2018 16 Feb

ゲーム開発基盤部を大解剖!〜DeNAゲームクリエイターが開発に集中できる秘訣とは〜

ゲーム開発基盤部を大解剖!〜DeNAゲームクリエイターが開発に集中できる秘訣とは〜

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2018.02.16

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DeNAのゲーム開発を支える開発基盤部。開発基盤部のエンジニアたちは、各タイトルの開発チームがクリエイティブに専念できるよう、土台となるコンポーネント開発を担っています。部署の役割やこれからのビジョンについて、開発基盤部部長の惠良和隆と、開発基盤部グループリーダーの北澤慶郎の2名に詳しく話を聞きました。


惠良 和隆 | Kazutaka Era
2013年入社。開発基盤部部長。前職のコンシューマーゲーム会社時代から、ゲームエンジン・ツールなどの基盤開発やタイトル開発に携わる。DeNA入社後は、ネイティブアプリの開発を基盤技術の提供によりサポートする。


北澤 慶郎 | Yoshiro Kitazawa
2008年新卒入社。複数のブラウザゲーム・ネイティブアプリの立ち上げを経験した後、各タイトルを技術面で横断サポートする開発基盤部第一グループに配属。基盤技術の設計・開発を行う。

 

――開発基盤部はどんな事をしている部署ですか?

惠良:
どのゲームタイトルでも必ず必要になる共通のコンポーネントをまとめて作って、ゲーム開発チームに提供するのがミッションです。
DeNAのゲーム事業はブラウザゲームから始まっていて、ネイティブアプリを作るにあたっては、正直他社よりも出遅れてたんですよね。

そこを巻き返すために、共通部分を開発基盤部が一手に担うことで、ゲーム開発者の負担を減らして各タイトル独自のクリエイティブに打ち込めるようにサポートしようというのが始まりでした。

コンポーネントを提供するだけでなく、運用やワークフローといったナレッジの共有も積極的にしています。
ナレッジ共有に関してはまだまだこれからな部分も多いんですが、試行錯誤してやっているところです。

今は「ゲーム開発の現場を知って、適切な開発環境とソリューションを提供することで、開発力・運営力の底上げとコンテンツのクオリティ向上に貢献する!」ことを目標に、枠にとらわれずいろんな事に取り組んでいます。

 

――縁の下の力持ち的な存在なんですね!ちなみに、開発基盤部の中での役割はどのようにわかれていますか?

北澤:
チームで数えると結構たくさんあります。大きなところでいうと、汎用ゲームサーバーの「Sakasho」、同期通信用サーバーの「IRIS」、内製ゲームエンジン「LiftEngine」、翻訳作業のワークフロー支援ツール「LION」、DeNA内製のサウンドエンジン「DeAL」などがあって、全部数えていくともっともっとあるんですが……基本それぞれのコンポーネント毎でチームがある感じです。

当たり前ですが各ゲームタイトルによって必要なコンポーネントが違っているので、いろいろな組み合わせで導入されています。

開発基盤部としては、コンポーネント毎の担当チームを組んで開発運用するようになっています。

 

――部長である惠良さんは、2013年にコンシューマーゲームの開発会社から転職されたということですが、当時のDeNAのゲーム製作環境はどのような状況だったのでしょうか?

惠良:
当時はPerlとかJavaScriptのコードがまだまだ現役でしたね。

その後、会社としてブラウザゲームからネイティブアプリにシフトしていこうってなって、開発にUnityを使用するようになったんですが、まだ誰も使い方を知らない状況でした。

当時は今よりも開発スキルとかワークフローの積み上げが足りない部分が多かったので、開発基盤部がしっかりサポートする必要がありました。

 

ゲーム開発チームと足りない部分を補い合いながら
理想に近づける作業

 

――共通コンポーネントの開発において、特に苦労したことはありますか?

惠良:
最初に開発した「Sakasho」は、1から作り上げたということもあって相当苦労しました(笑)。
しかも一気に複数タイトルで運用することが決まっていたので、スケジュール的にもサポート的にも大変で。

それにアプリゲームの場合は、コンシューマーと違って運用してからの方がむしろ大変なんですよね。

コンポーネントの足りない機能とか設計の粗がリリースしてから見えてくるのが悩みどころで、Sakashoの足りない点をゲーム側の機能でカバーすることもよくありました。

 

北澤:
そういうあとから見えてくる改善点は全部基盤開発にフィードバックするようにしてきたので、今のSakashoは機能的には足りている状態になってると思います。

ただ制作してからの期間が経ちすぎてきて、積み上げてきた機能がある程度のボリュームを超えてくると、作り変え自体が難しくなってきますよね。
そうなってくるとゼロから新しく作ったほうが効率が良い部分もあるので、今Sakashoの後継にあたるコンポーネントを開発しているところです。

 

惠良:
はじめはアプリゲームを作る技術の習得からのスタートだったので、Sakashoの自由度をあえて制限して、決められたAPIの中からゲームを作る手法をとっていました。

それがうまく働いてくれて、一定のゲーム作りはできるようになってきたように思います。

逆に今は、この後どんなゲームを作っていくかを考える時期に入ってきたんじゃないでしょうか。

今まで見たこともないようなユニークなタイトルを作るためには、ゲームサーバー側にも独自の機能が求められてきますね。
コンテンツに特化した機能とか、ゲームスペシフィックな仕様に基づいた機能が必要になってきます。

その要望に応え続けることで、DeNAのゲーム全体のクオリティを引き上げることにも繋がると思っています。ただ結構大変です(笑)。

 

開発チームからの要望に全力で応える
ーそれがDeNAの強みになる。

 

――今後のトレンドを見据えてのお話が出ましたが、アプリゲーム市場全体のトレンドを予測したうえでコンポーネントの設計をすることはあるのでしょうか?

北澤:
基本的には自分たちでトレンドを予測して設計するということはないですね。逆に何を求められても大丈夫なようにするのがミッションだと思ってます。

どんな突拍子もないシステムを要求されたとしても、「他社にできなくても、DeNAならできる」状態を目指したいです。

 

 

惠良:
これまでのシステムが総崩れになるようなアイディアが出てこないとも限らないので、どんなシステムでも支えられるような骨組みをしっかり作ることが、今後もっと重要になってきます。

新規コンポーネントだと、タイトルの企画に合わせてどんどん改良と刷新を重ねていくのがポリシーですし、パッと見てどんなシステムになっているのかわからないってくらいのものを作れるかどうかが、エンジニアの腕の見せ所ですね。

 

IT企業とコンシューマー開発企業の体質的違いを埋める為に

 

――お二人からみて、今のDeNAゲーム開発はどのように映っているでしょうか

北澤:
僕個人の感想ですけど、今はみんな試行錯誤を重ねて、とにかくがむしゃらにゲームを作っているって感じがします。
DeNAはネイティブアプリを作り始めてからまだそんなに年数は経ってないけど、そのわりにゲームの本数がすごい多いんですよね。

目標に向かってすごいスピードで進む事が、うちの強みだったり個性だと思う反面、人とかチームの動きと一緒に技術者が分散しているのも事実で、技術力の密度が薄まっている感じは正直あると思います。

 

惠良:
コンシューマーの場合は、1本のゲームを作るのに何年もかけたり、ずっと同じチームでシリーズを製作することもあって、言わば“秘伝のタレ”のようにチームワークとスキルが蓄積されやすい環境にありますよね。

DeNAの場合は異動も頻繁にあるので、社内での技術者の流動性は比較的高い方だと思います。1年くらい担当して別のタイトルに異動することもしょっちゅうです。

ゲームのプロトタイプからリリースまで担当すれば一通りのゲーム作りの経験を得られますが、運用フェーズに入ってからアサインされたメンバーだと、どうしても知らない事が出来てしまいます。

全体で見ると、運用メンバーのほうが比率が高いところからもわかりますが、一気通貫でタイトルに関わった事のある技術者はまだまだ少ないと思います。

 

北澤:
確かにそうですね。
開発基盤部の場合だと、ゲーム開発の経験がある人とそうじゃない人との間で、基盤部分に対しての捉え方も違う気がします。

 

惠良:
ゲーム開発の経験もあった上で基盤の重要性を理解してくれている人と、基盤の仕事だけをやってきた人とでは、どうしても認識が違っちゃいますね。
ゲーム開発のどんな所が大変なのかは、基盤のエンジニアにも理解してほしいので、開発チームとのすり合わせは積極的に行うようにしています。

例えば基盤チームのメンバーを開発チームに一時的に送り出して、ゲーム開発経験や開発現場の状況を掴んできてもらうのも全然ありだと思っています。

ゲーム開発の現場を知ったうえで基盤開発に臨んでもらう事は、そのぐらい大事だと思っています。

 

ゲーム開発チームと一緒に祝杯をあげることも

 

――ちなみに、開発基盤部の皆さんがガッツポーズをとるのはどんな瞬間ですか?

惠良:
扱っているコンポーネントが個人個人違うので、部署全体でお祝い事というのはあんまりないんですよね。

コンポーネントを提供したタイトルがリリースされたときとか、売り上げが上がったときなんかは一緒にお祝いすることもありますが、一度コンポーネントを渡してしまうと現場にお任せになっちゃう部分もあるんです。

せめて、スタッフロールには必ず開発基盤エンジニアの名前を忘れずに入れていただければ嬉しいです(笑)。

 

 

――では最後に、開発基盤部で活躍するメンバーに共通する思想やマインドがあれば教えてください。

惠良:
サービスマインドを、プレイヤーじゃなくてゲームクリエイターのために発揮できる人が多いと思います。

「面白いゲームを作りたい」「コンテンツを作りたい」という気持ちが強い人は、プレイヤー向けにフォーカスすると楽しいと思いますが、開発基盤部はどちらかというと「何かを作っている人をサポートする」事にやりがいを感じられる人が多いですね。

 

※本記事は2018年2月時点での情報です。