2018 28 Dec

【イベントレポ】GDMデザイナー向け勉強会Vol.7 ~FINAL FANTASY XVを事例として課題に対する今後の改善について~

【イベントレポ】GDMデザイナー向け勉強会Vol.7 ~FINAL FANTASY XVを事例として課題に対する今後の改善について~

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2018.12.28

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毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developer’s Meeting】(以下、GDM)。

2018年12月18日(火)に開催されたGDMでは、株式会社スクウェア・エニックスより、長谷川勇氏が登壇され、『FINAL FANTASY XV』(以下、FFXV)を事例として、キャラクター制作のワークフロー紹介とそこから見えてきた課題、それを解決するための取り組みが紹介されました。

冒頭ではDeNA藤村幹雄より、今回の勉強会の趣旨と、エンジニア、デザイナーなど毎月異なる職種の勉強会を実施するGDMの概要などが簡単に説明されました。

DeNA 藤村幹雄GDMの概要について説明するDeNA藤村幹雄

続いて登壇した長谷川氏は、『FFXV』開発時は自身がプログラマーとしてVFXやUI制作に携わり、現在はR&D部門の担当をしていると述べています。本記事ではセッションで語られた一部をお届けします。

スクウェア・エニックス 長谷川勇氏スクウェア・エニックス 長谷川勇氏

従来のファンタジーと現実に基づいたリアリティーを融合

『FFXV』は、仲間とのロードムービーを描くことをテーマに、ファンタジーをベースに現実に基づくリアリティーを融合させることを目指したゲームタイトルです。コンセプトアートでは、多数のリアルなディテールを持つデザインが制作されていることが分かります。

モンスターの場合、過去の作品ではアートチームは「より強く見せること」、ゲームデザイナーは「バトルを面白くすること」を考慮してきました。ですが『FFXV』では「モンスターはその世界に住んでいる動物である」と考え、モンスターたちがどのように生活しているのかを、深掘りしているとのことです。

『FFXV』アートチームが初めてつくったモンスターが「ベヒーモス」とのこと

リアルなベヒーモスをつくるために特に注力したのは「経験と観察」。開発チームがライオンなどの生態を動物園で観察したり、動物が生息する地域に実際に足を運んでいる様子が過去のムービーで紹介されています。

開発チームが実際の現場で取材した資料がベヒーモスの制作に生かされています

ベヒーモスの生態は、「経験と観察」で蓄積したデータを元に、生息スケジュールや食べ物の設定、実物大を想定した頭蓋骨や立体的な3Dプレイモデルを製作し、リアルタイムデータを作成していきます。ちなみに、社内に本物の動物の検体を持ち込んで、細部まで観察したこともあったとか。

また、『FFXV』での召喚獣「リヴァイアサン」は、シルエットをドラゴン、ディテールを魚とコンセプトを固め、さまざまな種類の魚を市場で購入して、体組成を調べたり、フォトグラメトリーでスキャンして素材の一部として使用したとのことです。クレイモデルには、実在する魚の歯や骨などを利用するこだわりも。

実際にさばいた魚のヒレや体表の特徴をもとにリヴァイアサンがつくられました

主人公たちが移動に使う車両「レガリア」のデザインについては、実際にオールドカーマニアを訪ねて貴重な車を見学したり、車に詳しい人間がディテール開発に参加しているのも、大きな開発力となったとのこと。

ただ、このような過程にこだわりすぎると、開発にかなりの期間を要してしまうため、チーム内のリソース確保を含めた、制作時間の調整が今後の大きな課題と感じているようです。

キャラクター制作について

続いて、キャラクターのアセットに関してのパートがスタート。主人公「ノクティス」のポリゴン数やテクスチャ数、ランタイム描画、さらにEye ShaderやSkin Shader、Hair Shaderなどのシェーダーの詳細も事例をもとに公開されました。

また、ゲーム中での逆光、光源の当たり方によって質感の見え方を変化させるBack Scatterや、ノクティスのLOD(Level of Detail)についても簡単な説明がなされています。

長谷川氏はキャラクターアセットについて、オープンワールドでの時間・天候の変化をサポートしながら、リニアに変化するVFX部分の設計対応など、当時は手探りながらもチャレンジングな開発ができたと話しています。

映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』の主人公「ニックス」は、実在する俳優を特殊なカメラで撮影したデータをベースにして、キャラクターを制作。また、一部のキャラクターは、実際にヘアモデルを使用してアセットを作っています。映画と本編の制作チームは、社内でお互いのノウハウを技術交換することも多いようです。

『FFXV』本編を作る上で、リアルタイムレンダリング表現にどれだけ近づけるかといったポイントが、アーティストやグラフィックスエンジニアが特に注力した部分とのことです。

ワークフローとツールの紹介

基本的なアセットワークフローの中から、高解像度モデル情報のテクスチャへの置き換えについて、AOベイクツールでの実際の作業工程がムービーで紹介されました。

ワークフローの改善は、フロー順序の変更だけでなく、ツールの作り込みも見直しており、コントロールしやすい内製のShader Editorを開発しています。また、実機に近いカラーグレーディングも開発中の画像を使って解説されました。

長谷川氏が今回のセッションでトピックスとした、ヘアモデルのワークフローについて詳細が解説されました。一連のフロー(下記画像参照)で、3D的に破綻していないヘアースタイルを制作することが可能です。

・2Dラフイメージを元に実在のヘアスタイルを作成
2Dのアートワークだけで、整合性のある3Dヘアモデルをつくるのは難しいため、まずウィッグなどを利用して、実在するヘアスタイルを作成します。

・ヘアカーブモデリング→プリレンダリング
実在のヘアスタイルをリファレンスとして、ヘアカーブモデリングを作成、プリレンダリングモデルを完成させます。

しかし、作業工程が多すぎて、1キャラクターのヘアー制作におよそ数ヶ月かかることもあることが、課題となっているようです。アーティストによると、プロダクトレベルに達成するまでの調整が大変で、リファレンスの構築がとても重要だと述べました。

複数のフローを経てほぼ完成形となったルナフレーナのヘアスタイル

ヘアリダクションツールを使用した実際の作業の様子も、ムービーで見ることができました。本編用には専用のツールが開発されており、リアルタイムレンダリングでもかなり高品質な表現ができるようになっています。

今後のR&D活動について

長谷川氏は、『FFXV』開発前から次世代ゲーム機向けの開発の問題点を指摘し、スペックの上がった将来の新ハードに対応できるアセット品質向上や、アーティストの工数軽減などに生かすためのR&D(研究開発)を、現在進めていることを語りました。

2018年12月に開催された「SIGGRAPH Asia 2018」で登壇した際の資料をもとに、取り組みについての特長を3つ挙げています。

・CGテクノロジー(CG Technology)
技術力のトップレベルを目指すべく、さまざまな活動を通して、リアルタイムレンダリングとプリレンダリングの開発チームが相互に技術交流をしています。

・学術的な貢献(Academic Contribution)
産業界から学術界に向けて、自社の技術をオープンに公開し、SIGGRAPHへの参加を行ったり、また、東京藝術大学が開催する展示会への協力など、産学連携の活動も行っています。

・産業間のコラボレーション(Inter-industry collaboration)
事例として「NHKスペシャル 人類誕生」CGムービー制作を挙げ、CGモデルについて科学的に正しい学説に基づく監修や、モーションキャプチャーの現場に専門家を呼んで演技指導を受けるなど、業界を超えたコラボで他の産業界に貢献していきます。

NHKとタッグを組んでスクウェア・エニックスが制作したCGムービー

今後は、自社で所持している技術だけでなく、現場のニーズをベースにしたR&Dを目指すとのこと。現場のさまざまな問題や未知の技術について、外部機関と協力して研究開発したいというのがミッションになるようです。

それを実現するためにはまず、スクウェア・エニックスグループ全体で、現場で問題点を洗い出し、戦略を決定後、外部と組んで研究開発を推進、得た結果を学術界や現場にフィードバックして、次の作品に生かすサイクルを目指します。

盛り上がった懇親会の模様

セッション後は、登壇した長谷川氏を囲んで、懇親会が開催されました。名刺交換だけでなく、技術に関する質疑応答もさかんに行われていました。

今回のおすすめ

懇親会場には、おなじみのお寿司とアッツアツなピザのほかに、デザートとしてキュートなクリスマス仕様ドーナツ&温かいコーヒーが用意されており、登壇者の長谷川氏と参加者の皆さんが、軽食をつまみながら交流する朗らかな雰囲気となっていました。

次回はプランナー向け座談会を開催

株式会社コルクの佐渡島庸平様を迎え、『逆転オセロニア』を事例として、DeNAの香城卓と住吉政一郎とともに、コミュニティファーストなプロダクト運用の大切さや、事業貢献のメカニズム、構造的な課題を解決するための取り組みを紹介していきます。

GDM プランナー向け座談会Vol.13
~必見!コミュニティファーストなプロダクト運営~
■日程: 2019年1月18日(金)
■時間: 19:00~21:00(受付開始 18:30)
■場所: 渋谷ヒカリエ21F 渋谷ヒカリエ21F DeNA Seminar Room

▼お申し込みはコチラ

【イベント告知】1/18(金) GDMプランナー向け座談会vol.13 〜 コミュニティファーストなプロダクト運営 〜