【CEDEC2019】「自由に移動できるVRゲームにおけるプレイヤーの誘導、こうやってみました」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、DeNAとあまた株式会社が研究開発している、謎解きアドベンチャーVRゲーム『VoxEl(ボクセル)』を実例として、VR空間内を自由に移動できるタイプのゲームにおいて、いかにプレイヤーの行動を制御しゴールまで導くかという課題を、どのように解決したかを解説する、ショートセッションの内容を一部抜粋してレポートします。

登壇者は、株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部 ゲームデザイナーの永田峰弘、あまた株式会社 代表取締役社長・プロデューサー・ディレクターの高橋宏典氏となります。

『VoxEl(ボクセル)』とは

永田:『VoxEl(ボクセル)』は、ハイエンドVRの研究開発を目的としたタイトルとして着手し、過去に「東京ゲームショウ2018」や「LAVAL VIRTUAL 2018」などでプレイアブル出展、開発の中心メンバー10人が約5ヶ月を要してVIVE向けに開発しました。

ゲーム内容は、謎の少女「エル」と共に冒険するVRゲームで、フィールドのオブジェクトを使用したギミックを解きながらステージを進める「謎解き要素」と、そのギミックを利用して終盤に登場する巨大な敵と戦う「バトル要素」を融合させた作品になります。

VRゲーム『VoxEl』開発メンバーが語る技術的な試行錯誤

VRタイトルに必要なもの

永田:VRを利用した作品で必要なのは、その世界に「存在している」という実在感です。VRの世界に入り込んで楽しむためには必須の要素であり、その実在感を得られないものは、据え置き機のようにモニターで遊ぶ体験と大差がありません。

そして、実在感を得るために必要なのは「納得感」です。なぜプレイヤーはこの世界にいるのか、ビジュアルやサウンドはどんな理由で構築されているのか、表現がリアルである必要はなく、プレイヤーに納得してもらうことが重要になります。

DeNA 永田峰弘(左)・あまた株式会社 高橋宏典氏(右)

『VoxEl(ボクセル)』の遊び方

永田:プレイヤーはVIVEコントローラを、ワンドと呼ばれるアイテムとしてゲーム内で持つことで行動できます。移動はなるべくVR酔いをしないように、ワープ移動を採用していおり、VIVEではルームスケールで空間内を歩くことが可能なため、その機能も有効活用しています。

永田:ワンド(コントローラ)のトラックパッドを触れたまま、地面に向けるとサークルが出現し、その状態でトラックパッドを押し込むと、サークルにワープ可能です。もちろん操作によりワープ先の角度を変えることも可能です。

また、ステージに設置されているエネルギーの塊に向けてトリガーを引くと、エネルギーを抽出、再度トリガーを引くとストックしたエネルギーの発射が可能です。

永田:動かせるオブジェクトに関しては、物体に向けてトリガーを引くと、念力のように物体を動かすことが可能です。

プレイヤーへの情報提示と誘導

ゲーム開始時の情報制限

永田:ゲームを始めた際には、納得感を与えるために、プレイヤーが何者なのか、何をすればいいのかを理解してもらう必要があります。

ですが、プレイヤーを完全に自由な状態にしてしまうと、迷いを与え、余計な動作をしてしまうため、見てもらいたくない部分まで見られてしまう、という課題が発生します。

高橋氏:『VoxEl(ボクセル)』では、ゲームスタート時は真っ暗な通路のような場所に閉じ込め、少し先に光がもれている扉が見えるデザインにしています。

高橋氏:このように、情報を大きく制限することで見るべきポイントを明確にしています。その後に、扉の外からガイド役でもある少女エルから声がかかり、移動方法のレクチャーを受けるフローになっています。

チュートリアルを兼ねた初期誘導

永田:ここからは「世界観のチュートリアル」と「操作に関するチュートリアル」に分けて説明していきます。

『VoxEl(ボクセル)』は、短時間で完結するプレイアブルタイトルであり、冒頭でおおよその説明が入ります。この部分がないと、一体何をするゲームなのか理解できないまま、プレイすることになってしまいます。

家で長時間じっくりプレイをするタイトルでは、このような早急な説明は必要ありません。まずはどのようなタイトルで、どの程度のプレイ時間を必要とするのかを設計することが重要です。

ゲーム冒頭で暗い部屋から出ると、エルから「この世界について」「プレイヤーがここに存在する理由」「プレイヤーの現在の状態」など、簡単な説明が開始されます。

この演出により、ゲームシステムと世界観の融合を実行し、プレイヤー自身がVRの世界に来たことを実感させます。

高橋氏:VRにおいて、触感が得られない点は大きな問題になりますが、それを逆手に取って、プレイヤーは実体を持たずに、実際に触ることができるのは、ワンド(コントローラ)だけに限定しています。

高橋氏:その後の「不完全な召喚になった」と世界観側による補足と、エルによるキャラクター表現で補っています。

長時間一緒にゲーム内で旅をするゲームデザインでは、人間型のキャラクターを実装することは非常にコストも高いですが、その価値は大いにあると考えられます。

永田:続いて、エルから基本操作とゲームルールの説明がされますが、場所を比較的狭い空間にすることで、情報を制限しています。

永田:ゲーム内では序盤で「ゲームの操作方法」「どうやって進むのか」「何を見ればいいのか」についてレクチャーされます。

VR空間内にはデザインしたオブジェクトを自由に配置できますが、置きすぎるとプレイヤーが何をすればオブジェクトが動くのか、判断に迷ってしまいます。

そのため、この画面で印象的なオブジェクトを見せることで「この系統のデザインのモノを見て触れば次に進める」という感覚を持たせ、謎解き要素に集中できるようにしています。ここでも、テキストを使用せず、エルのセリフのみで説明、進行していきます。

謎解きステージでの情報提示

永田:本作では、進行方向について、基本的に「前を向いていれば理解できる」デザインにしています。VRでは360度自由に視点を変えることができるため、ゲームに関係する情報をさまざまな方向に置いてしまうと、プレイヤーは総当たり戦のようなプレイをしてしまう恐れがあります。

永田:それを回避するために、基本的に前進するような構造設計にしており、謎解きに必要な情報はすべて前方(進行方向)に置いてあります。実は、ゲーム内で360度の世界が広がっていても、VRに慣れていないプレイヤーは、ほとんど前方向しか見ない傾向があるんです。

分かりにくい場所にあるオブジェクトに対して、徐々に誘導して発見する体験をさせることも可能ですが、その場合にはきちんとした導線の設計が必要となります。

高橋氏:『VoxEl(ボクセル)』のレベルデザインについては、エリアを小分けにして、縦シューティングゲームのように奥に進むような構成が基本となっています。

高橋氏:エリアをまたぐたびにチェックポイントを設置し、途中で向きがわからなくなったり、エリアが変わったときに方向をリセットするようにしています。

本作では、最終ステージにて巨大なボスキャラクターが出現し、これまで駆使したギミックを使って戦いますが、このタイミングでは進行方向が逆になるので、進む方向と戻る方向を明確に認識できるようにしています。

キャラクターによる誘導

永田:現実と同様にVR空間内においても、単純に動いている物体よりも、コミュニケーションを取ろうとする物体に対して、人間は強い反応を見せます。

本作ではエルのセリフやモーションによって、「次に何を見ればいいか、何をするべきか」という情報を与えて、プレイヤーを導いています。

先に述べたとおり、VR空間内で成立する人間型のキャラクターの制作はコストが高いのですが、苦労に見合うほどの価値があるので、ぜひ挑戦してほしいと思います。

もちろん、人間型ではなく、シンプルなデザインのロボットのようなキャラクターでも、コミュニケーションを取る意思のある存在であれば、十分代用可能だと考えられます。

失敗例としては、とある場所に落ちてきた物体に対して、エルが「どかして」と話すのですが、その会話の際にエルの顔を別の方向に向けさせてしまい、かなりの人がそこで迷ってつまづいてしまったことです。

永田:視線誘導のギミックはVRタイトルでは良く採用されますが、本作では自由移動が可能なので、視線誘導の難易度が上がっています。そこで、要所ではガイドのキャラクターを動かしてプレイヤーの視線をコントロールしています。

もちろん、音による視線誘導もしていますが、ゲームのリテラシーが高くない人、ゲームに慣れていない人には、現実の音ほどの効果がないので、明確にやや長めに音を鳴らすことを意識した方が良いと言えます。

特にゲームショウなどの屋外イベント会場では騒音も大きく、それによって視覚情報がより重視されてしまう恐れがあり、サウンド設計時にはプレイする環境を考慮することも重要だと考えられます。

実在感を上げるための演出

高橋氏:VR空間において、キャラクターがプレイヤーの方向を向く、動いて話しかけてくる仕組みは、エルというキャラクターを使って表現しましたが、試遊した人のフィードバックを含めて、非常に大きな効果を上げた、とてもエモい経験でした。

高橋氏:これまでセッション内で伝えてきた通り、人間型のキャラクターをプログラムやモーションを開発して制御することは非常にコストも高く、チャレンジしづらい領域ではあります。ただ、エルと協力して謎を解いたり、敵と戦ったりする体験は、非常に魅力的でトライする価値がある演出だと感じました。

私は過去に、キャラクターとお話を楽しむPS対応タイトルの開発に携わっており、仮想キャラクターとコミュニケーション可能なゲームデザインをしていました。

VRの特徴として、自分がそのままゲーム空間に存在するような体験ができることだと考えており、キャラクターとのコミュニケーションにより、自分の心にもたらす変容のようなものが、VRの世界でも効果があると感じています。

永田:それでは最後に、サウンド開発に関する話をしたいと思います。VR空間では視覚情報の比重が大きくなりますが、サウンドの中でも特に「環境を表現する音」は非常に効果が高いと考えられます。

特に、ボイスやSEが鳴ることによって発生する「残響音」については、空間の中で鳴る、しゃべっている音声が残響するイメージを考慮して作ると、そこにいる雰囲気が強く感じられるので、コストも少なく、演出としては非常に効果が高くなります。

永田:本作のサウンドに関しては、研究開発の観点から、ミドルウェアを使用せずに、空間ごとにボイスの残響音を全て自力で計算して、エクスポートしましたが、その作業はかなり大変でした。

今回のセッションは以上となります。もし質問やVRタイトルの相談があれば、ぜひ、個別にご連絡ください!

取材・文・撮影:細谷亮介

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【CEDEC2019】「サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月6日に行われた「サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術」について、『天華百剣 -斬-』プロデューサーのナカムラケンタロウが登壇したセッションの内容を、一部抜粋してレポートします。

冒頭、ナカムラは今回のセッションの重要なポイントとして「プランナーとしてTwitterのプロモーション効果を意識しつつ、ゲームについて深く考えることが重要」だと述べ、マーケティングに携わる参加者には「プランナーと連携すれば、プロモーション効果をより高めることができる」といった視点で見てもらいたい、と説明しました。

『天華百剣 -斬-』とは

『天華百剣 -斬-』は、乙女の姿を持って生まれてきた刀剣「巫剣(みつるぎ)」 たちとともに、世を乱す邪悪な敵との戦いに挑む、スマートフォン向けベルトスクロールアクションゲームです。

本作はKADOKAWA社とDeNAの協業案件であり、ゲームだけでなく、コミカライズやノベライズ、キャラクターソングなど、各種メディア展開を続けているタイトルになります。

登壇者のナカムラは、2013年に株式会社DeNA Games Osakaに入社し、プランナーとして運用中および新規タイトルを担当。2017年の11月に『天華百剣 -斬-』にディレクターとして参加し、タイトルの一周年を迎えた2018年4月にプロデューサーに就任しました。

サービス終了寸前まで追い込まれた歴史

『天華百剣 -斬-』プロデューサー ナカムラケンタロウ

『天華百剣 -斬-』は2017年4月20日にリリース後、順調に運営がスタートしたものの、あるトラブルが原因となり、ユーザー数が減った経緯があります。

そんな低迷期の中、ナカムラは2017年11月に『天華百剣 -斬-』の開発チームに参加。2018年1月の半ばにプロデューサー交代の打診を受けました。

その直後の2〜3月が最も低迷した時期となり、会社から「2018年8月末の状況でサービス終了かどうかのジャッジをする」という通告も受けたとのことです。

下図は2017年4月~2018年3月の1年間の月間のアクティブユーザー数を、ざっくりとイメージしたグラフとなります。

あと数ヶ月後にはサービス終了の可能性がある状況で、ナカムラは「絶対にタイトルを終わらせたくない!」「そのためにどうすればいいか?」と自問自答していたそうです。

もともと本作のリリース時から一人のプレイヤーとして遊んでおり、個人的に思い入れが強いタイトルだったこともあって、彼のプロデューサー生活は「タイトルをサービス終了させないために、どうすればいいか?」を、具体的かつ真剣に考えることからスタートしました。

そんな彼が、絶対にサービス終了させないためにと心に決めたことは「予算が限られている中で必ず最大以上の成果を出す」こと。そして「最大以上の成果を出すために、できることは何でもやる!」ことだったそうです。そのような強い想いで様々なチャレンジを行っていきました。

Twitterのプロモーション効果に注目

『天華百剣 -斬-』の存在を、たくさんの人に知ってもらうためのプロモーション手法として、たとえば「テレビCM」はすぐに頭に思い浮かびますが、その実施にはかなりの費用が必要になります。また、電車の車体に広告を掲出するラッピング広告や、中吊り広告ジャック等もインパクトは強いのですが、こちらも一定の費用が必要になります。

そこでナカムラは大きな費用をかけてのプロモーションが不可能な中、「自分たちが届けたいと考えるターゲット層に、ピンポイントサーチで情報が届く」ことを目標設定しました。その理想の状態を実現させるためのツールとして「Twitter」がベターな選択肢だったと語っています。

Twitterの特徴

Twitterには「匿名性の高さ」と「他のSNSに比べて一人で複数アカウントを使い分けやすい」という2点の大きな特徴があります。ゲームやアニメなどのいわゆる「オタク系コンテンツ」と相性が良いため、「趣味嗜好が似た人同士が繋がっていることが多い」という状況がTwitterの世界では発生しています。

「自分が好きなゲームの話題をツイートする専用アカウントをつくり、同じゲームが好きな人をたくさんフォローする」といった使い方をしている人は珍しくありません。

そのように趣味嗜好が似た人たち同士で繋がっているため、「情報の伝播のしやすさ」と「情報の伝播の速さ」が、Twitterをプロモーションで使う際の大きなメリットになっており、それを最大利用することを考えたそうです。

たとえば、Aさんが「天華百剣の新情報」についてツイートすると、その新情報は趣味嗜好が同じフォロワーのBさんに伝わります。さらにBさんがその情報についてツイートやRTすることで、その情報はより広く、多くの人に伝播していきます。

伝播していく先々で、仮に『天華百剣 -斬-』についてまだ存在を知らない人がいた場合、その人はTwitterを通して本作を初めて知ることになります。このようにして情報が拡散していくことが「Twitterのプロモーション効果」であるとナカムラは説明しました。

Twitterを通して情報を広げるプロモーション手法と聞くと「バズる」「バズらせる」といった用語をイメージすることが多いかもしれませんが、ナカムラが目指したものは実はそうではなかったようです。

もちろん『天華百剣 -斬-』に関連する情報がバズり、これまで本作に興味がなかった層まで伝わることは、プロモーションとしては成功だと考えられます。

ただし、Twitterでバズった情報は、一定時間が経てばすぐに収束するため、中長期的にはほとんど効果がないと説明しました。

ナカムラが実現したかったのは「同時多発的にさまざまな情報がツイートされ続ける」「同時多発的に何かしらの新しい情報が発信され続ける」といった状況でした。これは「バズる」こととは、微妙に概念が違うと捉えることができます。

3つの法則

なぜ「同時多発的にさまざまな情報がツイートされ続ける」状態を目指したか、その理由は「3つの法則」を発動させられるから、と語りました。

まず上図1.のように、Twitterでつながっている人が注目している情報は、なぜか自分も気になってしまう法則です。

これは自分でCMを見て気になるより、知人が「このゲーム面白いよ」と発言しているのを見て、「あの人が言うなら、きっと面白いはず」と自然に気になってしまう現象です。

また、気になっている情報については2.「最近、○○をよく見る気がする」法則が発動すると考えられます。

ナカムラの過去の話で、母親が「緑色の車を買おうと思っている」と言った数日後に「世の中には緑色の車がたくさん走っているから、やっぱり別の色にしたい」と急に意見を変えたことがあったそうです。

そのような状況になったのは「緑色の車が欲しい」と考えていると、自然とそれに注目してしまい「世間には意外と緑色の車が多い」と感じてしまったと考えられます。

それと似たように、無意識に注目する情報は目につきやすく、記憶に残りやすい傾向があるようです。その状態をTwitter上で作りたいと、ナカムラは思っていたことを明かしました。

つまり、同時多発的に『天華百剣 -斬-』のさまざまな情報がツイートされ続けることで、今このゲームが盛り上がっている、という空気を作る部分が彼が目指したポイントになります。

プレイヤーと運営間のコミュニケーション

そしてプロモーション効果を高めるために、「プレイヤーと運営間のコミュニケーションについて、意識を変えること」をナカムラは挙ました。

ゲームプレイヤーと運営のコミュニケーション方法には、ゲーム内お知らせ、動画チャンネル、生放送やアンケート、人気投票、プロデューサーレターなど、さまざまな種類が存在します。

プレイヤーと運営の間での、何かしらのインタラクティブな要素は、全て広義にコミュニケーションだと捉えてもいいのではとナカムラは考えています。

直接的な発信はゲーム側より実施することが多く、プレイヤーからの発信手段は、Twitterでつぶやく、掲示板に書き込む、YouTubeに自分が撮ったプレイ動画をアップするなど、さまざまな手段が存在しています。

また、双方向のやりとりとして、リアルイベントで開発陣と直接会話したり、ゲーム内でアンケートを取り、意見を収集することもあります。

ゲーム内に実装している全てのコンテンツは、プレイヤーに対して何かしらの情報や運営のスタンス、メッセージを発信しています。それらをエゴサーチで受信することによって、間接的なコミュニケーションが成立するとナカムラは考えています。

つまり、ゲームに実装している全ての機能は、プレイヤーに対する広義のコミュニケーションであると認識することで、Twitterのプロモーション効果をより高めることが可能になるとのことです。

Twitterのプロモーション効果を高める3つの方法

その1:人格を意識して情報を開示

続いてプロモーション効果をさらに高めるために、プレイヤーが感じているゲーム全体の「人格」を意識しつつ、さらに運営側は可能な限りの情報を、さまざまな手段で「開示」していくことが重要だということが説明されました。

『天華百剣 -斬-』では、公式も含めてTwitterでは「天華百剣くんは~」「天華百剣ちゃんが~」のような呼ばれ方をすることが多く、ゲーム全体に人格があるかのように感じる、とナカムラは話しました。

そこに存在する「ゲームの人格」を意識することが非常に重要だと考え、運営側として、より良い人格を持っている状態を作るため、下図の2点を目指しました。

プロデューサーレター
2018年4月に1回目のプロデューサーレターを公開。プロデューサー交代の報告や、超低迷期を迎えていた時期、サービス終了の噂などでプレイヤーを不安にさせてしまったことへの謝罪や、今後のスケジュールなどが公開されました。

また、シナリオやボイス関連の制作上の都合の説明や、β版だったマルチバトル機能に寄せられた意見に対する返答などを実施し、それを重ねることでプレイヤーと運営側のコミュニケーションを具体的に進めていったとのことです。

エイプリルフール施策
エイプリルフール施策では、当時プレイヤーから嫌われていた敵キャラを主人公にした、ネタシナリオのイベントが実装されました。

その敵キャラは、主に掲示板の中でスラング的に「金棒先輩」という愛称で呼ばれていたため、ゲーム内でシナリオにそのまま採用してみたとのこと。

さらに、某人気ゲームのパロディを入れ込むことで、「運営はきちんと掲示板やTwitterを見ている」ことを、ゲームへのイベント実装で証明した形になり、それを意識させることで「自分のツイートやレスも運営側が見ている」ことを認識できるように設計したそうです。

 

このような施策の実施で、プレイヤーの声を積極的に取り入れるスタンスの表明に加え、SNSでの発信の意味や価値が高まりました。

その結果、ツイートの活性化にもつながり、Twitterのプロモーション効果を高める方法として、プレイヤーのツイートの意味と価値も高めることができたようです。

その2:ネタを仕込みまくる

さらにプロモーション効果を高める方法として、「ゲーム内にスクショを撮りたくなるポイントを仕込むこと」が挙げられました。

ツイート数が増えないとTwitterは盛り上がらないため、ゲーム内にスクショを撮りたくなるようなポイントを増やすことをまず考えたそうです。そしてスクショを取りたくなるポイントとして、「エモいポイント」と「ツッコミポイント」を2大ポイントとして挙げました。

エモいポイントの事例として、一周年イベントシナリオのエンディングの一幕が挙げられました。ここではシナリオに登場したキャラクター全員が出迎えてくれて、プレイヤー名を呼んで祝ってくれます。このような演出を入れることで、プレイヤーは思わずスクショを撮りたくなり、その中の何割かの人がTwitterなどにアップする効果が期待できます。

結果として、プレイヤーによるスクショの投稿数は大きく増加したと明かされ、「エモいポイント」をシナリオの内容や演出、バトルキャラクターの細かいこだわりなどに反映することは効果的だとナカムラは説明しました。

また、実在した刀剣をモデルにしたキャラクター同士の組み合わせも重要になっているようです、たとえば、伊達家の刀剣同士が絡んでいたり、史実をなぞるような演出やオマージュも、歴史が好きな人、他の歴史ものIPが好きな人には、特に喜ばれていると考えています。

ツッコミポイントの一例としては、普段はしゃべることのない敵キャラクターが、なぜか会話しているネタを設置したことが紹介されました。

たとえば「田舎のヤンキー口調でしゃべる」「普段の3倍くらいの長さの金棒を持っている」などのツッコミどころを用意し、スクショを撮ってプレイヤーにつぶやいてもらうことで、それ自体がツッコミとして成立することを設計しています。

そのようなツッコミポイントを増やすことが、同時にスクショポイントを増やし、さらに投稿数の増加につながっていくとナカムラは考えました。

その3:ゲーム内外の施策を連動

さらにプロモーションの効果を高める3つ目の方法として「ゲーム内外の施策を積極的に連動させる」ことが有効だそうです。

たとえば2018年6月から一か月に渡って開催されたコラボカフェでは、メニューや特典の他に、オリジナルの割り箸袋や紙ナプキンを来場されたお客様に提供しました。するとお客様が「こんな細かいところにまでこだわったグッズ作ってくれて嬉しい」とつぶやいてくれたそうです。

さらに店内ではボイスドラマを流し、実際にゲーム外の施策としてもツイートできるネタを仕込み、盛り上げていったとのことです。

それに加えてゲーム内連動として、実際にコラボしたお店の内装をそのまま再現した背景を作り、ゲーム内アイテムとして配布すると、実際に自分のお気に入りのキャラをセットして、それを撮ってつぶやく人がかなり増加したとのことです。

実際にコラボカフェに訪れた際に「配布された背景と一緒だ!」と、その様子をツイートする人もいたようです。

また、コラボカフェが終了したタイミングで、店内で流したボイスドラマをゲーム内に実装して、誰でも楽しめるようにしました。

それにより「店内で流れたボイスドラマがゲームでも聞けるようになった」「自分の好きなキャラのこの部分が可愛い」「次はこのキャラでボイスドラマ作ってほしい」など、派生したツイートも増え、連動させればさせるほど、ツイート数を増やすことが可能になったようです。

一周年に多くのお祝いツイートが

今まで紹介してきた取り組みの効果を加速したトピックスとして、2018年4月に一周年を迎えた際に、イラストレーターやキャスト、シナリオライターをはじめとする関係者やプレイヤー、ファンから、たくさんのお祝いツイートをもらったことをナカムラは明かしました。

そのおかげで『天華百剣 -斬-』をさらに多くの人に知ってもらえることができ、新たにゲームを始める人もたくさん増えたことが、本当に嬉しかったとナカムラは振り返りました。

結果、無事にタイトル継続が決定

冒頭でも述べられたように、2018年2月から3月が超低迷期、そして4月に一周年を迎えていますが、これまで説明された施策により新規ユーザー数を増やすことができ、8月に無事にタイトル継続が決定しました。

さらに上図の棒グラフが右上がりになっている部分では、2019年3月に実施した劇場版アニメ「魔法少女リリカルなのは Detonation」とのコラボの影響で新規ユーザーがさらに増え、そこから二周年に突入した時期だと読み取れます。

2019年10月より開始したショートアニメのTV放送や、2020年以降に向けての準備もスタートしているということで、継続的にタイトルを続けられる基盤が整いつつあるとナカムラは述べました。

プロデューサーそしてプランナーとして深く考える

ここまで紹介された「Twitterのプロモーション効果を高める方法」の3つの手法の組み合わせでツイート数が増え続け、比例してRT数やいいね数も増加していきました。

それらの相乗効果により、同時多発的にゲームのさまざまな情報がツイートされ続けることで「今、このゲームがアツい!」といった空気感を生み出すことができると考えられます。これがナカムラが考える『天華百剣 -斬-』が目指した状態に近いと言えるでしょう。

最後にナカムラは、

「『天華百剣 -斬-』のような、オリジナルIPのゲームは運営を続けるのが本当に難しく、さらにサービス終了の可能性と常に隣り合わせです。モバイルゲームの運営を任され、それを続けていく責任はかなり重いと感じています。

プランナーの目線で、Twitterのプロモーション効果を意識しながら、ゲームについてあれこれ考えることが重要で、チーム全体が協力して今後もタイトルを盛り上げていきたいと思っています。」

と、プロデューサーとしての自身の思い、実際に行ってきた施策のプロモーション効果など、これまでに得た知見や知識を最大限に生かして、今後も良質なタイトル運営を続けていくことを誓い、セッションを締め括りました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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【Unite Tokyo 2019】「Unity Test Runnerを活用して内部品質を向上しよう」セッションレポート

2019年9月25~26日にグランドニッコー東京において、技術カンファレンスイベント「Unite Tokyo 2019」が開催されました。

本記事では、9月26日に実施されたセッション「Unity Test Runnerを活用して内部品質を向上しよう」の内容を一部抜粋して紹介します。

ゲーム開発でもテストは重要

本セッションでは、Unityにおいて、ユニットテストを実行する「Unity Test Runner」の仕組みを活用して開発者の手でテストコードを書き、ゲームの内部品質を向上するためのベストプラクティスやTipsなどが紹介されました。

登壇した株式会社ディー・エヌ・エー システム本部 品質統括部 品質管理部 SWETグループに所属する長谷川 孝二は、おもにUnity向けのテスト自動化支援に携わっています。

ディー・エヌ・エー システム本部 品質統括部 品質管理部 SWETグループ 長谷川孝二

なお、本セッションの前提知識として、2019年9月開催の「CEDEC 2019」において講演された「組織にテストを書く文化を根付かせる戦略と戦術」にて、タワーズ・クエスト株式会社の和田卓人氏から、開発者がテストコードを書く必要性や、開発効率を上げる根拠、取り掛かるべき指針が数字で公開されており、その点は本セッションでは割愛しているため、ぜひ参照してほしいと紹介されました。

SWETグループとは

DeNAのシステム本部に設立されている部署「SWET (Software Engineer in Test) 」グループは、他の横断的組織と連携して、テストの自動化のアドバイザリー、テストや検証ツールの作成、CI/CD、デバイスファームの利用、形式手法によって仕様書記述の品質を上げるといったR&Dの取り組みも担当しています。

テストに関する4つの誤解

ここからは、ゲーム開発におけるテストに関して、一般的に感じられているような「誤解」を解くための説明がなされました。

【誤解1】「テスト」==「デバッグ」

おもにゲーム業界の開発現場で使用されている「デバッグ」とは、バグの発見、原因箇所の特定、修正のことを指しますが、ソフトウェア開発全般で使われる「テスト」の目的は、バグの発見だけでなく、対象ソフトウェアの品質レベルが十分かの判断や、バグの作り込みを防ぐことを意味します。

その中でも「対象ソフトウェアの品質レベルのチェック」に関しては、正しく動作することを確認するとともに「クラッシュしないか」「ユーザーが実際に遊んで問題ないか」など品質を測る、という意味を持ちます。

また「バグの作り込みを防ぐ」ことに関しては、リグレッション(デグレ・エンバグ)をテストをすることにより、時間差なくバグを迅速に発見して修正することが可能とのことです。

【誤解2】ビルドしたゲームを、手動で操作するのがテスト

次の誤解ポイントとして、ビルドしたゲームを実機でテストすることだけがテストだと思われていることが挙げられました。

ゲームを遊べる形にビルドする以前に実施するテストでは、コンポーネントやメソッドのような小さな単位で早期に確実に検証できるのが、低レベルで可能なテスト(ユニットテスト・インテグレーションテスト)のメリットです。

もちろん、この段階では実機(手動)では操作できないので、必然的に自動テストが採用されます。

ユニットテストの利点は、素早く実行してバグを早期に発見できること、個々の部品の品質を上げておくことです。

また、再現の難しい条件を作り出しやすく、タイミング的に難しかったり、乱数的に低確率であったり、画面操作では指定できない値などに対してテストできることも、特にメリットになると長谷川は述べました。

【誤解3】テストを書けば品質が上がる

続いての誤解ポイントは、「テストを書けば品質が上がる」ことです。テストでは品質を測るだけで、実際は正しい設計やプログラミングで品質は上がります。

品質の低いプロダクトはテストが書きにくい事実もあるようです。「テスタビリティ」と呼ばれるテストのしやすさや、書きやすさについての品質特性を評価する観点のひとつがあります。

テストしやすいコードは、その時点でバグも少なく、可読性も高いく、すでに一定の品質を備えていると言えることがほとんどです。

この関係は「ルンバビリティ」という言葉に例えることができると長谷川は話しました。これはお掃除ロボットが自動で掃除するには、その部屋がある程度片付いていなければ、ロボット自体が動けずに、うまく掃除ができない、という意味で使われる言葉とのこと。

また、テスタビリティを含め、外部からのテストではわからないコード自体の品質のことを「内部品質」と呼び、保守性や可読性、移植性などがこれに含まれます。内部品質を高めていくには、ユニットテストを書き、プロダクトコードを見直すことが有効なようです。

【誤解4】テストコードは、プロダクトを開発した後から書く

最後に挙げられたのは、テストコードをプロダクト開発後に後付けで書けばいい、という誤解です。

やはりプロダクトを開発しながら、並行してテストコードも書き、常に実行していくことがベターだと長谷川は述べています。

ユニットテストは人間の手で作業するテストと違い、実行時間は短いので、書いたコードをリポジトリにコミットする流れの中で、テストコードを実行することを習慣化することが大事なようです。

長谷川の持論として「テストコードは建築における足場」だと話しました。実際の建築現場では建物が完成したら足場は撤去しますが、ソフトウェア開発ではリリースに含まれなければ良いので撤去する必要はなく、増改築でも引き続きその足場を利用する、という考え方です。

Unity Test Runnerを使ってみよう

「Unity Test Runner」とは、Unity標準のユニットテスト実行環境で、Unity2019.2からはPackage化され「Unity Test Framework(UTF)」となります。

実行環境としては、UnityエディタからEditMode/PlayMode/実機の各テストを実行できるだけでなく、コマンドラインでも実行可能です。またEdit Modeテストは、JetBrains Riderからも実行可能になっています。

Unity Test Runnerウィンドウは、Unityエディタのメニュー内、Window>General>Test Runnerで起動、EditModeもしくはPlayModeを選択してRun Allすると成否がカラーで表示されます。

2種類のテストモードがありますが、できる限りEditModeを使用することを推奨とのこと。EditModeではエディタ上で素早くテスト実行することができ、PlayModeはUnityエディタのプレイモードと同じ環境で実行することができます。

EditMode Tests

EditModeでは、テストコードの置き場所が2通り指定できます。従来はEditorフォルダの下に配置するしかなかったのですが、Unity 2018以降は任意のフォルダにAssembly Definition Fileを配置して、Editorアセンブリとして認識させることが可能です。

Assembly Definition Fileの設定内容は、テスト対象のアセンブリへの参照、Test AssembliesおよびPlatforms>EditorのチェックボックスをONにします。

テストクラスに制約はありませんが、テスト対象クラスと粒度を合わせることが慣例になっており、メソッドに[Test]アトリビュートをつけたものが、テストメソッドとして認識される仕様になっています。

セッションでは、テストメソッドなど、EditMode Testsのコード例も紹介されました。テストメソッドは、もっとも重要な検証(Verify)のコードから書き、下から上に、テスト対象の実行(Exercise)、環境設定(Setup)の順に書いていくのがおすすめとのことでした。

[UnityTest]アトリビュート

このアトリビュートは、複数のフレームにまたがるテストを記述できるもので、EditModeではEditor Application.updateコールバックループで実行されますが、yield returnにはnullしか指定できないなどの制約もあります。

PlayMode Tests

Edit Mode Testsとは別アセンブリを定義します。設定の違いは、Platforms > Editor をoffにするというところです。

注意事項として、テスト用の空のSceneファイルが生成・ロードされるため、テスト実行ごとにオーバーヘッドが必要となり、やや時間がかかります。またUnityエディタがクラッシュすると、Sceneファイルが残ってしまうことがあるとのことです。

また、一連のテスト実行の際には、生成されたSceneは使い回されるため、一個のテストメソッドを実行するたびに適切にクリーンナップしないと、後続のテストに影響します。

PlayMode Testsでは、Sceneベースのテストを書くことが大変なため、インテグレーションテストを書くのであれば、Poco、AltUnityTesterなどサードパーティのライブラリ導入を検討すべきと長谷川は述べました。

ゲーム開発向けユニットテストパターン

ここから本セッションの本題とも言える、ユニットテストのパターンや、ベストプラクティスの話題に入りました。

テストとはどう考えるべきか、テストの基本は「入力」と「出力」であり、観点によって入出力の捉え方が変わり、入出力はそのメソッドの何をテストするかによって定まります。

例えば実行速度が観点のときには、普通のパラメータを与えてレスポンスを見るのではなく、実行時間を図ったり、FPSを計測することが「出力」となります。

特に重要なのが、正しい入出力の見極めです。例えば出力として「セーブしました」というメッセージが出たため、テストはOKと判断してしまうと、実はメッセージは出したけど内部的に保存はされていなかった、もしくは保存データが壊れていた、というバグを見落とす恐れがあります。

価値の高いテストを書く

ショーストッパーと呼ばれる、基本的な操作ができなくなり、ほかのテストがすべて止まってしまうような部分、また、課金周りやクレームに直接繋がる部分はリスクが高く、価値の高いテストと言えます。

また、あまりプレイヤーが触らないような通らないルートや画面に関するテストも、見落としを防ぐ意味で価値のあるテストと言えます。

逆に価値に対してコストが高なってしまうものとして、副作用的なもの、目に見えるようなエフェクトやSEなどを挙げました。これらはあえてテストを書かないという選択もあるようです。

組み合わせ条件を減らす

テストの「入力」にあたる要素が多くなり組み合わせ条件が増えれば、テストもそれだけ複雑になります。例えば「弾がヒットして敵が破壊されたかどうか」の粒度でテストをすると、敵のHPや防御力などさまざまな要因が関係し、当然組み合わせの条件も増えてしまいます。

それを避けるため、プロダクトコード側の責務を適切に分割することで、個々のコンポーネントやメソッドが扱う要素が減り、組み合わせ数も減ります。

責務を分けたらコールスタックが増えて性能が出ないのでは?

実は本当にボトルネックになる部分は少ないと言われており、見極めはかなり重要になるようです。コンパイラの最適化を信じる、引数にrefをつけて参照渡しにするなど、対処方法は多数あると長谷川は述べました。

パフォーマンステスト

パフォーマンステストは、ユニットテストの段階から意識することが重要で、特にUpdateメソッドで動作する、呼ばれる頻度の高い部分を、できるだけ小さい規模のうちに意識することが大事だとのことです。

そのためには、メソッド単位に実行時間を測定して遅くなったら失敗するテストを書いたり、PlayModeでfpsを測定するなどの手段を使うと良いようです。

ただ、実行時間は環境に依存するため、実行時間のしきい値をピーキーに設定することはせず、自分以外の人がそのコードを修正したときに気をつけてもらうための「魔除けのお守り」程度の気持ちで考えると良いそうです。

また、メソッドの実行時間ではなく、AllocatingGCMemoryによって意図しないヒープメモリの確保が行われていないことを確認するテストも有効です。

他のオブジェクトへの依存

依存オブジェクトとは、テスト対象が内部で使用している他のオブジェクトのことです。例えば、乱数を内部に発生させている場合に、乱数の結果をテストコード側がコントロールできないと、テスト結果が正しいのかどうか判定できなくなってしまいます。

また、依存オブジェクトからの戻り値でテスト結果に影響するものを「間接入力」、依存オブジェクトに渡した引数のうちテスト結果として評価しなければならないものを「間接出力」と呼ぶそうです。

依存オブジェクトを持つメソッドをテストするための「テストダブル」といったパターンも存在します。これは映画のスタントや影武者のような役割を持っている手法になります。

テストダブルパターンは、あらかじめテスト側から依存オブジェクトのダブルを生成しておき、テスト対象は依存オブジェクトを内部で生成するのではなく外から受け取れるようにします。そうすることでテストダブルが間接入力を操作し、間接出力を検証します。

仕様変更のたびにテストが壊れる

よくある誤解としては「仕様変更があるからテストは書けない」のは間違いであり、「仕様変更があるからテストで保護しておく」という考え方に変えることが大事だとのこと。

将来の仕様変更を想定することで実装が複雑になり、品質も落ちてしまうったが仕様変更は起こらなかった、という経験はないでしょうか。テストがあることで仕様変更をしてもプロダクトが意図しない振る舞いになっていないか、すぐに気づくことができます。テストコードがあることによって「今必要でないことはしない」こと(YAGNIと言うそうです)を実行しやすくなるのです。

「なぜテストコードが壊れるか?」という話について、仕様ではなく実装のテストを書いてしまうことが要因とされます。ひとつの仕様に対して実装は何パターンも存在するため、実装が変わっただけで壊れやすいテストになってしまいます。

壊れにくいテストを実現するためには、副作用は検証しない、あえて定石から外れるといった選択肢もあります。

例えば「敵のHPゲージが5割を切ったら黄色にする」という仕様に対し、テストの定石としては50%と49%をテストするものですが、あえて80%と40%で色の変化にのみ着目するなど、境界値を攻めすぎず、十分役割を果たすテストにすることもできます。

また、メンテナンスが難しくなったテストコードは捨ててしまうこと、TDDではその過程で過剰にテストコードを書いてしまいがちなので、必要ないものは早めに取り除いても良いようです。またテストコードもプロダクトと同じように構造化することで、壊れにくいコードになります。

ここで長谷川は、Jon Reid氏の言葉「テストコードはガラスのような壊れやすいものではなく、竹のようにしなやかで柔軟性の高いものを目指すべき」と挙げ、アジア圏の建築現場で良く使われている竹の足場のように、安くて軽く、使わなくなったら捨てればいいようなコードと、思想は似ていると述べました。

テストを書く文化を根付かせる試み

最後に、SWETグループが採用したアプローチに関して、社内で横断的に共通的フレームワークのリファレンス実装に対して、テストコードのサンプルを書いて新種のバグを摘出し、タイミング良く、他の部署への引き合いに繋がったことが明かされました。

また、ゲーム領域でボトムアップでテストを書くことを始めるのは難しいため、いつでもチャンスが来たら、テストを普及できるような体制を整えておくことが大事とのことです。

長谷川は「米沿岸警備隊の格言 ”Senper Paratus(常に備えよ)”に表されるような心構えを大切にしながら、本活動に興味があればぜひ声をかけてほしい、そしてスライドには本セッションで紹介できなかったUnity Test RunnerのTipsを記載しているので、ぜひ参考にしてください」とのコメントでセッションを締め括りました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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プロデューサーや専門家らと共に、UX向上を目指す。“ゲーム✕AI”を推進する「ハブ役」の正体とは?

「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」をビジョンに掲げるDeNAでは、AIをゲームに積極的に導入・活用していくため[su_highlight background=”#fcff99″]ゲーム事業部内に「AI推進部」が新設[/su_highlight]されました。

これまでもDeNAの運営タイトルにはAIが活用されてきたケースがありますが、AI推進部の誕生によって今までと何が異なるのでしょうか? 今回、AI推進部の部長である小東祥、そして所属メンバーの佐藤勝彦と河合安甲子に、部のビジョンや目指す姿などを聞いてみました。

“ゲーム✕AI”を推進する専門部署

――まずはAI推進部の取り組みについて教えてください。

小東祥(以下、小東:AI推進部はその名の通り、AIを活用したゲーム開発を推進するために発足した部署でして、[su_highlight background=”#fcff99″]「AIを活用して構造的強みを構築する」[/su_highlight]というビジョンを掲げています。

社内では2017年頃からIPタイトルにおけるAI活用をきっかけにし、これまで『逆転オセロニア』で多くの事例を生み出してきました。

ただ、これまでのAIに関する取り組みは、「AIを活用したい」という意思を持ったメンバーが個々でAI本部に所属するリサーチャーなどに相談し、独力でAI活用を模索してきた背景があります。

ただその場合ですと、以下のようなさまざまなデメリットが発生するケースもありました。

・最後までやりきる事自体が非常に難しい
・成果が出るまでに時間が必要になる
・役割分担がうまくできない
・ゲーム開発における優先順位が下がりがち(ボトムアップの取り組みになるため)

そこで今回、ゲーム事業部内に専門部署を立ち上げることで、[su_highlight background=”#fcff99″]ゲームにおけるAI導入のスピードアップ[/su_highlight]や、[su_highlight background=”#fcff99″]AIの有効活用によるUX(ユーザー体験)向上[/su_highlight]を目指していきたいと考えています。

小東 祥 | AI推進部 部長
2012年新卒でDeNA入社。入社以来一貫してゲーム事業領域でのプラットフォーム/ゲームタイトル分析を担当。 分析部の部長、『逆転オセロニア』や『メギド72』など自社オリジナルゲームの運営部門の部長を経て、2019年4月よりAI推進部の部長に就任。ユーザーインテリジェンス部の部長と兼務。

社内のAI専門家を繋ぐハブとなる

――AI推進部の役割や、部内の体制など詳しく教えてください。

小東:AI推進部は[su_highlight background=”#fcff99″]部署間の「ハブ」になる役割[/su_highlight]を持っています。

そのため下図のように、社内のAI専門家(Kagglerやリサーチャーなど)と、タイトル開発チームのサポート役として、要件定義や計画立案、導入サポートなどを橋渡ししていくイメージです。

AIに関する情報を集約し、AI機能の企画から実装まで、社内各部署との架け渡しを担っている

小東:この体制を実現するためには、AI推進部内にさまざまな経験を持ったメンバーが必要となります。単純に機械学習に得意な人だけではうまくハブになることもできませんし、ビジネスだけだと、ソリューションが十分に理解できないなどの懸念が出てきます。

そのような不足点を補完するために[su_highlight background=”#fcff99″]職種混合チーム[/su_highlight]を作り、課題解決に向けてチームとして柔軟に推進していくことが大事です。タイトル開発チーム単体ではAI施策の推進がやりきれない時には、チーム外から我々というリソースを補強し、AI施策を迅速に推進できると理想ですね。

他にも、部全体の役割として、ゲームに限らずAI領域にはどのような最新技術があり、どんなユースケースがあるのかなど、幅広く知見を収集する役割も担っています。

最新知見を蓄積し、現状の各開発チームの課題に対する解決策(=技術)が判明してきたら、それを実現するための要件定義や推進をしていくのも我々の役目です。決して受け身にならず、[su_highlight background=”#fcff99″]AI推進部が起点となって、各部署と一緒に“ゲーム✕AI”の理想形を追求[/su_highlight]できればと考えています。

――ハブになるだけでなく、AIのプロフェッショナル集団でもなければいけないと?

小東:そうですね。社内のAI専門家を適切に巻き込むことが必要なので、彼らが何を得意としているのか、技術がどの分野で役立つのかを見極めるためには、我々もある一定の専門性を持たねばなりません。

ただ、AIの学術的な知見などは専門家に任せつつ、我々は対象となる技術が[su_highlight background=”#fcff99″]どのように事業価値を生み出せるのかを考え、実現に向けて推進していくことが大切[/su_highlight]だと考えています。

――各関係者をつなぐには、AI推進部のメンバーもゲームのドメイン知識など、一定の広い知識が必要になりそうですね。

小東:そうですね。取り組む領域によっても変わりますが、例えばQAの効率化ならQAの実作業、デザインのアセットをAIで動かすにはデザイナー、ゲームAIを作るならクライアントサイドの作り方を、それぞれ知らなければなりません。

すべての知識や技術をひとりでカバーするのはとても難しいので、メンバー同士で得意・不得意を補い合い、チームとして機能するようにバランス調整をしていく予定です。

――現在、開発中のプロジェクトとも連携はしているのでしょうか?

小東:はい、詳しくはお話できませんが、すでに動き始めています。DeNAでは[su_highlight background=”#fcff99″]今後も新規タイトルの開発を進めていきます[/su_highlight]ので、AI推進部の存在感をさらに発揮していきたいと考えています。

――新規タイトル開発の際には、プロデューサー陣とはどのように連携していくのでしょうか?

小東:初期の企画段階からプロデューサーとは密に連携していきます。

プロデューサーは事業責任者であり、AIを含めた施策が実現したときに、それが本当に費用対効果に見合うのか、そして望む価値が競争力につながるのかなど、さまざまな視点で状況を把握していきます。我々はそのような[su_highlight background=”#fcff99″]プロデューサーの一助になるべく、AIを軸にサポート[/su_highlight]できればと思います。

もちろん新規タイトル・運用中タイトル問わず、「面白いからやってみよう!」というスピード感のある取り組みも存在しますが、AI導入時は費用やリソース、開発期間も大幅に必要になるため、事前にプロデューサーと期待値を含めて入念にすり合わせをしています。

その後、マーケターやディレクター、プランナー、デザイナー、エンジニアなど、開発フェーズに応じて、各職種との連携も進めていきます。特にゲーム内にAI機能を組み込む場合には、プレイヤーへの伝わり方などについて、プロデューサーをはじめとした開発メンバーとも密に連携します。

武器商人のような支援部門に

――同じく新設された「ユーザーインテリジェンス部」と目的が似ている部分も多い印象ですね。

小東:そうですね。開発チームに対して、足りない視点を補ったり、蓄積している知見を横展開する、という側面は似ていると思いますね。

AI関連の技術を扱うのがAI推進部で、マーケティングリサーチなどで分析する強みを持つのが、ユーザーインテリジェンス部です。お互い持つ武器が違うだけで、目的とするミッションはほとんど変わらないと思っています。

ヒットの確率を1%でも高く!ゲームの“面白さ”を科学する、DeNAの新たな挑戦【ユーザーインテリジェンス部 小東祥】

――プロデューサー陣にとっては、心強い武器になっていきそうですね。

小東:そうなってくれたら、嬉しいですね。RPGで例えると、僕らは勇者に強い武器を与える「武器職人」のような役割だと思っています。ドラゴンに勝つにはこの武器がオススメ!みたいな(笑)。

――ちなみに内製や協業など、開発体制の違いによって動き方はどう変わるんでしょうか?

小東:意思決定や推進においては、関連する人間が多ければ多いほど複雑になります。特に協業や複数のパートナー会社様と開発を進める場合は、お互いの担当範囲などもあるので、推進していく難易度は上がると思われます。

ただ、最終的な目的は変わらないはずですので、そこはうまく[su_highlight background=”#fcff99″]AI推進部がリード[/su_highlight]できればと考えています。

――知見やユースケースを蓄積していけば、新規IPの獲得もできるかもしれませんね。

小東:我々がAIによって構造的な強みを作り、それが業界における優位性となる。その結果として[su_highlight background=”#fcff99″]新規IP獲得に繋がる、という流れは理想[/su_highlight]ですね。

DeNAという会社自体では「AI」に強みがあると認知いただけている方も多いと思いますが、“ゲーム✕AI”も世間にもっと認知されていけば、他のIPホルダー様もDeNAを魅力あるパートナーとして注目してくれるかもしれません。

【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた

そして結果的に我々が目指す「AIを活用して構造的強みを構築する」の実現(パブリッシャー戦略への貢献)にもつながると思っています。

――他社でAI推進部のような機能を持つ部門はあるのでしょうか?

佐藤勝彦(以下、佐藤:ゲーム業界の国内企業ではほとんど聞かないですね。

AI研究が活発な会社は数社あると個人的に認識していますが、R&Dとタイトルの内部をつないで有機的に推進する部署というのは、[su_highlight background=”#fcff99″]おそらくDeNAがはじめて[/su_highlight]だと思います。

小東:AIリサーチ部門に関しては各社でも展開していますが、それをきちんと事業に落とし込むには、推進部のような部署が必要だと思います。他社ではちょうど着手しはじめたくらいかもしれませんね。

佐藤 勝彦
フロムソフトウェア、CygamesResearch、ドリコムを経て、2019年7月にDeNAに入社。ゲームxAIを軸足に、タイトルの開発運用と技術研究に従事。エンジニア・リサーチャー・企画・ディレクターと職域を広げながら、知見共有や、タイトル・R&D部署間のシナジーの向上に注力。

<講演歴>
『ShadowverseのゲームデザインにおけるAIの活用事例、 及び、モバイルTCGのための高速柔軟な思考エンジンについて』(CEDEC2016)

十人十色の強み

――AI推進部にはどんな経歴・スキルをもったメンバーがいるのでしょうか?

佐藤:私は今年7月に入社したばかりですが、[su_highlight background=”#fcff99″]何らかの専門性を持った方がすごく多い印象[/su_highlight]があります。河合さんもそうですが、横断組織として、タイトルや各部署に寄り添ってシナジーを高められるよう、豊富な経験を持ったメンバーが集まっていると感じています。

――河合さんは、部発足時のメンバーだと事前に聞いていますが。

河合安甲子(以下、河合:そうですね。私はもともと社内の開発基盤部に所属していたのですが、個人的にAIに興味があって、AIに関するセミナーに足を運んだりなど、独学で勉強していました。

当時の上長に「AI研究者がゲーム開発チームと直接連携するのは大変なので、その橋渡しをできる人が必要かもしれません」と話したタイミングで、AI推進部を立ち上げることを聞かされました。

河合 安甲子
コンシューマ向けゲーム開発/ゲームエンジン開発に携わり、2017年にDeNAに入社。ゲーム基盤部に配属された後、AI推進部に異動。

小東:あの時はかなりタイムリーでしたね(笑)。

――河合さんはすでに、このような機能を持つ部署は必要だと感じていたのですか?

河合:はい。当時は関係者ではなかったため、遠目でしか見ていなかったのですが、現場の大変さは感じていました。(設立について)急いで小東さんに話を聞きに行きましたよ。

小東:河合さんがAI推進部の一番最初のメンバーなんです。

河合:小東さんと2人からのスタートでしたね。今はメンバーは増えていますが(笑)。

小東:河合さんは、ゲーム開発におけるスキルや知識などを持っていることが強みなんです。ゲーム開発にAIを組み込んでいくことが、AI推進部のコアな目的ですので、[su_highlight background=”#fcff99″]ゲーム開発のことを理解していることは重要[/su_highlight]ですからね。

さらに、今まで自分が経験したことがない領域にも、積極的にキャッチアップしてくれますし、開発チームのエンジニアと連携して、着実に実装へと進めてくれるので本当に助かっています。

――ちなみに佐藤さんは2019年7月に入社されましたが、どのような経緯でAI推進部にジョインしたのでしょうか?

佐藤:私はもともとコンシューマゲームの開発会社で、ゲームエンジンの開発や技術研究、タイトルのAI実装などを手がけるエンジニアからキャリアをスタートしました。その後も、研究部署とタイトル開発の双方をまたいだ「ゲームAIのリサーチャー」として活動する中で、いろいろな課題を目の当たりにしてきたんです。

――いろいろな課題とは?

佐藤:冒頭で小東さんが話していたような、立場や目線の食い違いによるトラブルや、場合によってはプロジェクトが途中で消えてしまうなどの課題を見てきました。そこで[su_highlight background=”#fcff99″]「横断的な目線でゲームとAIに触れる人材がいれば、プロジェクトは進みやすくなるのでは?」[/su_highlight]と感じていました。

それからは、企画やディレクターとしてゲーム業界で職域を広げながら、橋渡しになれるような役割を模索していたときに、小東さんからDeNAでAIの横断推進に注力することを聞いて、「これは乗るっきゃない!」と共感して入社を決めました。

小東:佐藤さんのスゴいところは、経験に裏付けされた「引き出しの多さ」です。さらに引き出したものをうまくデリバリーする気遣いも細かいですね。

彼はエンジニアからキャリアスタートして企画やAI推進、PM的な動きもしてきました。業務を多角的に見てきているからこそ、AIの活用方法や、AI導入時にトラブルが発生しやすい箇所などを嗅ぎ分ける能力も持っていると感じたので、私が熱烈に口説いて入社してもらいました。

それに一般的に分析者って、比較的堅苦しかったり、データばかり見ていて話しかけづらいイメージがあると思うのですが、佐藤さんは物腰柔らかで、しっかり物事を前に進めるコミュニケーションができる人ですね。


AI推進部の人員体制。多彩な知見を持つメンバーで構成されている。

(社内資料より抜粋)

――そのような経緯があったんですね。ちなみに佐藤さん、河合さんは入社前にDeNAという会社を外から見てどんな印象でしたか?

佐藤:最近ではゲーム業界を含めて、「CEDEC2019」の公開セッションを見てもわかるように、AIに関して実際のデリバリーを意識した取り組みが、各社で増え続けています。

【CEDEC2019】DeNAゲーム事業部関連のセッション内容をチェック

その中でもDeNAは特にモバイルの領域において0→1の先行事例をいち早く発表しています。課題解決の苦労を経験した上で、[su_highlight background=”#fcff99″]1→100にスケーリングするためにはどうしたら良いか[/su_highlight]という目線での取り組みを推進されていて、良い意味で異色な会社だと感じました。

河合:私も丁寧にゲーム運営している部分は、外部から見ても感じていましたね。

佐藤:分析に真摯に向かい合っている姿勢もすごく感じていました。

分析の本質は、数字とにらめっこすることにあるわけではなく、サービスに関わる方々やプレイヤーにとって価値ある時間をより高めていくにはどうすればいいか、[su_highlight background=”#fcff99″]割と生々しい部分に真剣に向き合う必要がある[/su_highlight]と思っています。

『逆転オセロニア』や『メギド72』の立ち上がり時から改善を重ねて、どんどん愛されるサービスに変わっていった過程を、外から見ていても非常に感銘を受けましたし、分析に強みを持った会社だからこそ、再現性やスケーリングが実現できているのかな、と感じていました。

【DeNA分析部特集Vol.1】『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?

【DeNA分析部特集Vol.5(前編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜分析の高度化に向けた次のチャレンジとは〜

――プロジェクトに寄り添うことで、提案をし合ったり、他の部署と横断して施策を考えることもできますよね。

佐藤:部署・職種を問わず皆さん本当に多くの知見を持っているので、仲立ちを通じて、色んなアイディアに触れられるのは非常に刺激的ですね。

相談にも真摯にも乗っていただけますし、「このようなユースケースで技術を使えないか?」「この部分を改善できるともっと開発が楽になる、 サービスの改善・開拓に繋がるのでは?」といった提案も数多くいただけます。

佐藤:それにDeNAの特徴的なところは、ゴールベースで話をする、[su_highlight background=”#fcff99″]コトに向かう目線[/su_highlight]があります。目線が揃っているので部署の壁も感じませんし、相談もしやすいですね。

実際にサーベイするときに分析部のメンバーと一緒に取り組めたり、アイデアが上がってから検討が始まるまでもタイムラグが本当に少ないです。小東さんに相談すると「すぐ検討しちゃってください!」って快諾してくれます(笑)。

河合:NOと言われたことはほとんどないです!とても動きやすいですね。

小東:褒められると、ちょっと照れますね……(笑)。

個のチカラを活かした推進力

――少し話は逸れますが、佐藤さんと河合さんのお互いの印象などを教えてください。

小東:おっ、それは聞いたことないかも……(笑)。

河合:私はもともと開発基盤部に所属していました。前職もゲームエンジンを手がける部署でしたので、AIについては正直まだまだ勉強中の身です。

AIに関しての一般的なセオリーについては、この部署で佐藤さんに教えてもらうことが多いですし、目指すべきプロセスが明確に可視化された気がします。

もちろんみんな実現したいことは描けるんですが、AI導入のメリットや意図、手順を開発側に伝えたり、地道に布教していくことを教えてくれたのも佐藤さんです。自分の作業も含めて、進む方向がすごくクリアになった感じです。

佐藤:ありがとうございます……(照)。河合さんは、エンジニアとして並外れた実力を持っているのは当然なんですが、それ以上に話しやすく、いろんな人をコミュニケーションで結ぶ「足」がめちゃくちゃ速いと感じています。巻き込みたい人に対して、次の日にはランチの予定が組まれているのは驚きです(笑)。

また、人柄が柔らかく、相手の目線に寄り添って話をするので、ミーティングでも全体の雰囲気が和やかになりやすいんです。しかもエンジニアとして課題感の理解も早く、タイトルの経験も多いので、河合さんがいるととにかく話が早くなります。

河合:そんな風に言っていただけるなんて……ありがとうございます。もっと頑張ります……!

“ゲーム✕AI”とQAのさらなる可能性

――それでは最後に、AI推進部の今後の取り組みなどについて教えてください。

小東:『逆転オセロニア』のように直接ゲーム内のAIがプレイヤーに触れられて、UX(ユーザー体験)を向上させていくような機能を作っていくのが、ゲーム開発において一番コアな部分です。AI推進部としても、このような事例を数多く生み出していけるように注力していきたいですね。

もうひとつは[su_highlight background=”#fcff99″]QA(品質保証)[/su_highlight]です。

世の中のAI活用はコストカット目的の側面が強く、QAはそれを担うイメージが強いですが、開発メンバーが膨大な時間を費やしているバグチェックや修正などをAIが肩代わりできれば、空いた工数をゲームの面白さを考える時間に当てられると思っています。

それが実現すれば、UX(ユーザー体験)もよりリッチになっていく可能性があるので、QAに関しても今後は注力していきたいですね。

課題点については、まだメンバーが少ないので、同じように動けるメンバーが増えてくれると嬉しいですね。その中でもデリバリーを担う、クライアントエンジニアが増えてくれると助かります。

特にエンジニアリングの部分は、ゲームタイトルごとの開発環境や使用ツールなどを把握して推進するのはとても大変ですし、施策を増やす上でボトルネックになる部分だと感じています。

――9月に開催された「Unite Tokyo 2019」にてシステム本部のSWET(Software Engineer in Test)グループとも連携するセッションが公開されていましたが?

小東:そうなんです。あの施策はAI推進部が旗振りをしており、QAの領域に注力していく中で、SWETのような専門家やタイトルの開発メンバーを巻き込んで進んでいったひとつの事例になります。今後はあのような取り組みをどんどん増やしていこうと思っています。

【Unite Tokyo 2019】「Unity Test Runnerを活用して内部品質を向上しよう」セッションレポート

――ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:齋藤暁経

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

DeNAグローバル戦略の過去と未来。海外12年のキャリアをもつ谷口が見据える、これからの景色とは?

今、DeNAは[su_highlight background=”#fcff99″]再び海外展開に大きなチャレンジ[/su_highlight]を試みつつある。DeNAが運営する各タイトルのグローバル配信が続く中、組織として今後どのような取り組みを考えているのかーーグローバルプロデュース戦略室の谷口潤(写真左)と、国際統括部グローバル推進部の崎山文乃(写真右)の二人の対談を通じてお届けします。

12年の海外経験を、DeNAにインストールしたい

崎山文乃(以下、崎山:海外でのゲーム開発経験が豊富な谷口さんと、こうして対談するのは何だか照れますね(笑)。今回はDeNAが進める海外展開において、谷口さんが室長を務める「[su_highlight background=”#fcff99″]グローバルプロデュース戦略室[/su_highlight]」がどのような役割を担うのかなど、いろいろお聞きしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

崎山 文乃 | 国際統括部グローバル推進部 部長
戦略コンサルタントやゲーム会社での経営企画、ヘルスケア業界でのマーケティングを経て、2012年1月にDeNA入社。ブラウザゲームの海外展開全般に携わり、2016年から中国戦略を担当。現在は中国のみならず、グローバル展開に向けた全社サポートに尽力。

谷口潤(以下、谷口:はい、よろしくお願いします(笑)。私は今年の7月に入社したばかりですが、DeNAはさまざまな可能性を秘めていると日々感じています。これからの展開が本当に楽しみです。

※編集部注釈:インタビューは2019年9月に実施

崎山:では、まずは自己紹介からしましょうか。谷口さんのこれまでの経歴について、教えていただけますか?

谷口:はい、自己紹介をする前に、まずは自分のアイデンティティーについてまず話させてください!

崎山:アイデンティティーですか?

谷口:そうです。これは僕のルーツでもあるのですが、[su_highlight background=”#fcff99″]「海外」と「エンターテインメント」[/su_highlight]の2つが自分の人生で大切にしているアイデンティティーです。

まず「海外」についてなのですが、僕が幼少の頃、近所に7か国語を喋る叔父が住んでいました。叔父の家にはよく遊びに行っていたのですが、叔父の家に留学生などが出入りするような環境に刺激を受けて、海外に憧れを持つきっかけとなりました。

崎山:幼少の頃から「海外」が身近にあったのですね!

谷口:そうですね! そしてもう一つの「エンターテインメント」ですが、高校時代の友人と東京のテーマパークに遊びに行った際に、見るもの全てにすごい刺激を受けたんです。「こんなステキな場所で自分も働けたら面白そうだ!」と感じて、高校3年の春休みから片道2時間半かけて通ってアルバイト経験しました。

そこからエンターテインメントに生涯関わっていきたいと強く感じるようになり、それ以来「海外」と「エンターテインメント」というこの2つキーワードで自分探しをするようになりました。

そしてこの2つにマッチする仕事を探していた時に見つけたのが、海外との関わりが大きいSEGAという会社です。1993年に入社し、そこからずっとゲーム業界でキャリアを積んできました。

崎山:ちなみにゲーム自体は好きだったのですか?

谷口:もちろん! 特にRPGゲームをよくプレイしていて、その中でも『ドラゴンクエスト』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズはすごくハマりました。


谷口 潤 | グローバルプロデュース戦略室 室長
2019年7月入社。これまでオーストラリアに1年、アメリカに6年、カナダに6年間ほど滞在し、ゲーム業務経験は、アメリカとカナダの12年間。ちなみに、横浜生まれ・大阪育ちの生粋の日本人。趣味はアウトドア全般、車、自転車、水泳、サッカー。

崎山:では、改めて谷口さんのこれまでのキャリアについて聞かせてください。SEGAではどんな経験をされてきたのですか?

谷口:入社後は海外コンシューマー事業部に配属され、貿易実務を担当していました。

崎山:最初からゲーム開発に携わっていただわけじゃなかったんですね!

谷口:そうですね。三国間貿易という、中国や東南アジアの会社にシッピングオーダー(船積み指図書)を出して、ハードやソフトを欧米に輸出する仕事をしたり、アジア販売部に異動してタイやフィリピンに筐体を営業することもしていました。

そして入社3年目のタイミングでゲーム開発部署に異動し、そこからアシスタントプロデューサーとしての仕事が始まりました。

崎山:そこから本格的にゲーム開発に?

谷口:はい。まずはこれまでの営業経験や英語力を活かして、海外ライセンサーとの交渉や契約関連の業務、さらにパブリシティーやプロモーション企画、イベント運営などを担当し、[su_highlight background=”#fcff99″]プロデューサーへとステップアップ[/su_highlight]していきました。

崎山:その時にはすでに海外に住んでいたのですか?

谷口:いえ、ずっと日本です。ただ海外で働きたい気持ちはずっとあったので、英語の勉強などは続けていました。

崎山:その後、米国の大手ゲームスタジオに移られたんですね。

谷口:そうですね、英語を勉強し続けてきた甲斐もあって、海外勤務(アメリカ/シアトル)が実現しました。当時37歳だったのですが、プロデューサーから[su_highlight background=”#fcff99″]ゲームデザイナー(企画)にもジョブチェンジ[/su_highlight]し、僕にとって大きな人生の転機でしたね。

崎山:言葉も文化も違う土地でのジョブチェンジには、相当な覚悟があったと思います。そこまで谷口さんを駆り立てるものとは何だったのでしょうか?

谷口:[su_highlight background=”#fcff99″]当時、北米でのゲーム開発が凄まじく進化していた[/su_highlight]ので、その中で修行をしたかったのが一番の動機です。またプロデューサーとしてもクリエイティブ側の業務が分からないと駄目だと実感した為です。

そのスタジオでは開発の進め方やツール、ゲーム内企画などにおいて、ゲームを科学的に開発するための最先端メソドロジーを実践していました。ゲームという枠にとらわれず、心理学者などの有識者も参加し、学術的なアプローチも行っていたんです。

崎山:それは10年以上前の話ですよね。当時の開発の進め方で、特に印象に残っているエピソードなどありますか?

谷口:カーレースゲームのコースを例に挙げますと、ゲームデザイナーが「このコースは面白いよ!」と、刺激的で素晴らしい架空のサーキットを作ってみたものの、実際にプレイしてみると、すぐコースアウトしてしまったり、とても難しかったりするんです。

僕は上級プレーヤー側ではないので、ゲームディレクターに対して、このコーナーはもう少し緩くした方が良いのではとフィードバックを返すと「あなたは上級者でもないし、レースゲームを知らないし、わかっていない!」ということに往々にしてなるわけですね。

ところがそのスタジオだと、100人に試遊してもらって「上級プレイヤーでさえ87%がファーストコーナーでコースアウトしている」というデータをプレイテストを通じて取得し、そこから建設的にチームで改善を進められるメソッドを持っているんです。

このような外部からのデータにより公平にジャッジして、「このコーナーは1.2倍に拡幅して、更に150度の角度にした方がいい」といった軌道修正をしてテストを繰り返していくのですが、その時点で[su_highlight background=”#fcff99″]私の知る当時の日本の開発レベルを越えていた[/su_highlight]と思います。

崎山:なるほど、そのようにして当時から世界市場で勝ち抜くためのメソッドを経験し続けてきたんですね。

谷口:ゲームの企画やディレクションなど、当時を今振り返っても、本当に多くの学びがありました。アメリカ勤務の後はバンダイナムコへ転職し、[su_highlight background=”#fcff99″]カナダでバンクーバースタジオの立ち上げ[/su_highlight]に参画しました。そこでは[su_highlight background=”#fcff99″]開発統括やプロデューサー、Biz Dev[/su_highlight]などを担当して現在に至ります。

DeNAの海外展開〜第一章〜

谷口:僕の自己紹介が長くなってしまいましたが、今度は崎山さんがこれまで関わってきたDeNAの海外展開について聞かせください。以前は積極的に海外展開にチャレンジしていたと思います。その時はどのような状況だったのでしょうか?

崎山:ご存知の通り、DeNAは「[su_highlight background=”#fcff99″]Delight and Impact the World[/su_highlight]」というスローガンを掲げ、世界中に驚きを与えるようなサービスで、楽しみと喜びを提供していこうとする会社です。

当時はブラウザゲームが日本でものすごく成長していて、Mobageが絶好調な時期だったんです。国内市場の成長はDeNAが牽引していくくらい、勢いがありました。

そこで海外展開を進めるにあたって、スマートフォン向けのゲームを開発している米国ngmoco社を2010年に買収しました。私はそのDeNAの海外展開を強化していくために2012年に入社し、現在に至るまで海外市場に携わっています。

谷口:当時の会社の雰囲気などはどうだったのでしょうか?

崎山:とにかく海外でも成功するぞ!という意気込みに溢れていましたね。ただ当時は、国・地域によって通信インフラが大きく異なりますので、そこは大きな課題でした。さらにモバイルゲーム市場においてはブラウザからアプリへのシフト転換時期でもあったので、なかなか思い描いたような展開が難しかったと思います。

谷口:当時のDeNAのブラウザゲームの勢いはすごかったですからね。

崎山:そうですね、ブラウザゲームが非常に好調だったため、なかなかアプリに踏み切れなかった反省があります。

アプリは開発や運営方法など、ブラウザとは全然違います。結果として徐々にアプリにシフトしていったのですが、アプリシフトは社内でもかなり大変なチャレンジでした。

谷口:そんな状況の中でも、海外展開は諦めずに続けてきたんですよね?

崎山:はい。アプリ化を推進していく中、日本国内で北米向けのゲームを開発したり、北米で現地向けのゲームを開発したりなど、さまざまなチャレンジをしてきました。

そうやってモノづくりにフォーカスしていった結果、日本では日本向けのゲームを、中国では中国向けのゲームを開発する体制にシフトしていきました。北米スタジオを残念ながらクローズするという意思決定を行ったのは、2016年でしたね。

谷口:とはいえ、[su_highlight background=”#fcff99″]海外への情熱の灯火は、今もDeNA社内にずっと残っている[/su_highlight]と感じていますよ。僕は過去にカナダとアメリカでゲーム開発を行ってきましたけど、DeNAの企業カルチャーは、その当時在籍していた会社とあまり変わらない印象を受けました。

崎山:谷口さんの信念にありましたよね。「会社を見る上で重要視しているのは、人を集めることができるブランド力と人である」と。

谷口:そうですね、ゲームは一人では作れません。DeNAには素晴らしい才能を持った、一緒に仕事がしたいと思える人たちが集まっているんだろうなというのは、外から見て感じていましたし、実際その通りでした。

皆さんにはとても温かく迎えて貰っていて、中途の立場でもとても仕事がしやすい会社です。ここでなら過去の経験も存分に発揮でき、他のメンバーと大きなシナジーを生み出して、DeNAの海外展開の第二章を推進していけるのではと感じています。

2019年、海外展開は第二章へ

崎山:DeNAが本格的に海外展開を推進するにあたって、その中核を担うグローバルプロデュース戦略室が誕生しました。

私たちグローバル推進部は海外のマーケティング等を担当する役目を担っていますが、ゲーム開発のエキスパートではないため、谷口さんのジョインは本当に嬉しかったんですよ。

海外で成功するってそんな簡単なことではありませんから、同じような意識や温度感でモノづくり側に入って動いていただける方が来てくれたというのは、とにかく興奮しました。

谷口:ありがとうございます(笑)。

崎山:谷口さんが入ってからは、社内にも少しずついい意味で変化が生まれていますよね。

たとえば[su_highlight background=”#fcff99″]Slackチャンネルで気軽に相談[/su_highlight]が出来ていたり、定期的に[su_highlight background=”#fcff99″]プロデューサーが集まって相談する場[/su_highlight]を作っていただいたりなど、明らかに変わってきていると感じています。

谷口:これまでのキャリアの中で、今はじめてサポート側にいて、すごく新鮮な気持ちです。プロジェクトの関わり方も、今までのように前線から牽引するのではなく、後方や横から支えるという形に変わってきています。

僕のバックグラウンドがプロデューサーや企画やBiz Devといった領域ですので、その観点からサポートすることに自信があります。今はゲーム事業部内の各部長とコミュニケーションを図りながら部全体をサポートしたり、プロデューサーに対してタイトル開発/運営のサポートすることが多いですね。

崎山:谷口さんにはすでに海外に向けたIPタイトルにも携わってもらっていますが、本当に心強いと感じています。

あと谷口さんの場合、[su_highlight background=”#fcff99″]「この場合には、海外ではこういうツールや手法があると便利だよ!」[/su_highlight]などの引き出しをたくさんお持ちだと思います。これは社内のプロデューサーからすると、とても有意義な情報だと感じています。

谷口:これまで僕が北米中心ではありますが、海外で積み上げてきた長年のノウハウや知見やネットワークがありますので、そういうことは[su_highlight background=”#fcff99″]社内に積極的にシェアしていきたい[/su_highlight]ですね。

あとは、社内の各部署において沢山の海外知見があることも認識しています。先人の方々が必死の努力で蓄えてきたノウハウを、会社としてきちんと資産として整理し、活用していけるように体系立てることも一刻も早く進めていきたいですね。

全員が最前線で戦える体制づくり

崎山:次に谷口さんが室長を務めるグローバルプロデュース戦略室のミッションに話を移していきたいのですが、具体的にはこれからどのように動いていくのでしょうか?

谷口:海外市場での飛躍を担うことをミッションにしています。我々が海外展開の成功に向けた案内役や黒子となり、[su_highlight background=”#fcff99″]「DeNAのゲームは海外でも普通に遊ばれている!」[/su_highlight]という状態まで引き上げていきたいですね。

ただ、「部署のミッションを実現させていく」のではなく、「会社として海外展開を成功していくには、今何をすべきか?」という視点でも取り組んでいきたいです。

崎山:そうですね!

谷口:だからこそ、僕や崎山さんの役割をすみ分けするよりも、一緒に足りないところを補いつつ、活動範囲を狭めないように事業を推進したり、旗振りするのが大きなミッションかと思います。

崎山さんの世界中の各拠点を繋げたり、マーケティング拠点を立ち上げてきた経験はすごく心強いです。僕のバックグラウンドはゲームプロデュースや開発側ですので、役割分担しつつもうまくシナジーを発揮できたらいいですよね!

崎山:海外展開はスケールが大きく、推進していく難易度はかなり高いです。1人のスーパースターが入ればうまく回るものでもありませんし、逆に全員がスーパーヒーローである必要もないと思っています。

DeNAらしい、[su_highlight background=”#fcff99″]人と人との良いシナジーを生み出すことが大事[/su_highlight]ですし、そんな未来を早く実現させていきたいですね。

谷口:そうですね。当然ながら僕も1人で全部解決できるとは到底思っていません。たとえばグローバルといっても数多くの国や言語や文化がある中で、自分の「知見が通用する国」と「全く経験がない国」は必ず出てくると思います。

皆さんから頼られる部分もありますが、正直わからない部分もあるわけです。その時には、僕の人脈を活かして他の誰かに相談したりなど、何かしらの方法で対応していきたいと思います。

崎山:そういえばDeNAというの会社の「強み」はどのあたりで感じていますか? 谷口さんはまだ社歴が浅いので、率直な感想を聞いてみたいです。 

谷口:やっぱり、皆さん、スマートでエネルギッシュな方々が多いです。あとはコトに向かうパッションもあって、スピーディーで、DeNAが掲げる「[su_highlight background=”#fcff99″]永久ベンチャー[/su_highlight]」のスピリッツがうまく体現できているんだろうなと。

これはあくまで個人的な印象ですが、DeNAはどことなく北米のカルチャーに影響を受けているんじゃないかと感じます。

崎山:え、そうなんですか!? ちょっとそれは意外でした(笑)。

谷口:あと細かい話になりますが、給料の見直しが年に2回あったり、いいアイデアをフレキシブルに取り入れる柔軟性をみんなが持っていてやりやすいですしね。

谷口:組織的には、新規タイトル開発の専門的に調査する「[su_highlight background=”#fcff99″]ユーザーインテリジェンス部[/su_highlight]」や、DeNAのAI知見をゲームに活かす「[su_highlight background=”#fcff99″]AI推進部[/su_highlight]」、これまでの様々なナレッジが蓄積されている「[su_highlight background=”#fcff99″]分析部[/su_highlight]」や「[su_highlight background=”#fcff99″]マーケティング部[/su_highlight]」など、各スペシャリストが同じ拠点にいて、気軽に相談できる環境があることは、本当に心強いと思います。

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ビジネス面をバックアップする「グローバル推進部」

谷口:改めて崎山さんが部長を務める、グローバル推進部についても聞かせてください。

崎山:グローバル推進部は先程も少し触れましたが、部内に[su_highlight background=”#fcff99″]海外マーケティングを担当するチーム[/su_highlight]があります。現在グローバルに運用しているタイトルについては、そのマーケティング担当者が各タイトルのチームに参加して運用しています。

谷口:具体的にはどんな風に仕事を進めているのでしょうか?

崎山:たとえばバナーですが、日米のプレイヤーではそれぞれ好まれるクリエイテイブが異なります。アメリカ向けのバナーを日本人が頑張って作成するよりも、現地のデザイナーに依頼した方が効率的ですし、より現地のテイストにあったものが制作できます。

また、コミュニティマネジメントに関しても、日本とは手法が異なりますので、[su_highlight background=”#fcff99″]現地でデザイナーやコミュニティーマネジメントの専門家を採用[/su_highlight]し、連携しながら業務を行っています。

その他にも、海外でのマーケティング活動全般において、[su_highlight background=”#fcff99″]日本のチームと海外のマーケティング拠点のチーム双方と連携[/su_highlight]しているのがグローバル推進部です。

谷口:日本と海外拠点とのコミュニケーションにも工夫が必要そうですね。

崎山:はい、拠点をまたぐコミュニケーションは言葉や文化、時差の問題があります。何か解決した方が良いことがあればすぐに連絡・相談をしてもらい、各拠点のメンバーとオンラインで定期的に話をしています。

やはり双方で見えているものも違いますし、拠点ごとでみたらこれがベストだと思うことも実際はそうでないこともあるので、最適化は難しいんですね。それを日々試行錯誤しながらも、今は経験値を溜めている感じです。

谷口:ちなみに、ブラウザゲーム時代の知見や経験は今でも役に立っているのでしょうか?

崎山:個人的に役に立っていると感じるのは「人とのつながり」です。人間関係や信頼関係って、一朝一夕にできるものではありませんからね。

ノウハウは先ほど話があったように、谷口さんに集めていただいていますが、アメリカのスタジオでパブリッシングをしていた時もマーケティングは行っていましたので、そのノウハウも活かしつつ、[su_highlight background=”#fcff99″]海外市場向けのマーケティングを実践[/su_highlight]しているところです。

2020年に向けて今やるべきこと

崎山:では最後に、谷口さんが今感じているグローバルプロデュース戦略室の課題について教えてください。今は組織を作っていくフェーズかと思いますが、いかがでしょうか?

谷口:そうですね! 今は海外展開に向けての人材が必要部署に於いて足りていない状況ですので、これからは仲間を増やして層を厚くし、縦横無尽に動きながら、[su_highlight background=”#fcff99″]皆で一緒に海外に向けて盛り上げていくんだ[/su_highlight]という空気を更に醸成していきたいですね。

その為にも海外に向けて、同じ情熱を持った人が集まるような土台を作りたいですし、そういう人達と一緒に海外での成功に向けてチャレンジしていきたいと思っています。

DeNAでは[su_highlight background=”#fcff99″]今後も新規タイトル開発を進めていきます[/su_highlight]ので、海外展開の経験があるプロデューサーやクリエイターにとっては、面白い未来が待っているのではないでしょうか。

崎山:ゲーム業界以外の職種の人だと、法務や経理/会計といったバックオフィス系も今後は活躍の裾野は広がると思います。ビジネスにおいては海外との取引や税務などもセットですから、そこに力添えをいただけると嬉しいですね。

ただ、どの仕事もそうですが、正解があるわけではありません。理想と現実の間には必ずギャップがありますが、そのような状況に対して自分で課題を見つけて、ビジネスを推進できる環境はあると思います。

谷口:DeNAは各人に自走力が求められている文化があり、[su_highlight background=”#fcff99″]手を挙げれば何でも挑戦できる環境[/su_highlight]があると思います。そのため、フロンティアマインドはやはり必要ですね。

あとは国籍や年齢や前職など関係なく、お互いに能力を認め合って尊敬しあいながら“ONE TEAM”で仕事を進める事を大事にしていきたいと思います。

執筆:及川知也
編集:佐藤剛史/細谷亮介
撮影:波多野匠

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

DeNAが運営中のモバイルゲームの各タイトルでは、ゲーム内イベント・キャンペーンのほかに、公式SNSや公式YouTubeチャンネル、リアルイベントなどで、最新情報の提供だけでなく、プレイヤーと交流できる多種多様なコンテンツ施策を実施しています。

そして、それらのコンテンツ企画・運用を担うのが、ゲーム事業部のコミュニティマーケティンググループです。今回「DeNAマーケティング部特集vol.4」では、同グループに所属するSNS運用担当の「なおこす」、リアルイベント企画・運営担当の「まなてぃ」、公式YouTube担当の「ちゃんもも」に、今まで手がけてきた取り組みやそれぞれの想い、今後の展開などを聞くことができました。

なお、本インタビューの聞き手は、3人の上司でもあり良き相談相手もある、マネージャー鶴川将志(鶴川が登場する記事は以下をご覧ください)が担当しています。

【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

プレイヤーの熱量を、全力で施策に組み込む


なおこす | SNS運用担当
2018年新卒入社。入社直後にIPタイトルのSNS運用や生放送の企画を経験。現在オリジナルタイトルのコミュニティマネージャーとして、プレイヤーに向けたオンライン・オフライン施策を担当。

――それでは簡単に自己紹介をお願いします。

なおこす:現在オリジナルタイトルのコミュニティマネージャーとして、公式SNSなどを担当しています。DeNAには新卒で入社し、IPタイトルの公式SNS運用を経て、現在はオリジナルタイトルのプレイヤーに向けて、オンライン・オフライン問わず、さまざまな施策に関わっています。

――入社後は具体的にどのような取り組みをしてきたか、改めて教えてください。

なおこす:まずIPタイトルの担当になった時には、原作であるアニメシリーズを鑑賞したり、楽曲を聴いたりすることで、世界観を深く知ることから始めました。そして実際のゲームプレイを通じて、どんなプレイヤーの方がゲームを楽しんでいるかを理解することから実践しました。

その後は、既存のプレイヤーに向けて、より楽しめるようなSNSのキャンペーンを企画していきました。プレイヤーの方々はIPのファンが多いので、「ファンだったらどう感じる?」を徹底的に考えていました。そうして生まれた施策が、プレイヤーの方々に楽しんでもらえて、版元様からも好評だったときは、とても嬉しかったですね。

まなてぃ:施策をうまく成功させたの、同期入社の私より全然早かったよね!

なおこす:そうかも! 2018年5月にマーケティング部に配属されて、すぐに責任ある仕事を任せてもらったんです。そこで「私がやらなきゃ!」って気持ちがすぐに強くなって、成長がスピードアップした気がしますね。

――「できるできない」ではなく、「やるかやらないか」というのがDeNAのカルチャーですよね。その後関わることになったオリジナルタイトルについて教えてください。

なおこす:オリジナルタイトルでは、主にSNSやキャンペーン施策の企画/推進に関わっています。入社してからTwitterのキャンペーンをたくさん実施してきました。

施策に関しては以前のIPタイトルで培ったノウハウを流用するわけではなく、ゲームシステムやプレイヤーの属性の違いを理解し、きちんとプレイヤーの皆さんに楽しんでもらえるように、ユニークなアイデアをプロデューサーやプランナーと一緒に考えています。

その際、すでにゲームを楽しんでいただいているプレイヤーだけを盛り上げるのでなく、まだゲームタイトルを知らない方でも楽しんでいただけるように意識しています。

――特に印象に残っている施策はありますか?

なおこすTwitterのハッシュタグを用意して一緒に楽しみましょう、というキャンペーンを実施した際は、大きな反響がありました。特にTwitterはたくさんのプレイヤーのおかげでいつも盛り上がっているのですが、この施策でも皆さんが参加してくださって嬉しかったです!

ちゃんもも:Twitterトレンド入りしてたよね!

なおこす:そうなんです! 担当しているオリジナルタイトルのプレイヤーの皆さんは熱量が高く、ファンアートもたくさんありますし、キャラクターの紹介文を書いてくださったりする方もとても多いんです。ですので、プレイヤーの皆さんと一体となって盛り上がりを創出できたらと思って企画しました。

結果として、ゲームタイトルを知らなかった方にプレイしていただけるきっかけにも繋がりました。ゲームタイトルの関連ワードでも10位以内に入って、とても嬉しかったですね。いつも盛り上げてくださっているプレイヤーの皆さんのおかげなので、本当に感謝しかないです。

――今まで失敗もあったと思うんですが、そこから学んだことを教えてください。

なおこす:担当しているゲームタイトルでは、オンラインだけでなく、オフラインの施策にも挑戦しています。ただ当初はどのプレイヤー層に向けてどんな体験を提供するのかなど、テーマや軸を定めることができず、開催に至らなかったこともありました。

その時に学んだことは、プレイヤーの期待を超え続ける「重要さ」と「難しさ」です。特に一度実施したことがある施策の第二弾以降は、前回の期待を更に超えなければならないので、難易度がかなり高くなります。

ここはプロデューサーをはじめとした運営メンバーと一緒にテーマを考え、全員が納得した施策だけをプレイヤーに届けるようにしています。

――これまでの失敗があるからこそ今がある、という事ですよね。

なおこす:そう言えると思います。とにかくプレイヤーの皆さんの熱量は本当に高いので、期待を超える体験を提供し続けることに関して、一切妥協はしません。

――施策を実施する中で、一番大事にしていることは何ですか?

なおこす:プレイヤーの皆さんがそれぞれ自由に楽しめることです。ゲームが好きな方々の中でも、キャラクター、バトル、ストーリーと好みが違いますし、キャラクターを揃えて楽しんだり、自分でイラストを描いたり、実際にコラボカフェに足を運ぶ人など、楽しみ方も千差万別です。

そのように、多種多様なプレイヤーそれぞれが楽しめるような話題を提供することを、特に大事にしています。

――施策の振り返りはどうやっていますか?

なおこす:オンライン周りでは、キャンペーンや施策を実施する前にしっかりと目的とゴールを決め、その目的を達成するため必要な要件整理を最初にしています。

その際には私一人だけではなく、各運営メンバーとも連携して設計するようにしています。また、施策実施後には、目的を達成できているかどうかの振り返りを定量/定性の両軸で必ず行っています。

――その振り返りが、さっき出た「プレイヤーの期待を超え続ける」に繋がるんだね! ちなみに業務で連携する際に、どのようなメンバーと連携していますか?

なおこす:他タイトルのSNS担当者との連携が多いです。リアルイベントやYouTube番組を実施するときなど、SNS運用における懸念点などについて細かく相談しています。最近話題になっているキャンペーンや施策の話もよくしますね。

同じチーム内ではプロデューサーやマーケティングメンバーとの連携が多いと思います。希望を伝え合うだけでなく、一緒にマーケティングプランの全体像を考え、その中でオンライン・オフラインそれぞれのコミュニティに対して、どういう話題を提供していくかを設計していきます。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

――今後はどのようなことにチャレンジしていきたいですか?

なおこす:コミュニティはゲームにおいて必要不可欠な存在になっていると思います。そのコミュニティが持つ熱量を伝播させて、多くの人にゲームを知っていただき、ずっと遊んでもらいたいと考えています。

また、私個人としては、今はゲーム事業を担当していますが、他事業などに対しても、コミュニティのノウハウを共有して活用できればいいと思っています。

こだわりを重ねて、最後の意思決定に責任を持つ


まなてぃ | コミュニティマネージャー
2018年新卒入社。『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーとして、オンライン・オフライン施策を担当。

――それでは自己紹介に加えて、学生時代の経験もあわせて教えてください。

まなてぃ:現在は『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーとして、オセロニアンの皆さんに、ファンミーティングや公式大会などのリアルイベント、YouTubeチャンネルの「オセロニアンちゃんねる」など、オンライン・オフライン問わずさまざまな施策をお届けしています。

※オセロニアン…『逆転オセロニア』のプレイヤーから自然発生したオセロニアファンの呼称。現在では、公式で使わせていただいている。

私は小さい頃からF1などのモータースポーツが好きで、学生時代はレースチームのアンバサダーとして、MCやレポーターをしながら、国内外を飛び回っていました。

その後、2018年にDeNAに新卒入社し、より多くの人に影響を与えたり、喜んでいただける仕事がしたいと思い、現在では『逆転オセロニア』を盛り上げられるように頑張っています。

――メイン担当はリアルイベントですが、それを推進する上で他部署との連携は多いよね?

まなてぃ:そうですね。リアルイベントを開催するための企画や大会ルールの設計、情報出しの設計やオリジナルキャラクターデザインの作成、特設サイト制作、『逆転オセロニア』公式Twitterを担当するいちこちゃんとの連携などなど……ゲーム内外で多種多様な担当者との連携が必要になるので、各セクションとの連携はかなり多いです。

もちろん、イベント進行はオンタイムでやらなければいけないので、時間などの「制約」と「こだわり」の線引きに関しては、毎日意思決定と戦っているイメージです。

――仕事で大切にしていることを教えてください。

まなてぃ:『逆転オセロニア』が一番大事にしている「安心・安全」というコンセプトをずっと大切にしています。

自分たちがゲーム内外関わらず、どんな施策をやる時でも、前提の「安心・安全」というコンセプトが崩れていると、どんなに面白い施策だったとしても、本当の意味でワクワクしてもらえないと考えています。まだまだ十分ではない部分も多いですが、『逆転オセロニア』を楽しんでもらう為の大前提として、このコンセプトはこれからも大事にしていきたいですね。

特にコミュニティマネージャーは、「プレイヤーに一番近い運営」であるべきだと思うので、オセロニアンの皆さんへ届けるメッセージングの責任は、しっかり担っていくべきと考えています。それはゲーム内お知らせの文言やSNSでの配信はもちろん、イベントや生配信での発言一つとっても同じです。

また、社内のメンバーに向けて施策のメッセージングを伝える際は、ドキュメント等でアウトプットした上で、「本当にこれで正しく伝わるかな?」と、人一倍アンテナを立ててコミュニケーションすることも意識しています。

――今までの案件で一番感動したことは何ですか?

まなてぃ:やっぱり『逆転オセロニア』3周年のイベント「オセロニアンの祭典 3rd Anniversary」ですね。イベントを通して、個人的に感動させられるような、たくさんの素晴らしい驚きが詰まっていたんです。

イベント内の大会コンテンツ「オセロニアンスターズ 2019」では、高校生のオセロニアンが地区代表として参加してくださって、当時まだ実装されたばかりで本格的に使われていなかった新スキルの持ち味を最大に生かしたデッキを使って、会場・配信をとっても盛り上げてくださったんです。スタッフも舞台裏で大興奮でした!

ゲームの大会って、勝つことが目的のはずなのに、見ている観客を盛り上げよう、楽しませようという思いを大切にしてくださる姿に、自分も一人のオセロニアンとして心から楽しませていただきました!

また、オセロニアンが制作した絵を表彰するコンテンツ「オセロニアンセレクション’19」では、受賞した方が、現物を実際のイラストや作品を会場まで持ってきてくれて、来場者に披露してくれたんです。イベントを盛り上げていただく為のご協力が本当にありがたかったです。

――本当にありがたいよね!

まなてぃ:そうですね! あと、Twitter上に#オセロニアートというハッシュタグで画像を投稿してくれる「アート勢」の熱量もとても高いんですよ。最近では、オセロニアン主催のオセロニアート展が開催されるなど、皆さんが盛り上げてくださることが嬉しいですね。

『逆転オセロニア』チームの一員として、今後もオセロニアンの皆さんが喜んでくれるコンテンツをゲーム内外で提供し続けていくことは、私たちの使命と言えます。

――これまでの経験の中で、自分が一番成長したと感じる瞬間はありますか?

まなてぃ:「オセロニアンの宴2018-19冬」のオーナーを担当したときですね。この経験を通じて、自分のこだわりを限界まで詰め込むことの大切さを痛感しました。

――具体的には?

まなてぃ:イベント準備を当日に間に合わせることは大前提として、ノベルティグッズひとつに関しても何を貰ったら嬉しいかはもちろん、貰ったあとにオセロニアンの皆さん同士でどんなコミュニケーションが発生するか考えたりなど、デザインも徹底的にこだわりました。

全国をまわるイベントでしたので、前の会場のアンケートでオセロニアンの皆さんからいただいた一つひとつの不満の声についても、きちんと次の会場では改善し、満足度を上げていきたいという思いを詰め込んでイベントを行っていきました。

開催後に「ノベルティが素敵だった!」「安心して楽しめる大会のルールだった」などコメントをいただいたときは、こだわりや大切にしたところがきちんと伝わっていることを感じました。この経験を通じて、やれることは全部やるべきと痛感したので、とにかくこだわりを詰め込むようにしています。

どんな些細なこだわりや直前の調整も全ては、オセロニアンの皆さんの良い思い出になるために必要なことだと思っています。

――今はチームリーダーをしていますが、メンバーと接する時に大切にしていることは何ですか?

まなてぃ:難しいですが……最後の意思決定は「各メンバーが責任を持って決めること」ですね。

リアルイベントでは、たくさんの人の力を借りて実施します。そのため、さまざまな意見が飛び交いますし、ときには意見が対立することもあります。

でも、コミュニティチームのみんなは、オセロニアンの皆さんと顔を合わせる機会が一番多いんです。だからこそ、自信と責任をもって各メンバーが意思決定をすることが大切だと思っているんです。

――なるほど! では意思決定をする上で、大切なことはありますか?

まなてぃ:リアルイベントでは、何十回も参加してくださってている方から、 今回が初参加だという方もいらっしゃいます。ゲーム内も一緒で、何年間も楽しんでくださっている方から、まだ『逆転オセロニア』をはじめて数ヶ月の方もいらっしゃいます。

コミュニティは毎日動いていますので、さまざまなオセロニアンの方がいらっしゃるコミュニティの”今”をきちんと理解して、方向を考えられること。そして、プロジェクトとしての成功やオセロニアンの皆さんの満足度など、さまざまな観点を踏まえて、最後は各メンバーが”今”のコミュニティに向き合った上で、決め切ることが大切だと思っています。

ただ、意思決定してもらったことに対して、各施策オーナーに「なんでそうしたの?」とは聞かないことを私の中のルールとしています。もちろん問題を発見した時は、追って調整させてもらう時もありますが……。

――新卒2年目とは思えないコメント……(笑)。

まなてぃ:そうですか?(笑)。 でも決めなきゃいけないことって本当に多いんですよ。

例えば細かいところだと、イベントのお土産のネックストラップの幅を何mmにするとか……。そういう小さいことから、個人でしっかり決めて行かないと、今後大きい意思決定ができるようにならないと思います。もちろん、相談がダメな訳ではないので、私も含めて、悩んでいる時はしっかり相談するようにしています!

――今後はどんな挑戦をしていきたいですか?

まなてぃ:『逆転オセロニア』はゲーム性に限らず、ゲームの世界観を愛してくださったり、キャラ愛が本当に強い方だったり、キャラクター(駒)のスキルを考察したり、YouTubeやMirrativでの動画配信で盛り上げてくださったり、自主運営の大会を作ってくださったりなど、多彩な趣向性のオセロニアンによって支えられています。そしてそんなオセロニアンの皆さんが『逆転オセロニア』の魅力をどんどん大きくしてくださっていると思っています。

だからこそ私も、『逆転オセロニア』のさまざまな面を楽しんでいただけるような施策ができればなと思っています。そしてオセロニアンの皆さんが作り上げてくださっているたくさんのコンテンツや活動を、公式としてもっと盛り上げる施策を実現していきたいです。

――ちなみにDeNAで実現したいキャリアなどはありますか?

まなてぃ:まずは、引き続きオセロニアンの皆さんに「『逆転オセロニア』を好きで良かった」と思っていただける体験を届けていくことです。今絶賛準備中の、「オセロニアンの戦 2019」にもたくさんのご応募をいただいており、オセロニアンの皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります!

そして今後も引き続き、安心して応援してくださるような環境を作れるコミュニティマーケターになりたいです。コミュニティマーケティングという仕事が、より世の中に認められるように頑張っていきたいですね!

「共感と応援の時代」へ


ちゃんもも | 公式YouTube担当
「オセロニア情報局」の元メンバーで、現在は『逆転オセロニア』公式YouTubeと、プロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」YouTubeチャンネルを担当。

――それでは簡単に自己紹介をお願いします。

ちゃんもも:2017年3月から2019年6月までの2年間、『逆転オセロニア』の公式YouTubeチャンネル「オセロニア情報局」の中の人として、オセロニアンの皆さんにゲームの最新情報をお届けしつつ、裏では編集や撮影などを担当していました。

プロデュースする立場に回りたいという夢のため、今年6月に演者を卒業し、現在は新しい情報局のメンバーの「ルルカ」をサポートしています。

また、8月からプロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」の公式YouTubeチャンネルでも、選手の魅力を多くの人に知ってもらえるようなYouTube運用をしています。

――動画に出演するケースは今までのDeNAではあまりなく、出演に関して覚悟が必要だったと思うのですが、出演の経緯を教えてください。

ちゃんもも:SNSが普及し、「個」がメディア化されるようになり「個の時代」と言われるようになりました。そんな中で私は「個」を応援できるような仕事がしたいなーってずっと思っていたんです。

ただ、応援するためには、まず自分が「個」としての気持ちを理解することが大切だと感じ、出演を決めました。もちろん『逆転オセロニア』が好きだったことは大前提としてあります。

――実際に出演してどうでしたか?

ちゃんもも:YouTubeは視聴者との距離が近いメディアなので、フィードバックも毎回リアルタイムで見れて楽しいですが、反面大変なことも多かったです。もちろん、オセロニアンの皆さんと同じコンテンツでやり取りできるのは楽しかったですね。

――大変なことも多い中、長期間出演できたの理由は何ですか?

ちゃんもも:やっぱり応援してくださるオセロニアンの皆さんがいたから、という理由に尽きると思います。卒業した今でも、応援のお手紙をいただくこともあって、自分の頑張る糧になっています。

まなてぃ:情報局の2周年イベントの反響もすごかったもんね。企画がちゃんももで、運営が私でした。

ちゃんもも:当初想定していたよりも本当にたくさんの方に応募いただいて、嬉しかったですね。

――情報局では、どのくらいの頻度で動画をアップしていましたか?

ちゃんもも:以前は週に2本前後、多い時は毎日アップしていました。

――そこまでの高頻度だと振り返りの時間が足りないと思いますが、どうやって振り返りをしてきましたか?

ちゃんもも:YouTubeのコメントやTwitterでの投稿はすべて目を通しています。

あとは、情報局の運営メンバーは常に「ユーザーファーストなのか」という軸で議論をしていて、そういった心がけが、次のアクションのスピードだったり、正しい改善だったりに繋がっていたんだと思います。

――人の個性を見て仕事の振り方を分けていると思いますが、チームビルディングで大切にしていることは何ですか?

ちゃんもも:普段の仕事においても、メンバーの「個」が最大限活きるような環境を作りたいと思っています。一人ひとりと向き合って、良いところを引き上げていくことが私の仕事かなあって。

まなてぃ:ちゃんももって、かなり男前なんです(笑)。でもこの職能は本当に根性が必要かも。

――メンバーとのコミュニケーションに関して大切にしていることは何ですか?

ちゃんもも:『逆転オセロニア』プロデューサーのけいじぇいさんから、「共犯者をつくりなさい」と教えてもらったことが、現在の私のスタンスになっています。

何かを実行するときもトップダウンで「これやって!」ではなく、一緒に巻き込んで作っていくような体制に変えてから、スムーズに進むようになりました。

――「YouTube×コミュニティ」についてどう考えていますか?

ちゃんもも:今の時代は「共感と応援の時代」に突入していると感じています。SNSの普及などによって「個」がメディアになれるようになり、その「個」が夢を追っている姿に共感して、一緒になって応援するスタイルに変化していると思います。

私がYouTubeのコンテンツで一番大事にしているのは「等身大」なんです。番組内でガチャが出なければ出ないって正直に伝えますし、弱いキャラクターを強いとは決して言いません。そのような等身大でプレイする私たちの姿を見て、共感してもらってコミュニティが生まれ、その力が巡り巡ってゲームにも貢献できていると思っています。

「川崎ブレイブサンダース」の動画に関しても、変わらない想いで作っているので、選手という「個」を見てもらい、プロでも失敗するという共感を覚えてもらうために、敢えてNGシーンも載せています。それを魅力のひとつとして、ファンになって応援してもらいたいと企画しました。

今後もこのようなメディア運用は、YouTubeのコミュニティの作り方としてはスタンダードになっていくのではないでしょうか?

――自分がステージに登って好きなコンテンツを作るイメージですよね。

ちゃんもも:近いですね。そのステージで頑張っている姿を見て、有名にさせてあげたいと思ったり、その変化を常に捉えている人がコミュニティで成功すると思っています。

元情報局の「ちゃんもも」や「さをり」みたいな、ゲームプレイも下手で、どこにでもいる普通の人の番組を熱心に見てくれるのって、オセロニアンの皆さんが「応援したい」と思ってくれた気持ちの表れなんじゃないかなと。情報局の卒業時も快く送ってくれたので、この2年で得たものはとても大きいと感じています。

――今後YouTubeはどう進化していくと思いますか?

ちゃんもも:より大きなコミュニティになっていくのは間違いないですね。演者と視聴者の距離が近づいているからこそ、言葉が持つ魔法のような力を感じました。発する内容で希望を与えることもできるし、幻滅させることもできます。

なのでYouTubeに関して他の人との連携時は、表現や言葉じりなどをすごく考えて話しています。

――今後やっていきたいことを教えてください。

ちゃんもも:私はやっぱり「個」が輝く瞬間をこれからも作っていきたいですね。現在はYouTubeというメディアが得意なので、『逆転オセロニア』と「川崎ブレイブサンダース」をしっかり盛り上げていきたいと考えています。

――期待しています!


以上、コミュニティ運営の最前線で活躍する3名のインタビューをお届けしました。

DeNAのマーケティング部では、3年ほど前からコミュニティマーケティングの専門部署を立ち上げており、定量的・定性的にもかなりのノウハウを蓄積しています。彼女たちがそれらのノウハウを駆使し、またある時には過去にとらわれずに新たな「仕掛け」を展開していく今後の活動に、ご期待ください!

インタビュー:鶴川 将志
執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:波多野匠

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitterアカウントやにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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【イベントレポ】GDM会場で開発者向け書籍を展示! 著者であるゲームクリエイター3名が関連ショートセッションを実施

毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

2019年9月20日(金)に開催された「GDM Vol.36」では、デジタルクリエイターを支援するサービスカンパニーのボーンデジタル様の協力で、会場内にゲーム開発関連書籍の展示スペースを設置しました。

さらに、展示された書籍の中から3名の著者より、それぞれの執筆についての裏話や、今後の開発の技術について各ショートセッションも実施されたので、その模様をレポートします。

ソーシャルゲーム、どのように制作していますか?

最初の登壇者となった株式会社ドリコムの西村拓也氏からは、ソーシャルゲームの開発フローにおけるUI/UXに関連するセッションが実施されました。

西村拓也氏 | 株式会社ドリコム  エンジニア

2007年に株式会社レベルファイブに新卒入社。 以後ゲーム業界で活動し、コンシューマ携帯ゲーム、Cocos2d-xやUnityによるスマートフォンゲーム制作に携わる。2014年に株式会社ドリコムへ入社。『ダービースタリオン マスターズ』では、クライアントエンジニアリーダーを担当。

主な著書に「ダービースタリオン マスターズで学ぶ ゲームUI/UX制作 実践ガイド Unity対応版」。『ダービースタリオン マスターズ』では本書の内容であるUIフレームワークによるアウトゲーム設計や、レースロジックの実装、 クライアントエンジニアのタスクマネージメントを手がけた。

ソーシャルゲームの流れは、もともとガラケーのブラウザゲームからスタートした単純にボタンを押すだけのゲームで、インゲームなどはあまり実装されていませんでした。

その後、スマートフォンの普及により、インゲームが実装されているゲームが次々と登場、昨今ではさらにインゲームをオートプレイやスキップができることが当然のトレンドになっています。

さらに、最近のソーシャルゲームではキャラクターの強化育成など、アウトゲームの部分を触る時間も多くなり、運用が長期に渡るとアウトゲームの画面数も増えるため、制作効率を上げることが重要になります。

アウトゲームのUI制作工程について、おおまかに以下の項目が考えられます。

1.ゲームの企画仕様を作る→プランナー
2.UXを考え、画面案を考える→プランナー?UXデザイナー?
3.PhotoShop等ツールでUIをデザインする→UI/UXデザイナー?
4..png等UIパーツを分解し吐き出す→UIデザイナー
5.UnityのScene/Prefabで配置する→デザイナー?エンジニア?
6.ユーザ操作の挙動をコーディングする→エンジニア

ですが、主な項目について、どの部分をどの職種が担当するのか、曖昧になっている部分が多いです。各作業において担当職種が明確な項目は以下になると、西村氏は述べました。

プランナーの仕事
1.ゲームの企画仕様を作る
→遊びの部分の企画はプランナーの仕事

UIデザイナーの仕事
4..png等UIパーツを分解し吐き出す→UIデザイナー
→Photoshopなどのツールは高額であり、利用頻度の都合上、企業によってはデザイナーだけがインストールしていないケースが多く、UIデザイナーの仕事になる

エンジニアの仕事
6.ユーザ操作の挙動をコーディングする→エンジニア
→コーディングはエンジニアの仕事になる

次に担当する職種が曖昧な仕事として、UXを考える部分について、プランナーはExcelやPowerPointなどによる画面のレイアウト案、遷移案を作っており、UXデザイナーはプランナーよりも役割としては適切と考えられます。

『ダービースタリオン マスターズ』の開発時にはProttを採用して、画面レイアウトや遷移を提案していたことが明かされました。

続いてUIデザインをするのは誰の仕事かと考えると、そもそもUI/UXデザイナーの定義自体が曖昧で、『ダービースタリオン マスターズ』では、書籍の共同著者である冨田篤氏がUI/UXデザイナーを担当しているとのことです。

Unityで配置をするのは誰の仕事かと考えると、デザイナーはUnityを触るケースを良く耳にしますが、エンジニアがデザイナーから配置指示書をもらって配置するケースが多く、この部分が工程上一番効率が悪い箇所だと西村氏は考えています。

UnityのScene/Prefab配置の必要スキルとして、

・Unityのツール理解
・フォルダ構成の設計
・UIテクスチャアトラスの設計
・GameObjectの順番(描画順考慮)
・コンポーネントの仕様理解・アタッチ

以上が挙げられますが、これらすべての作業をデザイナーが対応するにはハードルが高いため、エンジニアが担当するケースが多いですが、実はこの作業をデザイナーがやることで効果が高くなるようです。

西村氏は、エンジニアがScene/Prefab配置をすることに関して、ずっと疑問を持っており、エンジニアはあくまでコーディングをすることが役割だと考えているとのことで、配置まわりの仕事は手放したいと述べました。

さらに、デザイナーとの連携でコミュニケーションコストが増えて「デザイナーがエンジニアにわざわざ直したい箇所を伝えるのは面倒」と判断してしまうこともあり、クオリティの妥協が生まれることもあります。

そのため、デザイナーが対応できるようにして職種間の作業を[su_highlight background=”#fcff99″]「疎結合」[/su_highlight]することで、作業効率やクオリティを上げることも可能です。

デザイナーが対応するためにはまず「Unityのツールを理解すること」です。習得の難易度が上がる要因は勉強する箇所が多いので、範囲を絞って覚え、Unityをレイアウトの配置ツールとしてみなすことも大事です。

続いては「フォルダ構成の設計」で、デザイナーが構成を考えて、構成にとらわれないシステムであることが望ましいと考えます。

また、「UIテクスチャアトラスの設計」「GameObjectの順番(描画順考慮)」の2つは、共通で使うボタンや画面の雰囲気、世界観を作るための絵素材の選定など、UIデザインの全体設計に影響を及ぼす箇所であり、それらを踏まえてエンジニアのサポートは必須だと思われます。

コンポーネント仕様の理解およびアタッチに関しては、デザイナーとしてレイアウト構成で必要なものがあれば良く、作成思想はどのプロジェクトでも使えるような特有のコンポーネントにしないことが必要です。

『ダービースタリオン マスターズ』制作時には、書籍の共同著者の冨田氏がデザイナーとして対応してくれたため、すごく楽をさせてもらったと西村氏は話しており、ゲームオブジェクトの順番や負荷などは調整したものの、アトラスの設計なども冨田氏が作業してくれたとのことです。

また、エンジニアがコーディングして実装する際には、仮レイアウトデータをもらって作業しており、デザイナーがUIリソースをGitでPushしてマージしてくれたので、その組み込みシステムのおかげで、ブラッシュアップされた最新のデザインがゲームを起動するたびに組み込まれ、それを見て心躍ることが多かったとのことです。

最後に、エンジニアはコーディング設計の際に疎結合を意識していますが、各職種の作業間も疎結合を狙うようなシステムを実装するべきで、詳細はぜひ著書を参照してほしいと西村氏はセッションを締め括りました。

OpenAI GymとBaselinesを使って
ソニックを攻略する人工知能の育て方

続いて登壇したギリア株式会社の布留川英一氏は、GDMイベントの前日が9月19日で「メガドライブミニ」が発売された日ということで、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(以下、『ソニック』)を攻略する人工知能の育て方を紹介しました。

布留川英一氏 | ギリア株式会社 研究部 探索グループ リードプログラマー

1999年、「JAVA PRESS」(技術評論社)にて、携帯アプリの開発方法の連載を開始。2001年、株式会社ドワンゴにて、世界初のJava搭載携帯電話「503i」のローンチタイトル『サムライロマネスク』の開発に携わる。

以後、新端末の新機能を活用したアプリを作りつつ、技術書を書き続け、18年で40冊ほどに。現在はギリアにて、ヒトとAIの共生環境の実現を目指して、人工知能の研究開発に取り込んでいる。

主な著書に「AlphaZero 深層学習・強化学習・探索 人工知能プログラミング実践入門」「Unityではじめる機械学習・強化学習 Unity ML-Agents実践ゲームプログラミング」(ボーンデジタル)など。

機械学習と強化学習

人工知能は「ルールベース」と「機械学習」に大きく分かれ、人間が予測や判断を行うルールを考えたもの、従来のゲームはほとんどが対応しているのがルールベース、そのルールをすべてデータから自動生成するのが機械学習です。

そして、機械学習には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つがあり、今回の『ソニック』の攻略には強化学習を利用します。

強化学習とは、エージェントが環境の状態に応じて、どのように行動すれば報酬が多くもらえるか、などを学習する手法です。

エージェントとは環境に対して行動を起こす主体となるもの、『ソニック』の場合はプレイヤーや人工知能を指し、環境は、エージェント側から行動を受け取って、報酬と状態を投げ返す部分を指します。

強化学習の学習サイクルについて、エージェント(人工知能)は最初は何をすべきかを判断できないため、取れる行動の中からランダムで決定して環境に送ります。

行動を受け取った環境は、それに対して状態と報酬の善し悪しをエージェントに返します。その状態と行動に応じて「報酬をどのくらいもらうのか」といった経験を記憶します。

続いて、経験に応じてエージェントが方策を求め、2回目の行動は単なるランダムな動作ではなく、編み出した「ランダム+方策」を組み合わせた行動をします。

そのサイクルを繰り返すことにより、将来的に多くの報酬を得られる方策を求めていきます。強化学習に用いられる用語も紹介されました。

開発環境と開発フレームワーク

開発環境には「Python3.6」、Pythonの仮想環境を作成するためのツール「Anaconda」、そしてクラウド環境での学習に必要な「Google Colab」を使用しています。

開発フレームワークには「OpenAI Gym」「Stable Baselines」「Gym Retro」を使用しています。以下で各フレームワークの詳細を紹介します。

OpenAI Gym

「OpenAI Gym」は、強化学習用のツールキットで、エージェントと環境間の共通インターフェース、タスク学習に利用できるさまざまな環境が構築できる特長を持っています。

「OpenAI Gym」インターフェースについて、環境の生成、リセット、1ステップ実行、描画について詳しいソースコードも紹介され、実際の実行画面も公開されました。

Stable Baselines

「Stable Baselines」は、強化学習アルゴリズムの実装セットで、「OpenAI Baselines」の改良版です。実際の学習時のソースコードと実行画面もあわせて公開されました。

Gym Retro

「Gym Retro」は、レトロゲームを「OpenAI Gym」の環境として利用する拡張ライブラリです。使えるゲームプラットフォームはファミコン・メガドライブ・スーパーファミコン・ゲームボーイ・PCエンジンなど。ROMは自身で入手する必要があります。今回はSteamで『ソニック』を購入し、retro.importでROMをインポートし、動作確認をします。

『ソニック』の攻略

・1回目

まず環境を用意して単純に学習させて、動くかどうかを確認してみますが、スタート地点で飛び跳ねているだけでうまく学習できずに、失敗となりました。

強化学習はよほど簡単なタスクでない限り、そのまま学習アルゴリズムを走らせただけでは学習に時間がかかるため、ノウハウを詰め込んで助けてあげる必要があると、布留川氏は述べました。この時点での改善アイデアは以下になります。

【前処理】エージェントに情報を渡す前に学習しやすい形式に変換する、前処理のユーティリティを選びます。ここでは『ソニック』用の行動空間の変更する前処理を作ります。『ソニック』はメガドライブ対応ソフトのため、コントローラに12個のボタンがあり、それらのオンオフが実際の行動の情報になります。ここでボタンのキー数を減らすことで、学習効率を上げることができます。

その他にも以下の前処理を組み込んでいます。

・StochasticFrameSkip:フレームスキップ
・Downsample:ダウンサンプリング
・Rgb2gray:グレースケール
・FrameStack:フレームスタック
・ScaledFloatFrame:状態の正規化
・TimeLimit:5分タイムアウト

【完了条件】最初は「ライフが0になったとき」と設定されていましたが、「ライフが2になったとき」「レベルを攻略したとき」「5分経ったとき」と完了条件を変更しました。

【報酬関数】最初は「獲得したスコアの値」でしたが、今回は1面をクリアするという目標を重視するため「現在のX座標-1フレーム前のX座標」に設定しました。

・2回目

ここまでの調整を実施して、もう一度学習をさせてみましょう。残念ながら失敗となりました。『ソニック』1面の中盤には、マップに一回転するループが設置されており、助走が必要になるギミックです。

そこで、報酬関数に関して「現在のX座標-1フレーム前のX座標」から「現在のX座標-進捗したX座標の最大値(負の報酬はなし)」に切り替えました。

・3回目

さらに学習をさせてみましたが、今回も失敗となりました。マップのループも越えられず、報酬獲得も不安定になってしまいました。

そこで、学習アルゴリズムのパラメータに関して「報酬が継続的に増加しない場合は、学習率の値を小さくする」という設定しました。ここでの「学習率」とは、今回学習したデータをどのくらい重視するか、という数値になります。

そのため新しいものを吸収しすぎると、間違ったことも学習してしまいます。学習の時間は遅くなってしまいますが、学習率を小さくしたほうが正しいことを覚えると考えられるはずと仮定できます。

・ラスト

そして、さらに学習させてみたところ、約3時間以上かかった学習によって、ソニックは無事ゴールすることができました。

最後に布留川氏は、人工知能はなんでもできそうなイメージがありますが、まだまだ不可能なこと、未知数なことはたくさんあるため、一緒に人工知能の可能性を広げて行きたいと思う人がいればぜひ声をかけて欲しいとセッションを締め括りました。

CRI ADX2について

本セッションでは、一條氏が手がけた書籍「Unityサウンドエキスパート養成講座」より、デモアプリの見かたとツールデモが紹介されました。

ちなみに一條氏は、セッションの休憩時間に、サウンドツール「CRI ADX2」を使用し、自身が開発を進めている新作ゲーム『デモリッション ロボッツK.K.』に使用しているサウンドを流し、セッションスタートに合わせて音楽をつないで終了させる、というデモを行っていました。

一條貴彰氏 | 株式会社ヘッドハイ代表取締役

ゲーム作家/Game DevRel。代表作は『Back in 1995』(PS4 /Switch等)。現在は新作4人対戦ゲーム『デモリッション ロボッツ K.K.』を開発中。ゲームミドルウェア会社の営業職を5年間務めたのち、独立。株式会社ヘッドハイを設立し、ゲーム開発ツール専門のコンサルティング 事業を展開。特にインディーゲームクリエイター向けの事業サポートを得意とする。

書籍の構成

書籍「Unityサウンド エキスパート養成講座」では、Unityのサウンドの実装について紹介されています。

大まかな構成として、Unityエンジンに搭載されているサウンド機能を使ってプログラムを書く「Unity標準サウンド」、VRならではの指向性のあるサウンドを紹介する「VRサウンド」、統合型サウンドミドルウェア「CRI ADX2」を利用したゲームの音楽の表現や負荷の低減、作業効率アップなどについて紹介する章に分かれています。

書籍のオススメの読み方として、新人クリエイターやサウンド開発がまだ良くわからない人などは0、1、2章を読み、音にこだわりがある開発者や、サウンドの物量が多い場合は4章を参照することが良いようです。

また、VRコンテンツクリエイターは0、3章を読むのがオススメだそうです。法人のモバイルゲーム開発会社は、現代ではサウンドミドルウェアを使わないと物量の管理やメンテが厳しいため、0、4、5章を読むと良いと一條氏は冒頭で述べました。

書籍第4章の「CRI ADX2」について

「CRI ADX2」は、株式会社CRI・ミドルウェアが開発する、音にまつわる演出が組み込まれたライブラリ&ツールのことです。

主な使われ方としては、音の演出開発コストを抑えることや、モバイルゲームでの膨大なサウンドの負荷軽減や圧縮、暗号化などに利用されることが多いようです。

ちなみに書籍「Unityサウンドエキスパート養成講座」は、「Unite Tokyo 2018」にて一條氏が登壇したセッション「Audio機能の基礎と実装テクニック」に来場者が多く訪れたため、ボーンデジタル社に働きかけて書籍化をした経緯があります。

CRIWAREは多くのコンシューマ・スマートフォン向けゲームに利用されており、特にキャラのボイスや音ゲーなどボイスが大量に使われているタイトルで使われることが多いようです。最近ではUnreal Engine 4と合わせて使われるケースも増えています。

Unity標準サウンドとADX2の違い

Unity標準サウンドでは、サウンドファイルと再生処理が1対1であり、「どの台詞をどのキャラクターのどの状態の部分で再生するのか?」など、サウンド情報を制御する何らかの手段が必要になります。

CRI ADX2では、複数のサウンドファイルや、パラメータを内包できる再生単位「キュー」を介して音を鳴らす仕組みで、専用ツール上で音の組み合わせテストを実施したり、Unity側のスクリプトを変えないで音の鳴らし方を変更・調整することが可能です。サウンドデザイナーとプログラマーの分業のようなイメージになります。

Unity標準サウンドのフロー

WAVEファイルをインポートし、スクリプトでAudio Clipを指定して再生、さまざまなサウンド制御を実装します。

Unity+ADX2のフロー

ADX2を使用する場合、WAVEファイルをいきなりUnityエディタに入れるのではなく、まずADX2のサウンドツール「Atom Craft」を操作して再生単位「キュー」を作り、鳴り方などをパラメータで指定します。

その後、Atom Craftから出力した圧縮データをUnity側のスクリプトでキューを指定して再生、ランタイムに実装済みのサウンド制御を指定して実行します。このフローに関しては、会場で実機デモが披露されました。

ADX2のエディション

CRI ADX2には、法人用の「CRI ADX2」と個人開発者向けの無償版「CRI ADX2 LE」が用意されています。

書籍におけるADX2章の構成

書籍「Unityサウンド エキスパート養成講座」には、最初にチュートリアルとして、まずはひとつの音を鳴らすまでが説明されており、続いてAndroid向け低遅延再生モードや低負荷コーデックの使い方、イントロ付きループ再生機能などの目玉機能の紹介がなされています。

さらにAtom Craftの詳細ツールやデモアプリ、応用編などが掲載されています。

収録されている4章で使用するデモアプリ「一方的タコ殴り ノーダメージ勇者さま」は、ちょっと懐かしめなソーシャルカードゲーム風デザインで、カードをタップしてモンスターを倒すシステムになっています。

会話シーンのサウンド演出について、台詞が流れたときにBGMのボリュームを自動的に落とす「BGMダッキング」、音声データへテキストデータ埋め込み機能、音声データへ表情変更タイミングの埋め込み機能が実装されています。

ダンジョンシーンに含まれる演出は、攻撃台詞を複数パターンからランダムに選ぶランダマイズ機能があります。また、再生制御のソースコードは同一で、データの差し替えのみでキャラクター台詞の切り替え設定や、攻撃の威力に連動してヒット音が変わるランダム設定が実装されています。

ダンジョンを進んで歩く足音に関しては、アプリ内のサウンドデータとしては「タッ」という短いひとつの音だけが収録されていますが、ツールの上で音を時系列に並べ、ピッチのランダマイズを加えて「タッタッタッ」といった長めの効果音を生成できるとのことです。

また、セリフや効果音に作用するリバーブやエコーも実装。ゲームの展開に合わせたBGMの展開変化も収録されています。こちらも実機デモで実際にダンジョンを進んで敵と戦い、クリアに合わせてBGMが終了するまでが披露されました。

そしてセッションの最後に、スマートフォン上で動作するこのデモアプリと、PCのツールをwifiで通信、連動させ、実際のスマートフォンアプリでの動作に合わせてツールでサウンドのリクエストや動きをチェックできるプロファイラ機能の様子がデモプレイされました。

書籍展示の様子

会場すぐ横のセミナールームには、登壇いただいた3名が執筆された書籍を含む、ボーンデジタル様出版の書籍が多数展示されました。来場者以外にもDeNA社員が自由に閲覧可能になっており、多くの人が手に取っている様子が見られました。

懇親会の様子

盛り上がった懇親会では、セッション中にはできなかった登壇者との質疑応答や名刺交換、来場者同士で現職の情報交換や悩みを相談するなど、交流も盛んに行われていました。

季節のデザート

今回の特選デザートは、予約殺到の専門店(受け取りのために当日スタッフが奔走しました!)の[su_highlight background=”#fcff99″]バスク風チーズケーキ(通称バスチー)[/su_highlight]をご用意。某コンビニチェーンでも話題となっているようで、どっぷりとした濃厚で新食感のチーズケーキは大人気でした。次回のデザートもお楽しみに!

 

取材・文・撮影:細谷亮介

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【TGS2019】『メギド72』が優秀賞を受賞! 「日本ゲーム大賞2019」授賞式レポートと宮前Pからのコメント公開

9月12日~15日の期間、千葉・幕張メッセにおいて開催された「東京ゲームショウ2019」。ビジネスデイとなる9月12日に実施された「日本ゲーム大賞2019」にて、DeNA運営のスマートフォン向けRPG『メギド72』が年間作品部門で優秀賞を受賞しました。

日本ゲーム大賞とは

「日本ゲーム大賞 年間作品部門」は、その年を代表するにふさわしい優れたコンピュータエンターテインメントソフトウェア作品を選考・表彰する賞です。

一般投票のあと、日本ゲーム大賞選考委員会による審査を経て、「大賞」と「優秀賞」(該当数)のほか、海外市場において高い評価を得た「グローバル賞」(国内/海外企業から1作品ずつ)、対象期間中に日本国内で最多販売本数を記録した「ベストセールス賞」(1作品)の各賞が決定されます。

登壇する宮前プロデューサーと開発会社であるメディア・ビジョンの福島孝氏

『メギド72』が優秀賞を受賞! 

授賞式で登壇した、『メギド72』プロデューサー宮前公彦は、

「今日はこのような場において、賞をいただけたことを大変光栄に思っています。スタッフと協議しながら作ってきた努力が報われた気持ちで、いっぱいです。良い作品を作っていけば必ず報われると思って邁進してきましたが、私たちにとって想定を超える結果であり、すごく驚きに満ちていますし、これからも良い作品を作っていきたいと思っています。

また、この受賞に際して、『メギド72』をここまで盛り上げてくれたのは、遊んでくれたプレイヤーの皆さんだと思っています。プレイヤーの皆さんがいつも応援してくれることが、我々の励みになり、チャレンジするモチベーションになっています。これからも皆さんの期待を超えるような作品にしていきますので、引き続き、応援宜しくお願い致します! 」

とコメントをしています。

また、共に開発を手がけるメディア・ビジョン株式会社 代表取締役 福島孝氏は、

「このような素晴らしい賞をいただいたこと、光栄に思います。応援していただいたプレイヤーの皆さん、本当にありがとうございます。

開発のスタッフには、この受賞に関して自分が直接伝えたのですが、皆とても喜んでおり、今後の開発の励みにもなると思っています。そして『メギド72』はリリースからずっとプレイヤーの皆さんに育てていただいて、ここまで成長したと思っており、今回の優秀賞は、プレイヤーの皆さんと一緒にいただいた賞だと思っております。

これからも皆さんに楽しんでいただける『メギド72』を、DeNAさんと一緒に開発していきたいと思っています。」

と宮前とともに壇上で喜びのコメントを述べました。

授賞式の当日は、開発チームやマーケティングチームなど、『メギド72』に関わるスタッフが多数観覧席で式典の様子を観ており、授賞式終了後も興奮冷めやらぬ雰囲気で、トロフィーを持った宮前プロデューサーを囲みながら、嬉しそうに話していたのが印象的でした。

また、授賞式当日の夜にはTwitterなど多数のSNSにてトレンド入りも果たし、プレイヤーやファンからお祝いのコメントが続々と発信されていました。公式ポータルでは宮前からのプロデューサーレターも公開され、『メギド72』に関わるすべての人、何よりプレイヤーに向けた熱い思いが綴られています。

過去の日本ゲーム大賞を振り返ってみても、スマートフォン専用のゲームの受賞は数少なく、今回もすべての受賞作品の中で『メギド72』が唯一のスマホ向けゲームとなっています。

今年の日本ゲーム大賞では、Nintendo Switchで発売された『大乱闘スマッシュブラザーズ』のプロジェクトチームが経済産業大臣賞を受賞し、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』タイトル自体は大賞を含めて、5つの賞を獲得したことが大きなトピックスになりました。

受賞後に宮前プロデューサーに聞いてみました

――受賞おめでとうございます。まずは受賞後の率直なお気持ちをお聞かせください。

むっちゃ、嬉しかったですね!地道に運営を続けてきたことが評価されたのだと思いました。遊んでくださっているプレイヤーの皆さんへ「ありがとうございます! 」という言葉以上の気持ちになりました。

また、運営を継続させてくれた会社にも同時にも感謝しております。売上貢献という意味では、大きな貢献はできておらず、まだまだビックタイトルというポジションではないと自認しておりますが、DeNAのタイトルとして存在感をアピールできたと思っています。

――受賞の理由は何だと思いますか?

オリジナルのおもしろさをしっかり提供できているところ、そして運営を通して、長期的にプレイする楽しさを提供できているところだと思っています。また、遊んでくれるプレイヤーの皆さんの熱量が高く、応援してもらえることができていることも、ひとつの理由ですね。

――開発チームや『メギド72』に関係するスタッフからの反応はどうでしたか?

開発チームだけでなく、マーケティングメンバー、QAチームにもトロフィーを見てもらい、みんな喜んでくれました。写真を撮る姿など、みんなが笑顔になっていて、とても嬉しかったですね。まだお見せできていない関係者やスタッフも多いので、是非、直で見てもらいたいですね!

――投票したプレイヤーからのコメントはいかがでしたか?

10代から50代の方まで、男女幅広くご意見をいただけました。投票理由のコメントということもあり、どの意見も温かく、今までの苦労が報われたような気持ちになりました。

――当日一緒に登壇したメディア・ビジョンの福島氏とは受賞に際してどのような話をしましたか?

受賞に関しては、メディア・ビジョン社でも初のことだったようで、すごく喜んでいただけました。授賞式はジャケット着用との依頼もあったため、「ネクタイする? 」など、おじさん二人で相談していましたよ(笑)。

――これから先の『メギド72』はどのように進化していきますか? 展望をお聞かせください。

ストーリー展開はもちろんですが、ゲーム内のコンテンツの拡充は随時実施していきたいと考えています。イベントの種類を増やすことやコロシアムの改修、その他コンテンツもブラッシュアップしていく予定です。また、遊びやすさという点でもUIのブラッシュアップなどを対応していきたいですね。

――最後に、応援してくれている全ての『メギド72』のプレイヤーやファンに一言お願いします!

いつも『メギド72』をプレイして頂き、本当にありがとうございます。皆さんが楽しんでくれることで、我々が成長できていると思っております。皆さんにとって『メギド72』が思い出のゲームのひとつになれるよう、運営スタッフ一同頑張っていきますので、引き続き応援お願いします!

――ありがとうございました!

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受賞タイトル一覧

◆経済産業大臣賞
『大乱闘スマッシュブラザーズ』プロジェクトチーム

◆日本ゲーム大賞年間作品部門

大賞
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』

優秀賞
『エーペックスレジェンズ』
『KINGDOM HEARTS III』
『JUDGE EYES:死神の遺言』
『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』
『Detroit: Become Human』
『Devil May Cry 5』
『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』
『BIOHAZARD RE:2』
『Marvel’s Spider-Man』
『メギド72』

ベストセールス賞
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』

グローバル賞 日本作品部門
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』

グローバル賞 海外作品部門
『レッド・デッド・リデンプション2』

特別賞
『Nintendo Labo』

ゲームデザイナーズ大賞
『ASTRO BOT:レスキューミッション』

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取材・文・撮影:細谷亮介

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【TGS2019】DeNAプロデューサー山口誠が審査員として登壇! 日本ゲーム大賞2019「アマチュア部門」大賞はHAL東京の『ORBITS』が受賞

日本ゲーム大賞2019「アマチュア部門」とは

9月12日~15日の期間、千葉・幕張メッセにおいて開催された「東京ゲームショウ2019」。会期中に実施されるイベントの中でも、日本ゲーム大賞2019「アマチュア部門」は、法人、団体、個人、学生、一般を問わずアマチュアの方が制作されたオリジナルの作品を対象に募集するコンテストです。

審査は、業界誌編集者、クリエイターによるプレイ映像の視聴審査(一次審査)、試遊による二次審査、そして発表授賞式のプレゼンターおよび各賞の講評を務める業界誌編集長とトップクリエイターによる試遊審査(最終審査)により、各受賞作品を決定します。

「☆」をテーマとした今年のアマチュア部門には、史上最多の553作品の応募があり、一次審査で93作品、二次審査で14作品、そして最終審査にて10作品が受賞しました。

また、TGS会場内では「日本ゲーム大賞 アマチュア部門」および「日本ゲーム大賞 U18部門」のノミネート作品を実際に試遊プレイできるブースも出展されており、授賞式後には試遊を楽しむ人もかなり増えていました。

審査員としてDeNA山口誠が登壇

日本ゲーム大賞2019「アマチュア部門」では、最終審査の審査員として、予選にも登壇した、DeNAのプロデューサー「山口誠」が参加しています。

最終ノミネート作品となった、POTATO CORN(HAL東京)制作の『GLOBE』について、山口は、

「今年は☆がテーマということで、星型のデザイン、モチーフを使った作品も多かったんですが、本作品は地軸を含む、強いオリジナリティを持っており、ゲーム自体はシンプルな3Dで、ストレスなく遊べるような仕組みになっており、総合力が高いと感じました。

何よりチュートリアルを含めて、テキストでの表記がほとんどなく、次に何をしたら良いのか、直感的に理解できるユーザビリティの部分も、特筆すべき点だと思いました。」

とコメントをしました。

DeNA山口誠DeNA山口誠

『GLOBE』は、星を回転させ、ゴールまでの道を切り開く新感覚球体パズルゲームです。

プレイヤーは地軸を操作し回転させ、星を見渡しゴールとなるロケットまでのルートを探ります。ルートが決まったら、特殊な足場を空中に浮かせて移動させ道を作って宝石を集めながらゴールを目指します。

地軸の位置を変えて星を回転させるというユニークなアイディアとコンセプト、さらには星を回転させる操作では、動きに合わせてコントローラーが振動したり、足場を上下に動かす際の効果音や、地面によって足音が変わる演出まで実装しており、徹底的に作り込まれたクオリティの高い作品です。

大賞はHAL東京『ORBITS』に決定! 

最終ノミネートとなった全10作品の中から、それぞれ優秀賞および佳作が発表され、大賞はOVERWORKS(HAL東京)が制作した『ORBITS』が受賞しました。

『ORBITS』は、同心円上を公転する3色の☆を、内側に寄せたり、外にはじいて全て合体させ、白い☆を完成させるアクションパズルゲームです。

内側や外側の仕切りのない部分から☆が飛び出してしまうとゲームオーバーになってしまいます。「寄せる・離す」だけの簡単操作ながら、☆と同色の壁はすり抜けたり、同色の☆同士が衝突すると逆回転するなど、さまざまな特性を持ったギミックが戦略性を高め、クリアした時の爽快感は格別です。

そして、徐々に難易度が上がるステージと、丁寧なチュートリアル要素、世界観にあったグラフィックやSE、BGMなどを含め、完成度の高い作品となっています。

会場には、ノミネートされた作品を手がけたメンバーを応援するため、国内の多くの専門学校や大学から先生や生徒が集まり、熱いエールを贈っていました。

また、タイトルが発表されるたびに、歓喜の声が観覧席からあふれる、かなりの盛り上がりを見せていたのも印象的でした。彼らが未来のクリエイターとして活躍してくれることを期待せずにはいられません。

審査を担当したDeNA山口誠に聞いてみました

――日本ゲーム大賞アマチュア部門の全審査、授賞式を終えての感想をお願いします。

今年初めてアマチュア部門の審査をさせていただいたのですが、非常にレベルの高い作品ばかりで驚きました。ノミネートされた作品の中には、そのまま製品として提供しても、評価されそうなものもありました。

――今回の審査を通して感じたこと、プロデューサーとして刺激を受けたこと、気付いたことはありますか? 

若い力に頼もしさを感じるとともに、先を走る業界内の先輩として、うかうかしていられないという気持ちです。こういった賞により、我々先輩が後輩を引き上げるとともに、引き揚げられた後輩たちが我々を突き上げるように走らせてくれるという、お互いが切磋琢磨する関係ができれば、業界の発展になると思いますね。

――授賞式会場の雰囲気、参加チームや学校の先生・生徒の応援の盛り上がりを見て、どう感じましたか?

昨今はゲームがeスポーツとして競技性を持って、受け入れられるようになってきましたが、同じようにこういったゲームという知的分野における賞レースも、例えばスポーツで言う「甲子園」のような目指すべき目標や成果、達成感などを伴う文化として、より多くの人に広がっていっており、さらにその裾野が広がることを期待しています。

――応募作品を審査している中、昨今のゲーム開発の進化をどのように感じましたか?

ゲームツールの発展や、デジタルネイティブと呼ばれるようなデジタル機器への慣れ、という時代の変化がよく言われますし、そういった側面は確実に感じます。

一方で、チーム形成をしっかりすることで、創作力を上げていると感じるチームが見られ、プロダクトだけでなくプロジェクトとしての進化もあるように思います。

――U18部門も含め、ゲームクリエイターの低年齢層化が進んでいますが、今後ゲーム開発やクリエイターを取り巻く環境について、未来はどうなると想定していますか?

SNSやYouTuberの例を挙げるまでもなく、生産者、発信者と消費者の垣根はなくなりつつあります。ゲームにおいても、インディーゲームを楽しむプラットフォームや機会が多くなり、同じような潮流にいるのは間違いありません。

クリエイターも企業に属した集団で何かを作る時代から、個人同士がつながって大きな作品を生み出すような、開発モデルの変革があり、その先駆者になるのは、まさにこのような賞を獲得したクリエイターたちなのかもしれないと思います。

――これまでの審査員としての知見、若いクリエイターたちと触れ合った経験を、今後DeNA社内でどのように活かしたいと考えていますか?

新卒の採用や育成にも携わらせていただいているのですが、社内での若手にも同じような活気や危機感をいだきながら成長できる機会を作れたらと考えています。そのきっかけとして、賞を取った作品をプレイするなど、喚起ができればよいなと思います。

――プロデューサーとして、これからゲームクリエイターを目指す人に一言お願いします! 

先述したとおり、今後は企業に属することが理想のゲーム開発への携わり方、という考え自体が変革していく可能性があります。その中で、個人に知見や評価を蓄積していくことも含めて、幅広いゲーム開発への関わり方を模索し、切磋琢磨していかれることを期待しております。

――ありがとうございました! 

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日本ゲーム大賞2019「アマチュア部門」受賞一覧

◆大賞

『ORBITS』
OVERWORKS(HAL東京)

◆優秀賞

『Overlay』
TeamKoide(名古屋工学院専門学校)

『ORBITS』
OVERWORKS(HAL東京)

『GLOBE』
POTATO CORN(HAL東京)

『蒸伸機関機構』
MAD SIX(HAL東京)

『星座ドロップ』
匿名イフリート(HAL大阪)

◆佳作

『Asteroad』
アステロード(早稲田大学)

『つなぐスターライン』
りょくちゃ(ECCコンピュータ専門学校)

『PlutoMachina』
機械仕掛けの冥王星(ヒューマンアカデミー広島校)

『ほしピン』
カピバラチーム(トライデントコンピュータ専門学校)

『☆ベンチャー』
GOD YOUSUKE(HAL東京)

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取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitter アカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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【ギャラリー紹介9~10月】オリジナルイラストを手がけたアーティスト野尻真由からのコメントが到着

DeNA本社(渋谷ヒカリエ21階)の待合ロビーに設置されている特設ギャラリー「DeNA CREATOR’S WORLD」では、DeNAのゲームタイトルに携わるアーティストの作品が、数ヶ月単位で入れ替わり展示する企画が開催中です。

2019年9月~10月の期間は、担当アーティストが自由なテーマで作品を描く、オリジナルイラストが中心の展示内容となっています。

GeNOM編集部では、展示風景と作品を手がけるアーティストにお話を聞く特集を組んでおり、今回は描き下ろしイラスト「Hello,Iris.」を手がけた、野尻真由に制作の意図やこだわりについてコメントを頂きました。

今回の作品は不思議な少女をモチーフに

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野尻真由:Profile

美術大学美術学部卒。在学中は銅版画をメインに制作。展示やオークション出品など作家活動をしつつ、独学でデジタルツールを修得。コンシューマーゲームの3DCG業務を経て2017年DeNAに入社。『メギド72』『逆転オセロニア』や、新規プロジェクトにて2Dアートまわりを担当している。[/su_note]

――今回の作品の制作意図やコンセプトを教えてください。

はじめはランドスケープっぽく、望遠の構図でラフを描いていたのですが、お客様がいらっしゃるエントランスでの展示なので、「シンメトリ構図のお行儀良い感じの絵」でいこうと決めました。

漠然と「大理石っぽい建造物に佇む不思議な少女」というモチーフが頭に浮かび、再現することにしました。描いていたのが夏真っ盛りだったので、爽やかな色合いになっています。

作品名「Hello,Iris.」:ラフ(左)・完成版(右)

――今回の作品はどのような技術・手法で描いていますか? 

CLIP STUDIO、Photoshopを併用して描きました。技法的にはグリザイユ画法(モノクロである程度書き込んでから着彩→書き込み)になります。今回はじっくり描き込む前に色ラフも兼ねていたため、かなり早い段階でグレスケに色レイヤーを乗せています。

――今回の作品を描く上で、特に大変だった点を教えてください。

仕上げの色調整がなかなか決められずに、ずっと調整していました。楽しい工程ではあるのですが、この部分で印象がかなり変わるので、決めるのに悩みましたね。印象派っぽいコントラストも好きなのですが、今回は爽やか重視でコントラスト強めの絵になりました。

――アーティストとして仕事をする上で、大切にしていることは何ですか?

商業としてのアートならば「絵の向こうに人がいることを忘れない」ことでしょうか。純粋に表現をしたいアートであれば、自分が自分の一番のファンであることだと思います。

――DeNAで仕事をする上でのやりがいを教えてください。

デザインに関連する土壌がまだまだ発展途上なので、特定の仕事ばかりする「○○の人」にならないことを大事にしています。

例えばクリーチャーの人、美少女キャラの人、イケメンキャラの人、といった固定のアウトプットを求められると自分の場合は根腐れしやすくなりそうなので……。また、アイデアを可視化することが好きなので、さまざまな形でデザインに携わらせていただいています。

例えば『メギド72』に携わっていたときは、ディヴァガルという虎と蜂の融合した、ちょっとエグめのクリーチャー、青竜号というカッコよさ重視の馬から、ミミちゃんというかわいめマスコット系のキャラデザまで、幅広いタイプのデザインをしていました。

別のプロジェクトではガジェットデザインや、人型のキャラデザを中心に担当することもありました。自分でも気づかないうちに引き出しがあることに気づけると、得るものがあったなと思えますね。

――今後アーティストとしてどのように活躍したいと思っていますか?

漠然とですが、ゲーム以外の媒体でも活躍していきたいと思っています。子供向けのやさしい世界観のデザインを考えたりしたいです。

――ありがとうございました!

展示入れ替えの様子

8月30日(金)の夕方にブースの設営や作品の入れ替えが行われました。手慣れた様子でみんな仲良く会話しながら、あっという間に新しいイラストを展示する手際はさすがです。当日、打ち合わせなどで21Fロビーに居合わせた人が、展示されていく作品を興味深くのぞいている様子も見られました。

次回の展示作品にも乞うご期待! 

特設ギャラリーでは、数ヶ月ごとに展示作品が変更される予定です。今後も展示の様子やアーティストたちの「ものづくり」への想いを紹介していきますので、ご期待ください! 

過去の紹介記事はこちら

【ギャラリー紹介2~3月:前編】DeNAアーティスト陣の作品を展示! 企画の意図や込められた想いをインタビュー

【ギャラリー紹介2~3月:後編】アーティスト陣の作品を多数展示! 企画の意図や想いを聞きました

【ギャラリー紹介4~5月】『トリカゴ スクラップマーチ』のイラストを展示! 描き下ろし担当の米倉実穂にインタビュー

【ギャラリー紹介5~7月】作品づくりへのこだわりを18新卒の木村宇多佳に聞いてみました

【ギャラリー紹介7~8月】「メギドの日」記念展示! メインアーティストとプロデューサー宮前に特別インタビュー

 

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

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【DeNAマーケティング部特集vol.3】認知広告や新指標作成など、デジタルマーケティングの新たな可能性にチャレンジ。その取り組みの背景に迫る。

Web広告出稿に加えてYouTube出稿やASOなど、デジタルマーケティング施策全般のプランニングと実行を担うデジタルマーケティンググループ。ゲームアプリ市場の競争環境が激化する今、さまざまなチャレンジを試みる彼らのミッションや役割、そしてグループを構成するチーム体制、そして今後の展望等について、川口隆史、坊拓磨、齋藤岳の三人に伺いました。

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川口 隆史 | デジタルマーケティンググループ グループマネージャー
2009年DeNA入社。2012年からマーケティング領域に従事し、Mobageの会員獲得目的の広告出稿担当、アプリマーケティングの立ち上げ担当、さまざまなゲーム/エンタメアプリのデジタルマーケティング担当を経て、2016年よりゲーム領域のデジタルマーケティング責任者に。

坊 拓磨 | デジタルマーケティンググループ
2014年Web専業代理店に新卒入社し、スマホアプリを中心とした広告代理店営業に従事。2016年DeNA入社。広告チームのリーダーとしてチームマネジメント、メンバー育成を担当しながら、自身でも複数のタイトル戦略立案や施策推進を行っている。

齋藤 岳 | デジタルマーケティンググループ
2015年Web専業代理店に新卒入社し、さまざまな商材の広告代理店営業に従事。2017年DeNA入社。複数のタイトルにおけるデジタル広告の戦略立案や施策推進、DeNAのゲームタイトル全般のGoogleプロダクトを活用した広告担当を務めている。

[/su_note]

各領域にスペシャリストを配置した、
独自のデジタルマーケティング体制

ーーまずはデジタルマーケティンググループの基本的なミッションについて教えてください。

川口:デジタルマーケティンググループのミッションは、各ゲームタイトルの拡大に向けたデジタルマーケティング施策のプランニングおよび実行です。Vol.2でも登場したマーケティングプロデューサーと連携し、事前登録期~リリース後までの全てのデジタルマーケティング施策を担当しています。

デジタルマーケティンググループ グループマネージャー
川口 隆史

川口:具体的な施策としてはWeb広告出稿がメインですが、他にもYouTuberとのタイアップ動画の出稿やASO(アプリストア最適化)も担っています。

プロジェクトに参加するタイミングとしては、マーケティングプロデューサーは開発初期段階から入っていきますが、我々は最初のうちはマーケティングプロデューサーの相談相手としていろいろ壁打ちしつつ、事前登録の少し前から本格的にアサインされていきます。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

ーーグループ内の体制についても教えてください。

川口:グループ内にはチームが3つあります。1つ目は「[su_highlight background=”#fcff99″]クリエイティブチーム[/su_highlight]」で、広告用のバナーや動画制作などを担当しています。

2つ目は「[su_highlight background=”#fcff99″]レポートチーム[/su_highlight]」です。主に広告のレポートを作成・運用していくのですが、その基盤部分の構築や、アドテクを使った広告効果改善のための技術的サポート、アプリのSDK周りなどのシステム的な部分も担当しています。

そして3つ目が「[su_highlight background=”#fcff99″]広告チーム[/su_highlight]」です。坊と齋藤がこのチームのメンバーで、坊がリーダーを担っています。このチームの役割は主に2つありまして、1つ目は「広告メニュー担当」、もう1つが「タイトル担当」です。

ーー「広告チーム」の役割について、もう少し詳しく教えてください。

川口:まず「広告メニュー担当」ですが、当社では広告メニューごとに担当者がいます。たとえばFacebook広告はAさん、Twitter広告はBさんといった具合です。そのAさんは我々がプロモーションを展開している全タイトルのFacebook広告に責任を持ち、効果を出すように代理店や媒体社とやりとりを行っています。

もう1つの「タイトル担当」は、たとえば『逆転オセロニア担当』というように、特定タイトルを担当します。マーケティングプロデューサーと密に連携し、担当タイトルのデジタルマーケティングの戦略やクリエイティブ方針などを考えて実行していくのが役割です。

「広告メニュー担当」は特定領域に関して徹底的に深く、「タイトル担当」は広く全体をみるイメージで、この2つは兼務する方針にしています。例えば、Aさんはfacebook広告の広告メニュー担当、かつ『逆転オセロニア』担当、という形で取り組んでいます。

このようにデジタルマーケティンググループは、3チーム(4役割)構成という、[su_highlight background=”#fcff99″]業界内でも比較的充実した体制[/su_highlight]になっています。

ーー各チームの雰囲気はいかがでしょうか?

齋藤:チームの雰囲気としては、DQ(DeNAQuality)の中の「発言責任」が体現できているチームであると思っています。

※DQ(DeNA Quality):チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するために掲げられた、全社員に必要な共通の姿勢や意識(「こと」に向かう・全力コミット・2ランクアップ・透明性・発言責任)

おそらくデジタルマーケティングの領域がロジックに基づく内容が多いこともあるのですが、会議体として、誰かが課題を持ち寄ってきてそれに対してみんなで議論する場や、たまたま出会った他社の広告についてどう思ったかを議論する場があり、自分の意見を求められる機会が多い環境であるから、というのも理由だと思っています。

ーー広告クリエイティブなども議論の対象になったりするのですか?

齋藤:はい、なりますね。例えばコピーをみんなで考えて実際に配信してみた際に、誰が発信したコピーが一番良かったかを競い合ったりすることもあります。

デジタル広告はすぐに結果が出る良い面もあり、常に楽しみながらやれますし、結果として楽しんでやったクリエイティブのほうが結果が良かったりすることも数多くありますね。

齋藤 岳

ーー先ほど充実したな体制という話がありましたが、現在の体制になったキッカケはあるのでしょうか?

川口:もともとDeNAはMobageという単一のゲームプラットフォームの会員獲得を目的としたプロモーションしていたので、タイトル毎という概念がありませんでした。

当時の体制としては、メニューごとに担当者を付けるといったもので、そのやり方を経験するうちに各メニューについて詳しくなり、他社に比べて先進的かつ効果的な取り組みができるようになっていきました。

その後アプリの時代になってからタイトルという軸が出てきたので、メニューカットという軸は残しつつ、タイトル担当も付けようというスタイルに変化していきました。

アプリゲームの会社として組織を作るという場合に、このような体制にするべきかの正解はわかりませんが、我々としてはこの体制が一番良いのではないかと考え、現在に至ります。

ーー他にデジタルマーケティンググループの強みなどありましたら教えてください。

川口チームが3つあり役割を分けることで、各担当者がスペシャリストとして高いレベルの知識を有していることが組織の強みだと思います。

その結果、まだどこも行っていない新しい施策に積極的に取り組むことが出来ており、代理店や媒体社と一緒に新しい事例を定期的に世に出すことが出来ています。

赤裸々に話し合える、代理店とのオープンな関係性

ーー広告出稿では、広告代理店との協力も必要だと思います。代理店とはどのようにお付き合いしているのでしょうか?

:複数の代理店とお付き合いさせていただいており、特に頻繁に接している代理店とは良好な関係を築けていると思っています。

その理由としては2つあります。1つ目は私たちの体制が広告メニューごとに分かれていることです。DeNAでその部分に一番詳しい広告メニュー担当が、代理店の担当の方と日々密にやりとりしているので、非常に質が高い議論ができているということです。

2つ目は代理店のマネージャーの方と一緒に、現在の体制や日々の課題を赤裸々に話す場を毎月設けており、会社同士のオープンなお付き合いができていることです。

良い部分はお互い褒め合い、課題の部分に関しては改善方法を意見し合う場を、頻繁に設定できているところも良好な関係性を維持できている理由だと考えます。

坊 拓磨

ーーそのような代理店とのやりとりの中で、具体的にどのような改善を重ねてきたのでしょうか?

:広告運用をしていく中で、今のまま続けていても抜本的な改善に繋がらないと感じた際は、「課題感の共通認識をお互いすり合わせたい」といった打診などを行ってます。課題感の共通認識をしっかりすり合わせることで、確度の高いネクストアクションが生まれ建設的な議論ができることが多々あります。

また、お互いにとって意味のある会議体に適宜変更したりもしてますね。議題に対して必要なメンバーを募り、必要な時間だけ割くという部分は常日頃から意識しております。

会議体を検討していくなかで、代理店と媒体社とDeNAとで三社が同じ目線で一つの施策や目標に対し、達成するためには何が必要かについて真剣にディスカッションする場が生まれたりもしています。

デジタルマーケティングの新しいチャレンジ

ーー時代が変化する中、デジタルマーケティングにおいても新しい取り組みが求められていると思います。具体的に行っているチャレンジについて教えてください。

齋藤:ゲームアプリ市場はレッドオーシャン化してきており、ゲームユーザーに選んでもらう難易度は日々上がっていると感じています。

そういった状況において、他社が行っていないことや、業界の先駆けになるような試みをやっていくことは必要不可欠だと考えており、積極的にチャレンジを行っています。

直近取り組んでいるチャレンジとしては、定量的に振り返ることができる認知広告の出稿です。アプリマーケティングは「ダイレクトレスポンス」と言われる、直接インストールに誘導する広告がメインですが、先ほどお話ししたように現状の市場においてはやはり選んで貰う難易度も高く、ダイレクトレスポンスも獲得パフォーマンスが落ちてきている現状があります。

そこで、まずはタイトル自体を面白そうと思ってもらうために、インストールまではいかないものの、タイトルに対する「認知度」や「好感度」を上げることを目的とした広告に積極的にチャレンジしています。

ーーこのようなチャレンジをする中で、難しさを感じた部分はありますか?

齋藤:このような広告はすぐに効果がでるものではないので、定量的に効果を示すことが難しいです。そこをどうやって定量的に評価し、意味のある投資を行っていくか、ということについて熱量高く取り組んでいます。

また、もう一つのチャレンジとして、既存ユーザーと広告を作っていく取り組みも行っています。今の市場は、企業からの一方的な広告よりも、友達の口コミやオススメのほうが効果的なケースも多いと感じています。そこで、こちらが考えた広告クリエイティブだけではなく、既存ユーザーの声を広告にうまく活用させていただくという施策にもチャレンジしています。

具体的には、広告の誘導先をTwitterのハッシュタグにして、未インストールユーザーに既存ユーザーのTwitter上での盛り上がりをみていただく、という広告配信のアプローチなどです。

ーーこちらはインストールが最終的な目標になるのでしょうか?

齋藤:そうですね。直接ストアに遷移させるというより、新規ユーザーに既存ユーザーが楽しんでいる部分をみてもらうことでインストールにつなげることを目標にしています。
こちらは以前実施した時には想定以上の効果がありましたので、他にもこういうアプローチができないか常に考えているところです。

このあたりはコミュニティマーケティンググループとも連携し、グループを超えたチャレンジをしています。

【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

施策に合わせてフレキシブルにKPIを設定

ーー坊さんにも同じ質問です。デジタルマーケティングの新しいチャレンジとして、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

:これまでさまざまなWeb広告を出稿して、新規インストール数の拡大を目指してきました。その過程の中で、計測しきれなかったインストール数や、復帰ユーザーのアクションなど、副次効果は結構あるのではと感じていました。

そこで、それらの副次効果を新規インストール数の価値に変換して、成果に組み込んだvNUUという指標を作りました。

ーーvNUUを作ることでどのようなことが可能になったのでしょうか?

:副次効果分も成果に組み込んだことにより、本来の成果値で効果判断が可能になりました。

またそれによって、代理店とのコミュニケーションも、計測ツール上の数字だけでなく、それ以外の効果も含んだ数値を元に本質的な議論ができるようになり、結果として日々の広告効果改善に繋がっています。

ーー新たな指標をつくり、それをKPIとしているんですね!

:そうですね、それ以外にも「YouTubeチャンネル登録」や「LINE友達登録」、「動画視聴」などをそれぞれの価値を試算した上でKPIとすることにもチャレンジしています。インストール数だけでなく、提供したいユーザー体験にあった適切なKPIを設定することが重要だと思ってます。

“DeNA✕ゲーム✕デジタルマーケティング”の可能性

ーー今のゲーム市場の競争環境において、難しさを感じることはありますか?

川口:CPIの相場感がどんどん上がっていると感じています。我々もLTVを鑑みてCPIを設定するのですが、その範囲内でやろうとすると難易度が上がり、インパクトある成果を出せなくなってきます。よって、認知に向けた取り組みや、指標自体を見直すことなど、さまざまなことにチャレンジしています。

ーーゲームアプリを扱うことの面白さについては、どう感じてますか?

川口:まずはゲームアプリ業界はWeb広告の予算が比較的大きいので、代理店や各媒体社がゲームの広告効果を上げることにすごく力を入れてくれる、というのがあります。

坊からも話はありましたが、代理店や媒体社と「こんなことができたらもっと効果的なのでは?」といった話をしながら、新しい広告のカタチを模索していける環境であるのは、マーケターとして非常に面白いと思います。

あとは業界内でも、我々と同じようなことを考えている他社の方もたくさんいますので、いろんな人と情報交換や勉強会などをしながら切磋琢磨していくことができるのも非常に刺激的だと思ってます。

ーー代理店でなく事業会社であることの面白さについてはどうですか?

:仕事の領域を広げることができるのは面白い点ですね。齋藤の事例でもあったように、Web広告だけでなくコミュニティマーケティングなど、他の領域に越境して一緒に施策を進めていくことも多いです。

あとは見れるデータがかなり多いので、さまざまな仮説を立てやすくなりました。仮説をいくつもたてられることは「施策の成功確度」をあげていくことに繋がるので、とても良い環境だと思います。

ーー最後に、デジタルマーケティンググループとしての今後の展望を教えてください。

川口:デジタルマーケティングの力でDeNAのゲームをヒットに導いていきたいです。

そのためにも、今の厳しい市場環境でもインパクトが出せる新しいチャレンジを引き続き行っていきたいと考えています。

これまでも強みとしてきたダイレクトレスポンスをゴリゴリやる、というのはしっかり継続しながらも、ブランディングや認知といったこれまでアプリゲームではあまりやりきれていない施策を、しっかり定量評価しながらPDCAを回すことで形にしていきたいです。
我々の取り組みの中から次のゲームマーケティングの王道と言われる施策を生み出せるといいな、と思っています。

また、そこで得られた知見をしっかりDeNAのゲーム以外の事業にも展開し、デジタルマーケティングが強い会社といえばDeNAだよね、と言うブランドを作っていきたいですね。

ーーなるほど、ありがとうございました!

インタビュー・編集:佐藤剛史
執筆:及川知也
撮影:波多野匠

※本記事は2019年9月時点の情報です。

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ヒットの確率を1%でも高く!ゲームの“面白さ”を科学する、DeNAの新たな挑戦【ユーザーインテリジェンス部 小東祥】

DeNAゲーム事業部に新設されたユーザーインテリジェンス部では、新規タイトルの開発やマーケティング方針に対する「意思決定精度の向上」と、ゲーム体験における「改善点の示唆だし」をミッションとして掲げています。今回、ユーザーインテリジェンス部の部長を務める小東に、現在の主な業務内容や今後のチャレンジなど、今期にかけるさまざまな想いをインタビューしました。

ゲーム事業部の羅針盤となる存在へ

――まず最初に、ユーザーインテリジェンス部が発足した経緯から教えてください。

DeNAのゲーム事業は、今後大型IPを中心とした開発戦略を掲げており、国内市場におけるNo.1および、世界有数の「パブリッシャー」になることを目指しています。

「パブリッシャー」としての役割は多岐に渡りますが、ゲーム開発会社様、アプリストアを提供するプラットフォーマー様、IPを所有する版元様など、多くのステークホルダーの方々にとって、DeNAがパートナーシップを組むべき魅力的な企業になり、より多くの良質なゲームタイトルを世界中のプレイヤーに提供していきたいと考えています。

そして今後もDeNAでは数々の新規タイトルのリリースを見込んでいますが、昨今のモバイルアプリゲーム市場では、良質なゲームが市場に溢れかえっており、プレイヤーからの要求水準も上がり続けていると感じます。

DeNAの会社の資源も体力も無限ではありませんので、いかに有望な企画を徹底的に磨き続け、万全の品質でリリースし、適切にマーケティングを行ってプレイヤーに届けるかが大切であると考えています。そして、その一連の流れを支援するミッションを担って誕生したのが、ユーザーインテリジェンス部です。ちなみに社内では略して「ユザイン部」って呼ばれています(笑)。

小東祥(こひがし しょう)| ユーザーインテリジェンス部 部長 
2012年新卒でDeNA入社。入社以来一貫してゲーム事業領域でのプラットフォーム/ゲームタイトル分析を担当。 分析部の部長、『逆転オセロニア』や『メギド72』など自社オリジナルゲームの運営部門の部長を経て、2019年4月よりユーザーインテリジェンス部とAI推進部の部長に就任。

――新規タイトルのヒットに、部としてコミットしていくのでしょうか?

はい。主なミッションとしては、新規タイトルの開発やマーケティング方針に対する「意思決定精度の向上」と、ゲーム体験における「改善点の示唆だし」の2つを掲げています。意思決定や改善の精度を高める事で、私たちは新規タイトルのヒットに資する組織になっていきたいと考えています。

――リリース前から万全な分析やリサーチを行っていくのですね。

はい。今後もDeNAでは数多くのゲームや、周辺事業への展開を含む事業企画を立ち上げていきますが、一つひとつの事業規模も拡大しています。

そのため、それぞれの企画が狙う市場の明確化や競合/市場規模の把握、企画/コンセプトのプレイヤーへの受容性の把握など、創出しうる事業インパクトを可能な限り見極めて開発を開始したうえで、さらにプロダクトやマーケティング品質を最大限に高めきった状態でリリースして、ようやくスタートラインに立てるような状態だと思います。

だからこそ、まずは市場の中で「良質なタイトルとは何か」を分析・リサーチし、リリース前から品質を徹底的に磨き、プレイヤーの期待を超えていくレベルまで持ち上げていくかがカギになっていきます。

今後はグローバル展開も積極的に行っていくため、各国のさまざまな遊び方をするプレイヤーのゲームに対する評価や感想などを分析して集めて、開発に生かしていきたいですね。

そしてユーザーインテリジェンス部の動きによって、DeNAが世界中のプレイヤーやステークホルダーから支持される「パブリッシャー」へと成長していくのが大きな目標です。

――社内からの期待も大きそうですね!

そう感じています。仮に品質が良くないタイトルを世の中に出してしまうと、自分たちのブランドが傷つくだけでなく、せっかく手に取って遊んでくれたプレイヤーをがっかりさせてしまいます。それではプレイヤーに無駄な時間を浪費させてしまいますし、そのような事態は絶対に避けなければなりません。

将来的に「DeNAのゲームは全体的に品質が高い」「安心して長く遊び続けることができる」というような認知をされるブランディングへと結びつけていきたいですね。

――他社でもユーザーインテリジェンス部のように、専門組織を設置しているケースがあるのでしょうか?

海外の代表的なコンシューマゲーム会社では、ユーザーリサーチャーやUXリサーチャーを含めて、数十~数百人規模の組織が設置されている例もあります。特に据え置き機のプラットフォームを展開する会社さんは、さまざまな開発会社とやり取りする中で、専門組織がプレイヤーの生の声など分析・調査した結果をもとに、製品開発のヒントを共有・提供しているとのことです。

昨今のモバイルアプリゲーム市場でも、開発からパブリッシュまでの全工程を単一の会社で担うことが難しくなってきています。そこでプレイヤーの分析・調査を実施する我々のような専門部隊が、パートナー企業様に対して「DeNAと組めば、きちんとプレイヤーの声を聞いて製品開発のヒントを提供してくれて、ヒットに繋げる事ができる!」といった魅力的な価値も産み出していきたいと考えています。

分析のエキスパートが集い、未来を確実なものへ

――では、ユーザーインテリジェンス部の具体的な業務内容を教えてください。

ユーザーインテリジェンス部は、「意思決定精度の向上」と「改善点の示唆だし」がミッションということは既にお伝えしました。

そのため、意思決定や改善の示唆だしに資する情報を戦略的に集め、分析し、意思決定者(事業部長やプロデューサー)に提供する事をメインに活動しています。具体的には、市場の有力/競合タイトルの分析・調査や、新規タイトル/コンセプトの市場規模調査など、一連のマーケティングリサーチ業務を実施しています。

これらの取り組みを進める上で、当然といえば当然なのですが、ゲームが最終的にプレイヤーにどう受け取られるのかについては、[su_highlight background=”#fcff99″]プレイヤーの評価が最も重要なポイント[/su_highlight]になると考えています。

ーーマーケティングリサーチ業務には、プレイヤーへのインタビューなども含まれるのでしょうか?

はい、定性的な声を聞くためにも、インタビューの分析は重要です。そのため、ユーザーインテリジェンス部のメンバーはほとんどが分析部との兼務や、異動してきたメンバーで構成されているんです。

理由としては、マーケティングリサーチを活用してゲームタイトルの課題を発見し、改善に導くような機能は既に分析部で保有しているためです。私自身も2012年の入社後からゲーム事業の分析に関わり続け、分析部の部長として、分析を活用した事業価値の創造に取り組んできました。

https://genom.dena.com/other/analysis_department2019_a/

ーーすでにノウハウなどは十分にあるのですね!

はい、分析部が持っている運用タイトルにおける分析・調査機能は維持しつつも、新規タイトル開発における「意思決定精度の向上」という新たなミッションを担って始動したという事になります。

――では、部内のチーム体制について教えてください。

現在、チームは2つあり、競合タイトルやアプリ市場全体を分析する「市場分析チーム」と、マーケティングリサーチの手法を活用して企画内容の検証を実施する「リサーチチーム」になります。

「市場分析チーム」はゲームやエンタメ分野に対して幅広い知見を持ちながら、競合や市場を分析することに強みを持っており、最新の状況をスピーディーに理解することが得意なメンバーが揃っています。

「リサーチチーム」は、調査や統計、データ分析に対する知見や強みを持つメンバーが多く、分析・調査を駆使してゲームを改善していくことにコミットしたいと考えている人が多いですね。

――メンバーにはさまざまなバックグラウンドを持つ人も多いと聞きましたが?

調査会社出身のメンバーも多いですが、コンシューマゲーム会社の営業や、漫画家といった経歴を持つ人もいるんですよ。このように多種多様なバックグラウンドを持つ人の知見が集まることで、新たなアイデアが生まれるようなチーミングを心がけています。

最近では「ユーザーインテリジェンス部の業務に興味があるんです!」と社内外から声をかけてくれる人もいて、その際にはいろいろ相談させてもらっています。新設の部なので、門戸はかなり広く開いていますよ。

月次定例MTGの風景

――ここまでは、市場やプレイヤーを対象とした調査・分析をメインにお聞きしましたが、社内の他部署とはどのように連携しているのでしょうか?

まず前提として、実際にゲームが事業として成功するかどうかを見極めるうえで、市場規模やマネタイズ、さらにゲームサイクルやインゲーム/アウトゲーム、世界観、グラフィック、プロモーション、コミュニティなど、さまざまな観点があります。そして、これらをすべて高いレベルで実現していかないと、市場が求めるクオリティには到達しないと考えています。

そのため、ゲーム開発の初期フェーズにおいては、このようなすべての要素を、プレイヤーの意見だけで評価するのは難しいため、社内の「熟練の開発者の意見」を、意思決定の参考材料とする仕組み化にも取り組んでいます。

ユーザーインテリジェンス部が各部門のハブとなって、プロデューサー/ディレクター、マーケター、デザイナーなど、さまざまな領域のスペシャリストが培ってきた専門性をもとに意思決定の参考材料を提供する事で、事業部長やプロデューサーの意思決定精度を向上させるのが狙いです。

――さまざまな「熟練の開発者の意見」をまとめることは大変そうですね……。

そうですね(笑)。熟練の開発者の知見を誤解なく理解するために、その分野の知識を一定身につける必要がありますし、熟練の方からより有効な意見を引き出すために、コミュニケーションの方法論やアンケート設問設計など、どこまでも高みを目指せる分、大変です。

例えば「面白い」という言葉一つとっても、非常に主観的で人によって想定している感情は違ったりする事はよくありますよね。そのような場合は、例示を挙げて適切に意図を確かめたりなど、元々の意図を損わないように工夫しています。

建設的な議論で、新規タイトルの成功をサポート

――この部の活躍で、社内では今後どのような影響が出ると考えていますか?

これまで話してきたように、例えば新規タイトルへの投資に関する意思決定を行う際に、ユーザーインテリジェンス部は「意思決定精度の向上」を目的として、市場調査などをもとにした事業規模の試算を行い、意思決定者(事業部長やプロデューサー)に提供します。

その際には、ポジティブな内容もネガティブな内容もフラットにお伝えする事になります。ストレートに言うと、その結果としてプロジェクトが止まる事もありえます。

一方で、開発チームは自分たちのゲームは一番面白いし、絶対に成功すると信じていますので、彼らにとって我々のような組織は、ともすれば煙たがられる存在になりかねないと思うんです。

ですが、DeNAには「コトに向かう」「発言責任」など、デライトにまっすぐに向かうチームであるためのDeNA Quality(※1)という行動規範があります。

※1……DeNA Quality:チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するために掲げられた、全社員に必要な共通の姿勢や意識(「こと」に向かう・全力コミット・2ランクアップ・透明性・発言責任)

開発チームの意図通りにプロジェクトが前進することはもちろん大事ですが、ゲームがプレイヤーにどう届いているのか、楽しんでくれているのかなど、客観的に把握して前に進んでいかないと、DeNAが大事にしているデライトの提供が実現できないと思っています。

ですので、仮にある開発中の新規タイトルが、その時点でのプレイヤーからの評価が悪い場合には、どうすれば成功確度が高くなるのかを分析し、その実現可能性も踏まえて意思決定する事が重要だと思っています。そうすることで、開発チームから煙たがられず、逆に頼られるようになると思っています。

ーー課題を明らかにすることが重要なのですね。

はい、「我々がこう言ったので、PJを止めることにします」など思考停止した意思決定をしてしまうのは本末転倒です。ユーザーインテリジェンス部の活動を通じて生み出したい状態としては、ゲームタイトルに対して「見極めの質を高く」しつつ、「見極めの通過率も高く」する。そして「徹底的に品質を高めてリリースする」という状態です。

ーー開発チームと一丸となって、成功を目指していく姿勢が大事だと?

そうです。我々は第三者機関ではないので、「見極めてハイ終わり!」ではなく、開発チーム含めた”チームDeNA”として事業の成功にコミットする事が重要だと思っています。

社内の大きな関門部隊になるのではなく、例えば仮に見極め時のゲームの評価が悪かったとしても、一度やると決めた事に対しては、成功確率を1%でも高めるためにコミットするという事も「コトに向かう」だと思っています。ユーザーインテリジェンス部が「見極め」だけでなく「改善」というミッションも持っている事がその表れです。

――開発チーム側からはどんなタイミングで、どのような要望が入ってくるんですか?

さまざまですね。要望の中には本当にPJ初期の構想段階だと、「このIPのこういうジャンルのゲームは、どれくらいグローバル市場でニーズがありそうか?」みたいなざっくりとした市場の規模感試算依頼があったり、開発が進んでいくとゲームコンセプトに対する需要性調査やゲームシステム関連の課題抽出、、マーケティング領域ならストアアイコンのデザイン選択やテレビCMの訴求内容など、意思決定者が意思決定に悩んだタイミングで要望を受けます。

もちろん、その要望にはお答えしつつも、ユーザーインテリジェンス部のメンバーは開発チームに入り込んでいるので、こちらから「こういう調査を実施して、課題を明らかにして、改善の方向性を決めましょう」と提案を行う事も多くありますし、どれだけ能動的なアクションができるかが私たちのバリューだと思っています。

――多様な要望や課題に対して、ユーザーインテリジェンス部のスペシャリストがアサインされていくんですね。

それが大事ですね。IPを利用した要望ならそのIPに詳しいメンバーを、テレビCMならマーケティング領域に強いメンバーなど、要望に合わせて細かく考えてアサインしています。

また、社内だけでなくパートナー会社の方からも要望が来る場合もあります。例えばインタビューの場合であれば、実際にインタビューした様子を動画収録して、後日開発メンバーに見てもらったり、場合によってはインタビュー当日に同席してもらったりしています。もちろん、プレイヤーへの聞き方などは、我々が専門性を持って取り組んでいきます。

同席した開発者は「ここでプレイヤーがつまづくんだ……!」「この意見をすぐ開発に生かしたい!」と喜んでくれることも多いです。また、DeNAはパートナー会社と組んで開発するゲームも多いので、なるべく多くのステークホルダーに共有するようにもしています。

最新テクノロジーをも導入する、学術的なアプローチ

――これからどのようなチャレンジをしていくのでしょうか?

ゲーム領域に関わらず、マーケティングリサーチは各業界ですでに広く取り組まれています。一方で、DeNAは前述した分析部を中心に、プレイヤーの行動ログの分析やAI・機械学習の活用も進んでいるので、それらを組み合わせる事で、あらゆる角度から分析が可能になっているのは強みだと思います。

――分析の方法論はたくさんありそうですね。

はい、ただそれぞれの「分析手法の限界」を知る事は重要だと思っています。

例えば行動ログの分析だと、人間の行動を精緻に把握する事は得意ですが、行動の裏にある意識を把握する事はできません。一般的なアンケートやインタビューのような手法だと、人間の顕在化された意識を把握することは得意ですが、まだ自分自身も気付いていないような潜在意識を掘り起こすのは難しいものです。

我々はプレイヤーの”面白い”という非常に主観的で言語化の難しい感情を解き明かそうとしており、しかも新規タイトルの場合は既に顕在化している”面白さ”をただ満たす事だけではなく、潜在的なニーズを満たす事まで求められます。これってものすごく難易度の高いチャレンジングな事だと思っていて(笑)。

そのための技術や理論は世界中で今まさに発展中だと思っていて、心理学や認知心理学、表情認識や血流など生体反応の検出・分析など、時にはデバイスの開発会社と組んで、実験的に新しいアカデミックなテクノロジーを取り入れたりもしながら、人間の潜在的な感情を掘り起こすチャレンジをしています。

――科学的にも、面白さを研究していくのですね!

他にも、プレイヤーをただ評価を問う対象と捉えるだけでなく、ゲームの熱狂的なフォロワーとして開発に参加していただくような「共創マーケティング」の可能性もあると思います。

DeNAは事業会社なので、見極めや調査という枠を超えて、事業で付加価値を創出するためのアイデアは積極的にトライしていきたいですし、中長期的にはそれ自体が「パブリッシャー」としての価値になっていくと思っています。

――今後は増員を図っていくと思いますが、この部ではどんな人が活躍できる環境ですか?

ユーザーインテリジェンス部で活躍できる人としては、「ゲームやエンタメなどのコンテンツの魅力を言語化してヒットに導きたい」「人間の”面白い”と思う感情ってどうなっているんだろう?」といった、コンテンツや人間への科学的な興味がある人はかなり向いていると思います。

ゲームという複雑な要素を持ったコンテンツを見極めるためには、要素の見方やプレイヤーの潜在的な意識と感情を解明することが大事になりますので、そこにワクワクしながら一緒に挑戦してくれると嬉しいですね。

逆に、明確な答えが見えない状態がモヤモヤする、ちゃんと答えが欲しいという方には合わないかもしれません。新設されたばかりで、業務が固まりきっていない今だからこそ、体験できるカオスさもありますので(笑)。

――最後に余談ですが、部のネーミングはどのように決まったのでしょうか?

メンバーからの公募で決めました。日本ではゲーム領域に関して、このような役割を持つチームがあまりなく、参考にできる名前がありませんでした(笑)。そこでチームメンバーに相談したところ、たくさんの候補が挙がってきたんです。

最終的に、自分たちが担う役割がきちんと反映している名前がいいな、と思い「ユーザーインテリジェンス部」に決めました。

ちなみに「ビジネスインテリジェンス」という言葉は一般的に知られており、ビジネス上の意思決定の精度を上げるための情報の可視化や、ツール提供を意味していたので、最初は「ビジネスインテリジェンス部」にしようと考えたんですが、ちょっと実態とイメージが異なるかなと思って(笑)。

そこで少し趣向を変えて、意思決定の支援を「プレイヤーの声や反応」に強く着目していることを考え、ビジネスではなくユーザーという言葉を使うことにしました。

――ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:栗原美穂

※本記事は2019年9月時点の情報です。

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