【CEDEC2019】「ゲームと機械学習の最前線~現状と未来を正しく捉えるために~」パネルディスカッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月6日に行われた「ゲームと機械学習の最前線~現状と未来を正しく捉えるために~」パネルディスカッションの内容を、一部抜粋してレポートします。

※本文は登壇者の発言をもとに対談形式で記載してあります。

ゲームと機械学習の最前線

奥村:今回のセッションは「ゲームと機械学習の最前線」というテーマでお送りします。AIに関しては、昨年頃からハイプ・サイクルでは、いわゆる幻滅期に差し掛かっていると言われていますが、それでもなお、AI技術の進展や産業への応用は増え続けています。

今回は2名の著名なゲームAI開発者をお招きし、そもそもどのような領域にAIが使われていくのか、AIはどれぐらい使えるのか、などディスカッションをしていきたいと思っています。

本パネルセッションは「CEDEC2018」で実施した「次世代QAとAI」の議論の続編に近い立ち位置になっています。当時は急速に増えて行くゲームへのAI活動の流れを感じながら、特にQA(品質保証)という領域に絞って、現状と今後について議論を行っています。

奥村:このQAに関しては、ゲームのコア部分の体系を作り込む作業とは、少し分離するようなコンポーネントであるため、会社や産学の枠を超えて連携していけるのではないか、というメッセージを発信させてもらいました。

セッションの開催背景

奥村:この1年を振り返ってみると、当時とは比べ物にならないほど多彩な変化があったと思っています。

ひとつの大きな変化としては、AI技術が進歩し続けていることです。連日のように最新のモデルが提案され、応用の幅も広がってきています。その流れはゲーム業界も例外ではなく、1〜2年ほど前まではとりあえずAIを活用してみようといった、導入検証に関する話題が多かった印象ですが、ここ1年ほどは実際にプロダクトに導入され、事業価値を生み出している事例も増加してきています。

そのような状況の中、技術に対する期待感も成熟しつつあり、「ゲーム×AI」に関する議論は、より実践的な話にシフトしてきたと考えられます。また、実際にどのくらい売上貢献可能なのか、AI導入を見据えた開発プロセスや体制の模索も続いています。また、そうした知見は広く世間に公開されており、横断したつながりも増えている印象も感じています。

セッションのモチベーション

奥村:本セッションでは、次に挙げる3つのモチベーションをもとに、ディスカッションを進めて行きたいと考えています。

まず1点目ですが、なるべく多くの実用事業を俯瞰したいということ、2点目はそれらの事例を元にして現時点でAIはどの程度使えるのか、導入の障害について議論していきたいと考えています。

パネリスト紹介

奥村:それではパネリストを紹介したいと思います。まずは株式会社スクウェア・エニックスの三宅陽一郎さんです。

三宅:スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部でリードAIリサーチャーとして、10名ほどのAIチームを率いています。過去にはロボットゲームや『ファイナルファンタジー』シリーズのAIの設計などに携わりました。

自分はこれまで、どちらかと言えば記号主義型、シンボルを使った人工知能について担当してきましたが、これからは機械学習の方に徐々にシフトすると考えており、研究を進めています。

奥村:ありがとうございます。続いて株式会社バンダイナムコスタジオの長谷洋平さんです。

長谷:バンダイナムコスタジオで現在開発中のオンラインゲームタイトル『BLUE PROTOCOL』にて、リードAIエンジニアをしています。実際のゲームタイトル内部のAIの開発をしつつ、並行してAI関連の最先端の技術のリサーチや、技術研究を担当しています。

この技術研究の中にはディープラーニングも含まれますし、それとは別に、ゲームに関連しない汎用的に使用可能なゲームAIのエンジンも開発しています。また、キャラクターのアーキテクチャを中心に、汎用的な開発研究にも携わっています。

奥村:そして最後に私はDeNAのAI本部で、主にゲームAIや強化学習といった技術を使った案件のマネジメントを手がけております。個人的な興味領域は、どのようにAIを事業価値につなげるかを考えており、AIエンジニアとプロダクト間を横断する活動をしています。

AIにまつわる用語の整理

奥村:まず本題に入る前に、セッションで使用する用語について簡単に整理します。

一般的にAIとは、人間と同等もしくはそれ以上の処理を行うためのテクノロジー全般を指します。中でも、判断や予測する能力をデータから機械的に学習するものを「機械学習」、さらにその一種で深いニューラルネットワークを用いたものを「深層学習」、いわゆるディープラーニングと呼んでいます。また、ゲーム業界で厄介な事例として、ゲームAIという別の言葉が存在します。

こちらは、学術領域で使われているAIとは全く別の文脈で進歩した概念です。そちらは区別をして使用したいと思っています。本セッションでは、AIという言葉はあくまでも機械学習全般を指すものとして定義します。

AIが推論をする際は、まず信号を数値変換して入力し、機械学習のモデルに組み込みます。ここで行列演算が実行され、結果が出力されます。たとえば異常検知に関しては、この入力が異常である確率が出力されます。

ネコとイヌを分類するAIを作る際の例として、ネコの画像を3色のRGB値に変換してモデルに組み込みます。するとこのモデルはディープラーニングを想定し、ニューラルネットワークを使って行列演算をして、ネコかイヌかの確率を推論します。

奥村:さらに教師データを用いて、なるべくこの確率ループがネコに近づくように、再度トレーニングし、モデルをアップデートする指示、さらに学習を繰り返すことによって、ネコの認知精度がより上がる仕組みになっています。

強化学習は、動物に芸を教え込むような行動に似ており、AIエージェントに対して、ある状況で行動を取る際に報酬をもらえると仮定し、そのフィードバックを蓄積していきます。それを反復することにより、好ましい行動を取るように訓練されていきます。

AI活用の現在

意思決定

奥村:意思決定に関連して、囲碁や将棋の分野において、人間と同等かそれ以上の賢いゲームエージェントが登場しています。

最近では、AlphaGo(アルファ碁)などは、かなり有名になっていますし、特に今年に入ってからのトピックとしては不完全情報原理が話題に上がっています。

例えば『StarCraft』や『Dota』などのゲームタイトルに代表される、長期戦略を扱うタスクでも、人間を超えるパフォーマンスを出すことが可能になっています。

そのような賢いエージェントが存在するデファクトした世界で、どのようにゲーム開発が変わっていくのか、事例を基にした方向性を紹介します。

奥村:1つ目はコンテンツ応用として「Human vs. AII」になります。eスポーツも同様に、ゲーム外の思考性として、人間とAIを戦わせること自体がコンテンツとなる世界が存在すると考えられます。

またゲーム内の思考性として、プレイヤー補助のためにエージェントを使用することも考えられます。初心者の対戦相手としてバランスの良いAIを使うような、ゲーム内コンテンツとしての応用です。

2つ目にQA文脈での応用については、ゲーム内を賢く回遊できるエージェントがあれば、テストも同時に実行してほしい、という発想から生まれています。

DeNA 奥村純

奥村:ゲームの内部が正しく動作しているかを確認するために、エージェントはゲームの中をひたすら動きまわり、自動プレイのテスト環境を作るQAオートメーションを実装しています。

また、ゲームバランスの担保、そもそも「ゲームが面白いことをエージェントに評価させる」動きも生まれ始めています。

実際の事例として「Human vs. AII」のコンテンツとして、『StarCraft』や『Dota』はもちろん、『ブレイドアンドソウル』『Arena of Valor』などのゲームタイトルでも、実際に人間のトッププロを打ち負かすような成績を記録しています。

奥村:プレイヤー補助に関して『逆転オセロニア』では、初心者から上級者までさまざまな強さをパラメーターで調整しており、それをユーザーに合わせたレベル版のAIを用いた練習コンテンツを提供しています。

また、対戦格闘ゲームタイトル『サムライスピリッツ』では、エージェントをミラーリングして他プレイヤーのように振る舞うAIと、実際に対戦可能なシャドーイングのコンテンツも提供されています。

奥村:一方でQAについては『北斗が如く』では、実際にそのゲーム内をエージェントに回遊させてVRAM使用率を可視化し、コリジョン抜け検知をするエージェントを作っています。

奥村:また、GDCなどでも『Battlefield V』や『The Division』などのゲームタイトルにおいて、実際にクラッシュ検知などで役立つトピックスを紹介するセッションが、注目を浴びていました。

ゲームバランスの担保に関しては『Candy Crush Saga』に採用された、実際に人間のようにプレイ可能なエージェントを、ディープラーニングでトレーニングすることにより、これまで新マップを追加するために、人力でのテストプレイが1週間ほど必要だった工数が、およそ数分に圧縮した例が紹介されています。

さらにCEDEC2018では、『D×2 真・女神転生 リベレーション』『コトダマン』などのゲームタイトルについて、さまざまな強化学習の遺伝的アルゴリズムを使った、ゲームバランスの調整をした事例も公開されています。

奥村:このような強化学習や強いエージェントが生まれることは、もちろん素晴らしいことなのですが、ゲームごとに特徴量のアーキテクチャを設計する必要があります。それをタイトルがリリースされる度に作業が必要となることが問題でもあり、スケールしづらい要因にもなると考えています。

株式会社スクウェア・エニックス 三宅陽一郎氏

三宅:現在、採用されているフレームはエージェントアーキテクチャです。「センサー」「認識」「思考」「行動」「エフェクター」という形ですね。いわゆるロボティクスから借りてきたアーキテクチャにそれぞれのゲームの知識表現を作り、ゲームに対応します。しかし、それはやはりゲーム依存なんです。

ニューラルネットの特徴は、そのような表現の規定が不要なところにありますが、それでもインプットするパラメーターを決める必要があります。

さらに、ニューラルネットワークの形を決めるノードの組み方の問題も存在します。組み方には特に規則性がないため、現在では適当に決めています。特に最初から最後まで、すべてE2Eで組んでしまおう、という方向がこれまでは強かったですね。

ゲームをプレイする人工知能を、すべてニューラルネットで実現することに関しては、アルファ碁やアタリのゲームレベルにおいて成功したところから、若干夢を見た部分がありましたね。大型ゲームにおいてニューラルネットだけでAIを実現しようとしても、思ったとおりに実現できないことが分かりました。

昨今の複雑なコンテキストを持つゲームは、ある程度古典的なアーキテクチャが存在し、その1個のモジュールをニューラルネットで実行する方法に、今後の未来があると感じています。

特に、階層型タスクネットーク(HTN:Hierarchical Task Network)など、問題をタスクに分けた上で、各タスクをニューラルネットワークの学習に任せる、という方向が有望かと思います。

そう考えると、ゲームシステム内のターゲッティングや魔法選択、アイテム選択などの技術はむしろ再利用できるようになるのでは、と判断しています。

奥村:ちなみに長谷さんのチーム内では、BehaviorTreeやBAのアーキテクチャについて、さまざまなタイトルで展開できる標準化がされていると思いますが、その観点でお話しいただけますでしょうか。

長谷:私も三宅さんの意見と同様に、E2Eで機械学習させようとすると、問題が複雑すぎてうまく動作しないことが多い印象です。そのため、BehaviorTreeのノウハウで、機械学習で選択するような仕組みを作るほうが、問題が限定でき、機械学習でも実行しやすくなる部分と、実際サーバがコントロールしなくて良い部分、機械学習に任せて良い部分に分類できるので、最適だと考えています。

機械学習をゲームで応用する方法については、そのゲームのキャラクターの動きに関して、重厚なイメージで動く場面、もっと爽快感を打ち出したい場面など、ゲーム制作の方向性によって求めている内容が違うため、共通化に関してはやや疑問に思っています。

株式会社バンダイナムコスタジオ 長谷洋平氏

奥村:実際に『逆転オセロニア』でもディープラーニングでエージェントを組みましたが、ゼロベースでチューニングしなければならず、大変でした。最近ではオープンAIファイルというエージェントを公開しましたが、そのアーキテクチャを見ていると、結構似通っていると感じますね。

そのような理由で、しばらくはゲームが新しく作られるごとに、ゼロベースでアーキテクチャなどをチューニングする必要があるのですが、ゲームジャンルに合わせて、ある程度アーキテクチャの指針は平準化して、共通のナレッジとして蓄積できる気がしています。

ただ、お二人がこれまで述べたように、やはりE2Eではないことはその通りだと思います。今後ディープラーニングなどが生き残っていく余地は、十分残されている気はしていますね。

続いて、先ほど長谷さんが述べていた「コントロールできる余地がない」話題について、もちろんスーパーヒューマンのエージェントが誕生すること自体素晴らしいのですが、そのテクノロジーを実際にゲームに適用すると考えたとき、コントロール不能だと怖いですよね。

プランナーからは「ここで必殺技を出したい」「変な挙動は絶対やめてほしい」など要望が出ますが、AIはブラックボックスになりがちなので、出力コントロールできないことは多々あると思っています。

その場合、どれぐらいコントロールすべきだと思っているのか、完全にディープラーニングのようなAI化ができるのか、それとも人間側でのコントロールする余地は必要でしょうか?

長谷:やはりその部分もゲーム内容で違い、デザイナーが決めた通りに動いてほしい場合もありますし、最近の複雑なゲームでは、チュートリアルやルール説明では完全に網羅できない部分が増えてきているため、一部機械学習を導入する必要があると考えています。

また、ゲームにどのような遊びを組み込むかによって、どの程度の機械学習を利用するかの判断は、ゲームそれぞれで、きちんと検討しなければいけない部分ではありますね。

特にアクションゲームや格闘ゲームのCPUキャラクターは、ルールベースで書かれている部分が多く、CPU戦でいくら戦っても、対人戦ではうまく動作しないことも多いんです。

さらに、最近活発になっているeスポーツの人気を上げるために、CPU戦をもっと人間らしく動かし、対人戦スキルアップの練習場所として提供できれば、その分野では、より機械学習を活用してAIを組み込む流れが生まれるのではと考えています。

三宅:ゲームAIの活用には3つ条件があって、まずその技術で多様性があること、そして拡張性とカスタマイズ性があることだと考えています。

昨今のゲームは大規模化しているので、細かい部分まで追いきれなくなっていますが、現段階での人工知能は、フレーム問題が解決しないと学習できないため、その問題を切り分けるコンテキストスイッチみたいな上層は、従来通りのステートマシンで大丈夫だと思っています。

例えば、モンスターと戦う、宿屋に泊まる、宝物を入手する、といった単純な作業はニューラルネットで処理し、ゲーム内での変更部分があればWrapする形で、ある条件が来たら逃がすような対応が良いと考えます。

メインはニューラルネットですが、周囲はルールベースで支えるような使用方法が現実的だと考えており、コンテキストスイッチと細かいタスク学習を同時に実行するのは、少し難易度が高いと思いますね。

奥村:結局ルールベースとディープラーニング、機械学習のハイブリッドに進化していくんですかね。

また、ディープラーニングは特徴抽出が得意な部分も含めて、自動的に処理してくれるのが強みなので、どうしてもE2Eで問題を閉じたがる部分はありますが、その観点ではゲームなら存在するイメージではありますね。

さらに似たような観点で、実際にAIのエージェントを作成した際、その挙動を誰がどのようにチェックするか、QAの分野にも関わりますし、トレーニングしたデータを、そのまま野放しにプロファクションに導入していいのか、不確実なデータを出すのは怖い、といった意見があると思います。

三宅:新しいAI技術はデバッグできないことが課題になっていますね。例えば自分が15年前にパス検索を提案した際も同様の状況でした。

ある条件下で、問題のあるアウトプットが出た際には、Wrapして外部、もしくは禁止して逃がす処理が必要です。現時点では、ニューラルネットを完璧に仕上げることは、誰にも不可能であり、保証するアルゴリズムも知られていません。

品質保証については、ある程度は可能ですが、補助策を設置した方が開発工程としては現実的だと考えます。納期があと1週間ほどの時期に、ニューラルネットを再度学習させて、再発注させることは回避したいですよね。

長谷:どうしても守りたい部分だけ、セーフティネットで禁止することは必要ですね。昨今のゲームはAIに限らず、(人力では)デバッグしきれない状態になっているため、すべての不具合を取り除いてリリースすることは、ほぼ不可能だと考えられます。

また、AIや機械学習、現在使用されている技術が100%完成しているわけではないので、禁止したい行動の部分だけコントロールすることが可能なら、それほど完成形を重視することはないと考えています。

QA・デバッグ

奥村:続いてのテーマはQAデバッグについてとなります。

三宅:最近のゲーム開発では、複雑化や大規模化がキーワードになっています。特にAAAタイトルのオープンワールド化が著しく、現在では50キロ四方を超えるような、巨大なスケールのゲームフィールドに対して、人間の手ではデバッグできない規模まで来ていると考えられます。

三宅:そこで、人間の代替役という意味を含め、AIと共に人間がデバッグしていかなければ、もはやコストや時間の意味でも、現実的な世界で普及がストップしてしまいます。その品質管理の部分を自動化するフェーズに、AIの自動プレイや自動バランス調整の案件も絡んでくると考えます。

三宅:ゲームAIの歴史は、大きく分けるとゲーム内外のAIが存在し、キャラクターAI・ナビゲーションAI・ベターAIなど、おおよそ3つに分類されます。

開発工程でのAIは、ゲーム外部のAIのことを指し、さまざまな技術、勝利方法など、その中で一番の重要項目としてQAのAIが存在し、2015年頃からQAのAIについて機械学習を用いることが、GDCでの発表以降、現在ではホットトピックとなっています。

例えば『Battlefield V』の機械学習に関して、現在は実際にあまり応用はされておらず、プレイヤーのインターフェースを発揮する形で、AIがキャラクターを動作することで自動にBotを操作して、デバッグをしています。

三宅:また、Frostbite engineのスクリプト、ビジュアルスクリプトでFrostbite schematicが存在しますが、これは機械学習ではなく、スクリプトを活用してBotを動かし、できるだけcoverageを上げる形で全領域のナビゲーションを使用、多数のキャラクターを出現させて、負荷や衝突のデバッグをしています。

なお『The Division』では、ダウンロードコンテンツで自動生成することが特徴になっています。ナビゲーションの意志や既存のAIシステムを活用し、機械学習ではなく、スクリプティングやBehaviorTreeを使った形でデバッグをしている事例もあります。

三宅:さらに『The Division』では、プレイヤーのインプットを上手く活用する形で、プレイヤーをフォローイングするログデータを使用し、ログサイクルを回しながらデバッグをしています。

もちろん最初のテストプレイは人間が担当しますが、さまざまな場所でジャンプ動作をするような、特殊な操作についても、プレイヤーのインプットから記憶させてトレースしています。それにより、AIに統計的に学習させる仕組みです。

プレイヤーのアクションシステムでは、どの場所でインプットが活用できるのかをレコードし、デバッグを実行しています。

三宅:『Battlefield 1』のオンラインモードでは、16体のキャラクターを導入して、大規模戦闘のデバッグ時に、EA SEEDという研究所で、イミテーションラーニングなど機械学習のテクニックを使用しています。

『Battlefield 1』のテストマップでは、さまざまな行動パターンをキャラクターにビジュアルカメラを付け、カメラインプット、行動アウトプットの形で機械学習をさせています。また、マップ上で自動的に動くようなBotを使用し、多数のキャラクターを登場させて、オンラインの負荷をデバッグ、QAしています。

奥村:最近では、事例が増えてきており、網羅しきれない物量になってきていますよね。

三宅:恐らく現世代が、人間の手でデバックできるギリギリの物量だと思っています。要するに次のコンシューマーや次世代のゲーム機対応タイトルでは、AI抜きでは成立しないという方向に、どこの企業も同じ見解を示しています。

そのための予防策として、コストはゼロにならなくても、QAコストを維持するぐらいでのレベルで機械学習を導入するなど、研究開発として進めつつ、現実的に違ったスクリプティングやナビゲーションを使用したQAを実行、あるいはログデータを使用したQAを実施することも考えています。

奥村:単純にバグ検知などで、エージェントに回遊させてバグを発見することが、自然に導入されていくことも考えられますね。

一方で事例にもありますが、面白さのQAの話題は絶対に発生します。ゲームの面白さをどのように担保するのか、実際にQAは機械化できるのか、といった質問を受けることが増えてきましたね。

三宅:面白さのデバッグは、できないと考えます。ただ可能なのは、そのゲームが「面白くないこと」を検知することだと思いますね。

単純な問題点は、プレイ時間がかなり長いことが挙げられ、戦闘時間が長い、アイテムを上手に使えていない、などの要素も該当します。そのように面白くないパターン、あるいは問題がある部分は検出できるのではないでしょうか。さらにその部分を1つずつ潰していくのが、現実的な活用範囲ではないかと考えています。

奥村:確かにそうかもしれないですね。カードゲームなどで、追加カードのバリエーションが増えると、組み合わせばかりを推奨してしまいがちです。

そもそも、プランナーの認知限界を超えるような量の面白さを担保しないといけない時代に、突入しているのかも知れませんね。

その状況では、何かしら機械化を進めないと大変ですね。実際に長谷さんが人工知能アプリに携わって、面白さを緊張度のようなデータを、線形回帰で実施している資料を拝見したんですが、面白さはマトリクス化できるのでしょうか?

長谷:自分は過去に、ゲーム内の敵の生成や多彩な要素をAI側で整備する、メタAIの分野を担当していました。その中でプレイヤーの緊張度をコントロールする部分で、緊張度が現在どの程度なのかを推定するために、プレイヤーのプレイログから、線形回帰でプランニングからパラメータを抽出して、モデルを作成していました。

現在は、緊張度のデータが正確なのか、細部まで確認ができていないのが現状です。面白さのような、より抽象度の高い項目に関して、何かしらデータから導き出すのは難易度が高いと思っています。

奥村:その部分は本当に同意見で、どちらかと言えばAIの使いどころは、面白くない部分をどのくらい減らせるかといった「検知」に繋がることが、今後重要になっていくと考えています。

最後のトピックスは、ゲーム開発が普通のWEBサービスなどと若干異なる部分になります。ゲームでは面白さが大前提にあり、その仕様が直前に変更されることが多々あります。

例えば、当初の企画では、プレイヤーが1メートルしかジャンプしない設定だったところ、やはり1.5メートルジャンプした方が面白いのではないか、と直前に仕様が変わることが良くあるということです。

そのような開発フローは現在の現場でも続いていると思いますが、(その部分に関して)実は機械学習の導入が相性良くないのではないかと考えています。

要望通り、プレイヤーが高くジャンプできるように作り直したあと、その仕様に合わせて、もう1度ディープラーニングの学習を走らせてエージェントを作ってQA、というフローを毎回繰り返さないといけない部分もかなり多いと思うのですが、そのあたりはどう考えていますか?

三宅:QAの方にヒアリングすると、最初のデバッグは自分たちで作業したい、といった声が多く挙がっています。最初の通しプレイヤーとして、まずはどんなゲームか理解していないため、いきなりAIにデバッグをやらせるわけにいかない、という理由です。

ただ同じ検証を続けるなら、2~3回目ぐらいからはAIに任せたいという声も挙がっています。もちろん人間としても、繰り返し作業はしたくないですし、そちらをAIに作業してほしいと考えています。

ゲームは一種のアートでもあるので、プレイヤーは面白くないことがわかると絶対離脱してしまうんですよね。また、ジャンプの高さをちょっと変えたら、ナビゲーションは全部やり直しになってしまいます。

企画段階から、変更可能なサイクルを見越して体制を作っておかないと、機械学習がきちんと機能して終わりというわけにはいきません。再学習のコストも含め、作業がどれぐらいの速度で終息するのかを推測しておくことも必要ですね。

奥村:リスクマネージャーのような、ゲーム開発においてどこまで仕様の変更を許容するか、ハンドリングするポジションの人間が、どうしても開発には必要です。そこに機械学習が導入されると、再トレーニングやデータ収集プロセスも含めて、AIを活用するには、これまでの仕様を変えていく必要が出てきますね。

三宅:そうですね、海外ではゲーム開発の外部にコントロールする人間がいるんですが、日本はゲームデザインに関しては作家性を重んじる文化がありますので、ゲームデザイナーが変えると言えば、変えてしまう文化が残っており、仕組みとして止めるシステムがないのが、現実です。その部分は、日本特有の問題として今後残るかもしれないですね。

奥村:作家性と機械化の衝突みたいなのがありそうな気配がしますね。長谷さんはその部分で何か感じていますか?

長谷:現在自分が関わっているのはオンラインアクションゲームで、コンテンツや要素も多くてゲームシステム自体も複雑なんですが、複雑なゲームになればなるほど、多少の変更が多岐の要素に密接に関わるので、最初にレギュレーションを決めて、それに沿って開発をするように動いています。

もちろん面白くない部分があれば、組織全体を変更することもありますが、多少のことであればレギュレーションの範囲内で面白くするために工夫したり、現状を許容できるのであれば、AIを使ったテスティングの再学習をします。

それをしてでも、仕様変更をするべきものなのか、問題は大きくないから、この仕様は機械学習のエージェントを、再学習をする必要がないレベルで止めよう、といった判断が重要だと考えています。

異常探知

奥村:続いて最近増えている異常検知について、1つはチート対策が存在すると考えます。ゲーム内でチートしているプレイヤーを検知するものと、ゲーム開発においては、デバッグやバグ検知をなるべく上手く使い分けていきたいですね。

特に最近問題になっているのは、チート検知の部分です。多人数とマッチングする対戦プレイ可能なタイトルが増えてきており、その中のマルチ対戦のゲームでは、少数のチーターの存在が、ゲームの有益数を大きく毀損することが課題になっています。

奥村:例えば、ゲーム内に2%のチーターがいることにより、ダーティーマッチと呼ばれるチーターに巻き込まれる、本当に意味のない試合が約20%ぐらい生まれると言われています。やはりこれは無視できない数字ですよね。

少数のチーターも許せませんが、現在のプロセスではチェックしきれないほどユーザー数も多く、チートの技術も高度化しており、対処しきれないのが現状です。

その状況下で上手な対応として『Sudden Attack』の事例で、FPSでウォールハックと呼ばれる壁を透視する、敵がどこにいるかすべての情報を見れるチートがありますが、AIが判断した根拠が、注目度マップのように表示され、それをCSの人間がチェックしてチートだと判断、BANしやすくなっているシステムがあります。

奥村:このシステムによって、BANまでにかかる時間が24時間から数分に抑えられたという話題があり、結構面白いと思っています。

他には『Counter-Strike』などでも良く使用される、エイミングアシスタンスと呼ばれる必ずヘッドショットになる、銃のエイムを自動的に実行してくれるチートも存在しています。

また、ディープラーニングベースで『Overwatch』を使用して学習をしてみると、人間が報告すると精度が15%ぐらいしか出せないところ、AIを使うと80%ぐらいがチーターと判断されてしまう話もあります。このようにチートに関する部分にも、次々と導入が進んでいくと考えられます。

奥村:また、Kingではインシデント予測と呼ばれる、さまざまなメトリクスを監視して、異常らしき動きを検知すると、すぐにアラートを上げるような事例も公開されています。

異常検知については、結局人間の目検プロセスが不要になることはない、という話もありますが、どこまで自動化するのか、どこまで人間の解明が必要なのか、といった責任分界点に関係する話に関わって来ると思います。

三宅:各社の取り組みは、最終的なBANについては人間が絶対実行する方針ですね。リコメンドはAIが担当しますが、最後は人間が責任を持ってBANするシステムになっており、BANしたデータをまた機械学習に回すことで、AIがリコメンドの精度を上げて行く戦略が必要だと思います。

また、なぜそこまでコストを切るかというと、eスポーツの発展が関係しています。eスポーツの予選はオンラインで実施するため、そこで不正を検知できなければ、eスポーツそのもののビジネスが成り立たなくなります。

その問題も含め、各社コストをかけやすくなっているんじゃないかなと考えています。人間がチートするにしても、リスクとテーマはどんどん高くなるため、導入により一定の効果を発揮していると思われます。

長谷:現在開発しているゲームに関して、チート対策については、かなり話題に上がっていますね。

奥村:特にハッキングの部分ですかね。ゲームごとにチート検知の依存性ってどれぐらいあるのか話題になっていますね。

最近はクラウドゲーミングが登場して、ミドルAIも発達し、そのような機能がAPIとして提供されていくのはスゴイことですし、自社開発しなくても大丈夫なのではとも思います。異常検知に関する研究はこれからも続いていくと思いますが、今後の進め方は多岐に渡る気がしますね。

コンテンツ生成

奥村:コンテンツ生成技術に関しては、自然画像や人間の顔、食べ物や動物など、かなりフォトリアルな画像をAIが自動で生成可能になってきています。

超解像度やdenoisingの研究も大きく成長していますし、それが本物の写真なのか、AIが作った画像なのか、区別が難しい時代が訪れていますが、これからは、その技術をゲームにどうやって組み込むのか、が課題になってきます。

奥村:特にGAN(Generative Adversarial Network)などの技術は、人間の全身のように複雑な構造の生成はまだ困難なので、どうしても対象が限定されてしまうことが課題となっています。

DeNAで進めているプロジェクトでは、二次元の画像から構造などを踏まえて学習をして、後ろ向きに構造を変えてみたり、構造とセットで学習するトライアルをしています。

奥村:また、指定された構造やラフから生成する、あるいはコントローラブルな技術でGANを扱う案件は増えると考えています。

この技術を用いると、「このあたりを海や空にしたい」「この部分に木を置きたい」というざっくりとした要望を入力すると、それらしいフォトリアルな画像が生成できます。アニメ調のイラストも同様に生成が可能です。

最初に簡単なラフを作って、まず完成度70%ほどの画像を生成し、その後にアーティストが修正するみたいなプロセスの導入が進んでいくと思われますね。

奥村:それ以外にも、カメラのライティングやスタイルを変換する技術では、少ないアセットから夜や夕方のシーンを作れたり、季節の秋を冬に変えるなどの技術など、今度は可能になると考えています。

奥村:さらに、一枚の写真画像からメッシュやテクスチャを生成する技術もかなり進んできているので、3Dモデルが作りやすくなる時代も来るはずですね。普及の背景としては、学術研究はもちろん当然ですが、それ以上にゲーム業界でのニーズが高まっていることが要因と考えられます。

例えば『Assassin’s Creed Odyssey』などでは、シネマティックカットと呼ばれるストーリー上で重要なシーンの工数が、数時間から30時間に増えていますが、よりスマートにコンテンツを作るために、約20%を完全プロシージャル化しています。

つまり、あまり重要ではないシーンは、完全AI化してプロシージャル化し、草や木の位置など影響が少ない描写をAIに任せています。

ただし、重要な人間の表情や、ここはしっかりと演出したいというプランナーの思いが介在する部分については、人間がモーションキャプチャーを用いて、従来どおり細かく作り込んで演出する、というようにレベル分けをして作業しています。このような分業型の導入が今後は進んでいくと思います。

また、ラフスケッチからの生成に関して、地形などもラフのような画像からでもフォトリアルな画像が生成できるようになってきています。

長谷:最近のスマートフォン対応ゲームでは、画像が高精細になってきており、それに伴ってダウンロード時間などの課題も発生しており、それを解決するために小さい画像から超解像の技術を使って、高クオリティな画像を作れないかといった研究開発を続けています。

奥村:『Fantasy Raiders』というゲームでは、レベルに応じて自動生成するシステムを導入しており、単純に画像が生成できるだけじゃなく、マップのオブジェクトの配置や、そのユーザーの成熟度やキャラクターの疲労度などに応じて自動で生成してくれます。

キャラクターのHPの少なさなどに応じて、疲れている時はなるべく簡単なマップのオブジェクト配置にしたり、元気な時は難易度の高いマップを作ったりなど、普通はレベルデザイナーが頑張ってハンドメイドで調整している部分を、ある程度オートメーション化する未来はかなり近づいていると思われますね。

奥村:ですが、やはりコンテンツ生成のQAに関して気になるのは、場合によっては求める世界観に好ましくない画像の生成がされてしまうことです。

例えば、十字架が生成された場合、宗教のモチーフだからNGなど、倫理的に人間が見れば判断できる事象でも、AIには判断しにくいものを生成することもあります。その部分は実際どうなっていくのでしょうか?

三宅:以前、弊社のタイトルではありませんが、海外で開発ゲームタイトルで、あまり好ましくないオブジェクトが多く生成されてしまい、動画サイトにアップされ、ネガティブな意見が増えた事例がありました。QAの意味では、作った後にもう1度解析することも必要だと思われますね。

GANに関しては、あまりデザイナーの反応は良くなかったですね。3Dのオブジェクトを生成できたら使えると話していますが、現在の3DのGANについては、研究レベルでも論文が数本あるぐらいで、まだ完成は遠いと思われます。業界的には3DGANが完成してからは、かなり実用化が進むのではないでしょうか。

奥村:そうですね、実際どれぐらい機械化できるのか、完成までに何十年も必要な技術もありますしね。

アニメーションとメタAI

奥村:最後は、アニメーションとメタAIについて。アニメーションというのは主にモーションキャプチャーのような技術を想定しており、モーションキャプチャーで撮った画像を、3Dモデルに移行するときに点の位置がズレることがあります。それを人間が手動でチューニングするのではなくて、Solvingをディープラーニングで高精度化することが実施されています。

また、言語に合わせて唇の動きを変えるリップシンキングが、他の地域のローカライジングに役立っている話もあり、実際に実用化されています。

三宅:メタAIでは、ゲーム全体を俯瞰してコントロールをするAIですが、緊張度を取得して、全体をコントロールする傾向があります。

ゲーム全体の流れを作るAIにおいて、メタAIが構築するのではなく、ユーザーの心理状態をいかに把握するか、そこに機械学習を用いて、ある自動生成した時にユーザーの反応の良し悪しなど、統計から学習データを、ゲームデザイナーのノウハウを吸収していくような形の学習を考えています。

取材・文・撮影:細谷亮介

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【CEDEC2019】「『逆転オセロニア』における、機械学習モデルを用いたデッキのアーキタイプ抽出とゲーム運用への活用」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では9月5日に実施された、『逆転オセロニア』における、機械学習モデル (トピックモデル) を用いた、大規模データからのデッキアーキタイプの抽出、関連するKPIの可視化などについて紹介されたセッションの内容を一部抜粋してレポートします。

セッションの冒頭では、分析部 アナリストの安達涼より、登壇者の簡単な自己紹介のあと、DeNAゲーム事業部分析部について、現在では各ゲームタイトルに専属アナリストをアサインする体制があること、行動ログ分析、ユーザー調査など、さまざま分析手法を利用して分析に取り組んでいることが説明されました。

また、新しい分析手法や機械学習などの高度な技術を活用したR&Dにも挑戦しており、本セッションでの発表は、その実践例の一部を抜粋して紹介するとのことです。

『逆転オセロニア』では、これまで積極的にAIや機械学習の活用を実施しており、特に深層学習を用いた「対戦AI」、アソシエーション分析を用いた「デッキのオススメ編成」などをゲーム内に実装するなど、プレイヤー体験を向上させる施策を実施してきました。

最近では、ゲーム外(運営側)でも、AIや機械学習の手法を用いて、作業の効率化やプレイヤー体験の向上のために、さまざまな検証を行っていると、安達は述べました。

DeNA 安達 涼

『逆転オセロニア』とデッキアーキタイプ

『逆転オセロニア』は、オセロのルールに基づいた対戦型スマートフォンゲームアプリで、駒のスキルやコンボを組み合わせて戦う高い戦略性と、劣勢からでもドラマチックに逆転できることが特徴となっています。

ゲームプレイコンテンツとしては、キャラクター(駒)の中からプレイヤーが自由に構築したデッキでの対戦が中心で、PvPがメインで遊ばれています。

なお、PvPコンテンツ内ではプレイヤー同士でポイントを奪い合い、月間の到達クラスを競うリアルタイム対戦「クラスマッチ」が最も遊ばれていることが分かるデータも紹介されました。

『逆転オセロニア』のキャラクター(駒)には「神・魔・竜」の3種類の属性が設定されていますが、これらの属性に属性間の相克や優劣などはありません。

また、クラスマッチには「属性補正」が設定されており、「神・魔・竜」それぞれの属性のキャラクター(駒)のHP/ATKなどに対して、ステータス補正が設定され、属性補正によって毎日環境が変化するため、その日の相性の良いデッキを選ぶことで、飽きを防ぐ仕組みになっているとのことです。

プレイヤーは約3,500種類以上存在する駒の中で、自分が保有している駒から16個を選んでデッキを構築し、そのうち1つをリーダーの駒に指定します。

それぞれの駒には固有のスキルやステータスが存在するため、盤上に駒を置いた際、相手の駒を自分の駒で挟んだ場合に特定条件下で発動する「コンボスキル」を決めて勝利するには、駒同士のシナジーを考えてデッキを組むことが重要なようです。

このデッキ構築に関して、戦い方を考慮したおおまかなデッキ構成に「アーキタイプ」という概念が存在します。

『逆転オセロニア』には、現在20種類前後のアーキタイプが存在しており、アーキタイプは属性を統一することで効果を発揮するものなどもありますが、リーダー駒とアーキタイプは必ずしも紐づいていないとのことです。

デッキアーキタイプの例として、竜属性の駒のみで構成され、高い攻撃力と強力なコンボスキルで早い決着を狙える「貫通速攻」と、3属性の駒で構成され、バランス良く戦える「混合」のアーキタイプが安達より紹介されました。

アーキタイプの相互関係は、対戦環境に大きな影響を及ぼすため、バランスが崩れると「特定のアーキタイプが強すぎてつまらない」など、中長期の継続率に大きな影響を及ぼします。

特に『逆転オセロニア』のようなPvPが主体のゲームでは、プレイヤー数は非常に大切なため、バランスの把握やメンテナンスが重要になります。

運用上の問題点と、既存手法の限界

これまでの運用上の問題点として、「特定のアーキタイプが強すぎる」「アーキタイプの優劣が固定化されている」ことが挙げられ、対戦環境を平均化かつダイナミックにして、プレイヤー体験を向上させることが必要となってきたとのこと。

強い駒を単純に禁止や制限する運用もありますが、『逆転オセロニア』では、駒の追加と属性の追加がプランニングの主なアクションになるようです。

運用チームでは対戦環境の改善のためにプランニングを実施する際、これまではプランナーがクラスマッチを徹底的にプレイすること、プレイヤーの声をもとに人力で対戦環境を把握し、その定性情報を用いてプランニングをしていたと語られました。

この方法での問題点は3つあり、まず1つは、さまざまなデッキを使って、何ヶ月も膨大なバトル数を消費するため「プレイング習熟まで時間が必要となる」こと。

2つ目はプレイヤーの声や人間の主観的な見解は、ネガティブな要素に引っ張られる傾向など、心理的なバイアスにも影響を受ける恐れがあることです。

3つ目は、増え続けるアーキタイプ数への対応が難しいこと。アーキタイプが少ない時期は、徹底的にプレイすることにより、異なるアーキタイプ間の対戦を網羅的に十分なサンプル数を取得できますが、現状20種類ほどのアーキタイプがある中で、人的リソースの観点からも、人力で対応するには現実的ではなくなっているようです。

これら述べてきた理由で、定量的に対戦環境を把握することが、必要不可欠と言えるでしょう。

そこで、ログデータを参照し、リーダー駒の編成率や勝率を分析してみると、デッキアーキタイプという抽象度でデータを解釈するのが難しく、リーダー駒レベルの情報でプランニングをすると、意図せずに対戦環境のバランスを崩す可能性があることが説明されました。

例えば、勝率35%のリーダーaのデッキ、勝率50%のリーダーbのデッキがあった場合、対戦環境を整えるためにリーダーaのデッキに駒を追加すると勝率が50%に上がりますが、なぜかリーダーbの勝率が65%に上がってしまいました。

このプランニングの失敗の理由は、どちらのデッキもアーキタイプAに属しており、追加した駒はどちらのデッキにも組み込まれてしまったため、バランスが崩れてしまったことにあります

アーキタイプレベルでプランニングをすれば、デッキのコンセプト自体が異なるため、勝率を上げることを狙ったアーキタイプには効果的で、他のアーキタイプでは使用されないような駒をピンポイントに考えられ、このような事故を防ぐことができます。

アーキタイプの抽出方法について、ルールベース(定義に基づいた分類)で対応できないのは、3,500種類以上の駒が存在し、同じリーダーでも異なるアーキタイプに所属することもあるため、ルールを構築することが不可能になっているようです。

また、プランナーが抽出したいアーキタイプに含まれる駒を事前に指定しなければならず、プレイヤーが編み出した、プランナーが想定しない新しいアーキタイプは抽出できなかったとのこと。これらの問題点をふまえてチーム全体で「機械学習によるデッキのアーキタイプ抽出してみよう」という動きになったと、安達は述べています。

機械学習モデルの概要

機械学習のデータについて、プレイヤーのリテラシーが高く、デッキのアーキタイプが成立している、クラスマッチのダイヤモンドクラスデッキデータを使用しています。

このデータを用いて、数十万のデッキでアーキタイプを抽出する週次データと、月次データで属性補正ごと、2種類の粒度で分析を行っているとのことです。

概要として、トピックモデルと呼ばれる手法、その中でも良く使われるLDA(Latent Dirichlet Allocation)のアルゴリズムを用いて、アーキタイプ抽出を行っています。

このモデルに大量のデッキデータ、パラメータとして抽出するアーキタイプ数を入力すると、2つの結果を出力し、1つは自動的に抽出されたアーキタイプそれぞれの組成になります。

各アーキタイプはデッキに存在した、すべての駒上の確率分布として表現されます、つまりそれぞれのアーキタイプのデッキで各駒がどのくらい採用されやすいのか、ということが表現されているとのこと。

アーキタイプAは駒1と駒99の確率が高く、これらの駒が良く採用されているアーキタイプだと解釈することができます。

このキャラクター組成の情報をもとに、それぞれがどんなアーキタイプなのか、という解釈をプランナーが実行します。

今回のデータでは『逆転オセロニア』をある程度遊んでいるプレイヤーなら、この組成を見れば何のアーキタイプなのか、紐付けられるレベルの抽出ができていると考えられています。

これは使用データをダイヤモンドクラスに絞っていることで、成立しているデッキタイプが多く、ノイズが少ないことが考えられます。

2つ目は、1~100,000番目までのデッキがそれぞれどのアーキタイプに属するのか、という情報が出力されます。

それぞれのデッキはアーキタイプ上の確率分布として表現され、デッキ1だとアーキタイプBに属する可能性が高く、デッキ100,000だと、アーキタイプGに属する可能性が高いと言えます。

LDAというアルゴリズムは、大量のドキュメントをその中の単語の分布をもとに、トピック別に分類する用途で開発されたことも明かされました。

本モデルでは、各トピックはドキュメントに出てくるすべての単語上の確率分布、各ドキュメントはトピック上の確率分布として表現されます。

ドキュメント内の各単語に対し、そのドキュメントに紐付いたトピックの確率分布を参照し、その単語が何のトピックから生成されているのかを決めます。

次に、選ばれたトピックに対応する確率分布を参照し、その単語が生成される確率を求めます。この作業をドキュメント内のすべての単語について実行し、ドキュメントが生成されます。

続いて、トピックに紐付いた確率分布と、ドキュメントに紐付いた確率分布の事前分布に、Dirichlet分布を仮定し、サンプリング手法によってこれらの事後分布を求めます。

次にトピックモデルを用いたデッキアーキタイプ抽出に活用するために、ドキュメント内の単語を「デッキ内の駒」、ドキュメントを「デッキ」、トピックを「アーキタイプ」に置き換えます。

先述のモデル推定を実行することで、ここではアーキタイプが駒上において、各ドキュメントがトピック上の確率分布でしたが、ここでは各デッキがアーキタイプ上の確率分布として求められます。

トピックモデルの利点は、実装が簡単で、新しいアーキタイプを抽出可能、時系列でのアーキタイプの紐付けが容易、パフォーマンスも良いことが挙げられました。

デッキアーキタイプの抽出フローは、まずBigQueryからRaw対戦ログ(デッキ情報、勝敗など)を取り出し、その中からタスクキルなどの使用しないデータを取り除いたり、デッキ情報をモデルが使える形に変換したりと前処理をします。

次にルールベースで抽出できるアーキタイプを抽出します。LDAだけでもきちんと抽出できますが、ルールベースで抽出されるアーキタイプ、機械学習で抽出するアーキタイプの両方にとってノイズが減ることが判明しているとのことです。

実際の運用では、プランナーに依頼し、Googleスプレッドシートにルールベースで抽出するアーキタイプ名と駒に関するルールを書いてもらい、アルゴリズムがそのシートを読み込み、指定されたものを抽出しています。

その後、デッキデータに関してLDAアルゴリズムを適用し、指定した数だけアーキタイプを抽出します。最後にそれぞれアーキタイプに関して、過去に抽出されたアーキタイプと比較して紐付けをします。

アーキタイプは駒上の確率分布なので、分布間の距離を用いて紐付けを行います。これを抽出したすべてのアーキタイプについて繰り返し実行し、どのアーキタイプとも紐付かない場合は、新しいアーキタイプとして検出します。

可視化ツールの紹介

対戦環境の改善により、プレイヤー体験向上を実現するという目標を考えたとき、2つのポイントが重要だと、安達は述べています。

1つ目は「現状把握と運営のアクションの効果確認が容易にできる」こと。ここでは使用率や勝率などアーキタイプに関連する統計量がひと目で分かり、かつ時系列で比較できる必要があります。既存の内製BIツールでは自由度が低く、実現できなかったとのこと。

2つ目は「運営チームの誰もが対戦環境を意識できる状況を作り出す」ことです。今回の分析手法により対戦環境が誰にでもわかるようになったため、ゲームプランナーだけでなく、運営チームの他のメンバーにもプレイヤー体験向上のためにできることのアイデアを出して欲しいとの思いがあったことも語られました。

これを実現するためには、ローカルPCで結果を表示してスライドに貼って共有する方法では不十分と考えたようです。

この要件を実現するために、「Dash」と呼ばれるPython製のWebアプリケーションのフレームワークを採用しました。これを利用することでベーシックなレポート、インタラクティブなダッシュボードなどを作成することができます。

さらにDashはオープンソースであり、無料で使用できる上、開発もアクティブに実施されています。JavaScriptの知識がなくてもPythonのみですぐにダッシュボードを作ることが可能だとのこと。

高い自由度も魅力で、レイアウトも簡単に変更でき、公式ページには40を超えるダッシュボード例とソースコードが公開されています。

また、誰でも簡単に対戦環境を確認できる点に関しては、ダッシュボードをGCP(Google Cloud Platform)インスタンス上でデプロイすることで解決しています。運営チームのメンバーは、Webブラウザからダッシュボードにアクセスすることで、いつでも対戦環境を確認することが可能になったとのことです。

また、週次と月次の2種類のデータを使用してアーキタイプ抽出を行っていますが、可視化ツールも用途に応じてそれぞれに対応するものを作っています。

週次の可視化ツールは、月~日まで一週間のデータを用いてアーキタイプを抽出し、月曜日にツールを更新しています。ここでは、新しい駒の追加で対戦環境が崩れていないかなど、最新の対戦環境の把握のために使用しています。

このツールで「このアーキタイプにはどんなデッキが含まれるのか」「どの駒がどのくらいの確率で採用されているのか」「使用しているプレイヤー数や勝率」「自分が先行/後攻の場合の変化」「決着までの平均ターン数」などを簡単に確認できます。

対戦分布では、対戦表で抽出された各アーキタイプの勝率や、アーキタイプ間の勝率を確認可能で、プレイヤー分布ではそれぞれのアーキタイプを使用しているプレイヤー数を表示しています。

月次データを使ったツールでは、属性補正ごとにアーキタイプを抽出した結果を表示しています。月次のクラスマッチの補正ごとの抽出結果を表示、より詳細な対戦環境情報の把握やプランニングのPDCAサイクルに活用しているとのことです。

ゲーム運用への活用

ここからはDevelop統括部 企画部 プランナーの岩城にバトンタッチし、実際の運用現場でこの分析ツールがどのように活用されているのか、いくつかの具体例と共に説明されました。

DeNA 岩城 惇

『逆転オセロニア』の運用課題について、分析ツール導入前は「アーキタイプの優劣が固定化」「特定のアーキタイプが強すぎる」という2点の問題点を挙げました。

これまではプレイングを習熟したプランナーの意見および、プレイヤーからの定性意見を中心に、一部ですがルールベースの定量分析を加えつつ、改善とプランニングを実施してきたとのこと。

ですが、「客観的に判断をする難易度が高い」「プレイング習熟まで時間が必要」「増え続けるアーキタイプ数の対応が難しい」「新しいアーキタイプを検知しづらい」といった課題で、正確で網羅的な現状把握が難しく、改善結果が正確に評価しづらくなっていました。

分析ツールの導入後は、運用チームなら誰でもアクセスできるツールを採用したことで、運用上の問題点は変わりませんが、定性意見とツールによる定量評価を併用することにより、チームに非常に良いインパクトをもたらしたようです。

客観性に関しては「実際に数値として環境の情報が確認できるので、客観的な判断がしやすくなり、さらにトッププレイヤー傾向を分析しやすくなったことで、プレイング習熟の時間が短縮され、プランナーの属人化が大きく改善しました」と岩城は語っています。

また、アーキタイプが増えても相性があるため、相関関係をひと目で確認でき、新しいアーキタイプの検知についても、ツールが自動で検知するためスムーズに対応できるようになったようです。

その結果、正確に網羅的な現状把握を継続的に行い、改善アクションがスムーズになりました。その中でも個人的にインパクトがあったのは、ツールのデータをWebブラウザ上でいつでも手軽に確認できることによって、誰でも客観的に確認できる点だと、岩城は述べました。

プランニングの前段階の問題が改善されたことで、課題点に確信が持てなくて日々悩んでいたプランナーにとって、改善のプランニングに集中でき、今までに比べて業務効率が何倍にも向上した印象がありました。

続いては、実際に活用された改善プランニング具体例が紹介されました。

改善アクション1「対戦環境のバランス平均化」

運用チームでは対戦環境のひとつの理想状態として、アーキタイプ同士の相性が拮抗していて、プレイヤーの選択肢が多様に存在する状態を考えているようです。

その多様性が失われることがしばしばあり、一部のアーキタイプが駒追加が続いたり、属性補正に相性が良かったり、いくつかの要因によって相性の弱点がなくなり、一強状態になる状態が実際に発生しました。

一強状態が続くと、他のアーキタイプが淘汰されてしまい、代わり映えのしない対戦が続き、中長期の継続率に大きな影響を及ぼします。

分析ツールで抽出した勝率のグラフでは突出しているようには見えませんが、対戦表を見ると、他のアーキタイプにほとんど勝ち越していることから、一強になる可能性をはらんでいると判断できます。

このように実際にグラフとして可視化されることで、明確に課題が検出できると同時に、一強状態を改善し、多様性を維持するために何らかの対策が必要だと感じたとのことです。

そこで実施したアクションが「適切な抑止力の選定と対戦環境への配慮」になります。

簡単に既存のアーキタイプの弱体化を行えない制約を考慮しつつ、一強になりそうなアーキタイプを平均化しようというアクションです。平均化の実現のために、対戦表の相性比較から「すくみ」が生まれるように、抑止力となるアーキタイプを複数選出しました。

そして一強の抑止力となるアーキタイプを強化することで、相対的に一強状態を解消することを狙いました。

ここで大事なのが環境への配慮で、単純に抑止力を選定するとどちらかのバランスが崩れやすいため、必ず複数を強化することでアーキタイプの勝率バランスを平均化することを心がけた、とのことです。

そのため属性補正に関しても、複数のアーキタイプの勝率が拮抗するものを採用したり、使用率の低いアーキタイプに駒を追加して、強化と普及を促しました。

このアクションの結果、突出しかけていたアーキタイプのバランスを、対戦環境に配慮しながら抑えることができ、適切な属性補正を特定し、スムーズに調整ができた上、抑止力となるアーキタイプの選定がピンポイントに実施できたとのことです。

改善アクション2「勝てるアーキタイプの選択肢を増やす」

このアクションでは、アーキタイプ間の優劣が固定化しているという課題に対応しています。

一定のアーキタイプの勝率が相対的に他のアーキタイプより高いことから、プレイヤーの使用が偏り、他のアーキタイプが徐々に淘汰され、結果的にプレイヤーの選択肢が少なくなってしまう状況になります。

アーキタイプ間の優劣が固定化してしまうと、プレイヤーの選択肢が少なくなり、それにより「飽き」につながり、中長期的の継続率に影響が出てしまいます。

ある月の同じ属性補正で、3ヶ月後の勝率を比較すると、いくつかのアーキタイプの順位は多少上下しましたが、上位の序列に変化がないことがわかりました。

この課題に対する改善アクションは「既存のアーキタイプを強化することで、固定化した環境を変化させることを目指してプランニングしています」と岩城は話しました。

つまり固定化したグラフに割って入るように、アーキタイプを強化しました。参照したのは勝率の比較とアーキタイプの使用率の比較データになります。

まずは勝率の比較によって、勝率は悪くなく、かつ使用率の低いといった条件を満たすアーキタイプを探します。

その理由は、キーとなる駒が足りない、プレイヤーにあまり普及していないといったアーキタイプそのものの強さに比較的ネガティブな要素が少なく、強化および普及が容易だと考えられたためです。

具体的な改善アクションは、選出したアーキタイプに対戦環境をもとに、その勝率が高くなる属性補正を追加、デッキの核となる駒の追加、アーキタイプに必要な駒を普及させるために定期的に開催されるガチャを実装しました。

結果として、アーキタイプの選択肢を増やすことに成功し、キャラクターの設計方針がスムーズにでき、アーキタイプそのものを追加する場合に比べて、少ないコストで環境を変化させることができました。

改善アクション3「新しいアーキタイプの検知と使用率向上」

アーキタイプは運用から提供するもの以外でも、プレイヤー間で日々生み出されているそうです。想定外のアーキタイプは『逆転オセロニア』でも検知されており、毎月新たなアーキタイプを見つけることができます。

この事象は、アーキタイプの優劣が固定化していることに対して、新しい選択肢を広げるという意味で、良い影響を与えることが可能です。

新しいアーキタイプについては、ツール上で「NEW」と表示され、それらの勝率や使用率を参照可能になっているとのことです

検知したアーキタイプについて運用側では、対戦環境に悪影響はないのか、どうやったら強化できるかを調べる必要があると、岩城は話しました。

ここでツールを用いて対戦成績と使用率を比較して、検出したアーキタイプを分析します。まず新しいアーキタイプと既存のアーキタイプの使用率を差分比較します。一見新しいアーキタイプに見えても、広義では他のアーキタイプに含まれる可能性もあるからです。

この時点で新しいアーキタイプであると判断された場合、次に対戦成績を比較し、勝率が高くなる補正は何か、逆に勝率が突出してしまう補正はないか、について検討しています。

そこで問題ない場合、この属性補正について新しいパターンとして蓄積し、新しいアーキタイプの使用率の向上を図りたい場合、適切に使用できる体制を整えました。

このアクションの結果、新しいアーキタイプの使用率が向上するシーンを生み出すことができました。

検知に関しては、ツールがない場合は、非常に難易度が高く、明確に新しいアーキタイプを検知できたことは大きな価値になっています。

また、新しい場合でも対戦表や相性を確認できるので、対戦環境の傾向をつかむことで、もし将来的に新しいアーキタイプを強化したい、再検知したときに強化したいときでも速やかに対応できるナレッジを蓄積できたことも、大きなメリットだと岩城は述べています。

まとめと展望

最後に安達から、今回のセッションの簡単なまとめと、今後取り組みたいこととして、現在『逆転オセロニア』に実装されている駒の属性レベルでのレコメンデーションに、アーキタイプレベルでのデッキレコメンデーションを追加すること、対戦環境のダイナミックさを担保する「属性補正の最適化」「プランニングプロセスの自動化」や、対戦環境変化の予測などにも注力していきたいと、本セッションを締め括りました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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【CEDEC2019】「組織的にGame x AIを推進していくための方法論~『逆転オセロニア』のAIの一歩先へ~」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月4日に行われた「組織的にGame x AIを推進していくための方法論~『逆転オセロニア』 のAIの一歩先へ~」について、ディー・エヌ・エー AI本部 データサイエンティストの田中 一樹とMLエンジニアである岡田 健によるAI開発のあるべき姿や、具体的な設計方法などが語られたセッションの内容を一部抜粋してレポートします。

DeNAにおけるAI開発の歴史

まず序盤では田中 一樹より、DeNAにおけるAIの開発の歴史から、上手くAIを使いこなすための手法が解説されました。

DeNA 田中一樹

DeNAでは、2016年頃から本格的にゲームAI開発に本腰を入れており、重要な分岐点となりました。特に古典的なゲームAIだけでなく、機械学習、ディープラーニングといった最新技術まで視野を広げて新しい領域を切り開いていきたいと田中は語っています。

2016年は「ゲームアプリ運用の課題解決にAIを活用できないか?」と考えた時期でもあり、未知の事象が多く、AIでできることの可能性を模索していたフェーズです。

その後に得られたAIの可能性に関する知見や経験をもとに、2017年に『逆転オセロニア』において強化学習を使ったバランス調整をするため、強いAIをつくることから始めて、最終的に複数のAI機能をリリースすることができました。

そして現在のフェーズは、見えてきた課題の解決を目指して今までの知見や技術をスケールさせ、さらに応用の範囲を拡大するために、組織的に注力しています。

AI利用の模索

続いて、目指している世界に確度高く近づくために、どのようなことを考えて実行しているのか、詳細が説明されました。

2016~2017年に取り組んだのが「AIにおけるゲームアプリ運用の課題解決へのアプローチ」です。

この取り組みの背景にあった課題は「ステージ設計の難易度調整が大きい」ことが挙げられました。具体的には、パラメータを設計し入力した後、意図通りの難易度になっているかをテストプレイする、という作業を繰り返すことで、理想的なステージの難易度調整をしていました。

このフローをAIで実装するために、ユースケースとして「強いAI」を作り、自動でテストプレイをして、その結果をもとにステージの難易度調整を適切、かつ効率的に実行することを目指していました。ちなみにここでの「強いAI」とは、「人間らしくて強いAI」とも呼べると田中は話しています。

手段としては、古典的なMCTS、強化学習、ニューラルネット、遺伝的アルゴリズムなども検証しており、社内ではほとんど研究されていない領域だったとのことです。

振り返りと学んだことに関しては、AIを学習してつくる部分については一定成功し、特定の条件下では強いAIを作成でき、さらにAIのプレイ結果を可視化することで、AIの可能性を垣間見ることができたのは、大きな収穫だったようです。

課題については、最終的に導入するまでに至らず、シミュレータ制作にも苦戦しましたが、さまざまな学びと自信を得たことは事実なようです。良かった点は、2016年の発想からAIが持つ高い可能性を見つけたことで、それはすなわち今後本格的にゲームでAIに取り組むきっかけとなる「テーマを発掘」したことになります。

『逆転オセロニア』へのゲームAI導入

スマートフォン向けゲームアプリ『逆転オセロニア』について、2つのAI機能「オセロニア道場」「オススメ編成」を開発しました。

「オセロニア道場」開発の背景は、手強いAIと戦える気軽な場所がなく、アーキタイプの特性を学ぶ場所もなかったためで、ディープラーニングなどを駆使しています。

所持駒からデッキをレコメンドしてくれる「オススメ編成」については、初心者プレイヤーがデッキの組み方で迷うことが課題であったため開発したもので、技術はアソシエーション分析、レコメンド技術を主に応用していますが、ゲーム特有のドメイン知識も活用しています。

この機能を開発するにあたり、一番の成果は実際にリリースして運用できたことであり、意味のあるAIを作れたこと。事業価値的にもAIのポテンシャルを実証できたことは大きな収穫だったとのことです。

しかし、苦労する点も多く、企画からユースケースへの落とし込み、技術への結び付けなどは試行錯誤を繰り返し、かなりの時間が必要となりました。事業貢献の観点では、AIを使うとプロダクトやプレイヤーにどのような価値を還元できるのか、議論を重ねたとのことです。

振り返りとして、AIはゲームに新たな価値をもたらすことは、この段階から確信に変わり、その確信を効率的に活かすには、組織的にAIの活用をスケールさせることを意識するようになりました。

また、PoCではなく「使えるAI」を企画から開発まで作りきり、リリースできたこと、プレイヤーから定性意見やKPIなどへのフィードバックを受けることができたことは、現在のDeNAのゲームにおけるAI開発に大きな影響を与えています。

どうすればもっと上手くAIを使いこなせるのか?

DeNAのゲーム開発におけるAI活用をどうすれば加速させられるかを考えたときに、今まで得た経験を無駄にせずスケールさせていくことが最も重要だと、田中は語っています。

『逆転オセロニア』だけでなく、さまざまなゲームタイトルでAIをうまく活用することができれば、DeNAはより強い組織に成長することができると考えているようです。

ここでのキーワードは、現場レベルで課題を探索する取り組み「Bottom Up」とAIを計画的にスケールさせる取り組み「Top Down」の2つになります。

「Bottom Up」は、まだ誰も気付いていない、埋もれているユースケースを探索する意味を持ち、「Top Down」はできそうなことがある程度分かっていて、価値も大きそうなユースケースを計画的に推進していく意味を持ちます。

「Bottom Up(AIでできることの探索)」

「Bottom Up」の目的は、ゲーム領域で目の前にある事業課題を、データおよびAIの力で解決することであり、サービス・データに触れている各メンバーが双方向で協力して、目的達成のために動くことが重要です。

特定のゲームタイトルだけでなく、マーケティングやCS(カスタマーサポート)など広範囲の事業と連携すること、新技術やユースケースの発掘の中で潰れてしまう取り組みも一定許容するなど、重要なことも多数明かされました。

また、明確な戦略もなく、課題や案件の探索を行うと、それぞれのメンバーの責任分界点が非常に不明瞭になり、案件を進めづらくなるため、しっかりとあるべき姿や適切な役割分担を定義して、関係者の認識を揃えることで、効率化を図ります。

成功や失敗にこだわらず、しっかり振り返って次に繋げることができる体制をつくるために、AIや機械学習、データサイエンスの案件を、円滑にすすめるための推進フローも社内で策定しています。

これにより、取り組む価値が不明確であったり、明らかにAIでは不可能な無理難題な案件が進んでしまうことを、回避できるようになっています。このような地道な地盤作りを行うことで、簡単ではないAI開発を持続可能な状態にすることが可能になりました。

この取り組みを進める中で得られた価値として、今まで見えてこなかった課題を幅広く発見することができ、組織としてAIの活用の幅を広げることができたことが挙げられます。

また、さまざまな関係者を巻き込んで議論を重ねたため、組織レベルでリテラシーが向上し、タイトル側から「こういうことを実現したい」と相談がきた場合にも、必要十分なAIリテラシーがあるため議論もしやすくスムーズに開発が進みます。

共通の推進フローを整備したため、導入プロセスが確立し、スムーズな導入の実現が可能になってきたとのことです。

「Top Down(計画的にAIを推進)」

ここからはMLエンジニア岡田 健にバトンタッチし、「Top Down(計画的にAIを推進)」についての発表がなされました。

DeNA 岡田健

「Top Down(計画的にAIを推進)」とは、前述された「Bottom Up(AIでできることの探索)」とは対照的に、事業インパクトが出せそうな領域で計画的にAI活用をスケールさせる動きのことです。

組織的な動きをするために、DeNAではAI推進チームを発足しました。ゲームの分野でAIの応用を加速させていくチームになります。

計画的にスケールさせるためには、まず過去の歴史を学ぶことが重要です。推進チームでは社内外問わず、CEDECやGDCなどの過去の事例を蓄積しています。ユースケースは課題に対して何らかの技術をもって結果に導くものであり、他社が抱える課題やその解法などを調べた上で、組織に還元する動きを大事にしています。

課題を抱える各プロジェクトの開発現場にヒアリングし、過去の事例をどうやって適用するか、工夫するか、などの提案をして、その後適切な専門家とつなぎます。

また、DeNAにはAIシステム部というAI専門家集団を擁しており、Kagglerやコンピュータビジョンの専門家なども所属しています。自動化を推進している部署ではさまざまな専門家と、ゲームの開発をつなぐ架け橋となることを意識しています。

過去の『逆転オセロニア』チームには、タイトル側と専門家しか存在しませんでしたが、現在はAI推進チームが橋渡しの役割を担い、Kagglerが問題を解決しやすいようにセッティングしたり、シミュレータを制作してサポートします。

このチームでは、機械学習の勘所、ゲームのドメイン知識やゲームの開発経験だけでなく、エンジニアリング力も必要となります。

具体的には、最も重要なのはゲーム事業を把握して、力を蓄積して何ができるかを判断することです。

Simulator

続いては、「Top Down」の動きの中でも、技術的に中心となる「Simulator(シミュレータ)」について語られました。

ゲームに機械学習を応用させる中でSimulatorはひとつの大きな役割を担っています。AIを絡めた取り組みで必要なのは「課題とユースケースの設定」で、Simulatorはそれを解決する手段であり、技術となります。

Simulatorについて「初期段階からちゃんとつくる」「ビューとロジックを分離した作りにする」ことは当たり前で、ユースケースありきで考えると「ゲーム本体とAIの境界」「要件定義が大事」と考えられます。

そこで「Simulator=境界」とは何なのか、『逆転オセロニア』で運用中のオセロニア道場では、インバトルで強いAIを教師あり学習で作ることが目的でした。

具体的なユースケースは、強いAIと自由に対戦可能な環境を作るために、プレイヤーの棋譜ログを使用して教師あり学習で強いAIを作ることです。

『逆転オセロニア』では、キャラクターやスキルが定期的に追加されます。これに対して常にAIの最新化をしたいとき、その設定で境界には何が必要になるでしょうか?

まず「内部構造」について。オセロニア道場はGCPを利用して作られており、ゲームの端末から棋譜を推論APIへ、そこから特徴量抽出APIで特徴量に変換し、AIモデルにより推論して出た打ち手の結果をクライアントに返送します。

そのフローの中で「推論API」「特徴量抽出API」はゲームとAIの境界となります。『逆転オセロニア』では、特徴量抽出は今の盤面を再現して、そこから情報を抜き出します。

情報には「どのマスに黒い駒が置かれているか」「手札にどんなキャラクターがいるのか」を数字の配列で表し、それをもとにディープラーニングの行列計算をします。

棋譜には盤面やデッキの情報などが記載されており、特に重要なのが「各ターンに何が起こったか」という事象です。1ターン目にどの駒を置いたのか、どれくらいのダメージが出たのか、などバトル開始時から順を追って、現在の盤面の状態を復元します。

この仕組みはPythonで開発していますが、もし仮に最初から作り直すとした場合、棋譜ログをあるべき設定にすること、バトルロジックの二重管理をやめることを実現したいと岡田は話しました。

このような課題をハンドリングするためのキーワードは「リプレイ可能であること」。課題解決のため、棋譜はバイナリ形式で、特徴量抽出はゲームのバトルロジックをリプレイ可能にしておき、それを使って棋譜をビューなしでバトルリプレイして特徴量を抽出します。

バトルロジックは入力を出力に変換する機械と呼べるもので、直接のインタラクトはしません。

『逆転オセロニア』を例にすると、まずプレイヤーからの「どこに何の駒を置いたのか」という入力コマンド情報をバトルロジックが現在の盤面に置き、ダメージ計算をして内部状態を変化させます。

その結果、どういった描画をするのかを「描画ロジック」に指示します。シミュレータ側では入力コマンドは棋譜ログとして保存、学習段階では棋譜ログをバトルロジックに流し込み、同じコマンドを入力して特徴量を抽出します。

バトルロジックをリプレイ可能な仕組みに作っておけば、同じ入力なら内部状態や後段の出力も同じになるはずで、これが「リプレイ可能」な機能が必要で、重要な理由になります。

作業フローに関して重要なのはAIの学習だけではないということ。AIモデルに対してもAIの専門家が品質保証をしなければなりません。

まずAIの学習については、バトルロジックをwrap(ラップ)した「特徴量抽出リプレイヤー」を使用します。ここでは複数のマシンを並べての高速化が可能です。ここでのアウトプットは「学習したAIモデル」になります。

勝率評価に関しては、AIの学習でアウトプットされたAIモデルを、NPCや既存の他のモデルと対戦させるという「ふるい」にかけ、この時点で弱いモデルは捨てられます。ここでの境界は「対戦サーバー」になります。

勝率評価で得た対戦ログは打ち手の評価に使用されます。打ち手の評価とは、AIが打った手を人間が実際に目で見て確認し評価することです。その段階でなぜ勝率が上がらないのか、どんな状況のときにどんなパターンで負けるのか、などを分析します。

このイテレーションをできるだけ短く実行するために、ゲームデバッグ機能のひとつとしてバトルのリプレイ&観戦機能が必要です。ここまで勝ち残ったモデルは、試し打ち(人間 vs AI)を経て、AIコンテンツにデプロイします。

以上のように、ひとつのユースケースにおいても、ゲームとAIの境界は多数存在します。それらをすべて機能させる必要があり、そのために(シミュレータで)重要なのがリプレイ可能であることです。

最後に岡田は「AI-native」なゲーム開発は面白いが、ゲーム開発者の設計や実装による協力が不可欠であり、密に連携して開発を続けていきたいとの言葉で、セッションを締めました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNAマーケティング部特集vol.4】SNS、リアルイベント、You Tubeーー各担当者が語る、コミュニティマーケティングの現在地とこれから

DeNAが運営中のモバイルゲームの各タイトルでは、ゲーム内イベント・キャンペーンのほかに、公式SNSや公式YouTubeチャンネル、リアルイベントなどで、最新情報の提供だけでなく、プレイヤーと交流できる多種多様なコンテンツ施策を実施しています。

そして、それらのコンテンツ企画・運用を担うのが、ゲーム事業部のコミュニティマーケティンググループです。今回「DeNAマーケティング部特集vol.4」では、同グループに所属するSNS運用担当の「なおこす」、リアルイベント企画・運営担当の「まなてぃ」、公式YouTube担当の「ちゃんもも」に、今まで手がけてきた取り組みやそれぞれの想い、今後の展開などを聞くことができました。

なお、本インタビューの聞き手は、3人の上司でもあり良き相談相手もある、マネージャー鶴川将志(鶴川が登場する記事は以下をご覧ください)が担当しています。

【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

プレイヤーの熱量を、全力で施策に組み込む


なおこす | SNS運用担当
2018年新卒入社。入社直後にIPタイトルのSNS運用や生放送の企画を経験。現在オリジナルタイトルのコミュニティマネージャーとして、プレイヤーに向けたオンライン・オフライン施策を担当。

――それでは簡単に自己紹介をお願いします。

なおこす:現在オリジナルタイトルのコミュニティマネージャーとして、公式SNSなどを担当しています。DeNAには新卒で入社し、IPタイトルの公式SNS運用を経て、現在はオリジナルタイトルのプレイヤーに向けて、オンライン・オフライン問わず、さまざまな施策に関わっています。

――入社後は具体的にどのような取り組みをしてきたか、改めて教えてください。

なおこす:まずIPタイトルの担当になった時には、原作であるアニメシリーズを鑑賞したり、楽曲を聴いたりすることで、世界観を深く知ることから始めました。そして実際のゲームプレイを通じて、どんなプレイヤーの方がゲームを楽しんでいるかを理解することから実践しました。

その後は、既存のプレイヤーに向けて、より楽しめるようなSNSのキャンペーンを企画していきました。プレイヤーの方々はIPのファンが多いので、「ファンだったらどう感じる?」を徹底的に考えていました。そうして生まれた施策が、プレイヤーの方々に楽しんでもらえて、版元様からも好評だったときは、とても嬉しかったですね。

まなてぃ:施策をうまく成功させたの、同期入社の私より全然早かったよね!

なおこす:そうかも! 2018年5月にマーケティング部に配属されて、すぐに責任ある仕事を任せてもらったんです。そこで「私がやらなきゃ!」って気持ちがすぐに強くなって、成長がスピードアップした気がしますね。

――「できるできない」ではなく、「やるかやらないか」というのがDeNAのカルチャーですよね。その後関わることになったオリジナルタイトルについて教えてください。

なおこす:オリジナルタイトルでは、主にSNSやキャンペーン施策の企画/推進に関わっています。入社してからTwitterのキャンペーンをたくさん実施してきました。

施策に関しては以前のIPタイトルで培ったノウハウを流用するわけではなく、ゲームシステムやプレイヤーの属性の違いを理解し、きちんとプレイヤーの皆さんに楽しんでもらえるように、ユニークなアイデアをプロデューサーやプランナーと一緒に考えています。

その際、すでにゲームを楽しんでいただいているプレイヤーだけを盛り上げるのでなく、まだゲームタイトルを知らない方でも楽しんでいただけるように意識しています。

――特に印象に残っている施策はありますか?

なおこすTwitterのハッシュタグを用意して一緒に楽しみましょう、というキャンペーンを実施した際は、大きな反響がありました。特にTwitterはたくさんのプレイヤーのおかげでいつも盛り上がっているのですが、この施策でも皆さんが参加してくださって嬉しかったです!

ちゃんもも:Twitterトレンド入りしてたよね!

なおこす:そうなんです! 担当しているオリジナルタイトルのプレイヤーの皆さんは熱量が高く、ファンアートもたくさんありますし、キャラクターの紹介文を書いてくださったりする方もとても多いんです。ですので、プレイヤーの皆さんと一体となって盛り上がりを創出できたらと思って企画しました。

結果として、ゲームタイトルを知らなかった方にプレイしていただけるきっかけにも繋がりました。ゲームタイトルの関連ワードでも10位以内に入って、とても嬉しかったですね。いつも盛り上げてくださっているプレイヤーの皆さんのおかげなので、本当に感謝しかないです。

――今まで失敗もあったと思うんですが、そこから学んだことを教えてください。

なおこす:担当しているゲームタイトルでは、オンラインだけでなく、オフラインの施策にも挑戦しています。ただ当初はどのプレイヤー層に向けてどんな体験を提供するのかなど、テーマや軸を定めることができず、開催に至らなかったこともありました。

その時に学んだことは、プレイヤーの期待を超え続ける「重要さ」と「難しさ」です。特に一度実施したことがある施策の第二弾以降は、前回の期待を更に超えなければならないので、難易度がかなり高くなります。

ここはプロデューサーをはじめとした運営メンバーと一緒にテーマを考え、全員が納得した施策だけをプレイヤーに届けるようにしています。

――これまでの失敗があるからこそ今がある、という事ですよね。

なおこす:そう言えると思います。とにかくプレイヤーの皆さんの熱量は本当に高いので、期待を超える体験を提供し続けることに関して、一切妥協はしません。

――施策を実施する中で、一番大事にしていることは何ですか?

なおこす:プレイヤーの皆さんがそれぞれ自由に楽しめることです。ゲームが好きな方々の中でも、キャラクター、バトル、ストーリーと好みが違いますし、キャラクターを揃えて楽しんだり、自分でイラストを描いたり、実際にコラボカフェに足を運ぶ人など、楽しみ方も千差万別です。

そのように、多種多様なプレイヤーそれぞれが楽しめるような話題を提供することを、特に大事にしています。

――施策の振り返りはどうやっていますか?

なおこす:オンライン周りでは、キャンペーンや施策を実施する前にしっかりと目的とゴールを決め、その目的を達成するため必要な要件整理を最初にしています。

その際には私一人だけではなく、各運営メンバーとも連携して設計するようにしています。また、施策実施後には、目的を達成できているかどうかの振り返りを定量/定性の両軸で必ず行っています。

――その振り返りが、さっき出た「プレイヤーの期待を超え続ける」に繋がるんだね! ちなみに業務で連携する際に、どのようなメンバーと連携していますか?

なおこす:他タイトルのSNS担当者との連携が多いです。リアルイベントやYouTube番組を実施するときなど、SNS運用における懸念点などについて細かく相談しています。最近話題になっているキャンペーンや施策の話もよくしますね。

同じチーム内ではプロデューサーやマーケティングメンバーとの連携が多いと思います。希望を伝え合うだけでなく、一緒にマーケティングプランの全体像を考え、その中でオンライン・オフラインそれぞれのコミュニティに対して、どういう話題を提供していくかを設計していきます。

【DeNAマーケティング部特集vol.2】ロジカルとパッションの絶妙なバランスで戦略を描く!マーケティングプロデューサーの仕事術

――今後はどのようなことにチャレンジしていきたいですか?

なおこす:コミュニティはゲームにおいて必要不可欠な存在になっていると思います。そのコミュニティが持つ熱量を伝播させて、多くの人にゲームを知っていただき、ずっと遊んでもらいたいと考えています。

また、私個人としては、今はゲーム事業を担当していますが、他事業などに対しても、コミュニティのノウハウを共有して活用できればいいと思っています。

こだわりを重ねて、最後の意思決定に責任を持つ


まなてぃ | コミュニティマネージャー
2018年新卒入社。『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーとして、オンライン・オフライン施策を担当。

――それでは自己紹介に加えて、学生時代の経験もあわせて教えてください。

まなてぃ:現在は『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーとして、オセロニアンの皆さんに、ファンミーティングや公式大会などのリアルイベント、YouTubeチャンネルの「オセロニアンちゃんねる」など、オンライン・オフライン問わずさまざまな施策をお届けしています。

※オセロニアン…『逆転オセロニア』のプレイヤーから自然発生したオセロニアファンの呼称。現在では、公式で使わせていただいている。

私は小さい頃からF1などのモータースポーツが好きで、学生時代はレースチームのアンバサダーとして、MCやレポーターをしながら、国内外を飛び回っていました。

その後、2018年にDeNAに新卒入社し、より多くの人に影響を与えたり、喜んでいただける仕事がしたいと思い、現在では『逆転オセロニア』を盛り上げられるように頑張っています。

――メイン担当はリアルイベントですが、それを推進する上で他部署との連携は多いよね?

まなてぃ:そうですね。リアルイベントを開催するための企画や大会ルールの設計、情報出しの設計やオリジナルキャラクターデザインの作成、特設サイト制作、『逆転オセロニア』公式Twitterを担当するいちこちゃんとの連携などなど……ゲーム内外で多種多様な担当者との連携が必要になるので、各セクションとの連携はかなり多いです。

もちろん、イベント進行はオンタイムでやらなければいけないので、時間などの「制約」と「こだわり」の線引きに関しては、毎日意思決定と戦っているイメージです。

――仕事で大切にしていることを教えてください。

まなてぃ:『逆転オセロニア』が一番大事にしている「安心・安全」というコンセプトをずっと大切にしています。

自分たちがゲーム内外関わらず、どんな施策をやる時でも、前提の「安心・安全」というコンセプトが崩れていると、どんなに面白い施策だったとしても、本当の意味でワクワクしてもらえないと考えています。まだまだ十分ではない部分も多いですが、『逆転オセロニア』を楽しんでもらう為の大前提として、このコンセプトはこれからも大事にしていきたいですね。

特にコミュニティマネージャーは、「プレイヤーに一番近い運営」であるべきだと思うので、オセロニアンの皆さんへ届けるメッセージングの責任は、しっかり担っていくべきと考えています。それはゲーム内お知らせの文言やSNSでの配信はもちろん、イベントや生配信での発言一つとっても同じです。

また、社内のメンバーに向けて施策のメッセージングを伝える際は、ドキュメント等でアウトプットした上で、「本当にこれで正しく伝わるかな?」と、人一倍アンテナを立ててコミュニケーションすることも意識しています。

――今までの案件で一番感動したことは何ですか?

まなてぃ:やっぱり『逆転オセロニア』3周年のイベント「オセロニアンの祭典 3rd Anniversary」ですね。イベントを通して、個人的に感動させられるような、たくさんの素晴らしい驚きが詰まっていたんです。

イベント内の大会コンテンツ「オセロニアンスターズ 2019」では、高校生のオセロニアンが地区代表として参加してくださって、当時まだ実装されたばかりで本格的に使われていなかった新スキルの持ち味を最大に生かしたデッキを使って、会場・配信をとっても盛り上げてくださったんです。スタッフも舞台裏で大興奮でした!

ゲームの大会って、勝つことが目的のはずなのに、見ている観客を盛り上げよう、楽しませようという思いを大切にしてくださる姿に、自分も一人のオセロニアンとして心から楽しませていただきました!

また、オセロニアンが制作した絵を表彰するコンテンツ「オセロニアンセレクション’19」では、受賞した方が、現物を実際のイラストや作品を会場まで持ってきてくれて、来場者に披露してくれたんです。イベントを盛り上げていただく為のご協力が本当にありがたかったです。

――本当にありがたいよね!

まなてぃ:そうですね! あと、Twitter上に#オセロニアートというハッシュタグで画像を投稿してくれる「アート勢」の熱量もとても高いんですよ。最近では、オセロニアン主催のオセロニアート展が開催されるなど、皆さんが盛り上げてくださることが嬉しいですね。

『逆転オセロニア』チームの一員として、今後もオセロニアンの皆さんが喜んでくれるコンテンツをゲーム内外で提供し続けていくことは、私たちの使命と言えます。

――これまでの経験の中で、自分が一番成長したと感じる瞬間はありますか?

まなてぃ:「オセロニアンの宴2018-19冬」のオーナーを担当したときですね。この経験を通じて、自分のこだわりを限界まで詰め込むことの大切さを痛感しました。

――具体的には?

まなてぃ:イベント準備を当日に間に合わせることは大前提として、ノベルティグッズひとつに関しても何を貰ったら嬉しいかはもちろん、貰ったあとにオセロニアンの皆さん同士でどんなコミュニケーションが発生するか考えたりなど、デザインも徹底的にこだわりました。

全国をまわるイベントでしたので、前の会場のアンケートでオセロニアンの皆さんからいただいた一つひとつの不満の声についても、きちんと次の会場では改善し、満足度を上げていきたいという思いを詰め込んでイベントを行っていきました。

開催後に「ノベルティが素敵だった!」「安心して楽しめる大会のルールだった」などコメントをいただいたときは、こだわりや大切にしたところがきちんと伝わっていることを感じました。この経験を通じて、やれることは全部やるべきと痛感したので、とにかくこだわりを詰め込むようにしています。

どんな些細なこだわりや直前の調整も全ては、オセロニアンの皆さんの良い思い出になるために必要なことだと思っています。

――今はチームリーダーをしていますが、メンバーと接する時に大切にしていることは何ですか?

まなてぃ:難しいですが……最後の意思決定は「各メンバーが責任を持って決めること」ですね。

リアルイベントでは、たくさんの人の力を借りて実施します。そのため、さまざまな意見が飛び交いますし、ときには意見が対立することもあります。

でも、コミュニティチームのみんなは、オセロニアンの皆さんと顔を合わせる機会が一番多いんです。だからこそ、自信と責任をもって各メンバーが意思決定をすることが大切だと思っているんです。

――なるほど! では意思決定をする上で、大切なことはありますか?

まなてぃ:リアルイベントでは、何十回も参加してくださってている方から、 今回が初参加だという方もいらっしゃいます。ゲーム内も一緒で、何年間も楽しんでくださっている方から、まだ『逆転オセロニア』をはじめて数ヶ月の方もいらっしゃいます。

コミュニティは毎日動いていますので、さまざまなオセロニアンの方がいらっしゃるコミュニティの”今”をきちんと理解して、方向を考えられること。そして、プロジェクトとしての成功やオセロニアンの皆さんの満足度など、さまざまな観点を踏まえて、最後は各メンバーが”今”のコミュニティに向き合った上で、決め切ることが大切だと思っています。

ただ、意思決定してもらったことに対して、各施策オーナーに「なんでそうしたの?」とは聞かないことを私の中のルールとしています。もちろん問題を発見した時は、追って調整させてもらう時もありますが……。

――新卒2年目とは思えないコメント……(笑)。

まなてぃ:そうですか?(笑)。 でも決めなきゃいけないことって本当に多いんですよ。

例えば細かいところだと、イベントのお土産のネックストラップの幅を何mmにするとか……。そういう小さいことから、個人でしっかり決めて行かないと、今後大きい意思決定ができるようにならないと思います。もちろん、相談がダメな訳ではないので、私も含めて、悩んでいる時はしっかり相談するようにしています!

――今後はどんな挑戦をしていきたいですか?

まなてぃ:『逆転オセロニア』はゲーム性に限らず、ゲームの世界観を愛してくださったり、キャラ愛が本当に強い方だったり、キャラクター(駒)のスキルを考察したり、YouTubeやMirrativでの動画配信で盛り上げてくださったり、自主運営の大会を作ってくださったりなど、多彩な趣向性のオセロニアンによって支えられています。そしてそんなオセロニアンの皆さんが『逆転オセロニア』の魅力をどんどん大きくしてくださっていると思っています。

だからこそ私も、『逆転オセロニア』のさまざまな面を楽しんでいただけるような施策ができればなと思っています。そしてオセロニアンの皆さんが作り上げてくださっているたくさんのコンテンツや活動を、公式としてもっと盛り上げる施策を実現していきたいです。

――ちなみにDeNAで実現したいキャリアなどはありますか?

まなてぃ:まずは、引き続きオセロニアンの皆さんに「『逆転オセロニア』を好きで良かった」と思っていただける体験を届けていくことです。今絶賛準備中の、「オセロニアンの戦 2019」にもたくさんのご応募をいただいており、オセロニアンの皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります!

そして今後も引き続き、安心して応援してくださるような環境を作れるコミュニティマーケターになりたいです。コミュニティマーケティングという仕事が、より世の中に認められるように頑張っていきたいですね!

「共感と応援の時代」へ


ちゃんもも | 公式YouTube担当
「オセロニア情報局」の元メンバーで、現在は『逆転オセロニア』公式YouTubeと、プロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」YouTubeチャンネルを担当。

――それでは簡単に自己紹介をお願いします。

ちゃんもも:2017年3月から2019年6月までの2年間、『逆転オセロニア』の公式YouTubeチャンネル「オセロニア情報局」の中の人として、オセロニアンの皆さんにゲームの最新情報をお届けしつつ、裏では編集や撮影などを担当していました。

プロデュースする立場に回りたいという夢のため、今年6月に演者を卒業し、現在は新しい情報局のメンバーの「ルルカ」をサポートしています。

また、8月からプロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」の公式YouTubeチャンネルでも、選手の魅力を多くの人に知ってもらえるようなYouTube運用をしています。

――動画に出演するケースは今までのDeNAではあまりなく、出演に関して覚悟が必要だったと思うのですが、出演の経緯を教えてください。

ちゃんもも:SNSが普及し、「個」がメディア化されるようになり「個の時代」と言われるようになりました。そんな中で私は「個」を応援できるような仕事がしたいなーってずっと思っていたんです。

ただ、応援するためには、まず自分が「個」としての気持ちを理解することが大切だと感じ、出演を決めました。もちろん『逆転オセロニア』が好きだったことは大前提としてあります。

――実際に出演してどうでしたか?

ちゃんもも:YouTubeは視聴者との距離が近いメディアなので、フィードバックも毎回リアルタイムで見れて楽しいですが、反面大変なことも多かったです。もちろん、オセロニアンの皆さんと同じコンテンツでやり取りできるのは楽しかったですね。

――大変なことも多い中、長期間出演できたの理由は何ですか?

ちゃんもも:やっぱり応援してくださるオセロニアンの皆さんがいたから、という理由に尽きると思います。卒業した今でも、応援のお手紙をいただくこともあって、自分の頑張る糧になっています。

まなてぃ:情報局の2周年イベントの反響もすごかったもんね。企画がちゃんももで、運営が私でした。

ちゃんもも:当初想定していたよりも本当にたくさんの方に応募いただいて、嬉しかったですね。

――情報局では、どのくらいの頻度で動画をアップしていましたか?

ちゃんもも:以前は週に2本前後、多い時は毎日アップしていました。

――そこまでの高頻度だと振り返りの時間が足りないと思いますが、どうやって振り返りをしてきましたか?

ちゃんもも:YouTubeのコメントやTwitterでの投稿はすべて目を通しています。

あとは、情報局の運営メンバーは常に「ユーザーファーストなのか」という軸で議論をしていて、そういった心がけが、次のアクションのスピードだったり、正しい改善だったりに繋がっていたんだと思います。

――人の個性を見て仕事の振り方を分けていると思いますが、チームビルディングで大切にしていることは何ですか?

ちゃんもも:普段の仕事においても、メンバーの「個」が最大限活きるような環境を作りたいと思っています。一人ひとりと向き合って、良いところを引き上げていくことが私の仕事かなあって。

まなてぃ:ちゃんももって、かなり男前なんです(笑)。でもこの職能は本当に根性が必要かも。

――メンバーとのコミュニケーションに関して大切にしていることは何ですか?

ちゃんもも:『逆転オセロニア』プロデューサーのけいじぇいさんから、「共犯者をつくりなさい」と教えてもらったことが、現在の私のスタンスになっています。

何かを実行するときもトップダウンで「これやって!」ではなく、一緒に巻き込んで作っていくような体制に変えてから、スムーズに進むようになりました。

――「YouTube×コミュニティ」についてどう考えていますか?

ちゃんもも:今の時代は「共感と応援の時代」に突入していると感じています。SNSの普及などによって「個」がメディアになれるようになり、その「個」が夢を追っている姿に共感して、一緒になって応援するスタイルに変化していると思います。

私がYouTubeのコンテンツで一番大事にしているのは「等身大」なんです。番組内でガチャが出なければ出ないって正直に伝えますし、弱いキャラクターを強いとは決して言いません。そのような等身大でプレイする私たちの姿を見て、共感してもらってコミュニティが生まれ、その力が巡り巡ってゲームにも貢献できていると思っています。

「川崎ブレイブサンダース」の動画に関しても、変わらない想いで作っているので、選手という「個」を見てもらい、プロでも失敗するという共感を覚えてもらうために、敢えてNGシーンも載せています。それを魅力のひとつとして、ファンになって応援してもらいたいと企画しました。

今後もこのようなメディア運用は、YouTubeのコミュニティの作り方としてはスタンダードになっていくのではないでしょうか?

――自分がステージに登って好きなコンテンツを作るイメージですよね。

ちゃんもも:近いですね。そのステージで頑張っている姿を見て、有名にさせてあげたいと思ったり、その変化を常に捉えている人がコミュニティで成功すると思っています。

元情報局の「ちゃんもも」や「さをり」みたいな、ゲームプレイも下手で、どこにでもいる普通の人の番組を熱心に見てくれるのって、オセロニアンの皆さんが「応援したい」と思ってくれた気持ちの表れなんじゃないかなと。情報局の卒業時も快く送ってくれたので、この2年で得たものはとても大きいと感じています。

――今後YouTubeはどう進化していくと思いますか?

ちゃんもも:より大きなコミュニティになっていくのは間違いないですね。演者と視聴者の距離が近づいているからこそ、言葉が持つ魔法のような力を感じました。発する内容で希望を与えることもできるし、幻滅させることもできます。

なのでYouTubeに関して他の人との連携時は、表現や言葉じりなどをすごく考えて話しています。

――今後やっていきたいことを教えてください。

ちゃんもも:私はやっぱり「個」が輝く瞬間をこれからも作っていきたいですね。現在はYouTubeというメディアが得意なので、『逆転オセロニア』と「川崎ブレイブサンダース」をしっかり盛り上げていきたいと考えています。

――期待しています!


以上、コミュニティ運営の最前線で活躍する3名のインタビューをお届けしました。

DeNAのマーケティング部では、3年ほど前からコミュニティマーケティングの専門部署を立ち上げており、定量的・定性的にもかなりのノウハウを蓄積しています。彼女たちがそれらのノウハウを駆使し、またある時には過去にとらわれずに新たな「仕掛け」を展開していく今後の活動に、ご期待ください!

インタビュー:鶴川 将志
執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:波多野匠

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
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DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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DeNAのビジネスプロデューサーは信念と熱量で勝負! ブラウザゲームの開発経験が活きる理由とは

『逆転オセロニア』とマクドナルド様のコラボレーションなど、数々の新しい驚きと楽しさを生み出したビジネスプロデューサー大沼諒昌。誰もが驚くような組み合わせで、新たなエンタメを生み出すビジネスプロデューサーの仕事とは、一体どのようなものなのでしょうか。GeNOM編集部が紐解いていきます。

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大沼 諒昌 | Ryosuke Onuma

2012年DeNA新卒入社。ブラウザゲームのプランナーからスタートし、大型IPタイトルのプロデューサーなどを経て、『逆転オセロニア』のビジネスプロデューサーに就任。数々の大手企業とのコラボレーションを手がけてきた豊富な実績を持つ。現在はeスポーツ事業に従事。特技はマジック。[/su_note]

ビジネスプロデューサーとは

――「ビジネスプロデューサー」という職能は業界の中でも珍しいと思います。まずはビジネスプロデューサーの役割を教えてください。

一言で分かりやすくお伝えすると、ゲーム内のイベントやリアルイベントで、異業種の企業様との「コラボ」や「イベント」を企画し、実現させていく仕事です。

具体的な流れとしては、まずは企画全体の青写真を描いて、社内外のステークホルダーに相談し始めます。そこから、プレイヤーの体験や関係者のメリットを考えつつ、周囲のメンバーを熱量高く巻き込んでいき、あらゆる課題を乗り越えながら企画を実現する。これが私の考えるビジネスプロデューサー像です。

そのため、常日頃からゲームと企業、企業と企業、ゲームとサービスなど「何と何を結びつけて、どんなものを生み、どんな人に向けて提供すると面白いか? 」など妄想をしたりもしています。

――仕事を進める上で、特に大変だと思うことは何ですか? 

ビジネスプロデューサーの仕事は、コラボによって誰も見たことがない価値(=楽しさ)を生み出すことで、それによってプレイヤーや関係各社が喜んでくれることを目指しています。

常に未知の企画を生み出していくことになるので、実現に向けての進め方など一切正解はありません。それに加えて、企画から実現まで思ったように進むこともありません。前例のないことばかりなので、どこで何が起きるのか分からず、いつも大変ですね(笑)。

でも、そういう状況の中でも、前のめりに「これが実現したい! 」という情熱を絶やさないことを大事にしています。実現することが目的ではないですが、やったほうが良いと考えた以上は、ピンチをチャンスに切り替えながら、実現してしまうような情熱的な人が、ビジネスプロデューサーに向いているタイプかもしれませんね。

――企画力も大事ですが、さらにそれを実現させていく「情熱」も大事なのですね。

はい。さらに実現に向けては、その情熱とともに、事業としていかに成功させるかというビジネス的なジャッジもしていきます。数々の意思決定をする必要もありますし、このあたりは世界観や理想の体験を描いて企画を実現させていく、過去のブラウザゲームのプロデューサー経験が活きていると思います。

コラボ企画実現の舞台裏

――『逆転オセロニア』3周年(2019年2月)で開催されたマクドナルド様とのコラボは印象深い企画でした。このときの立案のきっかけや、印象に残っている出来事を教えてください。

2018年に開催した2周年のときにもマクドナルドさんとはコラボさせていただいていて、今回のコラボのキッカケは、そのときにさかのぼります。

当時、いろいろな経緯から是非マクドナルドさんとコラボさせていただきたい、と思うに至った際、まだまだ『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)は日本で一番プレイされているゲームとは言えないため、先方にとって『オセロニア』と組むメリットを提供できます! と、胸を張って言える企画を設計するのに苦労しました。

そこで着目したのが、『オセロニア』は、リアルイベントに家族連れでも安心して遊べたり、対戦で負けた人も笑顔で帰れるようなアットホームな雰囲気が支持されている点。そのほか、友達と一緒に対戦したり、情報交換したりできるゲーム性も相まって、私個人としてもマクドナルドで集まって『オセロニア』で遊ぶ、といったイメージが持ちやすかったんです。

2019年2月2日に開催された3周年記念リアルイベント「オセロニアンの祭典」の様子

そこで、目指しているコンセプトやアプリのダウンロード数だけでなく「マクドナルドさんと一緒に夢を描きたい」とご相談させていただいたところ、先方の担当者様が尽力してくださったのもあって、コラボが実現できました。その過程には、実にいろいろなドラマがあったのですが、最終的には大きな成功になったと思います。

そして今回は3周年ということで、マクドナルドさんともう一度コラボしたいとご相談させていただいたところ、すぐにご担当者様と顔を突き合わせて、企画を詰める機会をいただけました。

――なるほど、昨年の実績が今年の実現につながったのですね。コラボイベントを企画する際に、何かコツはあるのでしょうか? 

まずは、ペルソナ(人物像)やユーザー体験を徹底的に細部まで想像・設計することです。

2周年の時のコラボ企画の話になりますが、そのときは「俺たちオセロニア部」というコンセプトをまず決めました。クラスで仲の良いグループの中で一人『オセロニア』をやっている男子高校生を想像してペルソナに設定したんです。ピンポイントですよね(笑)。

その男子高校生は普段から「みんなも『オセロニア』やってほしいな」と思っていて、以前『オセロニア』に誘ったものの友達はダウンロードしてちょっと遊んだだけで離脱してしまった、という状態なんです。

独自コンテンツや限定キャラクターが登場した、3周年コラボ時のゲーム内画面

そんな中、実施したコラボを利用して「今プレイしたらセットが割引になるって! もっと遊ぶとハンバーガーが無料でもらえるぞ! 」みたいな、友達を再度誘うきっかけになるようなネタをたくさん提供しようと考えました。あわせて、有名YouTuberが出演するCMを見て「もしかして昨日CMでやってたアレ? 」みたいに話題にもなりやすいかな、と考えました。

そんな風に誘われた友達が、実際にゲームをやってもストレスなくランクを上げたり、所持していないキャラクターもお試しで使える強いデッキで遊べるように、まずはゲームをサクサク楽しんでもらうような施策も組み込んでいったんです。

実は悩んでいた新卒時代

――企業コラボなど、新たな企画を生み出すことに苦労されていた経緯もありますが、全体的には順調にキャリアを積まれている印象があります。

いえいえ、そんなことはありません。2012年に新卒入社して、1年目は新規のブラウザゲームの開発プランナーになりましたが、恥ずかしながらノーバリューでそのプロジェクトを卒業しました。当時は、毎日大量のインプットを受けて、わかっているつもりだけどわかってない! みたいな未熟者でした。今でこそ笑い話ですが、当時はとても悔しかったのを覚えてます(笑)。

その後、2年目以降はいくつかのブラウザゲームプランナーを担当しました。運用プロジェクトに途中から参加する際には、そこでは意見を言い合いつつ、信頼関係を築きながらタイトルに貢献していくことを学びました。

それから入社6年目くらいまで、ブラウザゲームの大型IPタイトルにプロデューサーとして関わらせていただき、仲間の支援も盛大に受けながらではありますが、このタイトルを好調に運用できたことは、現在の自信にもつながっています。

悩んで、そして徹底的に考え抜く

――時期が前後しますが、ビジネスプロデューサーに転身したきっかけを教えてください。

若手の時期に他のプロジェクトで、現在『オセロニア』のプロデューサーのけいじぇいさん(※1)に本当にお世話になったんです。その恩返しの意味でも、彼を日本一のプロデューサーにしたいと思い、社内で募集がかかったタイミングで立候補しました。

※1…『逆転オセロニア』プロデューサー香城の愛称

――ビジネスプロデューサーになった当初は、どんな状況でしたか?

最初は「ビジネスプロデューサーの存在価値って、一体なんなんだ……」って悩んでいた時期があり、正直苦しかったのを覚えています。まわりがバリバリ仕事をこなしている中、2週間くらい進捗せず、アイデア用のノート1ページも埋まらず、何も思いつかない時期もありました。アウトプットに何が必要なのかも理解できず、一週間、ずっとゲームの動画だけを見て過ごすこともありました。

――かなり悩んだ時期があったんですね。そこからどのように気持ちを切り替えていったのでしょうか?

まずは基本に立ち戻り、『オセロニア』のプレイヤーをもっと楽しませることは何だろう、と徹底的に考えるようになりました。そのためにもプレイヤー目線に近づくため、リアルイベントも全部参加して会場でプレイヤーの熱量を肌で感じたり、ゲームもすごい勢いでプレイしたんです。はじめて最高クラスに到達できたときは、とても嬉しかったですね(笑)。

――そんな経験を通じて、先ほどのマクドナルド様との企画のように、他のプレイヤーと交流するようなイベントを実施してみようと思ったんですね。

そうですね。最終的に「もっとプレイヤーが熱狂するためには、こんなイベントが良いかもしれない」とある程度、自分のアイデアに自信を持ち始めたのが半年後くらいで、実際に開催までこぎつけたのは、さらにその半年後くらいでしたね。

ブラウザ時代の経験が、今に繋がっている

――冒頭でも少し触れていただきましたが、ブラウザゲームのプロデューサー経験はどのように活きているのでしょうか?

ブラウザゲームの魅力って、他のプレイヤーと交流するソーシャル性にあると思います。今流行っているSNSや動画配信サービスなども、すべて「人」と関係しているコンテンツですよね。

ですので、「プレイヤー同士」や「来場者同士」など、いろいろな人の組み合わせにプラスして「これを組み合わせたら、もっと盛り上がる!」と考える設計方法に、過去のブラウザゲーム開発時代に経験した「コミュニティを活性化させる」という手法が活きていると思います。

ブラウザゲームのプロデューサーは、コミュニティの形成が得意な部分が一番の武器でもありますし、その点は『オセロニア』もリアルイベントなどコミュニティを重視しているタイトルなので、親和性はとても高かったですね。

また、IPを利用したタイトルを担当していたとき、版元様がいかにそのIPを大切に扱っているかを学んだ経験は、現在の自分の下地になっています。

――開発チームとのコミュニケーションにも活きていそうですね。

そうですね! 自分が企画した施策については、社内の各セクションに作業をお願いする立場でもあるので、説明責任が常に問われます。その点においても、デザイナーやエンジニアなど開発側の目線や心情もわかっているので、相手の立場に立って施策の説明をしたり、具体的な実装の相談に乗れたりしているかなと思います。

業界での活躍の場は確実に増えている

――ブラウザゲームのプロデューサー経験もそうですが、いろいろな開発チームの中で磨き上げられてきた大沼さんのコミュニケーション能力が、ビジネスプロデューサーにも活きているように感じます。

そうですね、ビジネスプロデューサーになれる人って、ちょっと調子乗ってるような人が合っているかも知れません(笑)。冒頭でお話したこととちょっと重複しますが、「このゲームを自分が支えてやる! 」みたいに、熱量が高く、やりたいことに溢れている人のほうがいいですし、市場的にもそんな気概を持った人は貴重な存在だと思いますよ。

ただ私の場合、この仕事においてゲームプロデューサーなどの経験が役立ちましたが、「IPの取扱いには自信がある」「渉外活動なら負けない」という違った強みがある方でも、チャレンジし甲斐のある仕事だと思っています。自分の道は自分で切り拓いていく、という気概のある方でしたらチャレンジいただきたいと思っています。


 

以上、まったく新しい驚きを生み出す使命を持った、DeNAのビジネスプロデューサー大沼のインタビューでした。

これからも、強い信念とコミュニケーション能力の高さ、何より人と人の関係性が大好きな「人柄の良さ」を存分に活かして、世の中にはまだないような、ワクワクする化学反応を起こしてくれると期待しています。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史/細谷亮介
撮影:佐藤剛史

※この記事は2019年3月時点の情報です。

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【DeNA分析部特集Vol.1】『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

そこで今回、ゲーム事業部の分析部に所属するアナリストの松﨑友哉と、『逆転オセロニア』プロデューサーの香城卓(けいじぇい)を迎え、タイトル運営の実例をもとに、DeNAの分析部がどのような役割を果たしてきたのかインタビューを実施。『逆転オセロニア』でアナリストに求められることや、DeNA分析部ならではの取り組み、そして今後の展望についてお話を伺いました。

『逆転オセロニア』で求められるアナリストの役割やスタンス

――まずは自己紹介を兼ねてお二人の業務について教えてください。

香城卓(以下、けいじぇい僕は、2019年2月で3周年を迎えた『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)のプロデューサーを担当しています。これまで運用してきた中で、昔から応援してくださる方もいれば、最近ゲームを始められた方もいます。そうしたすべてのプレイヤー(以下、オセロニアン)に向けてどういったことを発信していくのかをチェックする、門番のような立場です。

そのため、「オセロニア」はこういうものだよという価値観や意思決定の基準を提示したり、メディアへの露出やコラボ等に関してお取引先とお話して、どういう風に「オセロニア」で新しいことを生み出していくかというところに主に力を注いでいます。

松﨑友哉(以下、松﨑 僕はDeNA分析部のアナリストで、現在「オセロニア」分析チームのリーダーを任されています。タイトルの今後に関する意思決定をスピーディーかつ高い質で、そしてユーザーファーストという方針がブレないように行えるよう、定量面と定性面でサポートすることが「オセロニア」分析チームの主な役割になります。

「オセロニア」運営メンバーの一員として、ときには客観的な目線でインプットできる立場として、ゲームを改善するための提案なども行っています。イメージとしては、プロデューサーやディレクターの[su_highlight background=”#fbff99″]“参謀”[/su_highlight]といった感じでしょうか。

けいじぇい: サービスとして「こうありたい」という定性的な意思はプロデューサーやディレクターが決めるところだと思いますが、そこに対して、定量的なデータや多くのオセロニアンのみなさんの行動のログなどをもとに、根拠のある裏付けの示唆を出してくれるのが分析チームなので、まさに[su_highlight background=”#fbff99″]“参謀”[/su_highlight]と言えますね。

――3周年を迎える「オセロニア」ですが、直近の主なトピックを教えてください。

けいじぇい: 昨年末に「名探偵コナン」や日清ラ王、そして1月にマクドナルドとのコラボを実施しました。また、最新(2019年1月時点)のダウンロード数は2,300万を突破しています。

業界的にも年末年始は盛り上がる時期ですが、「オセロニア」は2月がアニバーサリーの月なので、僕たちはそこから息つく間もなく周年に突入します。

毎年12月~2月にかけてトピックを固めているので大変な面もありますが、日清ラ王やマクドナルドとのコラボレーションを実現し、「オセロニア」らしいチャレンジングな施策がこの年末年始もできたと思います。

松﨑: コラボに関して、例えば実施する前に「オセロニア」と相性が良いかを市場リサーチやプレイヤーアンケートを踏まえて考えるところも、分析チームのアナリストとしてのいまの役割のひとつです。

もちろんコラボ実施後も、期間内におけるオセロニアンのみなさんの行動ログをまとめた結果などを分析しています。実際にその施策がどう受け入れられていたか、どう長期運営にポジティブな影響を出しているかなど、振り返りを行うことで次の施策を練るときの示唆を残せるようにしています。

――アナリストとして実施前の施策にも関わっていると。「オセロニア」運営チームとの距離感はかなり近いんですか?

けいじぇい: DeNAでは、1タイトルの成功にコミットする一員としてアナリストもゲーム開発にどっぷり浸かっているので、別部署だというセクショナリズム(組織の壁)というものはありません。

松﨑: そうですね。僕は普通に運用チームのメンバーと並びの席に座っています。DeNAではこれは日常の光景なんです。

けいじぇい: もちろんアナリストとして、定量的な示唆を出してもらうことが一番期待しているミッションですが、松﨑さん自身がオセロニアンとしてもゲームをしっかりプレイしてくれていて、プレイヤー感覚での示唆出しもしてくれるんです。

プレイ経験がない人に受発注的に数字を出してもらう取り組みよりも、ゲームとしての「オセロニア」をプレイヤーとして理解している、という素地があった上でデータを出してくれるので、とても納得感があるし、信頼してやりとりしています。

これはどのセクションにも言えることですが、縦も横もなく全員が1つの役割を持って「オセロニア」をどう最大化させるかという方向に向かっていく姿勢は、アナリストに限らずチーム全体でもっています。

――まさにそれが「オセロニア」で求められるアナリストの役割ということでしょうか?

松﨑: そうですね。僕は分析部のアナリストですが、「オセロニア」運営メンバーの一員という意識もすごく強いんです。

アナリストとして求められる業務のセクションの部分において、数字から物事を話すというのが一般的なアナリストとしての観点ですが、定量・定性関係なくプランナーと議論するプレイヤーとしての意見も大事だと思います。

もちろんデータを見て意見することも大事です。でもそれは「オセロニアを良くするためにはどうするのが一番ベストなのか」を突き詰めるための手段の1つでしかないので、それよりも「オセロニア」を良くした上で、施策の効果を最大化させるために自分自身がどれだけ貢献できるかを考えています。

けいじぇい: あまり領域に閉じてほしくない、というところも求める事の1つです。松﨑さんはプランナーチームのレビューもしてくれるので、そういう意味ではアナリストの領域からは離れて働いていると言えますね。

実はDeNAのアナリストはそういった動き方が多くて、人によって得意不得意はありつつ、それぞれが尖った部分を持っています。一般的なアナリストのように、データを出して示唆だけ届けるという形ではなく、基本的に運用チームにガッツリ入り込んで、自分の得意な分野を把握してどこまでチームの中で価値を見出すか、を考えて動く人が多いです。

松﨑: それこそデータとしての裏付けが取れたら手段として使いますし、それがなくても「こうすれば良くなるはず!」というゲーム内の施策や組織的な課題など、結構何でも選ばずに協力して、「オセロニア」を良くするために何をするべきかを日頃から考えています。

――アナリストとしてゲームもプレイしている中で、客観的な見方と主観的な見方のバランスはどのようにとっているのでしょうか?

松﨑: 僕は他のゲームもいろいろ遊んでいますが、その上で「オセロニア」に対する自分のプレイ度合だったり、どれくらいヘビーな感覚を持ったプレイヤーなのかを常に意識して考えています。

あとは、普段あまりゲームをプレイしないライトな方たちや、自分よりヘビープレイヤーの方たちがどういう遊び方をしているか、という部分に関しては「オセロニア」や他のゲームの定量データを見ながら感覚として貯めておき、それを踏まえた上で自分の中で仮説を出すようにしています。
そして、仮説を得た理由をしっかり考えた上で、その仮説が汎用的なものなのか、それとも各セグメントに閉じたものなのかを常に一歩引いて考えるように心がけています。

アナリストとしての新技術導入やコミュニティ運営の取り組み

――「オセロニア」はデッキ編成や対戦などにAIを活用するなど新しい技術導入に積極的な印象ですが、技術面でのアナリストの取り組みや役割を教えてください。

松﨑: 「オセロニア」のデッキの構築に関しては、一部複雑な面もあり、初心者がつまずきやすい部分でもあります。この点について、チュートリアルを工夫すれば解決できるという単純なものではなく、ゲームの機能そのものから手を加えていく必要がありました。

ただ、DeNAの中にAI技術の専門チームがあったとしても、それを上手く活用するための良質な問いがなければ、100%フルに活かせないと思っています。その中でのアナリストの取り組みとして、運営チームにコミットしている中で認識しているゲーム内の問題や状況を伝えながら、いかに高い技術力をゲーム中に効率よく活かしていくかを考え、進めています。

そのような新技術に積極的に取り組みサービスに反映させるというブリッジのような役目も求められることだと思っています。

――ファンコミュニティを大切にしている「オセロニア」ですが、コミュニティマネジメントの部分でアナリストとしてどう関わっているんですか?

松﨑: 「オセロニア」は“オセロニアンの宴”や“オセロニアンの戦”といったリアルイベントなど、プレイヤー同士によるコミュニティが活発です。その中で、僕も日本各地に赴いてイベントに参加しています。

そこでは実際にプレイヤーがどんな表情でゲームを楽しんでいるのか、どんな関係性やコミュニティの輪が生まれているのか、その温度感を肌で感じるようにしています。定量的な分析は、ともすれば割と機械的になりがちで、データによっては難しい判断を迫られるときもあり得るとは思います。

ただ「オセロニア」で大事にしているコミュニティ、実は定量データを見ているだけではわからないところもあるので、イベントに参加して、その温度感をしっかり把握したうえで適切な意思決定をサポートできるように意識しています。

けいじぇい: 人間のコミュニケーションの集合体が、コミュニティです。成果がはっきりと数字で表せない部分も多いため、コミュニティづくりが上手くいったのか、改善点はどこかなどを明確にデータで見ることは、恐らく世界中のどこも明確な答えを持っていないのかもしれません。

その中で、この3年間「オセロニア」が実際に事業としてやってきた知見を活用して、コミュニティの形を開拓していくのも我々の使命なのかなと思っています。

松﨑: 単純にゲームの中のログをビックデータ解析する以外のところでの人のコミュニケーションや、何がきっかけでエンゲージメントが高まることに繋がるのかなど、人の心の動きをデータで見るのは難しい領域ですが、今の世の中の流れを含めてすごく重要な気がします。

――アナリストの領域を超えて「オセロニア」と向き合うアナリスト・松﨑さんはけいじぇいプロデューサーにとってどのような存在でしょうか。

けいじぇい: ゲームって色々な主観がありますし、おもしろいという基準も1つではなく、「ここはこうしたら良い」というみんなの色々な意見の中から生まれるものです。そういうところで、逆に主観を持たずビックデータに論拠した形で客観性を持ったアナリストもいて良いと思いますが、松﨑さんはやはりユーザー志向性がすごく高いアナリストだと感じています。

というより、「自分もこう思うから遊んでいるオセロニアンたちもこう思うはず!」という、ある種自分が持っている仮説を検証するために、数字を出している部分もあるかもしれません。

そういう意味では客観的に事実だけを提示するよりも、まず自分が本当はこうあるべきだというところを論拠を示して、そこに立ち返って示唆してくれる人ですね。もちろん数字にも強いのですが、ひとりのプレイヤーとしてゲームに向き合っているアナリストではないでしょうか。

『逆転オセロニア』がさらに進化するために今後目指していくこと

――改めて、アナリストとして一番大切にしていることは何ですか?

松﨑: 常に全体観をもって考え、動くことを意識しています。例えばデータを見ることでゲームを良くすることが最適な場合はそうしますが、それ以外にもいま組織の体制として大丈夫なのかとか、その場その場でゲームの状況やチームの状況を踏まえて何をすべきか、事業をもっと伸ばしていくためにはどういったことに取り組むべきかという上段から考え、課題を提起してシューティングしていくことを相当意識していますし、求められているところかなと思っています。

――「オセロニア」のように3周年と歴史を積み重ねていくタイトルに携わる中でアナリストとしての考え方に変化などはあったのでしょうか?

松﨑: 考え方の軸はあまり変わりませんが、アプローチが変わっていくところはあります。当然「オセロニア」は新規プレイヤーや、久々に遊んでくれるプレイヤーも楽しませたい。そのためにはどうするべきかは絶えず変化していきます。

さまざまな要因で、タイトルの状況が変わっていく中で、その場その場で向こう半年を見据えて、何をするのがベストなのかを考えながら動く。そしてできることは何でもやるというところが、僕のアナリストとして軸となる考え方です。

――アナリストとして今後「オセロニア」プロジェクト全体を見てこうしたいというビジョンはありますか?

松﨑: いま考えているのは、「オセロニア」のゲーム全体としてのユーザー体験をちゃんと整えていきたいなと思っています。

運用も4年目に入ってくるので、今後は新規プレイヤーだけでなく、久々に遊んでくれるプレイヤーも増えてくる状態になると思うんです。そうした中で、今までは新規プレイヤーがどうやって階段を上っていけばいいのかを考えることが多かったんですが、今後は復帰プレイヤーが戻ってきたときに今の「オセロニア」にスムーズに馴染んでくれる方法や、また夢中になってくれる方法を考えていく必要があると思います。

その両面が上手くできるような、ゲーム全体としての綺麗な流れをしっかり組み立てられたら、長期運営していくタイトルとして今後より強いゲームにできるんじゃないかなと思っています。

アナリストとして、それを助けられるような分析や示唆出し、あとはコミュニケーションをとっていきたいなと考えています。

――3周年を迎えた「オセロニア」は、4周年に向けてどのような進化を遂げるのでしょうか。

けいじぇい: 「オセロニア」は4年目に突入しますが、これまでもコミュニティと一緒にタイトルを育ててきましたので、この先もそのスタンスは変わりません。

ただ、3周年を迎えて少し風景が変わってきたなと感じています。この2年間くらいは僕たちが作ったコミュニティの場にオセロニアンのみなさんが集まって、そこでコミュニティが形成されていく図式でしたが、オセロニアンがオセロニアンのための場を作るという流れが徐々に生まれてきているんです。

4年目は、これまで僕たちがやってきたコミュニティの場を作ることをやりつつ、さらにオセロニアンのみなさんが作るコミュニティを支援していって、オセロニアンのみなさんを介して「オセロニア」が広がっていく、というところにシフトしていこうかなという気持ちです。

松﨑: 分析部としてやることのベースは変わらないと思いますが、けいじぇいさんのお話にあったようにコミュニティの作り方、考え方もどんどん変わってきているので、それに従ってコミュニティが「オセロニア」にどういった影響を及ぼしているのかを、どこまで定量的に見ることができるかチャレンジしたいですね。

また、AIについても、どれだけゲームに良い影響を及ぼしているのかというところを、難しい挑戦ですが取り組みとしてやっていき、何かしらの示唆を出すことでその先のゲーム運営をより改善することに貢献していきたいと考えています。

――最後に、松﨑さんが感じるDeNA分析部の強みや魅力について教えてください。

松﨑: DeNAは会社全体として数字を見る文化が根付いています。そういう意味で、しっかりとしたデータ解析を元に何かしらの論拠の示唆をして、ロジックを立てて説明できればちゃんと話を聞いてもらえます。

それは分析部に限らずどの職種でもそうですが、データをもとに聞いてくれるのでアナリストとしては動きやすい文化だと感じています。

それに、定性的に自分の勘でごりごりに物事を進めるというより、一度データを見て冷静になれる環境になっています。アナリストが質の良いお題を立ててそこに対するデータ分析をして、結果を出せればそれがちゃんと事業に受け入れてもらえる。

それがゲームだったりプロダクトに反映され、その結果を自分でちゃんと測ってどうだったか検証することができるので、上流から下流までワンセットで見ることができるのはやりがいを感じられると思います。

DeNAはデータをベースにしながら、人間的な、数字では見えない部分も大切にする、情熱的な人も多いです。また、AIなど会社としての技術力を武器として活かせたり、コミュニティマネジメントに力を入れていたりと、ゲーム会社の中でもなかなか事例のない取り組みをしていると思います。

ゲーム的にも分析的にも新たなアプローチが多いため、日々刺激を受けながら働くことができる良い環境だと思っています。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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【イベントレポ後編】GDMプランナー向け座談会vol.13 ~コミュニティファーストなプロダクト運営~

毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

2019年1月18日(金)に開催されたGDMでは、株式会社コルクの佐渡島庸平氏を招き、DeNAの香城卓(通称:けいじぇい)と住吉政一郎とともに、『逆転オセロニア』を事例とした座談会を実施しました。

イベントレポート後編となる本記事では、盛り上がった第二部のテーマ3~6をもとにした対談内容を紹介していきます! 

前編の模様はコチラをご覧ください。

第二部:For2020 これからのコミュニティ談義

テーマ(3):コミュニティ論、大事! どうやって勉強すればいいの? 

けいじぇい:まず最初の教科書は、佐渡島さんの本ですね! 

佐渡島氏:よろしくお願いします(笑)。「宇宙兄弟」のファンコミュニティを運営するときに、そもそも資料が少なくて、自力じゃ勉強しないと感じたので、一緒に学ぶ人を1人1万円くらいで募集しようと考えたのが書籍を作ったきっかけなんです。お金を取ったら、やらないわけにいかないし、自分を追い込もうと思って(笑)。

10人くらい来るかな……って「コルクラボ」で募集したら、150人くらい集まっちゃって(笑)。とりあえず面接後、80人程度でスタートしました。そこで実験的に試して培った知見を書籍にして、ファンコミュニティに活用しました。

そこで感じたのは「何でも実践してみる」ことです。オンラインサロンや、「ポルカ」(フレンドクラウドファンディングアプリ)などに自ら参加して、自分のSNSコミュニティがどんな状況かを知ることも大切ですよ。

DeNA香城卓(通称:けいじぇい・写真左)と株式会社コルク代表 佐渡島庸平氏(写真右)

前に佐渡島家で「ヘイ(平)ペック」を開催したことがあるんです。僕や親をはじめ、親戚の名前には全員「平」が付いているんですが、最近「平」が足りなくなり、次生まれた子供には「この平が付いた名前を予約! 」みたいに、話し合いの場所を設けたことがあります。

後日、佐渡島家以外で、「平」が付いた名前の人だけを集めたらどうなるんだろうと思って、店を借り切って飲み会を企画してみたら、40人くらい知らない人が集まっちゃって(笑)。

そんな、一風変わった飲み会の幹事を開催して、次回告知や、参加者が仲良くなるならどうするか、どんな設定ならウケるか、など、企画を考えていると気づくことが多いですよ。

住吉:「ヘイ(平)ペック」、面白いけどハードル高くないですか(笑)。でも確かにチームの飲み会でみんなが必ず来るようなアイデアや、小規模のコミュニティで実践することは勉強になりますね。

佐渡島氏:「(平)が名前につく人にしか分からない話」とかは盛り上がりますよ(笑)。あと、コルクラボにはそれぞれの部に責任者がいて、どんな方法で部署を回しているか、コミュニティマネジメントをうまくやれているのか、良く観察をしています。

けいじぇい:それでも残念ながら、コミュニティはまだまだアカデミックな意味で成立しておらず、語り尽くせないほど、不安定な言葉だと思います。

佐渡島氏:そうですね。人間の感情面はまだほとんど研究されていないわけで、人間関係のあり方なども研究が進んでいません。人が人間関係の中でどうすれば心地よいのかなど、解明されていない部分が多く、解説マニュアルもありません。

少し前に、コミュニティイベントに参加した際に、4人の登壇者に対して、マイクが2本しかなくてまともに対談にならなかったことがあります。話し終わって次に回すような感じで、雑談も盛り上がらないんです。そんな風にマイクの本数だけでも、イベントの雰囲気がガラッと変わってしまうんですね。

けいじぇい:明文化もされていない、感情の仕組みやコミュニティのあり方を数字で出せないことが、難しいところですね。

住吉:特に汎用化が難しいんですよね。コミュニティごとに打ち手もまったく違うので、まず初期は観察してから諸々の判断をすることも多いです。

テーマ(4):コミュニティ運営、実際にやってみての失敗談

佐渡島氏:「コルクラボ」の立ち上がりイベントは、勉強目的として社内で実施が決まっていたのですが、応募人数が想定より増えてしまったので、正会員以外は、オンライン参加で値段を半額にしたんです。

すると「自分たちは選ばれなかった」と感じる人が出てしまい、正会員よりもすごいプレゼンを準備して驚かせよう! みたいにカーストになってしまいました。

人は、きっかけがあれば人との優劣を付けてしまうので、フラットに運用するのは大変ですね。

けいじぇい:『オセロニア』では、運営初期にいろいろ失敗の経験がありましたね。

住吉:ゲーム内でリアルイベント告知をわかりやすい目立つ場所に変えたら、応募が殺到したので運営チームで人数を見て喜んでいたんですが、当日を迎えると、参加者がほとんど来なかったんです……。

熱量が高いプレイヤーと、なんとなく面白そうで応募したライトなプレイヤーの温度差の違いを実感しました。

けいじぇい:やっぱり大きい数字が出るのは嬉しいし、運営陣は舞い上がっちゃうんですよ。これはアクティブユーザーの裏側にあるコミュニティのサイズを見誤った事例になりました。

住吉:それからは、ゲーム内での積極的で派手な告知はしていません。

けいじぇい:そうですね。これまでのコミュニティのサイズ感を大事にして、そのプレイヤーが来てくれたら喜ばれるような導線を作っています。

佐伯:そういえば、「コルクラボ」のイベントでカースト状態になってしまったときの解決策って、どんなものだったんですか? 

佐渡島氏:次回の開催時には価格設定を一律1万円にして、応募者全員が参加できるスペースを借りました。

さらに、オンラインとオフラインの動きを活発にしようと、掲示板で投稿数が多かったベスト3の人が、僕と食事に行ける権利をゲットできる、というルールを作ってみたら、サイトのPVが1ヶ月30万超えとかしちゃいました(笑)。

ですが、3ヶ月くらいするとみんな投稿疲れして、なんとなくサービスに対して反感を持ち始めたんです。あまり熱量を上げすぎず、煽らないことが大事です。時代が変わっても、あまり特殊なことはせずに、淡々と粘って積み上げていくことが一番かもしれませんね。

テーマ(5):コミュニティベースの中、頭一つ抜け出す方法!

けいじぇい:コミュニティが多様化している現代では、コミュニティごとの雰囲気やカラーを作り上げて、それを維持していくことが大切ですね。

例えば、過去に運営に携わっていたメンバーや、昔のプレイヤーが今のファンミーティングに来ても、変わらない、楽しい! と感じるような、コミュニティのブランディングを保つことが不可欠です。

佐渡島氏:コミュニティ運営では、所属する人数や参加率の把握をしつつ、掲げていることと、やっていることをできるだけ一致させるような試みを行うことが重要ですね。

けいじぇい:そうだと思います。幹事のようなコミュニティの場を広げてくれる人、サービスの周りにいる応援してくれるコアなファンたちがどこの地域に住んでいて、どんなことを考えているのかを、また自分たちのファンの温度について、より高い解像度でしっかり見て、理解することが重要です。

テーマ(6):For2020 コミュニティベースの未来

DeNA住吉政一郎(写真右)

住吉:インターネット内のコミュニティも変化し続け、人間を表現するのがだんだんと巧みになってきています。リアルで人間味のある人の心を言語化して、それをプロダクトに最大限活かせるような人たちが、今後重要になる未来が訪れるのではないのでしょうか。

けいじぇい:コミュニティを基準にしていくことが、世の中がハッピーになる気がします。

人がコミュニティに属するときは、「人とつながりたい、何かに貢献したい」といった、前向きな感情の結びつきを求める気持ちが大きいと感じました。将来的に、アカウントを通じて、他の世代や違う地域に住む人とつながる場所が生まれていけば嬉しいですね。

佐渡島氏:当時流行したSNSなどをきっかけに、いろんな切り口で集まった集団の呼び方を「コミュニティ」と呼ぶようになっていきました。

これが今までの「会社」や「学校」と同じくらい、当たり前なカタチになってきたときに、すべてをひっくるめてコミュニティという言葉ではなく、より細分化された適切なネーミングが生まれてほしいですね。

現在では、「野球とグルメ」みたいにコミット具合が違うコミュニティが、全部同列になってノウハウの定義がズレています。この先もっと言葉が分かれていけば、チェックポイントが明確になる現象が起きていくはずです。

佐伯:なるほど。そうやって未来的には、さらに細分化された、数多くのコミュニティが生まれて育っていくわけですね。本日はありがとうございました。

懇親会の模様

事前応募人数が100名を超える規模となった今回のGDM。おなじみとなった軽食のお寿司とピザをつまみながら、登壇者と来場者の交流が行われました。

GDM運営チームオススメのデザート

懇親会のデザートには、銀座と南青山にお店を構える和菓子やさんより、季節の生菓子をご用意。来場者の中でもデザートのファンが、実は多いとか……!? 

取材・文・撮影:細谷亮介

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【イベントレポ前編】GDMプランナー向け座談会vol.13 ~コミュニティファーストなプロダクト運営~

毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

2019年1月18日(金)に開催されたGDMでは、株式会社コルクの佐渡島庸平氏を招き、DeNAの香城卓(通称:けいじぇい)と住吉政一郎とともに、『逆転オセロニア』を事例とした座談会を実施しました。

本記事ではレポート前編として、第一部の「コミュニティファーストなプロダクト運営について」と第二部のテーマ1~2までの対談内容をお伝えします。

※本イベントの前には事前特別対談が行われました。その模様はコチラをご覧ください。

第一部:『逆転オセロニア』流
コミュニティファーストなプロダクト運営

サービス開始から3周年を迎える『逆転オセロニア』。そのプロデューサーを務める香城より、同タイトルでの、コミュニティファーストなプロダクト運営について概要が以下のように紹介されました。

「昨今聞かれるようになったコミュニティファーストについて、『逆転オセロニア』ではプロジェクトの意思決定基準のことであると定義付け、ターゲットは”コミュニティそのもの”を指します。

現在は、物事を決める価値について、”流行っている、話題になっている”といった”プロダクトを取り巻く人の群れ”を見て、人々がその価値を評価する時代になっています。

これからのコミュニティ時代に意識すべきことは、応援・発信してくれる人たち×コミュニティ世論がプロダクトの評価を決める時代であると認識すること。

現在はコミュニティマネジメントが重要な時代であり、プロダクトとコミュニティの距離感と意味合いを把握することが重要だと思います。」

DeNA香城卓(通称:けいじぇい)

続いて、『逆転オセロニア』実践例として、初期事業推移を公開。リリース初期にはひたすらプレイヤーの熱量を増加させたファンコミュニティの後押しが、急激な成長軌道に入る契機になっている、と語りました。

また、オフラインイベントやファンミーティングの開催については、年間30本以上、全国各地のオセロニアン(『逆転オセロニア』のプレイヤー)が住んでいる街へ「自分たちが行く」ことを大切にしている、とのこと。そこでは、オセロニアンのみなさんと運営が直接意見を交わしながら、プロダクトを「共創している」感覚を実感し合いたい、と話しました。

「次の時代に向けて、世界的にコミュニティの重要度は増していると感じる。今後はプロダクト周辺のコミュニティまで、ソーシャル性を統括したデザインが必要だ」と述べて締めくくりました。

第二部:For2020 これからのコミュニティ談義

ここからは、佐渡島氏を迎えて、6つのテーマに沿った座談会がスタートしました。

テーマ(1):そもそもなぜ昨今、コミュニティ重要論が叫ばれだしたのか?

佐伯嶺(以下、佐伯):これまであまり聞かなかった「コミュニティ重要論」が最近なぜ語られ始めてきたのか、逆に今までのままではなぜダメなのか、討論をお願いします! 

住吉政一郎(以下、住吉):コミュニティが重要視されてきたこと=ぜいたくな時代になってきたのを感じています。完全にインフラが整ったスマートフォンアプリゲーム市場が成熟してきたため、コミュニティを通じて遊ぶような楽しみ方に変わってきたと思われます。

株式会社コルク代表 佐渡島庸平氏

佐渡島庸平氏(以下、佐渡島氏): 同じく「世の中全体が、ぜいたくな時代」って重要なキーワードに感じます。野球・相撲・プロレスしかエンタメがなかった戦後に比べ、現在はたくさんの娯楽がありますから。

エンタメが圧倒的な影響力を持っていた頃は、自分たちのコンテンツが簡単にプレイヤーに届くため、手法を深く考えなくて良かったんです。むしろ、雑な届け方でも良しとされていました。

時代は変わり、ソーシャルゲームやマンガがいつも手元にあるのが当たり前になって、(作る側は)読む状況から、どうやったら入り込みやすくするかを、特に考えます。僕がよくマンガ家に対して「これって読者目線じゃないよね」「こういう導入じゃないと理解できないよ」とアドバイスをすることも多いです。

もし、「今のあなたにはこれがおすすめです」と手紙が添えてある本を誕生日プレゼントでもらったら、絶対読みますよね。そういった気持ちをプレイヤーに持つことができるかが、重要なんです。

ゲームの場合、友達に「絶対ハマるから、今ダウンロードして一緒にやろうぜ! 」って誘われることが、やわらかく、かつなめらかなゲームの始め方であり、そのように届け方への繊細さが求められている時代なんだと考えています。

また、コンテンツを作る人が、それを届けた「後」しか考えていないことも多々あります。チュートリアルをものすごくしっかり作ったゲームでも、必ず大ヒットするわけではないですよね。それは、届け方の部分に雑に感じるような問題があるからなんです。

そのあたりを含め、今後のコミュニティファーストには、届け方をセットで考えた、雑でない、口コミでストレスもない、なめらかであることが強く求められています。

住吉:確かになめらかな届け方は必要ですね。SNSを利用しながらゲームで遊ぶときに、機能がまったく親切じゃないことに気づくことも多いです。その導線をどれだけスムーズにするかが、コミュニティの大切さとつながっていくのかもしれません。

DeNA住吉政一郎

佐渡島氏:今でも年配の方って、新聞広告を切り抜いて持っていて、書店に行ってそれを見せて注文して……ってすごい手間をかけさせてるんですよ(笑)。欠品で取り寄せしたら、また一週間後に取りにいって……。ソーシャルゲームの導線のほうがわかりやすいですよ。

香城(以下、けいじぇい):URL踏むだけですもんね(笑)。

住吉:もしかしたら、年配の方は新聞広告のほうが「なめらかな届け方」なのかもしれませんよね。コミュニティそれぞれに対して「何が」なめらかなのか、を考えないと。

佐渡島氏:ECサイトに電話とFAXの申込みを方法を導入したら、すごく売上が伸びたことがありました。年配の人がそれを快適と考えているかわからないですが、習慣化していることは明らかです。

昔は不自然なことに自分が合わせるのが普通で、我慢するのが当たり前。我慢できない若い人との価値観のぶつかり合いは、最近のニュースで見ることが多くなりましたよね。

住吉:コミュニティにしっかり届けるという観点では、ツールの揃っているSNSプラットフォームを使って、スムーズに届けることを第一に考えることが大切だと思います。

佐渡島氏:地域コミュニティについての研究資料を読むと、「祭り」が重要だと記述があります。祭りを開催すると外部の人も訪れるため、村の雰囲気を外に伝えるチャンスになるんです。『逆転オセロニア』なら、オフラインイベントの魅力がSNSにまで波及していけば、絶対に盛り上がるはずですよ。

けいじぇい:そうですね! 個人がそれぞれのアカウントを持てるようになったのも、コミュニティが重要視されてきた要因でもあります。自分も愛称で「けいじぇい」と呼ばれていますが、本名以外でなりたい自分を出せる場所があるのは、楽しいですよね。

佐渡島氏:あっ! そういえば、香城さんのことをみんな「けいじぇいさん」って呼ぶから、僕、なんか呼び間違えてるのかなって、ずっと不安だったんですよ……(笑)。

けいじぇい:会社でも僕のこと「香城」って呼ぶ人いないんです(笑)。今はそうやって「けいじぇい」として『逆転オセロニア』を通じた知見を含めて一つの人格として接することができるような、コミュニティを作りやすい世の中になっていると思います。

佐渡島氏:その感覚はすごい面白いですよ。アカウント複数持っている人も多いですし。過去に別人格を演じるコンテンツを作っているときに、普段では言わないキワドいことが、思わず口から出ちゃったことがあります。そのときに「あ、今って複数の人格を持てる時代なんだ」と実感したことを覚えています。一部の人格だけで会える人たちがいるのって興味深いですね。

けいじぇい:現実の自分ではない、見せたいところだけ、振る舞いたいところだけをチョイスしてコミュニケーションするようになってきている、良い例ですね。

住吉:僕は複数のアカウントを、遊んでいるサービスで分けて使ってますが、人格の設定をあまり作らず「このコンテンツを楽しんでいる人」という純粋な部分に居心地の良さを感じています。

佐渡島氏:予防医学の研究者によると、ここ50年くらいで人間の脳の中でも特に「想像力」が発達しているらしいです。

日本で二次創作が流行るのは、想像力が豊かだからなんです。コミュニティに関わることによって、アカウント上のキャラや性格も望んだ形になれる、それが注目される時代になってきていることは確かですね。

テーマ(2):サービス初期はどうやってファンコミュニティを作るべきか

住吉:最初はファンが少ないコミュニティのほうが作りやすいと思います。『オセロニア』初期のファンミーティングで参加者1名のときは、じっくりと語ることができましたし。人数が少ないからこそ深く関われることは、逆にチャンスかも知れません。

佐渡島氏:それは100%賛成できます。「宇宙兄弟」のときは、人数が最初から多くて運営の方法がなかなかわかりませんでした。コミュニティは雑に扱わないことが原則なはずなのに、ついつい運営者目線になってしまいがちでした。

なので、人数が少ないコミュニティはラッキーだと感じて欲しいですね。フォロワーが500人しかいなければ、全員が選んでくれるようなコミュニティにじっくり育てるべきです。

もし、自分の作品がオリジナルであれば、最初からネタ出しを頑張って、濃いコミュニケーションを心がけましょう。たまに自分の弱みを見せると、さらにフォロワーとの関係性を深く築けると思います。

けいじぇい:全く違う目線ですが、コミュニティって数値化が重要な事業計画とは相反するので、時間軸の考え方を、経営陣などとコンセンサスを早めに取っておくのが大事です。

人間は目に見える数字に注目しがちなので、オーディエンスではなく自分たちも運営に食い込んで盛り上げ、広げてくれる人たちを生むこと、コミュニティが人間関係を拡大させる、という世界観を自分たちの周辺で作ることが大事だと思います。

住吉:さらに、初期はお金をかけないこともポイントです。続けやすい形でじわじわと。

佐伯:でも、じっくり取り組むと、逆にスピード感が出ないと思われないですか? 

DeNA佐伯嶺

佐渡島氏:「紙を100回折ると宇宙に届く高さになる」のと同じく、倍々ゲームみたいに、コミュニティにまず1人を連れてくることを繰り返していけば、加速度的に増えていくはずです。

そして、過剰な関係値は作りすぎず、間口を入りづらく、出やすくします。自然と初期のコミュニティの人も入れ替わりつつ、徐々にサイズが大きくなるなら、問題は少なくなると思いますよ。

住吉:コミュニティがゆっくりと盛り上がり、広がっている途中で「この情報を出せば、これくらいの人数が集まる」みたいな、数字の概念を突然入れてしまうと、とたんにコミュニティがおかしくなるので注意が必要です。

佐渡島氏:実は、地域コミュニティの運営方法が解決策を持っていると思うんです。サイズの違う共存したコミュニティに属しながら、小さい規模では安心できる濃い関係性を、人数や盛り上がりによってサイズが変化する大きなコミュニティでは、流れにまかせる関わり方にすると良いですね。

けいじぇい:『逆転オセロニア』のコミュニティには、オセロニアンの期待するような世界観が必要です。ギスギスせず、強者だけが楽しい場所じゃない、サイズが大きくなってもコミュニティの雰囲気やカラーが維持されることを、コミュニティマネージャー(※)などとしっかり考えて運用していかなければいけませんね。

住吉:『逆転オセロニア』は対戦ゲームですが、「たまたま負けちゃった! 」と言いやすいゲーム性を持っています。コミュニティ内でも負けたことが絶対的な上下にならないのが、親しみやすいコミュニティの性質にもつながっているのかもしれません。

※コミュニティマネージャーとは、オフラインイベントやSNSなどを通じて「プレイヤーの熱量を高めること」をミッションとする職種のことです。

第二部の続きはレポートの後編で! 

イベントレポート後編記事では、さらに盛り上がった第二部のテーマ3~6をもとにした対談内容を紹介しています。コミュニティ論の学び方、失敗例やこれからの未来についても談義されているので、要チェック!

【イベントレポ後編】GDMプランナー向け座談会vol.13 ~コミュニティファーストなプロダクト運営~

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitter アカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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【CEDEC2018まとめ】ゲーム系登壇者の一言感想&資料つき

注目のゲーム系セッション振り返り

2次元キャラが3次元にやって来る!~歌マクロスでのAR施策~

登壇する小野と北林

ゲーム・エンターテインメント事業部第三開発部の小野と北林が登壇。「ARとVRの違い」「なぜARを実装しようと思ったのか」「実装してみての苦労話」など、訪れた来場者の興味を惹きつける内容となりました。

 

Q:まずは小野さん、登壇してみていかがでしたか?

登壇する小野

キャパが120名の会場だったんですが、事前にはどのぐらいの聴講者が来るのか全く予想できず、「ガラガラだったらどうしようかな……」とか思っていました。実際には、開始前にはかなりの行列ができており、講演途中で「満員で入れません」になったとあとから聞きまして正直ホッとしました。

終わったあと喫煙所で、セッション聞いてくれた専門学校生3名に突撃質問されたのですが、熱量高い人達でなんだかうれしくなりました。やっぱゲーム作る人は熱量大事! とあらためて思った一日でしたね。

Q:続いて北林さん、登壇してみていかがでしたか?

登壇する北林

途中でスライドが入れ替わっているトラブルがあったりして少しオタオタしましたが、やってみてとても良い経験になりました。また、その後の登壇者懇親会やDevelopers’ Nightなどでも、講演内容をきっかけにして多くの方々と交流させて頂きました。

CEDECへの登壇を通じて、業界の方々にノウハウやナレッジの共有ができ、今後ARを活用した施策の参考になればと思います。

次世代QAとAI 〜ゲーム開発におけるAI活用に正しく向き合うために〜

パネルディスカッション

パネルディスカッション式のセッション。DeNAからはAIエンジニアの奥村(写真:右から1番目)が登壇。株式会社スクウェア・エニックスの三宅氏、株式会社セガゲームスの阪上氏、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社の大野氏とともに、QAとAI活用における各社の取り組みなどが紹介されました。

 

Q:奥村さん、登壇してみていかがでしたか?

今後より複雑化していくゲーム開発と人手不足に対する危機感から、AI活用について真面目に向き合いたいという気持ちで登壇しましたが、業界の第一人者の方々とのディスカッションはとても実のあるものになったと思います。打ち合わせでは何時間にも及ぶ白熱した議論がありましたが、その一端をお見せできていたら嬉しいです。

『逆転オセロニア』におけるAI活用〜ゲーム運用における取り組みとノウハウ〜

最終日となる24日(金)は、奥村が『逆転オセロニア』でのAI活用の取り組み・ノウハウを紹介。

 

Q:奥村さん、登壇してみていかがでしたか?

談笑する奥村

現在関わっているAIプロジェクトの技術を余すことなく公開することを目的に登壇しました。講演後、技術の中身やプロジェクト観点での質問が非常に多く寄せられて嬉しかったです。ここでの議論やノウハウが、他のゲーム開発者の方々の参考になれば、業界のAI活用もより一層進んでいくと思います。

『逆転オセロニア』が実践した“コミュニティと共創するゲーム運営”

登壇するけいじぇい

ラストは、先日2,100万DLを達成した「逆転オセロニア」のプロデューサーである香城(けいじぇい)が登場。ゲームではなく、「サービスとしてプレイヤーに届ける価値」という観点から、事例を交えて紹介しました。

 

Q:香城(けいじぇい)さん、登壇してみていかがでしたか?

CECECでの登壇は初めてでしたが、非常に刺激的な体験になりました。

はじめはオセロニアのコミュニティマネジメントの話に終始しようと思っていましたが、発表されたタイムスケジュールを見て、CEDEC20周年記念の基調講演として3日間の最初の講演がマリオの生みの親である宮本茂さん、3日間の最後の講演が私だったのを何かの縁だと思って、脈々と続くゲームの歴史の流れの中でバトンをつないでいけるような未来への提言をしたいと思いました。色々思案した結果、「For2020 ポストソーシャルゲーム時代」という形で想いも伝えました。

談笑するけいじぇい

講演終了後も、ありがたいことに、たくさんの方が列をなして、もっと話を聞かせてほしい、今度、別のイベントでも話してほしいなど反響がポジティブだったのは嬉しかったです。

 

DeNAもCEDEC2018をサポート

多くの来場者

今年で20週年を迎え、先日無事に閉幕したCEDEC2018。任天堂株式会社 代表取締役 フェロー 宮本氏の基調講演から始まり、のべ3日間で来場者は数千人を超え、多くの賑わいを見せました。

water

CEDEC2018会場では、来場された皆さんに、冷たいペットボトルウォーターを配布。暑い中来場くださったので、大変好評をいただきました。

関連リンク
【公式サイト】逆転オセロニア
【公式サイト】歌マクロス スマホDeカルチャー

©1982,1984,1992,1994,1995,1997,2002,2015,2017,2018 ビックウエスト
©2007 ビックウエスト/マクロスF製作委員会・MBS
©2009,2011 ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会
©DeNA Co.,Ltd.

【CEDEC2018】注目のゲーム系セッションまとめ。気になる見どころを、登壇者に聞いてきた

CEDEC2018開幕

いよいよ開催が近づいてきたCEDEC。1999年にスタートし、20回目という節目を迎えた今年は、AIやARなどの最新事例の他、大ヒットゲームの運営術など、見どころが盛りだくさんの内容になっています。(最新情報や詳細は「CEDEC2018公式サイト」をご覧ください)

期間:2018年8月22日(水)~8月24日(金)
会場:パシフィコ横浜会議センター (横浜市西区みなとみらい)
主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 (CESA)

注目のセッションと見どころ

GeNOM編集部では、注目する登壇者にセッションの見どころをインタビューしてきました。ぜひこちらを読んで、会場に足を運んでみてください! 当日は「そこまで話していいの!?」というくらいの実例をまじえたノウハウが聞けるかもしれませんよ。

 


2次元キャラが3次元にやって来る!~歌マクロスでのAR施策~

=登壇者紹介=

小野 良憲 | Yoshinori Ono

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部
ゲームコンテンツ事業部 第三開発部
プロデューサー

北林 達也 | Tatsuya Kitabayashi

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部
ゲームコンテンツ事業部 第三開発部
グループマネージャー

=セッション日時=

8月22日(水) 16:30〜17:30

お二人それぞれの自己紹介をお願いします!

小野:

株式会社ハドソンにて、プランナー・ディレクター・プロデューサーとして勤務。2011年DeNA入社、『Marvel: War of Heroes』や『歌マクロス スマホDeカルチャー』に携わっています。

北林:

『歌マクロス スマホDeカルチャー』ではディレクターを担当していました。ゲーム業界歴は長く、前職カプコンでもプログラマーやプロデューサーとして数多くのタイトルに関わらせて頂きました。

お二人でのセッションとのことですが、登壇内容を教えてください!

小野:

“大好きなキャラが2次元から飛び出して来てくれる” その気持ちよさ・楽しさをプロモに活かすことができた!
という実例を共有するセッションです。

北林:

可愛いキャラクターたちと現実世界で会いたい! 一緒に写真撮ってみたい! 自分の部屋で踊って欲しい!
そんな想いを形にするために選択したのがARでした。これをどのようにしてプロモーションに活かしたのかお話したいと思います!

どんな人に聞いてほしいですか?

小野/北林:

・ARに興味がある人
・プロモでネタを探している人
・ARを使ったプロモーションに興味がある方
・3Dキャラを使ったゲームでユーザの気を引きたい人

=受講難易度=
甘口(学生含めどなたでも)

注目ポイントは?

小野:

3Dキャラがかわいく&カッコよく踊る『歌マクロス スマホDeカルチャー』ですが、ARを使用したプロモーションでユーザーやファンの皆さんに大いに盛り上がっていただけました。どのような点が支持されたのか、実際の反響はどうだったのかなどを共有しつつ、AR施策において注意すべき点の知見なども併せてお伝えできればと思っています。

北林:

歌マクロスは、他のリズムゲームには無い本格的なダンスが特徴です。その歌姫のダンスをあらゆる方向から見ることが出来るARモードについて、やってみての知見や失敗談などについてお伝えいたします。

当日の意気込みを聞かせてください!

小野:

CEDEC登壇するの、実に13年ぶりでして。
前回とはモバイルゲーム業界のユーザ層、タイトル群など環境が全然変わっていますが、よいゲームをユーザに届けて楽しんでもらおう! という気持ちは変わっておらず。ぜひ、今回のオーディエンスにも“歌マクロスとその施策の楽しさ”が伝わるといいな! と思っています。

北林:

CEDECはいつも聞く側での参加でしたが、今回登壇側での参加ということで気合入ってます!
手法の話だけでなく、一歌マクロスの魅力も一緒にお伝えできたらと思っています!


次世代QAとAI 〜ゲーム開発におけるAI活用に正しく向き合うために〜

=登壇者紹介=

奥村 純(株式会社ディー・エヌ・エー/写真)
三宅 陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス)
大野 功二(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)
阪上 直樹(株式会社セガゲームス)

=セッション日時=

8月22日(水) 17:50〜18:50

奥村さんの自己紹介をお願いします!

国内外の研究機関で宇宙物理学の研究に従事し博士号取得。2014年4月にDeNAでデータアナリストとしてのキャリアをスタート。ユーザー体験や事業推進をデータからサポートすることを目指し、主にゲーム領域のデータ分析・パラメータ設計の経験を積む。2017年1月より機械学習エンジニアに転身し、強化学習技術を中心としたゲームAIの研究開発を推進。

登壇内容を教えてください!

近年、多くの領域でAI活用が期待されており、ゲーム業界もその例外ではありません。このパネルディスカッションでは、AI活用の中でもQA領域に目を向けて、現時点での課題感の整理やどのような導入が期待されているか、また各社の具体的な取り組みや今後の未来予想図について幅広い話題を提供したいと思っています。

AIを導入するといっても難易度は高く、各社が独自に取り組んでいてもなかなか進まない可能性があります。このセッションではこのような課題意識のもと、どのように業界全体が連携できるかというテーマにも触れる予定です。

どんな人に聞いてほしいですか?

これからどのようにAIが活用されていくのか知りたい、現在モバイル・コンシューマ領域でどのような取り組みがあるのかを知りたい、という方々に向けて幅広い話題を提供します。AI技術についても甘口レベルで解説を行うため、機械学習やAIといった領域に習熟している必要はありません。

=受講難易度=
甘口(学生含めどなたでも)

注目ポイントは?

モバイルやコンシューマで実際にAI導入を検討し活動しているメンバーの取組事例から、広く業界を俯瞰していただけることがポイントです。


『逆転オセロニア』におけるAI活用〜ゲーム運用における取り組みとノウハウ〜

=登壇者紹介=

奥村 純 | Jun Okumura

株式会社ディー・エヌ・エー
AIシステム部 AI研究開発第二グループ
AI研究開発エンジニア

=セッション日時=

8月24日 (金)16:30〜17:30

登壇内容を教えてください!

現在、DeNAのゲームタイトル『逆転オセロニア』にて、様々なAI活用が検討・推進されています。
具体的にはオセロニアのような複雑なゲームを人間レベルでプレイできるAIの構築を始め、長期運用をサポートするためにキャラクターのスキルをリリース前に評価するAIなど、野心的な挑戦を続けています。

この講演では、技術的な解説にも踏み込みながら、私たちがどのようにゲーム領域のAI開発に取り組んでいるか、AI導入という特殊なプロジェクトを進める上で気をつけるべきことなど、様々なノウハウにふれる予定です。

どんな人に聞いてほしいですか?

ゲーム領域でのAI活用を検討したい開発者をターゲットにしています。具体的な事例を多く取り入れ、現場目線でのノウハウを共有するので、実際にAIプロジェクトとして足を踏み出す際の参考にしていただけると思います。

=受講難易度=
辛口(ある程度の経験がある人へ)

注目ポイントは?

実際にどのようにAIプロジェクトを進めているか、どのように技術開発が行われているか、という事例を持ち帰ってもらえるのがポイントです。特に『逆転オセロニア』をプレイするAIエージェントを作る、という難易度の高い課題に対して、どのように考えてアプローチしたのか、思考プロセスも合わせて知っていただくことができます。

当日の意気込みを聞かせてください!

近年、ゲーム領域でもディープラーニングなどの最新技術を利用したAI活用が話題になってきました。ビジネスとして夢のある話は多いですが、一方で実際にプロジェクトとして取り組んでいくと、多くの苦労があるのも事実です。実際に、DeNAで進めている『逆転オセロニア』でも様々な試行錯誤や反省がありました。

どちらの講演でも、なるべく現実的な目線でAIについて語りたいと思います。このような場を作ることで、AIに対する正しい期待値のもと、今後地に足のついたユースケースが業界全体で増えていくことを期待しています。


『逆転オセロニア』が実践した“コミュニティと共創するゲーム運営”

=登壇者紹介=

香城 卓 | Taku Kojo

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲームサービス事業部 第一ゲームサービス部
逆転オセロニア プロデューサー

=セッション日時=

8月24日 (金)17:50〜18:50

自己紹介をお願いします!

1982年石川県生まれ。中央大学卒。2011年株式会社ディー・エヌ・エー入社。Mobageプラットフォームでのソーシャルゲーム運用・開発を経て、『逆転オセロニア』を企画・開発。「けいじぇい」の愛称で、同タイトルのプロデューサーに従事。

登壇内容を教えてください!

GDC2018でもたくさんのセッションがあったように「コミュニティ」に関するサービス手法は全世界で大きなトレンドとなっています。しかしながら、現在の国内ゲーム市場で実践できているケースは決して多くありません。

・年間30本以上! “オフラインイベント全国行脚”の効果と目的
・ゼロ距離でプレイヤーに接する“顔を見せる運営スタイル”
・本邦初公開となる“コミュニティマネジメントの分析手法” …etc

『逆転オセロニア』のコミュニティマネジメントのノウハウを、具体的な実践例と共に、余すことなくご紹介します。

どんな人に聞いてほしいですか?

ソーシャルゲームのみならず、toC向けサービスの運営・開発経験がある方はよりお楽しみいただけます。

=受講難易度=
中辛(この分野の初心者へ)

注目ポイントは?

いわゆるコンテンツマーケティングのみに閉じず、コミュニティの力を借りて、コミュニティと一緒に成長させていくゲーム運用手法を、具体的な実践例と共にお話いたします。

当日の意気込みを聞かせてください!

国内最先端のコミュニティマネジメント手法をお届けします。お楽しみに!

▼あわせて読みたい
1600万ダウンロード突破!『逆転オセロニア』〜オセロニアの誕生から今後の展望まで〜

入場パスについて

いかがでしたか? これで予習もバッチリ! レギュラーパスやデイリーパス、エキスポ&スポンサーパスなどの事前登録は8月15日(水)までとなっています。一部のパスは当日販売も可能。来場を迷われている方も、ぜひ友人をお誘い合わせの上、各セッション会場でお会いしましょう!

受講のお申込みはこちら
※事前受講登録期間:7月1日(日)~8月15日(水)

 

関連リンク
【公式サイト】逆転オセロニア
【公式サイト】歌マクロス スマホDeカルチャー