【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

スマートフォンゲーム運営において、コミュニティマーケティングに取り組み続けてきたDeNAゲーム事業部マーケティング部。これまでさまざまな施策を通じて、コミュニティの形成/拡大を推進してきましたが、SNSを活用したブランディング活動の重要性を強く感じてきたそうです。

そして今回GeNOM編集部では、この領域を推進してきたマーケティング部の鶴川が、分析部やAIシステム部のメンバーとともに、データを活用してコミュニティマーケティングを進化させる取り組みを行なっていることを聞き、開発中のツールや高度な分析手法の詳細、そして今後の取り組みについてインタビューを実施しました。

コミュニティ運営をテクノロジーで進化させる

――まず最初に、鶴川さんが考えるコミュニティマーケティングの「あるべき姿」について教えてください。

鶴川:まず、コミュニティとはさまざまな定義があり、一言で纏めることは難しいですが、私は「同じ価値観/目的を持った人が集まり共感し合う集合体」だと考えています。

その上で、コミュニティマーケティングとは[su_highlight background=”#fcff99″]「プレイヤーと信頼関係を構築し、そのプレイヤーのゲーム愛を醸成しながら事業を拡張していくマーケティング活動」[/su_highlight]だと私は考えています。

この考え方に沿って、オンライン・オフライン問わず、さまざまなコミュニティ施策を各ゲームを通じて提供してきました。

――コミュニティマーケティングで大事にしていることや課題、今後の展開についてはいかがでしょうか?

鶴川:コミュニティマーケティングの施策の精度をより高めるためには「プレイヤーのことを正確に理解する」ことが、とても大切です。プレイヤーがゲームに求めていることを、誤認無く理解することが、より良いUI/UXの提供に繋がっていくと常に考えています。

ですが、プレイヤーの皆さんがゲームをプレイする目的は千差万別で、コミュニティマーケティングの施策を検討する際、プレイヤーの方々のニーズをMECE(モレなくダブりなく)に把握することに、とても時間がかかっていました。その部分に関して、より効果的な運営が実現できる基盤が必要だと感じていたんです。

――コミュニティを可視化していくことで、さらにプレイヤーの満足度を高めていこうと?

鶴川:はい。それを実現するためのツール開発には、専門的な知識が必要です。技術的な面など、マーケティング部内だけでは実現できないと悩んでいた中で、分析部の安達さんに出会ったのが、プロジェクト開始のきっかけです。

これまで私が抱えていた課題を安達さんに伝えると「全部可能だと思います!」と素晴らしい回答をいただき、さっそく要件を具体的に決め始めたのが2019年1月~3月、少しずつですが4月からツールの運用を開始し始めました。

鶴川将志 | マーケティング部ソーシャルメディアブランディングGr
DeNA入社後、ゲームタイトルのマーケティング全般(TVCMやイベントなど含む)の戦略を策定し、関連部署と連携して全体を推進するマーケティングプロデューサーとして従事。2018年4月にコミュニティマーケティンググループ グループマネージャーに就任し、2019年よりソーシャルメディアブランディンググループを立ち上げる。「ゲームプレイヤーの熱量を高める」ことをグループのミッションとし、オンライン/オフラインのコミュニティ施策の戦略立案と推進を行うチームをマネジメントしている。

――鶴川さんから相談を受けて、第一印象で安達さんはどのように感じましたか?

安達:提案された課題は、個人的にとても興味深かったです。コミュニティマーケティングをデータドリブンにして、コスト削減・業務効率化することで、ゲーム事業だけに留まらず、スポーツ事業やソーシャルライブ事業など、全社的に貢献することができます。

また、コミュニティ分析に関しては科学的な面白さもあります。私たちは、家族・学校・仕事から趣味・SNS上まで、さまざまなコミュニティに所属しています。それを抽出・分析・予測することで、我々はなぜコミュニティを形成するのか、などの本質に迫れたらいいな、と思いを巡らせていました。

鶴川:実は4年ほど前から、コミュニティの分析手法に対して、SNSの運用がどのような影響を与えているのか検討していたのですが、難易度が高く、ことごとく頓挫した経緯があります。ですので、このプロジェクト開始で、ようやく突破口が開けたと言えます。

マーケティング、分析、AIの専門家が、独自分析ツールを開発

――では改めて、今回開発に至ったツールの機能について教えてください。

鶴川:コミュニティマーケティングの分析は定量と定性の両面で行っていますが、定量データを取得することが非常に難しく、今までは定性データを軸にした分析を行っていました。しかしプレイヤーのことを、より正確に理解するためには定量データの分析が不可欠です。

だからこそ、この定量/定性データを照らし合わせて、効率良く分析ができる基盤を作りたいと常々考えていました。

詳細はこの後に説明していきますが、本ツールには主に3つの機能があります。

・分析自動化の強化(TwitterAPIを最大限活用しつつ、分析集計の工数を削減)
・コミュニティの可視化(日々変動するコミュニティの動きを可視化する)
・インフルエンサー発掘(影響力があるプレイヤーを発見する)

先程もお話ししたとおり、まずは安達さんに相談し、その後小口さんや田中さんを巻き込んでプロジェクトが進行していきました。具体的には分析自動化の強化は小口さん、コミュニティの可視化は安達さん、インフルエンサー発掘は田中さんに主に担当していただきつつ、全員で積極的に議論しながら開発を進めています。

安達:DeNAの各事業部において、TwitterなどのさまざまなSNS上で施策が行われているので、今回開発したツール、そして採用している分析手法は組織を横断して使えるため、かなり意義のあるものだと思いますね。

田中:それに、機械学習やAIをコミュニティマーケティングに活用している事例はあまり多くないので、この取り組みを通して、新しい市場を切り拓いていきたいですね。

分析自動化の強化

――それではツールの詳細について質問です。まずは、分析ツールの機能のひとつ「分析自動化の強化」に関して、機能紹介や仕組み、活用方法、運用実績、ケーススタディなどを教えてください。

鶴川:Twitterの数値分析を正しく、かつ少ない工数で可視化したいと考えたのが、この機能のはじまりでした。

小口:まずデータを可視化するため、TwitterのデータをGoogleスプレッドシート(以下GSS)でグラフ化、KPIの数値を出せる仕組みを作りました。

DeNAでは内製BIツール「Argus(アーガス)」を使い、ゲームの行動ログなどを用いてデータ分析をしており、それをプロダクトの改善やUX向上のための施策立案に役立てています。このプロジェクトでもArgusで可視化するという選択肢もありましたが、今回はGSSを採用しました。

その理由としては、[su_highlight background=”#fcff99″]データ分析を後続の業務とシームレスに繋げたいという意図があった[/su_highlight]からです。例えば現行の業務だと、Argusで可視化してそのデータをExcelに落とし、さらにExcelでまた集計してグラフにしてスライドに貼る、みたいな業務があったりします。

データを業務に用いるまでのプロセスが長いので、大元のデータベースが更新されたら、アウトプットのスライドまで一気に自動で更新されるような仕組みがあったらなと思っていました。そうすれば、データの集計作業ではなく、データの結果からプロダクトや施策のことを考えることにより時間を充てられると思いました。

DeNAでは、分析用のデータベースとしてGoogleのBigQueryを利用していますが、年々BigQueryを中心としたビッグデータ解析のエコシステムが成熟してきています。今回のGSSも裏側でBigQueryのデータベースと繋がっていて、誰もが見慣れたGSSのインターフェースからビッグデータ解析ができるようになっています。

また、今回のケースでは利用しませんでしたが、BigQuery MLというSQLで機械学習のモデル開発ができる機能もあり、それもGSSのみをインターフェースにして利用できたりします(詳しくはデータエンジニアリングGrのグループマネージャーが登壇したCloud Next Tokyo 2019の発表をご覧ください)。

小口力也 | 分析部データエンジニアリングGr
2017年に新卒で総合電機メーカーに入社し、全社ITの統括部門で社内システムの企画、開発に従事。2018年にDeNA入社後は、分析部データエンジニアリングGrの立ち上げに参加し、データエンジニアとしてアプリゲームのビッグデータ解析基盤の構築に従事。ゲーム内の行動ログをもとにしたデータウェアハウスの設計、開発から、機械学習を用いた高度な分析のシステム構築など、事業の意思決定をデータドリブンで実現するためのインフラ構築に取り組んでいる。

鶴川:このツールはただ数値を表示するだけではなく、その数値をどう使うかも含めて設計したので、集計結果をそのままレポートできるようになっています。

小口:SQLを用いたGSSからBigQueryへ問い合わせも、スケジューリングができるので、データベースが更新されていれば、GSS上のデータも更新されます。

もし、サマリのグラフなどをGoogle Slideのグラフに連携していれば、それも同様に最新の情報にアップデートされます。データベース、GSS、スライドを連携することで、コミュニティマーケティング関連の分析作業を、革新的ともいえるレベルで効率的にしました。

鶴川:小口さんが話してくれたように、使う側のユーザビリティも意識して作ってくれているので、他事業部への展開のしやすさも大きな強みですね。担当者には「ここに日付を入力するだけですよ」と説明するだけですぐに使えるのでマニュアルもいらず、助かっています。

それとは別で、データを元にどういう観点で、どういう示唆を導き出せるかの考え方を纏めた資料を作りました。ツールの価値を最大限引き出すために利用者の分析力を高める取り組みも、同時に行っています。

――ちなみに、どのようなデータが可視化できるようになっているのでしょうか?

小口:GSSで可視化できるのは「毎日のオーガニック(通常投稿)の投稿数」「リツイート数」「期間中に頻出して使用されたハッシュタグ」など、さまざまな指標です。

また、「Google Natural Language API」というGoogleのサービスを利用して、テキストの感情のスコアを定量的に取得しているので、BigQuery上にそれらのデータを保持しておけば、例えば「この施策におけるプレイヤーの反応がポジティブなのか、ネガティブなのか」といった情報などもGSS上で可視化することもできます。

鶴川:Google Natural Language APIを利用した分析結果と、こちらの感覚がほぼ合致しているので、精度は結構高いと感じましたね。

安達:あと、ツールのユーザビリティにはこだわりましたね。作ったものの、使われなくなってしまうツールが多々ある中で、それを防ぐために、鶴川さん側と、施策に繋げる上で必要・不必要な情報については徹底的に議論した覚えがあります。

鶴川:要件に関しては、自分が事前にマーケティングのメンバーからヒアリングして、安達さんたちとディスカッションしました。良い意味で無駄な要素を削ぎ落とせたと思っています。

小口:このツールでは、期間を指定するだけでKPIを可視化できるんですが、比較も可能になっていて「先月の施策に対する反応」と「今月の施策への反応」を比較したいとき、期間を別々に指定することで、どんな違いがあるのかひと目で分かるようになっています。

――誰でも簡単に扱えるようなユーザビリティが整備されているんですね。ちなみに可視化するまでの過程で苦労した点はありますか?

小口:GSSとBigQueryを連携する機能が「Connected Sheets」や「Data Connector」といった比較的新しい機能で、特にConnected Sheetsについては現在β版なので、周囲に実務で導入している人がおらず、またWeb上に知見もたまっていないので、手探りな部分はありました。

――ちなみに鶴川さんとの連携で大変だった点はありますか?

小口:強いて言えば、鶴川さんの推進力が高いので、次々と全社でニーズを引っ張ってきて頂いたところですかね(笑)。それだけ[su_highlight background=”#fcff99″]「ユーザーコミュニティをもっと良く理解したい、それを施策に活かしたい」[/su_highlight]という全社のニーズが高かったのだと思います。

――現在では案件はまだ増えているんですか?

鶴川:いえ、現在は一旦落ち着いていて、実績を生み出すフェーズに移行する段階に入っています。

小口:BIツールでの可視化については、今後[su_highlight background=”#fcff99″]「Looker」の導入が決まっている[/su_highlight]ことが最近のトピックです。

鶴川:Lookerを使用することでツールのユーザビリティがもっと向上しそうですね。

小口:そうですね。LookerにはViz Blocksというダッシュボードのテンプレートを使って、簡単にダッシュボードを作成できる機能があるのですが、社内外の人が活用できるコミュニティ分析のテンプレートを開発することにも、チャレンジしてみたいですね。

5時間の工数が、10分に短縮

――ちなみに小口さんの開発の成果として、かなり工数削減が実現したと聞いたのですが?

安達:そうなんです。世間でデータドリブンやAIといった概念が浸透している中、コミュニティマーケティングの仕事についてヒアリングしたとき、実はマニュアル作業が多いと聞いて驚かされたんです。これはイケてないね、ということで業務効率化を行いました。

鶴川:この効率化に関しては[su_highlight background=”#ffa299″]「5時間かかっていた作業が10分で終わった」[/su_highlight]という、ものすごいインパクトがありましたね。

プレイヤーのことを正確に理解するために、定量/定性データの収集を行い、そこからプレイヤーのインサイトを見つける業務を毎日欠かさず行っています。

特に定性データの収集は、集計結果の品質を高めるためには時間を要していたのですが、小口さんのツールのおかげでかなり短縮することができました。

――このツールと機能が広まれば、全社的に大幅な工数の削減ができるかも知れませんね。

鶴川:今まさに、それに取り組み始めています!

安達:データに対するリテラシーが高くないと気付きづらい面もあるので、この記事のように社内外に発信していくことで、導入を考える人が増えてほしいですね。また、こういった取り組みを通じて関係値を築くことで、高度な分析に対するアイデアのやりとりなどがスムーズに進むと良いですね。

鶴川:確かにルーチンワークがスリム化できたので、新しい企画やアイデアを考える時間に頭を使えるようになると期待しています。

コミュニティの可視化

――それでは次に「コミュニティの可視化」に関して、分析の詳細や活用方法などを教えてください。

安達:はい。まず特定のゲームで盛り上がっている人々の中からコミュニティを抽出して、それらが時系列でどのように拡大・縮小・結合・分裂・消滅していくのかを可視化しています。

また、各コミュニティが「イラストが好き」「ストーリーが好き」「運営について語りたい」など、どういった話題を中心に形成されているのかを調べています。

そこで得た知見を元に、SNS上全体のアクティビティを活性化させるためには、どのコミュニティ同士を繋げればいいのか、また、各コミュニティにどういった内容の施策を行うと反応が良さそうか、といった方向への活用の検討を行なっています。

また、さまざまなゲームコミュニティ間の距離を計測・可視化することで、あるゲームを始めてもらうためには、どの他ゲームに関連するコミュニティにどのようなキャンペーンを行えば良いのか、施策のヒントとなる分析を行なっています。

安達 涼 | 分析部第一Gr
人間の意思決定プロセスの数理モデル化と、その神経基盤を解明する研究に従事し、カリフォルニア工科大学PhD(計算論的神経科学)を取得。2018年にデータアナリストとしてDeNAに入社。機械学習の手法のみならず、行動経済学の知見などを用い、人間のゲーム内外での行動データを包括的に理解することで、ゲームタイトルの運営力・UX向上を目指している。

――特に苦労した点は?

安達:データが全くない状態からスタートしたので、小口さんのチームとデータ収集について連携してデータを用意し、そこから分析まで、ゼロからイチまで行う、というプロセスが大変でした。

でも実際、苦労したという感じはなく、そのプロセスも楽しく感じましたね。人と人とが興味で繋がってコミュニティを形成していく、そのプロセスがデータで確認できるってすごい時代ですよね。

海外では、SNSの会社が研究機関と連携してコミュニティ関連の分析を行なっていたりしますし、日本でも徐々に流行っていくのではと感じています。

――コミュニティを分析して数値で表現する仕組みを教えてください。

安達:コミュニティを抽出するためには、まずユーザーのネットワークを作成する必要がありますが、作成の仕方にもいろいろあり、例えば、フォロー・フォロワーの関係性で組んだり、ツイート・リツイートの関係性で組むこともできます。

この定義次第で分析できることが変わってくる、この曖昧さが難しい部分である一方、クリエイティブな方法を見つけたりできる面白い点でもあります。

日々変動するコミュニティの可視化によって、施策も改善・進化

――鶴川さんはこの機能について、実際に使ってみてどうでしたか?

鶴川:これから本格的に活用するフェーズに入りますが、新発見が多く、こちらの仮説が意外と外れていたことも分かりました。また、その仮説が外れたからこそ新しいアイデアが生まれるきっかけにも繋がっています。

――Twitterのリアルタイム性の高さに関しては、どのような対応ができますか?

安達:今回の分析では、ゲームのコミュニティがどのように拡大縮小しているのか、コミュニティごとに何に興味があるのか、などを抽出・可視化しています。

Twitterは非常にアクティブなSNSなので、ネットワークやコミュニティの変化は激しいと思っていたのですが、コミュニティというレベルでの変化は、割と安定していることがわかりました。

これはもちろん、リリースからの年月、そのゲームタイトルがカジュアル層向けかコア層向けか、でも変わりますが、この観点からのゲーム間比較も面白そうですね。

鶴川:複数のコミュニティがいつの間にか合体して大きくなったり、分裂したり、人間の目では分かりづらい様子が時系列で見えるので、面白いですよね。

あるゲームに関連するコミュニティの時系列遷移の可視化例。
各コミュニティは拡大・縮小・結合などを繰り返している。

――ちなみにコミュニティの動きが見れる画面は、基礎知識がなくてもすぐに理解できるのでしょうか?

安達:さまざまなサイズのコミュニティが週ごとに拡大・結合・消滅して遷移していく様子を可視化しています。

田中:その部分をより見やすく、わかりやすくするのが、まさに自分たちの今後の仕事ですね。

安達:ええ。コミュニティの遷移に加えて、各コミュニティで流行っている話題なども一目でわかるようなダッシュボードの制作も予定しています。

――これまでの話を聞いていると、なんとなく銀河系、宇宙空間をイメージしてしまいます。

田中:確かに似ているかも知れませんね。Twitterの拡散範囲は、人間が認知不可能なくらい広がっていますし。太陽系は今まで詳細に観測できているけど、さらに遠くの惑星や銀河には未知の部分も多くあるように、まだ見えていない部分を解明していくことが、本プロジェクトのひとつの目標ではありますね。

安達:そうですね。コミュニティの変遷はまるで生き物のようにも見えますよね。それをデータを元に分析して、これから色々な施策に活用していくことを考えるとワクワクしますね。

インフルエンサー発掘

――続いて、「インフルエンサー発掘」に関して、機能紹介や仕組み、活用方法、運用実績、ケーススタディなどを教えてください。

田中:この機能については研究開発のフェーズですが、現時点で行なっていることについてお話ししていきます。

当初の鶴川さんからの要望は、[su_highlight background=”#fcff9″]Twitterにおいてプレイヤーや運営の投稿が誰に届き、どうやって広まっているのか、誰を経由して強弱が変化しているのか、その伝播過程を知りたい[/su_highlight]といった内容でした。

さらに、熱量高くプレイを続けてくれるプレイヤーは誰なのかを、大規模なSNSの中から見つけて欲しい、といった「インフルエンサーを可視化してほしい」という内容も含まれていました。

田中 一樹 | AIシステム部データサイエンス第一Gr
2017年にDeNA入社後、データサイエンティストとしてアプリゲームに関する AI 機能の開発に従事。現在は、多様な事業へのデータサイエンス活用を目指した研究開発や課題発掘に従事。「速習 強化学習 – 基礎理論とアルゴリズム-」(共立出版) の翻訳、「Practical Developers ―機械学習時代のソフトウェア開発[ゲームアプリ-インフラ-エッジ編]」(技術評論社) の執筆に携わる。学生時代からデータ分析の大会に没頭し複数大会で入賞。Kaggle Master。

田中:「インフルエンサー発掘」と説明しましたが、実際には「インフルエンサーの可視化」「インフルエンサーのインフルエンス力(影響力)の可視化」「抽出したインフルエンサーの特徴分析」について重点的に実施しています。

インフルエンサー分析の可視化画像

田中:「インフルエンサーの可視化」については、すでにインフルエンサーになっている人を発見する分析と、将来インフルエンサーになりそうな「ポテンシャルインフルエンサー」を予測し、事前に発見する分析を行なっています。

既存のインフルエンサーについては、すでにさまざまなアルゴリズムが研究されており、それらを活用し抽出しています。

例えば良質な情報を発信している人、情報伝播や繋がりのハブとなっている人、拡散力があり情報の発信頻度が高い人、などさまざまな角度からインフルエンサーを発見しています。

まだPoCの段階ですが、汎用性の高いアルゴリズムが多く、現在では20~30種類の指標を使って、自動的にインフルエンサーを抽出し、分析することができるようになってきました。

また、未来のインフルエンサーをデータサイエンスやAIで予測することができれば、運営が事前に熱量が高まりそうなインフルエンサーと接点を持つことができます。ここではAIを使って過去のアクションや嗜好性、繋がっている人の情報などから、将来インフルエンサーになりそうかを予測しています。

――AIで未来のインフルエンサーを発掘するのは、DeNAならではの取り組みかもしれませんね!

田中:そうですね、AIの活用を通じてなるべく多くの方に情報を届けていきたいですね!

続いては「インフルエンサーのインフルエンス力(影響力)の可視化」についてお話しします。

インフルエンサーを可視化した後、実際にどのくらい拡散されるのか、どうやって拡散されていくのかを知りたくなりますよね。その部分を解明するために、我々はツイートの拡散シミュレーションに関する研究開発も行なっています。

インフルエンサーがあるツイートをしたときに、どんな経路で最終的にどれくらいの人数に拡散されるのかをシミュレーションする研究開発が進んでおり、マーケティングでの簡易的な運用は可能になり始めています。例えば、Twitterにおける広告配信など、SNS上の幅広い範囲に情報を行き渡らせるためのターゲティングに活かしたいと考えています。

ここで研究している手法の中身は、[su_highlight background=”#fcff9″]Influence Maximization(影響最大化)と呼ばれる最適化系の問題でバイラル(口コミ)マーケティングの文脈で語られることが多い[/su_highlight]です。「どこに施策を打つと情報の広がりが最大化されるか」というテーマで最適化をする分野で、一般的に解くのが困難な問題ではありますが、上手く工夫しながら実応用を目指して取り組んでいます。

しかし、現実世界のSNSは単純ではありません。自分が発信したツイートを他の誰かがX%の確率でリツイートしてくれる、といった確率を正確に把握することは、難しいことが多いです。

ただし、我々はそれを解決するためにツイート内容などから、情報が伝播する確率を推定する取り組みも行なっています。

例えば、親和性の高い人同士は高確率で情報伝播しやすい、嗜好が似ておらず興味が異なる人同士では情報がリツイートされにくいなど、さまざまな観点からより現実的な拡散シミュレーションができないか日々検証しています。

他にはフォローが多い人はタイムラインが流れやすく、ツイートが目に留まる確率が下がる傾向があるので、拡散される確率もその分減るのではないか、といった仮説検証もしています。

――Twitterなど投稿するのは人間なので、あいまいな部分を解明するのは大変では?

田中:そうですね。その部分に関しては安達さんが行なっているコミュニティの分析と連携しながら、この人はどのジャンルが好きなのかといった趣向も深掘って分析したいと考えています。

――このインフルエンサー発掘の機能について、鶴川さんはどう感じていますか?

鶴川:とても未来的で、今後のプロモーション施策などへの活用方法は多彩だと思います。さまざまな情報が行き交う今の時代では、サービス提供者の発信だけではコミュニティへ情報を十分に行き届かせるのは、とても難しく限界があると感じており、ゲームに関する情報発信していただけるプレイヤーの方々の力が、情報伝達に必要不可欠な時代になっています。

私たちは「フォロワー数が多い」「発信回数が多い」と言った表面上の数値だけではなく、もっと本質的な要素も含めてインフルエンサーの発掘をしたいと思っています。

田中:コミュニティとインフルエンサーの両方の観点を組み合わせて連携することで、今までできなかったような有効な取り組みができたら良いですね。

――今後のマーケティング施策も成功する確率をさらに上げることができると?

田中:まさに取り組んでいる最中ですが、このプロジェクトではAIによって作成されたシミュレーションや予測を元に施策を実施した後に、その結果をAIのアルゴリズムにフィードバックする工程をなんども繰り返し、全体のワークフローを精緻化することで成功確率を上げていきたいなと思っています。

鶴川:施策自体も変わりますが、それを作るプロセスも実際変わってきています。今まで見ていなかったデータを当たり前に見るようになってきていますし、施策を考える際に連携を図るチームも変わってきています。

田中:全員に全く同じマーケティングをするのではなく、イベント関連の施策はこのインフルエンサーに、バトル関連施策はこのコミュニティに、といったようにジャンルやゲーム毎に施策の検討方法が変わっていくと思いますし、そのクリエイティブを作り始める段階から連携できれば、新しい価値を生み出せるかもしれませんよね。

データはこれまでにない強い武器となる

――このようなコミュニティ分析ツールは、ゲーム業界以外でも開発・活用されているのでしょうか?

安達:日本だけでなく世界的にも、データサイエンスやAIを用いてコミュニティの分析を推進する取り組みは少ないと思います。

コミュニティという粒度で包括的に、データを元にした施策を考えていく取り組みはあまり耳にしないですね。

田中:Twitterの自動ボットやターゲティング広告などの取り組みはが多いと思いますが、コミュニティの性質をデータから細かく分析する取り組みは、あまり多くないと思います。

鶴川:このプロジェクトではマーケティング施策を最大化させていくという観点ももちろんありますが、それ以上にプレイヤーの体感・体験を向上することに強くフォーカスしています。

――冒頭でも少しお聞きしましたが、鶴川さんが安達さんに相談してから、ツールが開発されるまでのフローを改めて教えてください。

鶴川:まず最初に実現したいことをまとめつつ、ダッシュボードのイメージを含めて、安達さんと要件をすり合わせていきました。

安達:まずTwitterの基本的な統計量取得による工数削減および、データサイエンスを用いた高度な分析で実現したいこと・できそうなことをまとめました。それから自身でPoC(Proof of Concept:概念実証)をして、まずダッシュボードを作成しました。

その後、さらにスケールさせるために小口さんに相談をして、ダッシュボードにいろいろな人がアクセスできるよう拡張してもらいました。また、高度な分析でも実現したいことが多く、田中さんにも参加していただいた流れになります。

小口:自分が驚いたのは、鶴川さんの推進力の高さでした。データ分析を生業としている私たちデータエンジニアやデータサイエンティストが分析をして「こういう意思決定をするべき」とコンサルティングをして巻き込むというよりは、データを使ってより良い意思決定をしたい、と望んでいるメンバーが中心となって始まったプロジェクトだったので、スピード感や熱量が他のプロジェクトより高かったと思います。

また、鶴川さんがこの取り組みを他事業部に共有してくれたのも、嬉しかったですね。データは施策や意思決定に活用してもらわないと価値がないですし、それを全社に届ける動きをしていただいたのは非常に助かりました。

鶴川:少し照れますね……(笑)。実は自分のストレングスファインダーの資質の中では「分析思考」がかなり強いんです。もともと未知の発見が好きなので、なるべく食わず嫌いはしないようにしています。

また、時間が空いたときに安達さんからネットワーク理論について教えてもらって、勉強しています。これまでコミュニティマーケティングの人間が、何となく感覚で理解していた部分に、アカデミックな情報が加わると、明確に言語化できるので楽しいですし、学んでいきたいですね。

――ただ要件を依頼するだけでなく、お互い学びながら成長すると?

鶴川:はい。お互い似ている領域ではありますが、所持しているナレッジが違っていたのかなと思いますね。それを交換しながらパフォーマンスを上げていきました。

――このツールについて他の事業部からのフィードバックはどのようなものがありましたか?

鶴川:実はつい最近共有したばかりなんですが、一様にかなり驚いた反応をしていました。

これまでは「こんなツールあったら便利かも」くらいに抽象的なイメージしかなかった中、それを具体的に可視化、言語化できるツールが登場したので、驚きがあったのだと思います。

コミュニティの運用においては、どのようなデータを見れば良いのか、またそのデータをどのように取得すれば良いのか判断がとても難しいです。

本ツールで取得したデータを使用して、プロデューサーなどのメンバーと議論していますが、[su_highlight background=”#fcff9″]ファクト(事実)を示すことができる[/su_highlight]ので、議論の質も高まっていると思います。

――しっかりと説得できるデータが取得できているからこそ、これまでにない強い武器になると?

鶴川:はい。ほとんどの人は、Twitterやネット掲示板を常に見ているわけではなく、スキマ時間にチラッと見た情報が正になってしまうことが多いですが、コミュニティは常にリアルタイムに動いています。

全体を理解できていないのに結論付けてしまうことが、これまで課題だったのですが、このツールのおかげで、総合的にサマリを伝えることが可能になったのは、大きな強みと言えますね。

人と人を繋いでユーザー体験を向上したい

――今後、本ツールの運用で事業(ゲームだけでなく)に対してどのような成果を目指していきたいと考えていますか?

小口:今回はTwitterだけの取り組みでしたが、他のプラットホームにもコミュニティは存在しているので、それらのオープンデータを活用できる状態を実現したいですね。また、グローバルでのユーザーコミュニティの可視化にもトライしたいです。

安達:コミュニティはゲームに限らず、どこにでも存在するので、その汎用性を生かして他の分野に広げていきたいと考えています。また、ここ最近の機械学習手法の進展によって、高い精度でコミュニティ抽出ができるようになったり、かなりアクティブなリサーチエリアになっています。

コミュニティマーケティングの重要性の増加と相まって、今後活用先が増えるのは確実です。今回の分析をきっかけとして、社内外で協力して、マーケット全体のスタンダードを作れればと思っています。

田中:もちろん汎用的な技術なのでさまざまな事業へ横展開していきたいと考えていますが、私がデータサイエンスやAIを活用するときの軸としているのが[su_highlight background=”#fcff9″]「サービスに触れている方に楽しさや新たな体験を届ける」[/su_highlight]ことです。

抽象的ですが、人と人が繋がり、今まで以上にハッピーになる世界を目指したいですね。このプロジェクトでは、データサイエンスやAIを通じてその橋渡しができるきっかけを作りたいと思っています。

鶴川:コミュニティマーケティングは大きな可能性を秘めていて、テクノロジーの力を活用しコミュニティの可能性をもっと引き出せれば、今までにない新しい取り組みに繋がると考えています。その新しい取り組みで、より多くの人により楽しい体験を提供していきたいと思います。

――ゲームやサービスを通じて、プレイヤーをさらにハッピーにできる技術が進化していくのは、とても楽しみですね。ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:齋藤暁経

【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

DeNAが運営中のモバイルゲームの各タイトルでは、ゲーム内イベント・キャンペーンのほかに、公式SNSや公式YouTubeチャンネル、リアルイベントなどで、最新情報の提供だけでなく、プレイヤーと交流できる多種多様なコンテンツ施策を実施しています。

そして、それらのコンテンツ企画・運用を担うのが、ゲーム事業部のコミュニティマーケティンググループです。今回「DeNAマーケティング部特集vol.4」では、同グループに所属するSNS運用担当の「なおこす」、リアルイベント企画・運営担当の「まなてぃ」、公式YouTube担当の「ちゃんもも」に、今まで手がけてきた取り組みやそれぞれの想い、今後の展開などを聞くことができました。

なお、本インタビューの聞き手は、3人の上司でもあり良き相談相手もある、マネージャー鶴川将志(鶴川が登場する記事は以下をご覧ください)が担当しています。

【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

プレイヤーの熱量を、全力で施策に組み込む


なおこす | SNS運用担当
2018年新卒入社。入社直後にIPタイトルのSNS運用や生放送の企画を経験。現在オリジナルタイトルのコミュニティマネージャーとして、プレイヤーに向けたオンライン・オフライン施策を担当。

――それでは簡単に自己紹介をお願いします。

なおこす:現在オリジナルタイトルのコミュニティマネージャーとして、公式SNSなどを担当しています。DeNAには新卒で入社し、IPタイトルの公式SNS運用を経て、現在はオリジナルタイトルのプレイヤーに向けて、オンライン・オフライン問わず、さまざまな施策に関わっています。

――入社後は具体的にどのような取り組みをしてきたか、改めて教えてください。

なおこす:まずIPタイトルの担当になった時には、原作であるアニメシリーズを鑑賞したり、楽曲を聴いたりすることで、世界観を深く知ることから始めました。そして実際のゲームプレイを通じて、どんなプレイヤーの方がゲームを楽しんでいるかを理解することから実践しました。

その後は、既存のプレイヤーに向けて、より楽しめるようなSNSのキャンペーンを企画していきました。プレイヤーの方々はIPのファンが多いので、「ファンだったらどう感じる?」を徹底的に考えていました。そうして生まれた施策が、プレイヤーの方々に楽しんでもらえて、版元様からも好評だったときは、とても嬉しかったですね。

まなてぃ:施策をうまく成功させたの、同期入社の私より全然早かったよね!

なおこす:そうかも! 2018年5月にマーケティング部に配属されて、すぐに責任ある仕事を任せてもらったんです。そこで「私がやらなきゃ!」って気持ちがすぐに強くなって、成長がスピードアップした気がしますね。

――「できるできない」ではなく、「やるかやらないか」というのがDeNAのカルチャーですよね。その後関わることになったオリジナルタイトルについて教えてください。

なおこす:オリジナルタイトルでは、主にSNSやキャンペーン施策の企画/推進に関わっています。入社してからTwitterのキャンペーンをたくさん実施してきました。

施策に関しては以前のIPタイトルで培ったノウハウを流用するわけではなく、ゲームシステムやプレイヤーの属性の違いを理解し、きちんとプレイヤーの皆さんに楽しんでもらえるように、ユニークなアイデアをプロデューサーやプランナーと一緒に考えています。

その際、すでにゲームを楽しんでいただいているプレイヤーだけを盛り上げるのでなく、まだゲームタイトルを知らない方でも楽しんでいただけるように意識しています。

――特に印象に残っている施策はありますか?

なおこすTwitterのハッシュタグを用意して一緒に楽しみましょう、というキャンペーンを実施した際は、大きな反響がありました。特にTwitterはたくさんのプレイヤーのおかげでいつも盛り上がっているのですが、この施策でも皆さんが参加してくださって嬉しかったです!

ちゃんもも:Twitterトレンド入りしてたよね!

なおこす:そうなんです! 担当しているオリジナルタイトルのプレイヤーの皆さんは熱量が高く、ファンアートもたくさんありますし、キャラクターの紹介文を書いてくださったりする方もとても多いんです。ですので、プレイヤーの皆さんと一体となって盛り上がりを創出できたらと思って企画しました。

結果として、ゲームタイトルを知らなかった方にプレイしていただけるきっかけにも繋がりました。ゲームタイトルの関連ワードでも10位以内に入って、とても嬉しかったですね。いつも盛り上げてくださっているプレイヤーの皆さんのおかげなので、本当に感謝しかないです。

――今まで失敗もあったと思うんですが、そこから学んだことを教えてください。

なおこす:担当しているゲームタイトルでは、オンラインだけでなく、オフラインの施策にも挑戦しています。ただ当初はどのプレイヤー層に向けてどんな体験を提供するのかなど、テーマや軸を定めることができず、開催に至らなかったこともありました。

その時に学んだことは、プレイヤーの期待を超え続ける「重要さ」と「難しさ」です。特に一度実施したことがある施策の第二弾以降は、前回の期待を更に超えなければならないので、難易度がかなり高くなります。

ここはプロデューサーをはじめとした運営メンバーと一緒にテーマを考え、全員が納得した施策だけをプレイヤーに届けるようにしています。

――これまでの失敗があるからこそ今がある、という事ですよね。

なおこす:そう言えると思います。とにかくプレイヤーの皆さんの熱量は本当に高いので、期待を超える体験を提供し続けることに関して、一切妥協はしません。

――施策を実施する中で、一番大事にしていることは何ですか?

なおこす:プレイヤーの皆さんがそれぞれ自由に楽しめることです。ゲームが好きな方々の中でも、キャラクター、バトル、ストーリーと好みが違いますし、キャラクターを揃えて楽しんだり、自分でイラストを描いたり、実際にコラボカフェに足を運ぶ人など、楽しみ方も千差万別です。

そのように、多種多様なプレイヤーそれぞれが楽しめるような話題を提供することを、特に大事にしています。

――施策の振り返りはどうやっていますか?

なおこす:オンライン周りでは、キャンペーンや施策を実施する前にしっかりと目的とゴールを決め、その目的を達成するため必要な要件整理を最初にしています。

その際には私一人だけではなく、各運営メンバーとも連携して設計するようにしています。また、施策実施後には、目的を達成できているかどうかの振り返りを定量/定性の両軸で必ず行っています。

――その振り返りが、さっき出た「プレイヤーの期待を超え続ける」に繋がるんだね! ちなみに業務で連携する際に、どのようなメンバーと連携していますか?

なおこす:他タイトルのSNS担当者との連携が多いです。リアルイベントやYouTube番組を実施するときなど、SNS運用における懸念点などについて細かく相談しています。最近話題になっているキャンペーンや施策の話もよくしますね。

同じチーム内ではプロデューサーやマーケティングメンバーとの連携が多いと思います。希望を伝え合うだけでなく、一緒にマーケティングプランの全体像を考え、その中でオンライン・オフラインそれぞれのコミュニティに対して、どういう話題を提供していくかを設計していきます。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

――今後はどのようなことにチャレンジしていきたいですか?

なおこす:コミュニティはゲームにおいて必要不可欠な存在になっていると思います。そのコミュニティが持つ熱量を伝播させて、多くの人にゲームを知っていただき、ずっと遊んでもらいたいと考えています。

また、私個人としては、今はゲーム事業を担当していますが、他事業などに対しても、コミュニティのノウハウを共有して活用できればいいと思っています。

こだわりを重ねて、最後の意思決定に責任を持つ


まなてぃ | コミュニティマネージャー
2018年新卒入社。『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーとして、オンライン・オフライン施策を担当。

――それでは自己紹介に加えて、学生時代の経験もあわせて教えてください。

まなてぃ:現在は『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーとして、オセロニアンの皆さんに、ファンミーティングや公式大会などのリアルイベント、YouTubeチャンネルの「オセロニアンちゃんねる」など、オンライン・オフライン問わずさまざまな施策をお届けしています。

※オセロニアン…『逆転オセロニア』のプレイヤーから自然発生したオセロニアファンの呼称。現在では、公式で使わせていただいている。

私は小さい頃からF1などのモータースポーツが好きで、学生時代はレースチームのアンバサダーとして、MCやレポーターをしながら、国内外を飛び回っていました。

その後、2018年にDeNAに新卒入社し、より多くの人に影響を与えたり、喜んでいただける仕事がしたいと思い、現在では『逆転オセロニア』を盛り上げられるように頑張っています。

――メイン担当はリアルイベントですが、それを推進する上で他部署との連携は多いよね?

まなてぃ:そうですね。リアルイベントを開催するための企画や大会ルールの設計、情報出しの設計やオリジナルキャラクターデザインの作成、特設サイト制作、『逆転オセロニア』公式Twitterを担当するいちこちゃんとの連携などなど……ゲーム内外で多種多様な担当者との連携が必要になるので、各セクションとの連携はかなり多いです。

もちろん、イベント進行はオンタイムでやらなければいけないので、時間などの「制約」と「こだわり」の線引きに関しては、毎日意思決定と戦っているイメージです。

――仕事で大切にしていることを教えてください。

まなてぃ:『逆転オセロニア』が一番大事にしている「安心・安全」というコンセプトをずっと大切にしています。

自分たちがゲーム内外関わらず、どんな施策をやる時でも、前提の「安心・安全」というコンセプトが崩れていると、どんなに面白い施策だったとしても、本当の意味でワクワクしてもらえないと考えています。まだまだ十分ではない部分も多いですが、『逆転オセロニア』を楽しんでもらう為の大前提として、このコンセプトはこれからも大事にしていきたいですね。

特にコミュニティマネージャーは、「プレイヤーに一番近い運営」であるべきだと思うので、オセロニアンの皆さんへ届けるメッセージングの責任は、しっかり担っていくべきと考えています。それはゲーム内お知らせの文言やSNSでの配信はもちろん、イベントや生配信での発言一つとっても同じです。

また、社内のメンバーに向けて施策のメッセージングを伝える際は、ドキュメント等でアウトプットした上で、「本当にこれで正しく伝わるかな?」と、人一倍アンテナを立ててコミュニケーションすることも意識しています。

――今までの案件で一番感動したことは何ですか?

まなてぃ:やっぱり『逆転オセロニア』3周年のイベント「オセロニアンの祭典 3rd Anniversary」ですね。イベントを通して、個人的に感動させられるような、たくさんの素晴らしい驚きが詰まっていたんです。

イベント内の大会コンテンツ「オセロニアンスターズ 2019」では、高校生のオセロニアンが地区代表として参加してくださって、当時まだ実装されたばかりで本格的に使われていなかった新スキルの持ち味を最大に生かしたデッキを使って、会場・配信をとっても盛り上げてくださったんです。スタッフも舞台裏で大興奮でした!

ゲームの大会って、勝つことが目的のはずなのに、見ている観客を盛り上げよう、楽しませようという思いを大切にしてくださる姿に、自分も一人のオセロニアンとして心から楽しませていただきました!

また、オセロニアンが制作した絵を表彰するコンテンツ「オセロニアンセレクション’19」では、受賞した方が、現物を実際のイラストや作品を会場まで持ってきてくれて、来場者に披露してくれたんです。イベントを盛り上げていただく為のご協力が本当にありがたかったです。

――本当にありがたいよね!

まなてぃ:そうですね! あと、Twitter上に#オセロニアートというハッシュタグで画像を投稿してくれる「アート勢」の熱量もとても高いんですよ。最近では、オセロニアン主催のオセロニアート展が開催されるなど、皆さんが盛り上げてくださることが嬉しいですね。

『逆転オセロニア』チームの一員として、今後もオセロニアンの皆さんが喜んでくれるコンテンツをゲーム内外で提供し続けていくことは、私たちの使命と言えます。

――これまでの経験の中で、自分が一番成長したと感じる瞬間はありますか?

まなてぃ:「オセロニアンの宴2018-19冬」のオーナーを担当したときですね。この経験を通じて、自分のこだわりを限界まで詰め込むことの大切さを痛感しました。

――具体的には?

まなてぃ:イベント準備を当日に間に合わせることは大前提として、ノベルティグッズひとつに関しても何を貰ったら嬉しいかはもちろん、貰ったあとにオセロニアンの皆さん同士でどんなコミュニケーションが発生するか考えたりなど、デザインも徹底的にこだわりました。

全国をまわるイベントでしたので、前の会場のアンケートでオセロニアンの皆さんからいただいた一つひとつの不満の声についても、きちんと次の会場では改善し、満足度を上げていきたいという思いを詰め込んでイベントを行っていきました。

開催後に「ノベルティが素敵だった!」「安心して楽しめる大会のルールだった」などコメントをいただいたときは、こだわりや大切にしたところがきちんと伝わっていることを感じました。この経験を通じて、やれることは全部やるべきと痛感したので、とにかくこだわりを詰め込むようにしています。

どんな些細なこだわりや直前の調整も全ては、オセロニアンの皆さんの良い思い出になるために必要なことだと思っています。

――今はチームリーダーをしていますが、メンバーと接する時に大切にしていることは何ですか?

まなてぃ:難しいですが……最後の意思決定は「各メンバーが責任を持って決めること」ですね。

リアルイベントでは、たくさんの人の力を借りて実施します。そのため、さまざまな意見が飛び交いますし、ときには意見が対立することもあります。

でも、コミュニティチームのみんなは、オセロニアンの皆さんと顔を合わせる機会が一番多いんです。だからこそ、自信と責任をもって各メンバーが意思決定をすることが大切だと思っているんです。

――なるほど! では意思決定をする上で、大切なことはありますか?

まなてぃ:リアルイベントでは、何十回も参加してくださってている方から、 今回が初参加だという方もいらっしゃいます。ゲーム内も一緒で、何年間も楽しんでくださっている方から、まだ『逆転オセロニア』をはじめて数ヶ月の方もいらっしゃいます。

コミュニティは毎日動いていますので、さまざまなオセロニアンの方がいらっしゃるコミュニティの”今”をきちんと理解して、方向を考えられること。そして、プロジェクトとしての成功やオセロニアンの皆さんの満足度など、さまざまな観点を踏まえて、最後は各メンバーが”今”のコミュニティに向き合った上で、決め切ることが大切だと思っています。

ただ、意思決定してもらったことに対して、各施策オーナーに「なんでそうしたの?」とは聞かないことを私の中のルールとしています。もちろん問題を発見した時は、追って調整させてもらう時もありますが……。

――新卒2年目とは思えないコメント……(笑)。

まなてぃ:そうですか?(笑)。 でも決めなきゃいけないことって本当に多いんですよ。

例えば細かいところだと、イベントのお土産のネックストラップの幅を何mmにするとか……。そういう小さいことから、個人でしっかり決めて行かないと、今後大きい意思決定ができるようにならないと思います。もちろん、相談がダメな訳ではないので、私も含めて、悩んでいる時はしっかり相談するようにしています!

――今後はどんな挑戦をしていきたいですか?

まなてぃ:『逆転オセロニア』はゲーム性に限らず、ゲームの世界観を愛してくださったり、キャラ愛が本当に強い方だったり、キャラクター(駒)のスキルを考察したり、YouTubeやMirrativでの動画配信で盛り上げてくださったり、自主運営の大会を作ってくださったりなど、多彩な趣向性のオセロニアンによって支えられています。そしてそんなオセロニアンの皆さんが『逆転オセロニア』の魅力をどんどん大きくしてくださっていると思っています。

だからこそ私も、『逆転オセロニア』のさまざまな面を楽しんでいただけるような施策ができればなと思っています。そしてオセロニアンの皆さんが作り上げてくださっているたくさんのコンテンツや活動を、公式としてもっと盛り上げる施策を実現していきたいです。

――ちなみにDeNAで実現したいキャリアなどはありますか?

まなてぃ:まずは、引き続きオセロニアンの皆さんに「『逆転オセロニア』を好きで良かった」と思っていただける体験を届けていくことです。今絶賛準備中の、「オセロニアンの戦 2019」にもたくさんのご応募をいただいており、オセロニアンの皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります!

そして今後も引き続き、安心して応援してくださるような環境を作れるコミュニティマーケターになりたいです。コミュニティマーケティングという仕事が、より世の中に認められるように頑張っていきたいですね!

「共感と応援の時代」へ


ちゃんもも | 公式YouTube担当
「オセロニア情報局」の元メンバーで、現在は『逆転オセロニア』公式YouTubeと、プロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」YouTubeチャンネルを担当。

――それでは簡単に自己紹介をお願いします。

ちゃんもも:2017年3月から2019年6月までの2年間、『逆転オセロニア』の公式YouTubeチャンネル「オセロニア情報局」の中の人として、オセロニアンの皆さんにゲームの最新情報をお届けしつつ、裏では編集や撮影などを担当していました。

プロデュースする立場に回りたいという夢のため、今年6月に演者を卒業し、現在は新しい情報局のメンバーの「ルルカ」をサポートしています。

また、8月からプロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」の公式YouTubeチャンネルでも、選手の魅力を多くの人に知ってもらえるようなYouTube運用をしています。

――動画に出演するケースは今までのDeNAではあまりなく、出演に関して覚悟が必要だったと思うのですが、出演の経緯を教えてください。

ちゃんもも:SNSが普及し、「個」がメディア化されるようになり「個の時代」と言われるようになりました。そんな中で私は「個」を応援できるような仕事がしたいなーってずっと思っていたんです。

ただ、応援するためには、まず自分が「個」としての気持ちを理解することが大切だと感じ、出演を決めました。もちろん『逆転オセロニア』が好きだったことは大前提としてあります。

――実際に出演してどうでしたか?

ちゃんもも:YouTubeは視聴者との距離が近いメディアなので、フィードバックも毎回リアルタイムで見れて楽しいですが、反面大変なことも多かったです。もちろん、オセロニアンの皆さんと同じコンテンツでやり取りできるのは楽しかったですね。

――大変なことも多い中、長期間出演できたの理由は何ですか?

ちゃんもも:やっぱり応援してくださるオセロニアンの皆さんがいたから、という理由に尽きると思います。卒業した今でも、応援のお手紙をいただくこともあって、自分の頑張る糧になっています。

まなてぃ:情報局の2周年イベントの反響もすごかったもんね。企画がちゃんももで、運営が私でした。

ちゃんもも:当初想定していたよりも本当にたくさんの方に応募いただいて、嬉しかったですね。

――情報局では、どのくらいの頻度で動画をアップしていましたか?

ちゃんもも:以前は週に2本前後、多い時は毎日アップしていました。

――そこまでの高頻度だと振り返りの時間が足りないと思いますが、どうやって振り返りをしてきましたか?

ちゃんもも:YouTubeのコメントやTwitterでの投稿はすべて目を通しています。

あとは、情報局の運営メンバーは常に「ユーザーファーストなのか」という軸で議論をしていて、そういった心がけが、次のアクションのスピードだったり、正しい改善だったりに繋がっていたんだと思います。

――人の個性を見て仕事の振り方を分けていると思いますが、チームビルディングで大切にしていることは何ですか?

ちゃんもも:普段の仕事においても、メンバーの「個」が最大限活きるような環境を作りたいと思っています。一人ひとりと向き合って、良いところを引き上げていくことが私の仕事かなあって。

まなてぃ:ちゃんももって、かなり男前なんです(笑)。でもこの職能は本当に根性が必要かも。

――メンバーとのコミュニケーションに関して大切にしていることは何ですか?

ちゃんもも:『逆転オセロニア』プロデューサーのけいじぇいさんから、「共犯者をつくりなさい」と教えてもらったことが、現在の私のスタンスになっています。

何かを実行するときもトップダウンで「これやって!」ではなく、一緒に巻き込んで作っていくような体制に変えてから、スムーズに進むようになりました。

――「YouTube×コミュニティ」についてどう考えていますか?

ちゃんもも:今の時代は「共感と応援の時代」に突入していると感じています。SNSの普及などによって「個」がメディアになれるようになり、その「個」が夢を追っている姿に共感して、一緒になって応援するスタイルに変化していると思います。

私がYouTubeのコンテンツで一番大事にしているのは「等身大」なんです。番組内でガチャが出なければ出ないって正直に伝えますし、弱いキャラクターを強いとは決して言いません。そのような等身大でプレイする私たちの姿を見て、共感してもらってコミュニティが生まれ、その力が巡り巡ってゲームにも貢献できていると思っています。

「川崎ブレイブサンダース」の動画に関しても、変わらない想いで作っているので、選手という「個」を見てもらい、プロでも失敗するという共感を覚えてもらうために、敢えてNGシーンも載せています。それを魅力のひとつとして、ファンになって応援してもらいたいと企画しました。

今後もこのようなメディア運用は、YouTubeのコミュニティの作り方としてはスタンダードになっていくのではないでしょうか?

――自分がステージに登って好きなコンテンツを作るイメージですよね。

ちゃんもも:近いですね。そのステージで頑張っている姿を見て、有名にさせてあげたいと思ったり、その変化を常に捉えている人がコミュニティで成功すると思っています。

元情報局の「ちゃんもも」や「さをり」みたいな、ゲームプレイも下手で、どこにでもいる普通の人の番組を熱心に見てくれるのって、オセロニアンの皆さんが「応援したい」と思ってくれた気持ちの表れなんじゃないかなと。情報局の卒業時も快く送ってくれたので、この2年で得たものはとても大きいと感じています。

――今後YouTubeはどう進化していくと思いますか?

ちゃんもも:より大きなコミュニティになっていくのは間違いないですね。演者と視聴者の距離が近づいているからこそ、言葉が持つ魔法のような力を感じました。発する内容で希望を与えることもできるし、幻滅させることもできます。

なのでYouTubeに関して他の人との連携時は、表現や言葉じりなどをすごく考えて話しています。

――今後やっていきたいことを教えてください。

ちゃんもも:私はやっぱり「個」が輝く瞬間をこれからも作っていきたいですね。現在はYouTubeというメディアが得意なので、『逆転オセロニア』と「川崎ブレイブサンダース」をしっかり盛り上げていきたいと考えています。

――期待しています!


以上、コミュニティ運営の最前線で活躍する3名のインタビューをお届けしました。

DeNAのマーケティング部では、3年ほど前からコミュニティマーケティングの専門部署を立ち上げており、定量的・定性的にもかなりのノウハウを蓄積しています。彼女たちがそれらのノウハウを駆使し、またある時には過去にとらわれずに新たな「仕掛け」を展開していく今後の活動に、ご期待ください!

インタビュー:鶴川 将志
執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:波多野匠

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
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【DeNAマーケティング部特集vol.3】認知広告や新指標作成など、デジタルマーケティングの新たな可能性にチャレンジ。その取り組みの背景に迫る。

Web広告出稿に加えてYouTube出稿やASOなど、デジタルマーケティング施策全般のプランニングと実行を担うデジタルマーケティンググループ。ゲームアプリ市場の競争環境が激化する今、さまざまなチャレンジを試みる彼らのミッションや役割、そしてグループを構成するチーム体制、そして今後の展望等について、川口隆史、坊拓磨、齋藤岳の三人に伺いました。

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川口 隆史 | デジタルマーケティンググループ グループマネージャー
2009年DeNA入社。2012年からマーケティング領域に従事し、Mobageの会員獲得目的の広告出稿担当、アプリマーケティングの立ち上げ担当、さまざまなゲーム/エンタメアプリのデジタルマーケティング担当を経て、2016年よりゲーム領域のデジタルマーケティング責任者に。

坊 拓磨 | デジタルマーケティンググループ
2014年Web専業代理店に新卒入社し、スマホアプリを中心とした広告代理店営業に従事。2016年DeNA入社。広告チームのリーダーとしてチームマネジメント、メンバー育成を担当しながら、自身でも複数のタイトル戦略立案や施策推進を行っている。

齋藤 岳 | デジタルマーケティンググループ
2015年Web専業代理店に新卒入社し、さまざまな商材の広告代理店営業に従事。2017年DeNA入社。複数のタイトルにおけるデジタル広告の戦略立案や施策推進、DeNAのゲームタイトル全般のGoogleプロダクトを活用した広告担当を務めている。

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各領域にスペシャリストを配置した、
独自のデジタルマーケティング体制

ーーまずはデジタルマーケティンググループの基本的なミッションについて教えてください。

川口:デジタルマーケティンググループのミッションは、各ゲームタイトルの拡大に向けたデジタルマーケティング施策のプランニングおよび実行です。Vol.2でも登場したマーケティングプロデューサーと連携し、事前登録期~リリース後までの全てのデジタルマーケティング施策を担当しています。

デジタルマーケティンググループ グループマネージャー
川口 隆史

川口:具体的な施策としてはWeb広告出稿がメインですが、他にもYouTuberとのタイアップ動画の出稿やASO(アプリストア最適化)も担っています。

プロジェクトに参加するタイミングとしては、マーケティングプロデューサーは開発初期段階から入っていきますが、我々は最初のうちはマーケティングプロデューサーの相談相手としていろいろ壁打ちしつつ、事前登録の少し前から本格的にアサインされていきます。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

ーーグループ内の体制についても教えてください。

川口:グループ内にはチームが3つあります。1つ目は「[su_highlight background=”#fcff99″]クリエイティブチーム[/su_highlight]」で、広告用のバナーや動画制作などを担当しています。

2つ目は「[su_highlight background=”#fcff99″]レポートチーム[/su_highlight]」です。主に広告のレポートを作成・運用していくのですが、その基盤部分の構築や、アドテクを使った広告効果改善のための技術的サポート、アプリのSDK周りなどのシステム的な部分も担当しています。

そして3つ目が「[su_highlight background=”#fcff99″]広告チーム[/su_highlight]」です。坊と齋藤がこのチームのメンバーで、坊がリーダーを担っています。このチームの役割は主に2つありまして、1つ目は「広告メニュー担当」、もう1つが「タイトル担当」です。

ーー「広告チーム」の役割について、もう少し詳しく教えてください。

川口:まず「広告メニュー担当」ですが、当社では広告メニューごとに担当者がいます。たとえばFacebook広告はAさん、Twitter広告はBさんといった具合です。そのAさんは我々がプロモーションを展開している全タイトルのFacebook広告に責任を持ち、効果を出すように代理店や媒体社とやりとりを行っています。

もう1つの「タイトル担当」は、たとえば『逆転オセロニア担当』というように、特定タイトルを担当します。マーケティングプロデューサーと密に連携し、担当タイトルのデジタルマーケティングの戦略やクリエイティブ方針などを考えて実行していくのが役割です。

「広告メニュー担当」は特定領域に関して徹底的に深く、「タイトル担当」は広く全体をみるイメージで、この2つは兼務する方針にしています。例えば、Aさんはfacebook広告の広告メニュー担当、かつ『逆転オセロニア』担当、という形で取り組んでいます。

このようにデジタルマーケティンググループは、3チーム(4役割)構成という、[su_highlight background=”#fcff99″]業界内でも比較的充実した体制[/su_highlight]になっています。

ーー各チームの雰囲気はいかがでしょうか?

齋藤:チームの雰囲気としては、DQ(DeNAQuality)の中の「発言責任」が体現できているチームであると思っています。

※DQ(DeNA Quality):チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するために掲げられた、全社員に必要な共通の姿勢や意識(「こと」に向かう・全力コミット・2ランクアップ・透明性・発言責任)

おそらくデジタルマーケティングの領域がロジックに基づく内容が多いこともあるのですが、会議体として、誰かが課題を持ち寄ってきてそれに対してみんなで議論する場や、たまたま出会った他社の広告についてどう思ったかを議論する場があり、自分の意見を求められる機会が多い環境であるから、というのも理由だと思っています。

ーー広告クリエイティブなども議論の対象になったりするのですか?

齋藤:はい、なりますね。例えばコピーをみんなで考えて実際に配信してみた際に、誰が発信したコピーが一番良かったかを競い合ったりすることもあります。

デジタル広告はすぐに結果が出る良い面もあり、常に楽しみながらやれますし、結果として楽しんでやったクリエイティブのほうが結果が良かったりすることも数多くありますね。

齋藤 岳

ーー先ほど充実したな体制という話がありましたが、現在の体制になったキッカケはあるのでしょうか?

川口:もともとDeNAはMobageという単一のゲームプラットフォームの会員獲得を目的としたプロモーションしていたので、タイトル毎という概念がありませんでした。

当時の体制としては、メニューごとに担当者を付けるといったもので、そのやり方を経験するうちに各メニューについて詳しくなり、他社に比べて先進的かつ効果的な取り組みができるようになっていきました。

その後アプリの時代になってからタイトルという軸が出てきたので、メニューカットという軸は残しつつ、タイトル担当も付けようというスタイルに変化していきました。

アプリゲームの会社として組織を作るという場合に、このような体制にするべきかの正解はわかりませんが、我々としてはこの体制が一番良いのではないかと考え、現在に至ります。

ーー他にデジタルマーケティンググループの強みなどありましたら教えてください。

川口チームが3つあり役割を分けることで、各担当者がスペシャリストとして高いレベルの知識を有していることが組織の強みだと思います。

その結果、まだどこも行っていない新しい施策に積極的に取り組むことが出来ており、代理店や媒体社と一緒に新しい事例を定期的に世に出すことが出来ています。

赤裸々に話し合える、代理店とのオープンな関係性

ーー広告出稿では、広告代理店との協力も必要だと思います。代理店とはどのようにお付き合いしているのでしょうか?

:複数の代理店とお付き合いさせていただいており、特に頻繁に接している代理店とは良好な関係を築けていると思っています。

その理由としては2つあります。1つ目は私たちの体制が広告メニューごとに分かれていることです。DeNAでその部分に一番詳しい広告メニュー担当が、代理店の担当の方と日々密にやりとりしているので、非常に質が高い議論ができているということです。

2つ目は代理店のマネージャーの方と一緒に、現在の体制や日々の課題を赤裸々に話す場を毎月設けており、会社同士のオープンなお付き合いができていることです。

良い部分はお互い褒め合い、課題の部分に関しては改善方法を意見し合う場を、頻繁に設定できているところも良好な関係性を維持できている理由だと考えます。

坊 拓磨

ーーそのような代理店とのやりとりの中で、具体的にどのような改善を重ねてきたのでしょうか?

:広告運用をしていく中で、今のまま続けていても抜本的な改善に繋がらないと感じた際は、「課題感の共通認識をお互いすり合わせたい」といった打診などを行ってます。課題感の共通認識をしっかりすり合わせることで、確度の高いネクストアクションが生まれ建設的な議論ができることが多々あります。

また、お互いにとって意味のある会議体に適宜変更したりもしてますね。議題に対して必要なメンバーを募り、必要な時間だけ割くという部分は常日頃から意識しております。

会議体を検討していくなかで、代理店と媒体社とDeNAとで三社が同じ目線で一つの施策や目標に対し、達成するためには何が必要かについて真剣にディスカッションする場が生まれたりもしています。

デジタルマーケティングの新しいチャレンジ

ーー時代が変化する中、デジタルマーケティングにおいても新しい取り組みが求められていると思います。具体的に行っているチャレンジについて教えてください。

齋藤:ゲームアプリ市場はレッドオーシャン化してきており、ゲームユーザーに選んでもらう難易度は日々上がっていると感じています。

そういった状況において、他社が行っていないことや、業界の先駆けになるような試みをやっていくことは必要不可欠だと考えており、積極的にチャレンジを行っています。

直近取り組んでいるチャレンジとしては、定量的に振り返ることができる認知広告の出稿です。アプリマーケティングは「ダイレクトレスポンス」と言われる、直接インストールに誘導する広告がメインですが、先ほどお話ししたように現状の市場においてはやはり選んで貰う難易度も高く、ダイレクトレスポンスも獲得パフォーマンスが落ちてきている現状があります。

そこで、まずはタイトル自体を面白そうと思ってもらうために、インストールまではいかないものの、タイトルに対する「認知度」や「好感度」を上げることを目的とした広告に積極的にチャレンジしています。

ーーこのようなチャレンジをする中で、難しさを感じた部分はありますか?

齋藤:このような広告はすぐに効果がでるものではないので、定量的に効果を示すことが難しいです。そこをどうやって定量的に評価し、意味のある投資を行っていくか、ということについて熱量高く取り組んでいます。

また、もう一つのチャレンジとして、既存ユーザーと広告を作っていく取り組みも行っています。今の市場は、企業からの一方的な広告よりも、友達の口コミやオススメのほうが効果的なケースも多いと感じています。そこで、こちらが考えた広告クリエイティブだけではなく、既存ユーザーの声を広告にうまく活用させていただくという施策にもチャレンジしています。

具体的には、広告の誘導先をTwitterのハッシュタグにして、未インストールユーザーに既存ユーザーのTwitter上での盛り上がりをみていただく、という広告配信のアプローチなどです。

ーーこちらはインストールが最終的な目標になるのでしょうか?

齋藤:そうですね。直接ストアに遷移させるというより、新規ユーザーに既存ユーザーが楽しんでいる部分をみてもらうことでインストールにつなげることを目標にしています。
こちらは以前実施した時には想定以上の効果がありましたので、他にもこういうアプローチができないか常に考えているところです。

このあたりはコミュニティマーケティンググループとも連携し、グループを超えたチャレンジをしています。

【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

施策に合わせてフレキシブルにKPIを設定

ーー坊さんにも同じ質問です。デジタルマーケティングの新しいチャレンジとして、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

:これまでさまざまなWeb広告を出稿して、新規インストール数の拡大を目指してきました。その過程の中で、計測しきれなかったインストール数や、復帰ユーザーのアクションなど、副次効果は結構あるのではと感じていました。

そこで、それらの副次効果を新規インストール数の価値に変換して、成果に組み込んだvNUUという指標を作りました。

ーーvNUUを作ることでどのようなことが可能になったのでしょうか?

:副次効果分も成果に組み込んだことにより、本来の成果値で効果判断が可能になりました。

またそれによって、代理店とのコミュニケーションも、計測ツール上の数字だけでなく、それ以外の効果も含んだ数値を元に本質的な議論ができるようになり、結果として日々の広告効果改善に繋がっています。

ーー新たな指標をつくり、それをKPIとしているんですね!

:そうですね、それ以外にも「YouTubeチャンネル登録」や「LINE友達登録」、「動画視聴」などをそれぞれの価値を試算した上でKPIとすることにもチャレンジしています。インストール数だけでなく、提供したいユーザー体験にあった適切なKPIを設定することが重要だと思ってます。

“DeNA✕ゲーム✕デジタルマーケティング”の可能性

ーー今のゲーム市場の競争環境において、難しさを感じることはありますか?

川口:CPIの相場感がどんどん上がっていると感じています。我々もLTVを鑑みてCPIを設定するのですが、その範囲内でやろうとすると難易度が上がり、インパクトある成果を出せなくなってきます。よって、認知に向けた取り組みや、指標自体を見直すことなど、さまざまなことにチャレンジしています。

ーーゲームアプリを扱うことの面白さについては、どう感じてますか?

川口:まずはゲームアプリ業界はWeb広告の予算が比較的大きいので、代理店や各媒体社がゲームの広告効果を上げることにすごく力を入れてくれる、というのがあります。

坊からも話はありましたが、代理店や媒体社と「こんなことができたらもっと効果的なのでは?」といった話をしながら、新しい広告のカタチを模索していける環境であるのは、マーケターとして非常に面白いと思います。

あとは業界内でも、我々と同じようなことを考えている他社の方もたくさんいますので、いろんな人と情報交換や勉強会などをしながら切磋琢磨していくことができるのも非常に刺激的だと思ってます。

ーー代理店でなく事業会社であることの面白さについてはどうですか?

:仕事の領域を広げることができるのは面白い点ですね。齋藤の事例でもあったように、Web広告だけでなくコミュニティマーケティングなど、他の領域に越境して一緒に施策を進めていくことも多いです。

あとは見れるデータがかなり多いので、さまざまな仮説を立てやすくなりました。仮説をいくつもたてられることは「施策の成功確度」をあげていくことに繋がるので、とても良い環境だと思います。

ーー最後に、デジタルマーケティンググループとしての今後の展望を教えてください。

川口:デジタルマーケティングの力でDeNAのゲームをヒットに導いていきたいです。

そのためにも、今の厳しい市場環境でもインパクトが出せる新しいチャレンジを引き続き行っていきたいと考えています。

これまでも強みとしてきたダイレクトレスポンスをゴリゴリやる、というのはしっかり継続しながらも、ブランディングや認知といったこれまでアプリゲームではあまりやりきれていない施策を、しっかり定量評価しながらPDCAを回すことで形にしていきたいです。
我々の取り組みの中から次のゲームマーケティングの王道と言われる施策を生み出せるといいな、と思っています。

また、そこで得られた知見をしっかりDeNAのゲーム以外の事業にも展開し、デジタルマーケティングが強い会社といえばDeNAだよね、と言うブランドを作っていきたいですね。

ーーなるほど、ありがとうございました!

インタビュー・編集:佐藤剛史
執筆:及川知也
撮影:波多野匠

※本記事は2019年9月時点の情報です。

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【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

年々厳しさを増すアプリゲームの競争環境。今回はその市場に新たな可能性を切り開いていくマーケティングプロデュースグループを束ねる遠藤潤二と橋本貴広、そして第一線で担当タイトルのマーケティング戦略を担う古屋満春と木村圭江に、マーケティングプロデューサーとしての役割や業務内容、DeNAに入社して感じた事、これからの展望について語っていただきました。

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遠藤 潤二 | マーケティングプロデュース第一グループ グループマネージャー
2011年DeNAに入社。ゲーム事業専門のマーケティング組織(現マーケティング部)を立ち上げ、自身もマーケティングプロデューサーとして、数々のタイトルの新規立ち上げや運用をリード。現場のマーケティング、プロモーションを取り仕切る。

橋本 貴広 | マーケティングプロデュース第二グループ グループマネージャー
Webの広告代理店を経て2015年DeNA入社。現在はゲームタイトルのマーケティング全般(テレビCMやイベント等含む)の戦略を策定し、関連部署と連携して全体を推進するチームのマネジメントに従事。趣味は子どもと遊ぶこと。

古屋 満春 | マーケティングプロデュース第一グループ
2016年DeNA入社。前職ではリードプランナーとして、アプリゲームの企画やディレクションを担当し、新規立ち上げや運用に携わる。DeNAに入社後はマーケティングプロデューサーとして、大型IPタイトルをはじめとした複数タイトルのマーケティング戦略立案と推進に従事。

木村 圭江 | マーケティングプロデュース第二グループ
2017年DeNA入社。前職含めブラウザゲーム時代からアプリゲーム全盛期にかけ、マーケティングプロデューサーとして国内外複数タイトルの戦略策定や、マーケティング業務全般の推進を行う。音大卒、無類のエンタメ好き。

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マーケティング戦略を牽引する、重要なポジション

ーーまずはマーケティングプロデューサーの役割について教えてください。

遠藤:マーケティング領域の責任者として、テレビCMやデジタルマーケティング、リアルイベントなど、オンライン・オフライン問わず、マーケティング戦略の全体設計を描き、担当タイトルをグロースさせていくことが大きなミッションとなっています。[su_highlight background=”#fcff99″]事業責任をゲームプロデューサーと一緒に担っており[/su_highlight]、他の専門職種と比べるとそこが大きく異なる部分だと思います。

我々が旗振り役として、デジタルマーケティングコミュニティマーケティングなどの各スペシャリストの職能のメンバーと連携をしながら動いていく事になるため、マーケティングプロデューサーの動き方ひとつで、担当タイトルの市場でのポジショニングや方向性が大きく変わる可能性もあります。バジェットや責任は大きいですが、0から作っていくので、その分大きなやりがいや達成感も味わえます。

マーケティングプロデュース第一グループ グループマネージャー
遠藤 潤二

ーーゲームアプリを扱うという観点で、マーケティングプロデューサーのやりがいはどのようなものがあるのでしょうか?

橋本:今のアプリゲーム市場は競争環境が激しく、プレイヤーの目もかなり肥えてきている背景があります。その中で正確にプレイヤーのインサイトやトレンドを把握したうえで、さらにその想像を超える本当に面白いゲームを届けていかないと、市場の中で生き残れないというのが実情です。

ただその反面、このような市場だからこそ、さまざまな施策を通じて「遊ぶ必然性」と「遊び続ける必然性」を創造し続けることはマーケターとしての腕が問われますし、そこがやりがいや面白さにつながってくると感じています。

https://genom.dena.com/other/marketing_department2019/

ーー新規タイトルと運用中のタイトルでは、マーケティングプロデューサーので動き方はどのように変わっていくのでしょうか?

橋本:タイトルが世に出ているか出ていないかの違いはあるものの、根本的な部分では変わりません。何よりも、プレイヤーに驚きをもって喜んでもらえる価値を提供できるか、が重要です。

とはいえ、具体的な動き方でいうと当然変わってきます。新規タイトルでは、開発初期段階からゲームプロデューサーとタッグを組んで、マーケティングの全体設計やマーケティングチームの構築などに着手します。

マーケティングプロデュース第二グループ グループマネージャー
橋本 貴広

一方、運用タイトルでいうと、ゲームをアップデートしてより良くしていくという点では同じですが、それに加えて「ゲームの面白さを届けていく」ことや、「ゲームをプレイし続けてもらう」ことが新たに加わるミッションとなります。

実際に「プレイヤーが面白いと感じているポイントはどこなのか?」「ネガティブに感じている部分はどこなのか?」など、プレイヤーの声の行間に潜んでいる部分、それを読み解いて提供すべき価値が何なのかをしっかり把握した上で、市場に投じることが大事だと思っています。

そのためにも統合型マーケティングを強い推進力で実行していくことは重要ですし、ときにはプレイヤーの声を直接聞いて軌道修正していく柔軟性も必要です。

積極的な越境で、プレイヤーにデライト(楽しさ)を届けていく

ーー「ゲームの中身をどのようにしていこうか?」という部分にも入り込んでいるのでしょうか?

橋本:はい、マーケターは最もプレイヤーに近い立ち位置であるため、[su_highlight background=”#fcff99″]マーケットインの観点で開発メンバーと一緒にゲームを作っていく[/su_highlight]という動きはとても重要です。フェーズごとに差はありますが、基本的にはゲームプロデューサーやディレクターらと一緒に、我々マーケティングプロデューサーも「どうやってこのタイトルを面白くしようか?」という話をすることが多いです。

繰り返しになりますが、マーケティングプロデューサーは、集客面のことだけを考えればいいということはありません。「こうやったらもっと面白いんじゃないか?」という議論は、垣根なく皆で言い合ったりしています。

また、開発チーム側からも「こんなプレイヤーにゲームを届けていきたい」「こんなマーケティング施策をやってみたい」と意見を出してくれています。実行の際には、ゲーム外の領域に関しては我々マーケティング部が担当しますので、皆のやりたい内容を集約し、吟味しながら進めていきます。

遠藤:開発チームとマーケティング部の連携力の高さもDeNAの強みだと思います。市場の競争が激化している中、チームの全員が連携をしてプレイヤーファーストな施策を考えていかなければなりません。

その観点から言うと、開発チームはゲームの中だけ、マーケティングチームははゲームの外だけをやればいい、ということではなくなってきているとは感じます。必然的に越境せざるを得ない状態になってきているかなと思いますね。

ーーマーケティングプロデューサーとしては、開発チームからの要望もまとめながら施策を推進していく「コミュニケーション能力」が求められていきそうですね。

橋本:そうですね、意見を各メンバーが出すということは非常に良いと思うのですが、方向がバラバラではシナジーは活かせないので、最初に前提としてのマーケティング戦略・ビジョンを強く掲げ、チームメンバーの発言の意図を読み取りつつ、「コト」に向かって実行に移していくチカラが必要だと思っています。

妥協なき化学反応を引き起こす

ーー古屋さんと木村さんにもお話を伺っていきたいと思います。DeNAのマーケティングプロデューサーとして、入社後に感じたエピソードなどあれば教えてください。

古屋:入社してみて驚いたことは、想像以上にセクションや役割関係なく、誰もが積極的に発言していく文化があるということです。「誰が言ったか」でなく、「何を言ったか」が反映されるところが印象的に感じましたね。

もちろん発した意見・アイディアがタイトルやプレイヤーにとって有益だとチーム内で合意されれば、誰の意見かは問われずに、ゲーム内の機能やイベントとなって実装されることもあります。

ーーでは、入社直後から古屋さんも積極的な発言を?

古屋:そうですね。年間の開発計画や運営計画を決めるフェーズから、開発プロデューサーやプランナー、エンジニア、デザイナー等の開発チームのリーダー陣はもちろん、マーケティング担当である私や分析チームのリーダーなどが参加して何度も会議を重ねて決めていきました。実際に私が提案した内容も機能となって実装されました。

こういったゲーム内での体験を作るフェーズから携わることができるため、ゲーム内とゲーム外の[su_highlight background=”#fcff99″]メッセージを一貫させたマーケティングをプランニング・実行できる[/su_highlight]ことは利点だと思います。

マーケティングプロデュース第一グループ
古屋 満春

木村:私が入社してびっくりしたのは、仕事に向かう姿勢としてプレイヤーへのデライト精神が役割関係なく一人ひとりに浸透しているところだと思います。

入社早々に担当したキャンペーンのランディングページを作るというのがありましたが、スケジュールも迫っている中、まあまあ良いものができたと個人的に思っていたものの、皆でもう一度集まってレビューした際、「もうちょっと良くできるのではないか?」という意見が挙がったんですね。

そこからスケジュール的には厳しかったですが、ブラッシュアップしてさらにより良いものができたことは、今でもしっかり心に刻まれています。

ーー意思決定からの実行スピードは早かったんですね。

木村:はい。DeNAは社員数が多いこともあり、入社当時は意思決定のスピードが多少なりとも遅いのではと想定していたのですが、良い意味で想定外でした。むしろ速いくらいです。オフィスのいたるところにあるスタンディングのMTGスペースもあり、「今話せますか?」という感じでクイックにMTGし、すぐに方針が決まるパターンが多いですね。

マーケティングプロデュース第二グループ
木村 圭江

ーー開発チームの一員として、すぐにDeNAの文化を体感されたのですね。では、DeNAマーケティング部という組織への印象はいかがでしたか?

木村:マーケティング部の体制はすごく整っていると感じています。現在マーケティング部自体は70名程いて、1タイトルにつく人数も多いです。きちんと役割分担や連携ができているので、マーケティングプロデューサーの重要な職務の1つでもある「[su_highlight background=”#fcff99″]戦略を考える[/su_highlight]」ことにもしっかりと集中できるのが嬉しいですね。

一般的にはマーケティングプロデューサーとはいえ、事務的な作業や調整事項が多くなり、「考える時間」が少なくなってしまうケースもあると思います。それがDeNAだと、単に体制が整っているだけでなく、部内にそれぞれのスペシャリストがいるので、任せられる部分は任せて、考える部分は考える、といった役割分担がしっかりできますね。

ーーマーケティングプロデューサーとして一番嬉しい瞬間ってどんな場面ですか?

古屋:自分が描いたストーリー通りに物事が動くときは、仕事やっていても気持ちいいですね!

担当するタイトルによっては、これまでにない新しい遊び方を広げていくブランディング活動も不可欠になります。新しいエンタメをプレイヤーに届け、それが「面白い!」という生の声や、数字という目に見える結果として跳ね返ってきた時には嬉しさを感じます。

木村:私もプレイヤーの声を直接見たり聞いたりした時はやっぱり嬉しいですね。こういう感情になってほしい、というストーリーを描いたものに対し、プレイヤーの方々が実際に楽しんでくれたり、さらに「こんなものがもっと欲しい!」と言ってくれたりした時はすごく嬉しいです。特にリアルイベントではそれを感じます。

以前、担当タイトルで、街頭ビジョンをジャックして交通広告を展開したのですが、ゲームのアップデート時期と重ねて、オフラインのイベントで盛り上がりを作ろうと試みました。その際、定量的効果が見づらいという課題があったものの、いろいろな手法を用いた結果、良い効果が生まれました。

ーー良い効果とは?

木村:プレイヤーが「これ、待ってたよ!」みたいなことを言ってくれたり、1地点だけではなく、複数の場所で実施したことによって、地方在住のプレイヤーも喜んでくれて、長期的に見てファンが増えた・戻ってきてくれた、ということは大きな出来事でした。

そんなことを通じて、改めてゲームの面白さを伝えていくためには、定性的な自由な発想も必要なんだなと思いましたね。

ーーそういった企画はどのようにして生まれるのですか?

木村:開発メンバー含めたチームで話しているうちに自然と出てきたりします。もともとその担当タイトルがすごく好きなメンバーが集まっているので「こういう施策があったら良いよね!」という意見がカジュアルに出てくる場になっているので、それをどうしたら現実的にできるのかを話していくうちに実現した、という感じです(笑)。

“ロジカル ✕ パッション”の方程式

ーーDeNAではロジカルに物事を考える文化があると思います。戦略を決める際にも、綿密に数字を見ながら動いていくのでしょうか?

古屋:前提として、「どんなプレイヤーに何を届けたいか?」といった定性的に成し遂げたい目標を定め、その実現に向けて定量的に目標とするKPIを設定し、それに伴う予算やプランをまとめていくのですが、どうしても定量的に計算できるところには限界があるのが現実です。

遠藤:ゲームはエンターテインメントなので、すべてを定量だけで判断するものではないと思っています。もちろん定量的に設計できることはやりきることが前提ですが、それだけに固執してしまうと、想像できる範囲のものしか生み出せず、グロースするチャンスを失いかねません。

そういう意味では、「全体を通してどうすべきなのか?」「やる意義があるのかどうか?」を考慮した上で、定量と定性、そして担当者のパッションなど、あらゆる要素をバランスよく考えていく必要があると思います。

vol.1で今西が「新しいことへのチャレンジを7:3の割合でやっていく」と話していましたが、その比率はあくまで目安で、5:5の時もありますし、3:7という場合もあります。そのさじ加減を我々が責任を負って決めていくという感じです。

チャレンジし続けること、は歓迎される

ーー古屋さんと木村さんはマーケティングプロデューサーとして、今後どんなことをやっていきたいと考えているのでしょうか?

古屋:抽象的な表現になってしまいますが、業界や社内で「事例がない施策」には積極的にチャレンジしていきたいと考えています。マーケティング手法が多様化している現況下で、特定の手法しか実施しないことは、長期的に見て組織の衰退を意味していると思うんです。

これまで有名芸能人を起用した施策などさまざまな施策を実施してきましたが、ここを意識して取り組むことで組織としての知見を増やし、マーケティング部の組織力を高めていきたいと考えています。

また、事業会社のマーケターの利点として、「[su_highlight background=”#fcff99″]タイトル創出の早期フェーズから関われること[/su_highlight]」と「[su_highlight background=”#fcff99″]タイトルの意思決定者と近い距離感で話せること[/su_highlight]」があると思います。

そのためにも新規タイトルの開発フェーズから、面白さを広げていくための機能・施策だったり、遊び続けてもらうための機能・施策を開発チームと共に考えていき、その過程を踏まえた上でより本質的なマーケティング戦略を描いていくことが理想です。

今でも実現できている部分もありますが、より追求していきたいと考えています。

木村:私は2つあります。1つ目は「コミュニティマネジメントの視点強化」です。マーケティング部にはコミュニティマーケティンググループがあり、マーケティングの全体戦略を考える上でも、コミュニティマネジメントは今の市場では重きを置くべきポイントだと思います。

【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

コミュニティマネジメントの視点はサービス開発初期から取り入れ、機能に盛り込む必要もあります。必要に応じて開発チームへの提案をするのも、マーケティングプロデューサーの役割だと考えています。

2つ目は「知恵を絞る0円マーケティング」です。今の市場で勝つためには、ある程度大きなマーケティング費用の投資が必要ですが、たとえ費用が0円でも、知恵を絞ることによってプレイヤーの喜ぶコンテンツを作ったり、より多くの方にタイトルを知ってもらうために何ができるかを考え抜くようにしています。

最近では、あるキャラクターとコラボするという施策を行ったのですが、その際にゲームUIを模した設備をダンボールで手作りし、コラボキャラの着ぐるみが現実の世界でゲームを体験する様子を動画で紹介したのですが、多くの反響をいただきました。

ーー各マーケティングプロデューサーが描いた戦略は、マネージャーがチェックをするのですか?

遠藤:チェックというよりも、レビューはしっかりと行いますね。その中で、完全なダメ出しというのはあまりしていないと思うのですが、実際どうですかね?(笑)

古屋:ダメ出しとかはありませんでしたね、そういえば(笑)。共有や相談は遠藤さんや橋本さん、そして開発プロデューサーらと行っていますが、戦略的に「こうしたい!」というwillの部分は任せてもらっています。

描いたマーケティング戦略に対し、どうしたらもっと良くなるかという観点でマネージャーからアドバイスをいただくことはありますが、承認されないと実行できないという事はありません。

遠藤:何事にも勝率というのは当然ありますが、勝つための選択肢は必ずしも1つではないと思いますので、最終的には現場の目線をもったマーケティングプロデューサーが「これでいける」と思ったものを実行すべきだと考えています。

マネージャーとしてという観点だと、勝てそうな道をただ提示するだけではなく、決めた道の中で勝てるようにフォローしていくという事も重要だと考えます。もちろん、現場のマーケティングプロデューサーが「いける」と思っていないと感じたら、その時は全力でダメ出しをしますけどね(笑)

ステークホルダーが多いからこそ、大事にしたいこと

ーーマーケティングプロデューサーは、どんなキャラクターの人が多いのですか?

遠藤:ロジカルタイプの人もいれば、パッションタイプの人もいますし、本当に色んなタイプのメンバーがいると思いますよ。共通点といえば、当たり前ですがマーケティングが好きな人、そして日々情報にアンテナを張っている人くらいでしょうか。

仕事の進め方や、広告メニュー1つとってもそうなのですが、我々の扱っているものはエンターテインメントなので、時代の移り変わりによって、楽しさの価値や提供方法は変わってきます。ですから、時代に合わせたやり方で、プレイヤーに伝わりやすい内容で常にアップデートしていく必要があると思っています。

今後もDeNAでは新規タイトルをリリースしていく予定ですので、必然的にマーケティングプロデューサーの増員も行っていくことになります。さまざまなバックグランドを持つ方をお迎えし、さらに賑やかな組織にしていきたいですね。

ーー最後に、マーケティングプロデューサーとして、一番大事にしていることを教えてください。

橋本:マーケティングプロデューサーはゼネラリストなので、多くのステークホルダーと関わりながら進めていく役割を担います。フェーズによってステークホルダーが変化していきますので、いかにうまく推進できるかが、マーケティングプロデューサーに求められる役割であると思います。

そのため、人間的な部分でいうと「思いやり」ですね。基本的にはプレイヤーファーストで考えなければならない部署なので、「プレイヤーに対して本当に思いやりが持てるか?」「これを見たらプレイヤーはどう思うか?」という部分もそうですし、社内に対しても「こういう依頼をしたらどう感じるか?」「うまく回すためにはどういう仕組みや環境を作ってあげるか?」などを含め、思いやりがないと仕事にならないですよね。

そういう意味でも全方位に対して「思いやり」を大事にしてますし、メンバーにもそれを大事にしてほしいと思っています。

ーーありがとうございました!

インタビュー・編集:佐藤剛史
執筆:及川知也
撮影:波多野匠

※本記事は2019年9月時点の情報です。

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【DeNAマーケティング部特集vol.1】ROIだけが判断軸ではない。「遊び続ける必然性」を創造し続ける、次の一手とは?

『逆転オセロニア』や『メギド72』などのオリジナルゲームの他、さまざまなIPタイトルを運営するDeNAゲーム事業部では、日々プレイヤーにゲームの面白さをどう伝えていくか試行錯誤を繰り返しています。そこで重要になるのがマーケティング力。今回は、競争環境が激しい市場のなか、マーケティング部が果たすべき役割やDeNAならではの強み、そして今後の目指すべき姿について、マーケティング部長の今西陽介(写真左)、そして副部長の坂田裕貴(写真右)に語っていただきました。

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今西 陽介 | マーケティング部 部長
2004年入社。入社後は、Mobage、ポケットアフィリエイト、モバオク、モバコレなど、複数のモバイルサービスの立ち上げに従事。現在は、DeNAゲーム事業のマーケティング部で、マーケティングプロデューサー、デジタルマーケティング、コミュニティマーケティング、ゲームメディアPRなどの領域を管轄。

坂田 裕貴 | マーケティング部 副部長
2015年新卒入社。内定者時代から新規事業立案や『逆転オセロニア』の開発を進め、同アプリリリース後に総合ディレクターを経験。現在は主に「ゲームプロダクト全般のマーケティング」や「マーケティング機能強化戦略と推進」を担う。

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マーケティングに、プラスαの価値を

――まずDeNAゲーム事業におけるマーケティング部の役割について教えてください。

今西:マーケティング部の役割としては大きく2つあります。1つ目はプレイヤーに自社のゲームをダウンロードしていただくこと。2つ目はダウンロードしていただいたゲームを継続的にプレイしていただくことです。「マーケティング」という言葉は事業を発展させる仕組みを作ることですので、特に2つ目が重要だと思っています。

これはあくまでも一般的な例ですが、せっかくゲームをダウンロードしてくれても、翌日以降も遊んでくれるプレイヤーの数はその半分以下になってしまう傾向があるので、いかに長く遊んでもらうか試行錯誤を続けています。

ーーそうなると日々の運用にマーケティング部の真価が問われるのですね。

今西:そうですね。今は市場にクオリティが高いゲームアプリが無数に存在しており、ダウンロードしてもらうことはもちろん、ダウンロードしてもらった後も、ずっと遊び続けてもらうことは本当に難しい時代です。

特に数年前あたりから動画配信サービスなど、膨大な時間を使う高品質なアプリが増えてきました。プレイヤーの可処分時間の使い方として、これまでゲームに充てていた時間をそのような動画閲覧などに使うトレンドになってきていますので、ゲーム自体に「新しいもの」が求められてきていると思います。

マーケティング部 部長 今西陽介

今西:では「新しいもの」とは何なのか?というと、たとえば位置情報や万歩計などの機能を利用した、ゲームをしながら健康に結びつくようなコンテンツのように、プラスαの価値を出していくことが重要ではないかと感じています。

そのプラスαの価値の一つとして、マーケティング部では[su_highlight background=”#fcff99″]「コミュニティマーケティング」[/su_highlight]を組織的にチャレンジをしています。プレイヤー同士が触れ合う場を、運営会社が用意・演出していくことで、ゲームを長く遊び続けてもらうことを考えています。

業界に先駆けて培ったコミュニティ運営力

――マーケティング部の強みを教えていただけますか?

今西:ノウハウ面で言うと先ほどもご紹介した「コミュニティマーケティング」があります。業界内でコミュニティマーケティングという専門部署を持っている企業はまだ比較的少ないのが現状だと思いますが、我々マーケティング部では3年ほど前から専門部署を立ち上げて取り組んでいます。

そして現在では数々のリアルイベントやSNSなど、オンライン/オフライン問わずさまざまな施策を実行し、定量的にも定性的にもかなりのノウハウを溜めることができました。そしてそれを新規タイトルのコミュニティ立ち上げ時に活かせていることは、とても大きな強みだと思います。

また、デジタルマーケティングにおいても、アプリマーケティングの前のブラウザゲーム時代から蓄積してきたアドネットワーク運用の他、FacebookやGoogle、Twitterを活用した施策においても多数のサービス運用経験があります。「コミュニティマーケティング」と「デジタルマーケティング」の融合も、DeNAならではの強みといえます。

マーケティング部ではマーケティングプロデュース、デジタルマーケティング、コミュニティマーケティング、PRの4つのグループがあり、部全体では70人程度の構成となっている。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

【DeNAマーケティング部特集vol.3】認知広告や新指標作成など、デジタルマーケティングの新たな可能性にチャレンジ。その取り組みの背景に迫る。

【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

ーー時代にあわせてマーケティング手法を柔軟に変化させているのですね。

今西:もちろんです。たとえば昭和の時代、テレビCMで流れているものが流行っているイメージがありました。しかし今は様々な情報ソースがありますので、テレビで流れているものよりも、友達や有名人(インフルエンサー)が「面白い」と言っているものが受け入れられやすい傾向があります。

そして友達と一緒にプレイする方が、ゲームを長く続けやすいというデータがありますので、友達紹介や気軽にゲームの良さを伝えやすくするところに工夫を凝らしていく必要があるかと思います。ですので、「プレイヤーの声を最大化するものは何か?」に着目するところが、当社におけるコミュニティマーケティングの重要なポイントとなります。

坂田:ただそれはマーケティング部だけでは実現できません。ゲーム開発段階から開発側と一緒にしっかりタッグを組んで「これだとプレイヤーに伝わらないのでは?」「もっと伝えやすくしよう!」といった軸で、ディスカッションを重ねていくことが求められています。

また、リリース後にもプレイヤーからのフィードバックを共有し、ゲームを楽しみ続けられる情報やコンテンツを積極的にアナウンスすることも重要で、そのような「顔が見える運営」を続けることが、コミュニティマーケティングの基本だと考えています。

マーケティング部 副部長 坂田裕貴

――ただ、「コミュニティマーケティング」はKPI設定(数値化)が難しい印象があります。

今西:そうですね。会社全体として言えるのですが、DeNAではロジカルに物事を考えていく傾向があり、数字をベースとした上で意思決定を行う文化が根付いています。

一方で、ROIにとらわれすぎてしまい、「コミュニティマーケティング」もそうですが、新しいことにチャレンジできなくなってしまう懸念もあります。だからこそ、そうならないように、マーケティング部では[su_highlight background=”#fcff99″]新しいことへのチャレンジを7:3の割合でやっていく[/su_highlight]ことにしています。7割はROIがきちんとわかるもの、残り3割はきちんとチャレンジしていこう、というものです。

坂田:施策一つひとつの費用対効果を測ることは重要ですが、それに縛られすぎてしまうと、自分たちでマーケティングの可能性を狭めてしまう可能性もあります。プレイヤーに喜んでもらうために僕らができること。その思いつく限りの施策を実行し、PDCAをまわしていくことも大事だと考えています。

遊ぶ必然性と、遊び続ける必然性

――ゲームマーケティングにおける難しさ、面白さについてはどう考えていますか?

坂田:これはどの業界でもそうだと思うのですが、市場の未来をしっかりと予測していくこと。そこに難しさがあると思います。

市場ではアプリゲームのリリース本数が増え続け、3Dを駆使した高品質のものであったり、ゲームの設計自体あまり複雑ではないようにみえるものの、ものすごく奥深いものになったりしてきているゲームも多く目にするようになりました。

そうなるとプレイヤーにとって、高品質なゲームが毎週リリースされて当たり前、という消費財に近い概念になってきていると感じています。プレイヤーの可処分時間の使い方自体にも変化が出ている中で、今後どのようなゲームがプレイヤーに受け入れられていくのかを見定めていくことは本当に重要なことです。

――過去を分析し、その上で未来を見据えていく姿勢が問われそうですね。

坂田:そうですね。一方、面白さでいうと、市場の成熟やプレイヤーの目が肥えている中で「遊ぶ必然性」と「遊び続ける必然性」を作ることが肝になってくると思いますし、そこを如何にして仕掛けていくかを考えていくことは、非常にエキサイティングだと思います。

アプリゲームの市場規模は非常に大きく、そこにテレビCMやリアルイベント、デジタルマーケティング、そして冒頭で今西からあった「コミュニティマーケティング」、さらには他社様とのコラボなど様々な施策を組みわせて「遊ぶ必然性」と「遊び続ける必然性」を追求していくことは、アプリゲームのマーケティングならではの醍醐味だと思います。

また、ゲームというエンタメの「面白さ」は人それぞれ異なる面もあるので、定量だけでなく、定性的にもプレイヤーからの反応を得られることも、ゲームマーケティングならではの面白さであり魅力だと思います。

――坂田さんは今年から副部長に就任されていますが、その前は『逆転オセロニア』の総合ディレクターとして数々の事業ジャッジをされてきました。今お話にあったような感覚はその時から持ち続けていたのでしょうか?

坂田:はい。『逆転オセロニア』は、誰もが一度は遊んだことのある「オセロ」のルールを取り入れ、個性的なキャラクター(駒)が登場するドラマチック逆転バトルです。それをどのようにしてプレイヤーに「これって手軽に遊べて面白いよね!」と思っていただけるのかは、相当考えてきました。

たとえば、何かしらのタイアップやコラボレーションを活用して「遊ぶ必然性」を作るという企画にもチャレンジしました。

2018年に日本マクドナルド様とコラボした時には、今『逆転オセロニア』を遊んでミッションをクリアするとボテト・バーガー・ドリンクの無料クーポンがもらえる、というイベントを実施しました。そのようなイベントによって各種メディア・媒体の中で「遊ぶ必然性」を訴求していくというのはユニークな仕掛けだったと思います。

日本マクドナルドコラボ

――ちなみに話は変わりますが、リアルイベントを通じて、印象に残った出来事などはありますか?

坂田:そうですね、2つほど印象的なことがありまして、1つ目はイベントに来場してくれたプレイヤーがタイトルのプロデューサーと話をして泣きながら喜んでいただいた、ということがありました。これは自分が好きなゲームの世界を創造したプロデューサーと話せたという、プレイヤーの人生の原体験として大きな出来事だと感じました。

2つ目は、リアルイベントの会場で運営を手伝った開発メンバーのモチベーション変化です。初めてリアルイベントに参加する開発メンバーって最初はすごく戸惑うのですが、そのようなメンバーが実際イベントに行ってプレイヤーと触れてみて、こういう部分に困っているんだという部分を直接感じられるようになると、今まで曖昧だったプレイヤー像が意識できるようになります。

そうすると、翌日以降の開発メンバーのモチベーションが明らかに高くなるのがわかります。我々アプリゲームを運営している会社にとって、プレイヤーの顔は非常に見えにくいので、誰のために楽しませているのかが明確になると、サービス品質やゲームの面白さが圧倒的に上がると思うんですね。それは副次的な効果として感じた部分です。

今西:リアルイベントの重要なポイントとなりますが、目の前にいらっしゃる1人のプレイヤーを喜ばせられないのに、まだ顔も見えないプレイヤーを喜ばせられるはずがなく、その1人のプレイヤーの深層心理を理解する場としてはとても良いのかなと思います。このプレイヤーに喜んでいただくためには、こんな要素が必要だよね、というのを知るのと知らないのとでは運営側は全然違ってきますね。

部署を越境し、ゲーム開発の成功に向けて伴走する

――マーケティング部としては、今後さらにどのようなチャレンジをしていくのでしょうか?

今西:プレイヤーが他のサービスへ可処分時間を使う理由と、当社のサービスを利用いただく必然性をどういうものにするのか。ここをしっかり考えて提供していくことしかないと思っています。

あとは冒頭にも話したように、ゲームプラスαの価値をどう作っていくかでしょうか。たとえば何かゲームやりながらもベネフィットが得られるものを用意しないと、プレイヤーがゲームをやる理由がないのかなと思います。ゲーム開発段階からその要素を取り入れ、マーケティングでどう広めていくかも重要になるのではないかと思います。

――マーケティング部のメンバーも、ゲーム開発の企画にどんどん関わっていくと?

今西:そうです。マーケットインでプロダクトマーケティングからきちんと入っていくことが、今後さらに求められるということだと思いますね。マーケティング部署や開発部署が分断されているのではなく、部署を越境した上で相手をリスペクトしながらもっとこうやったらいいゲーム作れるよ、というディスカッションをやっていかなければ生き残れないと感じます。

https://genom.dena.com/other/marketing_producer2019/

特にマーケティングプロデューサーは一緒になってゲーム制作に積極的に参加し、アイデアを出していかなければよいものはできません。普段から[su_highlight background=”#fcff99″]仕事は越境してこそ成果に結びつく[/su_highlight]と思っているのですが、越境する際に相手をリスペクトすることを忘れるとトラブルになってしまうので、そこは注意しながら進めるようにしていますね。

NEXTマーケティングを担う旗手となる

――今期から副部長というポジションが新設されましたが、改めて部長・副部長の役割を教えてください。

坂田:正直僕と今西さんの役割分担って明確にはありません。一言でいうと今西さんはマネジメントの要素が強く、僕は事業戦略やマーケティング戦略を実行していく要素が強いです。ですので、2人でケースバイケースでオーナーを分けて「コト」に進んでいければと思っています。

今西:坂田君とは「阿吽の呼吸」というか、お互い考えていることがそんなにずれないんです。状況に応じて役割分担を自然にしている感じですね。

――坂田さん、副部長として今後の抱負があればぜひ聞かせてください。

坂田:マーケティングの専門性で言えば、以前からマーケティング部にいるメンバーの方がスキルは当然高いと思っています。僕の今までのキャリアの中で誇れるものがあるとすれば、『逆転オセロニア』では、事業責任者の視座ですべての意思決定を経験してきたこと。そして経営目線や経営からの要求水準を十二分に理解していることです。

だからこそ、これからのゲーム市場の動向を見据えて「中長期経営計画に基づくマーケティング領域の強化」を成し遂げていきたいと思っています。そのためにも各プロデューサーや事業部長、関係各所などともディスカッションを日々行っており、「コミュニティマーケティング」に次ぐDeNAならではの新しいマーケティング戦略をこれから実現させていきたいと思っています。

――最後に話題は変わりますが、DeNAではゲーム以外にも多様な事業展開しています。マーケティング部はゲーム事業以外にも関わっているのでしょうか?

今西:はい。DeNAの中でも我々が担当するゲーム事業のバジェットが非常に大きい分、ノウハウも貯まっています。組織上はゲーム事業にコミットしていますが、バジェット比率が高いことを考えると、当然ノウハウの蓄積量は多いので他事業をサポートして行くのは当然かと思いますし、それがDeNAの事業全体をドライブさせることだと思っています。

――将来的には他事業部への異動も可能なのでしょうか?

今西:そうですね、ヘルスケアやオートモーティブ、スポーツ、新規事業などへの異動は可能です。DeNAには異動希望制度もありますので、マーケティング部のメンバーが自発的に他部署へキャリアチャレンジができる土壌も用意されています。

個人的な意見ですが、ゲーム事業だけでマーケティングスキルを磨くのは、ゴールとしては小さすぎると思っています。マーケターの中でもトップクラスの実力や市場価値を持つにはどんなスキルが必要であるかを模索し、それを実行する場がゲーム事業以外にもあるのであれば、積極的にアクションを起こしてほしいですね。

坂田:事業を発展させていくマーケティング手法を考えていくことは、どんな事業体や職種であっても必須です。ですから入社後にゲーム事業以外にも興味を持ち、他のさまざまな領域にトライしたい人にはどんどんしてほしいと思います。とはいえ、ゲーム領域のマーケティングが一番面白いと言える魅力的な部署にしていくことが、我々部門長としてのミッションであると思っています。

――ありがとうございました!

インタビュー・編集:佐藤剛史
執筆:及川知也
撮影:波多野匠

※本記事は2019年7月時点の情報です。

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『メギド72』初リアルイベントの舞台裏! 宮前Pと運営メンバーが語る今後の野望

2018年10月28日に都内で開催された『メギド72』リアルイベント「メギド72 banquet ~ソロモン王たちの祝宴~」。今回、『メギド72』プロデューサー宮前と、運営に携わった鶴川を迎え、初のリアルイベントで取り組んだ内容や手応え、反省点など、当日の様子を振り返ってもらいました。

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宮前 公彦 | Kimihiko Miyamae
『メギド72』プロデューサー。2014年にDeNA入社。デザイナーとしてキャリアをスタート。コンシューマーからモバイルゲームの開発・運営と幅広くタイトルに関わる。とにかく、アイデアをガンガン出すのが大好きなP。プロデューサーレターも更新中! (写真左)

鶴川 将志 | Masashi Tsurukawa
マーケティング担当。2013年入社。『メギド72』リアルイベントでは、宮前Pとタッグを組んで企画立案~当日の運営までを統括し、宮前のアイデアを具体的な形にしたリアルイベントの施策オーナー。(写真右)

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『メギド72』初のリアルイベントに想定以上の応募が殺到

――募集数200組400名のところ、1,500名を超えるご応募をいただくなど、事前の反響が大きかった印象があります。まずは当日を振り返って、率直な感想を聞かせてください。

宮前:本当に、あっという間の一日だったのを覚えています。会場では来場してくださったお客さまとふれあいつつ、お客さまの楽しそうな表情を直接見ることができて嬉しかったです。

鶴川:とても楽しかった! というのが素直な感想です。お客さまたちの笑顔や歓声をリアルに感じることができ、運営チーム全体として素晴らしい体験になりました。事後アンケートには「次回も参加したい! 」といった声を多くいただいたのも、本当に嬉しかったですね。

DeNA宮前『メギド72』プロデューサー 宮前公彦

――どういった経緯でリアルイベントが決定したのですか? 

宮前:7月2日~8月末までゲーム内での施策を大幅に増やしたのですが、1周年を迎える12月7日までの、9~11月の期間にあまり目立ったイベントがなく、悩んでいました。

そんな中で「ハロウィンのタイミングでリアルイベントやろう! 」と、なんとなく自分の中で決めていたんです。

初期アイデアでは、仮装して秋葉原でリンゴあめ(※)を配ることを考えていましたが、トラブルが起きたときに対処できないなどの理由で、開発メンバーと会場を確保することを決めました。

それから10月末の週末にまだ空きがある会場を開発メンバーと一緒に探し、大きさやレイアウトなどを確認して今回実施したイベント会場に決めました。

※『メギド72』ゲーム内には育成アイテムとして贖罪のリンゴ、賢者のリンゴなどが存在し、リンゴにまつわるネタも多数。当日の物販ではそれにちなんだ商品「リンゴあめ」が販売されました。

宮前:社内のメンバーにヒアリングしたら「最初のイベントで100人集めるのは大変」と明かされて、さらに心配になってました。

鶴川:いやー、不安でしたね。

――ところが、実際の応募は想定外の多さだったと! 

宮前:はい! 応募者数が1,500人超えたって聞いて、まずホッとしましたよ。

鶴川:初日で500人くらい、一週間後には応募が1,500人を超えていたので、安心した反面、この人数から200人しか当選しないと思うと、心苦しくて……。

宮前:落ちる人のほうが多いじゃんって。自分たちが思っている以上に、熱量がじわじわ上がっていったので、改めて責任を重く感じましたね。

DeNA鶴川マーケティング担当 鶴川将志

――鶴川さんはリアルイベント決定前のいつ頃から今回の運営メンバーに加わったのですか? 

鶴川:チーム全体に向けて「これからがんばりましょう! 」というメールを送ったのが、8月22日です。それから約2ヶ月ほど、毎日のようにリアルイベントのことだけ考えていました。

宮前:鶴川さんが「僕に任せてください! 」ってほとんど巻き取ってくれて、本当に助かりましたよ。私だけで突っ走ると、常にやりたいことだけをどんどん言ってしまうんで。ゲーム開発の現場でもチームメンバーが冷静に調整してくれるんです。

鶴川:逆に二人の性格のバランスが良かったのかもしれません。僕はどちらかというと、散らばった情報や課題を整理して推進することの方が向いている性格なんですよね。

宮前:私のまわりには、散りばめたアイデアを、現実的に判断してくれるメンバーが多くて助かってます。

鶴川:今回は宮前さんのアイデアが泉のように湧いて出た印象です。ただ、正直このタイミングで追加はやめて……と悩むこともありましたが、やり切って良かったことしかないですね。できることをチーム全体で考え抜き、ギリギリまでやりきった思いが強いです。

喜びとサプライズを意識したアイデアをとにかく絞り出す

――それでは改めて、リアルイベントでこだわった点や、気をつけた点を教えてください。

鶴川:まずは、コンテンツの平等性を重視しました。『メギド72』はキャラ・イラスト・世界観・バトル・音楽などたくさんの魅力が詰まっているタイトルなので、お客さまがまんべんなくイベントを楽しめるように内容を工夫しました。

宮前:私は普段メンバーに向けて、RPGはビジュアル、音楽、シナリオ、ゲーム性のすべて揃って魅力的なので、すべてのコンテンツに力を入れよう! と話しています。

それは、「特定のコンテンツ好き専用」のような意識はせず、全員が自分の好きなように楽しめるイベントを提供していくことと同じ意味だと思っています。

鶴川:来て頂いたお客さまがイベントを楽しみながら、『メギド72』をもっと好きになるような「体験」はどういう体験か?を軸に設計しました。

ですが、イベントの振り返りをしていく中で、至らなかったこと、反省点も多かったことをしっかり認識することができました。ここは、次回しっかりと改善していければと思っています。

――特に、お客さまに楽しんでいただくような施策(リアルイベント内コンテンツの選び方など)について、留意した点やそれに伴ったアイデアについて教えてください。

鶴川:イベント体験は当日だけに限られたことではないので、応募開始時からワクワクするようなネタを仕込んでいきました。

まず、当選者に送る招待状は、ゲーム内の「召喚チケット」のデザインを模して、宮前Pの今回のリアルイベントに対しての想いを手紙にして同封しました。受け取った人が、Twitter上で写真を撮って投稿してくれているのを見かけたときは嬉しかったです。

実際に当選者に送られた召喚チケット。細部までこだわって作られています。

宮前:イベント開始前から喜んでもらうことを一番に考え、話題になりそうなネタを作ったのですが、SNSでの拡散を見てビックリしました。

鶴川:本気で喜んでもらうために、チケットの厚さや素材にもこだわって作りました。色味もゲーム内イラストと同じようにちょっとくすんだ色にしてみたり……工夫を重ねましたね。

宮前:チケットの裏のハンコの色指定も私がやったんですよ。最終チェックは自分がしながら、社内のデザイナーに直接お願いして、試行錯誤して完成させました。

――このようなユニークなアイデアはいくつくらい考えました? 

鶴川:もう、覚えていないくらい考えた気がします。

宮前:確かに覚えてないかも……。企画では、まず自分が最初にやりたいことをドンドン出してみるんですが、全部実現するとかなりの予算オーバーになってしまうので、そこから取捨選択していきました。

鶴川:今回のイベントの最初のテーマは「文化祭」や「お祭り」だったので、射的や投げ輪のようなアイデアもあったんですよ。

宮前:そうそう。より気軽に遊べるような実験的なイベントも考えていましたね。

鶴川:そのほか、主人公のソロモンの指輪やタトゥーを再現するネイルコーナーや、号泣ペイント、バルバトスとマルコシアスが持つ武器で遊ぶ射的といった企画もありましたね。

――まさか、マルコシアスはあの杭を撃ち出す武器ですか!? 

清く正しく、直情的な追放メギド「マルコシアス」。多数の木の杭を撃ち出すゴツい銃を持っています。

鶴川:そうそう、あれです! 製作の見積もりしたら、予算を大きくオーバーしてしまいました(笑)。

宮前:さすがに、金額見てあきらめましたよ……。

鶴川:2名呼ぶ予定だった公式コスプレイヤーも、ブネ1人に絞りました。だからこそ、ブネの衣装はゲームイラストに忠実に作り込むことにしたんです。

宮前:ゲームのリアルイベントコスプレイヤーは女性キャラが多いですが、逆に背が高い筋肉質のキャラが出てきたら盛り上がるかなって思って。

鶴川:実は、モデルさんの身長も、ゲーム内のブネの設定とほぼ同じなんですよ。

宮前:なかなかぴったりな人が見つからなくて大変でしたね。自分でボディビルの会社に電話して「195cm以上のマッチョな外国人の方いますか? 」って聞いていました(笑)。

鶴川:最終的に候補が2名残って、よりブネに近づけるために、腕の筋肉が太いモデルさんにお願いすることに決めました。

ストーリー序盤で仲間になる追放メギド「ブネ」。ソロモンたちの兄貴分で筋骨隆々、豪快な性格です。

――リアルなブネのコスプレイヤーを見てみなさんどんな反応でした? 

鶴川:みなさん驚いていました。背が高いので、一部の人にはお披露目前にバレてましたが……。余談ですが、ブネのモデルさんはすごく丁寧な方で、帰りにわざわざ宮前さんのところまで挨拶しに来てくれました。

サプライズを散りばめて期待値をさらに超える

――宮前Pは会場の中で多くの人に声をかけられたようですね。

宮前:ええ、たくさんありました! 

鶴川:むしろ自分から話しかけに行ってましたよね? 

宮前:バレてた……。私はイベントで大事なのはおもてなしだと思っているので、受付の横でご挨拶していたら、自分を知っているお客さまが「あっ! 宮前Pが出迎えてる! 」と驚かれました(笑)。

鶴川:お客さまも、いきなり宮前Pがお出迎えするとは思ってないですよ(笑)。

宮前:こちらも、お客さまから「このゲームをつくってくれてありがとう! 」と言われて、素直に嬉しくて、感動してしまいました。

ただ、イベント出演の都合で、お客さまとあまり交流できなかったのが悔やまれます。なんとか空き時間を見つけてイラストコーナーで絵を描いていたら、みなさん集まってきてくれて、わずかな時間しか取れませんでしたが、楽しかったです。

鶴川:隣で宮前Pが絵を描いていたらビックリしますよ(笑)。 

宮前:ステージ出演者の出番も、あわてて私が呼びに行っちゃって……。周囲の方を騒がしてしまって、ごめんなさい!

鶴川:開催決定時から、みなさんずっとリアルイベントを楽しみにしてくれています。その期待を満たすのは当然で、さらに超えていくための設計をどのようにするのかを大事にしています。

また、イベント内でコラボカフェを考えていたんですが、内容が決定したのがイベント開始前ギリギリになったので、告知が間に合わなかったら「フードあるなら教えて! 食事しちゃいました……」との声もあったので、改善点として次回に生かしたいですね。

ガープの腹筋サンドイッチ、シャックスのオムライスサンドなどメギドにちなんだフードが販売されました。

――当日まで秘密だったコンテンツも多かったんですね。

宮前:VR、オリジナルフード、デカスマホでもらえるステッカー、ステージイベントに登壇する声優さんも一部しか公開できませんでした。

鶴川:物販は、商品の数に限りもありましたし、どういう商品をいくらで販売するかは事前にお伝えしておきたかったので、こちらはイベント開催前ギリギリになったのですが、事前に情報を公開できました。

物販のTシャツに実は秘密が!『メギド72』にかけて、ロゴの幅がほぼ7.2cmの設定になっているんです。

――想定していたアイデアはほとんど組み込めましたか? 

宮前:はい、ほとんど実現できたと思います。関東以外から来てくれる方もいるので、イベント開催時間は約6時間だったのですが、その6時間全てが面白かった、来て良かった! と感じてもらえるのを目標としました。

鶴川:そうですね。約6時間という長い時間をどう設計することが、お客様に満足頂けるかどうかを時間が許す限り考えました。

宮前:ステージイベントに関しては、じっくり見たい人は前の席に座って、バトルに興味がない人は他のコンテンツに並びながら見れるようなレイアウト設計を考えました。後方ではうちわを振って応援してくれる人も見えましたよ。

運営も予測できないほど盛り上がったPvPステージ

――PvPの生コロシアムもかなり盛り上がったようですね。

宮前:『メギド72』のPvP(コロシアム)については、他のコンテンツに比べて利用者がまだ少ない状況ですが、毎日コツコツと安定して遊べるコンテンツにすることは可能だと考えているので、今後も改修する予定です。

鶴川:事前のアンケートでも、PvPよりも他のコンテンツへの期待の方が高く、盛り上がるかどうか不安だったので一番驚いたのは運営側でした(笑)。

宮前:ビックリしたね~。個人的には、盛り上げられると思っていたけど、想像以上でしたね。

――PvP予選会場も盛り上がっていたんですか? 

鶴川:予選には、想定以上の人数が集まって、熱戦でしたよ!  

宮前:最初は3ブロック×8人、24人だったんですが、倍の人数が参加したので、急遽ブロック枠を変えて、3回→4回勝てば上位になれるシステムに変更したんです。

鶴川:当選者のアンケートでPvP参加希望者が想定を超えており、会場のレイアウトも変えて席も増やしました。

――ステージでは残念ながらミヤマエ軍団が負けてしまいましたね。

宮前:ええ…(泣)。でも彼らの名誉のために話しますが、挑戦者は絶対に流行りデッキを組んでくるはずだから、運営側は流行りデッキ以外を組んで、普段見れないトリッキーな編成で戦ってもらったため、負けてしまった、とも言えます。まぁ、言い訳ですが(笑)。

鶴川:ステージで繰り広げられたアツいバトルに、運営側も釘付けになっていたのが印象的でした。

宮前:そうそう! みんな食い入るように見てた! (笑)。

リアルイベントで感じた確かな手応えと、次回への反省点

――今回のリアルイベントすべてを通して、一番嬉しかったこと、感動したことはなんですか? 

鶴川:やはり当日に会場で感動したことが多かったですね。想像以上にお客さまが喜んでくれたのと、スマホで遊んでいた人がステージで今後のメギドの話が出たときに、立ち上がって見てくれたのは特に嬉しかったです。

宮前:スタンディングオベーションがあったのは、本当に嬉しかったですね。

鶴川:あれは、後ろで見てて本当に泣きそうになりました。立ち上がって見たいと思えるほどのプレゼンができて、お客様が楽しめるコンテンツを、少しずつでも提供できていることを実感した瞬間でした。

宮前:自分で言うのもなんですが、6章以降「追放のクロニクル編」や「ハルマとの対峙編」など今後のストーリーは、絶対気になりますからね! 

鶴川:ストーリーはぜひ楽しみにしてください。また、会場内のコンテンツの名称もダジャレで厨二病っぽくなってるのも気づいてもらえたでしょうか? 写真禁止のイラストコーナーは「制作の禁域」など、結構凝っていたんです。

宮前:会場の「フォトンスポット」の看板には、写真を撮れるフォトスポットにかけて「フォトnスポット」と文字をいじって面白くしたつもりが、なぜか直っちゃってましたね。

1枚の布にメギド72柱が描かれた大迫力のフォト(ン)スポットです。

鶴川:え!? わざとだったんですか! 僕、打ち間違いだと思って直しちゃいました(笑)。

宮前:えーー!? 鶴川さんが直しちゃったの?(泣)。

鶴川:宮前さん忙しくて、打ち間違えたと思って……(笑)。

――リアルイベント全体を通して感じた学んだ点、気づいた点を教えてください。

鶴川:終了後に回答いただいたアンケートを集計して、お客さまの意見や要望をしっかりと確認しています。ここまで盛り上がったのは、本当にみなさんのおかげなので、その思いに答えるような素晴らしいものを今後も提供したいと強く思いました。

宮前:反省点はしっかりと直しながら、ちょっとしたアップデートではない、さらに良いイベントにしたいと考えています。せっかくできた素敵な思い出を、さらに超えていくのは大変かもしれませんが、がんばります! 

構想段階の企画については、ステージで発表したように小規模での「コロシアム」やファンミーティングなどをもっと増やしたいと思っています。

鶴川:運営メンバーと交流したいという声も多く、以前、DeNAで開催した小規模な交流イベントも盛り上がりました。最高の体験を提供するのは開発と運営の使命ですね! 

――お客さまの期待を大きく超える、次回以降のイベントは大変だと思います。

鶴川:責任重大です! メギドの開発チームにはいろいろなアイデアや思いを持っている人しかいないので、一枚岩でぶつかっていきます。まず、宮前さんにはどんどん夢を語ってもらえば! 

宮前:語っちゃいますよ! 今回、開発チームメンバーは工数に入っていない作業も手伝ってくれたり、イベントのVRもギリギリまで調整してくれて、クオリティの高いものを提供することができました。

鶴川:当日も「手伝わせてください! 」と率先して参加してくれて。また、社外の取引先の方々も来場してくれて、最後までたっぷり楽しんでくれました。

――直近のトピックスやアクションを教えてください。

鶴川:年末に開催する「コミックマーケット95」で物販を展開します! 「メギド72banquet~ソロモン王たちの祝宴~」で販売した一部の商品に加え、新商品もご用意する予定です。

宮前:さらにコミケ会場で「公式ヴィジュアル資料集」を販売する予定になっています。こちらは全国の書店にも並びますが、DeNAブースでも販売したいと考えています。

「メギド72banquet~ソロモン王たちの祝宴~」会場で販売されたグッズの一例です。

鶴川:今後のイベントは、東京以外の都市でも開催したいですね。コラボカフェとか……! 

宮前:そうだ! カフェのワゴンカーで全国周りたいよね!

鶴川:おっ! ここにきて新しいアイデア出てきました(笑)。まだ実施が確定した企画ではないので、まずは現実的かどうか含めて、企画の検討から開始しましょうか。

――いきなり新しいネタが生まれましたね。次のリアルイベントも期待しています! ありがとうございました。

 


 

プロデューサーの宮前と運営の鶴川の仲がとにかく良く、まるで夏休みの思い出を話す子供のように、イベントについて嬉しそうに語っていたのが、印象的なインタビューになりました。

1周年を迎えた『メギド72』に限らず、DeNAのゲームやイベントを運営するチームの思いや、実際の仕事内容が、彼らの言葉から少しでも伝われば幸いです。

来場者と運営チームがお互いの「メギド愛」を確かめ合い、大盛況で終わったリアルイベント。次回以降もかなり期待できそうですね。

※本記事は2018年12月時点での情報です。
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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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人生は壮大なゲーム! 困難な壁も経験値になるー宣伝プロデューサー・北方知実インタビュー

宣伝プロデューサー・北方知実インタビュー

ゲームの宣伝プロデューサーとして活躍する北方知実。彼女を支える原動力は「信頼関係」と「どんな時も楽しむこと」という考え方だそうです。仕事も趣味も全力投球の北方が考える、宣伝プロデューサーの魅力、DeNAの魅力について聞きました。

ーーDeNAに興味を持ったきっかけと、入社の決め手を教えてください

高校時代から、将来はゲームのマーケティングの仕事に関りたいという気持ちがありました。ゲーム業界を選んだ理由は、もともと興味があったことはもちろん、人の心に残るマーケティングができること、そして純粋にゲームの面白さをたくさんの人に届けたいと思ったからです。

新卒でWeb系の広告代理店に入社し、デジタル領域でのマーケティングスキルを身に付けました。デジタル領域のマーケティングは効果測定がしやすく、PDCAを回し続けられるので、とても勉強になりました。その後、ゲーム業界への転職活動を始めました。

転職先を決めるにあたって、「タイトルのマーケティングに一気通貫して携わることができる」「開発チームと近い距離感で仕事ができる」「分析に強く様々なデータを活用することができる」ことを判断軸として選びました。

いくつかの企業を検討したなかで、判断基準を満たしていて、かつ採用担当の方に魅力を感じたことが、DeNAへの入社を決意した大きな決め手となりました。

ーー入社後やってきたこと、今やっていることについてお聞かせください

2016年5月にDeNAに中途入社し、ゲーム領域の宣伝部である「デジタルマーケティンググループ」に配属されました。もともとは宣伝プロデューサー志望でしたが、「Web系の広告代理店の経歴があるなら、即戦力として働きながらゲーム業界の知識を蓄積していく方が、業界未経験の私にとって良いだろう」と、デジタルマーケティングからスタートしました。

それが結果として、ゲーム業界特有のマーケティング知識、DeNA特有のマインド、開発チームの思考や温度感などを先んじて学ぶことができたので、この時の会社の判断にとても感謝をしています。

デジタルマーケティンググループでの担当業務内容は、タイトルを横断しての広告運用管理(SEM・LINE・Twitter)のほか、とあるタイトルでは、デジタルプロモーション全般のプランニングの責任者を担当していました。

広告代理店時代は運用コンサルタントだったので、広告運用管理は比較的得意分野でした。しかし、DeNAの宣伝部は新しいチャレンジへの意欲が高いので、自分の業界知識と企画力の不足に苦戦しつつも、濃密な1年間を送りました。

入社から1年程経った2017年4月からは、マーケティングのすべてを担う宣伝プロデュースグループに異動し、新規タイトルの宣伝プロデューサーとしてジョインしました。

現在は、新規タイトルのリリースにあたってマーケティング戦略を立案中です。市場把握のためのリサーチや、実際のプロモーション施策の準備も行っています。チームメンバーが全力で開発しているゲームを多くの人に届け、たくさん遊んでもらうため、「どうしたらプレイヤーが喜んで、ゲームを遊び続けてくれるのか」を毎日のように考えています。

ーー仕事をする上で大切にしていることは?

『信頼関係』と『どんな時も楽しむこと』です。

まず『信頼関係』について。仕事においては、チームメンバーと全力を尽くし、喜びを分かち合いたいと思っていて。そのためには、「誰に対しても誠実でいること」「誰に対してもまっすぐに向き合うこと」「全力コミット」を意識することがとても大切です。

※チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するために、全社員に必要な共通の姿勢や意識として「DeNA Quality」を掲げています。その中で『全力コミット』は、「プロフェッショナルとしてチームの目標に向けて全力を尽くす」の意味が込められています。

『信頼関係』を語る上で印象的なエピソードがあります。

あるIPタイトルのデジタルマーケティングを担当していた時、チーム一丸となって大きな盛り上がりをつくるために、たくさんの施策を実行していて、かなり大変な時期がありました。

なんとか乗り越えたあと、開発チームがそのゲームのクレジットに私の名前も載せてくれている事に気づきました。見つけた時は本当に驚いて、手が震えてしまうほど嬉しかったです。さらに精進しようと思ったことを今でも覚えています。今ではゲームの開発プロデューサーから唐突に課せられる難問に対しても、「信頼が高まってきたから相談してくれるのかな」と嬉しく感じています(笑)

ふたつめの『どんな時も楽しむ事』は、ある本から影響を受けて意識するようになりました。その本には、人生で起こる出来事をゲーム化して、楽しみながら乗り切っていくというようなことが書かれています。それに倣い、私も立ちはだかるどんな壁もモンスターだと捉えて、「経験値やアイテムを得るために頑張るぞ!」という思考で日々を過ごしています! そうすることで、困難に思える仕事も楽しんで取り組むことが出来るんです。

ーー仕事とプライベートとの両立で意識していることは?

やりたい仕事にピンポイントで携わることができているので、仕事が趣味と言っても過言ではないのですが……。野球観戦が大好きで、プライベートは野球に時間を費やしています。横浜出身のDeNA社員、生粋の”真っ青”なベイスターズファンです! 2017年シーズンはオープン戦から始まり約30試合を球場で楽しませていただきました。野球は人の感情を揺さぶる、最高のエンターテインメントだと思っています。

仕事とプライベートの両立は、特に意識していることはありません。どちらも人生というゲームの中の要素にすぎないので、すべて充実させるためにメリハリをつけて生活しています。

2017年は横浜DeNAベイスターズがとても盛り上がったので、クライマックスシリーズでは、元来のフットワークの軽さもあり、急遽土日に広島遠征に行くくらい熱中しました!(土日ともに雨で試合観戦できませんでしたが……)。DeNAはGW休暇、夏季休暇、年末年始も自分の予定に合わせて取得できるので、私は野球関連行事のために有給は残しておくスタイルで過ごしています!

すべてに全力投球すればするほど、「時間は有限だ」と最近つくづく思います。仕事もプライベートも、もったいない過ごし方をしないように心がけています。

今年は惜しかったですが、日本一という夢を一緒に追いかけさせてくれたラミレス監督をはじめ、コーチ陣、選手達、関係者各位には、ファンとしても大変感謝しています。私も仕事をもっと頑張らねばと身が引き締まる思いです!

ーー「1ヶ月お休みだよ!」といわれたら何をしますか?

「ハマスタでのビール売り」「ライブハウスのスタッフ」「レストランのウエイター」など…いろいろなアルバイトをしてみたいです。

視野を広げるために、いろんな職業を体験してみたいです!

※本記事は2017年11月時点での情報です。

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【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術