2018 16 Nov

【イベントレポ】DeNA奥村(AI研究開発エンジニア)が語る、データ分析の取り組み方とは

データ分析によるビジネス革新(DeNA)

【イベントレポ】DeNA奥村(AI研究開発エンジニア)が語る、データ分析の取り組み方とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2018.11.16

  • Facebookでシェアする!
  • Twitterでツイートする!
  • はてなブックマークでブクマする!
データ分析によるビジネス革新(DeNA)

DeNA奥村が本を出版

2018年11月6日、DeNA渋谷ヒカリエオフィスにて、技術評論社より10月30日に出版された書籍「データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編」の刊行記念イベント「~著者が語るデータ分析組織のいま~」が開催されました。

こちらの本では、DeNAのAI研究開発エンジニアである奥村も執筆者の一人として名を連ねており、DeNAの機会学習やデータ分析に対するこれまで取り組みなどが紹介されています。

21
2018年10月30日発売 定価(本体1,980円+税)
 

データ分析組織をテーマにディスカッション

当日は執筆者によるパネルディスカッション(第1部〜第3部)も行われるため、一般参加枠140名に対して、約300人を超える多数の応募があったとのこと。

開催中にTwitterにて登壇者に向けた質問が投げかけられており、ディスカッション中に回答する場面も見られました。

登壇者(順不同・敬称略)

・コニカミノルタジャパン株式会社 データサイエンス推進室 室長 矢部章一
・株式会社ディー・エヌ・エー AI研究開発エンジニア 強化学習チームリーダー 奥村エルネスト純
・株式会社メルカリ BIチームマネージャ 樫田光
・Classi株式会社 AI室 データサイエンティスト 伊藤徹郎
・テクノスデータサイエンスエンジニアリング株式会社 シニアコンサルタント 津田真樹
・データサイエンティスト・ピープルアナリスト 大成弘子
・株式会社日本データサイエンス研究所 代表取締役 RISU Japan株式会社 共同創業者 取締役 加藤エルテス聡志


DeNA奥村のスピーチからスタート

本刊行イベントは、DeNA社内のみならず、広く社会の技術力向上に貢献するというコンセプトを掲げるサポートプログラム「DeNA TECH STUDIO」の枠組みによって開催されたもので、会場や運営、予算面のハードルを解消し、技術系勉強会やイベントを支援していく仕組みが紹介されました。

その後、奥村からDeNAの事業ポートフォリオやAIサービス応用を実現するための組織体制などが説明されました。

DeNA奥村株式会社ディー・エヌ・エー  奥村エルネスト純

DeNA事業ポートフォリオ

DeNAの事業について、ゲームを中心に多種多様な領域のビジネス・サービス展開をしていることを説明、世間的に有名なスポーツ事業、最近ではオートモーティブ事業などにも力を入れていること、新サービスがリリースされる際に必ずデータアナリストが参加していることも話しました。

DeNA奥村


DeNAのAI組織体制

奥村が所属する「AIシステム部」は横断部門であり、DeNAの全サービスを対象に先端AI技術によるサービス提供や改善を担っており、AIアルゴリズム系エンジニア、世界的な分析コンペ「Kaggle」で高い実績を誇るデータサイエンティストなど、各々が高い専門性や機動力で活躍しているとのことです。

また、実際にAIをサービスに導入するためにシステム設計・実装を行うエンジニアなどを適切にアサインできる組織体制も紹介。

高い専門性を持つ「AI研究開発エンジニア」、幅広い引き出しを持つ「データサイエンティスト」、システム構築のエキスパート「機械学習エンジニア」それぞれが相互補完的な関係性でAI研究開発と実応用の確度を上げていくことを実現しています。

パネルディスカッション開始

本記事では、奥村が登壇したパネルディスカッション第2部の模様を中心にお伝えします。

この第2部は、Classi株式会社の伊藤徹郎氏、株式会社メルカリの樫田光氏、そしてDeNAの奥村が登壇。

伊藤氏、樫田氏と奥村は普段から飲みに行く親しい仲で、終始なごやかムードでの討論となりました。先月は伊藤氏が仲間はずれにされた、というエピソードでは会場の笑いを誘っていました。

◆質問1:データ分析を社内に浸透させるためにすべきこと、協力体制の作り方、働きかけ、KPIの設定方法について

「データ分析を社内に浸透させるためにすべきこと」について樫田氏は、スタンドプレイでも構わないので個人が目立つこと、どうやって「自分がスゴイヤツ」と周囲に認知してもらうかを考えつつ、そこにデータ分析を絡めていくことが大事だと述べました。

メルカリ/ 樫田光氏株式会社メルカリ 樫田光

メルカリ社内では、チームとして確立してないメンバーが分析者として活躍するために、まず社内wikiなどにドキュメントを書きまくり、Slackなどでアウトプットし続け、多くの人の反応を見たり、レスを返すことで、自分のやってること・できることを伝播していったと樫田氏は語りました。

奥村は、データアナリストやAIエンジニアが存在することによってサービスが向上した、意思決定が促進されたという「実感値」を得ること、実際に事業価値を作り出せること、そのどちらが欠けても成り立たないと話しました。

DeNA奥村

また、奥村はKPIの設定方法についてゲームのプレイサイクルを例に「プレイヤーのハードルがこれだけ下がると継続率が上がり、将来的にこの売上を達成して事業価値が上がる」など詳細な数字ベースの話を戦略的に利用することが重要だと述べています。

Classi 伊藤徹郎氏Classi株式会社 AI室 データサイエンティスト 伊藤徹郎氏

続いて、伊藤氏から協力体制を作る場合の「パーティー」の組み方について、著書の中で「勇者型(オールラウンダー型)」といったゲームライクな表現を使っている樫田氏は、性格的に部下の育成等が得意ではなく自分の趣向で選んだこと、メルカリの現在の事業的スピードに合う「1人で機能的に動ける」メンバーを中心に集めていることを説明しました。

ディスカッションの中で樫田氏が一番納得していたのが「機械学習を扱った際に、ありとあらゆるプロセス、そのすべてがボトルネックになりうる」という奥村の言葉でした。

◆質問2:BIチーム、MLチームの連携について

この質問に対し奥村は、DeNAではAIエンジニアが関与しづらいドメイン知識の理解を、現場のデータアナリストがカバー・サポートしており、サービスのオーナーが適切に調整を行ってくれるなど、運命共同体としてのチーム作りがなされていると話しました。

DeNAが最近積極的に採用を進めているKagglerとの連携については、彼らの分析に関する引き出しの多さや作業自体の速さを生かしつつ、役割分担をしているとのことです。

メルカリでは、BIチームはサービス直下、MLチームは全社を横断しており、連携については社内で取り組みを始めており、お互いに週一回ほど1on1にて情報交換をしていると明かされました。

※BIチーム(Business Intelligenceチーム):意思決定に必要なデータを分析し、提案するチーム
※MLチーム(Machine Learningチーム):メルカリにある大量のデータをAIに学習させ、サービスの利便性や付加価値を高めるチーム

◆質問3:分析の責任範囲についての考えについて

樫田氏は、データアナリストの中でも「デザインが得意、機械学習が得意、戦略コンサルが得意」など、好みやできる範囲、かつ求められていること(むしろ求められていなくても勝手にやる)を組織内でまず実行してみることが良いと述べています。

また奥村は、単純な分析だけに留まらず、カバー範囲を広げていくことがアナリストのキャリア成長を助けるのでは、と話しました。例えば、エンジニアリングが得意なメンバーは分析やAIが使われるシステム作りに直接関与していく、ゲームが好きな人はイベントの企画にも足を踏み入れる、等それぞれの特技をより伸ばして分析価値が最大化される動きの有用性を述べました。

第1部と第3部も盛況

なお、第1部では、テクノスデータサイエンスエンジニアリングの津田真樹氏とコニカミノルタジャパンの矢部章一氏が、自社でのデータサイエンスの運用方法について、実際の事例を交えながら討論しました。

第3部では、データサイエンティスト・ピープルアナリストの大成弘子氏と日本データサイエンス研究所の加藤エルテス聡志氏が、大企業のエンゲージメント(働く人の幸福度)や、人事分析、心理学、没入感などをキーワードに議論されました。

多くの質疑応答が飛び交った懇親会

イベント終了後は、会場にて懇親会が実施され、ディスカッション登壇者と参加者が親睦を深めました。情報交換や質疑応答などでかなり熱く盛り上がっていました!

 

以上、今回は刊行イベントのレポートとなりますが、「データ分析によるビジネス革新」について興味を持った、より深く知りたい方は、ぜひ書籍を手にとってご覧になってみてくださいね。

■外部リンク
データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編(技術評論社公式サイト)