2019 06 Aug

【DeNAマーケティング部特集vol.1】ROIだけが判断軸ではない。「遊び続ける必然性」を創造し続ける、次の一手とは?

【DeNAマーケティング部特集vol.1】ROIだけが判断軸ではない。「遊び続ける必然性」を創造し続ける、次の一手とは?

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2019.08.06

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『逆転オセロニア』や『メギド72』などのオリジナルゲームの他、さまざまなIPタイトルを運営するDeNAゲーム事業部では、日々プレイヤーにゲームの面白さをどう伝えていくか試行錯誤を繰り返しています。そこで重要になるのがマーケティング力。今回は、競争環境が激しい市場のなか、マーケティング部が果たすべき役割やDeNAならではの強み、そして今後の目指すべき姿について、マーケティング部長の今西陽介(写真左)、そして副部長の坂田裕貴(写真右)に語っていただきました。

今西 陽介 | マーケティング部 部長
2004年入社。入社後は、Mobage、ポケットアフィリエイト、モバオク、モバコレなど、複数のモバイルサービスの立ち上げに従事。現在は、DeNAゲーム事業のマーケティング部で、マーケティングプロデューサー、デジタルマーケティング、コミュニティマーケティング、ゲームメディアPRなどの領域を管轄。

坂田 裕貴 | マーケティング部 副部長
2015年新卒入社。内定者時代から新規事業立案や『逆転オセロニア』の開発を進め、同アプリリリース後に総合ディレクターを経験。現在は主に「ゲームプロダクト全般のマーケティング」や「マーケティング機能強化戦略と推進」を担う。

マーケティングに、プラスαの価値を

――まずDeNAゲーム事業におけるマーケティング部の役割について教えてください。

今西:マーケティング部の役割としては大きく2つあります。1つ目はプレイヤーに自社のゲームをダウンロードしていただくこと。2つ目はダウンロードしていただいたゲームを継続的にプレイしていただくことです。「マーケティング」という言葉は事業を発展させる仕組みを作ることですので、特に2つ目が重要だと思っています。

これはあくまでも一般的な例ですが、せっかくゲームをダウンロードしてくれても、翌日以降も遊んでくれるプレイヤーの数はその半分以下になってしまう傾向があるので、いかに長く遊んでもらうか試行錯誤を続けています。

ーーそうなると日々の運用にマーケティング部の真価が問われるのですね。

今西:そうですね。今は市場にクオリティが高いゲームアプリが無数に存在しており、ダウンロードしてもらうことはもちろん、ダウンロードしてもらった後も、ずっと遊び続けてもらうことは本当に難しい時代です。

特に数年前あたりから動画配信サービスなど、膨大な時間を使う高品質なアプリが増えてきました。プレイヤーの可処分時間の使い方として、これまでゲームに充てていた時間をそのような動画閲覧などに使うトレンドになってきていますので、ゲーム自体に「新しいもの」が求められてきていると思います。

マーケティング部 部長 今西陽介

今西:では「新しいもの」とは何なのか?というと、たとえば位置情報や万歩計などの機能を利用した、ゲームをしながら健康に結びつくようなコンテンツのように、プラスαの価値を出していくことが重要ではないかと感じています。

そのプラスαの価値の一つとして、マーケティング部では 「コミュニティマーケティング」 を組織的にチャレンジをしています。プレイヤー同士が触れ合う場を、運営会社が用意・演出していくことで、ゲームを長く遊び続けてもらうことを考えています。

業界に先駆けて培ったコミュニティ運営力

――マーケティング部の強みを教えていただけますか?

今西:ノウハウ面で言うと先ほどもご紹介した「コミュニティマーケティング」があります。業界内でコミュニティマーケティングという専門部署を持っている企業はまだ比較的少ないのが現状だと思いますが、我々マーケティング部では5年ほど前から専門部署を立ち上げて取り組んでいます。

そして現在では数々のリアルイベントやSNSなど、オンライン/オフライン問わずさまざまな施策を実行し、定量的にも定性的にもかなりのノウハウを溜めることができました。そしてそれを新規タイトルのコミュニティ立ち上げ時に活かせていることは、とても大きな強みだと思います。

また、デジタルマーケティングにおいても、アプリマーケティングの前のブラウザゲーム時代から蓄積してきたアドネットワーク運用の他、FacebookやGoogle、Twitterを活用した施策においても多数のサービス運用経験があります。「コミュニティマーケティング」と「デジタルマーケティング」の融合も、DeNAならではの強みといえます。

マーケティング部ではマーケティングプロデュース、デジタルマーケティング、コミュニティマーケティング、PRの4つのグループがあり、部全体では70人程度の構成となっている。

【DeNAマーケティング部特集vol.3】認知広告や新指標作成など、デジタルマーケティングの新たな可能性にチャレンジ。その取り組みの背景に迫る。

ーー時代にあわせてマーケティング手法を柔軟に変化させているのですね。

今西:もちろんです。たとえば昭和の時代、テレビCMで流れているものが流行っているイメージがありました。しかし今は様々な情報ソースがありますので、テレビで流れているものよりも、友達や有名人(インフルエンサー)が「面白い」と言っているものが受け入れられやすい傾向があります。

そして友達と一緒にプレイする方が、ゲームを長く続けやすいというデータがありますので、友達紹介や気軽にゲームの良さを伝えやすくするところに工夫を凝らしていく必要があるかと思います。ですので、「プレイヤーの声を最大化するものは何か?」に着目するところが、当社におけるコミュニティマーケティングの重要なポイントとなります。

坂田:ただそれはマーケティング部だけでは実現できません。ゲーム開発段階から開発側と一緒にしっかりタッグを組んで「これだとプレイヤーに伝わらないのでは?」「もっと伝えやすくしよう!」といった軸で、ディスカッションを重ねていくことが求められています。

また、リリース後にもプレイヤーからのフィードバックを共有し、ゲームを楽しみ続けられる情報やコンテンツを積極的にアナウンスすることも重要で、そのような「顔が見える運営」を続けることが、コミュニティマーケティングの基本だと考えています。

マーケティング部 副部長 坂田裕貴

――ただ、「コミュニティマーケティング」はKPI設定(数値化)が難しい印象があります。

今西:そうですね。会社全体として言えるのですが、DeNAではロジカルに物事を考えていく傾向があり、数字をベースとした上で意思決定を行う文化が根付いています。

一方で、ROIにとらわれすぎてしまい、「コミュニティマーケティング」もそうですが、新しいことにチャレンジできなくなってしまう懸念もあります。だからこそ、そうならないように、マーケティング部では 新しいことへのチャレンジを7:3の割合でやっていく ことにしています。7割はROIがきちんとわかるもの、残り3割はきちんとチャレンジしていこう、というものです。

坂田:施策一つひとつの費用対効果を測ることは重要ですが、それに縛られすぎてしまうと、自分たちでマーケティングの可能性を狭めてしまう可能性もあります。プレイヤーに喜んでもらうために僕らができること。その思いつく限りの施策を実行し、PDCAをまわしていくことも大事だと考えています。

遊ぶ必然性と、遊び続ける必然性

――ゲームマーケティングにおける難しさ、面白さについてはどう考えていますか?

坂田:これはどの業界でもそうだと思うのですが、市場の未来をしっかりと予測していくこと。そこに難しさがあると思います。

市場ではアプリゲームのリリース本数が増え続け、3Dを駆使した高品質のものであったり、ゲームの設計自体あまり複雑ではないようにみえるものの、ものすごく奥深いものになったりしてきているゲームも多く目にするようになりました。

そうなるとプレイヤーにとって、高品質なゲームが毎週リリースされて当たり前、という消費財に近い概念になってきていると感じています。プレイヤーの可処分時間の使い方自体にも変化が出ている中で、今後どのようなゲームがプレイヤーに受け入れられていくのかを見定めていくことは本当に重要なことです。

――過去を分析し、その上で未来を見据えていく姿勢が問われそうですね。

坂田:そうですね。一方、面白さでいうと、市場の成熟やプレイヤーの目が肥えている中で「遊ぶ必然性」と「遊び続ける必然性」を作ることが肝になってくると思いますし、そこを如何にして仕掛けていくかを考えていくことは、非常にエキサイティングだと思います。

アプリゲームの市場規模は非常に大きく、そこにテレビCMやリアルイベント、デジタルマーケティング、そして冒頭で今西からあった「コミュニティマーケティング」、さらには他社様とのコラボなど様々な施策を組みわせて「遊ぶ必然性」と「遊び続ける必然性」を追求していくことは、アプリゲームのマーケティングならではの醍醐味だと思います。

また、ゲームというエンタメの「面白さ」は人それぞれ異なる面もあるので、定量だけでなく、定性的にもプレイヤーからの反応を得られることも、ゲームマーケティングならではの面白さであり魅力だと思います。

――坂田さんは今年から副部長に就任されていますが、その前は『逆転オセロニア』の総合ディレクターとして数々の事業ジャッジをされてきました。今お話にあったような感覚はその時から持ち続けていたのでしょうか?

坂田:はい。『逆転オセロニア』は、誰もが一度は遊んだことのある「オセロ」のルールを取り入れ、個性的なキャラクター(駒)が登場するドラマチック逆転バトルです。それをどのようにしてプレイヤーに「これって手軽に遊べて面白いよね!」と思っていただけるのかは、相当考えてきました。

たとえば、何かしらのタイアップやコラボレーションを活用して「遊ぶ必然性」を作るという企画にもチャレンジしました。

2018年に日本マクドナルド様とコラボした時には、今『逆転オセロニア』を遊んでミッションをクリアするとボテト・バーガー・ドリンクの無料クーポンがもらえる、というイベントを実施しました。そのようなイベントによって各種メディア・媒体の中で「遊ぶ必然性」を訴求していくというのはユニークな仕掛けだったと思います。

日本マクドナルドコラボ

――ちなみに話は変わりますが、リアルイベントを通じて、印象に残った出来事などはありますか?

坂田:そうですね、2つほど印象的なことがありまして、1つ目はイベントに来場してくれたプレイヤーがタイトルのプロデューサーと話をして泣きながら喜んでいただいた、ということがありました。これは自分が好きなゲームの世界を創造したプロデューサーと話せたという、プレイヤーの人生の原体験として大きな出来事だと感じました。

2つ目は、リアルイベントの会場で運営を手伝った開発メンバーのモチベーション変化です。初めてリアルイベントに参加する開発メンバーって最初はすごく戸惑うのですが、そのようなメンバーが実際イベントに行ってプレイヤーと触れてみて、こういう部分に困っているんだという部分を直接感じられるようになると、今まで曖昧だったプレイヤー像が意識できるようになります。

そうすると、翌日以降の開発メンバーのモチベーションが明らかに高くなるのがわかります。我々アプリゲームを運営している会社にとって、プレイヤーの顔は非常に見えにくいので、誰のために楽しませているのかが明確になると、サービス品質やゲームの面白さが圧倒的に上がると思うんですね。それは副次的な効果として感じた部分です。

今西:リアルイベントの重要なポイントとなりますが、目の前にいらっしゃる1人のプレイヤーを喜ばせられないのに、まだ顔も見えないプレイヤーを喜ばせられるはずがなく、その1人のプレイヤーの深層心理を理解する場としてはとても良いのかなと思います。このプレイヤーに喜んでいただくためには、こんな要素が必要だよね、というのを知るのと知らないのとでは運営側は全然違ってきますね。

部署を越境し、ゲーム開発の成功に向けて伴走する

――マーケティング部としては、今後さらにどのようなチャレンジをしていくのでしょうか?

今西:プレイヤーが他のサービスへ可処分時間を使う理由と、当社のサービスを利用いただく必然性をどういうものにするのか。ここをしっかり考えて提供していくことしかないと思っています。

あとは冒頭にも話したように、ゲームプラスαの価値をどう作っていくかでしょうか。たとえば何かゲームやりながらもベネフィットが得られるものを用意しないと、プレイヤーがゲームをやる理由がないのかなと思います。ゲーム開発段階からその要素を取り入れ、マーケティングでどう広めていくかも重要になるのではないかと思います。

――マーケティング部のメンバーも、ゲーム開発の企画にどんどん関わっていくと?

今西:そうです。マーケットインでプロダクトマーケティングからきちんと入っていくことが、今後さらに求められるということだと思いますね。マーケティング部署や開発部署が分断されているのではなく、部署を越境した上で相手をリスペクトしながらもっとこうやったらいいゲーム作れるよ、というディスカッションをやっていかなければ生き残れないと感じます。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

特にマーケティングプロデューサーは一緒になってゲーム制作に積極的に参加し、アイデアを出していかなければよいものはできません。普段から 仕事は越境してこそ成果に結びつく と思っているのですが、越境する際に相手をリスペクトすることを忘れるとトラブルになってしまうので、そこは注意しながら進めるようにしていますね。

NEXTマーケティングを担う旗手となる

――今期から副部長というポジションが新設されましたが、改めて部長・副部長の役割を教えてください。

坂田:正直僕と今西さんの役割分担って明確にはありません。一言でいうと今西さんはマネジメントの要素が強く、僕は事業戦略やマーケティング戦略を実行していく要素が強いです。ですので、2人でケースバイケースでオーナーを分けて「コト」に進んでいければと思っています。

今西:坂田君とは「阿吽の呼吸」というか、お互い考えていることがそんなにずれないんです。状況に応じて役割分担を自然にしている感じですね。

――坂田さん、副部長として今後の抱負があればぜひ聞かせてください。

坂田:マーケティングの専門性で言えば、以前からマーケティング部にいるメンバーの方がスキルは当然高いと思っています。僕の今までのキャリアの中で誇れるものがあるとすれば、『逆転オセロニア』では、事業責任者の視座ですべての意思決定を経験してきたこと。そして経営目線や経営からの要求水準を十二分に理解していることです。

だからこそ、これからのゲーム市場の動向を見据えて「中長期経営計画に基づくマーケティング領域の強化」を成し遂げていきたいと思っています。そのためにも各プロデューサーや事業部長、関係各所などともディスカッションを日々行っており、「コミュニティマーケティング」に次ぐDeNAならではの新しいマーケティング戦略をこれから実現させていきたいと思っています。

――最後に話題は変わりますが、DeNAではゲーム以外にも多様な事業展開しています。マーケティング部はゲーム事業以外にも関わっているのでしょうか?

今西:はい。DeNAの中でも我々が担当するゲーム事業のバジェットが非常に大きい分、ノウハウも貯まっています。組織上はゲーム事業にコミットしていますが、バジェット比率が高いことを考えると、当然ノウハウの蓄積量は多いので他事業をサポートして行くのは当然かと思いますし、それがDeNAの事業全体をドライブさせることだと思っています。

――将来的には他事業部への異動も可能なのでしょうか?

今西:そうですね、ヘルスケアやオートモーティブ、スポーツ、新規事業などへの異動は可能です。DeNAには異動希望制度もありますので、マーケティング部のメンバーが自発的に他部署へキャリアチャレンジができる土壌も用意されています。

個人的な意見ですが、ゲーム事業だけでマーケティングスキルを磨くのは、ゴールとしては小さすぎると思っています。マーケターの中でもトップクラスの実力や市場価値を持つにはどんなスキルが必要であるかを模索し、それを実行する場がゲーム事業以外にもあるのであれば、積極的にアクションを起こしてほしいですね。

坂田:事業を発展させていくマーケティング手法を考えていくことは、どんな事業体や職種であっても必須です。ですから入社後にゲーム事業以外にも興味を持ち、他のさまざまな領域にトライしたい人にはどんどんしてほしいと思います。とはいえ、ゲーム領域のマーケティングが一番面白いと言える魅力的な部署にしていくことが、我々部門長としてのミッションであると思っています。

――ありがとうございました!

インタビュー・編集:佐藤剛史
執筆:及川知也
撮影:波多野匠

※本記事は2019年7月時点の情報です。

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