10分で終わった」[/su_highlight]という、ものすごいインパクトがありましたね。

プレイヤーのことを正確に理解するために、定量/定性データの収集を行い、そこからプレイヤーのインサイトを見つける業務を毎日欠かさず行っています。

特に定性データの収集は、集計結果の品質を高めるためには時間を要していたのですが、小口さんのツールのおかげでかなり短縮することができました。

――このツールと機能が広まれば、全社的に大幅な工数の削減ができるかも知れませんね。

鶴川:今まさに、それに取り組み始めています!

安達:データに対するリテラシーが高くないと気付きづらい面もあるので、この記事のように社内外に発信していくことで、導入を考える人が増えてほしいですね。また、こういった取り組みを通じて関係値を築くことで、高度な分析に対するアイデアのやりとりなどがスムーズに進むと良いですね。

鶴川:確かにルーチンワークがスリム化できたので、新しい企画やアイデアを考える時間に頭を使えるようになると期待しています。

コミュニティの可視化

――それでは次に「コミュニティの可視化」に関して、分析の詳細や活用方法などを教えてください。

安達:はい。まず特定のゲームで盛り上がっている人々の中からコミュニティを抽出して、それらが時系列でどのように拡大・縮小・結合・分裂・消滅していくのかを可視化しています。

また、各コミュニティが「イラストが好き」「ストーリーが好き」「運営について語りたい」など、どういった話題を中心に形成されているのかを調べています。

そこで得た知見を元に、SNS上全体のアクティビティを活性化させるためには、どのコミュニティ同士を繋げればいいのか、また、各コミュニティにどういった内容の施策を行うと反応が良さそうか、といった方向への活用の検討を行なっています。

また、さまざまなゲームコミュニティ間の距離を計測・可視化することで、あるゲームを始めてもらうためには、どの他ゲームに関連するコミュニティにどのようなキャンペーンを行えば良いのか、施策のヒントとなる分析を行なっています。

安達 涼 | 分析部第一Gr
人間の意思決定プロセスの数理モデル化と、その神経基盤を解明する研究に従事し、カリフォルニア工科大学PhD(計算論的神経科学)を取得。2018年にデータアナリストとしてDeNAに入社。機械学習の手法のみならず、行動経済学の知見などを用い、人間のゲーム内外での行動データを包括的に理解することで、ゲームタイトルの運営力・UX向上を目指している。

――特に苦労した点は?

安達:データが全くない状態からスタートしたので、小口さんのチームとデータ収集について連携してデータを用意し、そこから分析まで、ゼロからイチまで行う、というプロセスが大変でした。

でも実際、苦労したという感じはなく、そのプロセスも楽しく感じましたね。人と人とが興味で繋がってコミュニティを形成していく、そのプロセスがデータで確認できるってすごい時代ですよね。

海外では、SNSの会社が研究機関と連携してコミュニティ関連の分析を行なっていたりしますし、日本でも徐々に流行っていくのではと感じています。

――コミュニティを分析して数値で表現する仕組みを教えてください。

安達:コミュニティを抽出するためには、まずユーザーのネットワークを作成する必要がありますが、作成の仕方にもいろいろあり、例えば、フォロー・フォロワーの関係性で組んだり、ツイート・リツイートの関係性で組むこともできます。

この定義次第で分析できることが変わってくる、この曖昧さが難しい部分である一方、クリエイティブな方法を見つけたりできる面白い点でもあります。

日々変動するコミュニティの可視化によって、施策も改善・進化

――鶴川さんはこの機能について、実際に使ってみてどうでしたか?

鶴川:これから本格的に活用するフェーズに入りますが、新発見が多く、こちらの仮説が意外と外れていたことも分かりました。また、その仮説が外れたからこそ新しいアイデアが生まれるきっかけにも繋がっています。

――Twitterのリアルタイム性の高さに関しては、どのような対応ができますか?

安達:今回の分析では、ゲームのコミュニティがどのように拡大縮小しているのか、コミュニティごとに何に興味があるのか、などを抽出・可視化しています。

Twitterは非常にアクティブなSNSなので、ネットワークやコミュニティの変化は激しいと思っていたのですが、コミュニティというレベルでの変化は、割と安定していることがわかりました。

これはもちろん、リリースからの年月、そのゲームタイトルがカジュアル層向けかコア層向けか、でも変わりますが、この観点からのゲーム間比較も面白そうですね。

鶴川:複数のコミュニティがいつの間にか合体して大きくなったり、分裂したり、人間の目では分かりづらい様子が時系列で見えるので、面白いですよね。

あるゲームに関連するコミュニティの時系列遷移の可視化例。
各コミュニティは拡大・縮小・結合などを繰り返している。

――ちなみにコミュニティの動きが見れる画面は、基礎知識がなくてもすぐに理解できるのでしょうか?

安達:さまざまなサイズのコミュニティが週ごとに拡大・結合・消滅して遷移していく様子を可視化しています。

田中:その部分をより見やすく、わかりやすくするのが、まさに自分たちの今後の仕事ですね。

安達:ええ。コミュニティの遷移に加えて、各コミュニティで流行っている話題なども一目でわかるようなダッシュボードの制作も予定しています。

――これまでの話を聞いていると、なんとなく銀河系、宇宙空間をイメージしてしまいます。

田中:確かに似ているかも知れませんね。Twitterの拡散範囲は、人間が認知不可能なくらい広がっていますし。太陽系は今まで詳細に観測できているけど、さらに遠くの惑星や銀河には未知の部分も多くあるように、まだ見えていない部分を解明していくことが、本プロジェクトのひとつの目標ではありますね。

安達:そうですね。コミュニティの変遷はまるで生き物のようにも見えますよね。それをデータを元に分析して、これから色々な施策に活用していくことを考えるとワクワクしますね。

インフルエンサー発掘

――続いて、「インフルエンサー発掘」に関して、機能紹介や仕組み、活用方法、運用実績、ケーススタディなどを教えてください。

田中:この機能については研究開発のフェーズですが、現時点で行なっていることについてお話ししていきます。

当初の鶴川さんからの要望は、[su_highlight background=”#fcff9″]Twitterにおいてプレイヤーや運営の投稿が誰に届き、どうやって広まっているのか、誰を経由して強弱が変化しているのか、その伝播過程を知りたい[/su_highlight]といった内容でした。

さらに、熱量高くプレイを続けてくれるプレイヤーは誰なのかを、大規模なSNSの中から見つけて欲しい、といった「インフルエンサーを可視化してほしい」という内容も含まれていました。

田中 一樹 | AIシステム部データサイエンス第一Gr
2017年にDeNA入社後、データサイエンティストとしてアプリゲームに関する AI 機能の開発に従事。現在は、多様な事業へのデータサイエンス活用を目指した研究開発や課題発掘に従事。「速習 強化学習 – 基礎理論とアルゴリズム-」(共立出版) の翻訳、「Practical Developers ―機械学習時代のソフトウェア開発[ゲームアプリ-インフラ-エッジ編]」(技術評論社) の執筆に携わる。学生時代からデータ分析の大会に没頭し複数大会で入賞。Kaggle Master。

田中:「インフルエンサー発掘」と説明しましたが、実際には「インフルエンサーの可視化」「インフルエンサーのインフルエンス力(影響力)の可視化」「抽出したインフルエンサーの特徴分析」について重点的に実施しています。

インフルエンサー分析の可視化画像

田中:「インフルエンサーの可視化」については、すでにインフルエンサーになっている人を発見する分析と、将来インフルエンサーになりそうな「ポテンシャルインフルエンサー」を予測し、事前に発見する分析を行なっています。

既存のインフルエンサーについては、すでにさまざまなアルゴリズムが研究されており、それらを活用し抽出しています。

例えば良質な情報を発信している人、情報伝播や繋がりのハブとなっている人、拡散力があり情報の発信頻度が高い人、などさまざまな角度からインフルエンサーを発見しています。

まだPoCの段階ですが、汎用性の高いアルゴリズムが多く、現在では20~30種類の指標を使って、自動的にインフルエンサーを抽出し、分析することができるようになってきました。

また、未来のインフルエンサーをデータサイエンスやAIで予測することができれば、運営が事前に熱量が高まりそうなインフルエンサーと接点を持つことができます。ここではAIを使って過去のアクションや嗜好性、繋がっている人の情報などから、将来インフルエンサーになりそうかを予測しています。

――AIで未来のインフルエンサーを発掘するのは、DeNAならではの取り組みかもしれませんね!

田中:そうですね、AIの活用を通じてなるべく多くの方に情報を届けていきたいですね!

続いては「インフルエンサーのインフルエンス力(影響力)の可視化」についてお話しします。

インフルエンサーを可視化した後、実際にどのくらい拡散されるのか、どうやって拡散されていくのかを知りたくなりますよね。その部分を解明するために、我々はツイートの拡散シミュレーションに関する研究開発も行なっています。

インフルエンサーがあるツイートをしたときに、どんな経路で最終的にどれくらいの人数に拡散されるのかをシミュレーションする研究開発が進んでおり、マーケティングでの簡易的な運用は可能になり始めています。例えば、Twitterにおける広告配信など、SNS上の幅広い範囲に情報を行き渡らせるためのターゲティングに活かしたいと考えています。

ここで研究している手法の中身は、[su_highlight background=”#fcff9″]Influence Maximization(影響最大化)と呼ばれる最適化系の問題でバイラル(口コミ)マーケティングの文脈で語られることが多い[/su_highlight]です。「どこに施策を打つと情報の広がりが最大化されるか」というテーマで最適化をする分野で、一般的に解くのが困難な問題ではありますが、上手く工夫しながら実応用を目指して取り組んでいます。

しかし、現実世界のSNSは単純ではありません。自分が発信したツイートを他の誰かがX%の確率でリツイートしてくれる、といった確率を正確に把握することは、難しいことが多いです。

ただし、我々はそれを解決するためにツイート内容などから、情報が伝播する確率を推定する取り組みも行なっています。

例えば、親和性の高い人同士は高確率で情報伝播しやすい、嗜好が似ておらず興味が異なる人同士では情報がリツイートされにくいなど、さまざまな観点からより現実的な拡散シミュレーションができないか日々検証しています。

他にはフォローが多い人はタイムラインが流れやすく、ツイートが目に留まる確率が下がる傾向があるので、拡散される確率もその分減るのではないか、といった仮説検証もしています。

――Twitterなど投稿するのは人間なので、あいまいな部分を解明するのは大変では?

田中:そうですね。その部分に関しては安達さんが行なっているコミュニティの分析と連携しながら、この人はどのジャンルが好きなのかといった趣向も深掘って分析したいと考えています。

――このインフルエンサー発掘の機能について、鶴川さんはどう感じていますか?

鶴川:とても未来的で、今後のプロモーション施策などへの活用方法は多彩だと思います。さまざまな情報が行き交う今の時代では、サービス提供者の発信だけではコミュニティへ情報を十分に行き届かせるのは、とても難しく限界があると感じており、ゲームに関する情報発信していただけるプレイヤーの方々の力が、情報伝達に必要不可欠な時代になっています。

私たちは「フォロワー数が多い」「発信回数が多い」と言った表面上の数値だけではなく、もっと本質的な要素も含めてインフルエンサーの発掘をしたいと思っています。

田中:コミュニティとインフルエンサーの両方の観点を組み合わせて連携することで、今までできなかったような有効な取り組みができたら良いですね。

――今後のマーケティング施策も成功する確率をさらに上げることができると?

田中:まさに取り組んでいる最中ですが、このプロジェクトではAIによって作成されたシミュレーションや予測を元に施策を実施した後に、その結果をAIのアルゴリズムにフィードバックする工程をなんども繰り返し、全体のワークフローを精緻化することで成功確率を上げていきたいなと思っています。

鶴川:施策自体も変わりますが、それを作るプロセスも実際変わってきています。今まで見ていなかったデータを当たり前に見るようになってきていますし、施策を考える際に連携を図るチームも変わってきています。

田中:全員に全く同じマーケティングをするのではなく、イベント関連の施策はこのインフルエンサーに、バトル関連施策はこのコミュニティに、といったようにジャンルやゲーム毎に施策の検討方法が変わっていくと思いますし、そのクリエイティブを作り始める段階から連携できれば、新しい価値を生み出せるかもしれませんよね。

データはこれまでにない強い武器となる

――このようなコミュニティ分析ツールは、ゲーム業界以外でも開発・活用されているのでしょうか?

安達:日本だけでなく世界的にも、データサイエンスやAIを用いてコミュニティの分析を推進する取り組みは少ないと思います。

コミュニティという粒度で包括的に、データを元にした施策を考えていく取り組みはあまり耳にしないですね。

田中:Twitterの自動ボットやターゲティング広告などの取り組みはが多いと思いますが、コミュニティの性質をデータから細かく分析する取り組みは、あまり多くないと思います。

鶴川:このプロジェクトではマーケティング施策を最大化させていくという観点ももちろんありますが、それ以上にプレイヤーの体感・体験を向上することに強くフォーカスしています。

――冒頭でも少しお聞きしましたが、鶴川さんが安達さんに相談してから、ツールが開発されるまでのフローを改めて教えてください。

鶴川:まず最初に実現したいことをまとめつつ、ダッシュボードのイメージを含めて、安達さんと要件をすり合わせていきました。

安達:まずTwitterの基本的な統計量取得による工数削減および、データサイエンスを用いた高度な分析で実現したいこと・できそうなことをまとめました。それから自身でPoC(Proof of Concept:概念実証)をして、まずダッシュボードを作成しました。

その後、さらにスケールさせるために小口さんに相談をして、ダッシュボードにいろいろな人がアクセスできるよう拡張してもらいました。また、高度な分析でも実現したいことが多く、田中さんにも参加していただいた流れになります。

小口:自分が驚いたのは、鶴川さんの推進力の高さでした。データ分析を生業としている私たちデータエンジニアやデータサイエンティストが分析をして「こういう意思決定をするべき」とコンサルティングをして巻き込むというよりは、データを使ってより良い意思決定をしたい、と望んでいるメンバーが中心となって始まったプロジェクトだったので、スピード感や熱量が他のプロジェクトより高かったと思います。

また、鶴川さんがこの取り組みを他事業部に共有してくれたのも、嬉しかったですね。データは施策や意思決定に活用してもらわないと価値がないですし、それを全社に届ける動きをしていただいたのは非常に助かりました。

鶴川:少し照れますね……(笑)。実は自分のストレングスファインダーの資質の中では「分析思考」がかなり強いんです。もともと未知の発見が好きなので、なるべく食わず嫌いはしないようにしています。

また、時間が空いたときに安達さんからネットワーク理論について教えてもらって、勉強しています。これまでコミュニティマーケティングの人間が、何となく感覚で理解していた部分に、アカデミックな情報が加わると、明確に言語化できるので楽しいですし、学んでいきたいですね。

――ただ要件を依頼するだけでなく、お互い学びながら成長すると?

鶴川:はい。お互い似ている領域ではありますが、所持しているナレッジが違っていたのかなと思いますね。それを交換しながらパフォーマンスを上げていきました。

――このツールについて他の事業部からのフィードバックはどのようなものがありましたか?

鶴川:実はつい最近共有したばかりなんですが、一様にかなり驚いた反応をしていました。

これまでは「こんなツールあったら便利かも」くらいに抽象的なイメージしかなかった中、それを具体的に可視化、言語化できるツールが登場したので、驚きがあったのだと思います。

コミュニティの運用においては、どのようなデータを見れば良いのか、またそのデータをどのように取得すれば良いのか判断がとても難しいです。

本ツールで取得したデータを使用して、プロデューサーなどのメンバーと議論していますが、[su_highlight background=”#fcff9″]ファクト(事実)を示すことができる[/su_highlight]ので、議論の質も高まっていると思います。

――しっかりと説得できるデータが取得できているからこそ、これまでにない強い武器になると?

鶴川:はい。ほとんどの人は、Twitterやネット掲示板を常に見ているわけではなく、スキマ時間にチラッと見た情報が正になってしまうことが多いですが、コミュニティは常にリアルタイムに動いています。

全体を理解できていないのに結論付けてしまうことが、これまで課題だったのですが、このツールのおかげで、総合的にサマリを伝えることが可能になったのは、大きな強みと言えますね。

人と人を繋いでユーザー体験を向上したい

――今後、本ツールの運用で事業(ゲームだけでなく)に対してどのような成果を目指していきたいと考えていますか?

小口:今回はTwitterだけの取り組みでしたが、他のプラットホームにもコミュニティは存在しているので、それらのオープンデータを活用できる状態を実現したいですね。また、グローバルでのユーザーコミュニティの可視化にもトライしたいです。

安達:コミュニティはゲームに限らず、どこにでも存在するので、その汎用性を生かして他の分野に広げていきたいと考えています。また、ここ最近の機械学習手法の進展によって、高い精度でコミュニティ抽出ができるようになったり、かなりアクティブなリサーチエリアになっています。

コミュニティマーケティングの重要性の増加と相まって、今後活用先が増えるのは確実です。今回の分析をきっかけとして、社内外で協力して、マーケット全体のスタンダードを作れればと思っています。

田中:もちろん汎用的な技術なのでさまざまな事業へ横展開していきたいと考えていますが、私がデータサイエンスやAIを活用するときの軸としているのが[su_highlight background=”#fcff9″]「サービスに触れている方に楽しさや新たな体験を届ける」[/su_highlight]ことです。

抽象的ですが、人と人が繋がり、今まで以上にハッピーになる世界を目指したいですね。このプロジェクトでは、データサイエンスやAIを通じてその橋渡しができるきっかけを作りたいと思っています。

鶴川:コミュニティマーケティングは大きな可能性を秘めていて、テクノロジーの力を活用しコミュニティの可能性をもっと引き出せれば、今までにない新しい取り組みに繋がると考えています。その新しい取り組みで、より多くの人により楽しい体験を提供していきたいと思います。

――ゲームやサービスを通じて、プレイヤーをさらにハッピーにできる技術が進化していくのは、とても楽しみですね。ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:齋藤暁経

プロデューサーや専門家らと共に、UX向上を目指す。“ゲーム✕AI”を推進する「ハブ役」の正体とは?

「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」をビジョンに掲げるDeNAでは、AIをゲームに積極的に導入・活用していくため[su_highlight background=”#fcff99″]ゲーム事業部内に「AI推進部」が新設[/su_highlight]されました。

これまでもDeNAの運営タイトルにはAIが活用されてきたケースがありますが、AI推進部の誕生によって今までと何が異なるのでしょうか? 今回、AI推進部の部長である小東祥、そして所属メンバーの佐藤勝彦と河合安甲子に、部のビジョンや目指す姿などを聞いてみました。

“ゲーム✕AI”を推進する専門部署

――まずはAI推進部の取り組みについて教えてください。

小東祥(以下、小東:AI推進部はその名の通り、AIを活用したゲーム開発を推進するために発足した部署でして、[su_highlight background=”#fcff99″]「AIを活用して構造的強みを構築する」[/su_highlight]というビジョンを掲げています。

社内では2017年頃からIPタイトルにおけるAI活用をきっかけにし、これまで『逆転オセロニア』で多くの事例を生み出してきました。

ただ、これまでのAIに関する取り組みは、「AIを活用したい」という意思を持ったメンバーが個々でAI本部に所属するリサーチャーなどに相談し、独力でAI活用を模索してきた背景があります。

ただその場合ですと、以下のようなさまざまなデメリットが発生するケースもありました。

・最後までやりきる事自体が非常に難しい
・成果が出るまでに時間が必要になる
・役割分担がうまくできない
・ゲーム開発における優先順位が下がりがち(ボトムアップの取り組みになるため)

そこで今回、ゲーム事業部内に専門部署を立ち上げることで、[su_highlight background=”#fcff99″]ゲームにおけるAI導入のスピードアップ[/su_highlight]や、[su_highlight background=”#fcff99″]AIの有効活用によるUX(ユーザー体験)向上[/su_highlight]を目指していきたいと考えています。

小東 祥 | AI推進部 部長
2012年新卒でDeNA入社。入社以来一貫してゲーム事業領域でのプラットフォーム/ゲームタイトル分析を担当。 分析部の部長、『逆転オセロニア』や『メギド72』など自社オリジナルゲームの運営部門の部長を経て、2019年4月よりAI推進部の部長に就任。ユーザーインテリジェンス部の部長と兼務。

社内のAI専門家を繋ぐハブとなる

――AI推進部の役割や、部内の体制など詳しく教えてください。

小東:AI推進部は[su_highlight background=”#fcff99″]部署間の「ハブ」になる役割[/su_highlight]を持っています。

そのため下図のように、社内のAI専門家(Kagglerやリサーチャーなど)と、タイトル開発チームのサポート役として、要件定義や計画立案、導入サポートなどを橋渡ししていくイメージです。

AIに関する情報を集約し、AI機能の企画から実装まで、社内各部署との架け渡しを担っている

小東:この体制を実現するためには、AI推進部内にさまざまな経験を持ったメンバーが必要となります。単純に機械学習に得意な人だけではうまくハブになることもできませんし、ビジネスだけだと、ソリューションが十分に理解できないなどの懸念が出てきます。

そのような不足点を補完するために[su_highlight background=”#fcff99″]職種混合チーム[/su_highlight]を作り、課題解決に向けてチームとして柔軟に推進していくことが大事です。タイトル開発チーム単体ではAI施策の推進がやりきれない時には、チーム外から我々というリソースを補強し、AI施策を迅速に推進できると理想ですね。

他にも、部全体の役割として、ゲームに限らずAI領域にはどのような最新技術があり、どんなユースケースがあるのかなど、幅広く知見を収集する役割も担っています。

最新知見を蓄積し、現状の各開発チームの課題に対する解決策(=技術)が判明してきたら、それを実現するための要件定義や推進をしていくのも我々の役目です。決して受け身にならず、[su_highlight background=”#fcff99″]AI推進部が起点となって、各部署と一緒に“ゲーム✕AI”の理想形を追求[/su_highlight]できればと考えています。

――ハブになるだけでなく、AIのプロフェッショナル集団でもなければいけないと?

小東:そうですね。社内のAI専門家を適切に巻き込むことが必要なので、彼らが何を得意としているのか、技術がどの分野で役立つのかを見極めるためには、我々もある一定の専門性を持たねばなりません。

ただ、AIの学術的な知見などは専門家に任せつつ、我々は対象となる技術が[su_highlight background=”#fcff99″]どのように事業価値を生み出せるのかを考え、実現に向けて推進していくことが大切[/su_highlight]だと考えています。

――各関係者をつなぐには、AI推進部のメンバーもゲームのドメイン知識など、一定の広い知識が必要になりそうですね。

小東:そうですね。取り組む領域によっても変わりますが、例えばQAの効率化ならQAの実作業、デザインのアセットをAIで動かすにはデザイナー、ゲームAIを作るならクライアントサイドの作り方を、それぞれ知らなければなりません。

すべての知識や技術をひとりでカバーするのはとても難しいので、メンバー同士で得意・不得意を補い合い、チームとして機能するようにバランス調整をしていく予定です。

――現在、開発中のプロジェクトとも連携はしているのでしょうか?

小東:はい、詳しくはお話できませんが、すでに動き始めています。DeNAでは[su_highlight background=”#fcff99″]今後も新規タイトルの開発を進めていきます[/su_highlight]ので、AI推進部の存在感をさらに発揮していきたいと考えています。

――新規タイトル開発の際には、プロデューサー陣とはどのように連携していくのでしょうか?

小東:初期の企画段階からプロデューサーとは密に連携していきます。

プロデューサーは事業責任者であり、AIを含めた施策が実現したときに、それが本当に費用対効果に見合うのか、そして望む価値が競争力につながるのかなど、さまざまな視点で状況を把握していきます。我々はそのような[su_highlight background=”#fcff99″]プロデューサーの一助になるべく、AIを軸にサポート[/su_highlight]できればと思います。

もちろん新規タイトル・運用中タイトル問わず、「面白いからやってみよう!」というスピード感のある取り組みも存在しますが、AI導入時は費用やリソース、開発期間も大幅に必要になるため、事前にプロデューサーと期待値を含めて入念にすり合わせをしています。

その後、マーケターやディレクター、プランナー、デザイナー、エンジニアなど、開発フェーズに応じて、各職種との連携も進めていきます。特にゲーム内にAI機能を組み込む場合には、プレイヤーへの伝わり方などについて、プロデューサーをはじめとした開発メンバーとも密に連携します。

武器商人のような支援部門に

――同じく新設された「ユーザーインテリジェンス部」と目的が似ている部分も多い印象ですね。

小東:そうですね。開発チームに対して、足りない視点を補ったり、蓄積している知見を横展開する、という側面は似ていると思いますね。

AI関連の技術を扱うのがAI推進部で、マーケティングリサーチなどで分析する強みを持つのが、ユーザーインテリジェンス部です。お互い持つ武器が違うだけで、目的とするミッションはほとんど変わらないと思っています。

ヒットの確率を1%でも高く!ゲームの“面白さ”を科学する、DeNAの新たな挑戦【ユーザーインテリジェンス部 小東祥】

――プロデューサー陣にとっては、心強い武器になっていきそうですね。

小東:そうなってくれたら、嬉しいですね。RPGで例えると、僕らは勇者に強い武器を与える「武器職人」のような役割だと思っています。ドラゴンに勝つにはこの武器がオススメ!みたいな(笑)。

――ちなみに内製や協業など、開発体制の違いによって動き方はどう変わるんでしょうか?

小東:意思決定や推進においては、関連する人間が多ければ多いほど複雑になります。特に協業や複数のパートナー会社様と開発を進める場合は、お互いの担当範囲などもあるので、推進していく難易度は上がると思われます。

ただ、最終的な目的は変わらないはずですので、そこはうまく[su_highlight background=”#fcff99″]AI推進部がリード[/su_highlight]できればと考えています。

――知見やユースケースを蓄積していけば、新規IPの獲得もできるかもしれませんね。

小東:我々がAIによって構造的な強みを作り、それが業界における優位性となる。その結果として[su_highlight background=”#fcff99″]新規IP獲得に繋がる、という流れは理想[/su_highlight]ですね。

DeNAという会社自体では「AI」に強みがあると認知いただけている方も多いと思いますが、“ゲーム✕AI”も世間にもっと認知されていけば、他のIPホルダー様もDeNAを魅力あるパートナーとして注目してくれるかもしれません。

【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた

そして結果的に我々が目指す「AIを活用して構造的強みを構築する」の実現(パブリッシャー戦略への貢献)にもつながると思っています。

――他社でAI推進部のような機能を持つ部門はあるのでしょうか?

佐藤勝彦(以下、佐藤:ゲーム業界の国内企業ではほとんど聞かないですね。

AI研究が活発な会社は数社あると個人的に認識していますが、R&Dとタイトルの内部をつないで有機的に推進する部署というのは、[su_highlight background=”#fcff99″]おそらくDeNAがはじめて[/su_highlight]だと思います。

小東:AIリサーチ部門に関しては各社でも展開していますが、それをきちんと事業に落とし込むには、推進部のような部署が必要だと思います。他社ではちょうど着手しはじめたくらいかもしれませんね。

佐藤 勝彦
フロムソフトウェア、CygamesResearch、ドリコムを経て、2019年7月にDeNAに入社。ゲームxAIを軸足に、タイトルの開発運用と技術研究に従事。エンジニア・リサーチャー・企画・ディレクターと職域を広げながら、知見共有や、タイトル・R&D部署間のシナジーの向上に注力。

<講演歴>
『ShadowverseのゲームデザインにおけるAIの活用事例、 及び、モバイルTCGのための高速柔軟な思考エンジンについて』(CEDEC2016)

十人十色の強み

――AI推進部にはどんな経歴・スキルをもったメンバーがいるのでしょうか?

佐藤:私は今年7月に入社したばかりですが、[su_highlight background=”#fcff99″]何らかの専門性を持った方がすごく多い印象[/su_highlight]があります。河合さんもそうですが、横断組織として、タイトルや各部署に寄り添ってシナジーを高められるよう、豊富な経験を持ったメンバーが集まっていると感じています。

――河合さんは、部発足時のメンバーだと事前に聞いていますが。

河合安甲子(以下、河合:そうですね。私はもともと社内の開発基盤部に所属していたのですが、個人的にAIに興味があって、AIに関するセミナーに足を運んだりなど、独学で勉強していました。

当時の上長に「AI研究者がゲーム開発チームと直接連携するのは大変なので、その橋渡しをできる人が必要かもしれません」と話したタイミングで、AI推進部を立ち上げることを聞かされました。

河合 安甲子
コンシューマ向けゲーム開発/ゲームエンジン開発に携わり、2017年にDeNAに入社。ゲーム基盤部に配属された後、AI推進部に異動。

小東:あの時はかなりタイムリーでしたね(笑)。

――河合さんはすでに、このような機能を持つ部署は必要だと感じていたのですか?

河合:はい。当時は関係者ではなかったため、遠目でしか見ていなかったのですが、現場の大変さは感じていました。(設立について)急いで小東さんに話を聞きに行きましたよ。

小東:河合さんがAI推進部の一番最初のメンバーなんです。

河合:小東さんと2人からのスタートでしたね。今はメンバーは増えていますが(笑)。

小東:河合さんは、ゲーム開発におけるスキルや知識などを持っていることが強みなんです。ゲーム開発にAIを組み込んでいくことが、AI推進部のコアな目的ですので、[su_highlight background=”#fcff99″]ゲーム開発のことを理解していることは重要[/su_highlight]ですからね。

さらに、今まで自分が経験したことがない領域にも、積極的にキャッチアップしてくれますし、開発チームのエンジニアと連携して、着実に実装へと進めてくれるので本当に助かっています。

――ちなみに佐藤さんは2019年7月に入社されましたが、どのような経緯でAI推進部にジョインしたのでしょうか?

佐藤:私はもともとコンシューマゲームの開発会社で、ゲームエンジンの開発や技術研究、タイトルのAI実装などを手がけるエンジニアからキャリアをスタートしました。その後も、研究部署とタイトル開発の双方をまたいだ「ゲームAIのリサーチャー」として活動する中で、いろいろな課題を目の当たりにしてきたんです。

――いろいろな課題とは?

佐藤:冒頭で小東さんが話していたような、立場や目線の食い違いによるトラブルや、場合によってはプロジェクトが途中で消えてしまうなどの課題を見てきました。そこで[su_highlight background=”#fcff99″]「横断的な目線でゲームとAIに触れる人材がいれば、プロジェクトは進みやすくなるのでは?」[/su_highlight]と感じていました。

それからは、企画やディレクターとしてゲーム業界で職域を広げながら、橋渡しになれるような役割を模索していたときに、小東さんからDeNAでAIの横断推進に注力することを聞いて、「これは乗るっきゃない!」と共感して入社を決めました。

小東:佐藤さんのスゴいところは、経験に裏付けされた「引き出しの多さ」です。さらに引き出したものをうまくデリバリーする気遣いも細かいですね。

彼はエンジニアからキャリアスタートして企画やAI推進、PM的な動きもしてきました。業務を多角的に見てきているからこそ、AIの活用方法や、AI導入時にトラブルが発生しやすい箇所などを嗅ぎ分ける能力も持っていると感じたので、私が熱烈に口説いて入社してもらいました。

それに一般的に分析者って、比較的堅苦しかったり、データばかり見ていて話しかけづらいイメージがあると思うのですが、佐藤さんは物腰柔らかで、しっかり物事を前に進めるコミュニケーションができる人ですね。


AI推進部の人員体制。多彩な知見を持つメンバーで構成されている。

(社内資料より抜粋)

――そのような経緯があったんですね。ちなみに佐藤さん、河合さんは入社前にDeNAという会社を外から見てどんな印象でしたか?

佐藤:最近ではゲーム業界を含めて、「CEDEC2019」の公開セッションを見てもわかるように、AIに関して実際のデリバリーを意識した取り組みが、各社で増え続けています。

【CEDEC2019】DeNAゲーム事業部関連のセッション内容をチェック

その中でもDeNAは特にモバイルの領域において0→1の先行事例をいち早く発表しています。課題解決の苦労を経験した上で、[su_highlight background=”#fcff99″]1→100にスケーリングするためにはどうしたら良いか[/su_highlight]という目線での取り組みを推進されていて、良い意味で異色な会社だと感じました。

河合:私も丁寧にゲーム運営している部分は、外部から見ても感じていましたね。

佐藤:分析に真摯に向かい合っている姿勢もすごく感じていました。

分析の本質は、数字とにらめっこすることにあるわけではなく、サービスに関わる方々やプレイヤーにとって価値ある時間をより高めていくにはどうすればいいか、[su_highlight background=”#fcff99″]割と生々しい部分に真剣に向き合う必要がある[/su_highlight]と思っています。

『逆転オセロニア』や『メギド72』の立ち上がり時から改善を重ねて、どんどん愛されるサービスに変わっていった過程を、外から見ていても非常に感銘を受けましたし、分析に強みを持った会社だからこそ、再現性やスケーリングが実現できているのかな、と感じていました。

【DeNA分析部特集Vol.1】『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?

【DeNA分析部特集Vol.5(前編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜分析の高度化に向けた次のチャレンジとは〜

――プロジェクトに寄り添うことで、提案をし合ったり、他の部署と横断して施策を考えることもできますよね。

佐藤:部署・職種を問わず皆さん本当に多くの知見を持っているので、仲立ちを通じて、色んなアイディアに触れられるのは非常に刺激的ですね。

相談にも真摯にも乗っていただけますし、「このようなユースケースで技術を使えないか?」「この部分を改善できるともっと開発が楽になる、 サービスの改善・開拓に繋がるのでは?」といった提案も数多くいただけます。

佐藤:それにDeNAの特徴的なところは、ゴールベースで話をする、[su_highlight background=”#fcff99″]コトに向かう目線[/su_highlight]があります。目線が揃っているので部署の壁も感じませんし、相談もしやすいですね。

実際にサーベイするときに分析部のメンバーと一緒に取り組めたり、アイデアが上がってから検討が始まるまでもタイムラグが本当に少ないです。小東さんに相談すると「すぐ検討しちゃってください!」って快諾してくれます(笑)。

河合:NOと言われたことはほとんどないです!とても動きやすいですね。

小東:褒められると、ちょっと照れますね……(笑)。

個のチカラを活かした推進力

――少し話は逸れますが、佐藤さんと河合さんのお互いの印象などを教えてください。

小東:おっ、それは聞いたことないかも……(笑)。

河合:私はもともと開発基盤部に所属していました。前職もゲームエンジンを手がける部署でしたので、AIについては正直まだまだ勉強中の身です。

AIに関しての一般的なセオリーについては、この部署で佐藤さんに教えてもらうことが多いですし、目指すべきプロセスが明確に可視化された気がします。

もちろんみんな実現したいことは描けるんですが、AI導入のメリットや意図、手順を開発側に伝えたり、地道に布教していくことを教えてくれたのも佐藤さんです。自分の作業も含めて、進む方向がすごくクリアになった感じです。

佐藤:ありがとうございます……(照)。河合さんは、エンジニアとして並外れた実力を持っているのは当然なんですが、それ以上に話しやすく、いろんな人をコミュニケーションで結ぶ「足」がめちゃくちゃ速いと感じています。巻き込みたい人に対して、次の日にはランチの予定が組まれているのは驚きです(笑)。

また、人柄が柔らかく、相手の目線に寄り添って話をするので、ミーティングでも全体の雰囲気が和やかになりやすいんです。しかもエンジニアとして課題感の理解も早く、タイトルの経験も多いので、河合さんがいるととにかく話が早くなります。

河合:そんな風に言っていただけるなんて……ありがとうございます。もっと頑張ります……!

“ゲーム✕AI”とQAのさらなる可能性

――それでは最後に、AI推進部の今後の取り組みなどについて教えてください。

小東:『逆転オセロニア』のように直接ゲーム内のAIがプレイヤーに触れられて、UX(ユーザー体験)を向上させていくような機能を作っていくのが、ゲーム開発において一番コアな部分です。AI推進部としても、このような事例を数多く生み出していけるように注力していきたいですね。

もうひとつは[su_highlight background=”#fcff99″]QA(品質保証)[/su_highlight]です。

世の中のAI活用はコストカット目的の側面が強く、QAはそれを担うイメージが強いですが、開発メンバーが膨大な時間を費やしているバグチェックや修正などをAIが肩代わりできれば、空いた工数をゲームの面白さを考える時間に当てられると思っています。

それが実現すれば、UX(ユーザー体験)もよりリッチになっていく可能性があるので、QAに関しても今後は注力していきたいですね。

課題点については、まだメンバーが少ないので、同じように動けるメンバーが増えてくれると嬉しいですね。その中でもデリバリーを担う、クライアントエンジニアが増えてくれると助かります。

特にエンジニアリングの部分は、ゲームタイトルごとの開発環境や使用ツールなどを把握して推進するのはとても大変ですし、施策を増やす上でボトルネックになる部分だと感じています。

――9月に開催された「Unite Tokyo 2019」にてシステム本部のSWET(Software Engineer in Test)グループとも連携するセッションが公開されていましたが?

小東:そうなんです。あの施策はAI推進部が旗振りをしており、QAの領域に注力していく中で、SWETのような専門家やタイトルの開発メンバーを巻き込んで進んでいったひとつの事例になります。今後はあのような取り組みをどんどん増やしていこうと思っています。

【Unite Tokyo 2019】「Unity Test Runnerを活用して内部品質を向上しよう」セッションレポート

――ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:齋藤暁経

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

ヒットの確率を1%でも高く!ゲームの“面白さ”を科学する、DeNAの新たな挑戦【ユーザーインテリジェンス部 小東祥】

DeNAゲーム事業部に新設されたユーザーインテリジェンス部では、新規タイトルの開発やマーケティング方針に対する「意思決定精度の向上」と、ゲーム体験における「改善点の示唆だし」をミッションとして掲げています。今回、ユーザーインテリジェンス部の部長を務める小東に、現在の主な業務内容や今後のチャレンジなど、今期にかけるさまざまな想いをインタビューしました。

ゲーム事業部の羅針盤となる存在へ

――まず最初に、ユーザーインテリジェンス部が発足した経緯から教えてください。

DeNAのゲーム事業は、今後大型IPを中心とした開発戦略を掲げており、国内市場におけるNo.1および、世界有数の「パブリッシャー」になることを目指しています。

「パブリッシャー」としての役割は多岐に渡りますが、ゲーム開発会社様、アプリストアを提供するプラットフォーマー様、IPを所有する版元様など、多くのステークホルダーの方々にとって、DeNAがパートナーシップを組むべき魅力的な企業になり、より多くの良質なゲームタイトルを世界中のプレイヤーに提供していきたいと考えています。

そして今後もDeNAでは数々の新規タイトルのリリースを見込んでいますが、昨今のモバイルアプリゲーム市場では、良質なゲームが市場に溢れかえっており、プレイヤーからの要求水準も上がり続けていると感じます。

DeNAの会社の資源も体力も無限ではありませんので、いかに有望な企画を徹底的に磨き続け、万全の品質でリリースし、適切にマーケティングを行ってプレイヤーに届けるかが大切であると考えています。そして、その一連の流れを支援するミッションを担って誕生したのが、ユーザーインテリジェンス部です。ちなみに社内では略して「ユザイン部」って呼ばれています(笑)。

小東祥(こひがし しょう)| ユーザーインテリジェンス部 部長 
2012年新卒でDeNA入社。入社以来一貫してゲーム事業領域でのプラットフォーム/ゲームタイトル分析を担当。 分析部の部長、『逆転オセロニア』や『メギド72』など自社オリジナルゲームの運営部門の部長を経て、2019年4月よりユーザーインテリジェンス部とAI推進部の部長に就任。

――新規タイトルのヒットに、部としてコミットしていくのでしょうか?

はい。主なミッションとしては、新規タイトルの開発やマーケティング方針に対する「意思決定精度の向上」と、ゲーム体験における「改善点の示唆だし」の2つを掲げています。意思決定や改善の精度を高める事で、私たちは新規タイトルのヒットに資する組織になっていきたいと考えています。

――リリース前から万全な分析やリサーチを行っていくのですね。

はい。今後もDeNAでは数多くのゲームや、周辺事業への展開を含む事業企画を立ち上げていきますが、一つひとつの事業規模も拡大しています。

そのため、それぞれの企画が狙う市場の明確化や競合/市場規模の把握、企画/コンセプトのプレイヤーへの受容性の把握など、創出しうる事業インパクトを可能な限り見極めて開発を開始したうえで、さらにプロダクトやマーケティング品質を最大限に高めきった状態でリリースして、ようやくスタートラインに立てるような状態だと思います。

だからこそ、まずは市場の中で「良質なタイトルとは何か」を分析・リサーチし、リリース前から品質を徹底的に磨き、プレイヤーの期待を超えていくレベルまで持ち上げていくかがカギになっていきます。

今後はグローバル展開も積極的に行っていくため、各国のさまざまな遊び方をするプレイヤーのゲームに対する評価や感想などを分析して集めて、開発に生かしていきたいですね。

そしてユーザーインテリジェンス部の動きによって、DeNAが世界中のプレイヤーやステークホルダーから支持される「パブリッシャー」へと成長していくのが大きな目標です。

――社内からの期待も大きそうですね!

そう感じています。仮に品質が良くないタイトルを世の中に出してしまうと、自分たちのブランドが傷つくだけでなく、せっかく手に取って遊んでくれたプレイヤーをがっかりさせてしまいます。それではプレイヤーに無駄な時間を浪費させてしまいますし、そのような事態は絶対に避けなければなりません。

将来的に「DeNAのゲームは全体的に品質が高い」「安心して長く遊び続けることができる」というような認知をされるブランディングへと結びつけていきたいですね。

――他社でもユーザーインテリジェンス部のように、専門組織を設置しているケースがあるのでしょうか?

海外の代表的なコンシューマゲーム会社では、ユーザーリサーチャーやUXリサーチャーを含めて、数十~数百人規模の組織が設置されている例もあります。特に据え置き機のプラットフォームを展開する会社さんは、さまざまな開発会社とやり取りする中で、専門組織がプレイヤーの生の声など分析・調査した結果をもとに、製品開発のヒントを共有・提供しているとのことです。

昨今のモバイルアプリゲーム市場でも、開発からパブリッシュまでの全工程を単一の会社で担うことが難しくなってきています。そこでプレイヤーの分析・調査を実施する我々のような専門部隊が、パートナー企業様に対して「DeNAと組めば、きちんとプレイヤーの声を聞いて製品開発のヒントを提供してくれて、ヒットに繋げる事ができる!」といった魅力的な価値も産み出していきたいと考えています。

分析のエキスパートが集い、未来を確実なものへ

――では、ユーザーインテリジェンス部の具体的な業務内容を教えてください。

ユーザーインテリジェンス部は、「意思決定精度の向上」と「改善点の示唆だし」がミッションということは既にお伝えしました。

そのため、意思決定や改善の示唆だしに資する情報を戦略的に集め、分析し、意思決定者(事業部長やプロデューサー)に提供する事をメインに活動しています。具体的には、市場の有力/競合タイトルの分析・調査や、新規タイトル/コンセプトの市場規模調査など、一連のマーケティングリサーチ業務を実施しています。

これらの取り組みを進める上で、当然といえば当然なのですが、ゲームが最終的にプレイヤーにどう受け取られるのかについては、[su_highlight background=”#fcff99″]プレイヤーの評価が最も重要なポイント[/su_highlight]になると考えています。

ーーマーケティングリサーチ業務には、プレイヤーへのインタビューなども含まれるのでしょうか?

はい、定性的な声を聞くためにも、インタビューの分析は重要です。そのため、ユーザーインテリジェンス部のメンバーはほとんどが分析部との兼務や、異動してきたメンバーで構成されているんです。

理由としては、マーケティングリサーチを活用してゲームタイトルの課題を発見し、改善に導くような機能は既に分析部で保有しているためです。私自身も2012年の入社後からゲーム事業の分析に関わり続け、分析部の部長として、分析を活用した事業価値の創造に取り組んできました。

https://genom.dena.com/other/analysis_department2019_a/

ーーすでにノウハウなどは十分にあるのですね!

はい、分析部が持っている運用タイトルにおける分析・調査機能は維持しつつも、新規タイトル開発における「意思決定精度の向上」という新たなミッションを担って始動したという事になります。

――では、部内のチーム体制について教えてください。

現在、チームは2つあり、競合タイトルやアプリ市場全体を分析する「市場分析チーム」と、マーケティングリサーチの手法を活用して企画内容の検証を実施する「リサーチチーム」になります。

「市場分析チーム」はゲームやエンタメ分野に対して幅広い知見を持ちながら、競合や市場を分析することに強みを持っており、最新の状況をスピーディーに理解することが得意なメンバーが揃っています。

「リサーチチーム」は、調査や統計、データ分析に対する知見や強みを持つメンバーが多く、分析・調査を駆使してゲームを改善していくことにコミットしたいと考えている人が多いですね。

――メンバーにはさまざまなバックグラウンドを持つ人も多いと聞きましたが?

調査会社出身のメンバーも多いですが、コンシューマゲーム会社の営業や、漫画家といった経歴を持つ人もいるんですよ。このように多種多様なバックグラウンドを持つ人の知見が集まることで、新たなアイデアが生まれるようなチーミングを心がけています。

最近では「ユーザーインテリジェンス部の業務に興味があるんです!」と社内外から声をかけてくれる人もいて、その際にはいろいろ相談させてもらっています。新設の部なので、門戸はかなり広く開いていますよ。

月次定例MTGの風景

――ここまでは、市場やプレイヤーを対象とした調査・分析をメインにお聞きしましたが、社内の他部署とはどのように連携しているのでしょうか?

まず前提として、実際にゲームが事業として成功するかどうかを見極めるうえで、市場規模やマネタイズ、さらにゲームサイクルやインゲーム/アウトゲーム、世界観、グラフィック、プロモーション、コミュニティなど、さまざまな観点があります。そして、これらをすべて高いレベルで実現していかないと、市場が求めるクオリティには到達しないと考えています。

そのため、ゲーム開発の初期フェーズにおいては、このようなすべての要素を、プレイヤーの意見だけで評価するのは難しいため、社内の「熟練の開発者の意見」を、意思決定の参考材料とする仕組み化にも取り組んでいます。

ユーザーインテリジェンス部が各部門のハブとなって、プロデューサー/ディレクター、マーケター、デザイナーなど、さまざまな領域のスペシャリストが培ってきた専門性をもとに意思決定の参考材料を提供する事で、事業部長やプロデューサーの意思決定精度を向上させるのが狙いです。

――さまざまな「熟練の開発者の意見」をまとめることは大変そうですね……。

そうですね(笑)。熟練の開発者の知見を誤解なく理解するために、その分野の知識を一定身につける必要がありますし、熟練の方からより有効な意見を引き出すために、コミュニケーションの方法論やアンケート設問設計など、どこまでも高みを目指せる分、大変です。

例えば「面白い」という言葉一つとっても、非常に主観的で人によって想定している感情は違ったりする事はよくありますよね。そのような場合は、例示を挙げて適切に意図を確かめたりなど、元々の意図を損わないように工夫しています。

建設的な議論で、新規タイトルの成功をサポート

――この部の活躍で、社内では今後どのような影響が出ると考えていますか?

これまで話してきたように、例えば新規タイトルへの投資に関する意思決定を行う際に、ユーザーインテリジェンス部は「意思決定精度の向上」を目的として、市場調査などをもとにした事業規模の試算を行い、意思決定者(事業部長やプロデューサー)に提供します。

その際には、ポジティブな内容もネガティブな内容もフラットにお伝えする事になります。ストレートに言うと、その結果としてプロジェクトが止まる事もありえます。

一方で、開発チームは自分たちのゲームは一番面白いし、絶対に成功すると信じていますので、彼らにとって我々のような組織は、ともすれば煙たがられる存在になりかねないと思うんです。

ですが、DeNAには「コトに向かう」「発言責任」など、デライトにまっすぐに向かうチームであるためのDeNA Quality(※1)という行動規範があります。

※1……DeNA Quality:チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するために掲げられた、全社員に必要な共通の姿勢や意識(「こと」に向かう・全力コミット・2ランクアップ・透明性・発言責任)

開発チームの意図通りにプロジェクトが前進することはもちろん大事ですが、ゲームがプレイヤーにどう届いているのか、楽しんでくれているのかなど、客観的に把握して前に進んでいかないと、DeNAが大事にしているデライトの提供が実現できないと思っています。

ですので、仮にある開発中の新規タイトルが、その時点でのプレイヤーからの評価が悪い場合には、どうすれば成功確度が高くなるのかを分析し、その実現可能性も踏まえて意思決定する事が重要だと思っています。そうすることで、開発チームから煙たがられず、逆に頼られるようになると思っています。

ーー課題を明らかにすることが重要なのですね。

はい、「我々がこう言ったので、PJを止めることにします」など思考停止した意思決定をしてしまうのは本末転倒です。ユーザーインテリジェンス部の活動を通じて生み出したい状態としては、ゲームタイトルに対して「見極めの質を高く」しつつ、「見極めの通過率も高く」する。そして「徹底的に品質を高めてリリースする」という状態です。

ーー開発チームと一丸となって、成功を目指していく姿勢が大事だと?

そうです。我々は第三者機関ではないので、「見極めてハイ終わり!」ではなく、開発チーム含めた”チームDeNA”として事業の成功にコミットする事が重要だと思っています。

社内の大きな関門部隊になるのではなく、例えば仮に見極め時のゲームの評価が悪かったとしても、一度やると決めた事に対しては、成功確率を1%でも高めるためにコミットするという事も「コトに向かう」だと思っています。ユーザーインテリジェンス部が「見極め」だけでなく「改善」というミッションも持っている事がその表れです。

――開発チーム側からはどんなタイミングで、どのような要望が入ってくるんですか?

さまざまですね。要望の中には本当にPJ初期の構想段階だと、「このIPのこういうジャンルのゲームは、どれくらいグローバル市場でニーズがありそうか?」みたいなざっくりとした市場の規模感試算依頼があったり、開発が進んでいくとゲームコンセプトに対する需要性調査やゲームシステム関連の課題抽出、、マーケティング領域ならストアアイコンのデザイン選択やテレビCMの訴求内容など、意思決定者が意思決定に悩んだタイミングで要望を受けます。

もちろん、その要望にはお答えしつつも、ユーザーインテリジェンス部のメンバーは開発チームに入り込んでいるので、こちらから「こういう調査を実施して、課題を明らかにして、改善の方向性を決めましょう」と提案を行う事も多くありますし、どれだけ能動的なアクションができるかが私たちのバリューだと思っています。

――多様な要望や課題に対して、ユーザーインテリジェンス部のスペシャリストがアサインされていくんですね。

それが大事ですね。IPを利用した要望ならそのIPに詳しいメンバーを、テレビCMならマーケティング領域に強いメンバーなど、要望に合わせて細かく考えてアサインしています。

また、社内だけでなくパートナー会社の方からも要望が来る場合もあります。例えばインタビューの場合であれば、実際にインタビューした様子を動画収録して、後日開発メンバーに見てもらったり、場合によってはインタビュー当日に同席してもらったりしています。もちろん、プレイヤーへの聞き方などは、我々が専門性を持って取り組んでいきます。

同席した開発者は「ここでプレイヤーがつまづくんだ……!」「この意見をすぐ開発に生かしたい!」と喜んでくれることも多いです。また、DeNAはパートナー会社と組んで開発するゲームも多いので、なるべく多くのステークホルダーに共有するようにもしています。

最新テクノロジーをも導入する、学術的なアプローチ

――これからどのようなチャレンジをしていくのでしょうか?

ゲーム領域に関わらず、マーケティングリサーチは各業界ですでに広く取り組まれています。一方で、DeNAは前述した分析部を中心に、プレイヤーの行動ログの分析やAI・機械学習の活用も進んでいるので、それらを組み合わせる事で、あらゆる角度から分析が可能になっているのは強みだと思います。

――分析の方法論はたくさんありそうですね。

はい、ただそれぞれの「分析手法の限界」を知る事は重要だと思っています。

例えば行動ログの分析だと、人間の行動を精緻に把握する事は得意ですが、行動の裏にある意識を把握する事はできません。一般的なアンケートやインタビューのような手法だと、人間の顕在化された意識を把握することは得意ですが、まだ自分自身も気付いていないような潜在意識を掘り起こすのは難しいものです。

我々はプレイヤーの”面白い”という非常に主観的で言語化の難しい感情を解き明かそうとしており、しかも新規タイトルの場合は既に顕在化している”面白さ”をただ満たす事だけではなく、潜在的なニーズを満たす事まで求められます。これってものすごく難易度の高いチャレンジングな事だと思っていて(笑)。

そのための技術や理論は世界中で今まさに発展中だと思っていて、心理学や認知心理学、表情認識や血流など生体反応の検出・分析など、時にはデバイスの開発会社と組んで、実験的に新しいアカデミックなテクノロジーを取り入れたりもしながら、人間の潜在的な感情を掘り起こすチャレンジをしています。

――科学的にも、面白さを研究していくのですね!

他にも、プレイヤーをただ評価を問う対象と捉えるだけでなく、ゲームの熱狂的なフォロワーとして開発に参加していただくような「共創マーケティング」の可能性もあると思います。

DeNAは事業会社なので、見極めや調査という枠を超えて、事業で付加価値を創出するためのアイデアは積極的にトライしていきたいですし、中長期的にはそれ自体が「パブリッシャー」としての価値になっていくと思っています。

――今後は増員を図っていくと思いますが、この部ではどんな人が活躍できる環境ですか?

ユーザーインテリジェンス部で活躍できる人としては、「ゲームやエンタメなどのコンテンツの魅力を言語化してヒットに導きたい」「人間の”面白い”と思う感情ってどうなっているんだろう?」といった、コンテンツや人間への科学的な興味がある人はかなり向いていると思います。

ゲームという複雑な要素を持ったコンテンツを見極めるためには、要素の見方やプレイヤーの潜在的な意識と感情を解明することが大事になりますので、そこにワクワクしながら一緒に挑戦してくれると嬉しいですね。

逆に、明確な答えが見えない状態がモヤモヤする、ちゃんと答えが欲しいという方には合わないかもしれません。新設されたばかりで、業務が固まりきっていない今だからこそ、体験できるカオスさもありますので(笑)。

――最後に余談ですが、部のネーミングはどのように決まったのでしょうか?

メンバーからの公募で決めました。日本ではゲーム領域に関して、このような役割を持つチームがあまりなく、参考にできる名前がありませんでした(笑)。そこでチームメンバーに相談したところ、たくさんの候補が挙がってきたんです。

最終的に、自分たちが担う役割がきちんと反映している名前がいいな、と思い「ユーザーインテリジェンス部」に決めました。

ちなみに「ビジネスインテリジェンス」という言葉は一般的に知られており、ビジネス上の意思決定の精度を上げるための情報の可視化や、ツール提供を意味していたので、最初は「ビジネスインテリジェンス部」にしようと考えたんですが、ちょっと実態とイメージが異なるかなと思って(笑)。

そこで少し趣向を変えて、意思決定の支援を「プレイヤーの声や反応」に強く着目していることを考え、ビジネスではなくユーザーという言葉を使うことにしました。

――ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:栗原美穂

※本記事は2019年9月時点の情報です。

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DeNAのビジネスプロデューサーは信念と熱量で勝負! ブラウザゲームの開発経験が活きる理由とは

『逆転オセロニア』とマクドナルド様のコラボレーションなど、数々の新しい驚きと楽しさを生み出したビジネスプロデューサー大沼諒昌。誰もが驚くような組み合わせで、新たなエンタメを生み出すビジネスプロデューサーの仕事とは、一体どのようなものなのでしょうか。GeNOM編集部が紐解いていきます。

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大沼 諒昌 | Ryosuke Onuma

2012年DeNA新卒入社。ブラウザゲームのプランナーからスタートし、大型IPタイトルのプロデューサーなどを経て、『逆転オセロニア』のビジネスプロデューサーに就任。数々の大手企業とのコラボレーションを手がけてきた豊富な実績を持つ。現在はeスポーツ事業に従事。特技はマジック。[/su_note]

ビジネスプロデューサーとは

――「ビジネスプロデューサー」という職能は業界の中でも珍しいと思います。まずはビジネスプロデューサーの役割を教えてください。

一言で分かりやすくお伝えすると、ゲーム内のイベントやリアルイベントで、異業種の企業様との「コラボ」や「イベント」を企画し、実現させていく仕事です。

具体的な流れとしては、まずは企画全体の青写真を描いて、社内外のステークホルダーに相談し始めます。そこから、プレイヤーの体験や関係者のメリットを考えつつ、周囲のメンバーを熱量高く巻き込んでいき、あらゆる課題を乗り越えながら企画を実現する。これが私の考えるビジネスプロデューサー像です。

そのため、常日頃からゲームと企業、企業と企業、ゲームとサービスなど「何と何を結びつけて、どんなものを生み、どんな人に向けて提供すると面白いか? 」など妄想をしたりもしています。

――仕事を進める上で、特に大変だと思うことは何ですか? 

ビジネスプロデューサーの仕事は、コラボによって誰も見たことがない価値(=楽しさ)を生み出すことで、それによってプレイヤーや関係各社が喜んでくれることを目指しています。

常に未知の企画を生み出していくことになるので、実現に向けての進め方など一切正解はありません。それに加えて、企画から実現まで思ったように進むこともありません。前例のないことばかりなので、どこで何が起きるのか分からず、いつも大変ですね(笑)。

でも、そういう状況の中でも、前のめりに「これが実現したい! 」という情熱を絶やさないことを大事にしています。実現することが目的ではないですが、やったほうが良いと考えた以上は、ピンチをチャンスに切り替えながら、実現してしまうような情熱的な人が、ビジネスプロデューサーに向いているタイプかもしれませんね。

――企画力も大事ですが、さらにそれを実現させていく「情熱」も大事なのですね。

はい。さらに実現に向けては、その情熱とともに、事業としていかに成功させるかというビジネス的なジャッジもしていきます。数々の意思決定をする必要もありますし、このあたりは世界観や理想の体験を描いて企画を実現させていく、過去のブラウザゲームのプロデューサー経験が活きていると思います。

コラボ企画実現の舞台裏

――『逆転オセロニア』3周年(2019年2月)で開催されたマクドナルド様とのコラボは印象深い企画でした。このときの立案のきっかけや、印象に残っている出来事を教えてください。

2018年に開催した2周年のときにもマクドナルドさんとはコラボさせていただいていて、今回のコラボのキッカケは、そのときにさかのぼります。

当時、いろいろな経緯から是非マクドナルドさんとコラボさせていただきたい、と思うに至った際、まだまだ『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)は日本で一番プレイされているゲームとは言えないため、先方にとって『オセロニア』と組むメリットを提供できます! と、胸を張って言える企画を設計するのに苦労しました。

そこで着目したのが、『オセロニア』は、リアルイベントに家族連れでも安心して遊べたり、対戦で負けた人も笑顔で帰れるようなアットホームな雰囲気が支持されている点。そのほか、友達と一緒に対戦したり、情報交換したりできるゲーム性も相まって、私個人としてもマクドナルドで集まって『オセロニア』で遊ぶ、といったイメージが持ちやすかったんです。

2019年2月2日に開催された3周年記念リアルイベント「オセロニアンの祭典」の様子

そこで、目指しているコンセプトやアプリのダウンロード数だけでなく「マクドナルドさんと一緒に夢を描きたい」とご相談させていただいたところ、先方の担当者様が尽力してくださったのもあって、コラボが実現できました。その過程には、実にいろいろなドラマがあったのですが、最終的には大きな成功になったと思います。

そして今回は3周年ということで、マクドナルドさんともう一度コラボしたいとご相談させていただいたところ、すぐにご担当者様と顔を突き合わせて、企画を詰める機会をいただけました。

――なるほど、昨年の実績が今年の実現につながったのですね。コラボイベントを企画する際に、何かコツはあるのでしょうか? 

まずは、ペルソナ(人物像)やユーザー体験を徹底的に細部まで想像・設計することです。

2周年の時のコラボ企画の話になりますが、そのときは「俺たちオセロニア部」というコンセプトをまず決めました。クラスで仲の良いグループの中で一人『オセロニア』をやっている男子高校生を想像してペルソナに設定したんです。ピンポイントですよね(笑)。

その男子高校生は普段から「みんなも『オセロニア』やってほしいな」と思っていて、以前『オセロニア』に誘ったものの友達はダウンロードしてちょっと遊んだだけで離脱してしまった、という状態なんです。

独自コンテンツや限定キャラクターが登場した、3周年コラボ時のゲーム内画面

そんな中、実施したコラボを利用して「今プレイしたらセットが割引になるって! もっと遊ぶとハンバーガーが無料でもらえるぞ! 」みたいな、友達を再度誘うきっかけになるようなネタをたくさん提供しようと考えました。あわせて、有名YouTuberが出演するCMを見て「もしかして昨日CMでやってたアレ? 」みたいに話題にもなりやすいかな、と考えました。

そんな風に誘われた友達が、実際にゲームをやってもストレスなくランクを上げたり、所持していないキャラクターもお試しで使える強いデッキで遊べるように、まずはゲームをサクサク楽しんでもらうような施策も組み込んでいったんです。

実は悩んでいた新卒時代

――企業コラボなど、新たな企画を生み出すことに苦労されていた経緯もありますが、全体的には順調にキャリアを積まれている印象があります。

いえいえ、そんなことはありません。2012年に新卒入社して、1年目は新規のブラウザゲームの開発プランナーになりましたが、恥ずかしながらノーバリューでそのプロジェクトを卒業しました。当時は、毎日大量のインプットを受けて、わかっているつもりだけどわかってない! みたいな未熟者でした。今でこそ笑い話ですが、当時はとても悔しかったのを覚えてます(笑)。

その後、2年目以降はいくつかのブラウザゲームプランナーを担当しました。運用プロジェクトに途中から参加する際には、そこでは意見を言い合いつつ、信頼関係を築きながらタイトルに貢献していくことを学びました。

それから入社6年目くらいまで、ブラウザゲームの大型IPタイトルにプロデューサーとして関わらせていただき、仲間の支援も盛大に受けながらではありますが、このタイトルを好調に運用できたことは、現在の自信にもつながっています。

悩んで、そして徹底的に考え抜く

――時期が前後しますが、ビジネスプロデューサーに転身したきっかけを教えてください。

若手の時期に他のプロジェクトで、現在『オセロニア』のプロデューサーのけいじぇいさん(※1)に本当にお世話になったんです。その恩返しの意味でも、彼を日本一のプロデューサーにしたいと思い、社内で募集がかかったタイミングで立候補しました。

※1…『逆転オセロニア』プロデューサー香城の愛称

――ビジネスプロデューサーになった当初は、どんな状況でしたか?

最初は「ビジネスプロデューサーの存在価値って、一体なんなんだ……」って悩んでいた時期があり、正直苦しかったのを覚えています。まわりがバリバリ仕事をこなしている中、2週間くらい進捗せず、アイデア用のノート1ページも埋まらず、何も思いつかない時期もありました。アウトプットに何が必要なのかも理解できず、一週間、ずっとゲームの動画だけを見て過ごすこともありました。

――かなり悩んだ時期があったんですね。そこからどのように気持ちを切り替えていったのでしょうか?

まずは基本に立ち戻り、『オセロニア』のプレイヤーをもっと楽しませることは何だろう、と徹底的に考えるようになりました。そのためにもプレイヤー目線に近づくため、リアルイベントも全部参加して会場でプレイヤーの熱量を肌で感じたり、ゲームもすごい勢いでプレイしたんです。はじめて最高クラスに到達できたときは、とても嬉しかったですね(笑)。

――そんな経験を通じて、先ほどのマクドナルド様との企画のように、他のプレイヤーと交流するようなイベントを実施してみようと思ったんですね。

そうですね。最終的に「もっとプレイヤーが熱狂するためには、こんなイベントが良いかもしれない」とある程度、自分のアイデアに自信を持ち始めたのが半年後くらいで、実際に開催までこぎつけたのは、さらにその半年後くらいでしたね。

ブラウザ時代の経験が、今に繋がっている

――冒頭でも少し触れていただきましたが、ブラウザゲームのプロデューサー経験はどのように活きているのでしょうか?

ブラウザゲームの魅力って、他のプレイヤーと交流するソーシャル性にあると思います。今流行っているSNSや動画配信サービスなども、すべて「人」と関係しているコンテンツですよね。

ですので、「プレイヤー同士」や「来場者同士」など、いろいろな人の組み合わせにプラスして「これを組み合わせたら、もっと盛り上がる!」と考える設計方法に、過去のブラウザゲーム開発時代に経験した「コミュニティを活性化させる」という手法が活きていると思います。

ブラウザゲームのプロデューサーは、コミュニティの形成が得意な部分が一番の武器でもありますし、その点は『オセロニア』もリアルイベントなどコミュニティを重視しているタイトルなので、親和性はとても高かったですね。

また、IPを利用したタイトルを担当していたとき、版元様がいかにそのIPを大切に扱っているかを学んだ経験は、現在の自分の下地になっています。

――開発チームとのコミュニケーションにも活きていそうですね。

そうですね! 自分が企画した施策については、社内の各セクションに作業をお願いする立場でもあるので、説明責任が常に問われます。その点においても、デザイナーやエンジニアなど開発側の目線や心情もわかっているので、相手の立場に立って施策の説明をしたり、具体的な実装の相談に乗れたりしているかなと思います。

業界での活躍の場は確実に増えている

――ブラウザゲームのプロデューサー経験もそうですが、いろいろな開発チームの中で磨き上げられてきた大沼さんのコミュニケーション能力が、ビジネスプロデューサーにも活きているように感じます。

そうですね、ビジネスプロデューサーになれる人って、ちょっと調子乗ってるような人が合っているかも知れません(笑)。冒頭でお話したこととちょっと重複しますが、「このゲームを自分が支えてやる! 」みたいに、熱量が高く、やりたいことに溢れている人のほうがいいですし、市場的にもそんな気概を持った人は貴重な存在だと思いますよ。

ただ私の場合、この仕事においてゲームプロデューサーなどの経験が役立ちましたが、「IPの取扱いには自信がある」「渉外活動なら負けない」という違った強みがある方でも、チャレンジし甲斐のある仕事だと思っています。自分の道は自分で切り拓いていく、という気概のある方でしたらチャレンジいただきたいと思っています。


 

以上、まったく新しい驚きを生み出す使命を持った、DeNAのビジネスプロデューサー大沼のインタビューでした。

これからも、強い信念とコミュニケーション能力の高さ、何より人と人の関係性が大好きな「人柄の良さ」を存分に活かして、世の中にはまだないような、ワクワクする化学反応を起こしてくれると期待しています。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史/細谷亮介
撮影:佐藤剛史

※この記事は2019年3月時点の情報です。

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【DeNAデザイン部特集Vol.2】ゲームの画は本の表紙絵や挿絵と一緒!? 最新技術への考え方とR&D実践の意図に迫る

モバイル端末の性能は急速な進化を続け、近年はゲームの表現の幅もさらに広がりをみせています。それに伴ってグラフィックやUIなどデザイン面に関しても、これまでに比べさらに高い技術的レベルが要求される時代になりました。

「DeNAデザイン部特集Vol.2」では、DeNAデザイン部がこのような時代の流れをどのように考えているのか、そして現在の最新技術に対するR&D(研究開発)を含めた取り組みについて、デザイン部3D第一グループの中津基貴と、クリエイティブプロジェクトマネジメントグループの大西正人にインタビューを行いました。

――まずはお二人の簡単な自己紹介からお願いします。

中津基貴(以下、中津):私はドット絵を描く仕事からキャリアをスタートし、前職では映像やアニメーション、遊技機などエンタメ分野で2D・3D問わず幅広く手がけてきました。
DeNAには2011年に入社し、ずっとVO(ヴィジュアル・オーナー)(※1)を担当してきましたが、直近ではグループのマネジメントを担当しています。

※1. VO(ヴィジュアル・オーナー):ゲーム全体のグラフィックを監督するという意味でのアートディレクター。出自は2Dアーティスト、3D背景モデラ、モーションデザイナなどさまざま。

デザイン部3D第一グループ 中津基貴

大西正人(以下、大西):前職ではコンシューマゲーム開発会社でアクションゲームや格闘ゲームを手がけていました。そこから数社を経て、2018年3月にDeNAにCPM(クリエイティブプロジェクトマネージャー)(※2)として入社しました。

CPMとしての私の主な業務内容は、アーティストの進行管理や外注管理をはじめ、ワークフローの設計、作業効率化ツールの導入などを担当しています。

※2. CPM(クリエイティブプロジェクトマネージャー):アーティストが作業に集中できるように、アーティストのマネージメントを専属で担当する。また、外注管理や工数管理を行い、開発フェーズの進行を円滑に進め、作業環境の整備やワークフローの精査などを行い、クリエイティブ分野の制作環境を整える。

私はゲームプランナーからキャリアをスタートし、レベル・モーション・背景・エフェクト・UI・コンセプトアート・ムービー・ライティングなどの各種デザイン業務を担当して多彩な職種を経験してきました。幅広くアート関連の仕事を現場レベルで携わってきた経験や知識が、現在のCPM業務で大変役に立っています。

クリエイティブプロジェクトマネジメントグループ 大西正人

書店で惹き付けられる
表紙絵のように

――モバイルゲーム業界全体においても、年々グラフィックのクオリティが非常に上がっていると感じます。お二人はこの時代の流れをどのように感じていますか?

中津:まず、クオリティの高さについて語るとき、リッチさや表現できる幅の広さを指すことが多くなりがちですが、その背後には、そういう表現を採用したというデザインが存在します。そして、デザインとは「何かを解決するための手段」であり、解決すべき主体がないと語れない、という前提があります。

主体がゲームの場合は「そのゲームのメカニズム」という事になるので、それが十分に分かりやすく視覚化されているか、本来のメカニズムをより楽しみやすくできたか、といった観点からグラフィックを評価して、初めてクオリティが高い・低いという話ができるということですね。

ただ、グラフィックには「興味をもってもらう」という役割もあります。それまで不可能だった表現が実現できたら、それはゲームをプレイしてくれる人の注目を惹きつける要素となり得ますので、その観点も同時に大切にしなければなりません。

年々グラフィックのクオリティが上がっている、という話は後者の文脈で語られることが多いと思いますが、我々ももちろんその観点から新しい技術に興味をもって取り組んでいます。

大西:また、昨今のハードウェアの急速な進歩によって、グラフィック表現も格段に向上し、コンシューマゲーム機に匹敵するような、高性能なスマートフォンも登場しています。

そのような最新機種に対応するゲームを作る際に注意したいのが「グラフィックが美しいことが、ゲームの面白さに直結する」とは断言できない、ということです。

むしろそのゲームを知らない人や、未プレイの人に興味を持ってもらう手段として、デザインやビジュアルのクオリティの高さは必要な要素のひとつだ、と考えていただきたいですね。

――グラフィックが美しいからといって、それがゲームの面白さには直結しないと?

中津:そうですね。これはアートディレクションをするときや、ゲームグラフィックの仕事を説明する際によく使う例えなんですが、「ゲームのグラフィックを用意する仕事」は「本の表紙絵と挿絵を同時に扱う仕事」だと伝えています。

挿絵って、本来の物語の中に差し込むことで、情景をイメージしやすくなり、それによって物語に没入できるような役割を持っていますよね。ゲームではUIやアートアセットによって挿絵と同じ機能を果たそうとします。

それに対して表紙絵は、書店に並んだときに、パッと見て興味を惹き付ける役割があります。先ほど例に出たUIやアートアセットは、遊ぶときに面白く、より分かりやすくするためにあるのですが、それがスクリーンショットなどで世間に広まったときには、表紙絵の役割を果たすことにもなります。

なので、絵のクオリティを高く、リッチにする理由はその役割のためであり、ゲームを面白くするための手法とは少しズレる部分もあります。

「誰も知らない」状況を
つくらないために

――DeNAではグラフィック表現に関してのR&Dが2017年頃から進んでいたそうですが、この背景について教えてください。

中津:前提としてデザイン部が考えるR&Dは、必要とされる技術を当たり前にカバーしておきたい、という意味合いが強いのが特徴です。

例えば、開発チームのディレクターやプランナーから「こんな表現にしたい」というアイデアが出てきて、それがゲームの内容に関して最適な表現手法であったとき、その技術を扱える人が社内に一人もいない(少なくとも手掛かりが全くない)という状況は避けたいと考えています。

特に国内向けのプロダクトは、スタイライズドな表現が好まれる傾向があり、その部分は実務で習得することができます。それに対してフォトリアル系の技術は、しっかり意思を持って積極的に研究しないと、誰も扱えない状況が簡単に生まれてしまいます。

それにも関わらず、業界では徐々にPBRベース(※3)のレンダリングがスタンダードになってきている状況の中、その技術を当たり前に使っているプロジェクトが当時は社内になかったため、R&Dを推進する動きが生まれました。無論、それまでは個々が属人的に研究をしていたのですが、組織として進めていこうと意思決定したのがその頃ですね。

※3. PBR(Physical Based Rendering):現実世界を模倣した、光学的に正確なレンダリングのこと。

R&Dの一画面。実際にモバイル端末で動く状態になっている。

――では、現在はプロジェクト側の要望に応えられるような段階になっているのでしょうか?

中津:そうですね、当時使っていたPBRシーンデータを、あるプロジェクトで実験的に使用しています。そのおかげで少ない工数で組み立てることができ、実装まで可能になりました。

また、プログラマーが実際の描画における負荷について実験する場合でも、すぐに適切なデータを使うことができ、ここでもR&Dの成果を出すことができています。

――そういえば、大西さんは、DeNAのR&Dに興味を持って入社されたそうですね。

大西:そうなんです。前職ではライティングアーティストを担当していたので、最新技術のキャッチアップは習慣化していました。転職を検討する際、これは偏見だったのですが、モバイルゲーム開発現場では、最新技術に対するR&Dを重視していないのでは、と当時は感じていたんです。

ですが、たまたま外部の記事(※4)でDeNAのR&Dに対する取り組みを見て、しっかり実践していることがわかったため、安心して入社を決めました。

※4.
年々コンソールに近づくモバイルゲームの映像品質 DeNAが数年後を見すえてCGデザイナーを募集中
https://cgworld.jp/interview/dena-201708.html

――入社してみて、DeNAのR&Dはどのように感じましたか?

大西:特にPBRベースの作り方をUnity上で再現して、それをプロジェクトに移管する作業がスムーズにできていたので、研究の基礎はこのように流用できるんだな、と感心しました。

Unityで使い回しが可能な表現技法を一度組んでおけば、同じエンジン上の開発なら、かなりのローコストで転用ができるので、それは良いなと思います。

――現在進んでいるR&Dの事例などを教えてください。

中津:R&Dのためのプロジェクトというものはないのですが、レンダリングに関する部分で言えば「トゥーンシェーディング(※5)」と「PBR」は引き続き研究しています。

描画手法としてはこの2つがさまざまな意味において両極にあり、多くの表現がその組み合わせ方や程度によるもの、という風に解釈できるからです。しかし、研究の対象は描画表現だけではありませんので、モーションや制作環境などさまざまです。

※5. トゥーンシェーディング:3DCGのレンダリング方法の1つ。フォトリアリスティックな表現とは対照的な、セル画アニメ調(セルルック)の表現が可能。

――「プロシージャル(※6)」という言葉を近年は特に耳にすると思います。お二人はどのように感じていますか?

中津:「人の手を介さずにマシンに自動で仕事をさせたい」という考えは事業的に考えても当然なことですし、その観点でプロシージャルを研究しない、という判断はないと思います。

※6. プロシージャル:手続き型、計算による自動的・自動生成する機能のこと。

大西:プロシージャル技術が知られるようになり、多くのゲーム会社は研究を行い、中には「モーションをプロシージャル生成する」という取り組みを行っていた会社もあります。

現在、そのブームは落ち着いてきているのですが、技術的に確立されつつあるのは「モデリング自体をプロシージャル生成する」技法です。近い将来、人間がモデリング作業をする必要がなくなる可能性もあるかもしれませんね。

――突き詰めると、作業する人間はいらなくなると?

大西:突き詰めたら、ですけどね(笑)。例えば、キャラクターモデリングを1人で1体作るのに数日かかる作業を、マシンなら数時間で何百体も作れるようなことが当たり前になる時代が来るかもしれません。

中津:現時点では、クオリティのトップラインは人の手による制作物のほうが高いと感じます。ただ、表現としてのトップクオリティのものを作るのに1体数ヶ月かかるとして、その8割程度のクオリティのものが1ヶ月に500体できるとなった場合、どうなのでしょうか。

作品全体で見た場合には、密度や物量もまたクオリティと言えるわけですから、表現としてのトップラインだけを考えていては片手落ちです。

いずれにしても、今期のデザイン部は体制をさらに強化し、より事業に資する集団になっていきたいと思います。そのため、今後もさまざまな手法や可能性を模索していくことは間違いありません。

今後も挑戦し続ける
環境改善とR&D

――日々の業務における開発環境の整備も大切なことだと思います。昨年入社した大西さんは、はじめてゲーム事業部の開発環境を見て、どのように感じましたか?

大西:入社してまず驚いたのが、開発環境がコンシューマ開発に比べて、あまり整っていなかったことです(笑)。モニターなどの機材の選定やワークフローなど非効率になっている部分もあり、多くの改善の余地がありました。

私は無駄な工数をなくして、適切な環境で作業をすることが当たり前なカルチャーを作りたかったので、入社後は機材のテスト導入しながら、デザイナーがフルにスキルを発揮し、かつ開発コストを下げられるような環境作りを推進してきました。

中津:大西さんに指摘いただいた点はずっと気にかけていたのですが、進行しているプロジェクトの内容と天秤にかけた際、なかなか優先度を上げることができませんでした。ですが、大西さんが入社して「(環境の改善は)絶対やらなきゃダメですよ!」と強く提案してくれたので、積極的に実施することができ、本当に助かりました。

――現時点でお二人が思う社内の環境改善は、どのくらい進んでいますか?

大西:特定のプロジェクトではEIZO ColorEdgeシリーズのキャリブレーションモニターで統一するなど、アーティストの制作環境に力を入れて、かなりベストな状態になっています。

中津:あと極端な話をすれば、部屋の明かりをつけたまま仕事をしているのも問題だと言えなくはないですよね。

大西:確かに、蛍光灯の位置がアーティストの席によって違いますし。

以前勤めていた職場では蛍光灯や照明器具にこだわり、プリントアウトされたものが、職場のどこで見ても同じように見える環境を目指していました。ただ、印刷した時点でモニターと色は違うんですけど(笑)。そういった目的がズレた変なこだわりには気をつけたいですね。

――R&Dを推進しつつ、そこで得た知見を存分に発揮できる開発環境も整いつつあるのですね。

中津:そうですね。最新技術のキャッチアップはもちろん、R&Dなども含めて社内のノウハウの蓄積は今後も続けていきたいですね。ゲームのメカニズムとそこから生み出される面白さを最大化し、同時に注目してもらえる視覚表現を達成するために、技術を上手に適用していきたいと考えています。

大西:DeNAでは今後も大型IPをはじめとした新規タイトルをリリースしていく予定ですので、「本当に面白いゲームってなんだろう?」という観点を忘れず、その上で最新技術のアプローチについて検討していければと思いますし、私自身はそんなアーティストをこれからも支えていきたいと思います。

――ありがとうございました。

※本記事は2019年5月時点の情報です。

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『キン肉マン マッスルショット』4周年運用うら話〜初代&二代目が語る! 幾多のピンチはこうして乗り越えた〜

『キン肉マン マッスルショット』は、超人同士のリアルタイム協力バトルが楽しめるアクションRPGとして2015年3月にリリースされ、今年で4周年を迎えました。今回、初代プロデューサー小林、初代ディレクター黒住、二代目プロデューサー高橋、二代目ディレクター谷口に、タイトルリリース後から現在に至るまでの運用うら話など、これまでの4年間の軌跡を振り返ってもらいました。

歴代プロデューサー、ディレクターにインタビュー

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Profile

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小林 繁議|株式会社ディー・エヌ・エー
初代プロデューサー。2006年にDeNA入社。入社後はモバゲー、モバオクを経てゲーム事業部へ。現在は新規タイトルのプロデューサーとして奮闘中。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住 豊|株式会社ディー・エヌ・エー
初代ディレクター。家庭用ゲーム機向けの開発会社、スタートアップでのアプリ開発を経て2013年にDeNA入社。『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリースの2ヶ月後にジョイン。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

髙橋 翔吾|株式会社ディー・エヌ・エー
二代目プロデューサー。ゲーム開発会社にて家庭用ゲーム機やモバイルゲーム開発に携わり、2011年にDeNA入社。『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリースの1年半後にジョイン。社内では「ごりさん」と呼ばれている。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口 敢一|株式会社ディー・エヌ・エー
二代目ディレクター。ソーシャルゲームのエンジニアを経て、2016年にDeNA入社。自社タイトルのプランナーを経て、『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリース後の3年目にジョイン。[/su_column][/su_row]

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1年目:CM放送を目指し、泥臭くもがいた苦戦の日々

―― 『キン肉マン マッスルショット』は2015年3月に正式リリースとなりましたが、改めて振り返ると1年目はどのような状況だったのでしょうか?

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小林(以下、しげさん):『キン肉マン マッスルショット』は、マーケティングやプロモーションをDeNAが担当し、開発と運営をカヤックさんが担当する座組みのタイトルとなります。

当時のDeNAにはアプリゲームの開発経験がまだまだ少なかったため、開発を外部のパートナー企業様に依頼させていただいてスタートしました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住当時はDeNAとしても開発は手探りな状態だったため、リリースを優先し、そこからプレイヤーの声などを聞きながら改修を進めていきました。社内には、アプリゲームの運営ノウハウが今ほどなかったので「まずはやってみよう!」ということが多かったんです。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんそのような理由で、最初の1年は私たちの運営の至らなさから、プレイヤーの皆さんにはご迷惑をおかけしたこともあったと思います。

そんな中でも、「CM放送をしたい」という目標をリリース前からチームみんなで持っており、CMを実現させるためにとにかくKPI達成を目指して改修を進めていきました。[/su_column][/su_row]

―― 具体的にはどのような不具合や課題があり、改修を進めていったのですか?

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しげさんゲームプレイの継続率が最初の大きな課題でした。一回遊んでくれたプレイヤーが、また次も遊ぼうと思っていただけなかったんですね。

ただ、その主な理由は「ゲームのローディング時間が長すぎること」だと感じていたので、その解消に向けてカヤックさんと一緒に、改善方法を話し合いながらシューティングしていきました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住ローディング時間の問題以外にも、いろいろ試行錯誤の毎日でした。現在の『キン肉マン マッスルショット』はゲーム内コンテンツが充実していますが、当時はバトルのバリエーションも少なく、イベントのお知らせも十分にできていない、という状態でした。

そのため、プレイヤーにとっての「遊びやすさ」はまだまだ満足のいくものではありませんでした。お知らせの自動化やSNS運用フロー見直し、機能改善など細々と改善を続け、徐々にゲームを遊べる環境を改善していったことが、CM放送前までに手がけたことです。[/su_column][/su_row]

―― そのとき、DeNA側の人員はどれくらいだったのですか?

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しげさん当時は少数精鋭でしたね。DeNA側のタイトル運営チームは4人の固定メンバーでクイックに改善を進めていきました。人数が多くないのでやりやすかったと思います。

ゲーム内でこまめに定点アンケートも実施して、プレイヤーの声も聞きながら、どの部分が課題なのかも詰めていきました。分析の専門メンバーが参加したのは、だいぶ後でしたね。[/su_column][/su_row]

2年目:座組を超えた越境で、遂にCM実現

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しげさん1年目の後半から2年目にかけて、DeNAとカヤックさんの関係性に変化が出てきました。リリース当初は、DeNAはマーケティングやプロモーションを担当する座組みでしたので、ゲーム開発現場とは一定の距離がありました。

このあたりの体制を含めた課題は、カヤックさんも認識されていて、この頃からプレイヤーの満足度を最大化するためにはどうするか、座組みを超えて頻繁に話し合いを行うようになりました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住私たちがカヤックさんに訪問して、バトルの企画を作ったり、キャラ設計の担当の方とMTGを繰り返し、その場で設計してもらったりしていました。それこそ、リリース直前まで調整を続けて、ギリギリまで粘って考えてましたね。

「もっとこうしたい!」と積極的に提案もしましたし、カヤックさんからも「こういう施策をやりましょう」とアイデアも出していただき、そこから落としどころを探っていきました。当時はこのようなやり方がメインだったと思います。[/su_column][/su_row]

―― 座組みにも変化が起こり、その中でKPIを達成できた。そしてリリース翌年にCMが放送されたんですよね。

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しげさんそうですね、リリース後からCM放送までのマイルストーンを半年スパンで設計し、そこに向けてのひとつひとつのKPIをクリアし、最終的には「この状態まで改善できれば、CM放送をやりましょう!」というプランを練って社内で承認を取りました。そしてリリース翌年のGWに無事に実現することができたんです。

そしてCM放送後は多くのキン肉マンファンに『キン肉マン マッスルショット』を知っていただき、そこからたくさんの方に楽しんでいただきました。また当初の継続率の課題も、改修を重ねてきたことで改善することができました。

このようにして、各KPIも順調にクリアすることができ、自分たちもとてもテンションが上がりました。この頃から、DeNA社内でも「あのタイトルは面白い!凄いらしいぞ!」と注目を集めた時期ですね!
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住ゲームに対してプレイヤーの評価も目に見えて上がるようになり、カヤックさんとさらに協力して開発に力を入れるようになりました。

この頃のプレイヤーからの評価を維持するためにも、機能の追加開発や改修、超人のリリースを加速させようと、カヤックさんには人員増加などの体制を変えていただきました。CM放送後は、このような体制づくりを積極的にやっていたことが多かったですね。[/su_column][/su_row]

―― 二代目プロデューサーである髙橋さんはその頃くらいにジョインしたんですよね?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

髙橋(以下、ごりさん):そうですね、リリースして1年半経った8月にジョインしました。当時はプロデューサーというポジションではなく、メインはプランナーだったのですが、実際には「何でも屋」でしたね。[/su_column][/su_row]

3年目:プロデューサー交代、そして大きな体制変更

―― 3年目に突入し、プロデューサー交代となりますが、その背景を教えてください。

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんメンバーを入れ替えることで、組織をリフレッシュする必要はあると思います。あと私が今後も別の新規タイトルをゼロから生み出していく必要があったため、このタイミングで交代の判断をしました。

ごりさんはプロデューサー志向が強く、黒住さんはディレクター志向だったので、ごりさんに必然的にお任せした感じです。
[/su_column][/su_row]

―― ごりさんはプロデューサーになってから、何か意気込みあったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん「全盛期は俺がつくる!」と強く思いましたね。ここでさらに押し上げていかないと、このチームに参加した意味がないな、と。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさん当時の『キン肉マン マッスルショット』のダウンロード数は、ある時期から伸び悩み、新規プレイヤー数の拡大はひとつの課題でした。

CM放送も2回実施し、ゲームを楽しんでくれるプレイヤー層へのリーチは、一定のレベルに到達した感じがありました。その中で、3年目は1〜2年目とは違った課題も出てくるでしょうし、そんな中での交代でしたね。
[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんでもそんなに大変さは感じなかったですよ。僕は外のチームからきたので、それまでの『キン肉マン マッスルショット』とは違った運営をしようと考えていました。これまでの経験をフルに発揮しようと!
[/su_column][/su_row]

―― ごりさんの前職はゲーム開発会社だそうですが、そこでは何をやっていたのですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんPCのFlashゲームや家庭用ゲーム機、アーケードからモバイルゲームのアプリなど、様々なプラットフォームに対応したゲームのプロデューサーやディレクター、プランナーを経験してきました。

前職では本当にいろんな経験をしていて、実はゲームの広報やマーケティングを担当していたこともあったんです(笑)。

そんな風に、開発部門だけではなく、ゲーム運営における仕事を一通り経験しているつもりなので、現在の『キン肉マン マッスルショット』には今までのノウハウが最大限活かせていると自負しています。[/su_column][/su_row]

―― オールラウンダーとして様々な経験を積んできたのですね! ちなみにプロデューサーに交代してこの時期は、どんな運営を心掛けていたのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんとにかくプレイヤーにどうすれば喜んでもらえるか、を徹底的に考えて実行しました。惜しみなくサービスをプレイヤーに提供するためにも、カヤックさんにはこれまで以上に関係性を向上していこうと試みました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口いろいろ踏み込みましたよね(笑)。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん2年目あたりで、カヤックさんとの距離を縮めていった話がありましたが、僕がプロデューサーになってからはさらに縮めていったと思います。いろいろゲームに対する要望なども話させていただきました。このあたりは前職でのコミュニケーション方法の経験が活きているのかもしれません。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口私もカヤックさんのオフィスがある鎌倉にもよく行って、何度も打ち合わせを重ね、どうやったらもっとプレイヤーに喜んでもらえるかを一緒に考えていきました。

自分たちも向こうに介入しますし、カヤックさんもこちら側のマーケティング施策にも意見を言ってくれます。開発の現場は、一緒に作っている感がすごくあって、雰囲気も良いですね。[/su_column][/su_row]

―― 2年目は泥臭く開発を進めていた話がありましたが、3年目の開発のやり方に工夫や体制に変化はありましたか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口はい、今は1年先のスケジュールまで、マイルストーンをしっかりと設計するようにしています。

運営が長引くとゲーム内のコンテンツも増えていきますし、運用コストだけでなく、新たにやるべきことも増えていきます。いつまでも同じやり方では通用しないので、人員も増えていく中で手法は常に工夫して変えています。[/su_column][/su_row]

―― だいぶ洗練されてきたイメージがありますね。DeNAの中でもチームの人数にどんな変化があったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん3年目を迎えてすごくメンバーが増えました。ディレクターやアシスタント、マーケター、アナリスト、コミュニティマネージャーなどが新たにチームに加わり、できることも一気に増えました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口人が増えてきたので、社内の運営体制もそれに合わせてどんどん変えていきました。たとえば、一度に多くのメンバーのタスク状況やスケジュールを共有する仕組み(開発ツールの導入など)を取り入れたり、会議体も工夫して各メンバーに情報漏れがないようにするなど、社内のコミュニケーションは大事にしてきました。

さらに、前職でのエンジニア時代の経験を活かして、人力でやると手間がかかる作業を効率化するツールを自分で作ったりもしています。[/su_column][/su_row]

―― 3年目はプロデューサー交代や、人員増加とかいろいろあったのですね!

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんそうですね、リリース時からタイトルを支えてくれた黒住さんもこの頃に抜け、一方で谷口さんが二代目ディレクターとしてジョインしてもらうなど、チーム総とっかえみたいな感じでした(笑)[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口確かにその時期は、DeNA側だけでなく、カヤックさんもメンバーの入れ替わりと人員増加がありましたね。

自分はDeNAに入社してすぐオリジナルタイトルのキャンペーンプランナーとして、イベント周りの企画を担当していました。ですが、さらにゲーム全体のディレクションにチャレンジしたいと思って、『キン肉マン マッスルショット』チームに異動してきた経緯があります。

そうやってチーム編成も変化していった3年目から、さらに新しい『キン肉マン マッスルショット』を作っていくフェーズに突入した感じです。
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4年目:コミュニティへの取り組み、そこで得られた手応え

プレイヤーに喜んでもらえるコトに全力投球!

―― 4年目を迎え、思い出に残っているエピソードはありますか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口3周年イベントで実施した「無料33連ガチャ」は思い出深いです。このようなガチャは今までにやったことないレベルでの大出血チャレンジでした。

さらにもっとプレイヤーに喜んでもらうため、★5超人が3体以上必ず出現し、さらにマッスルショット総選挙で輩出されたキャラの中から1体確定というおまけも付けました。[/su_column][/su_row]

 

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口4年目を迎えると、実装されている超人の数がかなり増えているので、なかなかプレイヤーが希望の超人を入手しにくくなっていた課題もあったんです。

この「33連ガチャ」ではプレイヤーの皆様に選んでいただいた人気のラインナップの中から確定で1体排出とし、かつ無料で手に入るという内容でしたので、本当に多くのプレイヤーの皆さんに喜んでいただけたと思っています。[/su_column][/su_row]

―― 企画の案出しから決定までは、どのくらいですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口大体、企画の案出しから決定までは2週間くらいです。このキャンペーンに関しては、DeNA社内で企画を詰めて、その後カヤックさんと企画の内容をすり合わせていく流れです。

ステークホルダーが多いので、全員がきちんと納得してもらえるようなコミュニケーションを心掛けています。[/su_column][/su_row]

―― この座組みで2週間は早いほうですね。スピード感を大事にしながらプレイヤーに喜んでもらう施策を考え抜いているんですね。ちなみに体制変更後、何かピンチだったエピソードはありますか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんそうですね、2019年2月9日にキン肉マン40周年記念イベント「キン肉マンカーニバル2019」というイベントが開催されたんです。

そのイベントでは会場で、GPS機能を使って限定超人をプレゼントするという企画を実施したのですが、そこにトラブルがあり……。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口会場がまさかの「圏外」で、GPSが使えないという事態になってしまったんです……。

そのため、イベントに来てくださったプレイヤーが限定超人を入手できなくなってしまいました。そこで、急いで公式Twitterで状況をお知らせしたりなど対応をしましたが、本当にあの時は申し訳なかったです。

しかし、緊急事態のためのバックアッププランはいくつも綿密に用意はしていました。GPSを経由しない入手方法も用意していたため、何とかプレイヤーに限定超人をお届けすることができました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん当初の案内とは異なるカタチでのプレゼントとなってしまいました。当日楽しみにして来ていただいたプレイヤーの皆さまには、本当に申し訳なかったです。[/su_column][/su_row]

―― なるほど、当日は何が起きるか分からない中、様々なバックアッププランを用意しておくのは大事ですね……。他にこのイベントではどのような施策をやられたのですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口キン肉マンのタトゥーシールも無料で1,000枚配布させていただきました。皆さん喜んで手にとっていただき、あっという間にシールが無くなったんですよ。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口このシールは、タトゥーシールなので汗をかいても剥がれないんです。当日のアーティストのライブ時には何名かの方が「肉」マークをおでこに貼っていただいるのを見かけて嬉しかったですよ。SNSにも投稿してくださって、イベント全体もとても盛り上がりました。[/su_column][/su_row]

リアルイベントで大切にしている、手作り感

―― 『キン肉マン マッスルショット』はリアルイベントを大事にしている印象が強いですが、いかがでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口そう思います。うちのチームって、リアルイベントに手作り感があるのが特徴だと思います。外部のイベント会社さんにお願いするのではなく、自分たちで企画して、当日の小道具とかも自分らで工作したりして、学園祭の前日みたいな雰囲気がありますよね。
[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住そうそう、イベント当日に配布する用紙とか自分たちで買ってきて、それをみんなでハサミで切ってたりしてたね。

あと、会場をおさえるためにプロデューサーがめちゃくちゃ電話してました。当時、しげさんに「電話ばかりしてないで、ちゃんと仕事してくださいよー」って言ったら、「これが仕事だ!」って(笑)。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんそう、いっぱい電話しました。会場が空いてなくて(笑)。1〜2年目のとき、実はCM放送以外にもリアルイベントやコラボ(※1)もやりたかったので、実現できてよかったと思います。
[/su_column][/su_row]

<編集部注釈(※1)>
2016年7月にはリアルイベント「キン肉マンの日火事場の延長戦!Muscle Summer Festival(M・S・F)」を開催し、翌年以降も定期的にリアルイベントを開催している。

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん最初の1〜2年目の運営は完全に社内のメンバーだけでしたね! 僕ら以外に、社内のほかの部署から有志を集めたりして、全部自分たちで運営しました。

今でもはっきりと覚えているんですが、僕がこのチームに異動してきた初日がリアルイベントの開催日で、キン肉マンの等身大人形を抱えて渋谷のセンター街を歩いたりしました(笑)。[/su_column][/su_row]

―― DeNAの運営する各ゲームでは、リアルイベントが活発に行われている印象もあります。『キン肉マン マッスルショット』はその先駆けだったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん今思えば、そうだと思います。DeNA社内にリアルイベントの存在がなんとなく広がったのは、『キン肉マン マッスルショット』が最初かも知れません。僕も最初は「リアルイベントって何?」って思っていました。なんでゲームのイベントで人が集まるのかと疑問を持っていたんです。

でもリアルイベントに初めて実際に参加したときに、思った以上にゲームに熱狂してくれているプレイヤーがたくさん来ていて、すごく驚きました。開始前には長蛇の列もできて、めちゃめちゃ嬉しくなりましたね。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住リアルイベントのおかげで、プレイヤーの熱量を直接感じられるようになりましたよね。リアルイベントで実際にプレイヤーの声を聞きつつ、それをゲームの中身に反映させていくサイクルも、この頃から始まったんじゃないでしょうか。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんそうですね。運営が長期化するタイトルが世の中にたくさん出てくる中、いかにプレイヤーの皆さんにずっと楽しんでいただくかを考えた時、熱量を維持することができるコミュニティ運営の重要性が、だんだんと見え始めてきた時期なのかもしれません。

何より、プレイヤーの熱量をダイレクトに感じられる環境で僕らもテンションがドンドン上がるので、定期的にやりたくなっちゃうんですよね。もっと喜んでもらいたいって!
[/su_column][/su_row]

―― そして昨年の「海の家」も?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんCM放送などとは違ったアプローチを考えていたときに「海の家」の話題が社内に挙がっていて、実施することになりました。

オリジナルの食事メニューを用意したり、ゆでたまご先生が来てくださったり、本当に盛り上がったと思います。
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―― やはりコミュニテイの力を重視しているのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん去年はまさにそういうフェーズでした。『キン肉マン マッスルショット』を遊んでくださるプレイヤーは、往年のキン肉マン世代だけでなく、親子世代、そして現在も連載は続いているので、最近ファンになられたプレイヤーなど様々です。

4年目以降はプレイヤーとの直接的なコミュニケーションを増やし、どういうニーズがあるのか、そして何を期待されているのかを受け取って、さらにその期待値以上のものを実現していければと思います。
[/su_column][/su_row]

5年目:版元との関係性、そして今後の決意

―― リアルイベントでは、ゆでたまご先生も来場されているシーンをよく見かけます。4周年を迎え、版元との関係はどのような変化があったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさん最初から関係性はすごい良かったと思います。もともと「キン肉マンの日」というのが29日の金曜日に当たる日(金29=きんにく)にあって、『キン肉マン マッスルショット』をリリースする前は、別のコミュニティでキン肉マンを盛り上げていました。

そのようなキン肉マンファミリーの中で、スマホゲームの『キン肉マン マッスルショット』は新参者なので、ゲームがキン肉マンファンに喜んでいただけるのか、コミュニティを盛り上げることはできるのかな、など多くの不安は消えませんでした。

でも実際には、『キン肉マン マッスルショット』をきっかけにし、たくさんのキン肉マンファンに盛り上がっていただくことができました。その後も、私たちの企画にはゆでたまご先生を含め、多くの関係者の方にも喜んでいただき、リアルイベントにも何回も来てくださっています。
[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん長期運営を続けていくことで、ゲーム自体の中身もより良くなっています。開発や運用体制もいい意味で安定し、ゆでたまご先生や出版社の皆さんと「これからも協力して盛り上げていこう!」という雰囲気にもつながっていますね。

そして今年は「キン肉マン」原作40周年で、『キン肉マン マッスルショット』も4周年という節目の年になります。特に4周年イベントでは、昨年以上の期待に応えられるように、たくさんのネタを仕込みました。

とにかく今は、プレイヤーの皆さん、そしてキン肉マンのファンの皆さんに喜んでもらうことに集中したいですね。ぶっちゃけ、ビジネスとか関係なく(笑)。
[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口そうですね、 僕もめちゃめちゃ気合い入れてがんばっていきますよ!

今回の4周年のリアルイベント(2019年3月29日開催)では中井先生も来ていただき、ゆでたまご両先生が揃った初のイベントになりました。これからも「キン肉マン」をどんどん盛り上げていきたいですね![/su_column][/su_row]

[su_button url=”http://muscleshot.jp/anniversary/4th/” target=”blank” style=”soft” background=”#BB0311″ size=”6″ center=”yes”]【4周年記念特設サイト】
キン肉マン マッスルショット[/su_button]

――5年目は、どのようなデライト(喜び)をプレイヤーに届けていきたいと考えていますか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん私がプロデューサーに就任した後、ゲーム内外で不手際もいろいろあったと思います。そしてまだまだ実現できていないことも多く、正直プレイヤーの皆さんにご迷惑をおかけしたと思っています。

ですので、5年目は今まで達成できていないことを実現する年にしていきたいですね。『キン肉マン マッスルショット』だけでなく、キン肉マンというIPがさらに盛り上がっていくことが、僕らの目指したいこと。そこを目指していかないと、僕らの仕事には意味がないと考えています。
[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口このゲームがここまで続いたのは、プレイヤー一人ひとりのキン肉マンへの愛があってこそだと思います。

ゲームを運営している中、ときにはプレイヤーの皆さんからお叱りをいただくこともありますが、新しい超人をリリースして「いいね!」とか「次はあの超人を出してほしい」などご意見をいただき、キン肉マンへの愛をとても感じています。

今後リリースしていく際に、プレイヤーの期待を裏切らないようにすることと、作品に対する愛を裏切らないように安定したサービスを提供したいと思っています。そしてそれ以上に、プレイヤーに驚きと感動を継続して提供していきたいと日々考えています。
[/su_column][/su_row]


以上、『キン肉マン マッスルショット』チームのこれまでの軌跡と、これからの想いをお伝えしました。

苦戦してきた1年目からCM放映をきっかけに、ここまでどのように成長してきたのか、チームの熱い気持ちと「キン肉マン」に対する深い愛を感じられるインタビューとなりました。

今後、ゲーム内施策はもちろん、リアルイベントなどでも驚きのアイデアでプレイヤーをさらに喜ばせてくれることを、今後も期待したいと思います!

インタビュー後日、オフィスの隅でリアルイベントの準備(封入作業)をしている様子
(撮影:GeNOM編集部)

■公式サイト
https://muscleshot.jp/

©ゆでたまご/©COPRO/©DeNA

※本記事は2019年3月時点での情報です。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNA分析部特集Vol.4】Kaggleトッププレイヤー陣と事業課題の解決に奔走するMLアナリスト―信頼関係が生み出す強固な連携とは

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

今回は、分析部のMLアナリスト山川要一と、自身もKagglerであり、データサイエンスグループでKaggler陣をまとめる原田慧を迎え、彼らの密接な連携手法にスポットを当てたインタビューを実施しました。

Kagglerと目指すミッションは”分析の高度化

――はじめに、お二人の経歴を教えてください。

原田慧(以下、原田):私は大学院で数理学の博士号を取得したのち、金融機関向けのデータ分析を行う会社に入社しました。そこでは機械学習を活用した金融機関の支援をするデータ分析などを担当し、そこで7年近く勤めた後、2018年2月にDeNAに転職しました。

DeNAでは、オートモーティブ関連事業に関わる分析を主に担当し、2018年8月からマネージャーとして、オートモーティブ以外のプロジェクトにも横断的に加わっています。

山川要一(以下、山川):僕は企画者としてDeNAに入社して、1年目はアプリの企画や分析を担当していました。2年目からは分析部に異動して、ゲーム領域において分析業務を本格的に行っています。

実際の業務としては、いわゆるアナリスト的な役割でKPIを集計し、より難易度の高い課題に対してゲームタイトルの各プロデューサーと一緒に取り組んでいます。上流の課題を見ていく中で、これまでのKPI集計で終わるのではなく、もっとプレイヤーに寄り添った分析をすると、何が実現できるかを日頃から考えています。

そして原田さんが率いるKagglerの方々と一緒に、分析のさらなる高度化を目指して、新たな分析手法の開発や、そもそも分析組織のあるべき姿を定義するような仕事をしています。

――分析部のMLアナリストのミッションは具体的にどういったものでしょうか?

山川:ミッションについては先程もお伝えしたように、「分析の高度化」です。DeNAでは従来の分析基盤が整っており、例えばプレイヤー数の推移など、多彩なデータをクロス集計レベルで分析できる環境があります。

ただ、これまでの分析結果だけではわからないような、プレイヤーの趣向性や行動予測にもっと取り組めないかと考えていて、新しいデータサイエンスを取り入れた分析手法にも取り組んでいます。

――一方、原田さんはKagglerをまとめている立場ということですが、現在DeNAにはKagglerは何名在籍しているんですか?

原田:当初は私も含めて3名からのスタートでしたが、今は社員が10名、アルバイトで3名が所属(※2019年2月時点)しています。

【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた
https://genom.dena.com/event/techcon2019_kaggler/

――日々KaggleをやっているKagglerの皆さんですが、ゲームをプレイすることはあるんですか?

原田:Kaggle自体が、ネットゲームをプレイする感覚に近いんです。ユーザーランキングや、ゲーム内イベントの仕組みもKaggleに近い要素があるので、大学生の頃ゲームにすごくハマっていたメンバーは多いです。特にKaggleに熱狂的な人は、かなりの『逆転オセロニア』好きなので、メンバーの多くはダイヤモンドクラスに到達しています(笑)。

密接な連携による、効率的な課題の解決

――山川さんと原田さんはお互いの部署間で仕事を進める際、どのような連携を取っているのでしょうか?

原田:2人で毎週定例MTGを設け、山川さんが集めてきてくれたゲーム事業部および分析部が抱えている課題に対して1つずつチェックし、データ分析で解決できそうだと判断したら、担当Kagglerをアサインして実際に動き出していきます。

山川:MTG時には、事業部側ではどんな動きがあるのか、できるだけ細かく原田さんに共有するようにしています。

横断組織であるKagglerのチームは、各事業部が持つ課題がどうしても見えにくくなります。逆に、私たち分析部は日々事業部の中でチームと一緒に動いているので、各タイトルが実際にどういう課題を持っているのかを吸い上げることができます。

そのように表面化した課題について、原田さんと一緒にまずディスカッションしていく流れになっています。

原田:私たちはその課題に合わせた手法や解法、データ分析で解決できるのか、より簡単な分析を粘り強く続けて解決するのかなどを判断しつつ、今後の進行方向を決めていきます。

それからもう1つ、分析部の中で「データ分析技術強化」という取り組みがあり、そこに私を含めたKagglerのメンバーが2名参加しています。この取り組みは、データ分析技術の基本的を学ぶOJTのような役割を持っており、勉強も兼ねながら、案件を一緒に進めることにもトライしています。

――DeNAの各タイトルにはそれぞれアナリストが担当していると思いますが、山川さんが事業部内の課題を集める際、ヒアリングするのは各アナリストなのか、それともプロデューサーなのでしょうか?

山川:一番多いケースはアナリストですね。ただ状況によってはプロデューサーから直接聞くこともありますよ。『逆転オセロニア』なら、担当アナリストである松﨑さんやけいじぇいプロデューサーから、タイトル運営の課題をヒアリングしています。

【DeNA分析部特集Vol.1】3周年を迎えた『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?
https://genom.dena.com/develop/analyst/

――そうして吸い上げた課題に対して、自分自身でできる、できないを判断して、難しいものを原田さんに持っていくと。

山川:いえ、基本的にデータサイエンスに関わるものはすべて原田さんと一緒に見ています。僕自身が適切な判断ができない場合もあるので、リスクを回避する意味でも、原田さんに確認してもらうのが一番確実だと考えています。

――山川さんが原田さんに各タイトルの課題を吸い上げて持っていくときは、どのように持っていくんですか。

山川:まず「長期滞在者を短期行動から分類したい」「デッキ編成の最適化を考えたい」といった大枠の目的が決まっている課題を持っていきます。それを原田さんが裏を読み、もう少し深く細分化して、分析の可能・不可能の提案をしてくれます。

原田:案件によっては、最初から一緒に取り組む場合もあります。問題解決の基本は、1つの難しい問題を分解するところにあると思うんですが、それにはドメイン知識も必要なんです。山川さんのような、その能力に優れたアナリストがいてくれると、判断作業がとてもスムーズに進みます。

山川:課題の解決方法について、例えば難易度レベル10の事業課題があるとします。それを機械学習でいきなり最初から全工数を投入して挑むのは、他の進行中の課題との兼ね合いや、経営判断的にもなかなか難しいと思われます。

そこで、アナリスト側で難易度レベル10の問題を、「難易度レベル1×5タスク」「難易度レベル2×1タスク」「難易度レベル3×1タスク」といった形に分解してみます。

このようにステップを踏んで解決していけば、最終的には難易度レベル10の案件をクリアできますよね。このような的確なブレイクダウンなら、難易度レベルに応じたタスクを判断しやすく、可能・不可能の見極めも素早くできるメリットが生まれます。

原田:Kagglerは小さなタスクなら、わずか1日で終わらせることもできるので、分解する意義は大きいと思います。逆に分解してみて、ものすごく手強い問題だと分かれば、元の大きい問題の解法の方針を少し変更したり、ブレイクダウンの方向性や、そもそもの問題設定を見直す必要があることを、事業側と交渉する選択肢を生むことなども可能です。

――ちなみに運営する各タイトルごとに見ている分析は違うのですか?

原田:はい、違います。ですが、ゲームシステムに”デッキを組む”ような共通要素を持つタイトルでは、目的が似通っている部分もあります。プレイヤーにどうやって楽しんでもらうか、継続的にプレイしてもらうにはどうすればよいのか、といった課題感については、タイトルごとであまり変わらないかも知れませんね。

山川:クリアしやすいデッキの組み方など、すべてのプレイヤーが自力でベストな組み合わせを見つけられるわけではありません。そこで、組み合わせを分析し、ゲーム内の施策を考えれば、オススメ編成のような仕組みを入れるなどの検討も可能になります。

このように、ゲーム内でプレイヤーが快適に過ごすためのサポートを担う分析は、とても汎用的で、ニーズも高いんです。

――なるほど。では、実際に現場からはどんな課題が上がってきて、どう進めようとしているかという具体例があれば。

山川:ゲームを遊びたいと考えている方は、さまざまな広告チャネルをきっかけに、好きなゲームをダウンロードしてプレイを開始することが多いと思います。そこで、どんなプレイヤーがどこでゲームを知り、どれくらい継続的に楽しんでいるかを把握することで、広告の投資効果の検証をしていきたいという要望が求められています。

それを目的とした分析結果は、どのSNS広告が効果的なのかを決める際に役立ちます。プレイヤーの180日後の行動はその日には計測できませんが、1週間や1ヵ月など、中長期的に予測できるようになれば、ある程度の傾向を知ることが可能です。

1週間のデータを使って得た指標をもとにすれば、広告の出稿方法を変えるなどの投資判断に使えると考え、プレイヤーの行動を予測する取り組みに挑戦しています。

原田:このような”予測”というキーワードが出てくると、Kagglerは活躍しやすいです。そもそもKaggleで日々やっているのは、「今までのデータを与えるから、未来の何かを予測しなさい」といった予測の問題なんです。

無論、未来予測ではない問題もKaggleにはありますが、基本形は与えられたデータから道の何かを予測するというものになります。

――DeNAでKaggler枠が出来て、実際にKaggleメンバーが集まってきました。山川さんの立場として仕事をする上でどのような点がメリットだと感じていますか。

山川:やはり、分析者からのアウトプット品質が、段階的に上がったと感じています。KagglerがDeNAに集まったことによって、今までできなかった取り組みを実現できるようになってきたことを実感しています。

特に、プレイヤー数の予測精度が上がったり、今まではわからなかったプレイヤーの特性が見えたことは大きなメリットです。Kagglerが参加したことで分析結果がレベルアップして、施策にうまく活かすことが可能になり、プレイヤーニーズに応えられるサービスを作れるようになってきたのは、組織としては大きな前進です。

――お二人はお互いをどういう存在だと感じていますか。

原田:私から見ると、山川さんはとても頼りになる人です。何か問題が起きても、とりあえず山川さんがどうにかしてくれると……(笑)。

山川:僕も原田さんは神様のように、頼りにしています(笑)。僕はアナリスト側、原田さんはKaggler側で自分の役割を持ちつつ、お互いに信頼し合えて良い形で連携できていると感じています。一緒に働く中で、長所を引き出し合っている気がしますね。

また、原田さんは良い意味で介入しないで任せてくれますし、こちらが悩んでいることも親身に相談に乗ってくれます。お互いのプロフェッショナルな部分を尊重しつつ、違う部分も受け入れつつ、協力できているのはとてもありがたいなと思います。

MLアナリストに求められるスキルや経験

――Kagglerと事業部のハブのような役割を担う山川さんのポジションには、どのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。

山川:主に3つ挙げられます。1つは事業責任者視点で、これが一番重要ですね。細かなタスクはいくらでも作ることはできますが、それを解くことに意味があるのか、そもそも何が最優先で最重要な問題なのか、課題に対する優先順位を付ける視点が必要になります。

2つ目に問題設定です。事業として設定した目標や理想が達成できればOKなのか、収益など他の要素も複合的にチェックしなければならないのかなど、問題の本質を見誤ることなく、事業で最も大事にすべきことの定義ができることです。

3つ目は、Kagglerの方と対話をする上でのデータサイエンスの知識です。Kaggleに関してMasterまで到達せずとも、いくらかは勉強して欲しいですね。手法の選択や解決方法を日頃から考えたり、意欲的にサービス改善のために何ができるか、アイデアを膨らませることが大事だと思います。

原田:もちろん、Kaggler側の努力でいくらか改善できる部分もあります。我々Kagglerも若いメンバーからシニアメンバーが在籍しているので、技術面の足りないところはフォローができますし、「これってどういう意味があるの?」といったざっくりとした観点でも一緒に考えることができます。

――今後の話になりますが将来のビジョンや目標などがあれば教えてください。

山川:視野をさらに広げていきたいですね。分析部はゲーム事業に直結している組織なので、アナリストがもう少し幅広い課題まで目が届くようになって、全社レベルのいろいろな課題を引っ張って集約できると良いと考えています。その上で優先順位をつけて原田さんたちKagglerに相談できれば、全社的にも常に高いバリューを出せるんじゃないかと思っています。

――最後に、アナリストとKagglerが連携して新しいことに挑戦し続けるDeNAという会社はどういうところが魅力でしょうか?

原田:さまざまな事業を複合的に推進している、おもしろい会社だという印象は入社前から変わっていません。実際に入社して魅力的だと思ったのは、データ分析に関してほとんどの人が前向きだということですね。

DeNAはデータ分析に対する基盤がしっかり構築されていて、当たり前にデータを集めています。データを分析すれば必ず何か良いことがあるはず、ということに対して疑っている人がいないんです。Kagglerにとっては、とても働きやすい環境だと言えますね。

山川:「あなたはこの役割だからこれだけやっていればいい」というような、決まったラベルを貼らない風潮も魅力かも知れません。

僕は分析担当ですが、いろいろな事業に関わらせてもらっていて、新規事業責任者の相談相手になることもありました。誰が何をやっても、それが意味のあることなら実行する、という風土を持った会社なので、責任も大きいですが、強いやりがいも感じられます。

さらに自分の専門領域ではない部分にもチャレンジできますし、それを否定する人がいないのも嬉しいです。DeNAでは「こっちの事業に口を出してくるんじゃない」と言われることはまずありませんよ。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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【DeNA分析部特集Vol.3】データエンジニアリンググループ発足の狙いとは?MLOps導入や新技術によるコスト削減などで事業貢献を目指す

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

今回は、分析部内に新たに組織されたデータエンジニアリンググループにスポットを当て、同グループ発起人である岩尾一優と、前回に続いて吉川正晃にインタビューを実施。

データエンジニアリンググループ立ち上げの背景や目的、DeNAの中でデータエンジニアとしてどのように貢献しているかなど語っていただきました。

データエンジニアリンググループ立ち上げの背景

――まずはこれまでの経歴についてお聞かせください。

岩尾一優(以下、岩尾 私は昨年7月にDeNAに入社しました。それまでは富士ゼロックスでコンビニのネットプリントサービスのアーキテクト設計を担当していました。前職でもデータ分析基盤の立ち上げをしていたことがあって、DeNAに入ってからはデータエンジニア担当として、主に分析の効率化や高度化を推進するようなことをやっています。

2月からデータエンジニアリンググループを立ち上げ、マネジメントも担当しています。

吉川正晃(以下、吉川 DeNAには7年間在籍していて、最初の4年間はセキュリティー技術、その後3年間は分析を担当し、直近1年は分析グループのマネジメントに力を入れています。岩尾さんが入社当時は、私のグループに在籍していたんですよ。

――岩尾さんは2018年7月の入社から半年が経ちましたが、DeNAの印象はいかがですか?

岩尾: エンジニア天国という印象です(笑)。PCや椅子など、職場環境が良いと感じています。社風も良い意味で自由な所があり、自分でパフォーマンスをコントロールしやすい職場だと感じています。

――ゲーム業界外から転職された岩尾さんは元々ゲームがお好きだったんですか? また分析部の皆さんは普段からゲームをプレイされているのでしょうか。

岩尾: ゲームは小さい頃から遊んでいます。コンソールではRPGや洋ゲーが好きでプレイしています。スマホでは『メギド72』をプレイしていますよ。

吉川: 僕はかなりやりますね。最近はコンソールはあまりやっていないんですが、普段からスマホゲームは他社さんのアプリも含めてやっています。その他のメンバーもゲーム好きが多いです。

――分析部に新たに組織されたデータエンジニアリンググループですが、どのような背景で立ち上がったのでしょうか。

岩尾: 私が入社する以前から、DeNAはデータ分析費用にかなりの金額がかかっていたことが背景としてあります。入社後、それって本当に必要な額になのか調べたところ、いろいろ改善の余地があることがわかってきました。

その中で、コスト最適化もそうですし、コードの保守性や一部業務の属人化など、エンジニアリング周辺で、色々と課題があると感じていて。その度に上長だった吉川さんに相談したり、1on1の場で改善の提案をしてきました。

そして実際に改善に力を入れ始めてみると、目に見えてコスト削減ができ、本格的に1度本来のあるべき役割や何をやるべきかを整理して、組織化することでそこの部分を改善していこうと考えました。

吉川: そもそも分析部としてコスト管理の部分がしっかり定義されないまま運用していた部分も正直ありました。分析部として、コスト改善をしっかりやっていこうというフェーズになっていたところに、ちょうど岩尾さんの入社が重なったんです。

そこからコスト削減という活動が目に見えて実績として生まれてきて、それを推進してくれる岩尾さんに組織を立ち上げてもらいました。

――吉川さん自身も以前からコスト削減は課題として感じていたんですか。

吉川: 正直に言うと、一番の課題とは思っていませんでした。恥ずかしながら、できるメンバーが対応している体制だったので、まさに属人化の状態でした。

分析部の元々のミッションであるデータ基盤を安定的に運用するところは、あくまでもミッション達成の一過程でしかないという考えで組織で取り組む優先度を下げていましたが、今後クラウドにシフトしていくことを踏まえ、優先度を上げていかなければならないということで認識を改めました。

岩尾: これはエンジニアのあるある話ですが、事業に向けた開発や作業は優先されるけど、保守や改善がどうしてもおろそかになりがちなんです。それを放置しておくと、ある時に何かちょっとした変更をするにしても、どこに影響が出るかわからないという状況に陥ってしまいます。

そうなる前に一度、保守や改善をすることで事業開発の工数を削減できれば、全体のキャパも上がっていくと考えて今回取り組みました。

吉川: そうなった背景としては、元々分析部のミッションが事業の最重要課題を抽出して解決することで事業に貢献するというところにフォーカスされていて、スピード感を持って取り組むことを優先している文化にあります。

事業の意思決定に必要な動きを優先してしまっていたことは反省しています。ただ、人員が足りずどうしようもなかったことも事実です。そこで岩尾さんに入社していただき、魅力的な提案もあって、一気に動きが加速できた、ということで非常に感謝しています。

――データエンジニアリンググループ立ち上げの実現に向けて、実際にどのようなことをされましたか?

岩尾: まず足りていない役割、あるべき役割を設定しました。例えばGoogleやAmazonのデータエンジニアが何を持っているのかを調べて、我々ができているところ、できていないところを見つめ直しました。

できていない部分は保守もそうですが、ML系とかシステムに載せていくという所が分析部としてちょっと弱いと感じたので、週次でマネージャー陣とレビューなどを行いました。次にミッションについて、もうちょっと短期の目標からどうすべきかを壁打ちしながら磨いていきました。

吉川: その過程で、実際に今の分析部と将来の分析部にどれくらいのエンジニア力を持った人材が必要なのかも含めて、設計してもらったのはかなり大きかったです。

――実際に昨年7月に入社して組織立ち上げを相談したタイミングは?

岩尾: 入社して3ヶ月後の10月です。コスト削減の成果がだいぶ出ていたくらいの時期でした。

吉川: その成果は誰が見てもすぐわかるもので衝撃的でした。かなり早い段階から岩尾さんの力が発揮されていたのも、データエンジニアの組織化に向けた意思決定のスピードにつながったと思います。

新たな技術を使った挑戦

――現在データエンジニアリンググループで取り組んでいることについて教えてください。

岩尾: 1つはMLOpsの導入です。機械学習って、例えばデータサイエンティストがデータ分析して、マーケティングや事業部に分析結果を説明して、理解を得てプロジェクトにつなげていくことがあると思います。ただ、事業部の立場からすると、朝出社したら分析データの計算が終わったものを確認できるという状態が一番理想的ではないでしょうか。

MLOpsはそれをシステム化するということなんですが、そこまではまだできていない状況です。一部ゲームにはAIが組み込まれていますが、ゲームの機能としてではなく、分析を目的としたMLのシステム化みたいな部分はまだできていなかったので、そこは我々データエンジニアリンググループの役割と考え注力しています。

今は全てのモデルで動いているわけではないですが、一部のモデルで導入して動かしているという状態で、これからどんどん載せ替えていくところを本格化させていきます。

――MLOps導入は、分析の工数を削減することが目的なんですか?

岩尾: 主な目的として、「工数の削減」と「機械学習について高い専門性のない人でも使えるようにすること」があげられます。

特に後者はシステム化することでハードルがグッと下がります。機械学習って、はじめの環境構築が難しくて、知識も必要になってきます。高い専門性も必要であるため機械学習モデルを作れる人ってどうしても限られるんですが、それを配布して誰でも使えるようにする、という仕組みを作ることでハードルを下げて、専門知識がないアナリストでも使えるようにしようと考えています。

――そのMLOps導入で苦労されていることはありますか。

岩尾: 苦労としては、DeNAは色々なサービスを運営している会社なので、それらにどう伝播させていくかを前提として考えているというところが大きいです。

単一のサービスであればそれに特化したシステムを作れば良いですが、我々は複数のサービスを走らせているので、そこに適用できる形のシステムがどうあるべきか考える必要があります。

吉川: そこのハードルはかなり高いかなと思いますが、それを乗り越えて実現できたときの効果は絶大だと思います。

――MLOpsのほかに、新しい技術を使った取り組みや事例はありますか?

岩尾: Googleのクラウド系はシステムアップデートが結構頻繁に行われるので、そういうところをウォッチしながら取り入れるものは随時ピックアップするようにしています。

BigQueryというデータ分析基盤では、それ1つとっても新しい機能が毎月のように出ているので、β版からどんどん検証して、我々にとって良いなと思えるものならβ版であっても導入するくらいのスピード感でやっていきたいと思っています。

――今後データエンジニアリンググループとして取り組んでいこう、進めていこうと考えていることはありますか?

吉川: アイデアベースですが、機械学習が増えていくことにより、一人ひとりのプレイヤーにフォーカスすることや、カスタマイズした分析が今後は必要になってくるというところで、データウェアハウスそのものもプレイヤー単位で持てるのが理想だと考えています。

岩尾: あとはクラウド移行ですね。これは全社の意向もありつつですが、元々物理のサーバーを使って大きなサーバーストレージを使いながらやっているんですが、それをすべてGoogleであったりAWSのサービスに載せて、クラウドで管理するように分析基盤も移管する予定です。

GCPやAWSにシステムが集約されることで、GoogleやAWSが新しく機能を出したときに、我々もすぐにキャッチアップできる体制が常にできているという状態が実現できますし、コスト削減の面でも物理サーバーを持つよりも、より安価にデータ分析の環境を維持できます。その部分に対して遅れを取らないような体制を今後作っていきたいです。

――新しい機能が出たときの技術のキャッチアップについて、具体的にどのようなことをしているんですか?

岩尾: Google社の方と頻繁にお会いして話をしています。手を動かしてみると設計段階の構想と違うと感じることがあったので、そういうところは積極的に聞いています。

あとは我々自身も国内外のカンファレンスに参加して、世界の事例を見て良い所は取り入れるようにしています。先日もラスベガスで開催された「AWS re:Invent」に参加しました。どんなことが行われているかとか、我々がやろうとしていることは世間と比べてどのくらいのレベルなのか、ということを認識することも欠かさないようにしています。

――技術をキャッチアップしつつ、今後は分析基盤のクラウド移管をしていくということですが、結構大変な作業になるのでしょうか?

岩尾: かなり大変ですね。BigQueryに載っていないものがまだまだあって、それを全て載せ替えようということになります。関連するドキュメントの書き直しや、あるいは我々で取捨選択をして必要ないものをちゃんと伝えてあげて、アナリストに影響のないような形でなるべく本業に集中できる形のデータ基盤の移管を進めていかなければなりません。

「この業務って本当にまだ必要?」「意味があるんだっけ?」という業務の棚卸をして、最適なシステムをもう1回組むということはやりたいと考えています。

――アナリストへの影響なども考慮して移管を進める必要があると。ところで岩尾さんはアナリストとどのように連携して仕事をしているんでしょうか。

岩尾: DeNAは、分析部内にアナリスト、リサーチャー、サイエンティスト、エンジニアがいるところが強みかなと思っています。データエンジニアって開発側に属している会社が多いと思いますが、我々はビジネス部門である分析部の中にいます。だからこそゲームのドメイン知識も持っているので、そういったことを活かしつつエンジニアリングを発揮できる良い体制になっています。

その中でアナリストとの連携の仕方は色々ありますが、例えばゲーム内でイベント用の分析が必要になったときに、どういうデータの持ち方をすると最も効率的かという所をアドバイスしたりします。

吉川: 同じような作業を繰り返しているチームの相談もあって、そこの効率化など横断的にデータ基盤を見る機会が多いので、我々からのインプットをアナリスト全員にシェアしていくという動き方がメインですね。

岩尾: あとアナリストやカスタマーサポートの方は、結構SQLをたたけるんですけど、その際に良いSQLと最適ではないSQLがあるんです。BigQueryは何ギガ、何テラ検索したかで料金が発生する従量課金が特徴としてあるので、やはり最適にQueryを書く必要があります。

ですから、そこで最適ではないQueryを書いてしまったときに、slackで通知してわかるようになっていて、みんなでこのQueryはどこが悪かったか議論できるようにしています。

DeNAは失敗を活かす文化があるので、我々はデータエンジニアリンググループとして最適でないQueryが発行されてしまったときにslackに通知するシステムを裏で開発して、要は気付きを与えてみんなで改善していく狙いで実施しています。

もちろん、何ギガ以上のQueryを投げたらシステム的にガードすることもできるんですが、それをやってしまうととメンバーを信頼していないと感じられてしまいますし、本当に必要なQueryだった場合に実行してエラーだったらストレスにもなると思います。

それよりも、仮に失敗したとしてもみんなで改善していったほうが学びにもなるし、長期的に見ても良い組織になるのではないかという理由でそのようなアプローチを続けています。

吉川: データエンジニアリンググループは単純なティーチングだけでなく、コーチングも組織として取り組んでいるんです。

岩尾: それって同じ部内にエンジニアもアナリストも一緒にいて、お互いに信頼関係があるからできることだと思います。

アナリストから「こういう分析がしたいんだけど、今のテーブル構成ではどうしても1回で1テラ以上検索してしまってお金がかかってしまう」と相談を受けたときには、そのテーブル設計を見てアナリスト側からの要求を受けて「テーブル構成を効率化しましょう」という働きもあります。お互いに意見を出し合って最適化を目指している組織ですね。

働きやすく挑戦しやすい環境

――データエンジニアリンググループはまだ立ち上げ期ですが、業務的に大変ではないですか?

岩尾: そこは皆ちゃんと定時に帰れています(笑)。というのも仕事の優先順位をしっかりつけているので、普通に19時には帰宅できます。あと私事ですが、先日2人目の子どもが生まれたんです。最近、分析部自体もベビーラッシュで、私に限らずみんな早く帰っていますね。

吉川: 手分けしてちゃんと仕事ができていると思います。今はグループと各メンバーのタスクを管理していて、1人に負荷がかかったり、チーム全体で負荷が高くなるという状況がなるべくないような状態を維持しています。

岩尾: あとは重要かつ緊急の仕事を持たないように意識することが大切です。緊急だけど「それって本当に緊急なのか?」を考え、そこまで実は緊急じゃない案件についてはスケジュールをきちんと引き直すなどの工夫をしながら仕事をしているので、残業はほとんどありません。

我々は本質的に重要なことに集中したいと思っていて、そうできるようにがんばっています。この2ヶ月くらいでタスクすべてを棚卸して、優先順位を付け直し、さらに優先順位を付けるためのルールも作成してみんなで作業しています。

吉川: また、関係している部署に対しては定例などをしっかりと設けて、その仕事が重要なのかどうかをタスクが発生する前に事前にキャッチできるような関係値を作り、重要な仕事は緊急になる前に依頼してもらうようなリマインドができる体制になっています。

岩尾: これは前職から気をつけていたことですが、エンジニアって仕事ばかりしているとそればかりになってしまうんです。だらだら仕事するよりも切り替えて、早く帰って勉強したり、最近のトレンドをキャッチアップしたり。もちろんリフレッシュしたりと、そのほうが全然良いと思っています。我々の職種は知識をアップデートしないといけないのでそこは意識しています。

――コスト最適化に向けた組織化の提案が、入社後半年で実現したという事例は面白いですね。

吉川: しっかりとした目的を持ってロジカルに提案すれば、きちんと受け止めてくれるというところはDeNAらしさなのかなと思います。

岩尾: そうですね。あとは提案していく中でも逆風みたいなものはなくて、そこはやはり皆ぼんやりとした課題感はあったと思います。

それを言語化できて論理的に説明できれば、部長やマネージャー陣も含め、むしろ全員でそのロジックを詰めていくみたいな流れが生まれて、意思決定も立ち上げもかなり早かったですね。

吉川: 課題の提案がすごく前向きだったところも大きな要因で、これはイケてないと思うんです……で止まる提案と、イケてない……だからこうしたい!という提案は全然違うなと感じました。岩尾さんは後者の提案だったので、もし提案を100%実現できなかったとしても組織として前進できる内容だったので、すごく良い提案をしてくれたなとうれしく思いました。

岩尾: 個人的に常に意識しているのは、ちょっとでも良いから成果を出して、これが完成したときのイメージの解像度を上げるという所。できるだけ不確実性を下げた状態で提案できるように意識しています。

――:データエンジニアリンググループは、コスト削減などの保守的な部分と、MLOpsのような改善の部分、攻守のバランスが絶妙だなと感じました。

岩尾: ゲーム中の用語に例えると、当初から「攻撃力」「防御力」という表現をしていて、その部分は意識しています。メンバーと関わる中でも、この人はこの領域をやるのが好きなんだなとか、それぞれの価値観というものがあって。コスト削減が得意な人もいれば、MLOpsのような新しい技術に触れたいという人もいるので、各メンバーがやりたいことも意識して、全体を組み立てるようにしています。

――:今後、データエンジニアリンググループではどんな人材を求めていくのでしょうか?

岩尾: 個人的には、アーキテクチャ設計ができる人が良いかなと思っています。ビジネス要件をどうやって技術に落とし込むかを噛み砕ける人といったところでしょうか。

もちろんビジネス要件自体も我々エンジニアは意識する必要はあると思いますが、それを技術に落とすとき世の中にはいろいろな選択肢があります。それらを広く知って比較して、チョイスしたものがどういう理由で最適なのか論理的に説明できる人が理想ですね。あと、できればゲームに興味があれば(笑)。

吉川: 今は立ち上げ期で、課題や新しい取り組みがたくさんあります。そこを一緒になって動いて埋めてくれるような、特に岩尾さんと並走できるシニアの方にはおもしろいと思います。

岩尾: そうですね。課題自体も、自分自身で発見して実装できるのが理想的。それから組織を立ち上げていきたいという野望を持っている方も適任なんじゃないかなと思います。DeNAは自分の力を伸び伸び発揮できる環境だと思っているので、自分の経験をもっと発揮したい人には向いている気がします。

★あわせて読みたい
【後編】DeNAゲーム事業におけるデータエンジニアの貢献〜客観性を担保したLTV予測やBigQuery運用におけるコスト最適化、そしてMLOpsへの挑戦〜

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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【DeNA分析部特集Vol.2】目指すのは攻めのユーザーリサーチ。起動時アンケートや生体反応など新たなチャレンジでユーザーリサーチの向上、発展を目指す

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

そこで「DeNA分析部特集」の第2弾として、DeNA分析部のユーザーリサーチの現場を紐解いていきます。お話を伺ったのは、DeNAの分析部に所属するユーザーリサーチグループの松本祥三と吉川正晃。

ユーザーリサーチグループがどのような活躍をしているのかを実際の事例を元に、取り組みの詳細と今後について語っていただきました。

新規ゲームのアプローチに対する推進力を持ち、
プロダクトとプレイヤーを繋ぐ

――まず始めにお二人の経歴をお聞かせください。

インタビューを受ける松本(写真左)と吉川(写真右)

松本祥三(以下、松本 以前は調査会社でリサーチの仕事をしていました。ひとつの案件にもっと深く関わりたいと思うようになり、縁あって2016年8月にDeNAに転職しました。

吉川正晃(以下、吉川 私は2012年に新卒入社し、今年で7年目です。最初の4年間はセキュリティ部の技術者として、全社のセキュリティを技術的な面からサポートする役割を担ってきました。

3年前にアナリストとして分析部に異動し、昨年アナリストグループのマネージャーになりました。その後、アナリストマネージャーと兼任という形でユーザーリサーチグループのマネージャーも務めています。

――DeNAのユーザーリサーチグループはどのような業務内容で、どのような役割を担っているのでしょうか?

松本: プレイヤーの満足度など、ログでは見られないユーザーの想いや考えを可視化していくのがミッションになります。例えば『逆転オセロニア』や『メギド72』などのタイトルをプレイヤーが楽しめているか、どう思われているのかを調査し、プロダクトとプレイヤーの架け橋になる大きな役割を担っています。

――実際に担当されているタイトルはあるんですか?

松本: リサーチメンバーは少人数ということもあり、1人で複数タイトルを見ているのが現状です。僕自身も自社で開発・運営しているゲームのリサーチの半分くらいは関わっています。

吉川: リサーチャーが主に活躍できる領域はアナリストと分けられている部分があり、アナリストはゲームのリリース後に、タイトルの課題をどのように改善していくかというところに重きを置いています。

一方でリサーチャーの場合は、新規タイトルがリリースされる前から関わって、理想のプレイヤー像を明らかにして、彼らにどうやってアプローチするかというところに取り組んでいます。

――リリース前の段階からゲーム開発チームとガッツリ関わっているのでしょうか?

松本: そういったケースを、まさに増やそうとしている段階です。

吉川:今までは、どちらかというと私達は横断部署としてなるべく数多くの案件をこなすことにフォーカスしていました。しかしそれでは1タイトルにコミットする力がどうしても弱くなってしまうという課題があったので、2018年から新規タイトルに関してリサーチャーが推進力をもってリードしていこう、という意思決定を行いました。

松本: リリースした後にそのゲームを改善していくために、行動データの解析をやっているんですが、リリース前からリサーチャーが関われた方が分析として提供できる価値が最大化されると思うことがありました。リリース後に直せる範囲には限界があり、開発段階から調整していかなければならない課題感が自分の中にあったんです。

吉川:アナリストもリリース直前から関わるようにしていますが、開発期間が2~3年のタイトルですと、チームでの共通認識のズレがどうしても起こってしまうんです。

ゲームとしての目指すべき姿や、それを届けたいプレイヤー像などのビジョンが、30~40人規模の大きなチームになると、メンバー1人1人の思い描いているイメージや、それぞれのアウトプットに微妙なズレが生じて、最終的な結論があまり良いものではなくなってしまうのではないかと思っています。

そこに対して、リサーチャーが入ることで、メンバーそれぞれがプレイヤーをどんな風に思い描いているかをまとめてリードできるところが、開発チームにとって強みになり、また会社として求められている役割なので、時間を使って注力していく動きになっています。

松本: そのため、常に開発タイトルがどういう方向に進みたいと思っているのか、どういうフェーズなのかを把握していないと提案ができないので、開発サイドの週次定例などで彼らの進捗や目指していることなどをヒアリングしながら、「それならこういう調査をしましょう!」と提案することを心がけています。

吉川:単純にハブとしてのリサーチの提供だけではなく、その前段の、そもそもゲームを作るということに関してもリサーチグループのメンバーが介入して、作り方や彼らの思想に関して、もう少しイメージを具体化させられるようインプットをしています。

――現状、リサーチグループの中で課題に感じていることはありますか?

松本: あまり大きくないチームなので、メンバーそれぞれの見ている方向を統一することはそこまで難しくはありません。ただ、やらなくてはいけないことや、やりたいことが多すぎて、人手が足りないことが課題です(笑)。

吉川:そうですね。今後は、リサーチグループのメンバーを増員し、なるべくタイトルに対する影響力や、メンバーの個の力を強くしていきたいです。そのために、よりシニアなメンバーも増やしていき、開発チームから求められる前に、私達からアプローチできるように組織力を強くしていきたいと考えています。

起動時アンケート、生体反応など
新しいアイデアへの挑戦

――これまでの事例として”起動時アンケート”を実施されているとのことですが、実装の目的や仕組みについて教えてください。

松本: 起動時アンケートは『歌マクロス スマホDeカルチャー』(以下、『歌マクロス』)や『メギド72』で実装しました。アンケートやインタビュー、βテストなども一つのリサーチ手法ですが、いわゆる一般的な施策はこれまでも数多く実施してきました。

ただ、通常のアンケートでは、おもしろさの度合いははわかるものの、プレイヤーが結局このゲームに何を求めて、どこを楽しみたいからプレイを始めて、その機能をちゃんと楽しんでもらえているか、などという判断が必要になったときに分かりにくいと感じていました。

そのようなプレイヤーが何を求めてどういう行動をしたいのか、という意識と実態の部分が、今までバラバラな認識になっていたので、そこをきちんと繋げることを目的として起動時アンケートが実装されました。

吉川:起動時に実装した理由は、もともとアンケートやインタビューでプレイヤーと接触するポイントは作ってはいましたが、一度ゲームから離脱してしまった方に対してのアプローチ方法というものがほぼなくて、その方たちの声を聞きたくても聞けません。

その状態でゲーム内アンケートを実施しても、そもそもゲームにログインされていないので、回答してくれることは100%ありませんよね。

そう考えたとき、アプリのインストール時にどれくらい期待値を持って、どんな機能が欲しくてプレイするのか、という質問を最初に全員に聞いてしまうなら起動時がベストなタイミングだと考えました。プレイヤーから見ても、ダウンロード中にアンケートに時間を使うことにそこまでの不利益は感じないのかな、と思っています。

――起動時アンケートの内容で意識したことは?

吉川:一般的な工夫としては、たとえばIPを扱ったタイトルであれば、その世界観を崩さないように、各キャラクターの個性を生かしたフレーズや言い回しにかなり注意しています。

松本: 原作ではフランクな話し方をするキャラクターが、アンケートでいきなり敬語だと違和感がありますし、世界観としても不自然になってしまいます。IPの世界観を守りつつも、間違ったバイアスのある設問は良くありません。

また、気軽にゲームを遊ぶつもりなのに、たくさんの質問をされると答えるだけで疲れてしまうため、質問数をいかに少なくして、かつ傾向を分析するにはどうすれば良いかを改めて考えることも大切です。

――では実装してみて成功した部分はありますか?

松本: 価値観の部分がきちんと可視化できたことです。『歌マクロス』で実施したときに、「音ゲー」が好きというプレイヤー層の離脱が早かったことがわかりました。

調査してみると、最初は実装できる曲数に限りがあり、プレイヤーが曲をクリアするペースが早かったことが判明しました。だからと言って、「曲の数が離脱の原因だから明日10曲追加する」といったように、急激に開発進捗を早めることはできません。

そこで、一旦そのプレイヤー層に向けた広告を止めるという事例はありました。しっかり曲数が増えて、これなら大丈夫というタイミングから、またその層に向けて広告を打ちましょうと。

『メギド72』の事例では、RPGのどの要素が好きかというところで区分けしているんですが、例えばキャラクターが好きな方は、そのキャラが欲しくて、ガチャを引いたり育成したりなどしてゲームに熱中していただいているのかなとイメージしていました。

この仮説をもとに実際に調査したところ、やはりキャラクター好きのプレイヤーのほうが、「〇〇で確実に好きなキャラが手に入る」「キャラクターの衣装がおまけでついてくる」という施策を好意的に受け入れてくださることが多い、ということが見えてきました。

このように、しっかりとプレイヤーの感情をイメージして出した仮説と、リサーチ結果を通してわかる実態をすり合わせることが、現在の取り込みの中ででき始めているのかなと考えています。

――今後、起動時アンケートをより良くするために何か考えていますか?

松本: 主に2点考えています。1つは最初のイメージができていないと、後工程でがんばっても良い方向に進まないので、開発スタート時からちゃんと関わることを大事にしています。

もう1つは、いま世の中にリリースされているもので、明らかに「アンケートです」といった表示方法でゲームに組み込まれていることを変えていくことです。『歌マクロス』ではリズムゲームをどのくらいプレイしているか、「マクロス」がどれくらい好きかという完全に質問形式になっています。

こうした質問形式のアンケートはタイトルによって相性の良し悪しがあります。例えばプレイヤー自身が物語の主人公になって進めていくタイプのゲームだと、アンケートチックなものは現実に引き戻されてしまう要素なのかなと危惧しています。

そう考えると、アンケートがゲームの邪魔をしてはいけないと思っています。『トリカゴ スクラップマーチ』という今後配信を予定している新規タイトルでは、日常で会話をしているようなイメージで、(画像と合わせるという観点で)キャラクターが「目標ってなんだ?」とか「こんなの見つけたけど、どれが欲しい?」などを聞いてきて、それに答えると実はその裏にはロジックがあってセグメントが分解されています。

そういった、ダウンロード中の暇つぶしコンテンツとしてキャラクターと会話していたら、いつの間にかプレイヤーのセグメントがこちらでわかるような工夫をしています。


※画像は開発中のものです

――その他、ユーザーリサーチとして新たにチャレンジしている取り組みなどはありますか?

松本: 現在、研究しているのが「生体反応」です。おもしろいって何?という質問に対する回答は千差万別ですよね。

例えば、複数のゲーム企画が立ち上がったとして、そのすべてがリリースされるわけではなく、いくつかの企画が通ってプロトタイプが作られ、またその中から残ったものが最終的にリリースされるのが基本的な流れだと思います。

でも、最終的に「この企画はおもしろい!」と事業判断したとしても、それが絶対に正解とは言えないと思うんです。おもしろいというのは人によって違いますし、ある人がおもしろいと思っても、別の人はおもしろいと感じないかもしれない。

そんな時に、”おもしろさ”を言語化したようなデータやグラフがあれば、例えば「わかりやすさの数値が極端に低いから、わかりやすくすればこのゲームはウケるかも?」という仮説ができて、みんな納得できるし、意思決定の判断材料にもなりますよね。

それを虹彩や脳波、脈拍、表情などで解析しておもしろさを「生体反応」で可視化できるんじゃないかというアイデアがあって、研究を進めています。実現できたらすごくおもしろいし、サービスとしてもやれるんじゃないかなと思います。

吉川:自分たちが実現させたいことはまさにそういった分野です。実際、いま世の中にあふれている分析の手法だけで解決できる問題に留まらず、自分たちが欲しい情報をどれだけ正確に、かつ定量的に可視化できるかというところを目指してやっていきたいと考えています。

定性意見をより定量的に判断できるようなつなぎ込みを、ユーザーリサーチグループはもちろん、分析部全体としても取り組んでいきたいと考えています。無理難題かもしれませんが、新しいチャレンジに取り組まない限り、分析部としての発展が頭打ちになってしまうので、挑戦し続けていきたいです。

松本: 開発者や事業判断者のおもしろい、つまらないという定性情報はすごく大事で貴重なのは明らかですが、一部の意見なのも事実です。

なので、会社として事業判断する場合、一部の人がおもしろいと言ったからGOする、ということはほとんどないと思います。そこで、会社として定量的に判断できるように、新しい分析の手法を実現させたいと思っています。

吉川:現場の声だけなら定性はすごく大事ですが、会社として意思決定するときにはどうしても数字化する必要があります。なので、よりデータを広く集められる仕組みを分析部が提供していくことも使命だと考えています。



――DeNAのユーザーリサーチグループは、生体反応を活かすなど、新しい技術や取り組みにチャレンジできる環境になっているわけですね。

松本: そうですね。他にも、おもしろさの追求の派生にはなりますが、わかりやすさの分析についても取り組もうと考えています。

チュートリアルでどれだけゲームを理解することができるのか、開発側が描く「最初はゲームをこうやって進めてほしい」という狙いと、プレイヤー側の進め方のズレをどうやって改善できるかという点を含めて、今後はデザイン部分も分析してみたいです。

吉川:恐らく分析とデザイナーが会話するゲーム会社って、なかなか珍しいと思います。

松本: そういう環境でもあるのでデザインの分析だったり、今はまだアイデアにはありませんが、AI技術を活かしたサービスなど、将来的にユーザーリサーチをさらに発展させるためのチャレンジを続けていきたいです。

求められるリサーチャー像

――ユーザーリサーチグループの立場から見て、DeNAはどのような会社でしょうか?

松本: 言いたいことが言えて、それをしっかり聞いてくれて、答えてくれる会社です。思いつきや、アイデアベースで話したことが本当に実現することもあります。そういう環境なので、密接なコミュニケーションを取ることは積極的にやっています。

案件をとにかく回したい!と思っているリサーチャーの方には向かないかもしれませんが、前職時代の私のように、「分析結果からの意思決定がしたい」「もっといろいろ挑戦したい」と思っている人には、すごく働きやすい環境です。

――DeNAのユーザーリサーチグループは単なる事業内の調査部門ではない領域でも活躍されている印象ですが、自社のリサーチャーにはどういう人が向いていると考えますか?

松本: さすがに数字を見ると頭が痛くなってしまう人は向いていないですが、一定の数字を分析して、施策の良し悪しやどうすることが最適なのか考えることが好きな人であれば、リサーチであれビッグデータの解析であれ、どちらも手段でしかないので手法を覚えればできると思います。

吉川:僕も同じような意見ですが、加えて「自分が関わっているサービスがプレイヤーにどう思われるのだろう」といったことが考えられる想像力が豊かな人は、アナリストやリサーチャーの素養はあると思います。さらに、課題に思えることや違和感を感じることに対して、事業側の立場に立って必要な提案だったり、課題解決方法を考えることができる人は、かなり向いているのかなと感じます。

やはり想像して仮説を立てないと、どうしても課題解決やリサーチを実行する行動に結びつかないので。なぜプレイヤーが自分たちの想定した動きをしてくれないのか、もっと楽しんでもらうためには何をすればいいのか、といった疑問から自分の中の想像力をどんどんかきたてて、仮説を立てていくことが大切です。

そして、その仮説を証明するために、分析としてリサーチをどう使えば良いかを考えて、いろいろなメンバーを巻き込みながら進めていくという人が理想的なリサーチャー像ではないでしょうか。

松本: 正直、スキルがなくても後から身に付ければいいですし、それよりもどこかに尖っていてほしいですね。生体反応について私にはまだまだわからない領域ですが、それなら生体反応に詳しい人を呼んで巻き込んでいけばいいと思っています。

吉川:ただし人を巻き込んで何かやるにしても、目的からは絶対にズレてはいけません。最終的な目的は何なのか立ち返り、事業を成功に導くためにできることはなんでもやる意欲が成功するための必要条件なのかな、と思います。

――今後、ユーザーリサーチグループに入ってくるメンバーにはそういったところを求めていると。

吉川:ユーザーリサーチグループはまだまだメンバーも少ないですし、これから組織を大きくしていく立ち上げ期なので、組織をリードして推進することにモチベーションを感じられる方に来てほしいです。

あとは、なにかひとつ尖った部分を持っていて、主体的になんでもできるような方にも来て欲しいですね。ユーザーリサーチグループとして色々やりたいことはありつつ、まだまだ発展していく組織なので、これからもっとおもしろくなると思います。

松本: そうですね、いま研究している生体反応は最初は思い付きでちょっとしたミーティングからスタートしたプロジェクトなので、チャンスはたくさん転がっています。DeNAの分析はこれからもっとおもしろいことをやっていくので、期待してください。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNA分析部特集Vol.1】『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

そこで今回、ゲーム事業部の分析部に所属するアナリストの松﨑友哉と、『逆転オセロニア』プロデューサーの香城卓(けいじぇい)を迎え、タイトル運営の実例をもとに、DeNAの分析部がどのような役割を果たしてきたのかインタビューを実施。『逆転オセロニア』でアナリストに求められることや、DeNA分析部ならではの取り組み、そして今後の展望についてお話を伺いました。

『逆転オセロニア』で求められるアナリストの役割やスタンス

――まずは自己紹介を兼ねてお二人の業務について教えてください。

香城卓(以下、けいじぇい僕は、2019年2月で3周年を迎えた『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)のプロデューサーを担当しています。これまで運用してきた中で、昔から応援してくださる方もいれば、最近ゲームを始められた方もいます。そうしたすべてのプレイヤー(以下、オセロニアン)に向けてどういったことを発信していくのかをチェックする、門番のような立場です。

そのため、「オセロニア」はこういうものだよという価値観や意思決定の基準を提示したり、メディアへの露出やコラボ等に関してお取引先とお話して、どういう風に「オセロニア」で新しいことを生み出していくかというところに主に力を注いでいます。

松﨑友哉(以下、松﨑 僕はDeNA分析部のアナリストで、現在「オセロニア」分析チームのリーダーを任されています。タイトルの今後に関する意思決定をスピーディーかつ高い質で、そしてユーザーファーストという方針がブレないように行えるよう、定量面と定性面でサポートすることが「オセロニア」分析チームの主な役割になります。

「オセロニア」運営メンバーの一員として、ときには客観的な目線でインプットできる立場として、ゲームを改善するための提案なども行っています。イメージとしては、プロデューサーやディレクターの[su_highlight background=”#fbff99″]“参謀”[/su_highlight]といった感じでしょうか。

けいじぇい: サービスとして「こうありたい」という定性的な意思はプロデューサーやディレクターが決めるところだと思いますが、そこに対して、定量的なデータや多くのオセロニアンのみなさんの行動のログなどをもとに、根拠のある裏付けの示唆を出してくれるのが分析チームなので、まさに[su_highlight background=”#fbff99″]“参謀”[/su_highlight]と言えますね。

――3周年を迎える「オセロニア」ですが、直近の主なトピックを教えてください。

けいじぇい: 昨年末に「名探偵コナン」や日清ラ王、そして1月にマクドナルドとのコラボを実施しました。また、最新(2019年1月時点)のダウンロード数は2,300万を突破しています。

業界的にも年末年始は盛り上がる時期ですが、「オセロニア」は2月がアニバーサリーの月なので、僕たちはそこから息つく間もなく周年に突入します。

毎年12月~2月にかけてトピックを固めているので大変な面もありますが、日清ラ王やマクドナルドとのコラボレーションを実現し、「オセロニア」らしいチャレンジングな施策がこの年末年始もできたと思います。

松﨑: コラボに関して、例えば実施する前に「オセロニア」と相性が良いかを市場リサーチやプレイヤーアンケートを踏まえて考えるところも、分析チームのアナリストとしてのいまの役割のひとつです。

もちろんコラボ実施後も、期間内におけるオセロニアンのみなさんの行動ログをまとめた結果などを分析しています。実際にその施策がどう受け入れられていたか、どう長期運営にポジティブな影響を出しているかなど、振り返りを行うことで次の施策を練るときの示唆を残せるようにしています。

――アナリストとして実施前の施策にも関わっていると。「オセロニア」運営チームとの距離感はかなり近いんですか?

けいじぇい: DeNAでは、1タイトルの成功にコミットする一員としてアナリストもゲーム開発にどっぷり浸かっているので、別部署だというセクショナリズム(組織の壁)というものはありません。

松﨑: そうですね。僕は普通に運用チームのメンバーと並びの席に座っています。DeNAではこれは日常の光景なんです。

けいじぇい: もちろんアナリストとして、定量的な示唆を出してもらうことが一番期待しているミッションですが、松﨑さん自身がオセロニアンとしてもゲームをしっかりプレイしてくれていて、プレイヤー感覚での示唆出しもしてくれるんです。

プレイ経験がない人に受発注的に数字を出してもらう取り組みよりも、ゲームとしての「オセロニア」をプレイヤーとして理解している、という素地があった上でデータを出してくれるので、とても納得感があるし、信頼してやりとりしています。

これはどのセクションにも言えることですが、縦も横もなく全員が1つの役割を持って「オセロニア」をどう最大化させるかという方向に向かっていく姿勢は、アナリストに限らずチーム全体でもっています。

――まさにそれが「オセロニア」で求められるアナリストの役割ということでしょうか?

松﨑: そうですね。僕は分析部のアナリストですが、「オセロニア」運営メンバーの一員という意識もすごく強いんです。

アナリストとして求められる業務のセクションの部分において、数字から物事を話すというのが一般的なアナリストとしての観点ですが、定量・定性関係なくプランナーと議論するプレイヤーとしての意見も大事だと思います。

もちろんデータを見て意見することも大事です。でもそれは「オセロニアを良くするためにはどうするのが一番ベストなのか」を突き詰めるための手段の1つでしかないので、それよりも「オセロニア」を良くした上で、施策の効果を最大化させるために自分自身がどれだけ貢献できるかを考えています。

けいじぇい: あまり領域に閉じてほしくない、というところも求める事の1つです。松﨑さんはプランナーチームのレビューもしてくれるので、そういう意味ではアナリストの領域からは離れて働いていると言えますね。

実はDeNAのアナリストはそういった動き方が多くて、人によって得意不得意はありつつ、それぞれが尖った部分を持っています。一般的なアナリストのように、データを出して示唆だけ届けるという形ではなく、基本的に運用チームにガッツリ入り込んで、自分の得意な分野を把握してどこまでチームの中で価値を見出すか、を考えて動く人が多いです。

松﨑: それこそデータとしての裏付けが取れたら手段として使いますし、それがなくても「こうすれば良くなるはず!」というゲーム内の施策や組織的な課題など、結構何でも選ばずに協力して、「オセロニア」を良くするために何をするべきかを日頃から考えています。

――アナリストとしてゲームもプレイしている中で、客観的な見方と主観的な見方のバランスはどのようにとっているのでしょうか?

松﨑: 僕は他のゲームもいろいろ遊んでいますが、その上で「オセロニア」に対する自分のプレイ度合だったり、どれくらいヘビーな感覚を持ったプレイヤーなのかを常に意識して考えています。

あとは、普段あまりゲームをプレイしないライトな方たちや、自分よりヘビープレイヤーの方たちがどういう遊び方をしているか、という部分に関しては「オセロニア」や他のゲームの定量データを見ながら感覚として貯めておき、それを踏まえた上で自分の中で仮説を出すようにしています。
そして、仮説を得た理由をしっかり考えた上で、その仮説が汎用的なものなのか、それとも各セグメントに閉じたものなのかを常に一歩引いて考えるように心がけています。

アナリストとしての新技術導入やコミュニティ運営の取り組み

――「オセロニア」はデッキ編成や対戦などにAIを活用するなど新しい技術導入に積極的な印象ですが、技術面でのアナリストの取り組みや役割を教えてください。

松﨑: 「オセロニア」のデッキの構築に関しては、一部複雑な面もあり、初心者がつまずきやすい部分でもあります。この点について、チュートリアルを工夫すれば解決できるという単純なものではなく、ゲームの機能そのものから手を加えていく必要がありました。

ただ、DeNAの中にAI技術の専門チームがあったとしても、それを上手く活用するための良質な問いがなければ、100%フルに活かせないと思っています。その中でのアナリストの取り組みとして、運営チームにコミットしている中で認識しているゲーム内の問題や状況を伝えながら、いかに高い技術力をゲーム中に効率よく活かしていくかを考え、進めています。

そのような新技術に積極的に取り組みサービスに反映させるというブリッジのような役目も求められることだと思っています。

――ファンコミュニティを大切にしている「オセロニア」ですが、コミュニティマネジメントの部分でアナリストとしてどう関わっているんですか?

松﨑: 「オセロニア」は“オセロニアンの宴”や“オセロニアンの戦”といったリアルイベントなど、プレイヤー同士によるコミュニティが活発です。その中で、僕も日本各地に赴いてイベントに参加しています。

そこでは実際にプレイヤーがどんな表情でゲームを楽しんでいるのか、どんな関係性やコミュニティの輪が生まれているのか、その温度感を肌で感じるようにしています。定量的な分析は、ともすれば割と機械的になりがちで、データによっては難しい判断を迫られるときもあり得るとは思います。

ただ「オセロニア」で大事にしているコミュニティ、実は定量データを見ているだけではわからないところもあるので、イベントに参加して、その温度感をしっかり把握したうえで適切な意思決定をサポートできるように意識しています。

けいじぇい: 人間のコミュニケーションの集合体が、コミュニティです。成果がはっきりと数字で表せない部分も多いため、コミュニティづくりが上手くいったのか、改善点はどこかなどを明確にデータで見ることは、恐らく世界中のどこも明確な答えを持っていないのかもしれません。

その中で、この3年間「オセロニア」が実際に事業としてやってきた知見を活用して、コミュニティの形を開拓していくのも我々の使命なのかなと思っています。

松﨑: 単純にゲームの中のログをビックデータ解析する以外のところでの人のコミュニケーションや、何がきっかけでエンゲージメントが高まることに繋がるのかなど、人の心の動きをデータで見るのは難しい領域ですが、今の世の中の流れを含めてすごく重要な気がします。

――アナリストの領域を超えて「オセロニア」と向き合うアナリスト・松﨑さんはけいじぇいプロデューサーにとってどのような存在でしょうか。

けいじぇい: ゲームって色々な主観がありますし、おもしろいという基準も1つではなく、「ここはこうしたら良い」というみんなの色々な意見の中から生まれるものです。そういうところで、逆に主観を持たずビックデータに論拠した形で客観性を持ったアナリストもいて良いと思いますが、松﨑さんはやはりユーザー志向性がすごく高いアナリストだと感じています。

というより、「自分もこう思うから遊んでいるオセロニアンたちもこう思うはず!」という、ある種自分が持っている仮説を検証するために、数字を出している部分もあるかもしれません。

そういう意味では客観的に事実だけを提示するよりも、まず自分が本当はこうあるべきだというところを論拠を示して、そこに立ち返って示唆してくれる人ですね。もちろん数字にも強いのですが、ひとりのプレイヤーとしてゲームに向き合っているアナリストではないでしょうか。

『逆転オセロニア』がさらに進化するために今後目指していくこと

――改めて、アナリストとして一番大切にしていることは何ですか?

松﨑: 常に全体観をもって考え、動くことを意識しています。例えばデータを見ることでゲームを良くすることが最適な場合はそうしますが、それ以外にもいま組織の体制として大丈夫なのかとか、その場その場でゲームの状況やチームの状況を踏まえて何をすべきか、事業をもっと伸ばしていくためにはどういったことに取り組むべきかという上段から考え、課題を提起してシューティングしていくことを相当意識していますし、求められているところかなと思っています。

――「オセロニア」のように3周年と歴史を積み重ねていくタイトルに携わる中でアナリストとしての考え方に変化などはあったのでしょうか?

松﨑: 考え方の軸はあまり変わりませんが、アプローチが変わっていくところはあります。当然「オセロニア」は新規プレイヤーや、久々に遊んでくれるプレイヤーも楽しませたい。そのためにはどうするべきかは絶えず変化していきます。

さまざまな要因で、タイトルの状況が変わっていく中で、その場その場で向こう半年を見据えて、何をするのがベストなのかを考えながら動く。そしてできることは何でもやるというところが、僕のアナリストとして軸となる考え方です。

――アナリストとして今後「オセロニア」プロジェクト全体を見てこうしたいというビジョンはありますか?

松﨑: いま考えているのは、「オセロニア」のゲーム全体としてのユーザー体験をちゃんと整えていきたいなと思っています。

運用も4年目に入ってくるので、今後は新規プレイヤーだけでなく、久々に遊んでくれるプレイヤーも増えてくる状態になると思うんです。そうした中で、今までは新規プレイヤーがどうやって階段を上っていけばいいのかを考えることが多かったんですが、今後は復帰プレイヤーが戻ってきたときに今の「オセロニア」にスムーズに馴染んでくれる方法や、また夢中になってくれる方法を考えていく必要があると思います。

その両面が上手くできるような、ゲーム全体としての綺麗な流れをしっかり組み立てられたら、長期運営していくタイトルとして今後より強いゲームにできるんじゃないかなと思っています。

アナリストとして、それを助けられるような分析や示唆出し、あとはコミュニケーションをとっていきたいなと考えています。

――3周年を迎えた「オセロニア」は、4周年に向けてどのような進化を遂げるのでしょうか。

けいじぇい: 「オセロニア」は4年目に突入しますが、これまでもコミュニティと一緒にタイトルを育ててきましたので、この先もそのスタンスは変わりません。

ただ、3周年を迎えて少し風景が変わってきたなと感じています。この2年間くらいは僕たちが作ったコミュニティの場にオセロニアンのみなさんが集まって、そこでコミュニティが形成されていく図式でしたが、オセロニアンがオセロニアンのための場を作るという流れが徐々に生まれてきているんです。

4年目は、これまで僕たちがやってきたコミュニティの場を作ることをやりつつ、さらにオセロニアンのみなさんが作るコミュニティを支援していって、オセロニアンのみなさんを介して「オセロニア」が広がっていく、というところにシフトしていこうかなという気持ちです。

松﨑: 分析部としてやることのベースは変わらないと思いますが、けいじぇいさんのお話にあったようにコミュニティの作り方、考え方もどんどん変わってきているので、それに従ってコミュニティが「オセロニア」にどういった影響を及ぼしているのかを、どこまで定量的に見ることができるかチャレンジしたいですね。

また、AIについても、どれだけゲームに良い影響を及ぼしているのかというところを、難しい挑戦ですが取り組みとしてやっていき、何かしらの示唆を出すことでその先のゲーム運営をより改善することに貢献していきたいと考えています。

――最後に、松﨑さんが感じるDeNA分析部の強みや魅力について教えてください。

松﨑: DeNAは会社全体として数字を見る文化が根付いています。そういう意味で、しっかりとしたデータ解析を元に何かしらの論拠の示唆をして、ロジックを立てて説明できればちゃんと話を聞いてもらえます。

それは分析部に限らずどの職種でもそうですが、データをもとに聞いてくれるのでアナリストとしては動きやすい文化だと感じています。

それに、定性的に自分の勘でごりごりに物事を進めるというより、一度データを見て冷静になれる環境になっています。アナリストが質の良いお題を立ててそこに対するデータ分析をして、結果を出せればそれがちゃんと事業に受け入れてもらえる。

それがゲームだったりプロダクトに反映され、その結果を自分でちゃんと測ってどうだったか検証することができるので、上流から下流までワンセットで見ることができるのはやりがいを感じられると思います。

DeNAはデータをベースにしながら、人間的な、数字では見えない部分も大切にする、情熱的な人も多いです。また、AIなど会社としての技術力を武器として活かせたり、コミュニティマネジメントに力を入れていたりと、ゲーム会社の中でもなかなか事例のない取り組みをしていると思います。

ゲーム的にも分析的にも新たなアプローチが多いため、日々刺激を受けながら働くことができる良い環境だと思っています。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【プロトタイプ開発の裏側】独自フレームワーク「Chimera」の利点と今後の展望、そして”ものづくり”に対するスタンスをエンジニアが語る

大型メジャーゲームタイトル開発を担うDeNAの「ゲームコンテンツ事業部 第二開発部」は、プレイヤーの期待値を大きく超える、高品質で魅力にあふれたゲームを生み出すことをミッションとしています。

そのプロトタイプ開発のベースを支える基盤[su_highlight background=”#99ffe6″]「Chimera(キメラ)フレームワーク」[/su_highlight]を独自で構築した、エンジニアの宇塚貴紀と大久保新樹に、機能や特徴、導入する利点などについて聞いてきました。

[su_note note_color=”#ffffff” radius=”10″]
[su_row][su_column size=”1/4″ center=”no” class=””]
[/su_column] [su_column size=”3/4″ center=”no” class=””]宇塚貴紀
ゲームコンテンツ事業部第二開発部企画開発グループ

2014年新卒入社。プロトタイプ向けのゲーム開発、大規模なシミュレーションRPGや3Dマルチプレイアクションゲームの開発を経て、現在はリードエンジニアとして新規タイトルの開発に従事。[/su_column][/su_row]
[su_row][su_column size=”1/4″ center=”no” class=””]
[/su_column] [su_column size=”3/4″ center=”no” class=””]
大久保新樹
ゲームコンテンツ事業部第二開発部技術第二グループ

2015年にDeNAに入社。20年ほど前から家庭用ゲーム機向けのゲーム開発に携わっており、現在はアプリや基盤の開発を担当。[/su_column][/su_row]

[/su_note]

丁寧な設計よりもシンプルかつスピーディーなプロトタイプ開発

――まずは、お二人が所属されている第二開発部のミッションについて教えてください。

宇塚貴紀(以下、宇塚):第二開発部は、メジャータイトルを手がけるプロフェッショナル集団として、プレイヤーが求める期待を真っ向から超えられるよう、魅力的で品質も高い大規模タイトルを内製で開発する、というのが主なミッションです。

大久保新樹(以下、大久保):そのようなタイトルは大規模になるので、数打つわけではなく、1つ1つ注力して開発しています。

――その中でお二人の役割は?

宇塚私はコアロジックからUIや演出などまで、フロント全般を開発しています。いかにプレイヤーが気持ち良くゲームに触れるか、リードエンジニアとしてチームのデザイナー、プランナーと相談しながら、私達が目指すおもしろさやカッコ良さを実現させていくことが、主な仕事になります。

大久保:最近は主にゲーム開発のベースとなる部分の開発をしていることが多いです。後ほど紹介するDeNA独自のフレームワーク「Chimera(キメラ)」(以下、「Chimera」)も、プロトタイプを早く組み上げるためのフレームワークです。

――ゲームのプロトタイプ開発で心がけていることを教えてください。

宇塚長期的に利用する機能や運用ツールは、機能を足したくなったときのために拡張性を作っておこうという、先を見据えた準備が必要だと思っています。

そこができていないと、開発メンバーが使いにくかったり、時代の流れに合わせた付加価値を出すことができなくなり、修正コストも大きくなって、自分以外のメンバーに迷惑をかけてしまいます。

私自身、1~2年以上開発した大規模なプロジェクトや個人でゲームを開発してきた経験の中で、先を見据えた拡張性が本当に問題だと感じています。プロトタイプ開発の場合でも、以前は先を見越して丁寧に作ることを良しとしてきました。

ですが、プロトタイプ開発って「こういう風に切り替えたほうが面白いよね」とか「この機能作ったけど全部必要なかった」といった想定外の変更が頻繁に入るんです。

あるメンバーのアイデアを試した結果、またそれにより全く新しい別のアイデアが生まれるということもよくありました。そういう場合、1つ目のアイデアを実装するときに組み立てた設計やクラス構造通りでは、2つ目のアイデアを実現しにくい、というケースも頻繁にありました。


でも、そうなった時にエンジニア側が勝手に考えたレールによって、良いアイデアを捨ててしまうのはもったいないことです。
だからプロトタイプ開発では、あまり先のことを想定しすぎず、現時点で作った部分が不必要になったときにすっきり消せるようにして、大きな変更があったときに置き換えしやすいようにすることを心がけています。

そうは言いつつ、大久保さんからは「ここ作り過ぎじゃない?」と言われたこともあります(笑)。

大久保:結構みんなプロトタイプ開発なのに、本格的に作るクセが付いている気がしています。
プロトタイプ開発では、シンプルに作って試してみてダメだったら消して、良かったら後から丁寧に作り直すほうが良いんです。おもしろさを試すという意味では、やり過ぎなくらいシンプルに作ったほうがスピードも上がりますから。

独自フレームワーク「Chimera」がプロト開発にもたらす利点

――そのような背景もあり、DeNA独自のフレームワーク「Chimera」が生まれたのですね。

大久保はい、「Chimera」はゲームのプロトタイプをすばやく作るための、アクション性のあるゲームを主な対象としたフレームワークです。


――改めて、なぜ「Chimera」を作ることになったのでしょうか?

大久保:「Chimera」が生まれたのは、新しいゲームのプロトタイプをすばやく作り、アイデアをたくさん試せるようにためです。プロトタイプを作り始めるときに、ゲームとして本当に基本となるような機能だけを作るとしても、一定の開発工数が必要になります。

ただ、それぞれのプロトタイプチームが別々に基本機能を作った際に、似た機能の開発に時間を割くのはもったいないので、どんなタイプのゲームであっても基礎部分として使えるフレームワークを用意し、アイデアを試す部分により時間を使えることを目指して、僕がイチから作りました。

――「Chimera」の主な機能や特徴は?

大久保主な機能や特徴ですが、ゲームを開発する上で必要そうな細かい機能(下記参照)がまとまっています。
[su_box title=”「Chimera」の主な機能” box_color=”#9caac1″]
・当たり判定とそれに伴う汎用ダメージ処理
・エンティティ管理
・エンティティ間のメッセージのやり取り
・キャラクターの行動制御
・キャラクターのAnimation制御
・キャラクターのステータス変化の制御
・カメラ制御
・開発確認やDebugをしやすくするコンポーネント
・その他便利なコンポーネント[/su_box]

また、別パッケージでは「Photon Unity Networking をChimera上で使う仕組み」「Photon Bolt をChimera上で使う仕組み」「シンプルなUI要素」などがあります。

――実際に「Chimera」を使ってみていかがでしたか?

宇塚「Chimera」のコードはシンプルで使いやすく、流れがパッとわかるんです。ゲーム開発の歴史のいろいろなものが積み上がった知識が詰まっているので、理解しやすく自由度も高くて、どんなプロトタイプ開発でも使いやすいと感じました。

もちろん、始めて使ったときは今までの作り方とのクセの違いに少し苦労しましたが、そこを乗り越えてからは開発スピードはものすごく上がりました。自分がプロト開発をゼロから始めたら、基本的な機能を整えるのにずっと長い時間が必要だっただろう、と感じています。



――その他、「Chimera」の利点などはありますか?

宇塚ゲームで実現したいアイデアや機能って、実は他チームのゲームと似通っていることも多いんです。

例えば「キャラクターが走ってジャンプしてアイテムを取る」というようなゲームでよくある機能を作るとき、「Chimera」を使っているタイトル同士であれば、当たり判定やキャラクターの動作の処理が類似しているので、他のタイトルで実装済みの処理を利用することができます。

基盤や設計思想が違う場合は、考え方を参考にする程度でほとんどの処理を自分のタイトルに合わせて書き直さなければならないですが、共通の基盤に乗っているとその無駄を省くことができます。

また、自分自身で複数のプロトタイプを作るときも、1作目で使ったダメージ数値を表示する機能を、2作目を作るときにそのまま引用できましたし、ミニマップのUIや、キャラのHP・MPと当たり判定をつなぐ部分なども使い回せました。

1回作った機能は後でまた使いたいときにスムーズに導入できるので、「Chimera」を使っての開発は進めば進むほど、次の開発スピードが上がっていく感覚があります。

「Chimera」が広いゲームジャンルで使えることにより、多くのプロトタイプで機能の再利用ができることも利点だと思っています。

――結果的にプロト開発のスピードは上がったと。ちなみにどれだけ生産性が上がったのでしょうか?

宇塚成果を言葉や数字にするのは難しいですが、仮に多くのゲームで実装するような当たり判定を、本やネットのコードだけ参考にしてゼロから作るとすると、バグ取りも含めて1~2週間はかかると思います。

「Chimera」を使えば、拡張しやすい当たり判定をスルッと再利用できるので、10営業日くらいのコストダウンにはなります。当たり判定以外にもよく使う基本的な要素を整った形で導入できることを考えると、慣れている人がやらなければいけないタスクの数ヶ月分がスッと手に入るイメージでしょうか。

大久保その分、初めて使うときの学習コストが2週間程度かかりますが、結果的にコストを縮めることでより多くのアイデアを試す時間に使えて、ゲームをさらに改良できると思います。

宇塚どのゲームでも同じように動けばOKという部分は絶対にあるので、同じ機能をわざわざ毎回作るという無駄なコストをかけなくて良いのはありがたいですね

――実際に使っている宇塚さんは「Chimera」に対して何か要望はありますか?

宇塚「Chimera」はUnityでの開発に利用できるフレームワークです。Unityはグラフィカルなインターフェースを使ってさまざまな設定ができること、またそのエディタを拡張しやすいことが強みだと感じています。

一方で、特に初期の「Chimera」はGUIを使わずにコード上であらゆるものを設定する思想になっていたため、作り方は大きく隔たっていましたGUI上での設定をよく利用していた私からすると、全てをコードで定義しなければならないのは辛いな、と思った部分はありました。

ただ、慣れてくると全てがコード上に残っているので、コントロールはしやすいことがわかりましたし、グラフィカルにする部分も自分で作ろうと思えば作れるので、解決はできました。

今後の展望としては、例えばデザイナーと一緒に開発する運用期にGUI的なツールと「Chimera」が組み合わせやすくなっていると、初めて触る人でもあまり困らないかなと思っています。

――「Chimera」の改善点や今後の展望はありますか?

大久保「Chimera」自体はプロトタイプ開発での使用を想定したものなので、開発効率を優先していて、CPUコストやメモリ使用率などは気を使って作られていません。

そのため、製品に出す場合は「Chimera」はクオリティ的に使えないので、今後はプロトタイプ開発でも製品版でも使える「Chimera2」を開発中です。

宇塚いま「Chimera」でプロジェクトを動かしていますが、大規模で多くのキャラクターを出す場合に、パフォーマンスより拡張性を重視した仕様が起点となって負荷が高まってしまったり、開発していて「Chimera」側で調整してくれたら助かるということが、少しずつ出てきています。

その部分を改善した「Chimera2」のようなバージョンを、大久保さんが作ってくれています

――社内のプロト開発全体に好影響をもたらす「Chimera」がエンジニアにもたらしたことを改めて教えてください。

宇塚新規プロジェクト始動時メンバーがゼロからスタートして、バラバラに部品を作ることによる再発明の多さや工数の無駄遣い、クオリティのバラつきをなくすという意味で共通的なものが生まれて、エンジニアとしては非常に助かっています。社内でさらに有効に使える人が増えていくと良いなと思っています。

大久保Chimera」がゲーム開発の参考になっていると思います。

宇塚:あと、「Chimera」のコード自体は全社公開されているので、社内でゲームの基礎部分を開発しようとする人には、とても参考になっていると思います。

――現状、DeNAのエンジニアはみんな「Chimera」を活用しているんですか?

大久保社内全体で使われているわけではなく、以前からあるプロトタイプチームと、今僕と宇塚さんでやっている新しいゲームの開発で主に使用しています。

「Chimera」を使った開発の現状についても、当たり判定やキャラの基本的な行動制御などは、過去のゲーム開発で積み上げた知見を活かして、すばやく実現することができましたし、それによって、ゲーム特有のロジックやネットワーク制御といった機能に集中して開発を進められています。

宇塚:プロトタイプを作るいくつかの部署で使われており、「Chimera」を利用する中でどんどん大きくなっているプロジェクトもあるので、効果は出ていると感じています。

DeNAエンジニアの”ものづくり”に対する姿勢

――お二人が所属する第二開発部にはどのようなタイプのエンジニアが多いですか?

宇塚DeNAは会社全体としてロジカルな考え方をしながら、ゲーム開発に対して情熱的な思いを持つタイプのエンジニアが多い気がします。

大久保確かにそうですね。ロジカルでパッションを持ったエンジニアというイメージが強いと思います。

宇塚:以前、私が担当していたアクションゲームの開発チームメンバーに若手が多かったこともあり、自分たちが作ったものに対して「良いよね!」「これすごいじゃないですか」と自画自賛するエンジニアもいたりと、ゲーム開発という”ものづくり”において情熱的なメンバーが揃っていると思います。

――お二人のエンジニアとしての”ものづくり”に対するスタンスは?

大久保自分自身がものを作っているのが好きで、楽しみながらゲーム開発のエンジニアをやっています。なので、自分が楽しんで作ったものを他の人たちも楽しんでくれる、お互いにハッピーになれたら良いというスタンスでものを作っています。

宇塚驚くようなおもしろさや、心を動かすようなものがゲームの世界なら作ることができると思っています。

自分でもゲームをプレイしていて、ビックリするくらいハマっちゃうこともあります。そういう人の心を揺り動かしたり、泣いたり喜んだりする感情を、自分たちが作るゲームで周りの人にも体験してもらいたいと考えています。「最高だよね!」という感動をみんなと共有して、本当にすごいものを作ったと言いたいです。

ゲームは今やれることがどんどん増えていて、今後20年、30年と時代が進んだときに、「ゲームなんて子どもの遊びでしょ」と言っていた人たちでさえ、「感服しました、ゲーム最高です!」と思わせてしまうようなすごい体験を提供できるんじゃないかと思っています。

今の段階でも、それにどんどん近づけるくらい、おもしろいものはできていると感じていますし、そこを目指して日々楽しみながらものづくりに取り組んでいます。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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『メギド72』初リアルイベントの舞台裏! 宮前Pと運営メンバーが語る今後の野望

2018年10月28日に都内で開催された『メギド72』リアルイベント「メギド72 banquet ~ソロモン王たちの祝宴~」。今回、『メギド72』プロデューサー宮前と、運営に携わった鶴川を迎え、初のリアルイベントで取り組んだ内容や手応え、反省点など、当日の様子を振り返ってもらいました。

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宮前 公彦 | Kimihiko Miyamae
『メギド72』プロデューサー。2014年にDeNA入社。デザイナーとしてキャリアをスタート。コンシューマーからモバイルゲームの開発・運営と幅広くタイトルに関わる。とにかく、アイデアをガンガン出すのが大好きなP。プロデューサーレターも更新中! (写真左)

鶴川 将志 | Masashi Tsurukawa
マーケティング担当。2013年入社。『メギド72』リアルイベントでは、宮前Pとタッグを組んで企画立案~当日の運営までを統括し、宮前のアイデアを具体的な形にしたリアルイベントの施策オーナー。(写真右)

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『メギド72』初のリアルイベントに想定以上の応募が殺到

――募集数200組400名のところ、1,500名を超えるご応募をいただくなど、事前の反響が大きかった印象があります。まずは当日を振り返って、率直な感想を聞かせてください。

宮前:本当に、あっという間の一日だったのを覚えています。会場では来場してくださったお客さまとふれあいつつ、お客さまの楽しそうな表情を直接見ることができて嬉しかったです。

鶴川:とても楽しかった! というのが素直な感想です。お客さまたちの笑顔や歓声をリアルに感じることができ、運営チーム全体として素晴らしい体験になりました。事後アンケートには「次回も参加したい! 」といった声を多くいただいたのも、本当に嬉しかったですね。

DeNA宮前『メギド72』プロデューサー 宮前公彦

――どういった経緯でリアルイベントが決定したのですか? 

宮前:7月2日~8月末までゲーム内での施策を大幅に増やしたのですが、1周年を迎える12月7日までの、9~11月の期間にあまり目立ったイベントがなく、悩んでいました。

そんな中で「ハロウィンのタイミングでリアルイベントやろう! 」と、なんとなく自分の中で決めていたんです。

初期アイデアでは、仮装して秋葉原でリンゴあめ(※)を配ることを考えていましたが、トラブルが起きたときに対処できないなどの理由で、開発メンバーと会場を確保することを決めました。

それから10月末の週末にまだ空きがある会場を開発メンバーと一緒に探し、大きさやレイアウトなどを確認して今回実施したイベント会場に決めました。

※『メギド72』ゲーム内には育成アイテムとして贖罪のリンゴ、賢者のリンゴなどが存在し、リンゴにまつわるネタも多数。当日の物販ではそれにちなんだ商品「リンゴあめ」が販売されました。

宮前:社内のメンバーにヒアリングしたら「最初のイベントで100人集めるのは大変」と明かされて、さらに心配になってました。

鶴川:いやー、不安でしたね。

――ところが、実際の応募は想定外の多さだったと! 

宮前:はい! 応募者数が1,500人超えたって聞いて、まずホッとしましたよ。

鶴川:初日で500人くらい、一週間後には応募が1,500人を超えていたので、安心した反面、この人数から200人しか当選しないと思うと、心苦しくて……。

宮前:落ちる人のほうが多いじゃんって。自分たちが思っている以上に、熱量がじわじわ上がっていったので、改めて責任を重く感じましたね。

DeNA鶴川マーケティング担当 鶴川将志

――鶴川さんはリアルイベント決定前のいつ頃から今回の運営メンバーに加わったのですか? 

鶴川:チーム全体に向けて「これからがんばりましょう! 」というメールを送ったのが、8月22日です。それから約2ヶ月ほど、毎日のようにリアルイベントのことだけ考えていました。

宮前:鶴川さんが「僕に任せてください! 」ってほとんど巻き取ってくれて、本当に助かりましたよ。私だけで突っ走ると、常にやりたいことだけをどんどん言ってしまうんで。ゲーム開発の現場でもチームメンバーが冷静に調整してくれるんです。

鶴川:逆に二人の性格のバランスが良かったのかもしれません。僕はどちらかというと、散らばった情報や課題を整理して推進することの方が向いている性格なんですよね。

宮前:私のまわりには、散りばめたアイデアを、現実的に判断してくれるメンバーが多くて助かってます。

鶴川:今回は宮前さんのアイデアが泉のように湧いて出た印象です。ただ、正直このタイミングで追加はやめて……と悩むこともありましたが、やり切って良かったことしかないですね。できることをチーム全体で考え抜き、ギリギリまでやりきった思いが強いです。

喜びとサプライズを意識したアイデアをとにかく絞り出す

――それでは改めて、リアルイベントでこだわった点や、気をつけた点を教えてください。

鶴川:まずは、コンテンツの平等性を重視しました。『メギド72』はキャラ・イラスト・世界観・バトル・音楽などたくさんの魅力が詰まっているタイトルなので、お客さまがまんべんなくイベントを楽しめるように内容を工夫しました。

宮前:私は普段メンバーに向けて、RPGはビジュアル、音楽、シナリオ、ゲーム性のすべて揃って魅力的なので、すべてのコンテンツに力を入れよう! と話しています。

それは、「特定のコンテンツ好き専用」のような意識はせず、全員が自分の好きなように楽しめるイベントを提供していくことと同じ意味だと思っています。

鶴川:来て頂いたお客さまがイベントを楽しみながら、『メギド72』をもっと好きになるような「体験」はどういう体験か?を軸に設計しました。

ですが、イベントの振り返りをしていく中で、至らなかったこと、反省点も多かったことをしっかり認識することができました。ここは、次回しっかりと改善していければと思っています。

――特に、お客さまに楽しんでいただくような施策(リアルイベント内コンテンツの選び方など)について、留意した点やそれに伴ったアイデアについて教えてください。

鶴川:イベント体験は当日だけに限られたことではないので、応募開始時からワクワクするようなネタを仕込んでいきました。

まず、当選者に送る招待状は、ゲーム内の「召喚チケット」のデザインを模して、宮前Pの今回のリアルイベントに対しての想いを手紙にして同封しました。受け取った人が、Twitter上で写真を撮って投稿してくれているのを見かけたときは嬉しかったです。

実際に当選者に送られた召喚チケット。細部までこだわって作られています。

宮前:イベント開始前から喜んでもらうことを一番に考え、話題になりそうなネタを作ったのですが、SNSでの拡散を見てビックリしました。

鶴川:本気で喜んでもらうために、チケットの厚さや素材にもこだわって作りました。色味もゲーム内イラストと同じようにちょっとくすんだ色にしてみたり……工夫を重ねましたね。

宮前:チケットの裏のハンコの色指定も私がやったんですよ。最終チェックは自分がしながら、社内のデザイナーに直接お願いして、試行錯誤して完成させました。

――このようなユニークなアイデアはいくつくらい考えました? 

鶴川:もう、覚えていないくらい考えた気がします。

宮前:確かに覚えてないかも……。企画では、まず自分が最初にやりたいことをドンドン出してみるんですが、全部実現するとかなりの予算オーバーになってしまうので、そこから取捨選択していきました。

鶴川:今回のイベントの最初のテーマは「文化祭」や「お祭り」だったので、射的や投げ輪のようなアイデアもあったんですよ。

宮前:そうそう。より気軽に遊べるような実験的なイベントも考えていましたね。

鶴川:そのほか、主人公のソロモンの指輪やタトゥーを再現するネイルコーナーや、号泣ペイント、バルバトスとマルコシアスが持つ武器で遊ぶ射的といった企画もありましたね。

――まさか、マルコシアスはあの杭を撃ち出す武器ですか!? 

清く正しく、直情的な追放メギド「マルコシアス」。多数の木の杭を撃ち出すゴツい銃を持っています。

鶴川:そうそう、あれです! 製作の見積もりしたら、予算を大きくオーバーしてしまいました(笑)。

宮前:さすがに、金額見てあきらめましたよ……。

鶴川:2名呼ぶ予定だった公式コスプレイヤーも、ブネ1人に絞りました。だからこそ、ブネの衣装はゲームイラストに忠実に作り込むことにしたんです。

宮前:ゲームのリアルイベントコスプレイヤーは女性キャラが多いですが、逆に背が高い筋肉質のキャラが出てきたら盛り上がるかなって思って。

鶴川:実は、モデルさんの身長も、ゲーム内のブネの設定とほぼ同じなんですよ。

宮前:なかなかぴったりな人が見つからなくて大変でしたね。自分でボディビルの会社に電話して「195cm以上のマッチョな外国人の方いますか? 」って聞いていました(笑)。

鶴川:最終的に候補が2名残って、よりブネに近づけるために、腕の筋肉が太いモデルさんにお願いすることに決めました。

ストーリー序盤で仲間になる追放メギド「ブネ」。ソロモンたちの兄貴分で筋骨隆々、豪快な性格です。

――リアルなブネのコスプレイヤーを見てみなさんどんな反応でした? 

鶴川:みなさん驚いていました。背が高いので、一部の人にはお披露目前にバレてましたが……。余談ですが、ブネのモデルさんはすごく丁寧な方で、帰りにわざわざ宮前さんのところまで挨拶しに来てくれました。

サプライズを散りばめて期待値をさらに超える

――宮前Pは会場の中で多くの人に声をかけられたようですね。

宮前:ええ、たくさんありました! 

鶴川:むしろ自分から話しかけに行ってましたよね? 

宮前:バレてた……。私はイベントで大事なのはおもてなしだと思っているので、受付の横でご挨拶していたら、自分を知っているお客さまが「あっ! 宮前Pが出迎えてる! 」と驚かれました(笑)。

鶴川:お客さまも、いきなり宮前Pがお出迎えするとは思ってないですよ(笑)。

宮前:こちらも、お客さまから「このゲームをつくってくれてありがとう! 」と言われて、素直に嬉しくて、感動してしまいました。

ただ、イベント出演の都合で、お客さまとあまり交流できなかったのが悔やまれます。なんとか空き時間を見つけてイラストコーナーで絵を描いていたら、みなさん集まってきてくれて、わずかな時間しか取れませんでしたが、楽しかったです。

鶴川:隣で宮前Pが絵を描いていたらビックリしますよ(笑)。 

宮前:ステージ出演者の出番も、あわてて私が呼びに行っちゃって……。周囲の方を騒がしてしまって、ごめんなさい!

鶴川:開催決定時から、みなさんずっとリアルイベントを楽しみにしてくれています。その期待を満たすのは当然で、さらに超えていくための設計をどのようにするのかを大事にしています。

また、イベント内でコラボカフェを考えていたんですが、内容が決定したのがイベント開始前ギリギリになったので、告知が間に合わなかったら「フードあるなら教えて! 食事しちゃいました……」との声もあったので、改善点として次回に生かしたいですね。

ガープの腹筋サンドイッチ、シャックスのオムライスサンドなどメギドにちなんだフードが販売されました。

――当日まで秘密だったコンテンツも多かったんですね。

宮前:VR、オリジナルフード、デカスマホでもらえるステッカー、ステージイベントに登壇する声優さんも一部しか公開できませんでした。

鶴川:物販は、商品の数に限りもありましたし、どういう商品をいくらで販売するかは事前にお伝えしておきたかったので、こちらはイベント開催前ギリギリになったのですが、事前に情報を公開できました。

物販のTシャツに実は秘密が!『メギド72』にかけて、ロゴの幅がほぼ7.2cmの設定になっているんです。

――想定していたアイデアはほとんど組み込めましたか? 

宮前:はい、ほとんど実現できたと思います。関東以外から来てくれる方もいるので、イベント開催時間は約6時間だったのですが、その6時間全てが面白かった、来て良かった! と感じてもらえるのを目標としました。

鶴川:そうですね。約6時間という長い時間をどう設計することが、お客様に満足頂けるかどうかを時間が許す限り考えました。

宮前:ステージイベントに関しては、じっくり見たい人は前の席に座って、バトルに興味がない人は他のコンテンツに並びながら見れるようなレイアウト設計を考えました。後方ではうちわを振って応援してくれる人も見えましたよ。

運営も予測できないほど盛り上がったPvPステージ

――PvPの生コロシアムもかなり盛り上がったようですね。

宮前:『メギド72』のPvP(コロシアム)については、他のコンテンツに比べて利用者がまだ少ない状況ですが、毎日コツコツと安定して遊べるコンテンツにすることは可能だと考えているので、今後も改修する予定です。

鶴川:事前のアンケートでも、PvPよりも他のコンテンツへの期待の方が高く、盛り上がるかどうか不安だったので一番驚いたのは運営側でした(笑)。

宮前:ビックリしたね~。個人的には、盛り上げられると思っていたけど、想像以上でしたね。

――PvP予選会場も盛り上がっていたんですか? 

鶴川:予選には、想定以上の人数が集まって、熱戦でしたよ!  

宮前:最初は3ブロック×8人、24人だったんですが、倍の人数が参加したので、急遽ブロック枠を変えて、3回→4回勝てば上位になれるシステムに変更したんです。

鶴川:当選者のアンケートでPvP参加希望者が想定を超えており、会場のレイアウトも変えて席も増やしました。

――ステージでは残念ながらミヤマエ軍団が負けてしまいましたね。

宮前:ええ…(泣)。でも彼らの名誉のために話しますが、挑戦者は絶対に流行りデッキを組んでくるはずだから、運営側は流行りデッキ以外を組んで、普段見れないトリッキーな編成で戦ってもらったため、負けてしまった、とも言えます。まぁ、言い訳ですが(笑)。

鶴川:ステージで繰り広げられたアツいバトルに、運営側も釘付けになっていたのが印象的でした。

宮前:そうそう! みんな食い入るように見てた! (笑)。

リアルイベントで感じた確かな手応えと、次回への反省点

――今回のリアルイベントすべてを通して、一番嬉しかったこと、感動したことはなんですか? 

鶴川:やはり当日に会場で感動したことが多かったですね。想像以上にお客さまが喜んでくれたのと、スマホで遊んでいた人がステージで今後のメギドの話が出たときに、立ち上がって見てくれたのは特に嬉しかったです。

宮前:スタンディングオベーションがあったのは、本当に嬉しかったですね。

鶴川:あれは、後ろで見てて本当に泣きそうになりました。立ち上がって見たいと思えるほどのプレゼンができて、お客様が楽しめるコンテンツを、少しずつでも提供できていることを実感した瞬間でした。

宮前:自分で言うのもなんですが、6章以降「追放のクロニクル編」や「ハルマとの対峙編」など今後のストーリーは、絶対気になりますからね! 

鶴川:ストーリーはぜひ楽しみにしてください。また、会場内のコンテンツの名称もダジャレで厨二病っぽくなってるのも気づいてもらえたでしょうか? 写真禁止のイラストコーナーは「制作の禁域」など、結構凝っていたんです。

宮前:会場の「フォトンスポット」の看板には、写真を撮れるフォトスポットにかけて「フォトnスポット」と文字をいじって面白くしたつもりが、なぜか直っちゃってましたね。

1枚の布にメギド72柱が描かれた大迫力のフォト(ン)スポットです。

鶴川:え!? わざとだったんですか! 僕、打ち間違いだと思って直しちゃいました(笑)。

宮前:えーー!? 鶴川さんが直しちゃったの?(泣)。

鶴川:宮前さん忙しくて、打ち間違えたと思って……(笑)。

――リアルイベント全体を通して感じた学んだ点、気づいた点を教えてください。

鶴川:終了後に回答いただいたアンケートを集計して、お客さまの意見や要望をしっかりと確認しています。ここまで盛り上がったのは、本当にみなさんのおかげなので、その思いに答えるような素晴らしいものを今後も提供したいと強く思いました。

宮前:反省点はしっかりと直しながら、ちょっとしたアップデートではない、さらに良いイベントにしたいと考えています。せっかくできた素敵な思い出を、さらに超えていくのは大変かもしれませんが、がんばります! 

構想段階の企画については、ステージで発表したように小規模での「コロシアム」やファンミーティングなどをもっと増やしたいと思っています。

鶴川:運営メンバーと交流したいという声も多く、以前、DeNAで開催した小規模な交流イベントも盛り上がりました。最高の体験を提供するのは開発と運営の使命ですね! 

――お客さまの期待を大きく超える、次回以降のイベントは大変だと思います。

鶴川:責任重大です! メギドの開発チームにはいろいろなアイデアや思いを持っている人しかいないので、一枚岩でぶつかっていきます。まず、宮前さんにはどんどん夢を語ってもらえば! 

宮前:語っちゃいますよ! 今回、開発チームメンバーは工数に入っていない作業も手伝ってくれたり、イベントのVRもギリギリまで調整してくれて、クオリティの高いものを提供することができました。

鶴川:当日も「手伝わせてください! 」と率先して参加してくれて。また、社外の取引先の方々も来場してくれて、最後までたっぷり楽しんでくれました。

――直近のトピックスやアクションを教えてください。

鶴川:年末に開催する「コミックマーケット95」で物販を展開します! 「メギド72banquet~ソロモン王たちの祝宴~」で販売した一部の商品に加え、新商品もご用意する予定です。

宮前:さらにコミケ会場で「公式ヴィジュアル資料集」を販売する予定になっています。こちらは全国の書店にも並びますが、DeNAブースでも販売したいと考えています。

「メギド72banquet~ソロモン王たちの祝宴~」会場で販売されたグッズの一例です。

鶴川:今後のイベントは、東京以外の都市でも開催したいですね。コラボカフェとか……! 

宮前:そうだ! カフェのワゴンカーで全国周りたいよね!

鶴川:おっ! ここにきて新しいアイデア出てきました(笑)。まだ実施が確定した企画ではないので、まずは現実的かどうか含めて、企画の検討から開始しましょうか。

――いきなり新しいネタが生まれましたね。次のリアルイベントも期待しています! ありがとうございました。

 


 

プロデューサーの宮前と運営の鶴川の仲がとにかく良く、まるで夏休みの思い出を話す子供のように、イベントについて嬉しそうに語っていたのが、印象的なインタビューになりました。

1周年を迎えた『メギド72』に限らず、DeNAのゲームやイベントを運営するチームの思いや、実際の仕事内容が、彼らの言葉から少しでも伝われば幸いです。

来場者と運営チームがお互いの「メギド愛」を確かめ合い、大盛況で終わったリアルイベント。次回以降もかなり期待できそうですね。

※本記事は2018年12月時点での情報です。
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