【ギャラリー紹介5~7月】作品づくりへのこだわりを18新卒の木村宇多佳に聞いてみました

DeNA本社(渋谷ヒカリエ21階)の待合ロビーに設置されている特設ギャラリー「DeNA CREATOR’S WORLD」では、DeNAのゲームタイトルに携わるアーティストの作品が、数ヶ月単位で入れ替わり展示する企画が開催中です。

2019年5月~7月の期間は、担当アーティストが自由なテーマで作品を描く、オリジナルイラストが中心の展示内容となっています。

GeNOM編集部では、展示風景と作品を手がけるアーティストにお話を聞く特集を組んでおり、今回は描き下ろしイラストを手がけた、木村宇多佳に制作の意図やこだわりについてインタビューしてみました。

▼過去の紹介記事はこちら

【ギャラリー紹介2~3月:前編】
【ギャラリー紹介2~3月:後編】
【ギャラリー紹介4~5月】

描き下ろしイラストを担当した
木村宇多佳に聞きました

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木村宇多佳:Profile

美術大学の油絵専攻卒。在学中は独学でデジタル作品を制作したり、ゲーム会社で2Dイラストなどの制作に携わる。2018年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。現在はUI業務を中心に3Dなど、さまざまなことに挑戦している。[/su_note]

――今回の作品の制作意図やコンセプトを教えてください。

テーマが自由だったので、子どもの頃に憧れた、ピンクやかわいいものに囲まれたお部屋をイラストにしてみました。また、本当にこの子がこの部屋に住んでいるような感じを出したいな、と思ったので、背景や手前の小物などにもこだわって制作しました。

――今回の作品はどのような技術・手法で描いていますか?

Photoshopを使用して描いています。

――今回の作品を描く上で、特に大変だった点を教えてください。

ピンク色を基調としたお部屋ですが、白色を入れたり、別の質感の白やピンクを入れたりして、単調にならないようにするのが大変でした。

作品名「まいるーむ」:ラフ(左)・完成版(右)

――アーティストとして仕事をする上で、大切にしていることは何ですか?

細かいところまで、自分のこだわりを表現できるようにしたいと思いながら、また、見た人に喜んでほしいと思いながら制作をしています。

――DeNAで仕事をする上でのやりがいを教えてください。

周りの人からの刺激を受け、自分自身の成長を感じられたときは、とても嬉しく思います。

――今後アーティストとしてどのように活躍したいと思っていますか?

自分も楽しみながら、見た人の気持ちを動かせるような作品を作り出せるような人になりたいです!

――ありがとうございました!

展示入れ替えの様子

5月14日(火)の夕方、ブースの設営や作品の入れ替えが行われました。今回作業を担当するのは2017年と2018年の新卒メンバーです。

ワイヤーの調整に最初はちょっと苦労していましたが、みんなで協力し合って、あっという間に新しい展示が完成! たまたま来社していた方も、作品を見てくれていました。

今回、インタビューを受けてくれたアーティストの木村宇多佳も設営に参加しており、自身の作品を一生懸命梱包から外して、ていねいに設置していたのが印象的でした。

次回の展示作品にも乞うご期待!

特設ギャラリーでは、数ヶ月ごとに展示作品が変更される予定です。今後も展示の様子やアーティストたちの「ものづくり」への想いを紹介していきますので、ご期待ください!

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【ナカノヒトTalk #002:サウンドディレクター山室圭司&渡邉愉香】DeNAならではのクオリティを目指す――新設チームのいまとこれから

DeNAのゲーム開発の現場には、どんな人が働いていて、どのような思いを持って仕事に取り組んでいるのかーー「ナカノヒトTalk」は、社内のさまざまな職種の人へのインタビューを通して「人となり」をお伝えする特集です。

今回の「ナカノヒトTalk」は、3月26日に開催された「GDM(Game Developer’s Meeting)サウンドディレクター座談会Vol.1」のイベント登壇直前、サウンドディレクターの山室圭司と渡邉愉香に、イベントに対する意気込みと、新設されたサウンドチームの魅力などを聞いてきました。

【イベントレポ】サウンドディレクションの在り方を変えるのは今! 座談会で語られたゲーム開発チームでの真の役割とは

―― まずはじめに、お二人の経歴を教えてください。

山室圭司(以下、山室):自分は、2006年にサウンド制作会社に就職し、コンシューマゲーム・モバイルゲーム・遊技機・映像作品などの楽曲・効果音制作に従事していました。その業務の中で「ゲームサウンド開発の現場を良くするには、メーカー(クライアント)の現場に入らなければいけない」と思うようになり、2018年4月よりDeNAに入社しました。現在はサウンドディレクターとして活動しつつ、サウンドリテラシーの向上に努めています。

渡邉愉香(以下、渡邉):私は、2003年にコナミTYO(現:コナミデジタルエンタテインメント)に入社し、サウンドプログラマとしてコンシューマゲームの開発に携わりました。2011年頃からスマートフォンゲームの開発にも携わり、BGM制作やサウンドディレクションなど、サウンド全般を広くカバーするようになりました。その後、2016年にDeNA入社、現在はサウンドディレクターとして活動しています。

―― 今回「GDMサウンド座談会」に登壇しようと思ったのはなぜですか?

山室:DeNAのサウンドチームは新設されたばかりで、規模がまだまだ小さいので、社内だけでなく外部への情報発信をもっと強めていこう!と考えていたタイミングでイベント実施の話を聞き、参加することを決めました。

渡邉:ちょうど山室と「ゲーム業界の他社のサウンドディレクターって、どんな仕事してるか気になるよね?」みたいな話をしていたタイミングでもあったんです。

DeNA渡邉愉香

―― 現在のDeNAのサウンドチームの魅力を教えてください。

山室:ゲームサウンドに関して、依頼していただければ、どんなことでも相談に乗れるところですね。

渡邉:私たち2人は、ひとつの分野に特化しているわけではなく、サウンド関連全体をカバーするような幅広い知識を持つタイプなので、ジャンルを問わず、サウンドに関するお問い合わせにも対応できるのが強みかもしれません。

また、基本的に自分たちは内部でアーティストとして作曲をしているわけではなく、案件ごとに最適な社外のサウンド制作会社・クリエイターをアサインする役目を担っています。

―― 開発タイトルにどのようなサウンドが必要かをキャッチアップして、適切な対応をする橋渡し役ができるということですね。

山室:はい、そうですね。ただチームとして立ち上がったのが1年前くらいですし、メンバーもエンジニア(サウンドプログラマ)含めて3人しかいないので、すべての案件をカバーできないのが現状であり、課題と考えています。

渡邉:そうですね。まだまだ人数が少ないので、同時に担当できるタイトル数、対応できる作業量に限りがあることは、今後の改善点だと考えています。

また、チーム体制の構築も完全に終わっていないため、社内で「サウンドに関して、どの部署に相談すればいいかわからない!」といった声も挙がっており、その依頼フローも整備していかなければいけないと思っています。社内でサウンドチームが存在することすら、知らない人もまだまだ多いですので(笑)。

DeNA山室圭司

―― モバイル対応ゲーム開発業界全体に関して、サウンドチームとして感じる問題点・課題感はありますか?

渡邉:やはり(モバイルは)コンシューマタイトルの開発に比べて、サウンドまわりがどうしても後回しになる傾向があると感じています。「この曲を導入すれば、絶対に売上が伸びる」といった導入後の効果や数字がハッキリとわかりにくく、提示できないことも要因ですね。

特に運営に対するKPIを重要視するモバイルゲーム開発では、サウンドの重要性やコスト面を理解してもらうことに、結構時間がかかります。そうするとどうしても後回しになってしまうんですね。この問題は、モバイルゲーム開発現場の、サウンドに関わる人がいま抱えている悩みかもしれません。

―― 最近ではマルチプレイを極力排除し、シングルプレイに没頭できるモバイルゲームも増えてきましたよね。

山室:そうですね。そのおかげでサウンドの必要性は確実に上がってきたと感じています。最新スマートフォンは世界で一番普及しているゲーム機とも言えますし、マシンスペックだけで判断すると、過去に発売された家庭用ゲーム機に匹敵するので、それに合わせた開発手法も進化していますね。

渡邉:最近ではモバイルゲームも、オーケストラを使った豪華なBGMや効果音、声優によるボイスなど「音に関する要素」のほぼすべてが実装されていることが「当たり前」になってきていますしね。

―― コンシューマとモバイルゲームのサウンドの作り方の違いや難しいところを教えてください。

渡邉:そんなに変わりはないと思いますが、容量制限の問題は未だにあると思います。ただ、昨今のコンシューマタイトルでもアップデートパッチや、ダウンロードコンテンツなども当たり前になっているので、更新の手法やフローなどはモバイルゲームとあまり差がなくなってきていると思います。

―― それでは最後に、サウンドディレクターとして、自分たちのこれからのミッションは何ですか?

渡邉:DeNAのサウンドディレクターとして、自社が運用しているタイトルについては、すべてサウンドチームで責任を持って、ハイクオリティなものを提供したいと思っています。

山室:それぞれのタイトルに関して「DeNAならではのサウンドのクオリティ」と誇れるようなサウンド作りとそれを担うチーム作り、体制作りを目指したいと思っています。

―― ありがとうございました。

インタビュー・執筆・撮影:細谷亮介
編集:佐藤剛史/細谷亮介

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【イベントレポ】サウンドディレクションの在り方を変えるのは今! 座談会で語られたゲーム開発チームでの真の役割とは

毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

2019年3月26日に開催されたサウンドディレクター座談会Vol.1では、現在のゲーム開発者側の視点で必要な「サウンドディレクション」について、株式会社タイトー 土屋昇平氏、株式会社Cygames 丸山雅之氏を招いて、DeNAのサウンドディレクター山室圭司、渡邉愉香とともに討論が実施されました。本記事ではその模様をレポートします。

【ナカノヒトTalk #002:サウンドディレクター山室圭司&渡邉愉香】DeNAならではのクオリティを目指す――新設チームのいまとこれから

 

サウンド業務を仕分けして定義したい

「サウンドクリエイター」と言っても、実際の業務内容は多岐に渡ります。その複雑な仕事内容を、他業種の人でも理解できるように整理する目的で「仕分けを定義する」というテーマから談義がスタート。本イベントではDeNAの山室が司会進行を担当し、とても賑やかな座談会となりました。

株式会社タイトー土屋昇平氏(以下、タイトー土屋氏):まず今回の座談会では、自分が関わっているタイトルのプロデューサーやディレクターと、サウンド関連において、一歩踏みこんだ話をするきっかけになるような話題を持って帰って欲しいと考えています。

スライドの1番目に記載されているディレクションとは「方向付け」という意味で、サウンドディレクターとは「音の方向付け」をする人のことを指します。

また、サウンドデザイナーは音そのものを作る人、音を組み込むサウンドインプリメンテーションはテクニカルサウンドクリエイターと呼ぶ場合もあります。

タイトー土屋昇平氏タイトー 土屋昇平氏

DeNA山室圭司(以下、DeNA山室):職種の呼び方は、企業や現場などで多少変化しますよね。

タイトー土屋氏ですね。僕もですが、サウンドクリエイターはいろいろな業務を兼務している人が多いと思います。タイトルの規模にもよりますが、一人で製作から実装までこなす人もいますね。ただ、その役割を考えて担当を分けなければ、大変なことになります。

現在、担当タイトルのプロデューサーやディレクターときちんと話ができていない、チームがうまく組めていない人は、作業のボリューム感や、チームの大きさをきっかけにして話すと良いかも知れません。そういえば丸山さんの今のチームは結構大きいですよね? 

株式会社Cygames丸山雅之氏(以下、Cygames丸山氏):そうですね。うちはソーシャルゲームからスタートした会社なので、チーム規模が小さかった時代が長く、分業化はあまり進んでいませんでした。最近ではコンシューマ対応のタイトルも手がけているので、チームが徐々に大規模化してきています。

ですが、たとえ大きなチームでも、時期に応じたチームビルディングを考え、分業を念頭に置いて、コアメンバーを中心に人数を増やしていくための道筋を考えないといけないのではないでしょうか。

Cygames 丸山雅之氏Cygames 丸山雅之氏

DeNA山室「曲が欲しいから、今からサウンド担当を入れよう」ではなく、最初から細かく座組を決めた上で運用していかないとダメですね。

Cygames丸山氏現場によってはオールマイティーな作業ができる人が必要になるときもありますし、そういう人がリーダーになる可能性もあります。チームが大規模化することに対する設計は、絶対に必要になる時期が来るのではないでしょうか。

DeNA山室自分もサウンドディレクターという肩書きですが、インプリメンテーションも担当しています。

DeNA渡邉愉香(以下、DeNA渡邉):DeNAは特に兼務することが多いかも知れません。私のPCにはVisual StudioとIncrediBuildがインストールされていますし(笑)。サウンドディレクターなのにデバッグしたり、プログラミングの部分にも関わったりしています。

DeNA 渡邉愉香DeNA 渡邉愉香

タイトー土屋氏チームにサウンド担当がいない場合、サウンドディレクションとインプリメンテーションを兼務できる人を一人置いておくと制作がスムースに進むと、声を大にして言いたいです。

少なくともサウンドディレクターがいれば、外部の作家さんとの意思疎通が、かなり楽になるはずですよ。

Cygames丸山氏発注側の会社にサウンドがいない場合、視点として抜けているのが、サウンドディレクションとサウンドインプリメンテーションの役割です。デザインで発注してアセットが上がってきたら「あとはエンジニアに投げればいい」という意識があるので、そこから変えていかないといけませんね。

タイトー土屋氏プロデューサーと話す機会があるときに「メインプログラマーに組み込みを全部任せたら、大変なことになりますよ! 」みたいな話を積み重ね、作家さんにも同じことを言ってもらえば、対策が必要だと感じるようになるのではないでしょうか。

DeNA渡邉そうやって兼務できる人が常駐するようになれば「BGMとジングルが両方鳴ってる」という悲しい現象は起きないはずですよね(笑)。

サウンドディレクターの役割

続いては、サウンドディレクターの役割として、ディレクションの方法や、サウンド担当がいないプロジェクトでの立ち位置などについて議論しました。

タイトー土屋氏サウンドディレクターは、まず音の方向付けをする、音の雰囲気をつくるなどさまざまな役割がありますが、とにかくそのゲームの音楽の方向性を決める人と言えます。

そのためには、サウンドディレクターがどのような権限を持っているかを、リーダーやチームとしっかり共有しておく必要があります。もし開発チームにサウンドディレクターを置くなら、ディレクターからサウンド品質の決定権がきちんと移譲されないと、仕事ができません。

そもそも、ディレクターが音の世界観をきちんと持っていて、方向性の目星をつけることができる人であれば、サウンドディレクターという人間は必要ないかもしれません。

ですが、ディレクターが自分の描く音の方向性を、ちゃんと言語化できない場合は、決定権がなくてもサウンドディレクターとして、しっかりとサポートしてあげる必要があります。

その場合はアドバイザーに徹し、ディレクターが実現したいことを相手に伝わるように翻訳したり、ジャッジするためのアドバイスやヒントをどんどん与えていきましょう。

「自分がサウンドディレクターなんだから自分で決める! 」と決定権を移譲されていないのに意固地になってしまうと、プロジェクト自体が動かなくなり、開発としてとても危険なので注意です。

また、しっかり決定権を移譲されているとしても、ディレクターとコミュニケーションをとらなくて良いという意味ではありません。あくまでディレクターの代理として、サウンド面の舵取りを担うということです。

DeNA山室あと、サウンドに関することの承認フローの煩雑さをとにかく減らしたいですね。

DeNA 山室圭司本イベントの司会進行を務めたDeNA 山室圭司

タイトー土屋氏ええ。一番望ましくないのは、サウンドディレクターの役割を与えられている人が「伝言」になってしまうことです。伝言ではなく翻訳家になり、ディレクターが仕事しやすいようにしてあげないといけません。

つまり、ディレクターが言いたいことを、作家さんなどにコピー&ペーストすることが仕事になってはダメだということです。

ディレクターがどの方向に音を作りたいのか、そもそもちゃんと方向性が固まっているのかを、しっかりコミュニケーションを図って確認しましょう。

個人的なおすすめとして、サウンドディレクターを置く必要があるチームであれば、通常はディレクターが方向づけした後、サウンドディレクターが執行・ジャッジする権利を持ち、ディレクターは重要なマイルストーンごとに方向性の確認をする形式です。

要は、すべてをディレクターがひとつずつ細かく指示、確認するのではなく、サウンドディレクターが判断したことに対して、ディレクターが方向性のチェックする適切なタイミングを要所に用意することです。

また、ディレクターがチェックしたとき、頻繁にジャッジがひっくり返るようであれば、ディレクターやサウンドディレクターのポジションにいる人間の資質が合っていない可能性を、一番に疑うと良いと思います。

DeNA山室サウンドディレクターとディレクターの担当場所を分け、ディレクターはゲームの仕様、雰囲気、世界観に合っているか方向性を伝え、それを踏まえてサウンドは音楽の面で思いを担保できるように作り上げていく「分業」をするべきだと思いますね。

Cygames丸山氏さっき渡邉さんの話にあった「BGMとジングルが同時に鳴ってしまう」現象については、もしかしたらディレクターにジャッジできる力がなく、音楽的な話や聞き方を失敗しているところに原因があるかもしれません。

そういう人と仕事をしたときでも、もしかしたらその人が描く音楽の世界観は素晴らしかったりする場合もあるので、それを踏まえながらサウンドとして絶対に言わなければならない、守らなければならないアドバイスをしっかりしましょう。

タイトー土屋氏そうですね。とにかく「承認のハンコがどんなに小さなことでも2つ必要」なシステムがあるなら、それは信頼されていないと考えたほうが賢明です。その場合は、そのまま制作を続けるよりもチームの人員を見直したほうが良いかもです。

このように疑問に思う部分については、内部や外部関係なく、しっかりと声を上げ、口を出していかなければいけないと思います。

DeNA山室それはよくわかります。承認フローが多いと「上に認められるための音作り」になってしまいがちです。サウンドはゲームを遊んでくれる人に向けて作るべきものなので、そこはしっかりと見極めたいですね。

タイトー土屋氏実は今日、このイベントに登壇しようと思った理由が「今までこのような勉強会で議論されてこなかった問題から、逃げるのをやめよう」と思ったからなんです。

Cygames丸山氏これまで、その部分に対して歴史的に話し合いがあまりされてこなかったことも、事実ですね。

タイトー土屋氏確かにそうですね! 

Cygames丸山氏チームにサウンドディレクターが参加していると、ディレクターが意見をひっくり返すことはタブーだというイメージがあったと思うんです。でも実はサウンドディレクターが全権利を持っているわけではない場合も多いんです。

当然、お互いの信頼関係がしっかり築けていれば、サウンドに関する権限の移譲がスムーズにでき、サウンドディレクターが全権限を持つことも可能ですし、その状態を作ることが大事なのではないでしょうか。

タイトー土屋氏むしろ、その状態を作れないのであれば、サウンドディレクターを置いてはいけないと思いますね。ディレクターが音のディレクションをすることを、とにかく助けることに意識を変えましょう。自分が権利を持っているのか持っていないのかわからないのに、サウンドディレクションをしてはダメです。

ゲームの権限って結局クオリティーのジャッジを含めて、ディレクター以外に移譲されることってあまりないじゃないですか? それなら、ジャッジの精度をより高くするための動きをしたほうが良いと思います。

サウンドディレクターの実態調査

次に、事前に来場者から募集した質問を一部抜粋しながら、登壇者が回答をしていきます。

Q1:予算ってどうしてます?

タイトー土屋氏予算に関しては、たくさんあるに越したことはないですが。

DeNA山室曲が良ければゲームの売上が伸びるのか、とツッコまれるとどうしても……。

Cygames丸山氏そこについては、ある程度KPIみたいな数字の定義があるといいんですけどね。ないですけど。

タイトー土屋氏ですよね。そういえば、サウンドのバグはクレームに直結する、という事実を啓蒙する必要はあると思います。

DeNA渡邉ボイスが聞こえない、音が鳴っていないとか、ゲーム開発ではよく聞くバグですね。ほかに、レコーディングの現場にプロデューサーやディレクターを連れていって、ボーカルや楽器などの生の収録に立ち会って頂くことで、意識が変わっていったケースもあります。

DeNA山室ゲームにサウンドが実装されると「やっぱり音楽あるとスゴイっすね! 」って感動してくれるプロデューサーもいますし! 

タイトー土屋氏自分たちはゲームから音が出た瞬間の感動がたまらないから、ゲームサウンドを手がけているんです。そこがどうでも良かったらゲームサウンドなんて作ってませんよ。もちろん未だに感動しますし。

DeNA山室サウンドって感動を引き出したり、膨らませるための装置ですから、それを感じてもらえないと悲しいですね。

タイトー土屋氏音楽や効果音などのサウンドの必要性について、ちゃんとほかの職種の人に説明してあげるといいかもしれません。

DeNA山室話変わりますが、サウンドってスタジオとか防音室で作業するので、ちょっと孤独になりません?

Cygames丸山氏確かに。どうしても音作りに集中すると、チームからの孤立感は感じますね。うちではそれを回避するためにプロジェクト内にサウンドルームを作ったり、プロジェクトのMTGに積極的に参加できるように考えています。

特にサウンド側からの情報発信が少ないと、他部署から見て何しているかわからなかったり、アセットとして音を提出するだけの人に見られがちですので、雑談や相談などを増やしてサウンドのアピール力を強くしないと、予算ももらえないかもしれませんね。

Q2:サウンドディレクターって実際どう働けばいいんですか?

Cygames丸山氏「閑散期のサウンド運用」について、運用はマネージャーの領域なんですが、サウンドスタッフが会社からこれを求められている現場も多いので、この質問が出るのは自然かもしれません。

当然、この運用をする良い仕組みは存在するとは思うんですが、それをサウンドの現場、ディレクションする立ち位置の人が見ていること自体が、おかしいんじゃないかと思います。これは日本のゲーム業界の特徴なのかもしれませんね。

小規模のデベロッパーで、ラインごとに仕事を受ける場合、そこにサウンドが付随しているから動くのであって、そのラインにサウンド作業がない場合は、空いているサウンドは何をするかといった議題が、ディレクターに降りること自体がおかしいことを、共有してほしいと思っています。

ディレクションレベルの人が運用のことで悩んでいるのは、そもそものスキルセットの無駄遣いです。人員構成でそうなっているチームも多いので、解決できる手段を考えていけたらいいんじゃないかな、と思います。

DeNA渡邉プロジェクトで余裕がある時期は、作ろうと思っていたツールを整備したり、技術研究に近いことに時間を回していれば、暇で仕方ないという時期はなくなると思います。

Q3:外部とのやりとり、どうしてます?

Cygames丸山氏うちではクオリティーを重視しているので、予算がないから内製にするのではなく、内製のクオリティーや細かい対応が必要だからする、という明確な理由で決定することが多いです。

タイトー土屋氏まず、いろいろな作曲家の曲を聞くことは外注先を選定するときだけでなく、常にしておく必要があると思います。例えば、キャラクターの声が必要になったとき、優秀なボイスコーディネーターの方は、パッと最適な声優さんを提案してくれるじゃないですか。

誰をアサインするのか、この作家ならどんな結果になるのか、化学変化を想像するのはとても楽しいです。

Cygames丸山氏「最終納期のどれくらい手前からお話を振り始めていますか?」という質問に関しては……納期がハッキリ出ているときに発注するのは、やばくないですか(笑)。

タイトー土屋氏そうですね(笑)。

DeNA山室この質問を書いた人は、超特急で発注してください! 

Q4:メニューの書き方・伝え方って?

DeNA山室「メニュー」とは、発注書のことです。ゲーム開発現場ではあまり聞き慣れませんが、これは映画やドラマなどの音楽制作の現場で使われる言い方です。

タイトー土屋氏人それぞれやり方は違うと思うんですが、どうして音楽が必要なのか、なにを表現してほしいのかを細かく伝えることが重要だと思います。また、リファレンスを出すなら複数出す、どこを参考にしてほしいかを細かく伝えると、うまくいくことが多いように思います。

自分が気をつけているのは、方向性をきちんと掘り下げることです。ただ「寂しい感じ」ではなく、なぜ寂しいのか、どういうシチュエーションで、どこにスポットが当たっているかを説明します。

戦うシーンの音楽には「バトル」とだけ伝えないようにしています。どういう流れでバトルに入って、そのときのどういう心情を表現して欲しいのか、と説明します。

最近では作家さんから詳細なリファレンスが欲しいと頼まれることも増えてきましたね。リファレンスをネットで見つけてリンクを送る方も多いかと思いますが、違法アップロードされたものでないか確認しましょう。

Cygames丸山氏少なくても、自分は公式以外のYouTubeは使わないようにしています。

Q5:今後のゲームサウンドはどうなっていくと思いますか?

タイトー土屋氏コンセプトやテーマがはっきりしているゲームサウンドが多くなってほしいと思いますし、自分もそんな音作りをしたいと思っています。何かしら作り手の想いが込められている、良い作品を作りたいですね。

Cygames丸山氏今まで家庭用ゲームのチャンネル数が増えていき、サラウンドになって、ディレクショナルオーディオ、スパーシャル、イマーシブオーディオなど、コンシューマの一部とスマホの再生環境はイヤホンのバイノーラル再生に特化して行く方向への進化が強くなると考えています。

さらに、CPUパワーが上がってきたことと、もともとゲームのオーディオ自体が、位置情報を持ってオブジェクトで配置されているところが噛み合って、技術的な結節点となると思われます。

DeNA渡邉スマホ向けゲームも、現在は外部の優秀なクリエイターが作り、豪華声優陣、豪華アーティスト、フルボイスも当たり前の時代になっています。

今後、差別化していくためには、アセットそのもののクオリティーだけではなく、演出や音楽の鳴らし方を工夫する方向に向かってほしいと思っています。

DeNA山室「曲が良い」だけでなく、ゲームという作品の一部としてサウンドを考え、その上で演出を攻めていけばさらにゲームは面白くなると考えています。

懇親会の様子

サウンドに関わる、さまざまな職種の来場者が集まった今回のGDM。お寿司とピザをつまみながら、GDM自体が初参加の人も積極的な交流をしていました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNAデザイン部特集Vol.1】事業に資するクリエイティブ集団が見据える未来、そして求められる役割とは

ゲームづくりにおいて、どんなに優れた企画や仕様があっても、デザインの良し悪しでコアゲームの面白さが伝わらない=本来プレイヤーに伝えたいUXが伝わらない、といった結果に陥ります。DeNAゲーム事業のデザイン部は、まさにそのような部分を司るビジュアルや操作性など、あらゆる全てのユーザー体験を担保し、事業に貢献していくクリエイティブ集団です。今回【DeNAデザイン部特集】と題し、Vol.1では部長の宇佐美(写真:右)と副部長の楠(写真:左)に、昨年の振り返りと、今期に掛ける想いをインタビューしました。

2018年度の振返り

ーー 2019年2月上旬に、デザイン部として初となる合宿もありましたが、改めて昨年度の良かった点や課題点を教えてください。

宇佐美:まずは課題点ですが、これは前回の合宿でも議題に挙げましたように、昨年はプロトやα版/β版など、デザイン部の各開発フェーズにおける関わり方に課題があったと認識しています。

https://genom.dena.com/other/designer_trainingcamp/

それに関して今期は、組織体制を改善することできちんとテコ入れを行いつつ、各開発フェーズでのデザイン観点でのレビューの他、技術追求・選定に関するポリシー策定、クオリティを担保するための補助機能の強化など、様々な取り組みを通じて、アウトプットの質をもっと高めていこうとしています。

ーー タイトルごとに細かなディレクションも必要ということなのでしょうか?

宇佐美:というよりも、デザイナーのアサイン要望がこれまでは開発チームからのニーズに応えてアサインするケースが多かったので、受け身ではなく、デザイン部側でもきちんと能動的に動いていこうと思っています。

プロトやα開発/β開発など、各開発フェーズでデザイナーに求められることがプロジェクトによって異なっていたので、「α開発ではデザイン観点でここのクオリティを目指そう」といった共通認識を持つために、各開発チームのプロデューサーやディレクターと連携していくつもりです。

アサイン要望を開発チームから受けた際にも、「なぜそのフェーズでその人が必要なのか」という理由も関係者できちんと事前に話し合い、アサインされたデザイナーが100%以上の能力を発揮できるような体制を目指したいと思っています。

ーー 組織間のコミュニケーションがポイントになりそうですね!

宇佐美:はい、ボタンの掛け違いにならないように、デザイン部もプロダクトを成功させる意思をしっかりと発信しつつ、アサインに関しても中長期的な戦略を策定して、各プロデューサーやディレクターと共通認識を持っていこうと思います。

ーー なるほど、デザイナーの働き方にも良い意味で変化が出てきそうですね。副部長である楠さんは昨年を振り返っていかがですか?

:そうですね、ゲームという1つのプロダクトにおいて、「新規開発」と「運用」のそれぞれで、デザイナーが果たすべき役割が整理できたと思います。これはポジティブなことです。

宇佐美:そうそう、大きな成長のひとつとして、デザイナーに「コスト意識」も芽生えてきたよね。組織全体でユーザーファーストに繋がるような、意味のある「コストの使い方やタイミング」が浸透してきたと感じています。

ーー コストの使い方のメリハリができたということですね。

:はい。ただ一方で、ビジネスとして運用にやりがいを持って取組む熱意を、メンバーに浸透させる難しさを感じた一年でもありました。

ゲームというコンテンツをビジネスと絡めてデリバリーさせていくことの重要性を、もっと個人に浸透させていくことが今後の課題ですね。まったく出来ていないというわけではないのですが。

2019年度の取組み

ーー ではここから本題ですが、今年度のデザイン部の取組みについて教えてください。

宇佐美:基本的にミッションなどは去年と変わっていません。新規タイトルでは世界にインパクトを残すような表現技法や新技術を取り入れつつ、さらに多くのプレイヤーに楽しんでもらえるようなチャレンジをしていきたいですね。

運用中のタイトルにおいても、デザイナーとしてプレイヤーが求めているコンテンツをコスト意識を持ちながら提供し続けるために、努力を重ねて行くべきだと考えています。

社内向け資料より一部抜粋

:先日、AppleやGoogleが発表したゲームストリーミングサービスなどをはじめ、これからも様々な技術革新が起こっていく中で、技術トレンドに対応しながらクオリティを担保しつつ、市場の中の競合と切磋琢磨していかなければならないと感じています。

その中で「戦う土俵」をどこに設定するかを決めるのが大事で、「同じ土俵で戦うのか」「違う戦い方を模索するのか」などを戦略的に考え抜き、推進していきたいと思っています。

もちろん、デザイン部だけでそれは実現できないので、ゲーム事業部全体で、どういった戦略で世界にインパクトを与えていくのかを考え続けていきたいですね。

――現在はそのようなプロジェクトが実際に動いているんですか?

宇佐美:今は情報を収集する時期だと思っています。海外のカンファレンスなどにも積極的に参加したり、国内の企業と新技術に関する勉強会を行ったりなど、最先端のトレンドに乗り遅れないようにしています。

また、今期からデザイン部の中に「テクニカルアーティストグループ」(以下、TAグループ)を新設しました。これまでツールの選定と最適化や、デザイナーの作業環境やシェーダー周りの構築など、エンジニアリングの知識が必要な領域に関しては技術部門に依頼してカスタマイズしていたのですが、コミュニケーションの不足で意図が伝わらなかったり、単純に多忙だったりで満足なカスタマイズが出来ない状況もいくつかありました。

そのため、デザイン部内である程度完結できる組織を新設することで、意思決定も作業もスピーディーにできるようにし、技術面でも遅れを取らないようにしていきたいと考えています。

編集部補足:デザイン部配下にはUIや3D、フロントエンドなど職能ごとに13のグループに分かれており、事業ニーズにフレキシブルに対応できる開発体制を敷いている。

【イベントレポ(前半)】GDMテクニカルアーティスト座談会~やってみる、から一歩先へ~

――合宿で話していたR&Dやエンジニアとの連携に関しては、このTAグループがハブ(中核)になってくれるのを期待していると?

宇佐美:そうですね。基本はTAグループがハブとなって、他職能の技術に強いメンバーからDCCツールのノウハウを集め、クオリティを担保するためのパフォーマンスを最大限に発揮できるよう動いていく予定です。

――話は変わりますが、デザイン部のカルチャーなどはあるのでしょうか?

:カルチャーとちょっと話は違うかもしれませんが、昨年は「整理した年」でした。良かった部分だけでなく、改善点も多かったので、今期は新しく構築する年にしたいと思っています。ぶっちゃけ、カルチャーをつくるような余裕がなかったです(笑)。

宇佐美:楠も私もゲームクリエイター出身ではないので、技術面は意思決定も含めて各グループのマネージャーに任せて、僕たちは事業貢献のための戦略策定などに注力しつつ、他の事業部との連携や、ゲーム開発におけるデザイン組織としての立ち位置を明確にするために時間を使っていこうと思っています。

手前味噌な話ではありますが、デザイン部には、本当に能力の高いメンバーが揃っているので、ゲーム開発に資するための意思決定やフローの設計は彼らに任せようと思っています。ですので、メンバーには思いっきり暴れて欲しいですね。もちろん良い意味でですが(笑)。

:デザインの領域において僕らが介入しすぎてしまい、クオリティキャップになってしまうリスクもあると思います。意思を持って現場のマネージャーやメンバーに任せ、その分僕らは先に話した戦略周りもそうですし、この記事のような対外向けの発信や業界内での関係値づくりなどを積極的にやっていきます。得意なことを得意な人がやるというシンプルなコンセプトで、きちんと役割分担をして組織を運営していきたいですね。

――先ほど「役割分担」というキーワードが出ました。デザイン部の「部長」と「副部長」は、それぞれどのような「役割」を担っているのでしょうか?

:部長、副部長というと組織図としては上下がありますが、基本的には並列(同権限)で物事を進めています。実際、「2人でやること」「それぞれがやること」をある程度ハッキリ分けて、それをメンバーに共有しています。

宇佐美:2人で担当するのは、組織戦略・戦術の立案と推進。そして組織戦略に合わせた組織構造の設計とアサイン、採用や組織コンセプトにアジャストする人材の育成と評価です。

そして主に私が担当するのが、新規開発ゲームの意思決定やタイトル評価の会議など、DeNAゲーム事業部にとって重要な会議体への参加。さらに他事業部とのコミュニケーション窓口やフロント業務、開発運用問わずゲーム開発を支える横断組織としてのフィジビリティーの担保にも責任を持ちます。

宇佐美:楠の担当は、グローバル戦略や人事と連携した新卒育成、アウトソーシング推進です。また楠は交友関係が広いので、外部に対しての組織ブランディングの形成、そしてDGT(DeNA Games Tokyo)の取締役は引き続き担当します。

:いわゆるDeNAからDGTへのタイトル移管などの話が今後出たときに、本社のデザイン部の顔と、DGT取締役の顔を活かしてコミュニケーションを円滑にして、スムーズにプロジェクトを動かしていきたいと思っています。

宇佐美:このように役割は得意領域に応じて分けてはいますが、基本的にすべて2人で判断しています。オーナーが違うだけ、というイメージです。

――ではこのような体制のもと、DeNAの今後のゲーム戦略として「グローバル」が一つのキーワードになっていくかと思います。この点に関して、デザイン部ではどのような対策等を考えているのでしょうか?

宇佐美:国内外の今後のゲーム市場の成長率を考えたとき、デザイナーとしても日本以外の国に力を示していく必要性があると思います。そこで現在は各国の文化やゲームに関する様々な情報を、リサーチを含めて収集するための体制構築を行っています。

その部分は楠がオーナーとなってDeNAゲーム事業部の各部署と連携し、主に中国市場におけるデザインのトレンドなどを調査しています。

:現在は、僕と数人のメンバーで『伝説対決』や『永遠の七日』のタイトルの運営に参画し、PDCAを回しながらあるべき姿の定義から推進しているところです。

――DeNAのデザイン部のメンバーには、将来的にどのようになって欲しいと思いますか? やはり世界を視野に入れた飛躍でしょうか?

:「デザイン部ってどんな組織?」と問うとき、DeNAのような事業会社だと、事業のトレンドも時代によって変わりますし、それに合わせて組織の形や求められる能力も変わってくると考えています。

今後、事業のトレンドにおいても技術のトレンドにおいても、変化の波が大きく広がることは間違いないですし、一番必要なのは「フレキシブルさ」だと思っています。

なので、組織として様々な環境の変化に直面しても、常に事業に資する組織でありたいという話はしています。もちろん、そこに属するクリエイターの一人ひとりにも、フレキシブルさが求められると思っています。

――様々な環境においても、自立的に考えて動いて欲しいと?

:そうですね。デザイナーとして、むしろ変化の早い環境を楽しんで欲しいという気持ちはあります。そこはDeNAらしさかもしれませんね。

宇佐美:著名なIPホルダーとの協業を進めていく中で、たくさんの人にプレイしてもらえるタイトルを開発していること自体が、デザイナーたちにも大きな経験値になっていると思います。「自分たちがやっていることは本当にスゴイことなんだ!」と意識して欲しいですね。

もちろん、開発中は大変なこともありますが、将来振り返ったときに絶対にポジティブな経験になっているはずです。

そういった恵まれた環境の中で、自分で意思決定をして、キャリアプランを考えて自走して欲しいと思っています。それを僕たちが強制してしまうと、全然つまらないただの「作業」になってしまうので、変化の中での意思決定すらも楽しんでもらえれば嬉しいです。

――では最後の質問です。先ほどの内容を踏まえ、これからの1年間は、デザイン部のメンバーにはどのように成長・活躍して欲しいと考えていますか?

宇佐美:環境やチャンスは僕らができる限り作っていくので、そこで自分で考え、判断してアウトプットして欲しいですね。自身のプロフェッショナル領域を正しく理解して、いちクリエイターとして活躍する「意識」を強く持ってもらいたいです。

さらにデザイン部全体としては「事業に資する」というポリシーを強く持っているので、事業のトレンドを正確に理解して、DeNAという会社のあるべき未来の姿の実現に、キッチリ貢献できるように動いていきたいですね。

:クリエイターってスキルや技術的なトレンドに意識が向かいがちなのですが、それだけじゃなく、DeNAという組織として、大局観を持ってゲーム市場を捉えながら仕事をして欲しいですね。自分が活躍している環境の外は、どんな世界が広がっているかを常に想像することが大事だと思います。

もちろん日々の業務が忙しくなると、視野も狭くなりがちですが、そんなときほど一度立ち止まって俯瞰して、事業や市場など自らが置かれている環境を見つめ直すことを心がけるといいですね。

――ありがとうございました。

※本記事は2019年4月時点の情報です。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【イベントレポ】「DeNA GAME Techtalk #1」DeNAのゲームを支えるバックエンドシステムにフォーカスした4種のLightning Talkを披露

ソーシャルゲームにおいてネイティブゲームが主流になっている昨今、それを支えるバックエンドシステムに求められる要件の高さや、技術的難易度は高くなっています。

3月15日に初の開催となった「DeNA GAME Techtalk #1」では、DeNAのゲームを支えるバックエンドシステムにフォーカスした4つのLightning Talkを実施しました。

Mobage時代からネイティブシフトを経験したDeNAだからこそ語れる、これまでのゲーム開発と現在のネイティブゲーム開発の違いや、今後のバックエンドシステムに求められる要件を元に、現在DeNAがチャレンジしている内容について語られたトークをレポートします。

LT1. DeNA BaaS戦略に関して

まずは「DeNAのゲーム向け共通基盤の戦略」と題したセッションが行われ、菅原賢太(ゲーム事業部 Publish統括部 共通基盤部 部長)が登壇。

DeNA入社後、同社サンフランシスコオフィスで働き、ゲーム向けバックエンドサービスの開発を行っていたという菅原から、DeNAがゲーム事業に対してバックエンドサービスの部分でどのように取り組んでいるか語られた。

DeNA菅原賢太DeNA 菅原賢太

タイトルにある”共通基盤”だが、その定義について「実はDeNAでは、かなり広い意味で使われている」と菅原が言うように、ゲームエンジン(Liftエンジン)やUnity向けの共通ライブラリ、ローカライゼーションツール、マスターデータ管理ツールなど、様々なプロダクトを共通基盤として提供している。

その中で今回、菅原がフォーカスしたのが、アプリゲーム向けの基盤サービス。DeNAでは、アプリゲーム向けの基盤サービスを大きく2つのカテゴリに分類しているそうだ。

1つはログインボーナスなどゲームサービスに依存するビジネスロジックを提供する機能群。そしてもう1つがゲームシステムに依らない、Google/Apple等のプラットフォームやバックエンド業務と連携する機能群”MBaaS”。

菅原は「ゲームを作る側は、あまり配信先やプラットフォームの種別による違いを気にしたくないので、極力ゲームはゲーム開発にフォーカスできるようにという形で」と分類されている理由を説明した。

そしてDeNAでのアプリゲーム事業におけるMBaaSについて、「実はそんなに機能はなくシンプルです」と菅原。ユーザー管理(アプリユーザー認証、MBaaS利用ユーザー管理)、仮想通貨管理(ゲーム内通貨の残高や取引履歴の管理、決済レポート作成)、プッシュ通知、アナリティクス(ゲーム内で発生した各種アクティビティのログをイベントとして蓄積し分析を可能に)、NGワードチェック、問い合わせ管理といった提供機能を紹介した。

次に「DeNAはグローバルを意識しています。MBaaSの話をする上で、今回戦略というのが私の中にありますので、中国の話をさせてください」と、中国でのアプリ配信事情およびDeNAでの中国ゲーム事情について話を進めた。

「知っている方はご存知の通りですが、中国のゲーム配信は政府での所定の手続きを行った上でライセンスを取得しないと出すことができません」と、まず中国でのアプリ配信事業について触れた菅原。

「だからゲームを開発しても配信までに2~3ヵ月かかったり、ライセンスを取るために例えば中国国内にサーバーを置かなければならなかったり」と、様々な制約があるという。

また、「AppleのAppStoreでの配信であったとしても、ライセンスを保持していないと配信できない。中国にはGoogle Playは存在しておらず、その代わり20~30くらいのAndroidマーケットが存在しており、それぞれに対応する必要がある」と続けた。

そんな制約がある中で、菅原は「DeNAの中国でのゲーム事業の側面で言うと、弊社には中国オフィスがあり、そこが配信ライセンスを保有しています。中国国内においては、そのライセンスを保持した中国オフィスを拠点に、開発されたゲームを中国オフィスがパブリッシャーとなって配信している形です」と、DeNAが中国でアプリゲーム配信を行っている唯一の日本企業であると明かした。

「日本のゲームデベロッパーさんの中でも中国に拠点を持って配信できているところはなく、中国の会社、アライアンスパートナーを経由して配信するケースがほとんどだと思います」と、中国ゲーム事業において同社は強みを持っているとした。

ちなみに中国で配信しているゲームアプリも、MBaaSのようなプロダクト”LCM”を用意し、ゲームアプリを配信しているとのことだ。

LCMのほかにも、DeNAではこれまで様々なMBaaSがあったことも紹介された。

このように、色々なMBaaSが乱立していることを踏まえ、「やはりグローバルで勝てるアプリを、なるべく多く配信したいという思いがあります。日本の市場がなかなか厳しくなった状況で、少し整理する必要がある」と、菅原は今後の展望を明かした。

菅原によると、「先程お話した通り、ゲームサービスとMBaaSは切り離して考えるんですが、MBaaSの部分については、日本及び中国を除く世界向けに配信するアプリは日本で開発運営を行うLCDを、中国向けに配信するゲームは中国にて開発運用を行うLCMを使っていく想定でいる」とのことだ。

また、グローバル市場向けアプリ配信の基本ポリシーについては、「やはりゲーム側からすると、ワンソースコードでパブリッシュしたいところはあるが、そこでパブリッシュパイプラインの中でバンドルIDを中国向けと世界向けで変えることで、1つのアプリから複数のマーケットに対して対応していきたい」とのこと。

その他、MBaaSのインターフェースの互換についても触れられた。

LT2. DeNAでのグローバルBaaS

続いて登壇したのは、ゲーム事業部 Publish統括部 共通基盤部の小原裕(Hiro Obara) 。

「LCD DeNA Global BaaS」と題し、グローバル配信であるが故に発生する要件や課題について紹介すると共に、それらに対してどのように取り組んでいるかを、タイトルの状況や開発ロードマップを含めて語られた。

DeNA 小原裕

「菅原からMBaaSについて話がありましたが、私からは”LCD”というMBaaSについてお話させていただければと思います」と切り出した小原は、まずLCDがどのようなものなのか説明。

LCDはMBaaSの一種で、ゲームシステムに依らないGoogle Play/Apple等の配信プラットフォームや、バックエンド業務と連携する機能群を提供するゲームアプリ基盤サービスとのこと。LCDはLowest Common Denominatorという英語の略で、2014年9月から運用を開始している。

また、LCDは「数多く配信しているゲームアプリに必要な最小の機能を提供することで、ゲームやサードパーティのアプリなどの依存性を無くして、ゲーム開発をしやすくすること」(小原)を目的に作られたもので、中国、韓国を除く全世界でアプリが配信されているとのこと。

次に、LCDというグローバルなMBaaSを提供する上で必要な機能、サービス要件について。

まずサービスを提供する上での要件として挙げられたのが、24時間営業。「日本だけでの配信なら日本のプレイヤーの生活のパターンに合わせられるが、世界各地での配信となると時差の関係があるため、24時間プレイヤーに対応する状態」と小原。

また、世界各国の100以上の通貨に対応する必要があり、購入された課金&仮想通貨の管理やレポーティングも必要だとした。

ローカライゼーションについても、「LCDのシステムメッセージは、日本語や英語だけでなく、使っているプレイヤーが理解しやすいように11ヵ国語に訳して提供している」(小原)とのこと。

その他、「e.g. GDPR、COPPA、特定商取引法、資金決済法など、各国の法律や規則をきちんと把握しなければならない」ことや、「タイトル数が増えてくると、開発チームや会社もアメリカや日本、中国、フランス、イギリスなど各国にまたがります。彼らからのLCDに関する問い合わせにも対応しています」と、小原は法律的な要件やデベロッパーズサポートについても触れた。

LCDがどのようなものかを簡単に示した図。

そして、現在LCDで提供されているサービスについて、「菅原の話にあったMBaaSの機能とほとんど一緒ですが」(小原)とした上で、ユーザー管理、ゲーム内仮装通貨管理、アナリティクス、NGワードチェック、CSツールといった特徴を紹介していった。

最後に小原から、LCDが今後の展望について語られた。

まず、DeNAがグローバル配信を重要視している側面から、「ゲーム側のほうではアメリカだったり、日本、中国など配信先のマーケットを気にすることなくゲーム開発を行い、そのまま希望のマーケットへ配信していけるように、LCDのほうでそういったマーケットの差を吸収していこうと思っている」とのこと。

また、ゲームエンジンに関しては、「昔はUnityなども持っていましたが、現状はゲームの数も少なくiOS、AndroidのSDKしか提供していません。ですので、今後はまたUnityのSDKも再開する予定です」とした。

他にもLCDシステム関連について、

・マルチテナント型システムからシングルテナント型システムへの変更
・LCD5周年を機に改めてシステムの見直しを図る
・LCDに限らずDeNA全体として新しい技術を積極的に開拓

といった展望を掲げた小原。最後に「今後LCDは世界に向けて配信する予定です」とメッセージを送った。

LT3. DeNAのゲームサーバ技術の変遷とこれから

かつてはオンプレ、Perl、MySQLのイメージが強かったDeNAだが、ソーシャルゲーム黎明期から今日に至るまでに、ゲームサーバを構成する要素技術も移り変わってきた。

そこで、同セッションでは、​「DeNAのゲームサーバの変遷とこれから」と題し、ゲーム事業部 Publish統括部 副統括部長の北澤慶郎が、DeNAの今までのゲームサーバを構成する要素技術の変遷と、これから目指していく未来像について紹介していった。

DeNA 北澤慶郎

「先程までは事業や戦略の話など色々ありましたが、技術面に絞ったお話をします」と切り出した北澤は、これまでのゲームサーバ技術の変遷を「振り返ると大体こんな感じで4分割できます」と、以下のように分類し、各時期に活用した技術を紹介していった。

まずはブラウザ~ネイティブアプリ黎明期。どういう技術が使われていたかというと、Perl、MySQL、Server Side Rendering HTML。

これについて北澤は、「DeNAと言えば、昔はPerlという感じでしたが、それがまさにこの頃。MySQLもお馴染みですし、HTMLもサーバーサイドでいわゆるテンプレートエンジンに変数を突っ込んで開発するといった、よくあるWebの技術です」と紹介した。

その中で、「PerlやHTMLの部分はそれほど特殊なことはないのですが、やばいのがここです」とピックアップしたのがMySQL。

「MySQLはどういうことをやっていたかというと、いわゆるMaster-Slave構成からの垂直、水平分割を全てやり、Shardingと言われる1つのゲームタイトルで複数のデータベースを分割して、それをアプリケーションレイヤーで全部振り分けて複数DBを扱います。さらに厳密なトランザクションも守りながら、Shardまたぎをどうコミットするかというのをやっていました」と北澤。

「このブラウザ全盛期の頃、会社としても色々な経験になりました」と振り返った。

続いてネイティブアプリ(第1世代)で使われていた技術について。ネイティブアプリに入った時期に、どういうことをしていたのか? 北澤は「さっきとあまり変わらないですが」と、MySQLはそのままに、Perl→Rubyに、Server Side Rendering HTML→RESTful APIに代わったことを紹介。

Perlに代わって使われたRubyに関して、北澤は「WebのシステムでRubyならRailsだろうと普通は思うけど、実際には表側のいわゆるクライアントから直接受けるAPIはSinatraで、管理画面はRailsでやってた」ことを明かした。

ちなみに、なぜ両方使っていたかというと、「2012年~13年はやはりブラウザ全盛期で、すごいトラフィックを捌いていたわけですが、同じことをRailsでやるのは無理だろうと思い、表側はSinatraで、管理画面についてはRailsが最適だろうということで分けていた」とその理由を説明した。

ブラウザ~ネイティブアプリ黎明期から使われているMySQLは、やっていることも、苦労の仕方も一緒ながら、「ここで新たな難しさに直面した」と北澤。

「表側はSinatra、裏側はRailsと両方あり、それぞれで難しいことをする。さらにRailsやアクティブレコードで、当時の2012年〜2013年のActiveRecordでアプリケーションレイヤーで複数DBみたいなのがかなり難易度の高いところにありました」(北澤)と、最終的にはActiveRecordという非常に高機能なものを使うのでさらに難しくなったそうだ。

そしてRESTful APIについて。データフォーマットはJSONだが、「IDLは独自のIDLを勝手に定義して、その中でJSON Schemaを内包。クライアントだけIDLからの自動生成みたいなことをしています」(北澤)とのことだ。

次に、2015年~2016年あたりを指すネイティブアプリ(第2世代)。第1世代から大きく変わらず、Ruby、MySQL、RESTful APIが使われている。

ただし変わった部分もある。

「皆さんもご存知であろう、グローバル大ヒットタイトルはすごいインストール数なんですけど、それも全てRailsでさばいています。この頃だとRailsもまあまあ重い部分を自分で外せたりできていたので、何とかできています」と、Rubyは表側のAPIもRailsになったという。

MySQLは昔から変わらずやっていることは同じだが、「この頃になると少し傾向が変わってきた」と北澤。

「昔のブラウザのソーシャルゲーム全盛期って、かなりソーシャル要素が強く、基本システムとしては非同期だけど、マルチプレイみたいにお互いに影響を受けるものだった。それがこの頃からゲーム全体がいわゆるシングルプレイの割合が増えてきて、Shardingでお互いに影響し合うみたいな難しさは量としては減ってきた。その分、単純にグローバル化が進む中で規模がどんどん大きくなったという難しさがあった」と振り返った。

RESTful APIも大体一緒とのこと。データフォーマットがProtocol Buffersになっているが、IDLは独自のIDLで、「この独自IDLはJSON」と北澤。「IDLって、大体作ったら自動生成したくなるけど、クライアントとサーバーの一部を自動生成みたいにしている」と説明した。

ゲームサーバの変遷を振り返ったところで、ここからは今後の展望について。北澤は「まだリリースしておらず開発中ですが」と前置きし、次の世代でどんな技術を活用していくのかを明かした。

まず、Google App Engine / Golangについて、北澤は「他社の方がよく発信しているものです。弊社だとAndAppというサービスがあり、その辺が結構同じGoogle App Engineで行っている」とし「大体普通のAPIサーバーだったらこれで問題ないです。問題ないどころかRails等と比べて実行効率は段違いに良さそうだし、オートスケールの性能とかもかなり良さそうなので、基本これで良いのではと考えています」と続けた。

次にGoogle Cloud Spanner。これは、アプリケーションレイヤーで複数DBを扱う必要がなく「相当楽です」と北澤。さらに「Spannerって勝手に内部的にShardっぽいものを持って、勝手にShardを分割してくれるんですけど、さらに減ってきたら勝手にShardを統合してくれる……そこは最高過ぎて、使えるなら使った方が良い」とした。

ただし、導入する上での固有のノウハウがかなり多いそうで、「MySQL時代に鍛えられた猛者でも、このノウハウをまた覚えないといけないという所が大変。それでもShardingなどをアプリケーションレイヤーで管理しなくて良いのはすごくメリットだと思う」と北澤は述べた。

3つ目に、RESTful APIに代わるRPCについて。RPCは、データフォーマットがProtocol Buffers、そしてIDLは独自IDLではなくProtobuf Schemaになっている。

「これってgRPCじゃんという感じですが、Protobuf Schemaの書き方等はgRPCとほぼ同じです。そこからgRPCと同様にサーバーコード、クライアントコードを自動生成しています。自動生成の仕方は参考にしているgRPCにかなり近いです」と北澤。ただ、「ちょっと自前実装しまくっているので、さっさとどこかでgRPCに置き換えたいと考えているとのことだった。

最後に北澤は、「ざっといままでの変遷をまとめましたが、昔を思い出しながらスライドを作る中で、結構その時代ごとに使う武器が変わっていて、適切な判断だったかというと100点ではないかなと思いますが、市場の進化に合わせてちょっと遅れてたり、先取っていたりしているなと感じました。歴史を辿ると、どんどん変わっているけど、意外と市場と同じことをやっていて、何となくみんなが同じ方向を見ている。これからも市場の進化を見ながら流れについていけるんじゃないかなと思っています」とまとめた。

LT4. ゲームローカライズフローを支える基盤ツール開発

この日、最後に登壇したのは、立浪千尋(ゲーム事業部 Publish統括部 共通基板部 オペレーションサービスグループ)。「ゲームローカライズフローを支える基盤ツール開発」と題したセッションを行い、アプリのグローバル展開において避けて通れないローカライズフローを支援するためのDeNAのローカライズ支援ツール「LION」において、どのような課題に取り組んでいるかを紹介していった。

DeNA 立浪千尋

まずは”ゲームの制作とローカライズフロー”について。「エンジニアやプランナーを始め、各職種がそれぞれのフローに則って制作が進んでいきます」とゲーム制作フローについて説明した立浪。

各職種の中で、実際にグローバル展開していく場合においては、「プランナーが実際にゲームの言語で作ったテキストはたくさんあって、それを修正していくわけですが、まずはローカライゼーションコーディネーターが翻訳のスケジュールを出したり、誰に翻訳をお願いするかというところをコントロールします」と立浪。

そこから実際に様々な言語に翻訳する翻訳者に依頼が行き、翻訳が回ってさらに言語QAなどを重ねるなど品質を上げていくのが、ローカライズでは一般的とのことだ。

さらに詳しく見ると、「ゲームのローカライズフローはテキストを言語で作るといいましたが、ローカライズは全ての文字列に対してユニークなID、ラベルを付与して日本語でデータを作成します。それを元に各言語に翻訳していく」(立浪)ようだ。

その中で、言語によっては「日本語から直接翻訳するのが難しい」という立浪は、翻訳者の手配が簡単ではない言語があると明かした。

例としては、日本語を英語に訳す場合は比較的多くの翻訳者が対応できるが、「日本語からフランス語、ドイツ語などに訳すとなるとできる人がなかなかいない」(立浪)。そこで良く行われるのが、まず日本語を英語に訳し、そこから各言語に翻訳するという手法とのこと。

これがいわゆるゲームのローカライズフローとなっているが、モバイルゲームの事情が絡まってくると、ここからさらに運用というフェーズが始まるという。

運用が始まると、そのゲームでイベント開発だったり大きなUI回収等があると、先ほど説明された事と同様のフローがそこでまた発生。モバイルゲームの運用においては、ずっと繰り返していくイメージだ。

「それぞれの開発で同じフローを繰り返し、開発や翻訳が並行して進むタイミングでオーバーラップしていきます。こうしてモバイルゲームのローカライズにおける開発では、そもそも繰り返されることでどんどんテキストデータが増えていきます」と立浪。ここで、まずどの文字列が追加、更新されたか管理するだけでも相当大変であるとした。

加えて、「増え続ける各テキスト間の整合性を担保しなければいけないところ」「関わる職種が多岐に渡りることによるコミュニケーションコスト」も難しいと語った。

その他、モバイルゲームのローカライズにおける課題を紹介。

これら課題を解決するために開発されたのが、ローカライズ支援ツール「LION」だった。LIONとは、Webアプリケーションのローカライズフロー支援ツール。

機能としては、いわゆるデータ管理が主で、テキストデータをしっかり一元管理してデータベースにしている。「翻訳メモリというのは、すでに翻訳されている別の文字列から、似たような言葉を翻訳しようとしている時にしっかりピックアップできること」と立浪。

「LION」は、文字列での管理がしっかりとIDと言語に従って差分抽出できるようになっており、利用タイトルはそのテキストを「LION」に置いておけば、後は翻訳されたものを取り出すだけでゲームに反映できるという。

また、各種集計作業や翻訳の提出・差し戻し・受け入れ、メールベースコミュニケーションからの脱却など、各職種をまたいだワークフローをシステム化している。これにより翻訳作業と品質の管理に集中できるようにすることでのコミュニケーションコストの削減を図った。他にも、翻訳ツールとしての一般的な機能も備わっているという。

「LION」の概要、機能を紹介したところで、次に「LION」の開発における取り組みについて。「まず一番は、ローカライズ部門の悩みをしっかり吸い上げるというところ。実務者に徹底的にヒアリングすること」と立浪。

それでも、後になって必要な要件が発覚することも多々あるとし、「立ち戻って考えることは必要かなと思ってやっています」とコメントした。

他にも、SPA化したスプレッドシートUI、翻訳メモリや重複文字列の簡単なピックアップなどフロントの作り込みによる翻訳作業の効率化や、ゲームアプリ側の作りについても「これは「LION」開発というより、ローカライズフレンドリーな作りになっているかを考えていかなければいけないよねというところで、弊社ローカライズ推進部と一緒にチェックシートを作り、これを満たしているとローカライズしやすいという指針を整理しています」と、立浪は語った。

そして今後の展望については、「そもそも運用タイトルのつなぎ込みの検証中なので、現状バンバン回しているというより、これからやっと使っていくというタイミングです」(立浪)。

機能としては、「まず文字列のチェック系の機能を拡充していきたいと思っています。例えば文字数、行数はツール上ですぐチェックできるだとか、UIからはみ出していても言語QAに回る前に翻訳中に検知できたりするであったり、また基本的なスペルチェックなどの部分もも拡充していきたい」とした。

そしてアプリのデバック機能との連携に関して「実機で見たときに表示が崩れているという場合、実際どの文字列が崩れているのかを実機で確認できる状態を作りたいです」と立浪。続けて最終的に将来目指したいこととして、「いわゆる実機プレイしながら翻訳者が翻訳できる状態。これが実現できたら本当に良いなという夢みたいな話ですが、いつか実現さえたいと思っています。あとは昨今機械翻訳の精度も上がってきているので、そことの連携も視野に入れて今後も開発していきたい」と述べた。

最後に立浪は、「世界各地でおもしろいゲームを届けるためのローカライズは、さまざまな手作業、課題が存在していて、モバイルアプリの運用も合わさるとさらに複雑化しています。

そこで発生する手作業や課題を克服するために、いま「LION」を開発しています。この改題解消のための機能を提供していきますが、まだまだ必要な機能もあります。今後も「LION」を使ってローカライズの品質向上、効率化を実現して、グローバルにアプリを配信していきたいと思っています」とメッセージを送った。

取材・文・撮影:細谷亮介

※本記事は2019年3月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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『キン肉マン マッスルショット』4周年運用うら話〜初代&二代目が語る! 幾多のピンチはこうして乗り越えた〜

『キン肉マン マッスルショット』は、超人同士のリアルタイム協力バトルが楽しめるアクションRPGとして2015年3月にリリースされ、今年で4周年を迎えました。今回、初代プロデューサー小林、初代ディレクター黒住、二代目プロデューサー高橋、二代目ディレクター谷口に、タイトルリリース後から現在に至るまでの運用うら話など、これまでの4年間の軌跡を振り返ってもらいました。

歴代プロデューサー、ディレクターにインタビュー

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Profile

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

小林 繁議|株式会社ディー・エヌ・エー
初代プロデューサー。2006年にDeNA入社。入社後はモバゲー、モバオクを経てゲーム事業部へ。現在は新規タイトルのプロデューサーとして奮闘中。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住 豊|株式会社ディー・エヌ・エー
初代ディレクター。家庭用ゲーム機向けの開発会社、スタートアップでのアプリ開発を経て2013年にDeNA入社。『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリースの2ヶ月後にジョイン。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

髙橋 翔吾|株式会社ディー・エヌ・エー
二代目プロデューサー。ゲーム開発会社にて家庭用ゲーム機やモバイルゲーム開発に携わり、2011年にDeNA入社。『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリースの1年半後にジョイン。社内では「ごりさん」と呼ばれている。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口 敢一|株式会社ディー・エヌ・エー
二代目ディレクター。ソーシャルゲームのエンジニアを経て、2016年にDeNA入社。自社タイトルのプランナーを経て、『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリース後の3年目にジョイン。[/su_column][/su_row]

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1年目:CM放送を目指し、泥臭くもがいた苦戦の日々

―― 『キン肉マン マッスルショット』は2015年3月に正式リリースとなりましたが、改めて振り返ると1年目はどのような状況だったのでしょうか?

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小林(以下、しげさん):『キン肉マン マッスルショット』は、マーケティングやプロモーションをDeNAが担当し、開発と運営をカヤックさんが担当する座組みのタイトルとなります。

当時のDeNAにはアプリゲームの開発経験がまだまだ少なかったため、開発を外部のパートナー企業様に依頼させていただいてスタートしました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住当時はDeNAとしても開発は手探りな状態だったため、リリースを優先し、そこからプレイヤーの声などを聞きながら改修を進めていきました。社内には、アプリゲームの運営ノウハウが今ほどなかったので「まずはやってみよう!」ということが多かったんです。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんそのような理由で、最初の1年は私たちの運営の至らなさから、プレイヤーの皆さんにはご迷惑をおかけしたこともあったと思います。

そんな中でも、「CM放送をしたい」という目標をリリース前からチームみんなで持っており、CMを実現させるためにとにかくKPI達成を目指して改修を進めていきました。[/su_column][/su_row]

―― 具体的にはどのような不具合や課題があり、改修を進めていったのですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんゲームプレイの継続率が最初の大きな課題でした。一回遊んでくれたプレイヤーが、また次も遊ぼうと思っていただけなかったんですね。

ただ、その主な理由は「ゲームのローディング時間が長すぎること」だと感じていたので、その解消に向けてカヤックさんと一緒に、改善方法を話し合いながらシューティングしていきました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住ローディング時間の問題以外にも、いろいろ試行錯誤の毎日でした。現在の『キン肉マン マッスルショット』はゲーム内コンテンツが充実していますが、当時はバトルのバリエーションも少なく、イベントのお知らせも十分にできていない、という状態でした。

そのため、プレイヤーにとっての「遊びやすさ」はまだまだ満足のいくものではありませんでした。お知らせの自動化やSNS運用フロー見直し、機能改善など細々と改善を続け、徐々にゲームを遊べる環境を改善していったことが、CM放送前までに手がけたことです。[/su_column][/su_row]

―― そのとき、DeNA側の人員はどれくらいだったのですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさん当時は少数精鋭でしたね。DeNA側のタイトル運営チームは4人の固定メンバーでクイックに改善を進めていきました。人数が多くないのでやりやすかったと思います。

ゲーム内でこまめに定点アンケートも実施して、プレイヤーの声も聞きながら、どの部分が課題なのかも詰めていきました。分析の専門メンバーが参加したのは、だいぶ後でしたね。[/su_column][/su_row]

2年目:座組を超えた越境で、遂にCM実現

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しげさん1年目の後半から2年目にかけて、DeNAとカヤックさんの関係性に変化が出てきました。リリース当初は、DeNAはマーケティングやプロモーションを担当する座組みでしたので、ゲーム開発現場とは一定の距離がありました。

このあたりの体制を含めた課題は、カヤックさんも認識されていて、この頃からプレイヤーの満足度を最大化するためにはどうするか、座組みを超えて頻繁に話し合いを行うようになりました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住私たちがカヤックさんに訪問して、バトルの企画を作ったり、キャラ設計の担当の方とMTGを繰り返し、その場で設計してもらったりしていました。それこそ、リリース直前まで調整を続けて、ギリギリまで粘って考えてましたね。

「もっとこうしたい!」と積極的に提案もしましたし、カヤックさんからも「こういう施策をやりましょう」とアイデアも出していただき、そこから落としどころを探っていきました。当時はこのようなやり方がメインだったと思います。[/su_column][/su_row]

―― 座組みにも変化が起こり、その中でKPIを達成できた。そしてリリース翌年にCMが放送されたんですよね。

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんそうですね、リリース後からCM放送までのマイルストーンを半年スパンで設計し、そこに向けてのひとつひとつのKPIをクリアし、最終的には「この状態まで改善できれば、CM放送をやりましょう!」というプランを練って社内で承認を取りました。そしてリリース翌年のGWに無事に実現することができたんです。

そしてCM放送後は多くのキン肉マンファンに『キン肉マン マッスルショット』を知っていただき、そこからたくさんの方に楽しんでいただきました。また当初の継続率の課題も、改修を重ねてきたことで改善することができました。

このようにして、各KPIも順調にクリアすることができ、自分たちもとてもテンションが上がりました。この頃から、DeNA社内でも「あのタイトルは面白い!凄いらしいぞ!」と注目を集めた時期ですね!
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住ゲームに対してプレイヤーの評価も目に見えて上がるようになり、カヤックさんとさらに協力して開発に力を入れるようになりました。

この頃のプレイヤーからの評価を維持するためにも、機能の追加開発や改修、超人のリリースを加速させようと、カヤックさんには人員増加などの体制を変えていただきました。CM放送後は、このような体制づくりを積極的にやっていたことが多かったですね。[/su_column][/su_row]

―― 二代目プロデューサーである髙橋さんはその頃くらいにジョインしたんですよね?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

髙橋(以下、ごりさん):そうですね、リリースして1年半経った8月にジョインしました。当時はプロデューサーというポジションではなく、メインはプランナーだったのですが、実際には「何でも屋」でしたね。[/su_column][/su_row]

3年目:プロデューサー交代、そして大きな体制変更

―― 3年目に突入し、プロデューサー交代となりますが、その背景を教えてください。

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんメンバーを入れ替えることで、組織をリフレッシュする必要はあると思います。あと私が今後も別の新規タイトルをゼロから生み出していく必要があったため、このタイミングで交代の判断をしました。

ごりさんはプロデューサー志向が強く、黒住さんはディレクター志向だったので、ごりさんに必然的にお任せした感じです。
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―― ごりさんはプロデューサーになってから、何か意気込みあったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん「全盛期は俺がつくる!」と強く思いましたね。ここでさらに押し上げていかないと、このチームに参加した意味がないな、と。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさん当時の『キン肉マン マッスルショット』のダウンロード数は、ある時期から伸び悩み、新規プレイヤー数の拡大はひとつの課題でした。

CM放送も2回実施し、ゲームを楽しんでくれるプレイヤー層へのリーチは、一定のレベルに到達した感じがありました。その中で、3年目は1〜2年目とは違った課題も出てくるでしょうし、そんな中での交代でしたね。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんでもそんなに大変さは感じなかったですよ。僕は外のチームからきたので、それまでの『キン肉マン マッスルショット』とは違った運営をしようと考えていました。これまでの経験をフルに発揮しようと!
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―― ごりさんの前職はゲーム開発会社だそうですが、そこでは何をやっていたのですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんPCのFlashゲームや家庭用ゲーム機、アーケードからモバイルゲームのアプリなど、様々なプラットフォームに対応したゲームのプロデューサーやディレクター、プランナーを経験してきました。

前職では本当にいろんな経験をしていて、実はゲームの広報やマーケティングを担当していたこともあったんです(笑)。

そんな風に、開発部門だけではなく、ゲーム運営における仕事を一通り経験しているつもりなので、現在の『キン肉マン マッスルショット』には今までのノウハウが最大限活かせていると自負しています。[/su_column][/su_row]

―― オールラウンダーとして様々な経験を積んできたのですね! ちなみにプロデューサーに交代してこの時期は、どんな運営を心掛けていたのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんとにかくプレイヤーにどうすれば喜んでもらえるか、を徹底的に考えて実行しました。惜しみなくサービスをプレイヤーに提供するためにも、カヤックさんにはこれまで以上に関係性を向上していこうと試みました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口いろいろ踏み込みましたよね(笑)。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん2年目あたりで、カヤックさんとの距離を縮めていった話がありましたが、僕がプロデューサーになってからはさらに縮めていったと思います。いろいろゲームに対する要望なども話させていただきました。このあたりは前職でのコミュニケーション方法の経験が活きているのかもしれません。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口私もカヤックさんのオフィスがある鎌倉にもよく行って、何度も打ち合わせを重ね、どうやったらもっとプレイヤーに喜んでもらえるかを一緒に考えていきました。

自分たちも向こうに介入しますし、カヤックさんもこちら側のマーケティング施策にも意見を言ってくれます。開発の現場は、一緒に作っている感がすごくあって、雰囲気も良いですね。[/su_column][/su_row]

―― 2年目は泥臭く開発を進めていた話がありましたが、3年目の開発のやり方に工夫や体制に変化はありましたか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口はい、今は1年先のスケジュールまで、マイルストーンをしっかりと設計するようにしています。

運営が長引くとゲーム内のコンテンツも増えていきますし、運用コストだけでなく、新たにやるべきことも増えていきます。いつまでも同じやり方では通用しないので、人員も増えていく中で手法は常に工夫して変えています。[/su_column][/su_row]

―― だいぶ洗練されてきたイメージがありますね。DeNAの中でもチームの人数にどんな変化があったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん3年目を迎えてすごくメンバーが増えました。ディレクターやアシスタント、マーケター、アナリスト、コミュニティマネージャーなどが新たにチームに加わり、できることも一気に増えました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口人が増えてきたので、社内の運営体制もそれに合わせてどんどん変えていきました。たとえば、一度に多くのメンバーのタスク状況やスケジュールを共有する仕組み(開発ツールの導入など)を取り入れたり、会議体も工夫して各メンバーに情報漏れがないようにするなど、社内のコミュニケーションは大事にしてきました。

さらに、前職でのエンジニア時代の経験を活かして、人力でやると手間がかかる作業を効率化するツールを自分で作ったりもしています。[/su_column][/su_row]

―― 3年目はプロデューサー交代や、人員増加とかいろいろあったのですね!

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんそうですね、リリース時からタイトルを支えてくれた黒住さんもこの頃に抜け、一方で谷口さんが二代目ディレクターとしてジョインしてもらうなど、チーム総とっかえみたいな感じでした(笑)[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口確かにその時期は、DeNA側だけでなく、カヤックさんもメンバーの入れ替わりと人員増加がありましたね。

自分はDeNAに入社してすぐオリジナルタイトルのキャンペーンプランナーとして、イベント周りの企画を担当していました。ですが、さらにゲーム全体のディレクションにチャレンジしたいと思って、『キン肉マン マッスルショット』チームに異動してきた経緯があります。

そうやってチーム編成も変化していった3年目から、さらに新しい『キン肉マン マッスルショット』を作っていくフェーズに突入した感じです。
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4年目:コミュニティへの取り組み、そこで得られた手応え

プレイヤーに喜んでもらえるコトに全力投球!

―― 4年目を迎え、思い出に残っているエピソードはありますか?

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谷口3周年イベントで実施した「無料33連ガチャ」は思い出深いです。このようなガチャは今までにやったことないレベルでの大出血チャレンジでした。

さらにもっとプレイヤーに喜んでもらうため、★5超人が3体以上必ず出現し、さらにマッスルショット総選挙で輩出されたキャラの中から1体確定というおまけも付けました。[/su_column][/su_row]

 

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口4年目を迎えると、実装されている超人の数がかなり増えているので、なかなかプレイヤーが希望の超人を入手しにくくなっていた課題もあったんです。

この「33連ガチャ」ではプレイヤーの皆様に選んでいただいた人気のラインナップの中から確定で1体排出とし、かつ無料で手に入るという内容でしたので、本当に多くのプレイヤーの皆さんに喜んでいただけたと思っています。[/su_column][/su_row]

―― 企画の案出しから決定までは、どのくらいですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口大体、企画の案出しから決定までは2週間くらいです。このキャンペーンに関しては、DeNA社内で企画を詰めて、その後カヤックさんと企画の内容をすり合わせていく流れです。

ステークホルダーが多いので、全員がきちんと納得してもらえるようなコミュニケーションを心掛けています。[/su_column][/su_row]

―― この座組みで2週間は早いほうですね。スピード感を大事にしながらプレイヤーに喜んでもらう施策を考え抜いているんですね。ちなみに体制変更後、何かピンチだったエピソードはありますか?

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ごりさんそうですね、2019年2月9日にキン肉マン40周年記念イベント「キン肉マンカーニバル2019」というイベントが開催されたんです。

そのイベントでは会場で、GPS機能を使って限定超人をプレゼントするという企画を実施したのですが、そこにトラブルがあり……。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口会場がまさかの「圏外」で、GPSが使えないという事態になってしまったんです……。

そのため、イベントに来てくださったプレイヤーが限定超人を入手できなくなってしまいました。そこで、急いで公式Twitterで状況をお知らせしたりなど対応をしましたが、本当にあの時は申し訳なかったです。

しかし、緊急事態のためのバックアッププランはいくつも綿密に用意はしていました。GPSを経由しない入手方法も用意していたため、何とかプレイヤーに限定超人をお届けすることができました。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん当初の案内とは異なるカタチでのプレゼントとなってしまいました。当日楽しみにして来ていただいたプレイヤーの皆さまには、本当に申し訳なかったです。[/su_column][/su_row]

―― なるほど、当日は何が起きるか分からない中、様々なバックアッププランを用意しておくのは大事ですね……。他にこのイベントではどのような施策をやられたのですか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口キン肉マンのタトゥーシールも無料で1,000枚配布させていただきました。皆さん喜んで手にとっていただき、あっという間にシールが無くなったんですよ。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口このシールは、タトゥーシールなので汗をかいても剥がれないんです。当日のアーティストのライブ時には何名かの方が「肉」マークをおでこに貼っていただいるのを見かけて嬉しかったですよ。SNSにも投稿してくださって、イベント全体もとても盛り上がりました。[/su_column][/su_row]

リアルイベントで大切にしている、手作り感

―― 『キン肉マン マッスルショット』はリアルイベントを大事にしている印象が強いですが、いかがでしょうか?

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谷口そう思います。うちのチームって、リアルイベントに手作り感があるのが特徴だと思います。外部のイベント会社さんにお願いするのではなく、自分たちで企画して、当日の小道具とかも自分らで工作したりして、学園祭の前日みたいな雰囲気がありますよね。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住そうそう、イベント当日に配布する用紙とか自分たちで買ってきて、それをみんなでハサミで切ってたりしてたね。

あと、会場をおさえるためにプロデューサーがめちゃくちゃ電話してました。当時、しげさんに「電話ばかりしてないで、ちゃんと仕事してくださいよー」って言ったら、「これが仕事だ!」って(笑)。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさんそう、いっぱい電話しました。会場が空いてなくて(笑)。1〜2年目のとき、実はCM放送以外にもリアルイベントやコラボ(※1)もやりたかったので、実現できてよかったと思います。
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<編集部注釈(※1)>
2016年7月にはリアルイベント「キン肉マンの日火事場の延長戦!Muscle Summer Festival(M・S・F)」を開催し、翌年以降も定期的にリアルイベントを開催している。

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ごりさん最初の1〜2年目の運営は完全に社内のメンバーだけでしたね! 僕ら以外に、社内のほかの部署から有志を集めたりして、全部自分たちで運営しました。

今でもはっきりと覚えているんですが、僕がこのチームに異動してきた初日がリアルイベントの開催日で、キン肉マンの等身大人形を抱えて渋谷のセンター街を歩いたりしました(笑)。[/su_column][/su_row]

―― DeNAの運営する各ゲームでは、リアルイベントが活発に行われている印象もあります。『キン肉マン マッスルショット』はその先駆けだったのでしょうか?

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ごりさん今思えば、そうだと思います。DeNA社内にリアルイベントの存在がなんとなく広がったのは、『キン肉マン マッスルショット』が最初かも知れません。僕も最初は「リアルイベントって何?」って思っていました。なんでゲームのイベントで人が集まるのかと疑問を持っていたんです。

でもリアルイベントに初めて実際に参加したときに、思った以上にゲームに熱狂してくれているプレイヤーがたくさん来ていて、すごく驚きました。開始前には長蛇の列もできて、めちゃめちゃ嬉しくなりましたね。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住リアルイベントのおかげで、プレイヤーの熱量を直接感じられるようになりましたよね。リアルイベントで実際にプレイヤーの声を聞きつつ、それをゲームの中身に反映させていくサイクルも、この頃から始まったんじゃないでしょうか。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさんそうですね。運営が長期化するタイトルが世の中にたくさん出てくる中、いかにプレイヤーの皆さんにずっと楽しんでいただくかを考えた時、熱量を維持することができるコミュニティ運営の重要性が、だんだんと見え始めてきた時期なのかもしれません。

何より、プレイヤーの熱量をダイレクトに感じられる環境で僕らもテンションがドンドン上がるので、定期的にやりたくなっちゃうんですよね。もっと喜んでもらいたいって!
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―― そして昨年の「海の家」も?

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ごりさんCM放送などとは違ったアプローチを考えていたときに「海の家」の話題が社内に挙がっていて、実施することになりました。

オリジナルの食事メニューを用意したり、ゆでたまご先生が来てくださったり、本当に盛り上がったと思います。
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―― やはりコミュニテイの力を重視しているのでしょうか?

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ごりさん去年はまさにそういうフェーズでした。『キン肉マン マッスルショット』を遊んでくださるプレイヤーは、往年のキン肉マン世代だけでなく、親子世代、そして現在も連載は続いているので、最近ファンになられたプレイヤーなど様々です。

4年目以降はプレイヤーとの直接的なコミュニケーションを増やし、どういうニーズがあるのか、そして何を期待されているのかを受け取って、さらにその期待値以上のものを実現していければと思います。
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5年目:版元との関係性、そして今後の決意

―― リアルイベントでは、ゆでたまご先生も来場されているシーンをよく見かけます。4周年を迎え、版元との関係はどのような変化があったのでしょうか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

しげさん最初から関係性はすごい良かったと思います。もともと「キン肉マンの日」というのが29日の金曜日に当たる日(金29=きんにく)にあって、『キン肉マン マッスルショット』をリリースする前は、別のコミュニティでキン肉マンを盛り上げていました。

そのようなキン肉マンファミリーの中で、スマホゲームの『キン肉マン マッスルショット』は新参者なので、ゲームがキン肉マンファンに喜んでいただけるのか、コミュニティを盛り上げることはできるのかな、など多くの不安は消えませんでした。

でも実際には、『キン肉マン マッスルショット』をきっかけにし、たくさんのキン肉マンファンに盛り上がっていただくことができました。その後も、私たちの企画にはゆでたまご先生を含め、多くの関係者の方にも喜んでいただき、リアルイベントにも何回も来てくださっています。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん長期運営を続けていくことで、ゲーム自体の中身もより良くなっています。開発や運用体制もいい意味で安定し、ゆでたまご先生や出版社の皆さんと「これからも協力して盛り上げていこう!」という雰囲気にもつながっていますね。

そして今年は「キン肉マン」原作40周年で、『キン肉マン マッスルショット』も4周年という節目の年になります。特に4周年イベントでは、昨年以上の期待に応えられるように、たくさんのネタを仕込みました。

とにかく今は、プレイヤーの皆さん、そしてキン肉マンのファンの皆さんに喜んでもらうことに集中したいですね。ぶっちゃけ、ビジネスとか関係なく(笑)。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口そうですね、 僕もめちゃめちゃ気合い入れてがんばっていきますよ!

今回の4周年のリアルイベント(2019年3月29日開催)では中井先生も来ていただき、ゆでたまご両先生が揃った初のイベントになりました。これからも「キン肉マン」をどんどん盛り上げていきたいですね![/su_column][/su_row]

[su_button url=”http://muscleshot.jp/anniversary/4th/” target=”blank” style=”soft” background=”#BB0311″ size=”6″ center=”yes”]【4周年記念特設サイト】
キン肉マン マッスルショット[/su_button]

――5年目は、どのようなデライト(喜び)をプレイヤーに届けていきたいと考えていますか?

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

ごりさん私がプロデューサーに就任した後、ゲーム内外で不手際もいろいろあったと思います。そしてまだまだ実現できていないことも多く、正直プレイヤーの皆さんにご迷惑をおかけしたと思っています。

ですので、5年目は今まで達成できていないことを実現する年にしていきたいですね。『キン肉マン マッスルショット』だけでなく、キン肉マンというIPがさらに盛り上がっていくことが、僕らの目指したいこと。そこを目指していかないと、僕らの仕事には意味がないと考えています。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

谷口このゲームがここまで続いたのは、プレイヤー一人ひとりのキン肉マンへの愛があってこそだと思います。

ゲームを運営している中、ときにはプレイヤーの皆さんからお叱りをいただくこともありますが、新しい超人をリリースして「いいね!」とか「次はあの超人を出してほしい」などご意見をいただき、キン肉マンへの愛をとても感じています。

今後リリースしていく際に、プレイヤーの期待を裏切らないようにすることと、作品に対する愛を裏切らないように安定したサービスを提供したいと思っています。そしてそれ以上に、プレイヤーに驚きと感動を継続して提供していきたいと日々考えています。
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以上、『キン肉マン マッスルショット』チームのこれまでの軌跡と、これからの想いをお伝えしました。

苦戦してきた1年目からCM放映をきっかけに、ここまでどのように成長してきたのか、チームの熱い気持ちと「キン肉マン」に対する深い愛を感じられるインタビューとなりました。

今後、ゲーム内施策はもちろん、リアルイベントなどでも驚きのアイデアでプレイヤーをさらに喜ばせてくれることを、今後も期待したいと思います!

インタビュー後日、オフィスの隅でリアルイベントの準備(封入作業)をしている様子
(撮影:GeNOM編集部)

■公式サイト
https://muscleshot.jp/

©ゆでたまご/©COPRO/©DeNA

※本記事は2019年3月時点での情報です。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【ギャラリー紹介4~5月】『トリカゴ スクラップマーチ』のイラストを展示! 描き下ろし担当の米倉実穂にインタビュー

DeNA本社(渋谷ヒカリエ21階)の待合ロビーに設置されている特設ギャラリー「DeNA CREATOR’S WORLD」では、DeNAのゲームタイトルに携わるアーティストの作品が、数ヶ月単位で入れ替わり展示する企画が開催中です。

2019年4月~5月の期間は、DeNAよりリリース予定のスマートフォン向け新作RPG『トリカゴ スクラップマーチ』に使用されている、公式のメインビジュアルやイメージイラスト、登場キャラクターを描いた作品が多数展示されています。

GeNOM編集部では本企画の模様と、作品を手がけるアーティストやクリエイターにお話を聞く特集を組んでいます。2~3月展示についての紹介記事はこちらから!(前編後編

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描き下ろしイラストを担当した
米倉実穂に聞きました

『トリカゴ スクラップマーチ』のメインビジュアルやキャラクターたちが描かれた展示作品の中で、描き下ろしイラストを手がけたアーティストの「米倉実穂」に、作品に懸ける思いをインタビューしてきたので紹介します。

ちなみに本イラストには、ゲーム内に登場するシロキツネのライラとユウユの双子、そしてハイイロオオカミの執事ジェリコが描かれています。

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米倉実穂:Profile
美術専門学校卒業。在学中はイラストを中心にデジタル作品を制作。その後はゲーム会社で2Dデザイナーとして活動、2017年にディー・エヌ・エーに入社。現在は『メギド72』のキャラクターデザインを中心に2Dアート制作に携わる。[/su_note]

――今回の作品の制作意図やコンセプトを教えてください。

『トリカゴ スクラップマーチ』のゲーム内に出てくるイラストが、キャラ同士の関係性を魅力的に描いていたので、今回のイラストでも1枚の絵に、シーンイラストのように物語性を持たせたいなと思いました。ドアを開けたら出迎えてくれている、性格が全然違う双子と、後ろの執事のキャラが意味深に隠しているものは……という感じのイメージで作っています。

――今回の作品はどのような技術・手法で描いていますか?

クリスタでラフから仕上げまで描いています。

――今回の作品を描く上で、特に大変だった点を教えてください。

ラフの時点ではキャラ以外の配色が全然決められていなかったのですが、彩色の過程で逆光で暗くなりすぎないよう、ところどころにビビットな色づかいを心がけました。

ラフ(左)・完成版(右)

――アーティストとして仕事をする上で、大切にしていることは何ですか? 

みんなに広く愛されるデザインも大事にしつつ、すべてが万人受けじゃなくていいと思っています。少し変わった発想、尖ったデザインを落とし込みたいなと思っています。

――DeNAで仕事をする上でのやりがいを教えてください。

DeNAに入社してからずっと『メギド72』に関わらせていただいていますが、ゲームのファンでもあるので、それぞれ個性のあるキャラクターたちを描けることに、とてもやりがいに感じています。会社ではさまざまな人の意見が集約して、一つの形になっていくのを見ることができるので、自分への成長にもつながっているなあと感じます。

――今後アーティストとしてどのように活躍したいと思っていますか? 

その時々の感性をイラストにも表現していけるように、柔軟に対応できるアーティストを目指したいなと思います。

――ありがとうございました!

次回の展示作品にも乞うご期待!

特設ギャラリーでは、数ヶ月ごとに展示作品が変更される予定です。今後も展示の様子やアーティストたちの「ものづくり」への想いを紹介していきますので、ご期待ください! 

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

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【DeNA分析部特集Vol.4】Kaggleトッププレイヤー陣と事業課題の解決に奔走するMLアナリスト―信頼関係が生み出す強固な連携とは

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

今回は、分析部のMLアナリスト山川要一と、自身もKagglerであり、データサイエンスグループでKaggler陣をまとめる原田慧を迎え、彼らの密接な連携手法にスポットを当てたインタビューを実施しました。

Kagglerと目指すミッションは”分析の高度化

――はじめに、お二人の経歴を教えてください。

原田慧(以下、原田):私は大学院で数理学の博士号を取得したのち、金融機関向けのデータ分析を行う会社に入社しました。そこでは機械学習を活用した金融機関の支援をするデータ分析などを担当し、そこで7年近く勤めた後、2018年2月にDeNAに転職しました。

DeNAでは、オートモーティブ関連事業に関わる分析を主に担当し、2018年8月からマネージャーとして、オートモーティブ以外のプロジェクトにも横断的に加わっています。

山川要一(以下、山川):僕は企画者としてDeNAに入社して、1年目はアプリの企画や分析を担当していました。2年目からは分析部に異動して、ゲーム領域において分析業務を本格的に行っています。

実際の業務としては、いわゆるアナリスト的な役割でKPIを集計し、より難易度の高い課題に対してゲームタイトルの各プロデューサーと一緒に取り組んでいます。上流の課題を見ていく中で、これまでのKPI集計で終わるのではなく、もっとプレイヤーに寄り添った分析をすると、何が実現できるかを日頃から考えています。

そして原田さんが率いるKagglerの方々と一緒に、分析のさらなる高度化を目指して、新たな分析手法の開発や、そもそも分析組織のあるべき姿を定義するような仕事をしています。

――分析部のMLアナリストのミッションは具体的にどういったものでしょうか?

山川:ミッションについては先程もお伝えしたように、「分析の高度化」です。DeNAでは従来の分析基盤が整っており、例えばプレイヤー数の推移など、多彩なデータをクロス集計レベルで分析できる環境があります。

ただ、これまでの分析結果だけではわからないような、プレイヤーの趣向性や行動予測にもっと取り組めないかと考えていて、新しいデータサイエンスを取り入れた分析手法にも取り組んでいます。

――一方、原田さんはKagglerをまとめている立場ということですが、現在DeNAにはKagglerは何名在籍しているんですか?

原田:当初は私も含めて3名からのスタートでしたが、今は社員が10名、アルバイトで3名が所属(※2019年2月時点)しています。

【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた
https://genom.dena.com/event/techcon2019_kaggler/

――日々KaggleをやっているKagglerの皆さんですが、ゲームをプレイすることはあるんですか?

原田:Kaggle自体が、ネットゲームをプレイする感覚に近いんです。ユーザーランキングや、ゲーム内イベントの仕組みもKaggleに近い要素があるので、大学生の頃ゲームにすごくハマっていたメンバーは多いです。特にKaggleに熱狂的な人は、かなりの『逆転オセロニア』好きなので、メンバーの多くはダイヤモンドクラスに到達しています(笑)。

密接な連携による、効率的な課題の解決

――山川さんと原田さんはお互いの部署間で仕事を進める際、どのような連携を取っているのでしょうか?

原田:2人で毎週定例MTGを設け、山川さんが集めてきてくれたゲーム事業部および分析部が抱えている課題に対して1つずつチェックし、データ分析で解決できそうだと判断したら、担当Kagglerをアサインして実際に動き出していきます。

山川:MTG時には、事業部側ではどんな動きがあるのか、できるだけ細かく原田さんに共有するようにしています。

横断組織であるKagglerのチームは、各事業部が持つ課題がどうしても見えにくくなります。逆に、私たち分析部は日々事業部の中でチームと一緒に動いているので、各タイトルが実際にどういう課題を持っているのかを吸い上げることができます。

そのように表面化した課題について、原田さんと一緒にまずディスカッションしていく流れになっています。

原田:私たちはその課題に合わせた手法や解法、データ分析で解決できるのか、より簡単な分析を粘り強く続けて解決するのかなどを判断しつつ、今後の進行方向を決めていきます。

それからもう1つ、分析部の中で「データ分析技術強化」という取り組みがあり、そこに私を含めたKagglerのメンバーが2名参加しています。この取り組みは、データ分析技術の基本的を学ぶOJTのような役割を持っており、勉強も兼ねながら、案件を一緒に進めることにもトライしています。

――DeNAの各タイトルにはそれぞれアナリストが担当していると思いますが、山川さんが事業部内の課題を集める際、ヒアリングするのは各アナリストなのか、それともプロデューサーなのでしょうか?

山川:一番多いケースはアナリストですね。ただ状況によってはプロデューサーから直接聞くこともありますよ。『逆転オセロニア』なら、担当アナリストである松﨑さんやけいじぇいプロデューサーから、タイトル運営の課題をヒアリングしています。

【DeNA分析部特集Vol.1】3周年を迎えた『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?
https://genom.dena.com/develop/analyst/

――そうして吸い上げた課題に対して、自分自身でできる、できないを判断して、難しいものを原田さんに持っていくと。

山川:いえ、基本的にデータサイエンスに関わるものはすべて原田さんと一緒に見ています。僕自身が適切な判断ができない場合もあるので、リスクを回避する意味でも、原田さんに確認してもらうのが一番確実だと考えています。

――山川さんが原田さんに各タイトルの課題を吸い上げて持っていくときは、どのように持っていくんですか。

山川:まず「長期滞在者を短期行動から分類したい」「デッキ編成の最適化を考えたい」といった大枠の目的が決まっている課題を持っていきます。それを原田さんが裏を読み、もう少し深く細分化して、分析の可能・不可能の提案をしてくれます。

原田:案件によっては、最初から一緒に取り組む場合もあります。問題解決の基本は、1つの難しい問題を分解するところにあると思うんですが、それにはドメイン知識も必要なんです。山川さんのような、その能力に優れたアナリストがいてくれると、判断作業がとてもスムーズに進みます。

山川:課題の解決方法について、例えば難易度レベル10の事業課題があるとします。それを機械学習でいきなり最初から全工数を投入して挑むのは、他の進行中の課題との兼ね合いや、経営判断的にもなかなか難しいと思われます。

そこで、アナリスト側で難易度レベル10の問題を、「難易度レベル1×5タスク」「難易度レベル2×1タスク」「難易度レベル3×1タスク」といった形に分解してみます。

このようにステップを踏んで解決していけば、最終的には難易度レベル10の案件をクリアできますよね。このような的確なブレイクダウンなら、難易度レベルに応じたタスクを判断しやすく、可能・不可能の見極めも素早くできるメリットが生まれます。

原田:Kagglerは小さなタスクなら、わずか1日で終わらせることもできるので、分解する意義は大きいと思います。逆に分解してみて、ものすごく手強い問題だと分かれば、元の大きい問題の解法の方針を少し変更したり、ブレイクダウンの方向性や、そもそもの問題設定を見直す必要があることを、事業側と交渉する選択肢を生むことなども可能です。

――ちなみに運営する各タイトルごとに見ている分析は違うのですか?

原田:はい、違います。ですが、ゲームシステムに”デッキを組む”ような共通要素を持つタイトルでは、目的が似通っている部分もあります。プレイヤーにどうやって楽しんでもらうか、継続的にプレイしてもらうにはどうすればよいのか、といった課題感については、タイトルごとであまり変わらないかも知れませんね。

山川:クリアしやすいデッキの組み方など、すべてのプレイヤーが自力でベストな組み合わせを見つけられるわけではありません。そこで、組み合わせを分析し、ゲーム内の施策を考えれば、オススメ編成のような仕組みを入れるなどの検討も可能になります。

このように、ゲーム内でプレイヤーが快適に過ごすためのサポートを担う分析は、とても汎用的で、ニーズも高いんです。

――なるほど。では、実際に現場からはどんな課題が上がってきて、どう進めようとしているかという具体例があれば。

山川:ゲームを遊びたいと考えている方は、さまざまな広告チャネルをきっかけに、好きなゲームをダウンロードしてプレイを開始することが多いと思います。そこで、どんなプレイヤーがどこでゲームを知り、どれくらい継続的に楽しんでいるかを把握することで、広告の投資効果の検証をしていきたいという要望が求められています。

それを目的とした分析結果は、どのSNS広告が効果的なのかを決める際に役立ちます。プレイヤーの180日後の行動はその日には計測できませんが、1週間や1ヵ月など、中長期的に予測できるようになれば、ある程度の傾向を知ることが可能です。

1週間のデータを使って得た指標をもとにすれば、広告の出稿方法を変えるなどの投資判断に使えると考え、プレイヤーの行動を予測する取り組みに挑戦しています。

原田:このような”予測”というキーワードが出てくると、Kagglerは活躍しやすいです。そもそもKaggleで日々やっているのは、「今までのデータを与えるから、未来の何かを予測しなさい」といった予測の問題なんです。

無論、未来予測ではない問題もKaggleにはありますが、基本形は与えられたデータから道の何かを予測するというものになります。

――DeNAでKaggler枠が出来て、実際にKaggleメンバーが集まってきました。山川さんの立場として仕事をする上でどのような点がメリットだと感じていますか。

山川:やはり、分析者からのアウトプット品質が、段階的に上がったと感じています。KagglerがDeNAに集まったことによって、今までできなかった取り組みを実現できるようになってきたことを実感しています。

特に、プレイヤー数の予測精度が上がったり、今まではわからなかったプレイヤーの特性が見えたことは大きなメリットです。Kagglerが参加したことで分析結果がレベルアップして、施策にうまく活かすことが可能になり、プレイヤーニーズに応えられるサービスを作れるようになってきたのは、組織としては大きな前進です。

――お二人はお互いをどういう存在だと感じていますか。

原田:私から見ると、山川さんはとても頼りになる人です。何か問題が起きても、とりあえず山川さんがどうにかしてくれると……(笑)。

山川:僕も原田さんは神様のように、頼りにしています(笑)。僕はアナリスト側、原田さんはKaggler側で自分の役割を持ちつつ、お互いに信頼し合えて良い形で連携できていると感じています。一緒に働く中で、長所を引き出し合っている気がしますね。

また、原田さんは良い意味で介入しないで任せてくれますし、こちらが悩んでいることも親身に相談に乗ってくれます。お互いのプロフェッショナルな部分を尊重しつつ、違う部分も受け入れつつ、協力できているのはとてもありがたいなと思います。

MLアナリストに求められるスキルや経験

――Kagglerと事業部のハブのような役割を担う山川さんのポジションには、どのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。

山川:主に3つ挙げられます。1つは事業責任者視点で、これが一番重要ですね。細かなタスクはいくらでも作ることはできますが、それを解くことに意味があるのか、そもそも何が最優先で最重要な問題なのか、課題に対する優先順位を付ける視点が必要になります。

2つ目に問題設定です。事業として設定した目標や理想が達成できればOKなのか、収益など他の要素も複合的にチェックしなければならないのかなど、問題の本質を見誤ることなく、事業で最も大事にすべきことの定義ができることです。

3つ目は、Kagglerの方と対話をする上でのデータサイエンスの知識です。Kaggleに関してMasterまで到達せずとも、いくらかは勉強して欲しいですね。手法の選択や解決方法を日頃から考えたり、意欲的にサービス改善のために何ができるか、アイデアを膨らませることが大事だと思います。

原田:もちろん、Kaggler側の努力でいくらか改善できる部分もあります。我々Kagglerも若いメンバーからシニアメンバーが在籍しているので、技術面の足りないところはフォローができますし、「これってどういう意味があるの?」といったざっくりとした観点でも一緒に考えることができます。

――今後の話になりますが将来のビジョンや目標などがあれば教えてください。

山川:視野をさらに広げていきたいですね。分析部はゲーム事業に直結している組織なので、アナリストがもう少し幅広い課題まで目が届くようになって、全社レベルのいろいろな課題を引っ張って集約できると良いと考えています。その上で優先順位をつけて原田さんたちKagglerに相談できれば、全社的にも常に高いバリューを出せるんじゃないかと思っています。

――最後に、アナリストとKagglerが連携して新しいことに挑戦し続けるDeNAという会社はどういうところが魅力でしょうか?

原田:さまざまな事業を複合的に推進している、おもしろい会社だという印象は入社前から変わっていません。実際に入社して魅力的だと思ったのは、データ分析に関してほとんどの人が前向きだということですね。

DeNAはデータ分析に対する基盤がしっかり構築されていて、当たり前にデータを集めています。データを分析すれば必ず何か良いことがあるはず、ということに対して疑っている人がいないんです。Kagglerにとっては、とても働きやすい環境だと言えますね。

山川:「あなたはこの役割だからこれだけやっていればいい」というような、決まったラベルを貼らない風潮も魅力かも知れません。

僕は分析担当ですが、いろいろな事業に関わらせてもらっていて、新規事業責任者の相談相手になることもありました。誰が何をやっても、それが意味のあることなら実行する、という風土を持った会社なので、責任も大きいですが、強いやりがいも感じられます。

さらに自分の専門領域ではない部分にもチャレンジできますし、それを否定する人がいないのも嬉しいです。DeNAでは「こっちの事業に口を出してくるんじゃない」と言われることはまずありませんよ。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【イベントレポ】GDM ローカライズ勉強会Vol.1 ~多種多様なゲームタイトルに対応する為のローカライゼーションとは?~

毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

今回初の開催となるローカライズ勉強会では、 「多種多様なゲームタイトルに対応する為のローカライゼーションとは? 」 と題し、登壇者が考えるゲームローカライズのあるべき論と、攻めのグローバル展開に必要なローカライズ業務について、DeNAにてローカライズ業務を担当する「藤村 弘也」よりセッションが公開されました。本稿ではそのレポートをお届けします。

ほぼ満席となった会場で実施された今回の勉強会。冒頭では司会を務めるDeNAの「藤村 幹雄」より、セッション時の注意事項や、GDMに関連した告知がなされました。

DeNA藤村幹雄DeNA藤村幹雄

自分たちが取り組むローカライゼーションの本質

続いて登壇した藤村弘也から、簡単な自己紹介として、元ロックギタリストでロンドンでバンド活動をしていたり、音楽プロデューサーとして楽曲制作に携わってきた、ちょっと異色な経歴を明かされました。

セッションを始める前に、日本の会社でよく聞く「お疲れ様」という挨拶について、来場者に向けて「英語ではどのように伝えると思いますか?」との質問が投げかけられました。

会場には、気持ちの良い静けさがスーッと広がります。

実は、過去に海外スタッフとの会話のやりとりで実際に体験したことで、当時藤村はその答えとして

「Thank you very much for attending the conference.」
「Thank you for coming.」

と翻訳して答えたところ相手に、

「英語で疲れたって言ってないじゃないですか!? 」

とツッコまれたとのこと。日本ではお疲れ様という言葉は、ねぎらいと感謝をこめて使われていることが、うまく海外の人には伝わらなかったのかもしれません。

このような「言葉文化のズレ」をコントロールしてゲームに仕込んでいく、それが自分たちが取り組むローカライゼーションの本質だと、藤村はセッションの前段として話しました。

DeNA藤村弘也

DeNAゲーム事業の特色とグループのミッション

現在のDeNAのゲーム事業は、タイトルのすべてがモバイル向けのゲームであり、リリース後も運営していくことを前提に開発がされています。ジャンルは多種多様で、運用のスキームも複雑になっています。

藤村が考えるゲームのローカライゼーションとは、ゲームの楽しさ・面白さを損なわず、作り手の演出や狙いを、言語が違う国でも現地のプレイヤーに正しく伝えることと述べています。

そして、ローカライズグループのミッションを、

「攻めのグローバル展開をサポートする、強いローカライズグループ」

と掲げました。

強いローカライズグループに成長するための課題

先に述べたミッションを達成するためには、ローカライズの業務が体系化されている必要があり、DeNA社内での現状の問題点を挙げ、あわせて解決策を紹介しました。

【問題点】開発環境がローカライズ仕様になっていない

文字列のID管理されていない、テキストがプログラムに直打ち、ファイルフォーマットがまちまちになっている、などローカライズ仕様になっていないのが現状です。

【解決策】開発環境がローカライズ仕様になっていない

この問題に関しての解決案は「ローカライズTRCの導入」。

ローカライズTRC(Technical Requirements Checklist)とは、社内ルールやガイドラインとなるチェックリスト(仕様書)ツールのことで、DeNAゲーム開発における独自のローカライズ規格を策定し、このTRCを開発タイトルすべてに標準導入することを検討しています。

※TRC(Technical Requirements Checklist):Play Stationプラットフォームでリリースする際のSIEマスター規格チェックリストのこと。

DeNAローカライズTRCを導入すれば、文字列のID管理や命名規則などをまとめてチェックすることが可能になり、ストレスがないローカライズフレンドリーな開発環境が整います。

【問題点】文字列が一元管理されていない

マスターテキストが各プロダクトごとに点在していることで、該当テキストの検索の不便さ、表記ゆれの管理、過去の翻訳との整合性が取れないなどの問題が起こっています。

このような状態が続くと、テキストの品質コントロールが不可能になり、業務推進がマンパワー依存になってしまいます。

すると、手作業によるミスの多発、バグの見逃し、余計な工数……それが重なって慢性的に残業状態になり現場スタッフは疲弊していきます。このような状態では、品質の担保もできず到底ミッションをクリアすることはできません。この課題の解決は急務だと判断できます。

【解決策】文字列が一元管理されていない

この問題に関しての解決案は「LIONの導入」。

「DeNA TechCon 2018」にて紹介された社内ローカライズ支援ツール「LION」を導入、現在開発・調整中のため、詳細は公開されませんでしたが、このツールを使うと文字列単位の管理や、翻訳業務の進捗管理、用語集などを一括管理可能になるとのこと。

※LION:DeNAにてローカライズ業務用に開発している社内ローカライズ支援ツール

さらに同プロジェクトを開発チーム・ローカライズチーム・翻訳会社とそれぞれ職種別に操作できるようになります。

上記の課題解決策で、現場作業の煩雑さに改善効果が生まれてきます。

ここで重要な働きをするのが、責任者として現場で業務に取り組む「ローカライズコーディネーター」の存在です。

ローカライズコーディネーターとは

コーディネーターとは、開発チーム内のテキストローカライズの責任者、外部翻訳会社と連携してローカライズ業務を推進するスタッフのことを指します。

彼らに求められることとして、ある一定レベルは必要で、それに加えてゲームというエンタメ開発に携わるからには、おもしろい発想や多彩な感性を持つ人が必要だと藤村は話しました。

また、過去に藤村がロックバンドでギターを担当していたときの経験で、グループマネジメントは、バンドがギターを弾いていい音を出すことに似ていると語ります。

ギターは頑張って弾くのではなく、ギター自身が気持ち良くなるように触れてあげなければならないとのこと。

なので「こんなに練習したぜ! 」と気合いを入れて頑張って弾いても、ギターはうまく鳴らず、バンド全体の音もめちゃくちゃになってしまい、音楽として成り立たなくなります。

ですが、各パートの楽器の音が気持ちよく共鳴しだすと、お互いの響きを活かすようになり、全体の音楽のクオリティが足し算ではなく掛け算になっていくということ、つまり「それぞれが気持ちよくパフォーマンス(仕事)ができる」ことが大切だと、バンド時代に気づいたと語っています。

欧州・米州・中国などのリリース地域ごとにおける課題

ここからは、事前にフォームにて投稿された質問について、藤村からの回答が公開されました。

体験談をもとにした文化的な違いについて

ここで、藤村がロンドン在住時代、ニューヨークに旅行をしたときの「言葉と文化の違い」についての体験談が語られました。

「便器を貸してください」

藤村がハンバーガーショップでオーダー待ちをしていたときのこと。アメリカ人が「バスルームを貸してください」と店員さんに頼んでいるのを聞いて、驚きました。

ですが、店員さんは何事もないように「そちらの奥にあるのでどうぞ」と案内をしました。

アメリカでは、トイレを貸してほしい時に「バスルームを使わせてください」と言うようで、日本のように「トイレを貸してください」とは言わないのです。アメリカではトイレ(Toilet)は便器そのものだけを指す様です。ちなみにイギリスでは「トイレを貸してください」が普通とのことです。

「熱くないラーメン」

異文化体験のお話。藤村がロンドンでイギリス人の友人と話題のラーメン屋に行ったとき、先に友人に運ばれてきたラーメンを、すぐに食べ始めている様子を見て、違和感を感じたと言います。

続いて藤村の元に運ばれてきたラーメンの器を触ってみると……なぜか人肌の温度、つまり、熱くないラーメンだったのです。

すぐにウェイターを呼んで抗議するも、ウェイターは真顔で「熱かったら食べられないじゃないか」と不思議そうに答えたそうです。

もちろん、冷めたラーメンを出されたわけではなく、人肌で食べやすくというサービス心からなのです。

上記の経験のような、日本では考えられない、異文化の違いが毎日のように起こったそうです。通用しないことは通用しないと、自分の習慣だけにこだわるのをやめて、まずは「異文化を面白がる」ことが大切だと藤村は話しています。

現在主流になっているローカライズフローで良いのか?

標準的なワークフロー

現在のDeNAでのローカライズ業務に関する、大まかなワークフローは以下になります。

1.開発チームからの翻訳依頼
2.依頼とりまとめ発注
3.翻訳会社で翻訳
4.納品テキストの検品
5.ゲームへ実装
6.LQA ※言語実機テスト
7.バグ修正
8.マスターアップ

ローカライズTRCとLIONの運用効果が出るフェーズ

今回の課題解決として提案したローカライズTRCおよびLIONを導入すると、上記1.2.4.5.7.8について作業工数の削減が期待できます。

ローカライズTRCとLIONの運用効果が多くないフェーズ

逆に、上記「3.翻訳会社での翻訳」と「6.LQA」の作業については、翻訳の品質そのものを扱うフェーズになるため、ローカライズTRCおよびLIONを導入しても、「煩雑になる業務を整理する」観点としては、大きな効果は出ません。

改善課題についてさらに考えてみる

上記「3.翻訳会社での翻訳」と「6.LQA」について、3で翻訳作業を完成させているはずなのに、6でバグが発生します。

それはなぜでしょうか?

理由は、「3.翻訳会社での翻訳」のフェーズで、開発側から翻訳会社へ必要な情報を「すべて」提出できていないため、翻訳者がすべての仕事を明確にチェックできず、翻訳が完了した後に仕様変更が入り、再翻訳が必要になってしまうからです。

開発中のため、資料などが揃わずに仕様変更も仕方ないことではありますが、環境が揃わない中での完成度の高い翻訳をするのは至難の業です。

さらに、翻訳テキストの品質担保を「6.LQA」フェーズに全依存しているので、テスターからの修正案をコーディネーターが受付後、修正案を翻訳者に確認してからテキスト修正して実装する手間がさらにかかります。

ならば、翻訳者が実機でゲームプレイをしながら仕様を確認して作業できたら良いのではないでしょうか? そこで機械翻訳を導入することを考慮していきます。

機械翻訳の導入で効果的にコストを減らす

広く知られているニューラルマシントランスレーション(NMT)とは、ディープラーニングと呼ばれる人工知能(AI)に自動学習させる機械翻訳のことです。この機械翻訳をどのように使用すれば、効果的に課題を解決できるのかを、フローに組み込みながら考えていきます。

標準フローの「3.翻訳会社で翻訳」にまず機械翻訳を導入、「6.LQA」実機テストでのフェーズで翻訳者はテスターと協力して翻訳作業を行います。ここで翻訳者は最初の翻訳になりますが、すでに機械翻訳したテキスト参照を、実機ですぐにできることが強みになります。

さらに、仕様もすべて確認できる状態で作業ができることもメリットに。

機械翻訳を入れる効果と翻訳者の作業環境

標準フローの「3.翻訳会社で翻訳」では、翻訳コストが大幅に削減され、社内の対応コストも最低限に、スケジュールの短縮も可能になります。

標準フローの「6.LQA ※言語実機テスト」では、LQA開始が早くなり、テスト期間を長く取ることができ、品質担保が効率的になり、バグも減っていきます。

すると、現場のコーディネーターの対応コストが減って、負担も少なくなっていきます。

今後の課題

・機械翻訳の翻訳精度は十分か
・自動学習させるために翻訳データベースの確保はできるのか
・仕様確認のためのデバッグコマンドを実装できるか
・そもそも開発スケジュールに落とし込めるか

など、今後もこれらの課題について、藤村をはじめとしたローカライズグループがひとつずつ、課題に向き合って解決いくとのことです。

また、次回以降の勉強会などで進捗を公開していくとともに、これから一緒に議論を繰り返して、ゲーム業界におけるローカライゼーションの価値を上げていきたいと、セッションを締めくくりの言葉としました。

懇親会の様子

参加人数が多かったため、急遽会場を拡大して実施された懇親会では、お寿司とピザや軽食を楽しみながら、来場者がさかんに交流しました。登壇した藤村には次々と質問が飛び交い、かなりの盛り上がりを見せていたのが印象的でした。

登壇した藤村にインタビューを敢行

セッション終了後に、登壇した藤村弘也にイベントの感想や、次回以降の展望などのお話を聞くことができました。

――セッションを終えての感想と手応えを教えてください。

第一回となる今回は、あまり深く掘り下げないようなお話をしたのですが、刺さった部分はみなさん違ったみたいで良かったです。もともと自分はTech系エンジニアではないため、LIONやローカライズTRCなどツールに関しても、概要を話しただけなので、リクエストがあれば次回以降で各担当者にお願いして、さらに細かい粒度のセッションにしてもいいかなと感じました。

まずは、DeNAゲーム事業部が、内製でローカライゼーショングループを新設して、今後グローバルに攻めていく姿勢を伝えることを大切にしました。

※LION:DeNAにてローカライズ業務用に開発している社内ローカライズ支援ツール
※TRC(Technical Requirements Checklist):Play Stationプラットフォームでリリースする際のSIEマスター規格チェックリストのこと。

――懇親会はかなり盛り上がっていましたが、来場者さんとどのようなお話ができましたか?

かなり盛り上がりましたね! 特に質問が多かったのは機械翻訳の部分です。自身の会社でも試して失敗した経緯をお話ししている方もいましたし、これから導入を検討している方もいました。また、開発中のLIONの進捗についても注目されていたようです。

LIONに関して、基本の機能自体はどこにでもあるものなんですが、DeNA社内では、多くの運営中タイトルに対して汎用的なカスタマイズが可能になるような開発・調整を続けています。それを内製で作り上げる意味を理解してくれる方も多かったですね。

また、文化的な表現の違い(ラーメンのお話)に反応してくれる方もいました。国ごとの表現のズレは思っているより大きく、海外のシナリオを担当している方は「なんでこんな文章の展開になってしまうんだろう? 」と深刻に悩んでいる方もいましたね。

――でも、そんな異文化も「楽しむ」ことがエンタメ開発には大事な要素なんですよね。

そうですね。世界にはいろいろな感性を持つ人がいますので、その「違い」を楽しみながら仕事をしてもらいたいです。自分が音楽をやっていたときの経験は、今の仕事にかなり活かせていることはウソじゃないですよ。

――懇親会でお話ししたのはどのような業界・職種の方でしたか?

ゲーム業界の方はもちろん、ローカライズエンジニアや、ゲーム系の翻訳者さんが多かったですね。セッション内で「作業環境があまり良くない」といった話をしたときに「すごくよく分かる! 」と共感してくださる方もいたようです。やはり段階的に作業環境を改善することが、いい仕事をするポイントだと思います。

今回のセッションでも触れましたが、機械翻訳の進化によって「将来的に翻訳の仕事がなくなる」わけではありません。最終的な品質を担保できるのは翻訳者の腕にかかっていますし、ただこの先、仕事の手法が少しずつ変わっていくのかもしれませんね。

もちろん、スゴイ技術を持った翻訳者が120%のクオリティーで作業することは、貴重でありがたいことなのですが、どうしても属人化の問題も出てきます。それとは違う、ある程度の質を保って、もっと工数を少なく作れるような方法を模索していきたいですね。

――次回以降のセッションの展望はありますか?

今回のフィードバックの結果にもよりますが、LIONとローカライズTRCの開発進捗、機械翻訳の試用結果などをそれぞれの担当者に報告してもらえるといいかもしれませんね。数値周りはどこまで話せるかはわかりませんが……(笑)。

――新設のローカライズチームのメンバーとは、今回のGDM参加についてなにか話しましたか?

今回のセッションのリハーサルを見に来てくれていました。グループが新設したのは2018年6月で、人数も関わるタイトルも増えているので、自分の思いも含めて、これから体系的にきちんと整理していかなければ、と感じています。

――新設のローカライズチームのこれからの展望はありますか?

今回セッションで話したミッションを基礎として、グループ全体で攻めの姿勢と、強いローカライズチームを育成していくことを目指したいと思っています。

――ありがとうございます!本日はお疲れ様でした。

運営チームオススメのデザート

GDMと言えば、運営スタッフが力を入れている軽食。仕事の疲れをホッと癒やしてくれる今回のデザートには、季節の素材を使ったタルトをご用意。食べやすいサイズということで、テイクアウトする来場者の姿も。

取材・インタビュー・文・撮影:細谷亮介

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【DeNAデザイン部:合宿レポート】組織運営のホンネを部長と参加メンバーに聞きました

DeNAデザイン部が
初の合宿を実施

DeNAゲーム事業のデザイン部には、UIデザイナーや3Dデザイナー、フロントエンドエンジニアなど、ゲームのクオリティを担保する多くのクリエイターが所属しています。

そんなデザイン部が、2019年2月に一泊二日の箱根合宿を実施。部長やマネージャー陣、若手メンバーなどが参加し、来期に向けた組織運営のあり方についてディスカッションを行ってきました。

今回、GeNOM編集部ではデザイン部部長の宇佐美、そして合宿に参加したメンバー2名にインタビューを実施。合宿に込めた期待や感想を聞いてきました。

組織課題に皆で向き合い、
今後に活かしていきたい

ーー まずは宇佐美さん、合宿お疲れ様でした。今回、デザイン部で初となる合宿を開催されましたが、その目的を教えてください。

宇佐美:今回の合宿は、デザイン部における組織課題を抽出して、その課題に対しての解決アプローチを皆で考えていこうというものです。現場からの声を直接聞いてみたい、もっと吸い上げていきたい、という私の想いも強かったですね。

私は昨年6月に部長に就任したのですが、それ以来いろいろな課題が見えてきました。もちろん、各マネージャー陣との連携は随時行っているのですが、部長や副部長、マネージャー陣だけで話しても、組織課題の根本的な解決にまでは至らないだろうと感じていたんです。

そこで、現場で活躍する各デザイナーの声を吸い上げることで、効果的な解決アプローチ法を検討するために合宿を企画しました。

ただ、デザイン部は200名弱ほどの大所帯。本当は多くのメンバーに参加してほしかったのですが、まずは初回ということもあって、一部のメンバー(シニア、ミドル、若手からそれぞれ数名)に参加してもらい、小規模で開催することにしました。

宇佐美 優/デザイン部部長

ーー なるほど、今後も継続的に合宿を開催するためのフィジビリティでもあったのですね。では合宿の内容を教えていただけますか?

宇佐美:合宿初日は、事前に決めた以下3つの組織課題テーマをもとに、具体的な「課題」とその「解決アプローチ法」をディスカッションするというチーム毎のワークショップを実施しました。そして翌日、各チームで話し合った内容を、全員の前で発表するという流れで行いました。

ーー 限られた時間の中、集中して組織課題を向き合ったのですね。宇佐美さんは合宿では具体的に何を期待していたのでしょうか?

宇佐美:これは私の経験則でもあるのですが、いざプロジェクトにアサインされると、そのプロジェクトにコミットすることになるので、どうしても組織課題についてまで考える時間や余裕がなくなってくると思うんです。

一方で、日頃から組織課題について考えているメンバー多いと思います。そこで今回は箱根という、敢えて仕事に手をつけられない場所で、日頃から思っていたけど具現化しきれていない課題や、課題に思っていたけど具体的な解決案にまで至っていないことなどを、シニア、ミドル、若手メンバーが一緒になって議論できることを楽しみにしていました。

また、各メンバーが今後の仕事に対する取り組みや、組織に対する想いも変わっていくことも期待していました。

ーー 実際に、合宿を開催されていかがでしたか? 率直な感想を聞かせてください。

宇佐美:期待値以上でした。ワークショップをやる前は、各チームとも議論の方向性が変わってしまったりしないか心配していたのですが、事前に3つの課題テーマを発表していたこともあり、みんなかなり意見がまとまっていましたね。

ワークショップのチームはシニア、ミドル、若手の各メンバーで構成された

宇佐美:出てきた意見としては、今の現場で起きている生の声は拾い切れていなかったので、「今こういうことに困っているんだ」とか、逆に、私が思っていた課題についてが「急いでシューティングするほどのことではなかったんだ」などの気づきや発見はありました。それは2日目の発表を聞いてても同じです。

2日目の発表の様子

宇佐美:ただ、課題の本質的な部分については、私の思っていたことと大きなズレはなかったので、ちゃんとみんなと目線は揃っていたんだなと再確認ができました。

各チームの発表を通じて、全員に現状の課題と解決策の考えが共有された

宇佐美:今回の合宿で出てきた課題に対する各アプローチ方法については、詳細を詰めていきつつ徐々に組織に反映していきたいと思います。

さらに今後はデザイン部だけでなく、他の部を巻きこんで進める施策もあるでしょう。たとえば、技術研究であればエンジニアとPJTを組んで進めていくなど、ちゃんと考えていきたいなと思います。

ーー 宇佐美さん、ありがとうございました。今後の施策を楽しみにしています。ではこの後、合宿に参加されたお二人にもインタビューしてきますね!

宇佐美:はい、お願いします。私がいない方が変に遠慮せずにいろいろ話してくれると思いますので(笑)。

率直に発言することで生まれた、一体感

ーー 合宿に参加された坂元さん、戸谷さんにお伺いします。まず、合宿前は個人的に組織課題に対してどのように感じていたのでしょうか?

坂元:合宿前は、組織についてあまり意識していなかったのが正直なところです。デザイン部として「こういう方針で組織運営していきます」というシェアはあるものの、実際には日々、目の前のプロジェクトに集中するのみでした。組織について考える余裕がなかったのかもしれません。

坂元 温子(社歴1年目/2018年新卒入社)
デザイン部 UIデザイナー

戸谷:私は中途入社する際、リーダーとして組織をみて欲しいと当時から言われていたんです。そこで入社後から組織の動きなどを見つつ、組織の中で不透明性などがあれば、有志のメンバー同士で課題共有していたのですが、なかなかこれといった解決策までは考えられていなかったのかなと思います。

戸谷 大輔(社歴4年目/中途入社)
デザイン部 IPタイトルのリードデザインを担当

ーー 合宿時はどのような姿勢で参加したのでしょうか? 

坂元:あらかじめ、ワークショップの課題テーマや、当日ディスカッションする3人1組のチームメンバーは発表されていたので、事前に共有された3つのテーマに対する個人的な考えや、組織に対する疑問をまとめておき、それを先に同じチームのメンバーに送って意見交換などしていました。

また、私はまだ組織全体の動きを把握できていないので、事前にマネージャーからデザイン部内の動きなど「こういう状況だよ」とシェアをいただきました。その上で、組織の全体像と自分の仕事の進め方なども踏まえ、「これが課題なんじゃないか?」という意見も予め整理して合宿に参加しました。

他のメンバーも自分の意見を事前に整理してきたので、当日は他の人の話も聞きながら、「確かにそれは課題だね」「こうしたらもっと良くなるのでは?」と建設的にディスカッションを進めることができたのは良かったです。

合宿は一泊二日で時間も限られていたので、私のチームだけでなく、他のチームも同じように合宿に臨んでいたと思いますよ。

各チームの初日の様子

坂元:あと、自分が考えてきた課題については、他のチームのメンバーとも意見もずれていなかったので、良い再認識の場にもなりました。

戸谷:大体みんな似たような意見だったよね?

坂元:そうですね。2日目の発表で出てきた各チームの課題や解決方法は、似た内容が多かったと思います。

戸谷:3つの組織課題テーマはみんな普段考えている課題でしたし、今回の合宿は再認識の場であったと自分では感じています。あと、私は当日参加できなかったメンバーの分まで、きちんと組織の課題や解決法について発言するように心がけました。

ーー 合宿後にご自身に変化はありましたか?

戸谷:組織課題の解決方法について、有志だけの間で話すとふわっとしてしまうので、今回は部長や副部長、マネージャー陣が入り、組織の意思決定の場で話せることができたので、今後はより具体的に話を詰めていきたいと思います。

坂元:私はまだ経験が足りないので、「他のプロジェクトで困っていること」や「組織がこんな感じだから、プロジェクトのここが困っている」といった話を他のメンバーから聞けたことは個人的に大きな収獲でした。

今後私も同じようなことで困った場合には対処や相談もしやすいですし、仕事の進め方にも活きていくと思います。今回は組織課題のテーマでしたが、仕事をする上でも、他の人と情報共有できたことは本当に大きな経験でした。

ーー ありがとうございました! お二人の視点においても、それぞれ意義があった合宿のようですね。今後の活躍に期待しています!

参加者の満足度83%

デザイン部として今回が初めての合宿ということもあり、一部運営に課題は残りましたが、この点はしっかりを振り返りを行って改善していくとのこと。

「次回はもっとメンバーを巻き込んで、一人ひとりの声を組織運営に活かしていきたいですね」とは、冒頭にインタビューした部長の宇佐美の言葉。引き続き、このような形式の合宿や社内ディスカッションを通じて組織運営に活かしていくそうです。

その他、参加者の感想(アンケートより一部紹介)

[su_quote]自分の考えをマネージャー含む他のメンバーに伝えたり、逆に他の方の考えを聞ける貴重な機会でした。組織課題について考えるのはもちろん、議論の前勉強として組織・チームについて今まで知らなかったことを学び考えることができたのも非常に大きな収穫だと感じています。環境的に、リラックスして思考・議論できたのもよかったです。[/su_quote]

[su_quote]デザイン部メンバーがなんとなく持っていた課題感が共有されたところは重要なポイントだと思う。また、解決案についてある程度現実味のあるアイデアもいくつか見られたのも良かった。全体に、次のステップへの発想の起点を得られた感じがしたので、意味があると感じることが出来た。[/su_quote]

[su_quote]様々な世代に対して日ごろマネージャー陣のみで語られている組織のコアな内容も生の声で共有できたことが何より大きく、新卒などの若い世代がしっかりした意見を持っているというのを再確認できたのも収穫かと思います。[/su_quote]

※本記事は2019年3月時点の情報です。

【DeNA分析部特集Vol.3】データエンジニアリンググループ発足の狙いとは?MLOps導入や新技術によるコスト削減などで事業貢献を目指す

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

今回は、分析部内に新たに組織されたデータエンジニアリンググループにスポットを当て、同グループ発起人である岩尾一優と、前回に続いて吉川正晃にインタビューを実施。

データエンジニアリンググループ立ち上げの背景や目的、DeNAの中でデータエンジニアとしてどのように貢献しているかなど語っていただきました。

データエンジニアリンググループ立ち上げの背景

――まずはこれまでの経歴についてお聞かせください。

岩尾一優(以下、岩尾 私は昨年7月にDeNAに入社しました。それまでは富士ゼロックスでコンビニのネットプリントサービスのアーキテクト設計を担当していました。前職でもデータ分析基盤の立ち上げをしていたことがあって、DeNAに入ってからはデータエンジニア担当として、主に分析の効率化や高度化を推進するようなことをやっています。

2月からデータエンジニアリンググループを立ち上げ、マネジメントも担当しています。

吉川正晃(以下、吉川 DeNAには7年間在籍していて、最初の4年間はセキュリティー技術、その後3年間は分析を担当し、直近1年は分析グループのマネジメントに力を入れています。岩尾さんが入社当時は、私のグループに在籍していたんですよ。

――岩尾さんは2018年7月の入社から半年が経ちましたが、DeNAの印象はいかがですか?

岩尾: エンジニア天国という印象です(笑)。PCや椅子など、職場環境が良いと感じています。社風も良い意味で自由な所があり、自分でパフォーマンスをコントロールしやすい職場だと感じています。

――ゲーム業界外から転職された岩尾さんは元々ゲームがお好きだったんですか? また分析部の皆さんは普段からゲームをプレイされているのでしょうか。

岩尾: ゲームは小さい頃から遊んでいます。コンソールではRPGや洋ゲーが好きでプレイしています。スマホでは『メギド72』をプレイしていますよ。

吉川: 僕はかなりやりますね。最近はコンソールはあまりやっていないんですが、普段からスマホゲームは他社さんのアプリも含めてやっています。その他のメンバーもゲーム好きが多いです。

――分析部に新たに組織されたデータエンジニアリンググループですが、どのような背景で立ち上がったのでしょうか。

岩尾: 私が入社する以前から、DeNAはデータ分析費用にかなりの金額がかかっていたことが背景としてあります。入社後、それって本当に必要な額になのか調べたところ、いろいろ改善の余地があることがわかってきました。

その中で、コスト最適化もそうですし、コードの保守性や一部業務の属人化など、エンジニアリング周辺で、色々と課題があると感じていて。その度に上長だった吉川さんに相談したり、1on1の場で改善の提案をしてきました。

そして実際に改善に力を入れ始めてみると、目に見えてコスト削減ができ、本格的に1度本来のあるべき役割や何をやるべきかを整理して、組織化することでそこの部分を改善していこうと考えました。

吉川: そもそも分析部としてコスト管理の部分がしっかり定義されないまま運用していた部分も正直ありました。分析部として、コスト改善をしっかりやっていこうというフェーズになっていたところに、ちょうど岩尾さんの入社が重なったんです。

そこからコスト削減という活動が目に見えて実績として生まれてきて、それを推進してくれる岩尾さんに組織を立ち上げてもらいました。

――吉川さん自身も以前からコスト削減は課題として感じていたんですか。

吉川: 正直に言うと、一番の課題とは思っていませんでした。恥ずかしながら、できるメンバーが対応している体制だったので、まさに属人化の状態でした。

分析部の元々のミッションであるデータ基盤を安定的に運用するところは、あくまでもミッション達成の一過程でしかないという考えで組織で取り組む優先度を下げていましたが、今後クラウドにシフトしていくことを踏まえ、優先度を上げていかなければならないということで認識を改めました。

岩尾: これはエンジニアのあるある話ですが、事業に向けた開発や作業は優先されるけど、保守や改善がどうしてもおろそかになりがちなんです。それを放置しておくと、ある時に何かちょっとした変更をするにしても、どこに影響が出るかわからないという状況に陥ってしまいます。

そうなる前に一度、保守や改善をすることで事業開発の工数を削減できれば、全体のキャパも上がっていくと考えて今回取り組みました。

吉川: そうなった背景としては、元々分析部のミッションが事業の最重要課題を抽出して解決することで事業に貢献するというところにフォーカスされていて、スピード感を持って取り組むことを優先している文化にあります。

事業の意思決定に必要な動きを優先してしまっていたことは反省しています。ただ、人員が足りずどうしようもなかったことも事実です。そこで岩尾さんに入社していただき、魅力的な提案もあって、一気に動きが加速できた、ということで非常に感謝しています。

――データエンジニアリンググループ立ち上げの実現に向けて、実際にどのようなことをされましたか?

岩尾: まず足りていない役割、あるべき役割を設定しました。例えばGoogleやAmazonのデータエンジニアが何を持っているのかを調べて、我々ができているところ、できていないところを見つめ直しました。

できていない部分は保守もそうですが、ML系とかシステムに載せていくという所が分析部としてちょっと弱いと感じたので、週次でマネージャー陣とレビューなどを行いました。次にミッションについて、もうちょっと短期の目標からどうすべきかを壁打ちしながら磨いていきました。

吉川: その過程で、実際に今の分析部と将来の分析部にどれくらいのエンジニア力を持った人材が必要なのかも含めて、設計してもらったのはかなり大きかったです。

――実際に昨年7月に入社して組織立ち上げを相談したタイミングは?

岩尾: 入社して3ヶ月後の10月です。コスト削減の成果がだいぶ出ていたくらいの時期でした。

吉川: その成果は誰が見てもすぐわかるもので衝撃的でした。かなり早い段階から岩尾さんの力が発揮されていたのも、データエンジニアの組織化に向けた意思決定のスピードにつながったと思います。

新たな技術を使った挑戦

――現在データエンジニアリンググループで取り組んでいることについて教えてください。

岩尾: 1つはMLOpsの導入です。機械学習って、例えばデータサイエンティストがデータ分析して、マーケティングや事業部に分析結果を説明して、理解を得てプロジェクトにつなげていくことがあると思います。ただ、事業部の立場からすると、朝出社したら分析データの計算が終わったものを確認できるという状態が一番理想的ではないでしょうか。

MLOpsはそれをシステム化するということなんですが、そこまではまだできていない状況です。一部ゲームにはAIが組み込まれていますが、ゲームの機能としてではなく、分析を目的としたMLのシステム化みたいな部分はまだできていなかったので、そこは我々データエンジニアリンググループの役割と考え注力しています。

今は全てのモデルで動いているわけではないですが、一部のモデルで導入して動かしているという状態で、これからどんどん載せ替えていくところを本格化させていきます。

――MLOps導入は、分析の工数を削減することが目的なんですか?

岩尾: 主な目的として、「工数の削減」と「機械学習について高い専門性のない人でも使えるようにすること」があげられます。

特に後者はシステム化することでハードルがグッと下がります。機械学習って、はじめの環境構築が難しくて、知識も必要になってきます。高い専門性も必要であるため機械学習モデルを作れる人ってどうしても限られるんですが、それを配布して誰でも使えるようにする、という仕組みを作ることでハードルを下げて、専門知識がないアナリストでも使えるようにしようと考えています。

――そのMLOps導入で苦労されていることはありますか。

岩尾: 苦労としては、DeNAは色々なサービスを運営している会社なので、それらにどう伝播させていくかを前提として考えているというところが大きいです。

単一のサービスであればそれに特化したシステムを作れば良いですが、我々は複数のサービスを走らせているので、そこに適用できる形のシステムがどうあるべきか考える必要があります。

吉川: そこのハードルはかなり高いかなと思いますが、それを乗り越えて実現できたときの効果は絶大だと思います。

――MLOpsのほかに、新しい技術を使った取り組みや事例はありますか?

岩尾: Googleのクラウド系はシステムアップデートが結構頻繁に行われるので、そういうところをウォッチしながら取り入れるものは随時ピックアップするようにしています。

BigQueryというデータ分析基盤では、それ1つとっても新しい機能が毎月のように出ているので、β版からどんどん検証して、我々にとって良いなと思えるものならβ版であっても導入するくらいのスピード感でやっていきたいと思っています。

――今後データエンジニアリンググループとして取り組んでいこう、進めていこうと考えていることはありますか?

吉川: アイデアベースですが、機械学習が増えていくことにより、一人ひとりのプレイヤーにフォーカスすることや、カスタマイズした分析が今後は必要になってくるというところで、データウェアハウスそのものもプレイヤー単位で持てるのが理想だと考えています。

岩尾: あとはクラウド移行ですね。これは全社の意向もありつつですが、元々物理のサーバーを使って大きなサーバーストレージを使いながらやっているんですが、それをすべてGoogleであったりAWSのサービスに載せて、クラウドで管理するように分析基盤も移管する予定です。

GCPやAWSにシステムが集約されることで、GoogleやAWSが新しく機能を出したときに、我々もすぐにキャッチアップできる体制が常にできているという状態が実現できますし、コスト削減の面でも物理サーバーを持つよりも、より安価にデータ分析の環境を維持できます。その部分に対して遅れを取らないような体制を今後作っていきたいです。

――新しい機能が出たときの技術のキャッチアップについて、具体的にどのようなことをしているんですか?

岩尾: Google社の方と頻繁にお会いして話をしています。手を動かしてみると設計段階の構想と違うと感じることがあったので、そういうところは積極的に聞いています。

あとは我々自身も国内外のカンファレンスに参加して、世界の事例を見て良い所は取り入れるようにしています。先日もラスベガスで開催された「AWS re:Invent」に参加しました。どんなことが行われているかとか、我々がやろうとしていることは世間と比べてどのくらいのレベルなのか、ということを認識することも欠かさないようにしています。

――技術をキャッチアップしつつ、今後は分析基盤のクラウド移管をしていくということですが、結構大変な作業になるのでしょうか?

岩尾: かなり大変ですね。BigQueryに載っていないものがまだまだあって、それを全て載せ替えようということになります。関連するドキュメントの書き直しや、あるいは我々で取捨選択をして必要ないものをちゃんと伝えてあげて、アナリストに影響のないような形でなるべく本業に集中できる形のデータ基盤の移管を進めていかなければなりません。

「この業務って本当にまだ必要?」「意味があるんだっけ?」という業務の棚卸をして、最適なシステムをもう1回組むということはやりたいと考えています。

――アナリストへの影響なども考慮して移管を進める必要があると。ところで岩尾さんはアナリストとどのように連携して仕事をしているんでしょうか。

岩尾: DeNAは、分析部内にアナリスト、リサーチャー、サイエンティスト、エンジニアがいるところが強みかなと思っています。データエンジニアって開発側に属している会社が多いと思いますが、我々はビジネス部門である分析部の中にいます。だからこそゲームのドメイン知識も持っているので、そういったことを活かしつつエンジニアリングを発揮できる良い体制になっています。

その中でアナリストとの連携の仕方は色々ありますが、例えばゲーム内でイベント用の分析が必要になったときに、どういうデータの持ち方をすると最も効率的かという所をアドバイスしたりします。

吉川: 同じような作業を繰り返しているチームの相談もあって、そこの効率化など横断的にデータ基盤を見る機会が多いので、我々からのインプットをアナリスト全員にシェアしていくという動き方がメインですね。

岩尾: あとアナリストやカスタマーサポートの方は、結構SQLをたたけるんですけど、その際に良いSQLと最適ではないSQLがあるんです。BigQueryは何ギガ、何テラ検索したかで料金が発生する従量課金が特徴としてあるので、やはり最適にQueryを書く必要があります。

ですから、そこで最適ではないQueryを書いてしまったときに、slackで通知してわかるようになっていて、みんなでこのQueryはどこが悪かったか議論できるようにしています。

DeNAは失敗を活かす文化があるので、我々はデータエンジニアリンググループとして最適でないQueryが発行されてしまったときにslackに通知するシステムを裏で開発して、要は気付きを与えてみんなで改善していく狙いで実施しています。

もちろん、何ギガ以上のQueryを投げたらシステム的にガードすることもできるんですが、それをやってしまうととメンバーを信頼していないと感じられてしまいますし、本当に必要なQueryだった場合に実行してエラーだったらストレスにもなると思います。

それよりも、仮に失敗したとしてもみんなで改善していったほうが学びにもなるし、長期的に見ても良い組織になるのではないかという理由でそのようなアプローチを続けています。

吉川: データエンジニアリンググループは単純なティーチングだけでなく、コーチングも組織として取り組んでいるんです。

岩尾: それって同じ部内にエンジニアもアナリストも一緒にいて、お互いに信頼関係があるからできることだと思います。

アナリストから「こういう分析がしたいんだけど、今のテーブル構成ではどうしても1回で1テラ以上検索してしまってお金がかかってしまう」と相談を受けたときには、そのテーブル設計を見てアナリスト側からの要求を受けて「テーブル構成を効率化しましょう」という働きもあります。お互いに意見を出し合って最適化を目指している組織ですね。

働きやすく挑戦しやすい環境

――データエンジニアリンググループはまだ立ち上げ期ですが、業務的に大変ではないですか?

岩尾: そこは皆ちゃんと定時に帰れています(笑)。というのも仕事の優先順位をしっかりつけているので、普通に19時には帰宅できます。あと私事ですが、先日2人目の子どもが生まれたんです。最近、分析部自体もベビーラッシュで、私に限らずみんな早く帰っていますね。

吉川: 手分けしてちゃんと仕事ができていると思います。今はグループと各メンバーのタスクを管理していて、1人に負荷がかかったり、チーム全体で負荷が高くなるという状況がなるべくないような状態を維持しています。

岩尾: あとは重要かつ緊急の仕事を持たないように意識することが大切です。緊急だけど「それって本当に緊急なのか?」を考え、そこまで実は緊急じゃない案件についてはスケジュールをきちんと引き直すなどの工夫をしながら仕事をしているので、残業はほとんどありません。

我々は本質的に重要なことに集中したいと思っていて、そうできるようにがんばっています。この2ヶ月くらいでタスクすべてを棚卸して、優先順位を付け直し、さらに優先順位を付けるためのルールも作成してみんなで作業しています。

吉川: また、関係している部署に対しては定例などをしっかりと設けて、その仕事が重要なのかどうかをタスクが発生する前に事前にキャッチできるような関係値を作り、重要な仕事は緊急になる前に依頼してもらうようなリマインドができる体制になっています。

岩尾: これは前職から気をつけていたことですが、エンジニアって仕事ばかりしているとそればかりになってしまうんです。だらだら仕事するよりも切り替えて、早く帰って勉強したり、最近のトレンドをキャッチアップしたり。もちろんリフレッシュしたりと、そのほうが全然良いと思っています。我々の職種は知識をアップデートしないといけないのでそこは意識しています。

――コスト最適化に向けた組織化の提案が、入社後半年で実現したという事例は面白いですね。

吉川: しっかりとした目的を持ってロジカルに提案すれば、きちんと受け止めてくれるというところはDeNAらしさなのかなと思います。

岩尾: そうですね。あとは提案していく中でも逆風みたいなものはなくて、そこはやはり皆ぼんやりとした課題感はあったと思います。

それを言語化できて論理的に説明できれば、部長やマネージャー陣も含め、むしろ全員でそのロジックを詰めていくみたいな流れが生まれて、意思決定も立ち上げもかなり早かったですね。

吉川: 課題の提案がすごく前向きだったところも大きな要因で、これはイケてないと思うんです……で止まる提案と、イケてない……だからこうしたい!という提案は全然違うなと感じました。岩尾さんは後者の提案だったので、もし提案を100%実現できなかったとしても組織として前進できる内容だったので、すごく良い提案をしてくれたなとうれしく思いました。

岩尾: 個人的に常に意識しているのは、ちょっとでも良いから成果を出して、これが完成したときのイメージの解像度を上げるという所。できるだけ不確実性を下げた状態で提案できるように意識しています。

――:データエンジニアリンググループは、コスト削減などの保守的な部分と、MLOpsのような改善の部分、攻守のバランスが絶妙だなと感じました。

岩尾: ゲーム中の用語に例えると、当初から「攻撃力」「防御力」という表現をしていて、その部分は意識しています。メンバーと関わる中でも、この人はこの領域をやるのが好きなんだなとか、それぞれの価値観というものがあって。コスト削減が得意な人もいれば、MLOpsのような新しい技術に触れたいという人もいるので、各メンバーがやりたいことも意識して、全体を組み立てるようにしています。

――:今後、データエンジニアリンググループではどんな人材を求めていくのでしょうか?

岩尾: 個人的には、アーキテクチャ設計ができる人が良いかなと思っています。ビジネス要件をどうやって技術に落とし込むかを噛み砕ける人といったところでしょうか。

もちろんビジネス要件自体も我々エンジニアは意識する必要はあると思いますが、それを技術に落とすとき世の中にはいろいろな選択肢があります。それらを広く知って比較して、チョイスしたものがどういう理由で最適なのか論理的に説明できる人が理想ですね。あと、できればゲームに興味があれば(笑)。

吉川: 今は立ち上げ期で、課題や新しい取り組みがたくさんあります。そこを一緒になって動いて埋めてくれるような、特に岩尾さんと並走できるシニアの方にはおもしろいと思います。

岩尾: そうですね。課題自体も、自分自身で発見して実装できるのが理想的。それから組織を立ち上げていきたいという野望を持っている方も適任なんじゃないかなと思います。DeNAは自分の力を伸び伸び発揮できる環境だと思っているので、自分の経験をもっと発揮したい人には向いている気がします。

★あわせて読みたい
【後編】DeNAゲーム事業におけるデータエンジニアの貢献〜客観性を担保したLTV予測やBigQuery運用におけるコスト最適化、そしてMLOpsへの挑戦〜

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNA分析部特集Vol.2】目指すのは攻めのユーザーリサーチ。起動時アンケートや生体反応など新たなチャレンジでユーザーリサーチの向上、発展を目指す

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

そこで「DeNA分析部特集」の第2弾として、DeNA分析部のユーザーリサーチの現場を紐解いていきます。お話を伺ったのは、DeNAの分析部に所属するユーザーリサーチグループの松本祥三と吉川正晃。

ユーザーリサーチグループがどのような活躍をしているのかを実際の事例を元に、取り組みの詳細と今後について語っていただきました。

新規ゲームのアプローチに対する推進力を持ち、
プロダクトとプレイヤーを繋ぐ

――まず始めにお二人の経歴をお聞かせください。

インタビューを受ける松本(写真左)と吉川(写真右)

松本祥三(以下、松本 以前は調査会社でリサーチの仕事をしていました。ひとつの案件にもっと深く関わりたいと思うようになり、縁あって2016年8月にDeNAに転職しました。

吉川正晃(以下、吉川 私は2012年に新卒入社し、今年で7年目です。最初の4年間はセキュリティ部の技術者として、全社のセキュリティを技術的な面からサポートする役割を担ってきました。

3年前にアナリストとして分析部に異動し、昨年アナリストグループのマネージャーになりました。その後、アナリストマネージャーと兼任という形でユーザーリサーチグループのマネージャーも務めています。

――DeNAのユーザーリサーチグループはどのような業務内容で、どのような役割を担っているのでしょうか?

松本: プレイヤーの満足度など、ログでは見られないユーザーの想いや考えを可視化していくのがミッションになります。例えば『逆転オセロニア』や『メギド72』などのタイトルをプレイヤーが楽しめているか、どう思われているのかを調査し、プロダクトとプレイヤーの架け橋になる大きな役割を担っています。

――実際に担当されているタイトルはあるんですか?

松本: リサーチメンバーは少人数ということもあり、1人で複数タイトルを見ているのが現状です。僕自身も自社で開発・運営しているゲームのリサーチの半分くらいは関わっています。

吉川: リサーチャーが主に活躍できる領域はアナリストと分けられている部分があり、アナリストはゲームのリリース後に、タイトルの課題をどのように改善していくかというところに重きを置いています。

一方でリサーチャーの場合は、新規タイトルがリリースされる前から関わって、理想のプレイヤー像を明らかにして、彼らにどうやってアプローチするかというところに取り組んでいます。

――リリース前の段階からゲーム開発チームとガッツリ関わっているのでしょうか?

松本: そういったケースを、まさに増やそうとしている段階です。

吉川:今までは、どちらかというと私達は横断部署としてなるべく数多くの案件をこなすことにフォーカスしていました。しかしそれでは1タイトルにコミットする力がどうしても弱くなってしまうという課題があったので、2018年から新規タイトルに関してリサーチャーが推進力をもってリードしていこう、という意思決定を行いました。

松本: リリースした後にそのゲームを改善していくために、行動データの解析をやっているんですが、リリース前からリサーチャーが関われた方が分析として提供できる価値が最大化されると思うことがありました。リリース後に直せる範囲には限界があり、開発段階から調整していかなければならない課題感が自分の中にあったんです。

吉川:アナリストもリリース直前から関わるようにしていますが、開発期間が2~3年のタイトルですと、チームでの共通認識のズレがどうしても起こってしまうんです。

ゲームとしての目指すべき姿や、それを届けたいプレイヤー像などのビジョンが、30~40人規模の大きなチームになると、メンバー1人1人の思い描いているイメージや、それぞれのアウトプットに微妙なズレが生じて、最終的な結論があまり良いものではなくなってしまうのではないかと思っています。

そこに対して、リサーチャーが入ることで、メンバーそれぞれがプレイヤーをどんな風に思い描いているかをまとめてリードできるところが、開発チームにとって強みになり、また会社として求められている役割なので、時間を使って注力していく動きになっています。

松本: そのため、常に開発タイトルがどういう方向に進みたいと思っているのか、どういうフェーズなのかを把握していないと提案ができないので、開発サイドの週次定例などで彼らの進捗や目指していることなどをヒアリングしながら、「それならこういう調査をしましょう!」と提案することを心がけています。

吉川:単純にハブとしてのリサーチの提供だけではなく、その前段の、そもそもゲームを作るということに関してもリサーチグループのメンバーが介入して、作り方や彼らの思想に関して、もう少しイメージを具体化させられるようインプットをしています。

――現状、リサーチグループの中で課題に感じていることはありますか?

松本: あまり大きくないチームなので、メンバーそれぞれの見ている方向を統一することはそこまで難しくはありません。ただ、やらなくてはいけないことや、やりたいことが多すぎて、人手が足りないことが課題です(笑)。

吉川:そうですね。今後は、リサーチグループのメンバーを増員し、なるべくタイトルに対する影響力や、メンバーの個の力を強くしていきたいです。そのために、よりシニアなメンバーも増やしていき、開発チームから求められる前に、私達からアプローチできるように組織力を強くしていきたいと考えています。

起動時アンケート、生体反応など
新しいアイデアへの挑戦

――これまでの事例として”起動時アンケート”を実施されているとのことですが、実装の目的や仕組みについて教えてください。

松本: 起動時アンケートは『歌マクロス スマホDeカルチャー』(以下、『歌マクロス』)や『メギド72』で実装しました。アンケートやインタビュー、βテストなども一つのリサーチ手法ですが、いわゆる一般的な施策はこれまでも数多く実施してきました。

ただ、通常のアンケートでは、おもしろさの度合いははわかるものの、プレイヤーが結局このゲームに何を求めて、どこを楽しみたいからプレイを始めて、その機能をちゃんと楽しんでもらえているか、などという判断が必要になったときに分かりにくいと感じていました。

そのようなプレイヤーが何を求めてどういう行動をしたいのか、という意識と実態の部分が、今までバラバラな認識になっていたので、そこをきちんと繋げることを目的として起動時アンケートが実装されました。

吉川:起動時に実装した理由は、もともとアンケートやインタビューでプレイヤーと接触するポイントは作ってはいましたが、一度ゲームから離脱してしまった方に対してのアプローチ方法というものがほぼなくて、その方たちの声を聞きたくても聞けません。

その状態でゲーム内アンケートを実施しても、そもそもゲームにログインされていないので、回答してくれることは100%ありませんよね。

そう考えたとき、アプリのインストール時にどれくらい期待値を持って、どんな機能が欲しくてプレイするのか、という質問を最初に全員に聞いてしまうなら起動時がベストなタイミングだと考えました。プレイヤーから見ても、ダウンロード中にアンケートに時間を使うことにそこまでの不利益は感じないのかな、と思っています。

――起動時アンケートの内容で意識したことは?

吉川:一般的な工夫としては、たとえばIPを扱ったタイトルであれば、その世界観を崩さないように、各キャラクターの個性を生かしたフレーズや言い回しにかなり注意しています。

松本: 原作ではフランクな話し方をするキャラクターが、アンケートでいきなり敬語だと違和感がありますし、世界観としても不自然になってしまいます。IPの世界観を守りつつも、間違ったバイアスのある設問は良くありません。

また、気軽にゲームを遊ぶつもりなのに、たくさんの質問をされると答えるだけで疲れてしまうため、質問数をいかに少なくして、かつ傾向を分析するにはどうすれば良いかを改めて考えることも大切です。

――では実装してみて成功した部分はありますか?

松本: 価値観の部分がきちんと可視化できたことです。『歌マクロス』で実施したときに、「音ゲー」が好きというプレイヤー層の離脱が早かったことがわかりました。

調査してみると、最初は実装できる曲数に限りがあり、プレイヤーが曲をクリアするペースが早かったことが判明しました。だからと言って、「曲の数が離脱の原因だから明日10曲追加する」といったように、急激に開発進捗を早めることはできません。

そこで、一旦そのプレイヤー層に向けた広告を止めるという事例はありました。しっかり曲数が増えて、これなら大丈夫というタイミングから、またその層に向けて広告を打ちましょうと。

『メギド72』の事例では、RPGのどの要素が好きかというところで区分けしているんですが、例えばキャラクターが好きな方は、そのキャラが欲しくて、ガチャを引いたり育成したりなどしてゲームに熱中していただいているのかなとイメージしていました。

この仮説をもとに実際に調査したところ、やはりキャラクター好きのプレイヤーのほうが、「〇〇で確実に好きなキャラが手に入る」「キャラクターの衣装がおまけでついてくる」という施策を好意的に受け入れてくださることが多い、ということが見えてきました。

このように、しっかりとプレイヤーの感情をイメージして出した仮説と、リサーチ結果を通してわかる実態をすり合わせることが、現在の取り込みの中ででき始めているのかなと考えています。

――今後、起動時アンケートをより良くするために何か考えていますか?

松本: 主に2点考えています。1つは最初のイメージができていないと、後工程でがんばっても良い方向に進まないので、開発スタート時からちゃんと関わることを大事にしています。

もう1つは、いま世の中にリリースされているもので、明らかに「アンケートです」といった表示方法でゲームに組み込まれていることを変えていくことです。『歌マクロス』ではリズムゲームをどのくらいプレイしているか、「マクロス」がどれくらい好きかという完全に質問形式になっています。

こうした質問形式のアンケートはタイトルによって相性の良し悪しがあります。例えばプレイヤー自身が物語の主人公になって進めていくタイプのゲームだと、アンケートチックなものは現実に引き戻されてしまう要素なのかなと危惧しています。

そう考えると、アンケートがゲームの邪魔をしてはいけないと思っています。『トリカゴ スクラップマーチ』という今後配信を予定している新規タイトルでは、日常で会話をしているようなイメージで、(画像と合わせるという観点で)キャラクターが「目標ってなんだ?」とか「こんなの見つけたけど、どれが欲しい?」などを聞いてきて、それに答えると実はその裏にはロジックがあってセグメントが分解されています。

そういった、ダウンロード中の暇つぶしコンテンツとしてキャラクターと会話していたら、いつの間にかプレイヤーのセグメントがこちらでわかるような工夫をしています。


※画像は開発中のものです

――その他、ユーザーリサーチとして新たにチャレンジしている取り組みなどはありますか?

松本: 現在、研究しているのが「生体反応」です。おもしろいって何?という質問に対する回答は千差万別ですよね。

例えば、複数のゲーム企画が立ち上がったとして、そのすべてがリリースされるわけではなく、いくつかの企画が通ってプロトタイプが作られ、またその中から残ったものが最終的にリリースされるのが基本的な流れだと思います。

でも、最終的に「この企画はおもしろい!」と事業判断したとしても、それが絶対に正解とは言えないと思うんです。おもしろいというのは人によって違いますし、ある人がおもしろいと思っても、別の人はおもしろいと感じないかもしれない。

そんな時に、”おもしろさ”を言語化したようなデータやグラフがあれば、例えば「わかりやすさの数値が極端に低いから、わかりやすくすればこのゲームはウケるかも?」という仮説ができて、みんな納得できるし、意思決定の判断材料にもなりますよね。

それを虹彩や脳波、脈拍、表情などで解析しておもしろさを「生体反応」で可視化できるんじゃないかというアイデアがあって、研究を進めています。実現できたらすごくおもしろいし、サービスとしてもやれるんじゃないかなと思います。

吉川:自分たちが実現させたいことはまさにそういった分野です。実際、いま世の中にあふれている分析の手法だけで解決できる問題に留まらず、自分たちが欲しい情報をどれだけ正確に、かつ定量的に可視化できるかというところを目指してやっていきたいと考えています。

定性意見をより定量的に判断できるようなつなぎ込みを、ユーザーリサーチグループはもちろん、分析部全体としても取り組んでいきたいと考えています。無理難題かもしれませんが、新しいチャレンジに取り組まない限り、分析部としての発展が頭打ちになってしまうので、挑戦し続けていきたいです。

松本: 開発者や事業判断者のおもしろい、つまらないという定性情報はすごく大事で貴重なのは明らかですが、一部の意見なのも事実です。

なので、会社として事業判断する場合、一部の人がおもしろいと言ったからGOする、ということはほとんどないと思います。そこで、会社として定量的に判断できるように、新しい分析の手法を実現させたいと思っています。

吉川:現場の声だけなら定性はすごく大事ですが、会社として意思決定するときにはどうしても数字化する必要があります。なので、よりデータを広く集められる仕組みを分析部が提供していくことも使命だと考えています。



――DeNAのユーザーリサーチグループは、生体反応を活かすなど、新しい技術や取り組みにチャレンジできる環境になっているわけですね。

松本: そうですね。他にも、おもしろさの追求の派生にはなりますが、わかりやすさの分析についても取り組もうと考えています。

チュートリアルでどれだけゲームを理解することができるのか、開発側が描く「最初はゲームをこうやって進めてほしい」という狙いと、プレイヤー側の進め方のズレをどうやって改善できるかという点を含めて、今後はデザイン部分も分析してみたいです。

吉川:恐らく分析とデザイナーが会話するゲーム会社って、なかなか珍しいと思います。

松本: そういう環境でもあるのでデザインの分析だったり、今はまだアイデアにはありませんが、AI技術を活かしたサービスなど、将来的にユーザーリサーチをさらに発展させるためのチャレンジを続けていきたいです。

求められるリサーチャー像

――ユーザーリサーチグループの立場から見て、DeNAはどのような会社でしょうか?

松本: 言いたいことが言えて、それをしっかり聞いてくれて、答えてくれる会社です。思いつきや、アイデアベースで話したことが本当に実現することもあります。そういう環境なので、密接なコミュニケーションを取ることは積極的にやっています。

案件をとにかく回したい!と思っているリサーチャーの方には向かないかもしれませんが、前職時代の私のように、「分析結果からの意思決定がしたい」「もっといろいろ挑戦したい」と思っている人には、すごく働きやすい環境です。

――DeNAのユーザーリサーチグループは単なる事業内の調査部門ではない領域でも活躍されている印象ですが、自社のリサーチャーにはどういう人が向いていると考えますか?

松本: さすがに数字を見ると頭が痛くなってしまう人は向いていないですが、一定の数字を分析して、施策の良し悪しやどうすることが最適なのか考えることが好きな人であれば、リサーチであれビッグデータの解析であれ、どちらも手段でしかないので手法を覚えればできると思います。

吉川:僕も同じような意見ですが、加えて「自分が関わっているサービスがプレイヤーにどう思われるのだろう」といったことが考えられる想像力が豊かな人は、アナリストやリサーチャーの素養はあると思います。さらに、課題に思えることや違和感を感じることに対して、事業側の立場に立って必要な提案だったり、課題解決方法を考えることができる人は、かなり向いているのかなと感じます。

やはり想像して仮説を立てないと、どうしても課題解決やリサーチを実行する行動に結びつかないので。なぜプレイヤーが自分たちの想定した動きをしてくれないのか、もっと楽しんでもらうためには何をすればいいのか、といった疑問から自分の中の想像力をどんどんかきたてて、仮説を立てていくことが大切です。

そして、その仮説を証明するために、分析としてリサーチをどう使えば良いかを考えて、いろいろなメンバーを巻き込みながら進めていくという人が理想的なリサーチャー像ではないでしょうか。

松本: 正直、スキルがなくても後から身に付ければいいですし、それよりもどこかに尖っていてほしいですね。生体反応について私にはまだまだわからない領域ですが、それなら生体反応に詳しい人を呼んで巻き込んでいけばいいと思っています。

吉川:ただし人を巻き込んで何かやるにしても、目的からは絶対にズレてはいけません。最終的な目的は何なのか立ち返り、事業を成功に導くためにできることはなんでもやる意欲が成功するための必要条件なのかな、と思います。

――今後、ユーザーリサーチグループに入ってくるメンバーにはそういったところを求めていると。

吉川:ユーザーリサーチグループはまだまだメンバーも少ないですし、これから組織を大きくしていく立ち上げ期なので、組織をリードして推進することにモチベーションを感じられる方に来てほしいです。

あとは、なにかひとつ尖った部分を持っていて、主体的になんでもできるような方にも来て欲しいですね。ユーザーリサーチグループとして色々やりたいことはありつつ、まだまだ発展していく組織なので、これからもっとおもしろくなると思います。

松本: そうですね、いま研究している生体反応は最初は思い付きでちょっとしたミーティングからスタートしたプロジェクトなので、チャンスはたくさん転がっています。DeNAの分析はこれからもっとおもしろいことをやっていくので、期待してください。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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