2019 25 Mar

【DeNA分析部特集Vol.4】Kaggleトッププレイヤー陣と事業課題の解決に奔走するMLアナリスト―信頼関係が生み出す強固な連携とは

【DeNA分析部特集Vol.4】Kaggleトッププレイヤー陣と事業課題の解決に奔走するMLアナリスト―信頼関係が生み出す強固な連携とは

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2019.03.25

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DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

今回は、分析部のMLアナリスト山川要一と、自身もKagglerであり、データサイエンスグループでKaggler陣をまとめる原田慧を迎え、彼らの密接な連携手法にスポットを当てたインタビューを実施しました。

Kagglerと目指すミッションは”分析の高度化

――はじめに、お二人の経歴を教えてください。

原田慧(以下、原田):私は大学院で数理学の博士号を取得したのち、金融機関向けのデータ分析を行う会社に入社しました。そこでは機械学習を活用した金融機関の支援をするデータ分析などを担当し、そこで7年近く勤めた後、2018年2月にDeNAに転職しました。

DeNAでは、オートモーティブ関連事業に関わる分析を主に担当し、2018年8月からマネージャーとして、オートモーティブ以外のプロジェクトにも横断的に加わっています。

山川要一(以下、山川):僕は企画者としてDeNAに入社して、1年目はアプリの企画や分析を担当していました。2年目からは分析部に異動して、ゲーム領域において分析業務を本格的に行っています。

実際の業務としては、いわゆるアナリスト的な役割でKPIを集計し、より難易度の高い課題に対してゲームタイトルの各プロデューサーと一緒に取り組んでいます。上流の課題を見ていく中で、これまでのKPI集計で終わるのではなく、もっとプレイヤーに寄り添った分析をすると、何が実現できるかを日頃から考えています。

そして原田さんが率いるKagglerの方々と一緒に、分析のさらなる高度化を目指して、新たな分析手法の開発や、そもそも分析組織のあるべき姿を定義するような仕事をしています。

――分析部のMLアナリストのミッションは具体的にどういったものでしょうか?

山川:ミッションについては先程もお伝えしたように、「分析の高度化」です。DeNAでは従来の分析基盤が整っており、例えばプレイヤー数の推移など、多彩なデータをクロス集計レベルで分析できる環境があります。

ただ、これまでの分析結果だけではわからないような、プレイヤーの趣向性や行動予測にもっと取り組めないかと考えていて、新しいデータサイエンスを取り入れた分析手法にも取り組んでいます。

――一方、原田さんはKagglerをまとめている立場ということですが、現在DeNAにはKagglerは何名在籍しているんですか?

原田:当初は私も含めて3名からのスタートでしたが、今は社員が10名、アルバイトで3名が所属(※2019年2月時点)しています。

【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた
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――日々KaggleをやっているKagglerの皆さんですが、ゲームをプレイすることはあるんですか?

原田:Kaggle自体が、ネットゲームをプレイする感覚に近いんです。ユーザーランキングや、ゲーム内イベントの仕組みもKaggleに近い要素があるので、大学生の頃ゲームにすごくハマっていたメンバーは多いです。特にKaggleに熱狂的な人は、かなりの『逆転オセロニア』好きなので、メンバーの多くはダイヤモンドクラスに到達しています(笑)。

密接な連携による、効率的な課題の解決

――山川さんと原田さんはお互いの部署間で仕事を進める際、どのような連携を取っているのでしょうか?

原田:2人で毎週定例MTGを設け、山川さんが集めてきてくれたゲーム事業部および分析部が抱えている課題に対して1つずつチェックし、データ分析で解決できそうだと判断したら、担当Kagglerをアサインして実際に動き出していきます。

山川:MTG時には、事業部側ではどんな動きがあるのか、できるだけ細かく原田さんに共有するようにしています。

横断組織であるKagglerのチームは、各事業部が持つ課題がどうしても見えにくくなります。逆に、私たち分析部は日々事業部の中でチームと一緒に動いているので、各タイトルが実際にどういう課題を持っているのかを吸い上げることができます。

そのように表面化した課題について、原田さんと一緒にまずディスカッションしていく流れになっています。

原田:私たちはその課題に合わせた手法や解法、データ分析で解決できるのか、より簡単な分析を粘り強く続けて解決するのかなどを判断しつつ、今後の進行方向を決めていきます。

それからもう1つ、分析部の中で「データ分析技術強化」という取り組みがあり、そこに私を含めたKagglerのメンバーが2名参加しています。この取り組みは、データ分析技術の基本的を学ぶOJTのような役割を持っており、勉強も兼ねながら、案件を一緒に進めることにもトライしています。

――DeNAの各タイトルにはそれぞれアナリストが担当していると思いますが、山川さんが事業部内の課題を集める際、ヒアリングするのは各アナリストなのか、それともプロデューサーなのでしょうか?

山川:一番多いケースはアナリストですね。ただ状況によってはプロデューサーから直接聞くこともありますよ。『逆転オセロニア』なら、担当アナリストである松﨑さんやけいじぇいプロデューサーから、タイトル運営の課題をヒアリングしています。

【DeNA分析部特集Vol.1】3周年を迎えた『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?
https://genom.dena.com/develop/analyst/

――そうして吸い上げた課題に対して、自分自身でできる、できないを判断して、難しいものを原田さんに持っていくと。

山川:いえ、基本的にデータサイエンスに関わるものはすべて原田さんと一緒に見ています。僕自身が適切な判断ができない場合もあるので、リスクを回避する意味でも、原田さんに確認してもらうのが一番確実だと考えています。

――山川さんが原田さんに各タイトルの課題を吸い上げて持っていくときは、どのように持っていくんですか。

山川:まず「長期滞在者を短期行動から分類したい」「デッキ編成の最適化を考えたい」といった大枠の目的が決まっている課題を持っていきます。それを原田さんが裏を読み、もう少し深く細分化して、分析の可能・不可能の提案をしてくれます。

原田:案件によっては、最初から一緒に取り組む場合もあります。問題解決の基本は、1つの難しい問題を分解するところにあると思うんですが、それにはドメイン知識も必要なんです。山川さんのような、その能力に優れたアナリストがいてくれると、判断作業がとてもスムーズに進みます。

山川:課題の解決方法について、例えば難易度レベル10の事業課題があるとします。それを機械学習でいきなり最初から全工数を投入して挑むのは、他の進行中の課題との兼ね合いや、経営判断的にもなかなか難しいと思われます。

そこで、アナリスト側で難易度レベル10の問題を、「難易度レベル1×5タスク」「難易度レベル2×1タスク」「難易度レベル3×1タスク」といった形に分解してみます。

このようにステップを踏んで解決していけば、最終的には難易度レベル10の案件をクリアできますよね。このような的確なブレイクダウンなら、難易度レベルに応じたタスクを判断しやすく、可能・不可能の見極めも素早くできるメリットが生まれます。

原田:Kagglerは小さなタスクなら、わずか1日で終わらせることもできるので、分解する意義は大きいと思います。逆に分解してみて、ものすごく手強い問題だと分かれば、元の大きい問題の解法の方針を少し変更したり、ブレイクダウンの方向性や、そもそもの問題設定を見直す必要があることを、事業側と交渉する選択肢を生むことなども可能です。

――ちなみに運営する各タイトルごとに見ている分析は違うのですか?

原田:はい、違います。ですが、ゲームシステムに”デッキを組む”ような共通要素を持つタイトルでは、目的が似通っている部分もあります。プレイヤーにどうやって楽しんでもらうか、継続的にプレイしてもらうにはどうすればよいのか、といった課題感については、タイトルごとであまり変わらないかも知れませんね。

山川:クリアしやすいデッキの組み方など、すべてのプレイヤーが自力でベストな組み合わせを見つけられるわけではありません。そこで、組み合わせを分析し、ゲーム内の施策を考えれば、オススメ編成のような仕組みを入れるなどの検討も可能になります。

このように、ゲーム内でプレイヤーが快適に過ごすためのサポートを担う分析は、とても汎用的で、ニーズも高いんです。

――なるほど。では、実際に現場からはどんな課題が上がってきて、どう進めようとしているかという具体例があれば。

山川:ゲームを遊びたいと考えている方は、さまざまな広告チャネルをきっかけに、好きなゲームをダウンロードしてプレイを開始することが多いと思います。そこで、どんなプレイヤーがどこでゲームを知り、どれくらい継続的に楽しんでいるかを把握することで、広告の投資効果の検証をしていきたいという要望が求められています。

それを目的とした分析結果は、どのSNS広告が効果的なのかを決める際に役立ちます。プレイヤーの180日後の行動はその日には計測できませんが、1週間や1ヵ月など、中長期的に予測できるようになれば、ある程度の傾向を知ることが可能です。

1週間のデータを使って得た指標をもとにすれば、広告の出稿方法を変えるなどの投資判断に使えると考え、プレイヤーの行動を予測する取り組みに挑戦しています。

原田:このような”予測”というキーワードが出てくると、Kagglerは活躍しやすいです。そもそもKaggleで日々やっているのは、「今までのデータを与えるから、未来の何かを予測しなさい」といった予測の問題なんです。

無論、未来予測ではない問題もKaggleにはありますが、基本形は与えられたデータから道の何かを予測するというものになります。

――DeNAでKaggler枠が出来て、実際にKaggleメンバーが集まってきました。山川さんの立場として仕事をする上でどのような点がメリットだと感じていますか。

山川:やはり、分析者からのアウトプット品質が、段階的に上がったと感じています。KagglerがDeNAに集まったことによって、今までできなかった取り組みを実現できるようになってきたことを実感しています。

特に、プレイヤー数の予測精度が上がったり、今まではわからなかったプレイヤーの特性が見えたことは大きなメリットです。Kagglerが参加したことで分析結果がレベルアップして、施策にうまく活かすことが可能になり、プレイヤーニーズに応えられるサービスを作れるようになってきたのは、組織としては大きな前進です。

――お二人はお互いをどういう存在だと感じていますか。

原田:私から見ると、山川さんはとても頼りになる人です。何か問題が起きても、とりあえず山川さんがどうにかしてくれると……(笑)。

山川:僕も原田さんは神様のように、頼りにしています(笑)。僕はアナリスト側、原田さんはKaggler側で自分の役割を持ちつつ、お互いに信頼し合えて良い形で連携できていると感じています。一緒に働く中で、長所を引き出し合っている気がしますね。

また、原田さんは良い意味で介入しないで任せてくれますし、こちらが悩んでいることも親身に相談に乗ってくれます。お互いのプロフェッショナルな部分を尊重しつつ、違う部分も受け入れつつ、協力できているのはとてもありがたいなと思います。

MLアナリストに求められるスキルや経験

――Kagglerと事業部のハブのような役割を担う山川さんのポジションには、どのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。

山川:主に3つ挙げられます。1つは事業責任者視点で、これが一番重要ですね。細かなタスクはいくらでも作ることはできますが、それを解くことに意味があるのか、そもそも何が最優先で最重要な問題なのか、課題に対する優先順位を付ける視点が必要になります。

2つ目に問題設定です。事業として設定した目標や理想が達成できればOKなのか、収益など他の要素も複合的にチェックしなければならないのかなど、問題の本質を見誤ることなく、事業で最も大事にすべきことの定義ができることです。

3つ目は、Kagglerの方と対話をする上でのデータサイエンスの知識です。Kaggleに関してMasterまで到達せずとも、いくらかは勉強して欲しいですね。手法の選択や解決方法を日頃から考えたり、意欲的にサービス改善のために何ができるか、アイデアを膨らませることが大事だと思います。

原田:もちろん、Kaggler側の努力でいくらか改善できる部分もあります。我々Kagglerも若いメンバーからシニアメンバーが在籍しているので、技術面の足りないところはフォローができますし、「これってどういう意味があるの?」といったざっくりとした観点でも一緒に考えることができます。

――今後の話になりますが将来のビジョンや目標などがあれば教えてください。

山川:視野をさらに広げていきたいですね。分析部はゲーム事業に直結している組織なので、アナリストがもう少し幅広い課題まで目が届くようになって、全社レベルのいろいろな課題を引っ張って集約できると良いと考えています。その上で優先順位をつけて原田さんたちKagglerに相談できれば、全社的にも常に高いバリューを出せるんじゃないかと思っています。

――最後に、アナリストとKagglerが連携して新しいことに挑戦し続けるDeNAという会社はどういうところが魅力でしょうか?

原田:さまざまな事業を複合的に推進している、おもしろい会社だという印象は入社前から変わっていません。実際に入社して魅力的だと思ったのは、データ分析に関してほとんどの人が前向きだということですね。

DeNAはデータ分析に対する基盤がしっかり構築されていて、当たり前にデータを集めています。データを分析すれば必ず何か良いことがあるはず、ということに対して疑っている人がいないんです。Kagglerにとっては、とても働きやすい環境だと言えますね。

山川:「あなたはこの役割だからこれだけやっていればいい」というような、決まったラベルを貼らない風潮も魅力かも知れません。

僕は分析担当ですが、いろいろな事業に関わらせてもらっていて、新規事業責任者の相談相手になることもありました。誰が何をやっても、それが意味のあることなら実行する、という風土を持った会社なので、責任も大きいですが、強いやりがいも感じられます。

さらに自分の専門領域ではない部分にもチャレンジできますし、それを否定する人がいないのも嬉しいです。DeNAでは「こっちの事業に口を出してくるんじゃない」と言われることはまずありませんよ。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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