2019 20 Jun

【DeNA分析部特集Vol.5(前編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜分析の高度化に向けた次のチャレンジとは〜

DeNA分析部

【DeNA分析部特集Vol.5(前編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜分析の高度化に向けた次のチャレンジとは〜

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2019.06.20

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DeNA分析部

DeNAが様々なゲームやサービスを運営していくうえで、欠かせない存在となっている分析部。Vol1〜4までは、アナリストやユーザーリサーチ、データエンジニア、MLアナリストといった分析部のメンバーの役割を紹介してきました。

シリーズ最終回となるVol.5では前後編に分けて、分析部ならではのカルチャーや課題、研修プログラム、メンバーの意外なブームまでを紹介していきます。今回の前編では、分析部を束ねる部長の藤江清隆、マネージャーの中川友喜と岩尾一優の3人に話をうかがいました。

ブラウザゲーム時代から積み重ねられてきた、分析への信頼

――分析部特集では、Vol.1~4まではメンバーの具体的な業務を紹介してきましたが、改めて「分析部」の役割を教えてください

藤江清隆(以下、藤江:現在の分析部は、DeNAのゲーム事業における意思決定のサポートという役割を担っています。

新規タイトルの開発だと「今後どんなゲームを開発をしていけば成功できるのか」、運用中のタイトルあれば「今後どういう方針で運営していくか」など、ゲームの開発現場にはさまざまな意思決定が求められます。このような大小問わずさまざまな粒度の意思決定のサポートをすることが、分析部の役割です。

――具体的な人数や構成について教えてください。

藤江:分析部全体で40名強(2019年3月時点)です。アナリストやユーザーリサーチャー、データエンジニア、機械学習を強みにしたMLアナリストらが所属しています。

――人数としても大所帯ですね。DeNAのゲーム事業部は、いつぐらいから「分析」に力を注いでいるのでしょうか?

藤江:歴史的な話になりますが、分析組織としては2011年からありました。当時、DeNAはブラウザゲームが中心でしたので、その分析をメインとしてやっていました。

当時のメンバーは外資系コンサルティング会社出身などのシニアメンバーが中心となり、小規模組織ではありましたが、圧倒的に速いスピードとクオリティーでサービスをクリティカルに改善する示唆を提供することができ、DeNAゲーム事業の中で「分析は重要だ!」というイメージを強く持ってもらうことができました。

それから8年間、立ち位置や組織の形は事業の状況に合わせて変化を続けてきましたが、事業やサービスの成功にコミットし、正しい意思決定を支えるという方針はブレずに運営してきました。

分析組織、しかも横断型となると、一般的には分析結果を事業に反映できるかが課題になることも多いと思います。DeNAの場合は、これまで8年間の信頼を積み重ねてきたこともあり、サービス側のメンバーにも分析アウトプットを積極的に取り入れていく文化が根付いているため、分析としては非常に動きやすくなっています。

分析部 部長/藤江清隆

ゲーム開発ならではの、分析の面白さと難しさ

――ゲーム分析には、どのようなスタンスが求められるのでしょうか?

藤江: 世の中には数多くのインターネットサービスがあり、その裏にはさまざまな分析手法があると思います。我々分析部は、他の業種の方や他社のアナリストとお話させていただく機会が多いのですが、その中で“ゲーム開発ならではの面白さと難しさ”というものを感じています。

これは表裏一体なのですが、ゲームというものは、分析するにしても事業を進めていくにしても、正解というものがありません。「プレイヤーが楽しめればいい」というゴールは明確ですが、楽しみ方は千差万別。レベルを上げて強くなりたい、コミュニティを楽しみたいなど、プレイヤーがゲームに求めている価値や体験は全然違ってくるのです。

ですので、ゲームのサービスの完成度を上げる、改善するといった場合でも、何を目指すべきかという指標がとても多彩なんですね。それが分析としての面白い部分でもありますし、ゲームならではだと思います。

分析として何をすればいいかという正解がないので、自分で課題を設定して、考えていかなければいけないことは、難易度としては高いと思います。まず自分の担当タイトルが決まった際に、プレイヤーがゲームに何を求めているのかを理解し、分析の手法を設計していくことが求められるのです。

――ゲームのジャンルに合わせた柔軟な分析が求められそうですね。

藤江:そうですね。ゲームによって分析の目的や手法も変わっていきますので、「このように分析するのが正しい!」という答えがありません。先ほどお話ししたように自分で課題設計して答えを求めていく思考力も大事です。

さらに、タイトルを運営しているプロデューサーらの意思決定におけるサポートがとても大事ですので、彼らが何を考えているか、何を課題として考えているかということを、きちんと対話して引き出し、その本質を捉えることも重要です。つまり、コミュニケーション能力も非常に重要になってきますね。

そのため、単純にデータを見るだけで、ロジカルに「これが正解だ!」と考えるタイプの人はDeNAの分析部にいません。チームの開発メンバーと一緒になって、「こうすればプレイヤーが楽しめるだろう」という方向をきちんと見定めて、事業が前に進むような意思決定のサポートができることが、ゲームの分析で求められるものと考えています。

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変化の早い業界だからこそ、未来予測を行っていきたい

――マネージャーである中川さんは、ゲームにおける分析部としてのチャレンジについてはいかがですか。

中川友喜(以下、中川:考えとしては藤江と同じですが、分析もゲームという事業も、非常に変化が早いので、即時キャッチアップしていかないと業界的にも立ち遅れてしまいます。

ゲーム市場も成熟を迎える中で、今はこれまでの成功体験の殻を破り、次はどういうところに価値を見出して、組織としてより貢献しなければいけないかを考えるタイミングなのではと思います。

分析部 マネージャー/中川友喜

――長期運用タイトルも増えていき、今後差別化が激しくなっていく業界の中で、DeNAのゲーム分析はどう変化していくのでしょうか。

藤江:事業としてどうすれば成功確度を上げられるのかという“勝ち筋”を見定めていきたいと思っています。

分析部は、2019年から組織として「事業・サービスの未来を見通し、100%の成功へと導く」というビジョンを掲げています。過去を分析しパターン化することは、従来の分析業務の中で一定レベルに達していると思いますが、それだけではさらなる事業の加速に対しては不十分だと考えています。そこで「未来予測」を重要課題として位置づけ、組織として目指すビジョンにも組み込みました。

実際にこれからやっていくべきことは、新たに生み出すゲームの方向性について示唆を出したり、どんなIPと連携すれば事業として成功確度が上がるかということを、きちんと見定めていくことです。未来を予測するという分析は、これからはより多く求められるだろうと思っています。

具体的なアプローチとして、AIや機械学習分野に強いメンバーの増強や、Vol.4でお話したようなAIスペシャリストとの連携を通じてより精緻な未来予測に取り組んでいます。

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ゼロベースから始まった、入社半年での新部署設立

――DeNAは、今後も新規タイトルリリースを控えていると思うのですが、分析部の体制や人員も変化していくのでしょうか?

藤江:理想像としては、ひとつひとつのタイトルに専任のアナリストをアサインできる規模にすることを目指しています。運用タイトルも増えれば、アナリスト以外の分析部メンバーも必要になるため、さらに組織を拡大していく方向で考えています。

その中で、岩尾のように、新部署を立ち上げるような提案を実現できる地盤を固めていこうと思っています。

【DeNA分析部特集Vol.3】データエンジニアリンググループ発足の狙いとは?MLOps導入や新技術によるコスト削減などで事業貢献を目指す

――Vol.3で紹介された入社半年で新部署を起ち上げた岩尾さんのエピソードは反響がありましたが、上司の藤江さんとしてはその当時はどのように感じていたのでしょうか。

藤江:Vol.3でも出ていましたが、まずこの話はミッションとしてトップダウンで依頼したわけではありません。業務に取り組む中、現在の分析部の組織全体をとらえた時に、もっとこうした方がいいのではないか、この機能を強化するべきではないかと岩尾からの提案を受けて、ゼロベースから考えました。

もともと分析部は、意思決定が早いことが強みのひとつです。そこに、マネージャー陣も課題だと思っていた部分を、岩尾が的確に改善点を提案してくれたので、意思決定者であるマネージャーも「それやろう!」とすぐに承諾できたという状況でしたね。

岩尾一優(以下、岩尾:中途で分析部に入社した自分は、最初はSQLやシステムの細かい部分を見て「なんとなく、無駄なところがあるな」と感じていました。

さらに全体を見ていくうちに、コストの規模感や、どれぐらいのタイトルを運用して、どんなペースでデータ量が増えていくかを徐々に可視化していきました。それによって、分析が売り上げに貢献する以前に、システム面の本来不要なコストがかかり過ぎているということが分かったんです。

その問題に対して、具体的に削減する案をすでに思いついていたので、特定のタイトルで実際に導入して削減を実現させ、「これだけコストの削減が可能です」ということを説明したというわけです。

分析部 マネージャー/岩尾一優

藤江:岩尾のように、エンジニアとしてのバックグラウンドを持っているメンバーもがいることも、分析部の強みになっています。実は、分析部はDeNA社内の中でも、メンバーのバックグラウンドが非常に多彩なので、いろいろな視点があることも含めて、分析部としての強みになっていると思います。

意思があるメンバーには、社歴関係なくどんどん任せていきたい

――藤江さんとしては、最初にこの新組織立ち上げの提案があった時、「岩尾ならこのぐらいできる」と予想していたのでしょうか?

藤江:正直に言いますと、当初はそこまで一気に組織を立ち上げるイメージはなく、機能を強化していけばOKくらいに感じていました(笑) 。ですので、入社早々に想定以上の意欲とスピード感で取り組んでくれた印象ですね。今後はほかのメンバーでもこのような提案を出してくれたら、任せていきたいとは思っています。

分析部の平均年齢は比較的若く、20代のマネージャーもいます。その中で、アナリストとしての本業だけでなく、分析部という組織全体を変えていける可能性のある課題を、社歴関係なくどんどん任せて、一緒に組織を変えていこうという取り組みを行っていきたいですね。

――権限委譲や、意思決定を早くする体制が、分析部の中にあるということでしょうか。

藤江:そうです。DeNAという会社自体が、事業のサイクルや意思決定の速度もはやいので、権限委譲して、メンバーが正しく意思決定をして事業や組織を変えていけるような体制を作っていくことは大事だと思っています。今後はシニアメンバーも積極的に迎え入れていきたいと考えているので、さまざまな経験を組織にも反映させていきたいですね。

――マネージャーのお二人から見た、分析部のカルチャーってどんなものなのでしょうか。

岩尾:当事者意識がすごく高いですね。事業への貢献意欲が高いメンバーばかりなので、私もさらに意欲をかき立てられるような環境だと思います。

中川:私も同じです。前職を経験したうえで感じたことは、個々のメンバーが課題と当事者意識を持ち、どう解決していくかをすごく必死に考えている組織だと思っています。さらに、こうしていきたいと思ったら、立場や役職に関わらず、必要なことは自分で動きながら解決をどんどん推進していくメンバーが多いですね。

多彩なスキルを、身につけてほしい

――ちなみに、分析部内では横の異動はありますか? アナリストがユーザーリサーチをやりたいと希望した場合はどうなるのでしょうか。

藤江:一言で分析やアナリストといっても、いろいろなスキルを持った人がいます。いわゆる行動ログの分析を主体としたアナリストもいれば、ユーザーリサーチを基本の武器としているアナリストもいますし、岩尾のようにデータエンジニアの技術をベースにしている人もいます。

つまり、いろいろなパターンのスキルセットの人が、分析部には在籍しているということです。部の方針としては、スキルセットの組み合わせを、できるだけ多彩なパターンで身につけてほしいと思っています。

今後、分析のアナリストとして価値を高めていくためには、どれだけ珍しくてニーズの高い組み合わせのスキルセットを身につけられるかが重要になってくるかなと思います。

なので、メンバーから「機械学習をもっとやっていきたい」とか「今は、行動ログしか分析できないけれど、将来的にユーザーリサーチも経験したい」などの希望があったときには、できるだけ叶えられるようなアサインを考えています。

――マネージャーとメンバー間の日頃のコミュニケーションも大事になりそうですね。

藤江:そうですね、「自分はこれをやっていきたい!」といった思いは、1on1などでどんどんマネージャーに話してもらうようにしています。もちろん、100%希望に沿えるわけではありませんが、話したことによって初めて動き出すプロジェクトもたくさんありますので、できるだけメンバーのやりたいことを聞く方針でやっています。

分析のさらなる高度化に向けて

――今まで何か良い話ばかりだったのですが(笑)。逆に、課題などはありませんか?

藤江:分析の高度化を実現させていくこと、そしてそれに伴う強い組織を構築していくことが、我々の課題になっているかなと思います。

そのためのアプローチとして、ユーザーリサーチやAIの活用など、いろいろな方法を模索しています。幸い人数も多く、さまざまなことに興味を持っているメンバーがたくさんいるので、それぞれの得意分野で、より高度化し、バリューを出すためには、自分たちでどういうスキルを身につけたらいいかを考えながら進めています。

高度化という観点では、従来の分析手法にとらわれない新しいアウトプットを作ろうという部内プロジェクトに取り組んでいます。ユーザー体験やそこで生まれる感情を把握・分析できないかという大テーマに向かって専門性を有するメンバーがチャレンジしており、ゲーム業界の大規模外部セミナーで発表するレベルの成果も生まれています。

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岩尾:分析部は、個々のスキルが高いメンバーが多い反面、スキルが属人化しやすい状況になっていると思います。システム運用は誰が携わっても同じ結果になるのがベストであって、特定の人が作業したから障害が起きたなど、対応者によって結果が変わることがあってはなりません。

そういった一定の品質を保つプロセスやノウハウは、誰が関わっても同じ結果になるように、徹底して培っていかなければいけないとも思っていますし、そこに向けてもチャレンジしている最中です。

――ありがとうございました。後編では、一人前のアナリストにまで育成する研修プログラムやキャリア、さらには裏話をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

※本記事は2019年6月時点の情報です。

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