2019 26 Apr

【DeNAデザイン部特集Vol.1】事業に資するクリエイティブ集団が見据える未来、そして求められる役割とは

【DeNAデザイン部特集Vol.1】事業に資するクリエイティブ集団が見据える未来、そして求められる役割とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2019.04.26

  • Facebookでシェアする!
  • Twitterでツイートする!
  • はてなブックマークでブクマする!

ゲームづくりにおいて、どんなに優れた企画や仕様があっても、デザインの良し悪しでコアゲームの面白さが伝わらない=本来プレイヤーに伝えたいUXが伝わらない、といった結果に陥ります。DeNAゲーム事業のデザイン部は、まさにそのような部分を司るビジュアルや操作性など、あらゆる全てのユーザー体験を担保し、事業に貢献していくクリエイティブ集団です。今回【DeNAデザイン部特集】と題し、Vol.1では部長の宇佐美(写真:右)と副部長の楠(写真:左)に、昨年の振り返りと、今期に掛ける想いをインタビューしました。

2018年度の振返り

ーー 2019年2月上旬に、デザイン部として初となる合宿もありましたが、改めて昨年度の良かった点や課題点を教えてください。

宇佐美:まずは課題点ですが、これは前回の合宿でも議題に挙げましたように、昨年はプロトやα版/β版など、デザイン部の各開発フェーズにおける関わり方に課題があったと認識しています。

▼前回開催された合宿の様子はこちら
【DeNAデザイン部:合宿レポート】組織運営のホンネを部長と参加メンバーに聞きました

それに関して今期は、組織体制を改善することできちんとテコ入れを行いつつ、各開発フェーズでのデザイン観点でのレビューの他、技術追求・選定に関するポリシー策定、クオリティを担保するための補助機能の強化など、様々な取り組みを通じて、アウトプットの質をもっと高めていこうとしています。

ーー タイトルごとに細かなディレクションも必要ということなのでしょうか?

宇佐美:というよりも、デザイナーのアサイン要望がこれまでは開発チームからのニーズに応えてアサインするケースが多かったので、受け身ではなく、デザイン部側でもきちんと能動的に動いていこうと思っています。

プロトやα開発/β開発など、各開発フェーズでデザイナーに求められることがプロジェクトによって異なっていたので、「α開発ではデザイン観点でここのクオリティを目指そう」といった共通認識を持つために、各開発チームのプロデューサーやディレクターと連携していくつもりです。

アサイン要望を開発チームから受けた際にも、「なぜそのフェーズでその人が必要なのか」という理由も関係者できちんと事前に話し合い、アサインされたデザイナーが100%以上の能力を発揮できるような体制を目指したいと思っています。

ーー 組織間のコミュニケーションがポイントになりそうですね!

宇佐美:はい、ボタンの掛け違いにならないように、デザイン部もプロダクトを成功させる意思をしっかりと発信しつつ、アサインに関しても中長期的な戦略を策定して、各プロデューサーやディレクターと共通認識を持っていこうと思います。

ーー なるほど、デザイナーの働き方にも良い意味で変化が出てきそうですね。副部長である楠さんは昨年を振り返っていかがですか?

:そうですね、ゲームという1つのプロダクトにおいて、「新規開発」と「運用」のそれぞれで、デザイナーが果たすべき役割が整理できたと思います。これはポジティブなことです。

宇佐美:そうそう、大きな成長のひとつとして、デザイナーに「コスト意識」も芽生えてきたよね。組織全体でユーザーファーストに繋がるような、意味のある「コストの使い方やタイミング」が浸透してきたと感じています。

ーー コストの使い方のメリハリができたということですね。

:はい。ただ一方で、ビジネスとして運用にやりがいを持って取組む熱意を、メンバーに浸透させる難しさを感じた一年でもありました。

ゲームというコンテンツをビジネスと絡めてデリバリーさせていくことの重要性を、もっと個人に浸透させていくことが今後の課題ですね。まったく出来ていないというわけではないのですが。

2019年度の取組み

ーー ではここから本題ですが、今年度のデザイン部の取組みについて教えてください。

宇佐美:基本的にミッションなどは去年と変わっていません。新規タイトルでは世界にインパクトを残すような表現技法や新技術を取り入れつつ、さらに多くのプレイヤーに楽しんでもらえるようなチャレンジをしていきたいですね。

運用中のタイトルにおいても、デザイナーとしてプレイヤーが求めているコンテンツをコスト意識を持ちながら提供し続けるために、努力を重ねて行くべきだと考えています。

社内向け資料より一部抜粋

:先日、AppleやGoogleが発表したゲームストリーミングサービスなどをはじめ、これからも様々な技術革新が起こっていく中で、技術トレンドに対応しながらクオリティを担保しつつ、市場の中の競合と切磋琢磨していかなければならないと感じています。

その中で「戦う土俵」をどこに設定するかを決めるのが大事で、「同じ土俵で戦うのか」「違う戦い方を模索するのか」などを戦略的に考え抜き、推進していきたいと思っています。

もちろん、デザイン部だけでそれは実現できないので、ゲーム事業部全体で、どういった戦略で世界にインパクトを与えていくのかを考え続けていきたいですね。

――現在はそのようなプロジェクトが実際に動いているんですか?

宇佐美:今は情報を収集する時期だと思っています。海外のカンファレンスなどにも積極的に参加したり、国内の企業と新技術に関する勉強会を行ったりなど、最先端のトレンドに乗り遅れないようにしています。

また、今期からデザイン部の中に「テクニカルアーティストグループ」(以下、TAグループ)を新設しました。これまでツールの選定と最適化や、デザイナーの作業環境やシェーダー周りの構築など、エンジニアリングの知識が必要な領域に関しては技術部門に依頼してカスタマイズしていたのですが、コミュニケーションの不足で意図が伝わらなかったり、単純に多忙だったりで満足なカスタマイズが出来ない状況もいくつかありました。

そのため、デザイン部内である程度完結できる組織を新設することで、意思決定も作業もスピーディーにできるようにし、技術面でも遅れを取らないようにしていきたいと考えています。

編集部補足:デザイン部配下にはUIや3D、フロントエンドなど職能ごとに13のグループに分かれており、事業ニーズにフレキシブルに対応できる開発体制を敷いている。

――合宿で話していたR&Dやエンジニアとの連携に関しては、このTAグループがハブ(中核)になってくれるのを期待していると?

宇佐美:そうですね。基本はTAグループがハブとなって、他職能の技術に強いメンバーからDCCツールのノウハウを集め、クオリティを担保するためのパフォーマンスを最大限に発揮できるよう動いていく予定です。

――話は変わりますが、デザイン部のカルチャーなどはあるのでしょうか?

:カルチャーとちょっと話は違うかもしれませんが、昨年は「整理した年」でした。良かった部分だけでなく、改善点も多かったので、今期は新しく構築する年にしたいと思っています。ぶっちゃけ、カルチャーをつくるような余裕がなかったです(笑)。

宇佐美:楠も私もゲームクリエイター出身ではないので、技術面は意思決定も含めて各グループのマネージャーに任せて、僕たちは事業貢献のための戦略策定などに注力しつつ、他の事業部との連携や、ゲーム開発におけるデザイン組織としての立ち位置を明確にするために時間を使っていこうと思っています。

手前味噌な話ではありますが、デザイン部には、本当に能力の高いメンバーが揃っているので、ゲーム開発に資するための意思決定やフローの設計は彼らに任せようと思っています。ですので、メンバーには思いっきり暴れて欲しいですね。もちろん良い意味でですが(笑)。

:デザインの領域において僕らが介入しすぎてしまい、クオリティキャップになってしまうリスクもあると思います。意思を持って現場のマネージャーやメンバーに任せ、その分僕らは先に話した戦略周りもそうですし、この記事のような対外向けの発信や業界内での関係値づくりなどを積極的にやっていきます。得意なことを得意な人がやるというシンプルなコンセプトで、きちんと役割分担をして組織を運営していきたいですね。

――先ほど「役割分担」というキーワードが出ました。デザイン部の「部長」と「副部長」は、それぞれどのような「役割」を担っているのでしょうか?

:部長、副部長というと組織図としては上下がありますが、基本的には並列(同権限)で物事を進めています。実際、「2人でやること」「それぞれがやること」をある程度ハッキリ分けて、それをメンバーに共有しています。

宇佐美:2人で担当するのは、組織戦略・戦術の立案と推進。そして組織戦略に合わせた組織構造の設計とアサイン、採用や組織コンセプトにアジャストする人材の育成と評価です。

そして主に私が担当するのが、新規開発ゲームの意思決定やタイトル評価の会議など、DeNAゲーム事業部にとって重要な会議体への参加。さらに他事業部とのコミュニケーション窓口やフロント業務、開発運用問わずゲーム開発を支える横断組織としてのフィジビリティーの担保にも責任を持ちます。

宇佐美:楠の担当は、グローバル戦略や人事と連携した新卒育成、アウトソーシング推進です。また楠は交友関係が広いので、外部に対しての組織ブランディングの形成、そしてDGT(DeNA Games Tokyo)の取締役は引き続き担当します。

:いわゆるDeNAからDGTへのタイトル移管などの話が今後出たときに、本社のデザイン部の顔と、DGT取締役の顔を活かしてコミュニケーションを円滑にして、スムーズにプロジェクトを動かしていきたいと思っています。

宇佐美:このように役割は得意領域に応じて分けてはいますが、基本的にすべて2人で判断しています。オーナーが違うだけ、というイメージです。

――ではこのような体制のもと、DeNAの今後のゲーム戦略として「グローバル」が一つのキーワードになっていくかと思います。この点に関して、デザイン部ではどのような対策等を考えているのでしょうか?

宇佐美:国内外の今後のゲーム市場の成長率を考えたとき、デザイナーとしても日本以外の国に力を示していく必要性があると思います。そこで現在は各国の文化やゲームに関する様々な情報を、リサーチを含めて収集するための体制構築を行っています。

その部分は楠がオーナーとなってDeNAゲーム事業部の各部署と連携し、主に中国市場におけるデザインのトレンドなどを調査しています。

:現在は、僕と数人のメンバーで『伝説対決』や『永遠の七日』のタイトルの運営に参画し、PDCAを回しながらあるべき姿の定義から推進しているところです。

――DeNAのデザイン部のメンバーには、将来的にどのようになって欲しいと思いますか? やはり世界を視野に入れた飛躍でしょうか?

:「デザイン部ってどんな組織?」と問うとき、DeNAのような事業会社だと、事業のトレンドも時代によって変わりますし、それに合わせて組織の形や求められる能力も変わってくると考えています。

今後、事業のトレンドにおいても技術のトレンドにおいても、変化の波が大きく広がることは間違いないですし、一番必要なのは「フレキシブルさ」だと思っています。

なので、組織として様々な環境の変化に直面しても、常に事業に資する組織でありたいという話はしています。もちろん、そこに属するクリエイターの一人ひとりにも、フレキシブルさが求められると思っています。

――様々な環境においても、自立的に考えて動いて欲しいと?

:そうですね。デザイナーとして、むしろ変化の早い環境を楽しんで欲しいという気持ちはあります。そこはDeNAらしさかもしれませんね。

宇佐美:著名なIPホルダーとの協業を進めていく中で、たくさんの人にプレイしてもらえるタイトルを開発していること自体が、デザイナーたちにも大きな経験値になっていると思います。「自分たちがやっていることは本当にスゴイことなんだ!」と意識して欲しいですね。

もちろん、開発中は大変なこともありますが、将来振り返ったときに絶対にポジティブな経験になっているはずです。

そういった恵まれた環境の中で、自分で意思決定をして、キャリアプランを考えて自走して欲しいと思っています。それを僕たちが強制してしまうと、全然つまらないただの「作業」になってしまうので、変化の中での意思決定すらも楽しんでもらえれば嬉しいです。

――では最後の質問です。先ほどの内容を踏まえ、これからの1年間は、デザイン部のメンバーにはどのように成長・活躍して欲しいと考えていますか?

宇佐美:環境やチャンスは僕らができる限り作っていくので、そこで自分で考え、判断してアウトプットして欲しいですね。自身のプロフェッショナル領域を正しく理解して、いちクリエイターとして活躍する「意識」を強く持ってもらいたいです。

さらにデザイン部全体としては「事業に資する」というポリシーを強く持っているので、事業のトレンドを正確に理解して、DeNAという会社のあるべき未来の姿の実現に、キッチリ貢献できるように動いていきたいですね。

:クリエイターってスキルや技術的なトレンドに意識が向かいがちなのですが、それだけじゃなく、DeNAという組織として、大局観を持ってゲーム市場を捉えながら仕事をして欲しいですね。自分が活躍している環境の外は、どんな世界が広がっているかを常に想像することが大事だと思います。

もちろん日々の業務が忙しくなると、視野も狭くなりがちですが、そんなときほど一度立ち止まって俯瞰して、事業や市場など自らが置かれている環境を見つめ直すことを心がけるといいですね。

――ありがとうございました。

※本記事は2019年4月時点の情報です。

GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitterにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!