2018 12 Apr

宍倉さん、ぶっちゃけDeNAと組んでどうだった?──『メギド72』開発うら話

宍倉さん、ぶっちゃけDeNAと組んでどうだった?──『メギド72』開発うら話

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2018.04.12

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2017年12月にリリースした、メディア・ビジョンさまとDeNAの共同開発タイトル『メギド72』。今だからこそ話せる“開発うら話”をはじめ、3年半の開発期間を共にしたからこそ見える“ゲーム開発会社としてのDeNA”について、メディア・ビジョン宍倉ディレクターにとことん質問しました!

宮前 公彦 | Kimihiko Miyamae
『メギド72』プロデューサー。2014年にDeNA入社。デザイナーとしてキャリアをスタート。コンシューマーからモバイルゲームの開発・運営と幅広くタイトルに関わる。

宍倉 紀春 | Kiharu Shishikura
『メギド72』ディレクター。プログラマーとして、メディア・ビジョンに入社。DeNAとの共同開発1作目『マジック&カノン』などを手掛ける。


 

突如現れた“ガチンコなプロデューサー”

 

ーーまずは、両社の役割についてお聞かせください。

宮前
DeNAは企画担当で、私含め少人数でやっています。メディア・ビジョンさんには開発をお願いしています。ゲームの大筋はこちらで作って、それをメディア・ビジョンさんがディテールアップしてくれる感じです。

ーープロジェクト開始当初から役割分担を明確にしていたんですか?

宍倉
実は、元々はふたりとも現在の役割ではなかったんですよ(笑)。

宮前
このプロジェクトが立ち上がったとき、僕は入社して間も無い頃だったんですけど、「プロデューサー的立場の人が居ないから入ってください」と言われて入ったんです(笑)。ディレクターも宍倉さんではありませんでした。

ーーそうなんですね! どのフェーズでアサインされたんですか?

宍倉
開発の最初の段階ですね。プリプロダクションくらいです。

宮前
僕が入ったのはαが通った直後くらいです。

ーー宮前の第一印象は?

宍倉
最初は、「大手パブリッシャーで超有名タイトルを作っていたすごい人が来るらしい」と聞いていたので、「経験を積んでいるすごい人が来るんだな」と思っていました(笑)。宮前さんが所属されていた大手パブリッシャーのイメージはスタイリッシュな人が多いイメージがありましたが、実際に一緒に仕事すると宮前さんは“ガチンコな人”で、だいぶイメージと違いました(笑)。

宮前
なんだそれ(笑)!

 

ーーアサインされて、はじめに取り組んだことはなんでしょうか。

宮前
当時はもっと短いスケジュールで軽い内容のゲームをつくる予定でした。しかし、当時の事業部長と「これだと今の市場ではライトすぎるんじゃないか」と話をしたことがきっかけで、そこからガラッと切り替えていく決断をしました。

ゲームとして深みがあるものにしようと決めたのと、「DeNA発のIPタイトルの位置付け」を狙っていたので、前任者の「中二感のあるRPGを作りたい」という意思を引き継ぎつつ、マルチな展開ができるゲーム性を目指して作り上げていきました。

そのタイミングで宍倉さんがディレクターになられて。

宍倉
元々はプログラマーとしてベースになるシステムやプログラムを担当し、その後ディレクターとして参加するようになりました。

 

“球なら球なりに、面白いゲームをつくろう”

 

ーーゲーム性に深みを持たせるために、どんなことに取り組まれたのですか?

宮前
「バトル前に陣形を組む」と「キャラクターの役割をもっとはっきりさせたゲーム性にする」という2つの施策を立てました。

限られた時間の中でとったバトルの表現方法は、キャラクターを丸いアイコンにした“球”を敵にぶつけて、攻撃やノックバックを表現するという方法でした。メディア・ビジョンさんが、期間的な面で出来る、出来ないを判断した上で、「球なら球なりに、バトルとして面白いものを作ろう」と前向きに切り替えて進めてくれたことをとてもよく覚えています。

ーー「球なら球なりに」ってなかなかの名言ですね!

宍倉
「最高の球ゲーを作ろう!」と。

宮前
当時のゲーム性、すごく好きでしたね! みんなやってくれればわかると思うけど、テンポも良かったし面白かった。

宍倉
テンポ感はめちゃくちゃ良かったですよね。


  キャラクターが球だった頃のスクリーンショット

 

 

突然突きつけられた、プロジェクト見直しの通告

 

ーー「もうダメかも……」と思うピンチはありましたか?

宮前
2016年11月ごろ、ゲーム事業部長が交代したタイミングで、プロジェクトの再確認が行われたんです。

この時点で、当初の想定以上に時間が掛かっていた『メギド72』は、当然議論の対象になって。本当に続けるべきか判断する為に、現状説明とか事業計画をプレゼンする事になったんです。

プレゼン後、今後どうするかのジャッジの時間になり、まずは「面白くなるのか?」と質問されました。「面白くなる」って言うしかないし、そう確信していたので、「面白くなります」と答えて。「いつ遊べるようになるのか?」という問いには、その場で計算して「(2017年)1月末」と答えました。

1月末にもう1度触ってみて、そこで面白くなかったら開発終了にするというジャッジが下り、その後すぐ宍倉さんに「1月末って言っちゃったから、1月末までに面白くするぞ!」って電話して(笑)。

 

ーーそう言われた時、どう思いました?

宍倉
これはまずいなと……。今までは、なんとか切り抜けてきたのですが、「面白くなかったらやめる」と言いきられたので、本当にその場合はプロジェクトが終了するんだろうなと思いました。

でも、面白いかどうかなんて、作ってみないとわからないですよね。その時一気にプレッシャーがかかりました。

宮前
2016年8月のOBTの結果を踏まえて、がらっと作り直すことを決めてから、キャラクターを3Dにすることと、ゲーム性にもテコ入れをしようってなったんですね。

そこから僕らとメディア・ビジョンさんのメインスタッフで企画を出し合って、何度も試行錯誤をしました。この流れでメギドのコア部分である『ドラフトフォトン』システムも生まれました。

11月ごろにデジタル化を進めることになり、メディア・ビジョンさんが作ってくれた画面イメージとルール説明をベースに、企画書としてまとめて、2016年11月のプレゼンに臨みました。
そのシステムが面白いか面白くないかは、やれるだけやって待とうと。

ーーそれはしびれますね……。1月末までに実装となると、時間がない……。

宍倉
実質2ヶ月で丸々新規をつくることになったので、かなり大変でした。しかも、12月の段階で全然面白くなかったんですよね。なにせ新しい発想だったので、ベストなUIはどんな形なのかがわからなくて。どんなにゲーム性がよくても、表現の仕方が間違ってしまったら面白くないものになってしまうので、延々作り直し、作り直し、作り直し。
何度もトライアンドエラーを繰り返していました。12月時点で面白くもないし、テンポも悪い。キャラクターは3Dだけど、見た目もそれほど大したことがない。「あと3ヶ月ちょうだい!」という感じでした。

厳しい状態が続いていたんですが、年が明けて1月20日くらいだったかな。本当にギリギリのタイミングで劇的に面白くなったんですよ。

宮前
「これならいける!」ってなりましたよね。

ーー劇的に変わった要因は?

宮前
全体的なブラッシュアップだったと思います。例えば、操作の順番だったり、変身するタイミングだったり、奥義の演出がわかりやすくなったりとか、そういったところの積み重ねですかね。

宍倉
グラフィックのブラッシュアップも同時に進んでいたので、全てが一気に噛み合いました。対戦機能もギリギリで出来て、入れられるかどうかは50パーセントくらいの確率でしたが、ちょうどぴったり間に合いました。奇跡的な着地でしたね。

宮前
そこからも更にブラッシュアップされて、プレゼン直前までにかなり綺麗になりました。肝心の『ドラフトフォトン』システムも、体験できる状態でプレゼン出来ました。当日はレビュアーにPvPもプレイしてもらったんですが、「面白い」と言ってくれて。

レビュアーから「実際に触ってみて面白いって思ったから、続けた方がいいんじゃない?」と意見をいただけました。忘れられない瞬間ですね。もちろん宍倉さんにすぐ電話しました!

宍倉
11時半スタートのプレゼンと聞いていましたが、12時半には電話がきて、早かったです。

ーー12月にリリースしてから数ヶ月経過しましたが、最近の『メギド72』の調子はどうですか?

宮前
今は良くもなく悪くもないと思っています。とてもありがたいことに、プレイヤーさんから高い評価をいただいていますが、ゲーム性が濃いので、そういう意味でいうと、面白さが伝わる前にやめてしまう方もいるかなと。現在、その部分を改修中です。

宍倉
実際の数字はまだこれからだという判断だと思います。ただ、プレイヤーさんからは今までにない反響があって、アツいものを確実に感じています。

ーー数字以上の熱量を感じられているんですね。しっかり遊んでくれるファンを掴みたいというのは狙い通りだったんですか?

宮前
僕の中では、もう少しライトに受け入れられると思っていました。世界観は中二感がありつつも、ゲーム自体は深みのあるRPGを目指していて、絵柄もアニメっぽくしたところもあったので、そういったものが好きな方にも遊んでもらえるかなと。

宍倉
ガチガチな対戦好きみたいな人以外にも、世界観だったり、キャラクターが可愛いとかかっこいいとか、そういったところでついてくれる方もそれなりにいると感じています。女性ファンもいますしね。

 

『メギド72』の安定稼働を支えた
共通コンポーネント『Sakasho*』

*DeNAが開発運営しているゲームサーバー。アカウント管理やユーザーデータ管理など、ゲーム開発に必要な汎用的な機能を提供する。

ーー開発にあたって、DeNAが開発したSakashoをご利用になられたかと思うのですが、印象や、使い勝手はいかがでしたか?

宍倉
ソーシャルゲームサーバーには、一番の基本であり、絶対に外してはならない最も重要な部分があると思っているんですが、そこに対してかなりの安定と信頼感があります。

人数が増えてわーっとプレイヤーが入ると、サーバーが落ちてしまってしばらく動かせなくなるのはよくあることですが、Sakashoに関してはその辺がとても安定していると思います。導入にあたって最初に触った時の印象は「開発者を信用していないシステムだな」と感じました(笑)。でも、実際に運用してみたら「やっぱこれくらいじゃないとダメだよな」と思い直して……

最近になってようやく少し落ち着いてきましたが、年末ごろから運営の中でトラブルが続いてしまいました。改めて、運営システムの重要さに気づかされました。それを痛感した時に、Sakashoはすでにそういったことを通ってきた人が作ったんだと理解できました。

 

“やりやすい”関係性を築く秘訣は、物理的距離を埋めてしまうこと

 

ーー宮前さんは開発中からメディア・ビジョンさんによく行かれていたそうですね。

宮前
最初はDeNAの中に自分以外のメギドの開発メンバーがいなかったので、メディア・ビジョンさんのオフィスに席を作ってもらって直行直帰して、月曜日だけDeNAに出社していました。そうこうしているうちにDeNAの中にも『メギド72』の開発メンバーが増えて、DeNA社内でシナリオの倫理チェックや、QAの打ち合わせが入り始めてからは、メディア・ビジョンさんに行く頻度を減らしたり、時間を限定したりというように切り替えていきました。

ーー物理的に離れていることから発生した問題はありましたか?

宮前
話せばすぐにわかることが、チャットだと伝わりづらいですね。僕は今でもすぐ電話しちゃうんですけど、人って文字で伝えるタイプと喋るタイプがいると思っていて。僕は喋るタイプなので、すぐ宍倉さんに電話しちゃいます。

ニュアンスが伝わらないとか、ちょっとしたことだけど確認ができなくて意思決定が遅れてしまうとか、そういったことがありました。離れていると、「来週火曜日のMTGで話しましょう」って先送りしちゃうんですよ。今思えばその辺はもっとフレキシブルにできたと思いますし、今後も改善できるといいなと思います。

宍倉
確かに、フロアが違うだけでも距離が遠く感じることもありますし、一緒のフロアにいて、何もしないでも近くにいるというだけでコミュニケーションが滑らかになって行くというのは単純に思います。

ーー様々な制約がある中でメディア・ビジョンさんに改修や変更をお願いしたと思うんですが、メディア・ビジョンさんの反応はどうでしたか?

宮前
正直に言うと、最初は距離感があるなと思ってたんですが、時間が解決してくれるところもありました。例えば球ゲー仕様に変更しようとなった時でも、「球のところに目がいかないようにしよう」とか、困難な状況の中でも常に前に進めてくれて。そういった部分に感謝しましたし、今も信頼しています。

ーー時間の経過と共に信頼を深めていったということでしょうか。

宮前
そうですね、よくランチに行ったり、飲みにも行ったし。「合宿」といってずっと話していたこともあります。

宍倉
一日中話をすることもありましたね。休日の朝から。

 

ぶっちゃけ、パートナーとしてのDeNAの印象って?

 

ーー宍倉さんにお伺いします。ぶっちゃけメディア・ビジョンさんから見て、DeNAは付き合いやすいパートナーでしたか?

宍倉
かなりやりやすいクライアントさんだと思っています。

宮前
でも「こんなに口を出してくるプロデューサーは初めてだ」って言われたの覚えてますよ(笑)。

宍倉
それはそうですね! 確かに(笑)!

宮前
席を作ってもらったことも、メディア・ビジョンの福島社長曰く「プロデューサーが常駐することは今までになかった」そうです。

宍倉
いろいろなケースがある中で、宮前さんとは同じ目線で作っているという感覚があります。単に上からきたものを吸い上げて審査に通して、「ダメでした」ってなるんじゃなくて。

 

ーーやはり、必要な意見のぶつけ合いがあったんですね。考える時間を積み重ねて、ようやくここまでたどり着いて。

宮前
メディア・ビジョンさん側は、僕らが喜ぶものを作って納品して、僕らはリリースして広めなければいけないところがあると思っていますが、宍倉さんには「僕たちではなくて、リリースしてお客さんに喜んでもらうことがゴールだ」とよく伝えていました。そこが埋まるのにはやっぱり時間が必要で。文化の違いもあるし、会社自体のビジネスモデルの違いもあるのでそこはしょうがないかなと思います。

でも今は、福島社長もMTGに参加してくれていて、「このゲームを世の中に受け入れられるところまで持っていきたい」と言ってくれているので、そういう意味でいうと、両社でちゃんとタッグを組んで、同じ目線で同じ目標に向かっているなというのを僕は感じています。

ーーDeNAという会社について、宍倉さんから見て、率直に思うところはありますか?

宍倉
もう5年以上の付き合いがある中で、ずっと側から見ていた一人からすると「速い」ということを感じます。ひたすらどんどん変わっていって、成長して成熟して。失敗と反省を繰り返しているんだろうなと。その都度、進化しているんでしょうね。

 

3年以上苦楽を共にしたからこそ、次のビジョンが広がる

 

ーーこれからの『メギド72』の世界の広がりは、すでにお二人の中にありますか?

宮前
細かな起承転結はこれからですが、最後のボスまでは決めていて、そこまでどのようなストーリーで行くかの大枠はできています。

宍倉
とりあえず登場キャラクターだけ決まっています。あとは中身をどう詰めて行くかですね。

ーーもし次、DeNAと新しいタイトルを制作することになったら、前のめりでまたやりたいですか?

宍倉
そうですね、是非!(笑)。やらせていただける機会があるなら、私はやりたいです、宮前さんと。お願いしますよ!

宮前
うれしいなあ。メギドはRPGだけで終わらせないっていつも言っているので!メギドの音ゲー、アクションゲーム……。『メギド72』はゲーム以外でもいろんな展開ができるように、敢えてキャラクターの設定もフラットにして、誰が主役になっても良いようにしています。

宍倉
もっとキャラクターたちを活かせるようにしたいですね。

宮前
まだまだやりたい事がたくさんありますので!よろしくおねがいします(笑)!

 


 

メディア・ビジョンさまとの共同開発で生まれた『メギド72』。3年半という年月、苦楽を共にしたメディア・ビジョンさまとDeNAの間には、なにか見えない絆があるように思えます。

インタビュー中、宍倉ディレクターと宮前との間には、終始和やかな雰囲気が漂っていました。そして今日も宮前は、足取り軽くメディア・ビジョンさまにご用意いただいた自席に向かうのでした……。

そんな熱いチームが心血を注いでつくる『メギド72』から、今後も目が離せません!

宍倉ディレクター、インタビューのご協力ありがとうございました!


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