【DeNAコミュニティテック最前線】ゲーム運営の課題をテクノロジーで解決! データをフル活用するコミュニティマーケティングは新たなステージへ

スマートフォンゲーム運営において、コミュニティマーケティングに取り組み続けてきたDeNAゲーム事業部マーケティング部。これまでさまざまな施策を通じて、コミュニティの形成/拡大を推進してきましたが、SNSを活用したブランディング活動の重要性を強く感じてきたそうです。

そして今回GeNOM編集部では、この領域を推進してきたマーケティング部の鶴川が、分析部やAIシステム部のメンバーとともに、データを活用してコミュニティマーケティングを進化させる取り組みを行なっていることを聞き、開発中のツールや高度な分析手法の詳細、そして今後の取り組みについてインタビューを実施しました。

コミュニティ運営をテクノロジーで進化させる

――まず最初に、鶴川さんが考えるコミュニティマーケティングの「あるべき姿」について教えてください。

鶴川:まず、コミュニティとはさまざまな定義があり、一言で纏めることは難しいですが、私は「同じ価値観/目的を持った人が集まり共感し合う集合体」だと考えています。

その上で、コミュニティマーケティングとは[su_highlight background=”#fcff99″]「プレイヤーと信頼関係を構築し、そのプレイヤーのゲーム愛を醸成しながら事業を拡張していくマーケティング活動」[/su_highlight]だと私は考えています。

この考え方に沿って、オンライン・オフライン問わず、さまざまなコミュニティ施策を各ゲームを通じて提供してきました。

――コミュニティマーケティングで大事にしていることや課題、今後の展開についてはいかがでしょうか?

鶴川:コミュニティマーケティングの施策の精度をより高めるためには「プレイヤーのことを正確に理解する」ことが、とても大切です。プレイヤーがゲームに求めていることを、誤認無く理解することが、より良いUI/UXの提供に繋がっていくと常に考えています。

ですが、プレイヤーの皆さんがゲームをプレイする目的は千差万別で、コミュニティマーケティングの施策を検討する際、プレイヤーの方々のニーズをMECE(モレなくダブりなく)に把握することに、とても時間がかかっていました。その部分に関して、より効果的な運営が実現できる基盤が必要だと感じていたんです。

――コミュニティを可視化していくことで、さらにプレイヤーの満足度を高めていこうと?

鶴川:はい。それを実現するためのツール開発には、専門的な知識が必要です。技術的な面など、マーケティング部内だけでは実現できないと悩んでいた中で、分析部の安達さんに出会ったのが、プロジェクト開始のきっかけです。

これまで私が抱えていた課題を安達さんに伝えると「全部可能だと思います!」と素晴らしい回答をいただき、さっそく要件を具体的に決め始めたのが2019年1月~3月、少しずつですが4月からツールの運用を開始し始めました。

鶴川将志 | マーケティング部ソーシャルメディアブランディングGr
DeNA入社後、ゲームタイトルのマーケティング全般(TVCMやイベントなど含む)の戦略を策定し、関連部署と連携して全体を推進するマーケティングプロデューサーとして従事。2018年4月にコミュニティマーケティンググループ グループマネージャーに就任し、2019年よりソーシャルメディアブランディンググループを立ち上げる。「ゲームプレイヤーの熱量を高める」ことをグループのミッションとし、オンライン/オフラインのコミュニティ施策の戦略立案と推進を行うチームをマネジメントしている。

――鶴川さんから相談を受けて、第一印象で安達さんはどのように感じましたか?

安達:提案された課題は、個人的にとても興味深かったです。コミュニティマーケティングをデータドリブンにして、コスト削減・業務効率化することで、ゲーム事業だけに留まらず、スポーツ事業やソーシャルライブ事業など、全社的に貢献することができます。

また、コミュニティ分析に関しては科学的な面白さもあります。私たちは、家族・学校・仕事から趣味・SNS上まで、さまざまなコミュニティに所属しています。それを抽出・分析・予測することで、我々はなぜコミュニティを形成するのか、などの本質に迫れたらいいな、と思いを巡らせていました。

鶴川:実は4年ほど前から、コミュニティの分析手法に対して、SNSの運用がどのような影響を与えているのか検討していたのですが、難易度が高く、ことごとく頓挫した経緯があります。ですので、このプロジェクト開始で、ようやく突破口が開けたと言えます。

マーケティング、分析、AIの専門家が、独自分析ツールを開発

――では改めて、今回開発に至ったツールの機能について教えてください。

鶴川:コミュニティマーケティングの分析は定量と定性の両面で行っていますが、定量データを取得することが非常に難しく、今までは定性データを軸にした分析を行っていました。しかしプレイヤーのことを、より正確に理解するためには定量データの分析が不可欠です。

だからこそ、この定量/定性データを照らし合わせて、効率良く分析ができる基盤を作りたいと常々考えていました。

詳細はこの後に説明していきますが、本ツールには主に3つの機能があります。

・分析自動化の強化(TwitterAPIを最大限活用しつつ、分析集計の工数を削減)
・コミュニティの可視化(日々変動するコミュニティの動きを可視化する)
・インフルエンサー発掘(影響力があるプレイヤーを発見する)

先程もお話ししたとおり、まずは安達さんに相談し、その後小口さんや田中さんを巻き込んでプロジェクトが進行していきました。具体的には分析自動化の強化は小口さん、コミュニティの可視化は安達さん、インフルエンサー発掘は田中さんに主に担当していただきつつ、全員で積極的に議論しながら開発を進めています。

安達:DeNAの各事業部において、TwitterなどのさまざまなSNS上で施策が行われているので、今回開発したツール、そして採用している分析手法は組織を横断して使えるため、かなり意義のあるものだと思いますね。

田中:それに、機械学習やAIをコミュニティマーケティングに活用している事例はあまり多くないので、この取り組みを通して、新しい市場を切り拓いていきたいですね。

分析自動化の強化

――それではツールの詳細について質問です。まずは、分析ツールの機能のひとつ「分析自動化の強化」に関して、機能紹介や仕組み、活用方法、運用実績、ケーススタディなどを教えてください。

鶴川:Twitterの数値分析を正しく、かつ少ない工数で可視化したいと考えたのが、この機能のはじまりでした。

小口:まずデータを可視化するため、TwitterのデータをGoogleスプレッドシート(以下GSS)でグラフ化、KPIの数値を出せる仕組みを作りました。

DeNAでは内製BIツール「Argus(アーガス)」を使い、ゲームの行動ログなどを用いてデータ分析をしており、それをプロダクトの改善やUX向上のための施策立案に役立てています。このプロジェクトでもArgusで可視化するという選択肢もありましたが、今回はGSSを採用しました。

その理由としては、[su_highlight background=”#fcff99″]データ分析を後続の業務とシームレスに繋げたいという意図があった[/su_highlight]からです。例えば現行の業務だと、Argusで可視化してそのデータをExcelに落とし、さらにExcelでまた集計してグラフにしてスライドに貼る、みたいな業務があったりします。

データを業務に用いるまでのプロセスが長いので、大元のデータベースが更新されたら、アウトプットのスライドまで一気に自動で更新されるような仕組みがあったらなと思っていました。そうすれば、データの集計作業ではなく、データの結果からプロダクトや施策のことを考えることにより時間を充てられると思いました。

DeNAでは、分析用のデータベースとしてGoogleのBigQueryを利用していますが、年々BigQueryを中心としたビッグデータ解析のエコシステムが成熟してきています。今回のGSSも裏側でBigQueryのデータベースと繋がっていて、誰もが見慣れたGSSのインターフェースからビッグデータ解析ができるようになっています。

また、今回のケースでは利用しませんでしたが、BigQuery MLというSQLで機械学習のモデル開発ができる機能もあり、それもGSSのみをインターフェースにして利用できたりします(詳しくはデータエンジニアリングGrのグループマネージャーが登壇したCloud Next Tokyo 2019の発表をご覧ください)。

小口力也 | 分析部データエンジニアリングGr
2017年に新卒で総合電機メーカーに入社し、全社ITの統括部門で社内システムの企画、開発に従事。2018年にDeNA入社後は、分析部データエンジニアリングGrの立ち上げに参加し、データエンジニアとしてアプリゲームのビッグデータ解析基盤の構築に従事。ゲーム内の行動ログをもとにしたデータウェアハウスの設計、開発から、機械学習を用いた高度な分析のシステム構築など、事業の意思決定をデータドリブンで実現するためのインフラ構築に取り組んでいる。

鶴川:このツールはただ数値を表示するだけではなく、その数値をどう使うかも含めて設計したので、集計結果をそのままレポートできるようになっています。

小口:SQLを用いたGSSからBigQueryへ問い合わせも、スケジューリングができるので、データベースが更新されていれば、GSS上のデータも更新されます。

もし、サマリのグラフなどをGoogle Slideのグラフに連携していれば、それも同様に最新の情報にアップデートされます。データベース、GSS、スライドを連携することで、コミュニティマーケティング関連の分析作業を、革新的ともいえるレベルで効率的にしました。

鶴川:小口さんが話してくれたように、使う側のユーザビリティも意識して作ってくれているので、他事業部への展開のしやすさも大きな強みですね。担当者には「ここに日付を入力するだけですよ」と説明するだけですぐに使えるのでマニュアルもいらず、助かっています。

それとは別で、データを元にどういう観点で、どういう示唆を導き出せるかの考え方を纏めた資料を作りました。ツールの価値を最大限引き出すために利用者の分析力を高める取り組みも、同時に行っています。

――ちなみに、どのようなデータが可視化できるようになっているのでしょうか?

小口:GSSで可視化できるのは「毎日のオーガニック(通常投稿)の投稿数」「リツイート数」「期間中に頻出して使用されたハッシュタグ」など、さまざまな指標です。

また、「Google Natural Language API」というGoogleのサービスを利用して、テキストの感情のスコアを定量的に取得しているので、BigQuery上にそれらのデータを保持しておけば、例えば「この施策におけるプレイヤーの反応がポジティブなのか、ネガティブなのか」といった情報などもGSS上で可視化することもできます。

鶴川:Google Natural Language APIを利用した分析結果と、こちらの感覚がほぼ合致しているので、精度は結構高いと感じましたね。

安達:あと、ツールのユーザビリティにはこだわりましたね。作ったものの、使われなくなってしまうツールが多々ある中で、それを防ぐために、鶴川さん側と、施策に繋げる上で必要・不必要な情報については徹底的に議論した覚えがあります。

鶴川:要件に関しては、自分が事前にマーケティングのメンバーからヒアリングして、安達さんたちとディスカッションしました。良い意味で無駄な要素を削ぎ落とせたと思っています。

小口:このツールでは、期間を指定するだけでKPIを可視化できるんですが、比較も可能になっていて「先月の施策に対する反応」と「今月の施策への反応」を比較したいとき、期間を別々に指定することで、どんな違いがあるのかひと目で分かるようになっています。

――誰でも簡単に扱えるようなユーザビリティが整備されているんですね。ちなみに可視化するまでの過程で苦労した点はありますか?

小口:GSSとBigQueryを連携する機能が「Connected Sheets」や「Data Connector」といった比較的新しい機能で、特にConnected Sheetsについては現在β版なので、周囲に実務で導入している人がおらず、またWeb上に知見もたまっていないので、手探りな部分はありました。

――ちなみに鶴川さんとの連携で大変だった点はありますか?

小口:強いて言えば、鶴川さんの推進力が高いので、次々と全社でニーズを引っ張ってきて頂いたところですかね(笑)。それだけ[su_highlight background=”#fcff99″]「ユーザーコミュニティをもっと良く理解したい、それを施策に活かしたい」[/su_highlight]という全社のニーズが高かったのだと思います。

――現在では案件はまだ増えているんですか?

鶴川:いえ、現在は一旦落ち着いていて、実績を生み出すフェーズに移行する段階に入っています。

小口:BIツールでの可視化については、今後[su_highlight background=”#fcff99″]「Looker」の導入が決まっている[/su_highlight]ことが最近のトピックです。

鶴川:Lookerを使用することでツールのユーザビリティがもっと向上しそうですね。

小口:そうですね。LookerにはViz Blocksというダッシュボードのテンプレートを使って、簡単にダッシュボードを作成できる機能があるのですが、社内外の人が活用できるコミュニティ分析のテンプレートを開発することにも、チャレンジしてみたいですね。

5時間の工数が、10分に短縮

――ちなみに小口さんの開発の成果として、かなり工数削減が実現したと聞いたのですが?

安達:そうなんです。世間でデータドリブンやAIといった概念が浸透している中、コミュニティマーケティングの仕事についてヒアリングしたとき、実はマニュアル作業が多いと聞いて驚かされたんです。これはイケてないね、ということで業務効率化を行いました。

鶴川:この効率化に関しては[su_highlight background=”#ffa299″]「5時間かかっていた作業が10分で終わった」[/su_highlight]という、ものすごいインパクトがありましたね。

プレイヤーのことを正確に理解するために、定量/定性データの収集を行い、そこからプレイヤーのインサイトを見つける業務を毎日欠かさず行っています。

特に定性データの収集は、集計結果の品質を高めるためには時間を要していたのですが、小口さんのツールのおかげでかなり短縮することができました。

――このツールと機能が広まれば、全社的に大幅な工数の削減ができるかも知れませんね。

鶴川:今まさに、それに取り組み始めています!

安達:データに対するリテラシーが高くないと気付きづらい面もあるので、この記事のように社内外に発信していくことで、導入を考える人が増えてほしいですね。また、こういった取り組みを通じて関係値を築くことで、高度な分析に対するアイデアのやりとりなどがスムーズに進むと良いですね。

鶴川:確かにルーチンワークがスリム化できたので、新しい企画やアイデアを考える時間に頭を使えるようになると期待しています。

コミュニティの可視化

――それでは次に「コミュニティの可視化」に関して、分析の詳細や活用方法などを教えてください。

安達:はい。まず特定のゲームで盛り上がっている人々の中からコミュニティを抽出して、それらが時系列でどのように拡大・縮小・結合・分裂・消滅していくのかを可視化しています。

また、各コミュニティが「イラストが好き」「ストーリーが好き」「運営について語りたい」など、どういった話題を中心に形成されているのかを調べています。

そこで得た知見を元に、SNS上全体のアクティビティを活性化させるためには、どのコミュニティ同士を繋げればいいのか、また、各コミュニティにどういった内容の施策を行うと反応が良さそうか、といった方向への活用の検討を行なっています。

また、さまざまなゲームコミュニティ間の距離を計測・可視化することで、あるゲームを始めてもらうためには、どの他ゲームに関連するコミュニティにどのようなキャンペーンを行えば良いのか、施策のヒントとなる分析を行なっています。

安達 涼 | 分析部第一Gr
人間の意思決定プロセスの数理モデル化と、その神経基盤を解明する研究に従事し、カリフォルニア工科大学PhD(計算論的神経科学)を取得。2018年にデータアナリストとしてDeNAに入社。機械学習の手法のみならず、行動経済学の知見などを用い、人間のゲーム内外での行動データを包括的に理解することで、ゲームタイトルの運営力・UX向上を目指している。

――特に苦労した点は?

安達:データが全くない状態からスタートしたので、小口さんのチームとデータ収集について連携してデータを用意し、そこから分析まで、ゼロからイチまで行う、というプロセスが大変でした。

でも実際、苦労したという感じはなく、そのプロセスも楽しく感じましたね。人と人とが興味で繋がってコミュニティを形成していく、そのプロセスがデータで確認できるってすごい時代ですよね。

海外では、SNSの会社が研究機関と連携してコミュニティ関連の分析を行なっていたりしますし、日本でも徐々に流行っていくのではと感じています。

――コミュニティを分析して数値で表現する仕組みを教えてください。

安達:コミュニティを抽出するためには、まずユーザーのネットワークを作成する必要がありますが、作成の仕方にもいろいろあり、例えば、フォロー・フォロワーの関係性で組んだり、ツイート・リツイートの関係性で組むこともできます。

この定義次第で分析できることが変わってくる、この曖昧さが難しい部分である一方、クリエイティブな方法を見つけたりできる面白い点でもあります。

日々変動するコミュニティの可視化によって、施策も改善・進化

――鶴川さんはこの機能について、実際に使ってみてどうでしたか?

鶴川:これから本格的に活用するフェーズに入りますが、新発見が多く、こちらの仮説が意外と外れていたことも分かりました。また、その仮説が外れたからこそ新しいアイデアが生まれるきっかけにも繋がっています。

――Twitterのリアルタイム性の高さに関しては、どのような対応ができますか?

安達:今回の分析では、ゲームのコミュニティがどのように拡大縮小しているのか、コミュニティごとに何に興味があるのか、などを抽出・可視化しています。

Twitterは非常にアクティブなSNSなので、ネットワークやコミュニティの変化は激しいと思っていたのですが、コミュニティというレベルでの変化は、割と安定していることがわかりました。

これはもちろん、リリースからの年月、そのゲームタイトルがカジュアル層向けかコア層向けか、でも変わりますが、この観点からのゲーム間比較も面白そうですね。

鶴川:複数のコミュニティがいつの間にか合体して大きくなったり、分裂したり、人間の目では分かりづらい様子が時系列で見えるので、面白いですよね。

あるゲームに関連するコミュニティの時系列遷移の可視化例。
各コミュニティは拡大・縮小・結合などを繰り返している。

――ちなみにコミュニティの動きが見れる画面は、基礎知識がなくてもすぐに理解できるのでしょうか?

安達:さまざまなサイズのコミュニティが週ごとに拡大・結合・消滅して遷移していく様子を可視化しています。

田中:その部分をより見やすく、わかりやすくするのが、まさに自分たちの今後の仕事ですね。

安達:ええ。コミュニティの遷移に加えて、各コミュニティで流行っている話題なども一目でわかるようなダッシュボードの制作も予定しています。

――これまでの話を聞いていると、なんとなく銀河系、宇宙空間をイメージしてしまいます。

田中:確かに似ているかも知れませんね。Twitterの拡散範囲は、人間が認知不可能なくらい広がっていますし。太陽系は今まで詳細に観測できているけど、さらに遠くの惑星や銀河には未知の部分も多くあるように、まだ見えていない部分を解明していくことが、本プロジェクトのひとつの目標ではありますね。

安達:そうですね。コミュニティの変遷はまるで生き物のようにも見えますよね。それをデータを元に分析して、これから色々な施策に活用していくことを考えるとワクワクしますね。

インフルエンサー発掘

――続いて、「インフルエンサー発掘」に関して、機能紹介や仕組み、活用方法、運用実績、ケーススタディなどを教えてください。

田中:この機能については研究開発のフェーズですが、現時点で行なっていることについてお話ししていきます。

当初の鶴川さんからの要望は、[su_highlight background=”#fcff9″]Twitterにおいてプレイヤーや運営の投稿が誰に届き、どうやって広まっているのか、誰を経由して強弱が変化しているのか、その伝播過程を知りたい[/su_highlight]といった内容でした。

さらに、熱量高くプレイを続けてくれるプレイヤーは誰なのかを、大規模なSNSの中から見つけて欲しい、といった「インフルエンサーを可視化してほしい」という内容も含まれていました。

田中 一樹 | AIシステム部データサイエンス第一Gr
2017年にDeNA入社後、データサイエンティストとしてアプリゲームに関する AI 機能の開発に従事。現在は、多様な事業へのデータサイエンス活用を目指した研究開発や課題発掘に従事。「速習 強化学習 – 基礎理論とアルゴリズム-」(共立出版) の翻訳、「Practical Developers ―機械学習時代のソフトウェア開発[ゲームアプリ-インフラ-エッジ編]」(技術評論社) の執筆に携わる。学生時代からデータ分析の大会に没頭し複数大会で入賞。Kaggle Master。

田中:「インフルエンサー発掘」と説明しましたが、実際には「インフルエンサーの可視化」「インフルエンサーのインフルエンス力(影響力)の可視化」「抽出したインフルエンサーの特徴分析」について重点的に実施しています。

インフルエンサー分析の可視化画像

田中:「インフルエンサーの可視化」については、すでにインフルエンサーになっている人を発見する分析と、将来インフルエンサーになりそうな「ポテンシャルインフルエンサー」を予測し、事前に発見する分析を行なっています。

既存のインフルエンサーについては、すでにさまざまなアルゴリズムが研究されており、それらを活用し抽出しています。

例えば良質な情報を発信している人、情報伝播や繋がりのハブとなっている人、拡散力があり情報の発信頻度が高い人、などさまざまな角度からインフルエンサーを発見しています。

まだPoCの段階ですが、汎用性の高いアルゴリズムが多く、現在では20~30種類の指標を使って、自動的にインフルエンサーを抽出し、分析することができるようになってきました。

また、未来のインフルエンサーをデータサイエンスやAIで予測することができれば、運営が事前に熱量が高まりそうなインフルエンサーと接点を持つことができます。ここではAIを使って過去のアクションや嗜好性、繋がっている人の情報などから、将来インフルエンサーになりそうかを予測しています。

――AIで未来のインフルエンサーを発掘するのは、DeNAならではの取り組みかもしれませんね!

田中:そうですね、AIの活用を通じてなるべく多くの方に情報を届けていきたいですね!

続いては「インフルエンサーのインフルエンス力(影響力)の可視化」についてお話しします。

インフルエンサーを可視化した後、実際にどのくらい拡散されるのか、どうやって拡散されていくのかを知りたくなりますよね。その部分を解明するために、我々はツイートの拡散シミュレーションに関する研究開発も行なっています。

インフルエンサーがあるツイートをしたときに、どんな経路で最終的にどれくらいの人数に拡散されるのかをシミュレーションする研究開発が進んでおり、マーケティングでの簡易的な運用は可能になり始めています。例えば、Twitterにおける広告配信など、SNS上の幅広い範囲に情報を行き渡らせるためのターゲティングに活かしたいと考えています。

ここで研究している手法の中身は、[su_highlight background=”#fcff9″]Influence Maximization(影響最大化)と呼ばれる最適化系の問題でバイラル(口コミ)マーケティングの文脈で語られることが多い[/su_highlight]です。「どこに施策を打つと情報の広がりが最大化されるか」というテーマで最適化をする分野で、一般的に解くのが困難な問題ではありますが、上手く工夫しながら実応用を目指して取り組んでいます。

しかし、現実世界のSNSは単純ではありません。自分が発信したツイートを他の誰かがX%の確率でリツイートしてくれる、といった確率を正確に把握することは、難しいことが多いです。

ただし、我々はそれを解決するためにツイート内容などから、情報が伝播する確率を推定する取り組みも行なっています。

例えば、親和性の高い人同士は高確率で情報伝播しやすい、嗜好が似ておらず興味が異なる人同士では情報がリツイートされにくいなど、さまざまな観点からより現実的な拡散シミュレーションができないか日々検証しています。

他にはフォローが多い人はタイムラインが流れやすく、ツイートが目に留まる確率が下がる傾向があるので、拡散される確率もその分減るのではないか、といった仮説検証もしています。

――Twitterなど投稿するのは人間なので、あいまいな部分を解明するのは大変では?

田中:そうですね。その部分に関しては安達さんが行なっているコミュニティの分析と連携しながら、この人はどのジャンルが好きなのかといった趣向も深掘って分析したいと考えています。

――このインフルエンサー発掘の機能について、鶴川さんはどう感じていますか?

鶴川:とても未来的で、今後のプロモーション施策などへの活用方法は多彩だと思います。さまざまな情報が行き交う今の時代では、サービス提供者の発信だけではコミュニティへ情報を十分に行き届かせるのは、とても難しく限界があると感じており、ゲームに関する情報発信していただけるプレイヤーの方々の力が、情報伝達に必要不可欠な時代になっています。

私たちは「フォロワー数が多い」「発信回数が多い」と言った表面上の数値だけではなく、もっと本質的な要素も含めてインフルエンサーの発掘をしたいと思っています。

田中:コミュニティとインフルエンサーの両方の観点を組み合わせて連携することで、今までできなかったような有効な取り組みができたら良いですね。

――今後のマーケティング施策も成功する確率をさらに上げることができると?

田中:まさに取り組んでいる最中ですが、このプロジェクトではAIによって作成されたシミュレーションや予測を元に施策を実施した後に、その結果をAIのアルゴリズムにフィードバックする工程をなんども繰り返し、全体のワークフローを精緻化することで成功確率を上げていきたいなと思っています。

鶴川:施策自体も変わりますが、それを作るプロセスも実際変わってきています。今まで見ていなかったデータを当たり前に見るようになってきていますし、施策を考える際に連携を図るチームも変わってきています。

田中:全員に全く同じマーケティングをするのではなく、イベント関連の施策はこのインフルエンサーに、バトル関連施策はこのコミュニティに、といったようにジャンルやゲーム毎に施策の検討方法が変わっていくと思いますし、そのクリエイティブを作り始める段階から連携できれば、新しい価値を生み出せるかもしれませんよね。

データはこれまでにない強い武器となる

――このようなコミュニティ分析ツールは、ゲーム業界以外でも開発・活用されているのでしょうか?

安達:日本だけでなく世界的にも、データサイエンスやAIを用いてコミュニティの分析を推進する取り組みは少ないと思います。

コミュニティという粒度で包括的に、データを元にした施策を考えていく取り組みはあまり耳にしないですね。

田中:Twitterの自動ボットやターゲティング広告などの取り組みはが多いと思いますが、コミュニティの性質をデータから細かく分析する取り組みは、あまり多くないと思います。

鶴川:このプロジェクトではマーケティング施策を最大化させていくという観点ももちろんありますが、それ以上にプレイヤーの体感・体験を向上することに強くフォーカスしています。

――冒頭でも少しお聞きしましたが、鶴川さんが安達さんに相談してから、ツールが開発されるまでのフローを改めて教えてください。

鶴川:まず最初に実現したいことをまとめつつ、ダッシュボードのイメージを含めて、安達さんと要件をすり合わせていきました。

安達:まずTwitterの基本的な統計量取得による工数削減および、データサイエンスを用いた高度な分析で実現したいこと・できそうなことをまとめました。それから自身でPoC(Proof of Concept:概念実証)をして、まずダッシュボードを作成しました。

その後、さらにスケールさせるために小口さんに相談をして、ダッシュボードにいろいろな人がアクセスできるよう拡張してもらいました。また、高度な分析でも実現したいことが多く、田中さんにも参加していただいた流れになります。

小口:自分が驚いたのは、鶴川さんの推進力の高さでした。データ分析を生業としている私たちデータエンジニアやデータサイエンティストが分析をして「こういう意思決定をするべき」とコンサルティングをして巻き込むというよりは、データを使ってより良い意思決定をしたい、と望んでいるメンバーが中心となって始まったプロジェクトだったので、スピード感や熱量が他のプロジェクトより高かったと思います。

また、鶴川さんがこの取り組みを他事業部に共有してくれたのも、嬉しかったですね。データは施策や意思決定に活用してもらわないと価値がないですし、それを全社に届ける動きをしていただいたのは非常に助かりました。

鶴川:少し照れますね……(笑)。実は自分のストレングスファインダーの資質の中では「分析思考」がかなり強いんです。もともと未知の発見が好きなので、なるべく食わず嫌いはしないようにしています。

また、時間が空いたときに安達さんからネットワーク理論について教えてもらって、勉強しています。これまでコミュニティマーケティングの人間が、何となく感覚で理解していた部分に、アカデミックな情報が加わると、明確に言語化できるので楽しいですし、学んでいきたいですね。

――ただ要件を依頼するだけでなく、お互い学びながら成長すると?

鶴川:はい。お互い似ている領域ではありますが、所持しているナレッジが違っていたのかなと思いますね。それを交換しながらパフォーマンスを上げていきました。

――このツールについて他の事業部からのフィードバックはどのようなものがありましたか?

鶴川:実はつい最近共有したばかりなんですが、一様にかなり驚いた反応をしていました。

これまでは「こんなツールあったら便利かも」くらいに抽象的なイメージしかなかった中、それを具体的に可視化、言語化できるツールが登場したので、驚きがあったのだと思います。

コミュニティの運用においては、どのようなデータを見れば良いのか、またそのデータをどのように取得すれば良いのか判断がとても難しいです。

本ツールで取得したデータを使用して、プロデューサーなどのメンバーと議論していますが、[su_highlight background=”#fcff9″]ファクト(事実)を示すことができる[/su_highlight]ので、議論の質も高まっていると思います。

――しっかりと説得できるデータが取得できているからこそ、これまでにない強い武器になると?

鶴川:はい。ほとんどの人は、Twitterやネット掲示板を常に見ているわけではなく、スキマ時間にチラッと見た情報が正になってしまうことが多いですが、コミュニティは常にリアルタイムに動いています。

全体を理解できていないのに結論付けてしまうことが、これまで課題だったのですが、このツールのおかげで、総合的にサマリを伝えることが可能になったのは、大きな強みと言えますね。

人と人を繋いでユーザー体験を向上したい

――今後、本ツールの運用で事業(ゲームだけでなく)に対してどのような成果を目指していきたいと考えていますか?

小口:今回はTwitterだけの取り組みでしたが、他のプラットホームにもコミュニティは存在しているので、それらのオープンデータを活用できる状態を実現したいですね。また、グローバルでのユーザーコミュニティの可視化にもトライしたいです。

安達:コミュニティはゲームに限らず、どこにでも存在するので、その汎用性を生かして他の分野に広げていきたいと考えています。また、ここ最近の機械学習手法の進展によって、高い精度でコミュニティ抽出ができるようになったり、かなりアクティブなリサーチエリアになっています。

コミュニティマーケティングの重要性の増加と相まって、今後活用先が増えるのは確実です。今回の分析をきっかけとして、社内外で協力して、マーケット全体のスタンダードを作れればと思っています。

田中:もちろん汎用的な技術なのでさまざまな事業へ横展開していきたいと考えていますが、私がデータサイエンスやAIを活用するときの軸としているのが[su_highlight background=”#fcff9″]「サービスに触れている方に楽しさや新たな体験を届ける」[/su_highlight]ことです。

抽象的ですが、人と人が繋がり、今まで以上にハッピーになる世界を目指したいですね。このプロジェクトでは、データサイエンスやAIを通じてその橋渡しができるきっかけを作りたいと思っています。

鶴川:コミュニティマーケティングは大きな可能性を秘めていて、テクノロジーの力を活用しコミュニティの可能性をもっと引き出せれば、今までにない新しい取り組みに繋がると考えています。その新しい取り組みで、より多くの人により楽しい体験を提供していきたいと思います。

――ゲームやサービスを通じて、プレイヤーをさらにハッピーにできる技術が進化していくのは、とても楽しみですね。ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:齋藤暁経

ヒットの確率を1%でも高く!ゲームの“面白さ”を科学する、DeNAの新たな挑戦【ユーザーインテリジェンス部 小東祥】

DeNAゲーム事業部に新設されたユーザーインテリジェンス部では、新規タイトルの開発やマーケティング方針に対する「意思決定精度の向上」と、ゲーム体験における「改善点の示唆だし」をミッションとして掲げています。今回、ユーザーインテリジェンス部の部長を務める小東に、現在の主な業務内容や今後のチャレンジなど、今期にかけるさまざまな想いをインタビューしました。

ゲーム事業部の羅針盤となる存在へ

――まず最初に、ユーザーインテリジェンス部が発足した経緯から教えてください。

DeNAのゲーム事業は、今後大型IPを中心とした開発戦略を掲げており、国内市場におけるNo.1および、世界有数の「パブリッシャー」になることを目指しています。

「パブリッシャー」としての役割は多岐に渡りますが、ゲーム開発会社様、アプリストアを提供するプラットフォーマー様、IPを所有する版元様など、多くのステークホルダーの方々にとって、DeNAがパートナーシップを組むべき魅力的な企業になり、より多くの良質なゲームタイトルを世界中のプレイヤーに提供していきたいと考えています。

そして今後もDeNAでは数々の新規タイトルのリリースを見込んでいますが、昨今のモバイルアプリゲーム市場では、良質なゲームが市場に溢れかえっており、プレイヤーからの要求水準も上がり続けていると感じます。

DeNAの会社の資源も体力も無限ではありませんので、いかに有望な企画を徹底的に磨き続け、万全の品質でリリースし、適切にマーケティングを行ってプレイヤーに届けるかが大切であると考えています。そして、その一連の流れを支援するミッションを担って誕生したのが、ユーザーインテリジェンス部です。ちなみに社内では略して「ユザイン部」って呼ばれています(笑)。

小東祥(こひがし しょう)| ユーザーインテリジェンス部 部長 
2012年新卒でDeNA入社。入社以来一貫してゲーム事業領域でのプラットフォーム/ゲームタイトル分析を担当。 分析部の部長、『逆転オセロニア』や『メギド72』など自社オリジナルゲームの運営部門の部長を経て、2019年4月よりユーザーインテリジェンス部とAI推進部の部長に就任。

――新規タイトルのヒットに、部としてコミットしていくのでしょうか?

はい。主なミッションとしては、新規タイトルの開発やマーケティング方針に対する「意思決定精度の向上」と、ゲーム体験における「改善点の示唆だし」の2つを掲げています。意思決定や改善の精度を高める事で、私たちは新規タイトルのヒットに資する組織になっていきたいと考えています。

――リリース前から万全な分析やリサーチを行っていくのですね。

はい。今後もDeNAでは数多くのゲームや、周辺事業への展開を含む事業企画を立ち上げていきますが、一つひとつの事業規模も拡大しています。

そのため、それぞれの企画が狙う市場の明確化や競合/市場規模の把握、企画/コンセプトのプレイヤーへの受容性の把握など、創出しうる事業インパクトを可能な限り見極めて開発を開始したうえで、さらにプロダクトやマーケティング品質を最大限に高めきった状態でリリースして、ようやくスタートラインに立てるような状態だと思います。

だからこそ、まずは市場の中で「良質なタイトルとは何か」を分析・リサーチし、リリース前から品質を徹底的に磨き、プレイヤーの期待を超えていくレベルまで持ち上げていくかがカギになっていきます。

今後はグローバル展開も積極的に行っていくため、各国のさまざまな遊び方をするプレイヤーのゲームに対する評価や感想などを分析して集めて、開発に生かしていきたいですね。

そしてユーザーインテリジェンス部の動きによって、DeNAが世界中のプレイヤーやステークホルダーから支持される「パブリッシャー」へと成長していくのが大きな目標です。

――社内からの期待も大きそうですね!

そう感じています。仮に品質が良くないタイトルを世の中に出してしまうと、自分たちのブランドが傷つくだけでなく、せっかく手に取って遊んでくれたプレイヤーをがっかりさせてしまいます。それではプレイヤーに無駄な時間を浪費させてしまいますし、そのような事態は絶対に避けなければなりません。

将来的に「DeNAのゲームは全体的に品質が高い」「安心して長く遊び続けることができる」というような認知をされるブランディングへと結びつけていきたいですね。

――他社でもユーザーインテリジェンス部のように、専門組織を設置しているケースがあるのでしょうか?

海外の代表的なコンシューマゲーム会社では、ユーザーリサーチャーやUXリサーチャーを含めて、数十~数百人規模の組織が設置されている例もあります。特に据え置き機のプラットフォームを展開する会社さんは、さまざまな開発会社とやり取りする中で、専門組織がプレイヤーの生の声など分析・調査した結果をもとに、製品開発のヒントを共有・提供しているとのことです。

昨今のモバイルアプリゲーム市場でも、開発からパブリッシュまでの全工程を単一の会社で担うことが難しくなってきています。そこでプレイヤーの分析・調査を実施する我々のような専門部隊が、パートナー企業様に対して「DeNAと組めば、きちんとプレイヤーの声を聞いて製品開発のヒントを提供してくれて、ヒットに繋げる事ができる!」といった魅力的な価値も産み出していきたいと考えています。

分析のエキスパートが集い、未来を確実なものへ

――では、ユーザーインテリジェンス部の具体的な業務内容を教えてください。

ユーザーインテリジェンス部は、「意思決定精度の向上」と「改善点の示唆だし」がミッションということは既にお伝えしました。

そのため、意思決定や改善の示唆だしに資する情報を戦略的に集め、分析し、意思決定者(事業部長やプロデューサー)に提供する事をメインに活動しています。具体的には、市場の有力/競合タイトルの分析・調査や、新規タイトル/コンセプトの市場規模調査など、一連のマーケティングリサーチ業務を実施しています。

これらの取り組みを進める上で、当然といえば当然なのですが、ゲームが最終的にプレイヤーにどう受け取られるのかについては、[su_highlight background=”#fcff99″]プレイヤーの評価が最も重要なポイント[/su_highlight]になると考えています。

ーーマーケティングリサーチ業務には、プレイヤーへのインタビューなども含まれるのでしょうか?

はい、定性的な声を聞くためにも、インタビューの分析は重要です。そのため、ユーザーインテリジェンス部のメンバーはほとんどが分析部との兼務や、異動してきたメンバーで構成されているんです。

理由としては、マーケティングリサーチを活用してゲームタイトルの課題を発見し、改善に導くような機能は既に分析部で保有しているためです。私自身も2012年の入社後からゲーム事業の分析に関わり続け、分析部の部長として、分析を活用した事業価値の創造に取り組んできました。

https://genom.dena.com/other/analysis_department2019_a/

ーーすでにノウハウなどは十分にあるのですね!

はい、分析部が持っている運用タイトルにおける分析・調査機能は維持しつつも、新規タイトル開発における「意思決定精度の向上」という新たなミッションを担って始動したという事になります。

――では、部内のチーム体制について教えてください。

現在、チームは2つあり、競合タイトルやアプリ市場全体を分析する「市場分析チーム」と、マーケティングリサーチの手法を活用して企画内容の検証を実施する「リサーチチーム」になります。

「市場分析チーム」はゲームやエンタメ分野に対して幅広い知見を持ちながら、競合や市場を分析することに強みを持っており、最新の状況をスピーディーに理解することが得意なメンバーが揃っています。

「リサーチチーム」は、調査や統計、データ分析に対する知見や強みを持つメンバーが多く、分析・調査を駆使してゲームを改善していくことにコミットしたいと考えている人が多いですね。

――メンバーにはさまざまなバックグラウンドを持つ人も多いと聞きましたが?

調査会社出身のメンバーも多いですが、コンシューマゲーム会社の営業や、漫画家といった経歴を持つ人もいるんですよ。このように多種多様なバックグラウンドを持つ人の知見が集まることで、新たなアイデアが生まれるようなチーミングを心がけています。

最近では「ユーザーインテリジェンス部の業務に興味があるんです!」と社内外から声をかけてくれる人もいて、その際にはいろいろ相談させてもらっています。新設の部なので、門戸はかなり広く開いていますよ。

月次定例MTGの風景

――ここまでは、市場やプレイヤーを対象とした調査・分析をメインにお聞きしましたが、社内の他部署とはどのように連携しているのでしょうか?

まず前提として、実際にゲームが事業として成功するかどうかを見極めるうえで、市場規模やマネタイズ、さらにゲームサイクルやインゲーム/アウトゲーム、世界観、グラフィック、プロモーション、コミュニティなど、さまざまな観点があります。そして、これらをすべて高いレベルで実現していかないと、市場が求めるクオリティには到達しないと考えています。

そのため、ゲーム開発の初期フェーズにおいては、このようなすべての要素を、プレイヤーの意見だけで評価するのは難しいため、社内の「熟練の開発者の意見」を、意思決定の参考材料とする仕組み化にも取り組んでいます。

ユーザーインテリジェンス部が各部門のハブとなって、プロデューサー/ディレクター、マーケター、デザイナーなど、さまざまな領域のスペシャリストが培ってきた専門性をもとに意思決定の参考材料を提供する事で、事業部長やプロデューサーの意思決定精度を向上させるのが狙いです。

――さまざまな「熟練の開発者の意見」をまとめることは大変そうですね……。

そうですね(笑)。熟練の開発者の知見を誤解なく理解するために、その分野の知識を一定身につける必要がありますし、熟練の方からより有効な意見を引き出すために、コミュニケーションの方法論やアンケート設問設計など、どこまでも高みを目指せる分、大変です。

例えば「面白い」という言葉一つとっても、非常に主観的で人によって想定している感情は違ったりする事はよくありますよね。そのような場合は、例示を挙げて適切に意図を確かめたりなど、元々の意図を損わないように工夫しています。

建設的な議論で、新規タイトルの成功をサポート

――この部の活躍で、社内では今後どのような影響が出ると考えていますか?

これまで話してきたように、例えば新規タイトルへの投資に関する意思決定を行う際に、ユーザーインテリジェンス部は「意思決定精度の向上」を目的として、市場調査などをもとにした事業規模の試算を行い、意思決定者(事業部長やプロデューサー)に提供します。

その際には、ポジティブな内容もネガティブな内容もフラットにお伝えする事になります。ストレートに言うと、その結果としてプロジェクトが止まる事もありえます。

一方で、開発チームは自分たちのゲームは一番面白いし、絶対に成功すると信じていますので、彼らにとって我々のような組織は、ともすれば煙たがられる存在になりかねないと思うんです。

ですが、DeNAには「コトに向かう」「発言責任」など、デライトにまっすぐに向かうチームであるためのDeNA Quality(※1)という行動規範があります。

※1……DeNA Quality:チームとして最大限のパフォーマンスを発揮するために掲げられた、全社員に必要な共通の姿勢や意識(「こと」に向かう・全力コミット・2ランクアップ・透明性・発言責任)

開発チームの意図通りにプロジェクトが前進することはもちろん大事ですが、ゲームがプレイヤーにどう届いているのか、楽しんでくれているのかなど、客観的に把握して前に進んでいかないと、DeNAが大事にしているデライトの提供が実現できないと思っています。

ですので、仮にある開発中の新規タイトルが、その時点でのプレイヤーからの評価が悪い場合には、どうすれば成功確度が高くなるのかを分析し、その実現可能性も踏まえて意思決定する事が重要だと思っています。そうすることで、開発チームから煙たがられず、逆に頼られるようになると思っています。

ーー課題を明らかにすることが重要なのですね。

はい、「我々がこう言ったので、PJを止めることにします」など思考停止した意思決定をしてしまうのは本末転倒です。ユーザーインテリジェンス部の活動を通じて生み出したい状態としては、ゲームタイトルに対して「見極めの質を高く」しつつ、「見極めの通過率も高く」する。そして「徹底的に品質を高めてリリースする」という状態です。

ーー開発チームと一丸となって、成功を目指していく姿勢が大事だと?

そうです。我々は第三者機関ではないので、「見極めてハイ終わり!」ではなく、開発チーム含めた”チームDeNA”として事業の成功にコミットする事が重要だと思っています。

社内の大きな関門部隊になるのではなく、例えば仮に見極め時のゲームの評価が悪かったとしても、一度やると決めた事に対しては、成功確率を1%でも高めるためにコミットするという事も「コトに向かう」だと思っています。ユーザーインテリジェンス部が「見極め」だけでなく「改善」というミッションも持っている事がその表れです。

――開発チーム側からはどんなタイミングで、どのような要望が入ってくるんですか?

さまざまですね。要望の中には本当にPJ初期の構想段階だと、「このIPのこういうジャンルのゲームは、どれくらいグローバル市場でニーズがありそうか?」みたいなざっくりとした市場の規模感試算依頼があったり、開発が進んでいくとゲームコンセプトに対する需要性調査やゲームシステム関連の課題抽出、、マーケティング領域ならストアアイコンのデザイン選択やテレビCMの訴求内容など、意思決定者が意思決定に悩んだタイミングで要望を受けます。

もちろん、その要望にはお答えしつつも、ユーザーインテリジェンス部のメンバーは開発チームに入り込んでいるので、こちらから「こういう調査を実施して、課題を明らかにして、改善の方向性を決めましょう」と提案を行う事も多くありますし、どれだけ能動的なアクションができるかが私たちのバリューだと思っています。

――多様な要望や課題に対して、ユーザーインテリジェンス部のスペシャリストがアサインされていくんですね。

それが大事ですね。IPを利用した要望ならそのIPに詳しいメンバーを、テレビCMならマーケティング領域に強いメンバーなど、要望に合わせて細かく考えてアサインしています。

また、社内だけでなくパートナー会社の方からも要望が来る場合もあります。例えばインタビューの場合であれば、実際にインタビューした様子を動画収録して、後日開発メンバーに見てもらったり、場合によってはインタビュー当日に同席してもらったりしています。もちろん、プレイヤーへの聞き方などは、我々が専門性を持って取り組んでいきます。

同席した開発者は「ここでプレイヤーがつまづくんだ……!」「この意見をすぐ開発に生かしたい!」と喜んでくれることも多いです。また、DeNAはパートナー会社と組んで開発するゲームも多いので、なるべく多くのステークホルダーに共有するようにもしています。

最新テクノロジーをも導入する、学術的なアプローチ

――これからどのようなチャレンジをしていくのでしょうか?

ゲーム領域に関わらず、マーケティングリサーチは各業界ですでに広く取り組まれています。一方で、DeNAは前述した分析部を中心に、プレイヤーの行動ログの分析やAI・機械学習の活用も進んでいるので、それらを組み合わせる事で、あらゆる角度から分析が可能になっているのは強みだと思います。

――分析の方法論はたくさんありそうですね。

はい、ただそれぞれの「分析手法の限界」を知る事は重要だと思っています。

例えば行動ログの分析だと、人間の行動を精緻に把握する事は得意ですが、行動の裏にある意識を把握する事はできません。一般的なアンケートやインタビューのような手法だと、人間の顕在化された意識を把握することは得意ですが、まだ自分自身も気付いていないような潜在意識を掘り起こすのは難しいものです。

我々はプレイヤーの”面白い”という非常に主観的で言語化の難しい感情を解き明かそうとしており、しかも新規タイトルの場合は既に顕在化している”面白さ”をただ満たす事だけではなく、潜在的なニーズを満たす事まで求められます。これってものすごく難易度の高いチャレンジングな事だと思っていて(笑)。

そのための技術や理論は世界中で今まさに発展中だと思っていて、心理学や認知心理学、表情認識や血流など生体反応の検出・分析など、時にはデバイスの開発会社と組んで、実験的に新しいアカデミックなテクノロジーを取り入れたりもしながら、人間の潜在的な感情を掘り起こすチャレンジをしています。

――科学的にも、面白さを研究していくのですね!

他にも、プレイヤーをただ評価を問う対象と捉えるだけでなく、ゲームの熱狂的なフォロワーとして開発に参加していただくような「共創マーケティング」の可能性もあると思います。

DeNAは事業会社なので、見極めや調査という枠を超えて、事業で付加価値を創出するためのアイデアは積極的にトライしていきたいですし、中長期的にはそれ自体が「パブリッシャー」としての価値になっていくと思っています。

――今後は増員を図っていくと思いますが、この部ではどんな人が活躍できる環境ですか?

ユーザーインテリジェンス部で活躍できる人としては、「ゲームやエンタメなどのコンテンツの魅力を言語化してヒットに導きたい」「人間の”面白い”と思う感情ってどうなっているんだろう?」といった、コンテンツや人間への科学的な興味がある人はかなり向いていると思います。

ゲームという複雑な要素を持ったコンテンツを見極めるためには、要素の見方やプレイヤーの潜在的な意識と感情を解明することが大事になりますので、そこにワクワクしながら一緒に挑戦してくれると嬉しいですね。

逆に、明確な答えが見えない状態がモヤモヤする、ちゃんと答えが欲しいという方には合わないかもしれません。新設されたばかりで、業務が固まりきっていない今だからこそ、体験できるカオスさもありますので(笑)。

――最後に余談ですが、部のネーミングはどのように決まったのでしょうか?

メンバーからの公募で決めました。日本ではゲーム領域に関して、このような役割を持つチームがあまりなく、参考にできる名前がありませんでした(笑)。そこでチームメンバーに相談したところ、たくさんの候補が挙がってきたんです。

最終的に、自分たちが担う役割がきちんと反映している名前がいいな、と思い「ユーザーインテリジェンス部」に決めました。

ちなみに「ビジネスインテリジェンス」という言葉は一般的に知られており、ビジネス上の意思決定の精度を上げるための情報の可視化や、ツール提供を意味していたので、最初は「ビジネスインテリジェンス部」にしようと考えたんですが、ちょっと実態とイメージが異なるかなと思って(笑)。

そこで少し趣向を変えて、意思決定の支援を「プレイヤーの声や反応」に強く着目していることを考え、ビジネスではなくユーザーという言葉を使うことにしました。

――ありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集:佐藤剛史
撮影:栗原美穂

※本記事は2019年9月時点の情報です。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitter アカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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【ナカノヒトTalk #004:アナリスト中川友喜】Kaggle初挑戦で金メダル! 常に付加価値を高める意識作りの秘訣

DeNAのゲーム開発の現場には、どんな人が働いていて、どのような思いを持って仕事に取り組んでいるのかーー「ナカノヒトTalk」は、社内のさまざまな職種の人へのインタビューを通して「人となり」をお伝えする特集です。

今回の「ナカノヒトTalk #004」では、分析部でマネージャーを務めるアナリストの中川友喜に、社内で驚きの声も多かったKaggle初挑戦でのメダル獲得に関して、話を伺いました。

最近では新設されたユーザーインテリジェンス部の業務も兼任し、今年3月には待望のお子さんも誕生。公私共に忙しいながらも充実した毎日を過ごしている、彼の人となりをのぞいてみましょう。

分析部マネージャーと
ユーザーインテリジェンス部を兼務

――お忙しい中ですが、本日はよろしくお願いします!まずはじめに、最近のお仕事について教えてください。

これまで担当してきた分析部でのマネージャー業務に加えて、4月からは新設されたユーザーインテリジェンス部で、さらに幅広く分析の仕事を兼務するようになりました。

もちろん、引き続き分析部のマネージャーとしても、組織の課題解決やメンバーのサポートを担当しています。

――ユーザーインテリジェンス部では何を?

新規開発中のゲームタイトルに対して、投資承認の場で関係者が皆納得した上で、よりよい意思決定を行うための支援をすることをミッションとしています。経営の意思決定に直結する業務が多く、単純に分析力だけではなく、より良い意思決定を行うにあたって、理想的なプロセスとはどういうものであるかなど、深く考えることが必要になっています。

ヒットの確率を1%でも高く!ゲームの“面白さ”を科学する、DeNAの新たな挑戦【ユーザーインテリジェンス部 小東祥】

――兼務で大変だと思いますが、中川さんが仕事を進める上で、大切にしていることはなんですか?

自分が関わっている業務の中で、いかに付加価値を高めるか、ということを意識しています。組織としての成長だけでなく、個々の仕事に対しても、少しずつでもレベルを上げていくために、小さなチャレンジを重ねています。

Kaggle初挑戦で金メダルを獲得

――それでは本題です! 今年の3月にKaggle初挑戦で金メダル(9th place)を獲得したことについて、苦労した部分や気づいた部分を教えてください。

自分が初挑戦したKaggleのコンペは、いわゆる電線と呼ばれる「架空線」に取り付けられたセンサーの信号データから、異常を検知する仕組みを作って、その精度を競う内容です。

このコンペには、全世界で約1,500人ほどの参加があり、自分はチームではなくソロ(1人)で挑戦して、その中で9位を獲得しました。

今回の挑戦は、まったくの未経験からのスタートだったため、まずはKernelsやDiscussionなどに公開されている他の参加者の解法やソリューション、議論を参考にしました。

また、コンペのお題に似ている「信号から異常を検知する」トピックや、それに関連する論文に目を通し、ネットや本で情報を得ながら、ひたすら試行錯誤を繰り返したことを覚えています。

――かなり勉強されていたのでしょうか?

DeNAでは、業務時間中にkaggleに時間を使える制度(kaggleランク制度)があるのですが、対象はいわゆるkagglerと呼ばれるAIシステム部のデータサイエンスチーム(※1)になります。

※1……【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた

自分はその対象外なので、業務外のプライベートな時間を使ってコンペにチャレンジしたんですが、その費やした時間が、トップランクのKagglerと同じくらいと、周りにツッコまれてしまいました(笑)。

――相当な労力をかけてメダルを獲得したということですね。そういえば、中川さんって8ヶ国語を操ると聞いたんですが……。

学生時代に必要にかられて勉強していただけですよ(笑)。普段は日本語で、Kaggleの勉強のときは英語を使っています。

――金メダルを獲得してから、その後の周囲の反応はどうですか?

獲得したばかりのときは、社内だけでなくSNSでつながっているKaggleコミュニティの人たちから、お祝いの言葉をたくさんいただきました。社内では「突然現れた新人がメダルを獲ったぞ!」とザワついていたようです(笑)。

獲得してから以降も、自然言語処理(NLP)や音声認識、画像認識など、引き続き複数のコンペに参加して、メダルを複数獲得することができました。

――現在では、どのくらいKaggleに時間を費やしていますか?

これまでは、家に帰ってKaggleをやって寝る、休日もほとんどKaggleをするような生活だったのですが、子供が生まれたことと、担当する業務量も増えてきているので、最近はなかなか時間を使えていませんね……(泣)。

――社内のKagglerたちとも仲良くなり、Meetupにも参加しているとお聞きしましたが。

以前DeNAで開催した「Data Analyst Meetup」に参加しないか、と声をかけていただき、一緒にパネルディスカッションをさせてもらいました。

おかげさまで社外のアナリストとも交流することができ、仕事内容や課題、チャレンジしていることを共有することができました。

――当時、Kaggleに挑戦しようと思ったきっかけは?

社内では2018年にKaggle制度が導入されましたが、当時はKaggleの存在は知っていたけれど、あまり興味はなかったんです。

そんな中、分析部内でもスキル向上のためにKaggleを始める人が増え、今後さらにバリューを発揮するために、積極的に挑戦していく動きになっていきました。

自分はマネージャーとして、必要な知識として習得しておかなければいけないと考え、スタートしたのがきっかけですね。気付いたら思っていたよりハマってますが……(笑)。

――ちなみに、Kaggleをはじめて自分の中で変わったなと思うことはありますか?

これまでは、Kaggleで扱うデータサイエンスの問題に対しての知識・知見がほとんどなかったので、ノウハウを蓄積できましたし、Kaggleに関連した新しい人脈も作ることができました。

もちろん、成績ではまだまだトッププレイヤーの足元には及びませんが、Kaggleで習得した解法を仕事に生かすことができたり、課題の整理や、これまで解決できなかった難題を解けるようになったことは嬉しい限りですね。

――今後チャレンジしていきたいこと、考える将来像などを教えてください。

これまでも分析部は組織として事業の課題解決に貢献してきたと思っていますが、今後はさらに分析を通じて解決できる課題の領域やレベルを拡大していきたいと考えています。

そのために、部として最重要視している「ビジネスに貢献する」という価値観を守りつつ、広く深く分析技術を習得した上で、これまでうまくアプローチできていなかった課題解決にも取り組んでいきたいと考えています。

またDeNAの分析部を、取り組んでいる分析の技術レベルが高いというだけでなく、そういったハイレベルな分析を当たり前のように事業の意思決定やサービスの改善に還元できている世界を作り、社内外に誇れるような組織(※2)にしたいと考えています。

※2……【DeNA分析部特集Vol.5(前編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜分析の高度化に向けた次のチャレンジとは〜

子供が生まれて生活にも変化が

――ちょっとプライベートなお話をさせてください。待望のお子さんが生まれたと聞きましたが?

そうなんです!今年の3月に子供が生まれて、だいぶ生活が変わりました。昼間は妻が子育てをしてくれていて、休日は2人で協力して子育てを頑張っています。

分析部では去年がベビーラッシュで、パパママ社員が増えました。子供が生まれる前は「プライベートと仕事」のバランスを重視し、働きやすい環境を作ることは大事だと、頭では理解していたんですが、実際に自分の子供が生まれたら、より実感がわきましたね。

――小さい子供を持つ社員が多いチーム内で、残業を減らすことに対して何か工夫をしていますか?

去年マネージャーに就任したときから、メンバー全員で業務の効率化や残業時間を減らす取り組みは続けていて、グループとしてかなり改善してきたな、と思っています。

開発・運用タイトル数の増加に合わせて、工数も増えていくので、削減の仕組みやアサインの調整など、効率化を考えて全体で取り組んでいます。

――ちなみに、お子さんをアナリストやKagglerにしたいと思いますか?(笑)。

今は特に考えてないですね(笑)。本人がやりたくて、のめりこめることができればいいな、と考えています。メンバーに対しても「これをやりなさい」という強制はしないですし、得意なこと、仕事としてやるべきことを自分で判断し、そこに全力でコミットして欲しい、というスタンスです。

――今日はありがとうございました。

インタビュー・執筆:細谷亮介
編集・撮影:佐藤剛史

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNA分析部特集Vol.5(後編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜アナリストとして成長し続けるための環境とは〜

DeNAのゲーム事業において、参謀として様々な意思決定をサポートする分析部。Vol.4までは、アナリストをはじめとした各メンバーの役割を紹介してきました。さらに、Vol.5前編では、2011年から始まったDeNAゲーム事業における分析の歴史や現在のカルチャー、そして今後の課題などを分析部マネージャー3人の方に語っていただきました。

https://genom.dena.com/other/analysis_department2019_a/

Vol.5(後編)では、分析部の研修プログラムやキャリアなどをご紹介していきます。前編に引き続き、部長の藤江清隆に加え、マネージャーの吉川正晃と松﨑友哉の3人に話をうかがいました。

若手からシニアまでをサポートする研修の仕組み

――これまでの分析部特集で、個々の役割からビジョンまでを聞かせていただきました。後編ではまず、分析部の研修システムについて教えてください。

藤江清隆(以下、藤江:分析部では研修プログラムを充実させており、SQLを全く書けない人が書けるようになったりなど、一人前のアナリストとして活躍できる技術的なスキルアップを研修として用意しています。

そのため、アナリストとして必要なロジカルシンキングやゲーム業界の動向、マーケティングの基礎知識など、幅広く座学を受けられる体制になっています。

――そうすると、研修は若手メンバーが対象で、シニア向けには行わないのでしょうか。

藤江:いえ、そういうわけではありません。分析にも行動ログ分析やユーザーリサーチ、市場分析などいろいろな領域があり、それぞれ求められるスキルセットも異なります。

たとえば、行動ログ分析においてはシニアレベルのスキルを有していてもユーザーリサーチは未経験、といったケースもままあります。そういった場合、業務上の必要に応じて足りないスキルを身につけるための研修を受けることができます。

分析部 部長/藤江清隆

――具体的にはどのような研修を行うのでしょうか。

松﨑友哉(以下、松﨑:技術的なキャッチアップの面で言うと、まずはデータの流れをフロー図で可視化し、それぞれの役割において、どのような技術やツールを使っているかということをオリエンテーションします。そして、その方がどの役割を担うかによって、どの研修を受けるかを相談していきます。

研修というと座学がメインのイメージがあるかもしれませんが、分析部では思考力はもちろん、コミュニケーションの取り方も重視しているので、そこに苦手意識がある方でも、DeNAなりの分析の考え方をキャッチアップできると思います。

――研修はどのような流れで進めるのでしょうか。

松﨑:分析部の資料などを講師の方に説明してもらいながら、課題を解いてそのフィードバックを受けるので、キャッチアップはしやすいと思います。この研修が終わった瞬間から、社内で価値を出し始めることができるように、ひとりひとりカスタマイズした研修プログラムを組んでいることも、分析部ならではの特徴だと思います。

分析部 マネージャー/松﨑友哉

https://genom.dena.com/develop/analyst/

どんな初歩的な質問でも、誰かが迅速で答えてくれる

――講師はどんな方が務めるのですか?

松﨑:基本的には講師は現場で一緒に働くリーダーや、その部署で一番環境を理解しているメンバーが担当します。座学でわからないことがあれば、その場で質問をすることも可能です。

藤江:社内の連絡ツールとして使っているSlackチャンネルの中で、「お助けコーナー」という質問チャンネルがあり、新メンバーは必ずここに参加します。

ここでは、どんな初歩的な質問をしても構いません。自分のメンターが忙しくて聞きづらい時でも、Slackチャンネルなら40人近く在籍する分析部の誰かがすぐに答えてくれます。分析部のメンバーは、かつてここで質疑応答しながら、徐々にキャッチアップしていきました。

もちろん自分で調べることも大切ですが、わからないことはすぐに聞くというのも、アナリストとして求められる姿勢だと思っています。ちなみに、この「お助けコーナー」にはマネージャーは参加していないので「こんな初歩的な質問をするのは恥ずかしい」「同じようなことを何回も聞くのは気が引ける」など気にせずに、安心して質問ができます。

――それは良いコーナーですね。一方で、シニアの方から研修について「こうした方がよいのでは」といった意見が出たら、どんな対応をされますか?

吉川正晃(以下、吉川:意見はありがたく頂戴し、一緒に研修を良くしてもらうお手伝いに少しだけ参加してもらいます。「こうしたらどうか?」といった意見は常に受け付けていますので、特にシニアの方であればこれまでの経験を積極的にフィードバックしていただければと思います。

もちろん、研修生に対して講義や資料の改善点などのアンケートは取っているので、その内容をもとに常に内容のアップデートはしています。

――なるほど。常に研修プログラムがアップデートされているというわけですね。ところで、個人差はあると思いますが、期間はどのぐらいでしょうか。

吉川:早い人ですと1ヶ月、遅くても大体2ヶ月ぐらいでしょうか。前半で登場した岩尾のように、既に一定のスキルがある場合は2週間ほどで研修を終えるケースもあります。

分析部 マネージャー/吉川正晃

本人の特性と意思を尊重して、次のキャリアアップを目指す

――シニア向けの研修の方向性を教えてください。

藤江:分析部では、幅広く柔軟な対応ができるようになることを重要視しています。使えるスキルの種類が増えるほど、担当できる範囲も広がっていきます。

もちろん、本人の志向や特性を見ながら、特化型とオールラウンダー型に分かれていきます。ただ、機械学習やAIに関しては専門性が高いので、その領域のスキルに特化して伸ばしたいという人が多い傾向にあります。

――特性と個人の意思、どちらが優先されるものなのでしょうか。

藤江:総合的に判断しますが、基本的には本人の意思、やりたいかどうかを重視します。実際に業務に関わってはじめて「自分に向いている」「この分野は難しい」と判断できることもあるので、本人と納得いくまで話し合い、その後のキャリアステップを検討していきます。

機械学習の分野であれば、社内に在籍するKagglerのような世界トップクラスのプレイヤーと交流することで、スキルレベルを可視化して自分なりの判断材料にすることもできると思います。

――ほかの部署のメンバーと交流することで、自分の向き不向きを理解することができると?

吉川:はい。分析部の中だけでなく、社内を見渡してもさまざまなスキルや経験を持った人がいます。そういった人たちとも交流をすることで新しい知見を得たり、逆に自分の足りない部分をアドバイスいただけることも、DeNAという会社の魅力だと思います。

実際に、ネット上ですごい技術を持っているな、と思っていた人が実は社内にいたというエピソードもありました。すぐに社内のSlackで直接連絡して、世界レベルの情報を聞きにいけたそうですが、部署間の交流に隔たりがないところも、DeNAという会社ならではだと思います。

藤江:AI、機械学習、データサイエンスは似通った要素も多いですし、社内全体でさまざまな分野で高レベルの人たちが働いているので、切磋琢磨したい人には向いていると思いますね。モチベーションが高い人は、積極的にそういう人とコンタクトを取って共同で勉強会などを実施しています。

https://genom.dena.com/develop/mlanalyst_ai/

業務とメンバーとの議論の中で、スキルレベルを向上させる

――マネージャーとして活躍されている吉川さんや松﨑さんは、ご自身の成長をどのように実感していますか?

吉川:私の場合、社内の異動で分析部にジョインしました。分析について未経験でしたので、最初の壁は正しい事業課題を設定することでしたが、解決すべき課題の洗い出しや優先順位の付け方が得意になりました。

これは、分析部での業務と、メンバーとの議論の中で成長したものです。自分が欲しい知見を問いかければ、メンバー全員が回答してくれるので、次々と自分の経験値になっていきました。

――スキルレベルも上がった実感はありますか?

吉川:関わるタイトルが増えるほど、行動ログ分析だけでなく、ユーザーリサーチの知見や、ゲームのデザインについても幅広い理解が必要になってきます。

そのため、アナリストとして担当するタイトルが運用タイトルだけでなく、行動ログがまだ存在しない開発中タイトルもスコープに入ったときには、自分のスキルレベルが向上したと感じましたね。

行動ログだけで見ていた最初のフェーズから、どのようにリサーチ手法を活用すべきかという観点が増えたフェーズを経て、ゲームの中身へのインプットへと領域が広がり、現在では機械学習について判断する機会も増えていきました。

――松﨑さんはいかがですか?

松﨑:私の場合、前職はSEだったため未経験ながら、いちアナリストとしてやりがいのある業務を任せてもらい、非常に成長できる環境にありました。そうやって、タイトルをいくつか任されていく中で、事例を自分の中に積み重ねて経験していくほど、質の良い仮説を速いペースでアウトプットできるようになったことが成長実感としてありますね。

2年ぐらい経つと、それなりに結果も出てきて、これからどう成長していこうか考えていたところで、マネジメントというキャリアとしてのステップをうまく組み合わせていただけました。

マネジメントに携わり始めると、事業に対して自分がどう関わるかではなく、分析部として、組織のメンバーがどのように、どういった形で関わっていくかを考えるようになり、視野が広がっていったと思います。

分析部から広がるキャリアアップの道

――マネージャーとしての研修はあるのでしょうか。

藤江:ありますが、それよりも大切なのは、マネージャーの前にチームリーダーを経験し、マネジメントスキルを実地で身につけていくことだと考えています。まずはチームリーダーとして複数人のユニットを束ねられるかを見ていきます。

松﨑:チームリーダーを任された時期は、複数のタイトルを担当しながらだったので、まず余裕がなくなくなったのを覚えています(笑)。その段階で、どうやったら複数の業務を最適化できるんだろうと考えるようになりました。

結果として、自分がアウトプットを出すというのはHOWのひとつに過ぎず、他のメンバーが同じようにアウトプットして出しても、事業に対するインパクトは変わらないということに気付きました。いかに、組織全体を巻き込んでアウトプットを出していくかという思考が鍛えられましたね。

――チームリーダーからマネージャーへというステップアップも、ひとつのキャリアアップかと思いますが、分析部でチャレンジしていくことで将来拓かれるキャリアにはどのようなものがあるのでしょうか?

藤江:大きく分けて、部内でのキャリアアップと、部署単位で異動してのキャリアアップの2つがあります。一般的な分析部内のキャリアとしては、マネージャーになるだけでなく、スペシャリストとして現在携わっている業務領域を究めていく働き方もあります。

また、アナリストとしても、最初はひとつのタイトルの参謀、次に複数タイトルを横断しての参謀、さらには開発部長や事業部長の参謀と、担当範囲をどんどん広げていくのもわかりやすいキャリアアップの例だと思います。

一方、部署を異動してのキャリアアップは幅広いです。分析から事業責任者、事業管理をする部署で経営層の意思決定をサポートする人や、プロデューサーを束ねるマネージャーのような役割を担っている人もいます。

また、今注目されている分野として、人事を技術や分析の力で最適化させていく「HRtech」という領域がありますが、分析部から異動してその領域を担当している人もいます。

効率よく仕事をして趣味やコミュニケーションを楽しむ

――最後に、分析部の皆さんの働き方やプライベートについても教えてください。聞くところによると、現在ベビーラッシュだそうですね。

吉川:ベビーラッシュですし、サウナラッシュでもあります(笑)。

――えっ、サウナですか?

吉川:私と松﨑は毎週通っているんです。最近は、他部署の方も誘って、会社から歩いていけるサウナに入ってコミュニケーションしています。趣味のゲームの話をしたりして、思ったより息抜きになっていますね。

藤江:この業界は激務で毎晩遅く帰るというイメージが強いかもしれないですが、決してそんなことはありません。

分析に関わる職業柄、きちんと寝て休んで、頭をクリアな状態で効率よく仕事をして、きちんとアウトプットをしたら、早めに帰ろうという方針なんです。

もちろんゲーム開発にコミットすることが最優先なので、運用タイトルが大変な時期や、新作リリース直前は忙しい時期もありますが、基本は効率重視でやってほしいと、メンバーにはマネージャーからオーダーしています。

特に、子どもが生まれたばかりのメンバーは19時には帰宅して、子育てや奥さんのサポートをしていますね。早く帰るけれど、最大限のバリューは出すことは大前提としています。

松﨑:私たちもサウナ行くために、決まった日は業務を効率的に終わらせて早く帰るようにしています(笑)。

藤江:普段から会社と家の往復だけにならず、他のエンタメやゲームを楽しむことを積極的にやってもらいたいですね。もちろん、人によってはデータ分析やKaggleに取り組むなど、趣味として分析に取り組んでいる人もいます。

サウナ通いにしても、会社以外の場所で部外の人とネットワークをつなげていくと、仕事もやり易くなりますし、分析部だけで閉じるようなコミュニティーにはしてほしくないと思っています。

――ちなみに、日常で「分析部あるある」みたいな行動ってあるのでしょうか。

吉川:すぐ「本質」とか言っちゃいます。

松﨑:「あるべき」とか。

吉川:すぐ分析したがるのは職業病みたいなものですが、それゆえに気にしているのはオン/オフを切り替えることなんです。オフの時は思考しない、分析はプライベートに使わないように心がけています。

藤江:もともとDeNAは、社風がロジカルという傾向もあります。ロジックや数字を重視してゲームを開発しているという部分では、業界でトップレベルに近いのではないかと思います。ただし、これは良し悪しの話ではなく、いろいろな個性の会社があって良いと思っています。

思いやパッションも大事ですが、ロジックや数字の裏付けをきちんと作って、パッションとロジックの両輪でものを作っていくのがDeNAの社風です。だからこそ、分析の果たす役割も他社と比べて大きいと思いますし、DeNAの分析が意思決定に確実に寄与していると胸を張って言えると思います。

――ありがとうございました。


DeNAにおいて意思決定のサポートを担う分析部は今後も参謀として活躍し、さらにAIや機械学習などの導入でますます精度を上げていくことが期待できます。

インタビューにご対応いただいた分析部の皆さん、ありがとうございました!

※本記事は2019年3月時点の情報です。

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DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNA分析部特集Vol.5(前編)】未来を予測し、最適解を導き出し続ける組織 〜分析の高度化に向けた次のチャレンジとは〜

DeNAが様々なゲームやサービスを運営していくうえで、欠かせない存在となっている分析部。Vol1〜4までは、アナリストやユーザーリサーチ、データエンジニア、MLアナリストといった分析部のメンバーの役割を紹介してきました。

シリーズ最終回となるVol.5では前後編に分けて、分析部ならではのカルチャーや課題、研修プログラム、メンバーの意外なブームまでを紹介していきます。今回の前編では、分析部を束ねる部長の藤江清隆、マネージャーの中川友喜と岩尾一優の3人に話をうかがいました。

ブラウザゲーム時代から積み重ねられてきた、分析への信頼

――分析部特集では、Vol.1~4まではメンバーの具体的な業務を紹介してきましたが、改めて「分析部」の役割を教えてください

藤江清隆(以下、藤江:現在の分析部は、DeNAのゲーム事業における意思決定のサポートという役割を担っています。

新規タイトルの開発だと「今後どんなゲームを開発をしていけば成功できるのか」、運用中のタイトルあれば「今後どういう方針で運営していくか」など、ゲームの開発現場にはさまざまな意思決定が求められます。このような大小問わずさまざまな粒度の意思決定のサポートをすることが、分析部の役割です。

――具体的な人数や構成について教えてください。

藤江:分析部全体で40名強(2019年3月時点)です。アナリストやユーザーリサーチャー、データエンジニア、機械学習を強みにしたMLアナリストらが所属しています。

――人数としても大所帯ですね。DeNAのゲーム事業部は、いつぐらいから「分析」に力を注いでいるのでしょうか?

藤江:歴史的な話になりますが、分析組織としては2011年からありました。当時、DeNAはブラウザゲームが中心でしたので、その分析をメインとしてやっていました。

当時のメンバーは外資系コンサルティング会社出身などのシニアメンバーが中心となり、小規模組織ではありましたが、圧倒的に速いスピードとクオリティーでサービスをクリティカルに改善する示唆を提供することができ、DeNAゲーム事業の中で「分析は重要だ!」というイメージを強く持ってもらうことができました。

それから8年間、立ち位置や組織の形は事業の状況に合わせて変化を続けてきましたが、事業やサービスの成功にコミットし、正しい意思決定を支えるという方針はブレずに運営してきました。

分析組織、しかも横断型となると、一般的には分析結果を事業に反映できるかが課題になることも多いと思います。DeNAの場合は、これまで8年間の信頼を積み重ねてきたこともあり、サービス側のメンバーにも分析アウトプットを積極的に取り入れていく文化が根付いているため、分析としては非常に動きやすくなっています。

分析部 部長/藤江清隆

ゲーム開発ならではの、分析の面白さと難しさ

――ゲーム分析には、どのようなスタンスが求められるのでしょうか?

藤江: 世の中には数多くのインターネットサービスがあり、その裏にはさまざまな分析手法があると思います。我々分析部は、他の業種の方や他社のアナリストとお話させていただく機会が多いのですが、その中で“ゲーム開発ならではの面白さと難しさ”というものを感じています。

これは表裏一体なのですが、ゲームというものは、分析するにしても事業を進めていくにしても、正解というものがありません。「プレイヤーが楽しめればいい」というゴールは明確ですが、楽しみ方は千差万別。レベルを上げて強くなりたい、コミュニティを楽しみたいなど、プレイヤーがゲームに求めている価値や体験は全然違ってくるのです。

ですので、ゲームのサービスの完成度を上げる、改善するといった場合でも、何を目指すべきかという指標がとても多彩なんですね。それが分析としての面白い部分でもありますし、ゲームならではだと思います。

分析として何をすればいいかという正解がないので、自分で課題を設定して、考えていかなければいけないことは、難易度としては高いと思います。まず自分の担当タイトルが決まった際に、プレイヤーがゲームに何を求めているのかを理解し、分析の手法を設計していくことが求められるのです。

――ゲームのジャンルに合わせた柔軟な分析が求められそうですね。

藤江:そうですね。ゲームによって分析の目的や手法も変わっていきますので、「このように分析するのが正しい!」という答えがありません。先ほどお話ししたように自分で課題設計して答えを求めていく思考力も大事です。

さらに、タイトルを運営しているプロデューサーらの意思決定におけるサポートがとても大事ですので、彼らが何を考えているか、何を課題として考えているかということを、きちんと対話して引き出し、その本質を捉えることも重要です。つまり、コミュニケーション能力も非常に重要になってきますね。

そのため、単純にデータを見るだけで、ロジカルに「これが正解だ!」と考えるタイプの人はDeNAの分析部にいません。チームの開発メンバーと一緒になって、「こうすればプレイヤーが楽しめるだろう」という方向をきちんと見定めて、事業が前に進むような意思決定のサポートができることが、ゲームの分析で求められるものと考えています。

https://genom.dena.com/develop/analyst/

変化の早い業界だからこそ、未来予測を行っていきたい

――マネージャーである中川さんは、ゲームにおける分析部としてのチャレンジについてはいかがですか。

中川友喜(以下、中川:考えとしては藤江と同じですが、分析もゲームという事業も、非常に変化が早いので、即時キャッチアップしていかないと業界的にも立ち遅れてしまいます。

ゲーム市場も成熟を迎える中で、今はこれまでの成功体験の殻を破り、次はどういうところに価値を見出して、組織としてより貢献しなければいけないかを考えるタイミングなのではと思います。

分析部 マネージャー/中川友喜

――長期運用タイトルも増えていき、今後差別化が激しくなっていく業界の中で、DeNAのゲーム分析はどう変化していくのでしょうか。

藤江:事業としてどうすれば成功確度を上げられるのかという“勝ち筋”を見定めていきたいと思っています。

分析部は、2019年から組織として「事業・サービスの未来を見通し、100%の成功へと導く」というビジョンを掲げています。過去を分析しパターン化することは、従来の分析業務の中で一定レベルに達していると思いますが、それだけではさらなる事業の加速に対しては不十分だと考えています。そこで「未来予測」を重要課題として位置づけ、組織として目指すビジョンにも組み込みました。

実際にこれからやっていくべきことは、新たに生み出すゲームの方向性について示唆を出したり、どんなIPと連携すれば事業として成功確度が上がるかということを、きちんと見定めていくことです。未来を予測するという分析は、これからはより多く求められるだろうと思っています。

具体的なアプローチとして、AIや機械学習分野に強いメンバーの増強や、Vol.4でお話したようなAIスペシャリストとの連携を通じてより精緻な未来予測に取り組んでいます。

https://genom.dena.com/develop/mlanalyst_ai/

ゼロベースから始まった、入社半年での新部署設立

――DeNAは、今後も新規タイトルリリースを控えていると思うのですが、分析部の体制や人員も変化していくのでしょうか?

藤江:理想像としては、ひとつひとつのタイトルに専任のアナリストをアサインできる規模にすることを目指しています。運用タイトルも増えれば、アナリスト以外の分析部メンバーも必要になるため、さらに組織を拡大していく方向で考えています。

その中で、岩尾のように、新部署を立ち上げるような提案を実現できる地盤を固めていこうと思っています。

https://genom.dena.com/develop/date_engineer/

――Vol.3で紹介された入社半年で新部署を起ち上げた岩尾さんのエピソードは反響がありましたが、上司の藤江さんとしてはその当時はどのように感じていたのでしょうか。

藤江:Vol.3でも出ていましたが、まずこの話はミッションとしてトップダウンで依頼したわけではありません。業務に取り組む中、現在の分析部の組織全体をとらえた時に、もっとこうした方がいいのではないか、この機能を強化するべきではないかと岩尾からの提案を受けて、ゼロベースから考えました。

もともと分析部は、意思決定が早いことが強みのひとつです。そこに、マネージャー陣も課題だと思っていた部分を、岩尾が的確に改善点を提案してくれたので、意思決定者であるマネージャーも「それやろう!」とすぐに承諾できたという状況でしたね。

岩尾一優(以下、岩尾:中途で分析部に入社した自分は、最初はSQLやシステムの細かい部分を見て「なんとなく、無駄なところがあるな」と感じていました。

さらに全体を見ていくうちに、コストの規模感や、どれぐらいのタイトルを運用して、どんなペースでデータ量が増えていくかを徐々に可視化していきました。それによって、分析が売り上げに貢献する以前に、システム面の本来不要なコストがかかり過ぎているということが分かったんです。

その問題に対して、具体的に削減する案をすでに思いついていたので、特定のタイトルで実際に導入して削減を実現させ、「これだけコストの削減が可能です」ということを説明したというわけです。

分析部 マネージャー/岩尾一優

藤江:岩尾のように、エンジニアとしてのバックグラウンドを持っているメンバーもがいることも、分析部の強みになっています。実は、分析部はDeNA社内の中でも、メンバーのバックグラウンドが非常に多彩なので、いろいろな視点があることも含めて、分析部としての強みになっていると思います。

意思があるメンバーには、社歴関係なくどんどん任せていきたい

――藤江さんとしては、最初にこの新組織立ち上げの提案があった時、「岩尾ならこのぐらいできる」と予想していたのでしょうか?

藤江:正直に言いますと、当初はそこまで一気に組織を立ち上げるイメージはなく、機能を強化していけばOKくらいに感じていました(笑) 。ですので、入社早々に想定以上の意欲とスピード感で取り組んでくれた印象ですね。今後はほかのメンバーでもこのような提案を出してくれたら、任せていきたいとは思っています。

分析部の平均年齢は比較的若く、20代のマネージャーもいます。その中で、アナリストとしての本業だけでなく、分析部という組織全体を変えていける可能性のある課題を、社歴関係なくどんどん任せて、一緒に組織を変えていこうという取り組みを行っていきたいですね。

――権限委譲や、意思決定を早くする体制が、分析部の中にあるということでしょうか。

藤江:そうです。DeNAという会社自体が、事業のサイクルや意思決定の速度もはやいので、権限委譲して、メンバーが正しく意思決定をして事業や組織を変えていけるような体制を作っていくことは大事だと思っています。今後はシニアメンバーも積極的に迎え入れていきたいと考えているので、さまざまな経験を組織にも反映させていきたいですね。

――マネージャーのお二人から見た、分析部のカルチャーってどんなものなのでしょうか。

岩尾:当事者意識がすごく高いですね。事業への貢献意欲が高いメンバーばかりなので、私もさらに意欲をかき立てられるような環境だと思います。

中川:私も同じです。前職を経験したうえで感じたことは、個々のメンバーが課題と当事者意識を持ち、どう解決していくかをすごく必死に考えている組織だと思っています。さらに、こうしていきたいと思ったら、立場や役職に関わらず、必要なことは自分で動きながら解決をどんどん推進していくメンバーが多いですね。

多彩なスキルを、身につけてほしい

――ちなみに、分析部内では横の異動はありますか? アナリストがユーザーリサーチをやりたいと希望した場合はどうなるのでしょうか。

藤江:一言で分析やアナリストといっても、いろいろなスキルを持った人がいます。いわゆる行動ログの分析を主体としたアナリストもいれば、ユーザーリサーチを基本の武器としているアナリストもいますし、岩尾のようにデータエンジニアの技術をベースにしている人もいます。

つまり、いろいろなパターンのスキルセットの人が、分析部には在籍しているということです。部の方針としては、スキルセットの組み合わせを、できるだけ多彩なパターンで身につけてほしいと思っています。

今後、分析のアナリストとして価値を高めていくためには、どれだけ珍しくてニーズの高い組み合わせのスキルセットを身につけられるかが重要になってくるかなと思います。

なので、メンバーから「機械学習をもっとやっていきたい」とか「今は、行動ログしか分析できないけれど、将来的にユーザーリサーチも経験したい」などの希望があったときには、できるだけ叶えられるようなアサインを考えています。

――マネージャーとメンバー間の日頃のコミュニケーションも大事になりそうですね。

藤江:そうですね、「自分はこれをやっていきたい!」といった思いは、1on1などでどんどんマネージャーに話してもらうようにしています。もちろん、100%希望に沿えるわけではありませんが、話したことによって初めて動き出すプロジェクトもたくさんありますので、できるだけメンバーのやりたいことを聞く方針でやっています。

分析のさらなる高度化に向けて

――今まで何か良い話ばかりだったのですが(笑)。逆に、課題などはありませんか?

藤江:分析の高度化を実現させていくこと、そしてそれに伴う強い組織を構築していくことが、我々の課題になっているかなと思います。

そのためのアプローチとして、ユーザーリサーチやAIの活用など、いろいろな方法を模索しています。幸い人数も多く、さまざまなことに興味を持っているメンバーがたくさんいるので、それぞれの得意分野で、より高度化し、バリューを出すためには、自分たちでどういうスキルを身につけたらいいかを考えながら進めています。

高度化という観点では、従来の分析手法にとらわれない新しいアウトプットを作ろうという部内プロジェクトに取り組んでいます。ユーザー体験やそこで生まれる感情を把握・分析できないかという大テーマに向かって専門性を有するメンバーがチャレンジしており、ゲーム業界の大規模外部セミナーで発表するレベルの成果も生まれています。

https://genom.dena.com/develop/user_research/

岩尾:分析部は、個々のスキルが高いメンバーが多い反面、スキルが属人化しやすい状況になっていると思います。システム運用は誰が携わっても同じ結果になるのがベストであって、特定の人が作業したから障害が起きたなど、対応者によって結果が変わることがあってはなりません。

そういった一定の品質を保つプロセスやノウハウは、誰が関わっても同じ結果になるように、徹底して培っていかなければいけないとも思っていますし、そこに向けてもチャレンジしている最中です。

――ありがとうございました。後編では、一人前のアナリストにまで育成する研修プログラムやキャリア、さらには裏話をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

 

※本記事は2019年6月時点の情報です。

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【DeNA分析部特集Vol.4】Kaggleトッププレイヤー陣と事業課題の解決に奔走するMLアナリスト―信頼関係が生み出す強固な連携とは

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

今回は、分析部のMLアナリスト山川要一と、自身もKagglerであり、データサイエンスグループでKaggler陣をまとめる原田慧を迎え、彼らの密接な連携手法にスポットを当てたインタビューを実施しました。

Kagglerと目指すミッションは”分析の高度化

――はじめに、お二人の経歴を教えてください。

原田慧(以下、原田):私は大学院で数理学の博士号を取得したのち、金融機関向けのデータ分析を行う会社に入社しました。そこでは機械学習を活用した金融機関の支援をするデータ分析などを担当し、そこで7年近く勤めた後、2018年2月にDeNAに転職しました。

DeNAでは、オートモーティブ関連事業に関わる分析を主に担当し、2018年8月からマネージャーとして、オートモーティブ以外のプロジェクトにも横断的に加わっています。

山川要一(以下、山川):僕は企画者としてDeNAに入社して、1年目はアプリの企画や分析を担当していました。2年目からは分析部に異動して、ゲーム領域において分析業務を本格的に行っています。

実際の業務としては、いわゆるアナリスト的な役割でKPIを集計し、より難易度の高い課題に対してゲームタイトルの各プロデューサーと一緒に取り組んでいます。上流の課題を見ていく中で、これまでのKPI集計で終わるのではなく、もっとプレイヤーに寄り添った分析をすると、何が実現できるかを日頃から考えています。

そして原田さんが率いるKagglerの方々と一緒に、分析のさらなる高度化を目指して、新たな分析手法の開発や、そもそも分析組織のあるべき姿を定義するような仕事をしています。

――分析部のMLアナリストのミッションは具体的にどういったものでしょうか?

山川:ミッションについては先程もお伝えしたように、「分析の高度化」です。DeNAでは従来の分析基盤が整っており、例えばプレイヤー数の推移など、多彩なデータをクロス集計レベルで分析できる環境があります。

ただ、これまでの分析結果だけではわからないような、プレイヤーの趣向性や行動予測にもっと取り組めないかと考えていて、新しいデータサイエンスを取り入れた分析手法にも取り組んでいます。

――一方、原田さんはKagglerをまとめている立場ということですが、現在DeNAにはKagglerは何名在籍しているんですか?

原田:当初は私も含めて3名からのスタートでしたが、今は社員が10名、アルバイトで3名が所属(※2019年2月時点)しています。

【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた
https://genom.dena.com/event/techcon2019_kaggler/

――日々KaggleをやっているKagglerの皆さんですが、ゲームをプレイすることはあるんですか?

原田:Kaggle自体が、ネットゲームをプレイする感覚に近いんです。ユーザーランキングや、ゲーム内イベントの仕組みもKaggleに近い要素があるので、大学生の頃ゲームにすごくハマっていたメンバーは多いです。特にKaggleに熱狂的な人は、かなりの『逆転オセロニア』好きなので、メンバーの多くはダイヤモンドクラスに到達しています(笑)。

密接な連携による、効率的な課題の解決

――山川さんと原田さんはお互いの部署間で仕事を進める際、どのような連携を取っているのでしょうか?

原田:2人で毎週定例MTGを設け、山川さんが集めてきてくれたゲーム事業部および分析部が抱えている課題に対して1つずつチェックし、データ分析で解決できそうだと判断したら、担当Kagglerをアサインして実際に動き出していきます。

山川:MTG時には、事業部側ではどんな動きがあるのか、できるだけ細かく原田さんに共有するようにしています。

横断組織であるKagglerのチームは、各事業部が持つ課題がどうしても見えにくくなります。逆に、私たち分析部は日々事業部の中でチームと一緒に動いているので、各タイトルが実際にどういう課題を持っているのかを吸い上げることができます。

そのように表面化した課題について、原田さんと一緒にまずディスカッションしていく流れになっています。

原田:私たちはその課題に合わせた手法や解法、データ分析で解決できるのか、より簡単な分析を粘り強く続けて解決するのかなどを判断しつつ、今後の進行方向を決めていきます。

それからもう1つ、分析部の中で「データ分析技術強化」という取り組みがあり、そこに私を含めたKagglerのメンバーが2名参加しています。この取り組みは、データ分析技術の基本的を学ぶOJTのような役割を持っており、勉強も兼ねながら、案件を一緒に進めることにもトライしています。

――DeNAの各タイトルにはそれぞれアナリストが担当していると思いますが、山川さんが事業部内の課題を集める際、ヒアリングするのは各アナリストなのか、それともプロデューサーなのでしょうか?

山川:一番多いケースはアナリストですね。ただ状況によってはプロデューサーから直接聞くこともありますよ。『逆転オセロニア』なら、担当アナリストである松﨑さんやけいじぇいプロデューサーから、タイトル運営の課題をヒアリングしています。

【DeNA分析部特集Vol.1】3周年を迎えた『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?
https://genom.dena.com/develop/analyst/

――そうして吸い上げた課題に対して、自分自身でできる、できないを判断して、難しいものを原田さんに持っていくと。

山川:いえ、基本的にデータサイエンスに関わるものはすべて原田さんと一緒に見ています。僕自身が適切な判断ができない場合もあるので、リスクを回避する意味でも、原田さんに確認してもらうのが一番確実だと考えています。

――山川さんが原田さんに各タイトルの課題を吸い上げて持っていくときは、どのように持っていくんですか。

山川:まず「長期滞在者を短期行動から分類したい」「デッキ編成の最適化を考えたい」といった大枠の目的が決まっている課題を持っていきます。それを原田さんが裏を読み、もう少し深く細分化して、分析の可能・不可能の提案をしてくれます。

原田:案件によっては、最初から一緒に取り組む場合もあります。問題解決の基本は、1つの難しい問題を分解するところにあると思うんですが、それにはドメイン知識も必要なんです。山川さんのような、その能力に優れたアナリストがいてくれると、判断作業がとてもスムーズに進みます。

山川:課題の解決方法について、例えば難易度レベル10の事業課題があるとします。それを機械学習でいきなり最初から全工数を投入して挑むのは、他の進行中の課題との兼ね合いや、経営判断的にもなかなか難しいと思われます。

そこで、アナリスト側で難易度レベル10の問題を、「難易度レベル1×5タスク」「難易度レベル2×1タスク」「難易度レベル3×1タスク」といった形に分解してみます。

このようにステップを踏んで解決していけば、最終的には難易度レベル10の案件をクリアできますよね。このような的確なブレイクダウンなら、難易度レベルに応じたタスクを判断しやすく、可能・不可能の見極めも素早くできるメリットが生まれます。

原田:Kagglerは小さなタスクなら、わずか1日で終わらせることもできるので、分解する意義は大きいと思います。逆に分解してみて、ものすごく手強い問題だと分かれば、元の大きい問題の解法の方針を少し変更したり、ブレイクダウンの方向性や、そもそもの問題設定を見直す必要があることを、事業側と交渉する選択肢を生むことなども可能です。

――ちなみに運営する各タイトルごとに見ている分析は違うのですか?

原田:はい、違います。ですが、ゲームシステムに”デッキを組む”ような共通要素を持つタイトルでは、目的が似通っている部分もあります。プレイヤーにどうやって楽しんでもらうか、継続的にプレイしてもらうにはどうすればよいのか、といった課題感については、タイトルごとであまり変わらないかも知れませんね。

山川:クリアしやすいデッキの組み方など、すべてのプレイヤーが自力でベストな組み合わせを見つけられるわけではありません。そこで、組み合わせを分析し、ゲーム内の施策を考えれば、オススメ編成のような仕組みを入れるなどの検討も可能になります。

このように、ゲーム内でプレイヤーが快適に過ごすためのサポートを担う分析は、とても汎用的で、ニーズも高いんです。

――なるほど。では、実際に現場からはどんな課題が上がってきて、どう進めようとしているかという具体例があれば。

山川:ゲームを遊びたいと考えている方は、さまざまな広告チャネルをきっかけに、好きなゲームをダウンロードしてプレイを開始することが多いと思います。そこで、どんなプレイヤーがどこでゲームを知り、どれくらい継続的に楽しんでいるかを把握することで、広告の投資効果の検証をしていきたいという要望が求められています。

それを目的とした分析結果は、どのSNS広告が効果的なのかを決める際に役立ちます。プレイヤーの180日後の行動はその日には計測できませんが、1週間や1ヵ月など、中長期的に予測できるようになれば、ある程度の傾向を知ることが可能です。

1週間のデータを使って得た指標をもとにすれば、広告の出稿方法を変えるなどの投資判断に使えると考え、プレイヤーの行動を予測する取り組みに挑戦しています。

原田:このような”予測”というキーワードが出てくると、Kagglerは活躍しやすいです。そもそもKaggleで日々やっているのは、「今までのデータを与えるから、未来の何かを予測しなさい」といった予測の問題なんです。

無論、未来予測ではない問題もKaggleにはありますが、基本形は与えられたデータから道の何かを予測するというものになります。

――DeNAでKaggler枠が出来て、実際にKaggleメンバーが集まってきました。山川さんの立場として仕事をする上でどのような点がメリットだと感じていますか。

山川:やはり、分析者からのアウトプット品質が、段階的に上がったと感じています。KagglerがDeNAに集まったことによって、今までできなかった取り組みを実現できるようになってきたことを実感しています。

特に、プレイヤー数の予測精度が上がったり、今まではわからなかったプレイヤーの特性が見えたことは大きなメリットです。Kagglerが参加したことで分析結果がレベルアップして、施策にうまく活かすことが可能になり、プレイヤーニーズに応えられるサービスを作れるようになってきたのは、組織としては大きな前進です。

――お二人はお互いをどういう存在だと感じていますか。

原田:私から見ると、山川さんはとても頼りになる人です。何か問題が起きても、とりあえず山川さんがどうにかしてくれると……(笑)。

山川:僕も原田さんは神様のように、頼りにしています(笑)。僕はアナリスト側、原田さんはKaggler側で自分の役割を持ちつつ、お互いに信頼し合えて良い形で連携できていると感じています。一緒に働く中で、長所を引き出し合っている気がしますね。

また、原田さんは良い意味で介入しないで任せてくれますし、こちらが悩んでいることも親身に相談に乗ってくれます。お互いのプロフェッショナルな部分を尊重しつつ、違う部分も受け入れつつ、協力できているのはとてもありがたいなと思います。

MLアナリストに求められるスキルや経験

――Kagglerと事業部のハブのような役割を担う山川さんのポジションには、どのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。

山川:主に3つ挙げられます。1つは事業責任者視点で、これが一番重要ですね。細かなタスクはいくらでも作ることはできますが、それを解くことに意味があるのか、そもそも何が最優先で最重要な問題なのか、課題に対する優先順位を付ける視点が必要になります。

2つ目に問題設定です。事業として設定した目標や理想が達成できればOKなのか、収益など他の要素も複合的にチェックしなければならないのかなど、問題の本質を見誤ることなく、事業で最も大事にすべきことの定義ができることです。

3つ目は、Kagglerの方と対話をする上でのデータサイエンスの知識です。Kaggleに関してMasterまで到達せずとも、いくらかは勉強して欲しいですね。手法の選択や解決方法を日頃から考えたり、意欲的にサービス改善のために何ができるか、アイデアを膨らませることが大事だと思います。

原田:もちろん、Kaggler側の努力でいくらか改善できる部分もあります。我々Kagglerも若いメンバーからシニアメンバーが在籍しているので、技術面の足りないところはフォローができますし、「これってどういう意味があるの?」といったざっくりとした観点でも一緒に考えることができます。

――今後の話になりますが将来のビジョンや目標などがあれば教えてください。

山川:視野をさらに広げていきたいですね。分析部はゲーム事業に直結している組織なので、アナリストがもう少し幅広い課題まで目が届くようになって、全社レベルのいろいろな課題を引っ張って集約できると良いと考えています。その上で優先順位をつけて原田さんたちKagglerに相談できれば、全社的にも常に高いバリューを出せるんじゃないかと思っています。

――最後に、アナリストとKagglerが連携して新しいことに挑戦し続けるDeNAという会社はどういうところが魅力でしょうか?

原田:さまざまな事業を複合的に推進している、おもしろい会社だという印象は入社前から変わっていません。実際に入社して魅力的だと思ったのは、データ分析に関してほとんどの人が前向きだということですね。

DeNAはデータ分析に対する基盤がしっかり構築されていて、当たり前にデータを集めています。データを分析すれば必ず何か良いことがあるはず、ということに対して疑っている人がいないんです。Kagglerにとっては、とても働きやすい環境だと言えますね。

山川:「あなたはこの役割だからこれだけやっていればいい」というような、決まったラベルを貼らない風潮も魅力かも知れません。

僕は分析担当ですが、いろいろな事業に関わらせてもらっていて、新規事業責任者の相談相手になることもありました。誰が何をやっても、それが意味のあることなら実行する、という風土を持った会社なので、責任も大きいですが、強いやりがいも感じられます。

さらに自分の専門領域ではない部分にもチャレンジできますし、それを否定する人がいないのも嬉しいです。DeNAでは「こっちの事業に口を出してくるんじゃない」と言われることはまずありませんよ。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

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【DeNA分析部特集Vol.1】『逆転オセロニア』を支え続けるDeNAゲーム分析の強さとアナリストに求められる役割とは?

DeNAが運営するゲームはプロデューサーやディレクター、プランナーなど様々な職種によって支えられていますが、分析の役割もゲームの開発・運営にとって重要な存在と言えます。

そこで今回、ゲーム事業部の分析部に所属するアナリストの松﨑友哉と、『逆転オセロニア』プロデューサーの香城卓(けいじぇい)を迎え、タイトル運営の実例をもとに、DeNAの分析部がどのような役割を果たしてきたのかインタビューを実施。『逆転オセロニア』でアナリストに求められることや、DeNA分析部ならではの取り組み、そして今後の展望についてお話を伺いました。

『逆転オセロニア』で求められるアナリストの役割やスタンス

――まずは自己紹介を兼ねてお二人の業務について教えてください。

香城卓(以下、けいじぇい僕は、2019年2月で3周年を迎えた『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)のプロデューサーを担当しています。これまで運用してきた中で、昔から応援してくださる方もいれば、最近ゲームを始められた方もいます。そうしたすべてのプレイヤー(以下、オセロニアン)に向けてどういったことを発信していくのかをチェックする、門番のような立場です。

そのため、「オセロニア」はこういうものだよという価値観や意思決定の基準を提示したり、メディアへの露出やコラボ等に関してお取引先とお話して、どういう風に「オセロニア」で新しいことを生み出していくかというところに主に力を注いでいます。

松﨑友哉(以下、松﨑 僕はDeNA分析部のアナリストで、現在「オセロニア」分析チームのリーダーを任されています。タイトルの今後に関する意思決定をスピーディーかつ高い質で、そしてユーザーファーストという方針がブレないように行えるよう、定量面と定性面でサポートすることが「オセロニア」分析チームの主な役割になります。

「オセロニア」運営メンバーの一員として、ときには客観的な目線でインプットできる立場として、ゲームを改善するための提案なども行っています。イメージとしては、プロデューサーやディレクターの[su_highlight background=”#fbff99″]“参謀”[/su_highlight]といった感じでしょうか。

けいじぇい: サービスとして「こうありたい」という定性的な意思はプロデューサーやディレクターが決めるところだと思いますが、そこに対して、定量的なデータや多くのオセロニアンのみなさんの行動のログなどをもとに、根拠のある裏付けの示唆を出してくれるのが分析チームなので、まさに[su_highlight background=”#fbff99″]“参謀”[/su_highlight]と言えますね。

――3周年を迎える「オセロニア」ですが、直近の主なトピックを教えてください。

けいじぇい: 昨年末に「名探偵コナン」や日清ラ王、そして1月にマクドナルドとのコラボを実施しました。また、最新(2019年1月時点)のダウンロード数は2,300万を突破しています。

業界的にも年末年始は盛り上がる時期ですが、「オセロニア」は2月がアニバーサリーの月なので、僕たちはそこから息つく間もなく周年に突入します。

毎年12月~2月にかけてトピックを固めているので大変な面もありますが、日清ラ王やマクドナルドとのコラボレーションを実現し、「オセロニア」らしいチャレンジングな施策がこの年末年始もできたと思います。

松﨑: コラボに関して、例えば実施する前に「オセロニア」と相性が良いかを市場リサーチやプレイヤーアンケートを踏まえて考えるところも、分析チームのアナリストとしてのいまの役割のひとつです。

もちろんコラボ実施後も、期間内におけるオセロニアンのみなさんの行動ログをまとめた結果などを分析しています。実際にその施策がどう受け入れられていたか、どう長期運営にポジティブな影響を出しているかなど、振り返りを行うことで次の施策を練るときの示唆を残せるようにしています。

――アナリストとして実施前の施策にも関わっていると。「オセロニア」運営チームとの距離感はかなり近いんですか?

けいじぇい: DeNAでは、1タイトルの成功にコミットする一員としてアナリストもゲーム開発にどっぷり浸かっているので、別部署だというセクショナリズム(組織の壁)というものはありません。

松﨑: そうですね。僕は普通に運用チームのメンバーと並びの席に座っています。DeNAではこれは日常の光景なんです。

けいじぇい: もちろんアナリストとして、定量的な示唆を出してもらうことが一番期待しているミッションですが、松﨑さん自身がオセロニアンとしてもゲームをしっかりプレイしてくれていて、プレイヤー感覚での示唆出しもしてくれるんです。

プレイ経験がない人に受発注的に数字を出してもらう取り組みよりも、ゲームとしての「オセロニア」をプレイヤーとして理解している、という素地があった上でデータを出してくれるので、とても納得感があるし、信頼してやりとりしています。

これはどのセクションにも言えることですが、縦も横もなく全員が1つの役割を持って「オセロニア」をどう最大化させるかという方向に向かっていく姿勢は、アナリストに限らずチーム全体でもっています。

――まさにそれが「オセロニア」で求められるアナリストの役割ということでしょうか?

松﨑: そうですね。僕は分析部のアナリストですが、「オセロニア」運営メンバーの一員という意識もすごく強いんです。

アナリストとして求められる業務のセクションの部分において、数字から物事を話すというのが一般的なアナリストとしての観点ですが、定量・定性関係なくプランナーと議論するプレイヤーとしての意見も大事だと思います。

もちろんデータを見て意見することも大事です。でもそれは「オセロニアを良くするためにはどうするのが一番ベストなのか」を突き詰めるための手段の1つでしかないので、それよりも「オセロニア」を良くした上で、施策の効果を最大化させるために自分自身がどれだけ貢献できるかを考えています。

けいじぇい: あまり領域に閉じてほしくない、というところも求める事の1つです。松﨑さんはプランナーチームのレビューもしてくれるので、そういう意味ではアナリストの領域からは離れて働いていると言えますね。

実はDeNAのアナリストはそういった動き方が多くて、人によって得意不得意はありつつ、それぞれが尖った部分を持っています。一般的なアナリストのように、データを出して示唆だけ届けるという形ではなく、基本的に運用チームにガッツリ入り込んで、自分の得意な分野を把握してどこまでチームの中で価値を見出すか、を考えて動く人が多いです。

松﨑: それこそデータとしての裏付けが取れたら手段として使いますし、それがなくても「こうすれば良くなるはず!」というゲーム内の施策や組織的な課題など、結構何でも選ばずに協力して、「オセロニア」を良くするために何をするべきかを日頃から考えています。

――アナリストとしてゲームもプレイしている中で、客観的な見方と主観的な見方のバランスはどのようにとっているのでしょうか?

松﨑: 僕は他のゲームもいろいろ遊んでいますが、その上で「オセロニア」に対する自分のプレイ度合だったり、どれくらいヘビーな感覚を持ったプレイヤーなのかを常に意識して考えています。

あとは、普段あまりゲームをプレイしないライトな方たちや、自分よりヘビープレイヤーの方たちがどういう遊び方をしているか、という部分に関しては「オセロニア」や他のゲームの定量データを見ながら感覚として貯めておき、それを踏まえた上で自分の中で仮説を出すようにしています。
そして、仮説を得た理由をしっかり考えた上で、その仮説が汎用的なものなのか、それとも各セグメントに閉じたものなのかを常に一歩引いて考えるように心がけています。

アナリストとしての新技術導入やコミュニティ運営の取り組み

――「オセロニア」はデッキ編成や対戦などにAIを活用するなど新しい技術導入に積極的な印象ですが、技術面でのアナリストの取り組みや役割を教えてください。

松﨑: 「オセロニア」のデッキの構築に関しては、一部複雑な面もあり、初心者がつまずきやすい部分でもあります。この点について、チュートリアルを工夫すれば解決できるという単純なものではなく、ゲームの機能そのものから手を加えていく必要がありました。

ただ、DeNAの中にAI技術の専門チームがあったとしても、それを上手く活用するための良質な問いがなければ、100%フルに活かせないと思っています。その中でのアナリストの取り組みとして、運営チームにコミットしている中で認識しているゲーム内の問題や状況を伝えながら、いかに高い技術力をゲーム中に効率よく活かしていくかを考え、進めています。

そのような新技術に積極的に取り組みサービスに反映させるというブリッジのような役目も求められることだと思っています。

――ファンコミュニティを大切にしている「オセロニア」ですが、コミュニティマネジメントの部分でアナリストとしてどう関わっているんですか?

松﨑: 「オセロニア」は“オセロニアンの宴”や“オセロニアンの戦”といったリアルイベントなど、プレイヤー同士によるコミュニティが活発です。その中で、僕も日本各地に赴いてイベントに参加しています。

そこでは実際にプレイヤーがどんな表情でゲームを楽しんでいるのか、どんな関係性やコミュニティの輪が生まれているのか、その温度感を肌で感じるようにしています。定量的な分析は、ともすれば割と機械的になりがちで、データによっては難しい判断を迫られるときもあり得るとは思います。

ただ「オセロニア」で大事にしているコミュニティ、実は定量データを見ているだけではわからないところもあるので、イベントに参加して、その温度感をしっかり把握したうえで適切な意思決定をサポートできるように意識しています。

けいじぇい: 人間のコミュニケーションの集合体が、コミュニティです。成果がはっきりと数字で表せない部分も多いため、コミュニティづくりが上手くいったのか、改善点はどこかなどを明確にデータで見ることは、恐らく世界中のどこも明確な答えを持っていないのかもしれません。

その中で、この3年間「オセロニア」が実際に事業としてやってきた知見を活用して、コミュニティの形を開拓していくのも我々の使命なのかなと思っています。

松﨑: 単純にゲームの中のログをビックデータ解析する以外のところでの人のコミュニケーションや、何がきっかけでエンゲージメントが高まることに繋がるのかなど、人の心の動きをデータで見るのは難しい領域ですが、今の世の中の流れを含めてすごく重要な気がします。

――アナリストの領域を超えて「オセロニア」と向き合うアナリスト・松﨑さんはけいじぇいプロデューサーにとってどのような存在でしょうか。

けいじぇい: ゲームって色々な主観がありますし、おもしろいという基準も1つではなく、「ここはこうしたら良い」というみんなの色々な意見の中から生まれるものです。そういうところで、逆に主観を持たずビックデータに論拠した形で客観性を持ったアナリストもいて良いと思いますが、松﨑さんはやはりユーザー志向性がすごく高いアナリストだと感じています。

というより、「自分もこう思うから遊んでいるオセロニアンたちもこう思うはず!」という、ある種自分が持っている仮説を検証するために、数字を出している部分もあるかもしれません。

そういう意味では客観的に事実だけを提示するよりも、まず自分が本当はこうあるべきだというところを論拠を示して、そこに立ち返って示唆してくれる人ですね。もちろん数字にも強いのですが、ひとりのプレイヤーとしてゲームに向き合っているアナリストではないでしょうか。

『逆転オセロニア』がさらに進化するために今後目指していくこと

――改めて、アナリストとして一番大切にしていることは何ですか?

松﨑: 常に全体観をもって考え、動くことを意識しています。例えばデータを見ることでゲームを良くすることが最適な場合はそうしますが、それ以外にもいま組織の体制として大丈夫なのかとか、その場その場でゲームの状況やチームの状況を踏まえて何をすべきか、事業をもっと伸ばしていくためにはどういったことに取り組むべきかという上段から考え、課題を提起してシューティングしていくことを相当意識していますし、求められているところかなと思っています。

――「オセロニア」のように3周年と歴史を積み重ねていくタイトルに携わる中でアナリストとしての考え方に変化などはあったのでしょうか?

松﨑: 考え方の軸はあまり変わりませんが、アプローチが変わっていくところはあります。当然「オセロニア」は新規プレイヤーや、久々に遊んでくれるプレイヤーも楽しませたい。そのためにはどうするべきかは絶えず変化していきます。

さまざまな要因で、タイトルの状況が変わっていく中で、その場その場で向こう半年を見据えて、何をするのがベストなのかを考えながら動く。そしてできることは何でもやるというところが、僕のアナリストとして軸となる考え方です。

――アナリストとして今後「オセロニア」プロジェクト全体を見てこうしたいというビジョンはありますか?

松﨑: いま考えているのは、「オセロニア」のゲーム全体としてのユーザー体験をちゃんと整えていきたいなと思っています。

運用も4年目に入ってくるので、今後は新規プレイヤーだけでなく、久々に遊んでくれるプレイヤーも増えてくる状態になると思うんです。そうした中で、今までは新規プレイヤーがどうやって階段を上っていけばいいのかを考えることが多かったんですが、今後は復帰プレイヤーが戻ってきたときに今の「オセロニア」にスムーズに馴染んでくれる方法や、また夢中になってくれる方法を考えていく必要があると思います。

その両面が上手くできるような、ゲーム全体としての綺麗な流れをしっかり組み立てられたら、長期運営していくタイトルとして今後より強いゲームにできるんじゃないかなと思っています。

アナリストとして、それを助けられるような分析や示唆出し、あとはコミュニケーションをとっていきたいなと考えています。

――3周年を迎えた「オセロニア」は、4周年に向けてどのような進化を遂げるのでしょうか。

けいじぇい: 「オセロニア」は4年目に突入しますが、これまでもコミュニティと一緒にタイトルを育ててきましたので、この先もそのスタンスは変わりません。

ただ、3周年を迎えて少し風景が変わってきたなと感じています。この2年間くらいは僕たちが作ったコミュニティの場にオセロニアンのみなさんが集まって、そこでコミュニティが形成されていく図式でしたが、オセロニアンがオセロニアンのための場を作るという流れが徐々に生まれてきているんです。

4年目は、これまで僕たちがやってきたコミュニティの場を作ることをやりつつ、さらにオセロニアンのみなさんが作るコミュニティを支援していって、オセロニアンのみなさんを介して「オセロニア」が広がっていく、というところにシフトしていこうかなという気持ちです。

松﨑: 分析部としてやることのベースは変わらないと思いますが、けいじぇいさんのお話にあったようにコミュニティの作り方、考え方もどんどん変わってきているので、それに従ってコミュニティが「オセロニア」にどういった影響を及ぼしているのかを、どこまで定量的に見ることができるかチャレンジしたいですね。

また、AIについても、どれだけゲームに良い影響を及ぼしているのかというところを、難しい挑戦ですが取り組みとしてやっていき、何かしらの示唆を出すことでその先のゲーム運営をより改善することに貢献していきたいと考えています。

――最後に、松﨑さんが感じるDeNA分析部の強みや魅力について教えてください。

松﨑: DeNAは会社全体として数字を見る文化が根付いています。そういう意味で、しっかりとしたデータ解析を元に何かしらの論拠の示唆をして、ロジックを立てて説明できればちゃんと話を聞いてもらえます。

それは分析部に限らずどの職種でもそうですが、データをもとに聞いてくれるのでアナリストとしては動きやすい文化だと感じています。

それに、定性的に自分の勘でごりごりに物事を進めるというより、一度データを見て冷静になれる環境になっています。アナリストが質の良いお題を立ててそこに対するデータ分析をして、結果を出せればそれがちゃんと事業に受け入れてもらえる。

それがゲームだったりプロダクトに反映され、その結果を自分でちゃんと測ってどうだったか検証することができるので、上流から下流までワンセットで見ることができるのはやりがいを感じられると思います。

DeNAはデータをベースにしながら、人間的な、数字では見えない部分も大切にする、情熱的な人も多いです。また、AIなど会社としての技術力を武器として活かせたり、コミュニティマネジメントに力を入れていたりと、ゲーム会社の中でもなかなか事例のない取り組みをしていると思います。

ゲーム的にも分析的にも新たなアプローチが多いため、日々刺激を受けながら働くことができる良い環境だと思っています。

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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【データサイエンスの競技者”Kaggler”が活躍する職場】社内での立ち回りやエンジニアやアナリストとの関わり方、今後のビジョンが語られた

2019年2月6日、渋谷ヒカリエにて技術者向けの大規模イベント「DeNA Technology Conference 2019」が開催されました。

本記事では、DeNAゲームサービス事業部の分析部に所属する山川要一も参加した、「パネルディスカッション:データサイエンスの競技者、Kagglerたちが活躍する職場とは」と題したセッションをレポートします。

※記事の最後にはセッション時に投影した資料を掲載していますので、そちらもご覧ください。

Kaggle、そしてDeNAのKagglerとは?

「データサイエンスの競技者、Kagglerたちが活躍する職場とは」と題した本パネルディスカッション。

登壇者は、データサイエンスグループのマネージャーとしてKaggler達を率いる原田慧、データサイエンス競技「Kaggle」のトッププレイヤーで構成されるAIシステム部のデータサイエンスグループでKagglerとして活躍する加納龍一と小野寺和樹。

さらに、システム本部AIシステム部のMLエンジニアとして鈴木翔太、ゲームエンターテインメント事業本部に属する分析部のメンバーとして山川要一が別の立場から、一緒に働くKagglerについて紹介するため本セッションに参加した。

左から原田、鈴木、加納、小野寺、山川
今回、ホワイトボードでパネルディスカッションの模様がリアルタイムで描かれていた

本題に入る前に、モデレーターを務める原田がKaggleの概要を紹介。Kaggleは機械学習モデルを構築するコンペティションのプラットフォームで、スポンサーが出したデータと問題に世界中のKagglerたちが挑み、提出した予測結果の良し悪しで順位付けされる。上位者には賞金が出たり、Kaggle上でメダルが付与され、メダルが貯まるとKaggleでのランクが上がり、MasterやGrandmasterといった称号が与えられるとのこと。

原田によれば、Grandmasterは世界でおよそ100名しかおらず、国内でも5人程度だという。また、Masterについては国内に約40名おり、その内の10名がアルバイトも含めるとDeNAに所属。原田自身もKaggleMasterだそうだ。

DeNAでも2018年4月からAI技術開発の横断部門であるAIシステム部のデータサイエンスグループにおいて、Kaggle社内ランク制度(データサイエンスチームのメンバーに対して、業務時間を使ったKaggleへの参加を認める)を導入していることにも触れ、同社のKaggleである小野寺と加納を含むチームが、昨年8月に行われた過去最大規模のKaggleコンペで第2位に入る実績を残した。

Kagglerの一人である加納は、次世代タクシー配車アプリ「MOV」の中の機械学習の応用をメイン業務としてアサインされながら、「残った業務時間をKaggleに費やしています」(加納)と、社内Kaggle制度の実例を紹介した。

DeNAのKagglerである加納(左)と小野寺(右)

また原田は「MOVやオートモーティブなどの大きな案件に関わることもあれば、Kagglerが中心となって案件を達成することもある」とし、先日発表されたDeNAと関西電力による石炭火力発電所のスケジューリングを効率化するというプロジェクトでも、中心となったKagglerが3名いることを明かした。

実際、Kaggle上でこれら案件のような問題が出ることはないそうだが、Kaggleの中で日々勉強をしているため、その応用として変わった仕事であっても対応は可能だという。

このようにKagglerにより回っていくプロジェクトもあれば、「DeNAはAIを使って色々な事業を立ち上げていこうという会社」と原田。全社的にAI技術を使ってサービスを良くしていくことが根幹にあるとし、その中でKagglerに期待される役割について説明した。

Kagglerは、システム本部AIシステム部内の、AI研究開発エンジニア、MLエンジニア、データサイエンティストという3タイプのメンバーの中の、データサイエンティストに分類される。データサイエンティストは、Kaggleで様々な事をやっているので引き出しが豊富で、色々な経験も持っておりスピードが速い。

これはサービスや事業、使う技術に強いこだわりがあるわけではなく、データがあって課題があれば何でもやろうというスタンスとのこと。

データサイエンティスト協会の”データサイエンティストに求められるスキルセット”の図を例に、Kagglerはデータサイエンス領域の中のさらに特殊なところに属すると原田

Kagglerはどのように仕事をしているのか?

ここから本題のパネルディスカッションがスタート。DeNAには様々な職種のメンバーが仕事をしているが、実際どのようにKagglerと仕事をしているのか?

「基本的にはアナリストと事業部とKagglerは三者三様の形で働いています」とは山川。アナリストの立場としては、Kagglerはデータサイエンスに特化しており、一方で事業部は常にビジネス課題で頭を悩ませている。

どうすればビジネス課題を、データサイエンスの問題に落とし込めるかというところでアナリストが間に入ってデスカッションして、問題設定をしているという。

事業部とアナリストで”こういう課題を解いていきたい”という戦略を固めつつ、「どうやって解いていくかをアナリストがKagglerでディスカッションし、モデルを作って製品として出すこともあれば運用に必要な基盤みたいなものを作ってもらうことがある」(山川)そうだ。

その意見を聞いて、「すごく難しいことがある」と原田。事業が抱える課題をどんなデータサイエンスの問題に落とし込むかは簡単ではないという。データサイエンスの問題の形、それこそKaggleで出題されるような問題の形で事業部が用意することはあまり期待できないという。

その問題に対して山川は「そもそも何がしたいのか、常に自分が事業責任者だという気持ちで実際の事業責任者やプロデューサーとディスカッションをして問題を作る」などの工夫をしているそうで「最初にこういう問題を解きたい、これくらいの精度の向上、利益率の向上を目指しているといった指標を事前にすり合わせて進めるようにしている」とした。

逆にKagglerから見て、実際に事業部の抱える問題がKaggleの問題と同じようにおもしろいかという問いに「Kaggleの問題の方がおもしろい」と小野寺。

補足する形で原田も「もちろん例えばKaggleって3ヵ月間でがんばって結果を出すということがあるんですが、Kaggleの上位層が競っているのは0.000いくつの世界の話で、そこまで事業部の方が興味があるのかというとそうではなく、大抵の場合当たり前のこと」と説明。

「もちろん我々としては大きな予算が動いている中で、ちょっとでも効率化して売上に貢献できるような仕事もやりたいですが、小さい分析となるとどうしても事業にあったものをKagglerがパッと作る形で力を発揮することがあります」(原田)と続けた。

また、最近ではKaggleのクローンを作成し、Kaggleの問題を解いているかのように仕事ができる地盤を整えているという。

山川も「アナリストもKagglerと同じレベル、とまではいかないまでも、自分でもある程度実装してこれくらいのベースラインのモデルになるだろうとか、どれくらいの精度だったら見込めるだろうという肌感を知っておきたい」とし、事業部で設定した問題を触れる環境として、自身でベンチマークモデルを作って検証するなどしているそうだ。

一方、鈴木はエンジニアとしてどのようにKagglerと仕事しているのか。現状は、「Kaggler数名と一緒にオートモーティブ系のプロジェクトに入り、彼らの実験や学習をする環境作りや必要なデータの収集、Kagglerが作ったモデルを本番にどう組み込んで配信するか」(鈴木)など、モデル作り以外の様々なところのエンジニアリングを幅広くやっているという。

また、Kagglerと仕事する上で苦労することはないのかとの原田に問いに鈴木は、「エンジニアスキルが人によってまちまちなところがあり、エンジニアなら普段から使っているであろうものでも教えてあげたりサポートする必要がある」と語った。

逆に、Kaggler陣は、アナリストやエンジニアとどう接しているのか?

「普段はアナリストやMLエンジニアと仕事する」と加納。半年前にDeNAに転職してきたという自身の経歴に触れ、「それまではずっと研究していましたが、会社に入って周りの方々が色々教えてくれます。それがなければやっていけなかったと思います。MLエンジニアリングやアナリティクスなど、その強い専門性を持った方々が周りにいるので、自分たちも吸収できるし、Kagglerとして今までない環境、良い職場だなと感じています」と話した。

また、「結構1人で完結する仕事が多い」という小野寺のような働き方もあるようで、「1人でということであればそういうパターンもあります。加納さんが色々な方と仕事できると言っていましたが、これはDeNAの仕事の仕方の1つの魅力」と原田。

1人で何でもできることもすばらしいが、これなら世界の誰にも負けないという気概を持ったメンバーが集まっているのがデータサイエンスグループであり、「DeNAが全社的にサービス実現に向け全員で一丸となって取り組むという考え方の元、色々なメンバーが色々な苦労をしながら成り立っている」(原田)とした。

Kagglerの存在によってDeNAはどう変わったのか?

DeNAでKaggler枠が正式に組織されたのは2018年2月。そこからこの1年で多くのKagglerがやってきたが、これによってDeNAとしてどのような変化が生まれたのか?

「今まではデータはあってもどうやって使えばいいかとか、こういうことできたらもっと意思決定に役立つのに、というビジネス側で議論することがありました。それがKagglerの技術的なサポートを受けることで、より高度な問題解決ができるようになり、より効率的に運営に負担をかけない運用方法や、ここは気を付けようという発見がノウハウとして貯まってきた」と、山川はできることが広がったという印象のようだ。

それを聞いた原田から、「Kagglerはモデルの精度を高めるのが本職。簡単なモデルを作るだけなら山川さんでもできると思います。その状況の中で、最低限の分析をする上で間に合っていた中で、Kagglerがやってきたことでの価値」という質問が。

山川は「プレイヤーにどれくらい継続的にプレイしてもらえるのかを予測するのは、ゲームを運用する上でとても大事なこと。小野寺さんに作っていただいた予測モデルで、この精度がかなりあがりました。それが会社としても、意思決定する上で定量的にわかるようになったのは大きな意味があります」とし、そういう部分でKagglerのバリューがとくに大きかったとコメントした。

一方の鈴木は、一度辞めて1年前に再びDeNAに戻ってきたという経歴を持つ。その立場から「昔はデータサイエンスに尖った人材って、社内では少なかったイメージでした。でも戻ってきたらたくさんいた」との印象を述べた。

また、「山川さんと意見が近いですが」と前置きし、「できる仕事の範囲、幅が広がりました。関西電力との案件も、以前はDeNAがやれるとは個人的に思っていなかったので、そういったところでデータサイエンスがアプローチして、色々できるようになったところがおもしろい」(鈴木)と語った。

それに対し、原田は「僕らからすると、おもしろそうな案件があるからやってやろうと思っているだけなので、楽しく過ごしている」とKaggler側の意見を述べた。

では、Kagglerは転職してきたDeNAに対してどういう印象を持っているのか?

昨年6月に転職した加納は、「原田さんは数学、小野寺さんは経済学、僕は天文学と、みんなバックグラウンドが違ってすごく個性的でユニークだと思う」とのこと。また「Kaggleって画像系や言語処理だったり色々やるけど、1人1人得意な手法が全然違って、幅広い能力を持ったメンバーたちが集まっている。みんなが持っている強みを少しずつ幅広く吸収できる」ところがデータサイエンスグループ、そしてDeNAのおもしろさであり魅力と語った。

「私はチームのマネジメントをしていますが、多様なメンバーがいるから大変そうに見えてある意味楽なんです」とは原田。つまり「みんなKagle好きという価値観の元、考え方が全く違うということがない。もちろんどんなスキルがあって、どんな事業が好きという細かい部分の違いはあるけど、我々がチームとしてどうありたいかということに関しては、みんなの意見がブレることはあまりなく、一体感がある」とのこと。

そして小野寺はDeNAについて、「色々な会社を転職してきたが、DeNAは働き方が良い意味で自由」という印象を持っているという。

これについて原田は「裁量労働制がほとんどの社員に適用されていて、10時半には出社しようというルールはあります」と補足。ただし、メンバーの働き方に関しては小野寺に言うようにかなりの自由度を与えているとし、「管理しても仕方がないし、管理コストの問題もあります。各メンバーの専門性だったりプロ意識への信頼」(原田)がDeNAの自由な職場環境に表れていると説明した。

また、Kagglerを束ねる原田は、自身が昨年2月にDeNAに転職した動機について大きく2点あると切り出した。1つは「Kaggler枠という制度におもしろさを感じ、DeNAのKaggleに対する本気度を感じた」(原田)こと。

もう1つは、それまでゲーム会社だと思っていたDeNAが「いざ話を詳しく聞いてみると、色々な事業をやっている。色々な事業をやるという部分が、色々な会社の色々な問題を解決していくKaggleに近いものがあった」(原田)と、同社の多様さに魅力を感じたことが転職の決め手だったと話した。

今後Kagglerはどうなっていくべきか?

DeNAにKaggler達が集い始めてから、ちょうど1年が経ったが、今後Kaggler達はどうなっていくべきか? これが本パネルディスカッションの最後のテーマとなった。

まずKaggler側の意見として、「自分たちは仕事の時間を割いてKaggleをやっていますが、遊びではないという前提の元で、今後もKaggleにチャレンジし続けるということをまず1つ突き詰めていきたい」と加納。Kaggleの勉強をしながらその上で得られるスキルなどを蓄え、自分自身の幅を広げて間接的に会社に貢献することで実績を出していきたいとした。

過去3度、Kaggleのコンペで世界2位に輝いた小野寺は、「Kaggleのコンペで一回くらいは優勝したい。今まで準優勝しかないので世界一になりたい」とその目標を語った。

対して、エンジニアやアナリストがKagglerに今後期待するのはどのようなところなのか?

まず鈴木。「社内でエンジニアとして機械学習に興味を持っているメンバーがたくさんいるので、そういった人たちに教えてもらったり、何らかの機会で社内全体のデータサイエンス力の基礎力を上げる取り組みをしてくれるといいなと思います」と今後のKagglerに期待を寄せた。

また「エンジニア側として取り組んでいきたいこともあります」と鈴木。

「チームで成果を出すというところを意識しているので、Kagglerがもっと高速に分析、実験を行える環境を用意したい。もっと色々なところでモデルがデプロイされて動いていくと思うので、デプロイの仕組みをより効率化して、MLOpsもしっかりやっていきたいと思っています。あと最近の分析環境は大体AWSなどに構築することが多いので、その辺にしっかりキャッチアップして、Kagglerに提示してあげたい」(鈴木)と、自身の今後についても触れた。

山川は「今は全社的にAIが使われていますが、Kagglerがメインで関わっているのはオートモーティブ事業。一方でゲームエンターテインメント事業も解ける問題、解きたい問題がたくさんありますし、ヘルスケアなどその以外の事業もある」と、今後Kagglerにそれらの領域にもどんどん出て行ってほしいとコメント。

そして自身の今後については、「サービスからの課題に対する要求水準がどんどん上がっていく中で、アナリストとして事業部とデータサイエンスグループの間に入り、自分でも事業者視点で問題設定ができて、なおかつどうしたら問題として最適にデータサイエンティストと一緒にやれるかというところを考えられるよう、アナリストとしてもう少し力をつけていきたい」と語った。

最後に原田は、「Kagglerは結局のところ専門性を持った集団。それがどうやったら上手く活きて、どうすれば全社の役に立つのか? 色々な方にお世話になりながら今後も進んでいくのかなと思っています」と本セッションをまとめた。

セッション中、描かれ続けたパネルディスカッションの流れをまとめたパネルも完成した

セッション時の投影資料はこちら

※本記事は2019年2月時点の情報です。
※本記事は、SocialGameinfoに掲載された内容を一部構成を変更して掲載しています。

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アナリスト・山川要一のDNA

個性的かつ唯一無二のDNAが集合したDeNA。
何といってもその魅力は人にあり!
働くスタッフの業務内容からプライベートまで公開します。

山川要一のDNA(アナリスト)
・学びに貪欲なアナリスト
・「感情分析プロジェクト」オーナー
・離島ダイバー

 

ーー入社後やってきたこと、今やっていることについてお聞かせください。

新卒入社後、弊社各種サービスの企画・分析業務を経て、現在は、スマートフォン向けゲーム“FINAL FANTASY Record Keeper”の分析を行っています。膨大な量のデータを活用しながら、サービスが抱える課題・解決策について提言を行いつつ、タイトルの中長期戦略についても、プロデューサー/ディレクター陣と非常に距離感近く、日々ディスカッションしています。

また、分析部全体で取り組んでいる「感情分析プロジェクト」のオーナーとして、プレイヤーの感情モデル作成にも注力しています。心理学/機械学習/AIの知見を活用しつつプレイヤーの感情を把握、可視化できるようになれば、それに合わせてサービスを改善することで、より良い体験をしていただけると確信しているからです。

人間の感情・心理は非常に複雑であるため、モデル化にあたっては心理学やデータサイエンス等、各領域の専門家の方々も交えてディスカッションすることもあります。大量の定性/定量データを元に、自由な発想で業務に取り組めることがとても楽しいですし、毎日のように新鮮な学びがあるため大変刺激的です。

感情分析プロジェクトをはじめとして、今後は既存の分析業務をより一層高度化する取り組みにチャレンジしたいと考えています。

ーー仕事をする上で大切にしていることはどのようなことでしょうか。

まず第一に、自分の関わっている領域に対して全力で取り組むことです。やるからには全力で取り組んだ方がアウトプットのクオリティも上がりますし、その分、学びも大きいです。

そして、自分が任されている領域はもちろんのこと、自分が主担当でなくても、サービスのクオリティやプレイヤーの満足度向上に寄与しうる気づきがあれば、都度提案することを心がけています。

次に、些細なことからも新たな学びを得られるように、自分の中で常に何かしらの問いを持つように意識することも大切にしています。「担当タイトルが中長期的に目指すべき姿はどのような状態か」という大きな粒度のものから「毎日の定常業務をいかにしてより効率的に実施できるか」という小さなものまで、考える対象も様々です。

小さな疑問でも、調べたり考えたりすると実はその先に想定外の世界が広がっていることがあり、そのような発見を日々積み重ねることが自分にとっては楽しく、これからも大切にしていきたいことであると考えています。

ーーDeNAの魅力はどのような点だと思いますか?

大きな魅力の一つは、圧倒的に自由な社内風土です。これは、DeNAのビジョンにも含まれている“デライト”を追求するプロフェッショナリズムに起因しています。入社年度、年齢、肩書き関係なく、各人の意見が尊重されます。

そのような社内文化が醸成されているので、業務の進め方を誰かから強制されたり、過去の業務内容・やり方に固執したりすることもなく、自由に仕事を進めることが出来ます。

また、各領域のスペシャリストが集まっていることも魅力であり、強みだと思います。
分析/企画/エンジニアをはじめ、各領域のトップクラスの人材が集まっている上、コミュニケーションも活発に取りやすい環境であるため、常に大きな成長の機会を得られます。

分析領域も採用に力を入れており、これまでの分析業務をさらに飛躍させられると感じています。

ーー社内で息抜きするときは?お気に入りスポット、メニュー、取り組みなどありましたらおしえてください!

Sakura Cafe」という社内カフェがあるので、そちらで休み時間に本を読んだり、ゲームをしたりすることもあります。かなり自由で広々としたスペースなので、そこで作業をしたり、メンバーとアイデア出しのミーティングをしたりすることもあります。

その他には、オフィスの至る所にリラックスするためのスペースも用意されているので、そこで音楽を聴きながらコーヒーを飲んでリフレッシュをしています。

ーー「1ヶ月お休みだよ!」といわれたら何をしますか?

元々、数学がとても好きなので、まずは静かな場所で数学の勉強をしたいです。特に確率解析あたりを。あとは、離島にダイビングに行きたいです。大学時代に趣味でダイビングをやっていたのですが、海中の静寂によって日々のあらゆる雑念が洗われる感じに、毎度癒やされていました。

一方で、海中では思わぬ生物に遭遇する楽しみもあります。マレーシアの離島でダイビング中に、野生のジンベエザメ(巨大だが、温厚なので人を襲うことはない)に遭遇したときは驚きと興奮で心臓が止まるかと思いました。

※本記事は2017年11月時点での情報です。