【CEDEC2019】「大規模モバイルゲーム運用におけるマスタデータ管理事例」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。本記事では、9月6日に行われたセッション「大規模モバイルゲーム運用におけるマスタデータ管理事例」の内容を一部抜粋してレポートします。

セッションの冒頭では、登壇者の株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム事業部 共通基盤部人西聖樹より、近年のモバイルゲームの大規模開発に伴い、マスタデータ入力やそれ以外の作業者などチーム内のメンバーが増加し、ワークフローも複雑化している状況が説明されました。

そのような状況の中、マスタデータを管理、入力するためのワークフロー構築は、とても重要な分野であり、世の中に公開されている情報は未だ少ないと人西は述べています。

そのような背景を踏まえて本セッションでは、まずDeNAのこれまでのブラウザゲームの時代からネイティブアプリのモバイルゲーム時代の遷移を説明しつつ、これまでに実施したマスタデータの管理およびワークフローの構築の取り組みについて紹介されました。

マスタデータとは

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「マスタデータ」とは、モバイルゲームの運用において、デプロイ時点で運営側が先に用意しているアセット群のうち、文字列で表現されるデータのことを指し、ユーザー起因で内容は変化せず、運営側により変更されることがあり、ゲームのランタイムからするとRead Onlyなデータ。ユーザーごとに値が変化するデータは含めず、テキストデータで画像や3Dモデルのようなアセットも、今回の発表では含めない。

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マスタデータは、ゲームの動作やゲームバランスを決定するために、あらかじめ設定をしておくパラメータを指し、多くの場合は表形式で表示できる構造になっています。

モバイルゲームの多くは、アプリ起動時に最新のマスタデータをダウンロードして、そのデータを参照しながら動作します。

クライアント側だけではなくサーバー側のプログラムも同様に、マスタデータを参照することもあり、プログラムとマスタデータを分離しておくことで、マスタデータ部分はプランナーなどの非エンジニアでも容易に変更できるように設計されているとのことです。

マスタデータの更新のみで完了する場合

アプリバージョンアップをせずにマスタデータだけ配信することが可能です。

アプリのバージョンアップは、Apple Storeなどプラットフォームの審査を通過する必要があり、時間がかかりますが、更新内容をマスタデータに切り出しておくことで、各審査を通さずに、運営側のスケジュールのみで、迅速にゲームの更新を反映することができるようになっています。

ここでは、マスタデータの一例として、「武器」マスタや「必殺技」マスタのサンプルが紹介されました。

以下の表では「武器」マスタの中に「スキルID」という列が入っており、「必殺技」マスタのIDでも、あるマスタが別のマスタへの参照を持つことは非常に多いとのこと。本セッションでは、これについてリレーションと呼んでいました。

マスタデータの一般的なワークフローとして、最初にプランナーがマスタデータを入力、その入力したマスタデータをゲームのランタイムに読み込める形式に変換します。

その後、変換したランタイムをゲームに読み込ませ、ゲーム上で手触りを確かめ、パラメータを変更希望な部分があれば、マスタデータを修正して、ランタイム形式に変換、再度ゲーム上で確認することが一般的なフローとなっています。その後、本番環境にデプロイされます。

マスタデータの役割について、ユーザーのプレイサイクルをデザインすることが重要だと説明されました。ユーザー体験の中でも、UI、画像、音楽のような目や耳で感じられるビジュアル、オーディオ以外全般のことを指すようです。

例えば、ステージクリアやレベルアップのテンポ、アイテムや必殺技、魔法の種類や性能、敵の強さの調整、会話やチュートリアルの説明などが該当します。

新イベントやステージを、アプリ本体更新なしに追加したり、プレイヤーが挫折しやすいポイントはすぐに修正が可能なので、コンシューマーよりもモバイルゲームの方が、運営を続けていく点においては、マスタデータを更新する機会が多いと人西は述べました。

DeNAにおけるこれまでのマスタデータ管理の歴史

ブラウザゲーム時代

ここからは、DeNAにおける過去のマスタデータの管理の歴史遷移について紹介されました。

DeNAのブラウザゲーム開発運営の時期は、およそ2009年から2013年。開発の運営に携わるチーム人数は30名程度で、プランナーは10名程度参画していたとのことです。

技術的には、クライアント側はHTMLとCSS、JavaScript、サーバー側はLinuxとApache、MySQLというオーソドックスなWEBアプリケーションで、DeNAではPerl、他社だとPHPなどのスクリプト言語で構成されていることが多いようです。

当時のブラウザゲームのマスタデータは、Excelファイルを共有ファイルサーバーに置いて管理していたそうで、マスタデータの反映や閲覧は、ゲームごとに独自に存在する管理用のWEBアプリケーションで管理していました。

マスタ作成ワークフローについては、マスタの種類ごとにExcelファイルが存在し、ファイルサーバーで管理されていました。

また、マスタデータを運営する作業者ごとに、そのデータを確認するためのゲームサーバーが割り当てられており、そのサーバーで各自が、その時点でのリリースのバージョンがセットアップされているため、自身で作業することが可能になっています。

作業フローは、Excelファイルをファイルサーバーからダウンロード、ファイルを編集した上で保存し、管理用WEBアプリケーションを経由して、自身のゲームサーバーに反映します。

その後実際にパラメータの動作確認のため、モバイル端末のブラウザ経由でアクセスして動作確認後、再度修正が必要であれば修正します。

データに問題なければ、mysqldumpでCSV化してgit管理。最終的にFIXしたCSVのデータを本番環境にMySQLへ流し込むことで、マスタデータを本番反映していたとのこと。

管理については、運用時に追加するマスタデータの多くは、一時的に使用するものとして管理されていたとのこと。その理由としてソーシャルゲームでは、ゲーム内イベントで使うテーブルなど、特定の期間でのみ必要なマスタが継続的に発生するからだと考えられます。

共通テーブルには、アイテムマスタやキャラクターマスタなど、イベントに紐付かない共通のテーブルがありますが、同時編集に留意してマスタを追加することが重要で、その部分はメンバー間のコミュニケーションでカバーしていたと人西は話しています。

チームの人数が少ない時期は、コミュニケーションで問題なかったものの、メンバーが増えてくると伝達が漏れて、誰かが編集したデータを上書きしてしまうといった事故が発生したようです。

さらに、独自の管理画面でマスタデータを投入・閲覧していたため、テーブルを追加するたびに管理画面も実装が必要になり、エンジニアの工数が増えて、テーブルによっては個別にリレーション先のテーブルの内容も見たいというプランナーの要望もあったため、エンジニアが個別で実装していたとのこと。

マスタの入力に関する部分では、運用が長期化すればマスタデータも増加するため、、入力が必要な個所をマクロや関数でカスタマイズし、できるだけ判別しやすく減らすなど、作業内容を単純化してデータ肥大化に対応しています。

ただ一方で、ナレッジが個人に依存しすぎたため、担当者が退職などで入れ替わるたびに引き継ぎされない箇所が多く、その影響でExcel上の意図しないデータが入れ替わってしまったり、誤ったデータ入力につながったりしていたことが問題だったと人西は振り返りました。

基本的に作業の分業はリリースバージョンごとに担当しており、バージョンごとにシートが分かれていたため、他の人の作業の影響を受けることは少なかったとのこと。

ただ、リリースに向けて、現在のブランチまでをマージ後、本番環境に反映する段階で、CSVがコンフリクトすることが多いようです。

同じ個所を複数のリリースバージョンで調整していたことが発覚し、コンフリクト解消が非常に大変だったこともあるようです。

対応策として、各イベントのリリースバージョン担当者とコミュニケーションを取り、「コンフリクト部分において、どちらが正しいデータなのか?」など、直接議論をしながら正しい値を選択する作業をひたすら繰り返していました。

新規キャラクター追加に関しては、共通のキャラシートのテーブルが存在するため「どの範囲のキャラクターデータの値を本番に反映するのか」「未来のデータは反映しないので省く」といった細かな更新をプランナーが手作業で実行していたため、未来のキャラクターのデータが反映されかねない危険な作業をしていたことも明かされました。

ブラウザゲームの時代を踏まえて良かった点としては、独自の管理システムを用意していたため、エンジニアが自ら拡張することで、見やすいように成形することができたこと。

開発環境のデータベースにSQLを投入すれば、自身の環境を確認することが可能なので、実際にパラメータ確認の点で、ネイティブアプリと比較してイテレーションが早いこともメリットと考えられるようです。

さらに、MySQLのテーブル単位でイベントの単位に紐付けていたため、比較的管理が容易で、イベント期間が終了したら、テーブルは不要なので削除も可能、他のイベントのデータと重複することもないため、コンフリクトすることもなかったとのこと。

一方で、Excelファイルを共有サーバーで管理していたため、複数人で同時にデータを編集できないことがデメリットとして認識していたと語られました。イベントのデータは管理が容易ですが、ゲームで共通で使用するマスタは、Excelで管理する方が難しかったようです。

また、イベント単位で切られているマスタは、ブックでの管理のため比較的容易ですが、共通のマスタは同時編集不可のため、イベント専用アイテム追加などの作業中には他の人が触ることができないので、当然待ち時間が発生してしまいます。

それを回避するために、同名のExcelファイルをコピーして、一時的に入力できる運用方法でカバーしていました。

ガワネイティブ時代

この時代は技術的的にブラウザゲーム時代と同じ構成のブラウザゲームを、webviewでネイティブアプリ化しており、外側だけネイティブアプリで、中身はブラウザゲームであるため「ガワネイティブ」と呼ばれています。

この時代になると、チーム人数の規模が一気に増え、開発と運用チーム人数が100名程度、うちプランナーが50名程度という大規模なチームになりました。プランナー全員がマスタデータを編集する可能性があったため、しっかりとワークフローを考えなければならない状況だったと、人西は当時の状況を振り返りました。

ネイティブアプリ側もOpenGL APIを実行可能にすることで、中身はブラウザゲームですが、ネイティブアプリに近い、リッチなアプリゲームを開発できるようにしています。

この時期から、Excelファイルをファイルサーバーで共有して管理するのではなく、Googleスプレッドシートを使用してデータ入力するように変化していったそうです。

Googleスプレッドシートを利用すると、リアルタイムで複数人が共同編集可能になり、データの閲覧は基本的にGoogleスプレッドシート、データの反映は独自のCLIツールを開発し、それをGoogleスプレッドシートからダウンロードして、CSVに変換、MySQLにデータを投入・反映していました。

この時期のマスタ作成は、リリースバージョンごとにディレクトリを分けて、Googleスプレッドシートを管理するようになり、各ディレクトリにそのバージョンで追加変更するマスタデータのGoogleスプレッドシートだけが存在する仕組みになっていたようです。

Googleスプレッドシートに入力する内容は、基本的にマスタデータの差分のみを入力。そのため、マスタデータ全てがGoogleスプレッドシートに存在するのではなく、そのリリースバージョンで追加・変更するものだけが管理されます。

そして特定バージョンまでのマスタデータをゲーム反映したい場合、リリースバージョンごとの差分が存在するため、過去バージョンのマスタデータを独自CLIで統合し、最終的に全てのマスタデータが内包されたマスタデータを作成しています。

これにより、疑似的にバージョン管理を実現でき、Googleスプレッドシート上でマスタを入力し、Jenkins、独自CLIを使って担当リリースバージョンのゲームデータに変換して、ゲームに反映後、確認します。

実機で動作確認をして問題が発生した場合、修正後に再度Jenkinsを実行、問題なければそのままmysqldumpでCSV化して、同様にgit管理下にCSVを配備し、gitでCSVを管理しています。最終的にCSVをMySQLに流し込むことで、マスタデータの本番反映を実施していました。

企画者がリリース単位でスプレッドシートにデータを作り、Jenkinsのジョブを実行、スプレッドシートからマスタデータをダウンロードし、CSVに変換、開発環境用のデータベースに反映するのが詳細なフローになります。

反映後、企画者がゲーム上で確認して問題なければ、別のJenkinsのジョブを実行し、スプレッドシートからダウンロード、分割されたシートをマージし、CSVに変換して、githubへPullRequestとして送信されます。

そして、github上ではマスタデータのレビューを行っており、この変更で問題なければ、リポジトリにマージすることで、初めてマスタデータの変更がCSVに反映されるというフローを採用しているとのことです。

しかし、マスタデータが肥大化することが別の問題として発生しました。運用が長期化するとマスタデータが増えるため、作業に支障をきたしていたとのこと。

この問題の対応については、GoogleスプレッドシートのVLOOKUPや入力規則を利用して、なるべく編集箇所や入力できる値を絞り、自動でマスタデータが生成される仕組みを作って解決しています。

当時は、リリースバージョンごとにディレクトリを分け、Googleスプレッドシートを管理していたため、シートが独立していました。疑似的にバージョン管理の仕組みを導入することで、他のリリースバージョンの影響を一定切り分けることが可能になったとのことです。

しかし、それまでのバージョンのマスタデータを統合する際、以前のバージョンのマスタデータを他の人がまだ編集中の場合に問題が発生することが判明しました。

イベントAとBが並行で開発を進めている際、どちらも編集中の状態の場合、ゲームにそのまま投入するとエラーが発生してしまいます。

それ以降のバージョンでマスタデータを入力している人のデータが、全てエラーを含むデータになってしまうため、実際にゲームで確認したところ、自分が編集していない箇所でエラーが発生してしまい、原因が分からない混乱を招くことがあったようです。

これはリリースバージョンが異なる中で、影響範囲が切り分けられていない部分があることが原因です。

その問題を防ぐために、リリースバージョンごとにシートを独立して分けていましたが、さらに個人で作業するためのディレクトリを切り、マスタデータを編集し、その後にイベントや自分の担当したリリースバージョンに確定したデータを反映していた状況でした。

またブラウザゲームの時代と異なり、この時期にはJenkinsを活用することで、作業を自動化して入力作業以外の処理を、基本的にJenkinsの任せることが実現できたとのことです。

ガワネイティブ時代を振り返ると、Googleスプレッドシートを関数や入力規則で拡張することで、データ入力が一定自動化することができたため、特定環境にデータを挿入することや、PullRequestを送る部分については、かなり自動化を進めることができ、Jenkinsで機械的にマスタの誤りや不整合をチェックできるようになったと、人西は述べました。

ただ、Googleスプレッドシートのデータ量の増加と運用に伴って、マスタデータが増加していく一方で、シートのデータ量も増加したことが課題点として挙げられました。

さらにシートの関数機能を多用していたため、シート自体を展開、編集する処理がどんどん重くなっていったようです。

また、複数の運用開発ではリリースバージョンも複数存在するため、並行開発が進んでいく中で、疑似的にバージョン管理はできていましたが、マスタデータの変更の影響を、完全には切り分けられていないことも課題だったようです。

さらに、リリースバージョンまでのマスタデータを統合してゲームデータにする段階で、そのマスタが編集中の場合があり、エラーが発生することもあったとのこと。

マスタデータがどんどん増大していくので、それにともない線形的にマスタデータのビルド時間が長期化していく課題も発生しました。

運営が長期化すれば、マスタデータ自体も増加するため、GoogleスプレッドシートのAPIを利用してマスタデータをダウンロードする際に、APIのレスポンス速度、あるいはネットワーク通信を挟むため、通信速度がボトルネックになる課題も同時に発生しています。

ネイティブアプリ時代(現在)

現在のネイティブアプリ開発では、チーム人数としては約70名程度とやや減少傾向にあり、うちプランナーは30名程度の規模となりました。特徴として、この頃の時期からUnityを利用したゲーム開発が進んでいたようです。

マスタデータ管理については、Googleスプレッドシートを使用、Jenkins上でシートのマスタデータをゲームデータに、ゲーム側ではjson読み込みを活用しています。

バージョン管理では、gitおよびGithubを利用することで管理していました。ビルド時間が長期化する課題については、キャッシングの仕組みを導入することで、一定ビルド時間を減らすことに成功しています。

また、ネイティブアプリ化にともない、アセットデータをクライアント側に配信する概念が生まれ、後述する新たな課題が発生したとのこと。

マスタデータのワークフローの概要は、ガワネイティブ時代と同様、ディレクトリごとにリリースバージョンを作り、ディレクトリ内にさらに作業者ごとのディレクトリが存在している仕組みです。

また、それぞれのディレクトリの内部に、そのバージョンで追加変更するマスタデータのスプレッドシートが存在しており、マスタを追加変更する際は、対応する名称の空間に自身のシートを作成し、マスタデータを書き込みます。

変更後に、マスタデータ書き込みが終わった段階で、作業者のローカルPC上でゲームの変更確認を実行しています。現在ではこのように「データを入力」「ローカルにダウンロード」「変更を加え動作確認する」という作業フローを繰り返しているそうです。

そして、パラメータに問題なければ、Jenkinsを実行します。この作業は追加変更したデータを差分として見られるようなPullRequestを、自分の担当のブランチに対して投げるJenkinsのジョブになります。GitHub上でPullRequestが投げられるので、GitHub上でマスタデータの変更を作業者、あるいはレビューの担当者が内容を確認してマージしていきます。

各バージョンがリリースされるまでは、ブランチ上では別々の差分ファイルとして管理されていました。同じキャラテーブルでも、別々の差分ファイルとして管理されています。それをゲームのランタイム側で、データを読むタイミングでマイグレーションしたデータを作成しています。

この処理では、同キャラテーブルでも差分ファイルだけが増加していくため、リリース後のデータ枠で全て結合して管理していきます。実機確認の際は、特定のブランチのgit管理下にあるデータをゲームサーバーに読み込ませて利用していました。

ここでの取り組みについて、スプレッドシートでデータが複雑化しない工夫は、ガワネイティブ時代と同様に実施し、同時作業や他の人と並行作業する際は、同じバージョン内で分業できるように設計されているとのことです。

一方で、差分で表現するリスクとして、別ファイルで同じ行を変更していた場合に、どちらが正しい行と判断するかという点がありましたが、運用とコミュニケーションでカバーすることで解決していました。

ここで人西は「検知する仕組みくらいはあっても良かったのかな、と思っています」と話しました。

マイグレーションのデータの統合のフローが、ガワネイティブ時代からかなり改善されており、スプレッドシート上のデータをマイグレーションするのではなく、それぞれのバージョンのgit管理下でデータ統合するため、スクリプトなどでマスタデータ、テスト済みのものを取り込むことが可能になっています。

さらに、プログラムコードと一緒にgitのブランチに取り込むことも可能になったため、マスタデータとプログラムコードが乖離する問題も解決したようです。ただ、マスタデータを変更してから、実際にゲームで動作確認するまでに時間がかかる課題は残ったようです。

また実機で確認する際は、マスタデータをmBaaSにあげて確認する必要があります。Unity開発のゲームでは、アセットバンドルの仕組みを利用して、マスタデータおよびそれ以外のリソース、3Dデータや画像を配信していたのですが、その際にアセットバンドルをビルドする必要があり、その処理に時間がかかること。さらにゲーム上で動作確認するまで、時間が必要になる課題もあったとのこと。

作業フロー

続いて、実際の作業のフローが詳しく説明されました。

フローの最初では、各個人でイベント用の環境を持っているため、mBaaSサーバーとビルド、UnityEditorを用意し、Excelで特定のバージョンのデータを作成します。

作成したデータをスプレッドシートに投入、特定のバージョンのシートに入力したデータをダウンロード、必要なアセットを作成し

ます。この部分はJenkinsのジョブでまとまっているので、プランナーが容易にアセットが作成できる仕組みを採用しています。

スプレッドシートのダウンロードには、独自のCLIを利用してゲームデータに変換しています。この際に、特定のバージョンのシートのみをダウンロードしてゲームデータに変換しています。

理由は、直前のバージョンまではgitのレポジトリに全て入っている前提でgit管理しているためで、これまでのデータと今回のリリースバージョンで追加されたデータとなります。

ゲームデータに変換後、ビルドしたゲームデータとUnityEditorを利用して動作確認をします。動作確認で問題がなければ、ブランチに対してPullRequestを送って取り込みます。リリース後に、今回のブランチでの追加のデータ群を、これまでの場所に取り込んでいます。

例えば、リリース前にA、B、Cというブランチを並行で開発したと仮定し、これまでのデータ群、リリースした全マスタデータとブランチAでの追加分、ブランチBでの追加分のデータ、ブランチCでの追加分のデータのように、それぞれブランチA、B、Cの差分のみを管理している仕組みです。

過去の差分に対しての変更や削除も、このような差分のみを適用するパッチで実行されるので、これまでのデータ群を直接変更することがないようにしていました。

共通スプレッドシート上で企画側がデータを作成し、Jenkins上のジョブを実行していくのですが、その際に一通りマスタデータを作成するために必要な処理をしてくれるようです。

gitリポジトリを最新の状態に更新し、シートからダウンロードし、リリースされている分とマージして、ランタイム向けにデータを変換します。マスタデータをスクリプトで機械的に異なる値が入力されていないかをチェック。アセットバンドル後、gitのリポジトリにコミットして、PullRequestsを出力しています。

もし、この時点でエラーがあればJenkins上で内容を確認して、修正して解決。それから変更したマスタのデータがgitのPullRequestに出力されているので、それを他のプランナーでレビューしてマージ、最終的にgitのレポジトリまで反映するという仕組みを採用しています。

ここまで説明されたように、ネイティブアプリでマスタデータを運用した際のメリットとしては、スプレッドシートのデータを直接、差分ごとに統合しないため、ガワネイティブ時代の課題を一定解消することができたと人西は述べました。

gitのリポジトリに入っている、これまでのデータ群が正しければ、その後は自身のブランチのみ変更の影響範囲を受けるので、作業影響の切り分けが容易にできるようになったとのことです。

一方で、ビルド完了までは、マスタデータの変更をゲーム上で確認できないことは課題だったようで、ゲームデータ変換をJenkinsのジョブに任せていたため、ジョブの実行時間が肥大化していき、マスタデータを入力後にゲーム上で確認するまでのイテレーションが遅くなっていました。

これは、マスタデータを追加したことによる、アセットの用意やテストなどに時間が必要となってしまった部分です。

課題のまとめ

大きな課題感として「並行で開発する環境に対応しきれていない部分がある」と人西は述べました。

複数のイベントを並行で開発する際でも、イベント間で編集の影響範囲が切り分けられておらず、このために、前段のイベント開発でシートを編集中だと、後続のイベントも影響を受けてしまいます。

編集中のデータをゲームに反映すると、アプリクラッシュが発生したり、前段のイベントがエラーになる値を入力していると、作業中では後続も影響を受けてエラーが続発することがあったようです。

例えば、3月1週目にリリースするイベントに対して、あるプランナーがパラメータを入力していたとします。さらに並行して3月2週目にリリースするイベントを、別のプランナーが作業している状況を考えます。

その場合、1週目のプランナーがボスパラメータを編集中のため、実際にゲームに反映するとゲームが落ちる可能性のある「誤ったデータ」となります。

3月2週目にリリースするイベントの担当者が、別のパラメータを編集中の場合、実際にはゲームは動作せず、自分が編集した箇所以外でクラッシュすることも判明しています。実はボスパラメータを3月1週目のプランナーが編集していたため、ゲーム上で動作しない現象が発生していました。

もう一点、実機確認までに時間がかかる問題では、マスタデータをゲームデータに変換するところがJenkins頼みになっていることが原因でした。

Jenkinsは他の人が実行中に作業できないため、当然待ち時間が発生します。作業者が増えるほど、ビルドの待ち時間も増えるので、入力したマスタデータを実機で確認できるまで、かなりの時間が必要になることが課題となっています。

最後に「差分が見にくい」といった課題も明かされました。

DeNAではマスタデータを入力後、正しい値が入力されているのか、修正不可な内容を編集していないか確認するために、GitHub上でレビューを実施しているとのことですが、この差分の確認がしづらい課題もあり、ゲームデータに変換後のデータをGitHub上で確認しています。

そのため、ゲームが読み込む形式のjsonやCSVのフォーマットテキストで差分を確認しますが、その際には行単位で差分が表示されるため、非常に人間の目に優しくない(セルが細かくて目が疲れるなど)課題も発生しています。

共通基盤システム Oyakata

先述した課題を解決するために、DeNAでは共通でマスタデータを管理するための、共通基盤システムOyakataを開発・活用しています。このシステムは以下の4つの機能を備えていることが紹介されました。

・バージョン管理機能
・変更データをOyakata上でレビューできる機能
・CIを経由しなくてもゲームデータに変換できる機能
・入力されたデータの検証機能

Oyakataは、モバイルゲームの運用に特化したマスタデータの管理用ツールで、ゲーム内マスタデータを一元管理し、ゲームデータに変換やデータチェックする機能まで備えています。大きな特徴として、バージョン管理機能、ブランチ機能、コミット機能を備えて、細かいバージョン管理をすることが可能とのこと。

管理できるレベルに関しては、gitと同レベルのバージョン管理機能を備え、これまで述べた説明通り、DeNA社内でこれまで発生した課題を解決するための機能を備えています。

また、複数のリリースバージョンを同時並行で作業していても、他の案件から影響を受けない構造にしたい目的も実現しているようです。

特に、作業するプランナーが50名を超える規模に拡大した開発現場では、単純にチーム内のコミュニケーションやワークフローレベルの改善だけでは、影響範囲の切り分けが難しくなり、システムでのサポートが必要だという課題を感じたそうです。

また、同リリースバージョンの中でも複数人で作業を可能にしたい、という要望を叶えることも目的のひとつになっています。

さらに、プランナーのデータ入力、ゲーム側の確認のイテレーションはできるだけ迅速にしたい要望もあり、これまで使用してきたJenkinsやスプレッドシートの組み合わせだけでは実現できなかったため、内製のマスタデータ管理システムを開発することになった経緯が説明されました。

Oyakataでは、その独自のシステム上でマスタデータを作成します。Jenkins上でゲームデータに変換するのではなく、作業者のローカルPC上でゲームデータに変換するという仕組みになっています。

ゲームデータを用いて実際のゲーム、UnityEditor上や実機で確認することを繰り返し、正しいパラメータに調整していきます。

その後、Oyakata上でPullRequestを送ります。GitHub上でのPullRequestではなく、OyakataがPullRequestの機能を備えており、PullRequestを送れる仕組みです。Oyakata上でPullRequestがOKであれば、マージ、開発ブランチに内包します。

この時点では、Oyakataのシステム内部のみでマスタデータが反映されている状態なので、続いてgitに登録することが必要になります。この部分では、ゲームデータを定期的にOyakataに登録されているマスタデータをデータに変換して、gitに登録するという仕組みを採用しています。

プランナーはOyakataを使用すると、Excelもしくはアプリケーションで編集する場合もあれば、マスタデータによっては、スプレッドシートなどの他のツールで編集したほうが効率が良い場合もあります。

例として、マップデータでエディターを用意し、マップをビジュアルで参照しながらマスタを設定したい場合、マスタの種類や目的に合わせて、適切な編集ツールを使うことができます。その後、マスタデータを入力して、Oyakata上で保存します。

続いてゲームサーバーに配信しなければいけないため、OyakataのDownloaderと呼ばれるCLIツールを使うことでゲームサーバーにデプロイすることが可能です。そしてサーバーからマスタデータを実機に配信することで、リリースやQA時、デバック時などもゲームデータの反映を行っています。

Oyakataを利用するメリットは、マスタデータ入力のためのワークフローを簡単に構築することができ、さらに運用スタートしてからの並行開発にも対応しているため、複数の開発が並行で進んでも現場が混乱しないワークフローが構築可能なことです。

また、バージョン管理の仕組みでは、各個人を切り分けて作業可能で、Jenkinsに依存しないマスタデータの変換の仕組みも備えているため、マスタデータを入力してから実機確認するまでの時間を短縮するワークフローが構築できるのも強みと言えます。

さらに、Oyakata上でマスタデータの差分を表示・レビューする機能も備えており、差分表示はGitHubのように行レベルでの表示ではなく、行と列がある形式のデータに合わせた見やすい差分の表示になっているので、意図せず誤った変更についても、レビュー段階でチェックできる仕組みを構築可能と人西は述べました。

また、Oyakataには共同で編集できるメリットもあることが明かされました。

CSVファイルとgitでマスタデータを管理する方法では、CSVファイルをレビューする場合、編集差分がgit上では非常に目視しにくいが難点になります。

CSVファイルを直接編集するワークフローでは、関数機能などCSVに保存することはできません。スプレッドシートからダウンロードし、ゲームデータに変換するツールを用意する必要があります。

また、Googleスプレッドシート自体にはバージョン管理の仕組みがないため、バージョン管理の仕組みもディレクトリごとに分類する必要があるとのことです。

Oyakataには、エディター・コンバーター・バリデーターの3種のコンポーネントが実装されており、各特徴が紹介されました。

エディター

エディターは、マスタデータを一覧で表示できる機能で、WEBアプリケーションとして提供しており、特徴としてレコード数の多いテーブルを複数に分割して管理することができます。

この機能があることで、マスタデータの運用が長期化・肥大化した際に、マスタデータのレコードごとにテーブルを分割して管理できるため、編集時に重いExcelファイルを開いて作業する手間が必要なくなります。

また編集の履歴機能では、gitと同様のコミット単位でのバージョン管理を提供しており、編集差分を確認することも可能で、ブランチの差分も表示可能。イベントをリリースする際、開発側での変更部分を一覧で表示することも可能なようです。

同様にこのエディターでマスタデータを編集する機能も実装されているそうです。これはマスタデータのレコードをWEB上のアプリケーションとExcelアプリケーションとしてローカルPC上で作成、変更、削除できる機能で、編集データはOyakata上でゲームデータに変換することが可能とのこと。Oyakata上にもGitHubと同様のレビュー申請やレビュー機能を備えているので、変更内容を表形式に合わせた見やすい差分表示にすることもできると人西は紹介しました。

コンバーター

コンバーターは、Oyakataで管理しているマスタデータをゲームのデータに変換する機能で、こちらもCLIとして提供。

ゲームごとにマスタデータを読み込む形式に差異があるため、Oyakataはjson形式とCSV形式でゲームのフォーマットに合わせた出力に対応しています。このCLIツールはマルチプラットホーム対応で、プランナーもWindows・Mac上でダブルクリックするだけで実行可能とのこと。

さらに、マスタデータの実機確認をする際に、Jenkins上でゲームデータを変換せず、マスタデータを自分のローカルPC上にダウンロードしてゲームデータを変換、UnityEditorで確認するフローを作ることが可能。

バリデーター

バリデーターは、マスタデータが正しいかチェックする機能で、こちらもCLIツールとして提供。マスタ間のリレーションチェックや、ゲームタイトルごとに独自で禁止事項を精査し、DSLによって、テーブルごとに設定することができます。

これまでの仕組みと違う部分は、ブランチ管理をサポートすることにより、完全に他の作業者の影響を受けなくなっている点。マスタデータの作成時も、ブランチ管理の仕組みを完全にサポートすることで、プランナーにも提供することが可能になっているとのことです。

また、ゲームデータの変換をローカルPC上で実行することにより、課題であるJenkinsの待ち時間を短縮することができたとのこと。さらに、マスタデータの表形式に特化した差分表示が可能なため、見やすい表示を実現しています。

Oyakataは、実際に新規開発プロジェクトで導入して利用中とのことですが、主にエンジニアが機能開発に必要な仮のマスタデータを入力したり、プランナーが用意された機能開発においてデータを追加・調整するために活用していると、人西は述べました。

このようにOyakataのシステムにはメリットが感じながら、実際にプロジェクトで活用して判明した課題もあるとのこと。それは運用ではなく、新規開発に適したワークフローではなかったという部分だそうです。

新規開発時では、特にデータを大量に作成する量産フローがあるため、正しいマスタデータを入力できる仕組みと比較すると、大量のデータを効率的に入力できる仕組みが重要で、その部分に関して考慮できていなかったと省みたとのことです。

本セッションでは、これまでスプレッドシートで対応しにくかった、並行開発時の各個人の作業影響範囲の切り分けや、Jenkinsに依存した管理や順番待ちの時間、jsonやCSVの目視確認のしづらさなど、各種課題を解決するために、マスタデータ管理の共通基盤システム「Oyakata」が開発され、それを活用することで、新たな仕組みが社内に生まれ始めていることが、明らかになりました。

最後に、ゲームの新規開発時の課題対処について、今後もこの共通基盤システムを活用しながら、開発現場を通して「マスタデータはどのようにあるべきなのか?」といった定義を探っていきたいと考えている、と登壇した人西はセッションを締め括りました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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【CEDEC2019】「ゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは?」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月4日に行われた「ゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは?」において、DeNAのゲーム事業部を率いる佐々木悠と、2019年7月より、まったく新しいメディアの形を模索して完全独立系のメディアとして再スタートした「電ファミニコゲーマー」編集長のTAITAIこと平信一氏によるセッションの内容を、一部抜粋してレポートします。

ゲームメディアの変遷

セッション冒頭で、株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部 ゲーム事業部 事業部長の佐々木悠と、株式会社マレ 代表取締役社長の平信一氏より簡単な自己紹介と、自社での担当業務などが説明され、これまでのゲームメディアの変遷についてディスカッションが開始されました。

まず、2014年度のデータを基に、ゲーム雑誌とWebメディアについて部数やアクセス面からグラフ化した資料で現状を把握しました。

1995年頃はファミ通などゲーム雑誌が最盛期を迎えていましたが、雑誌売上が減少する中、2000年頃からWebゲームメディアが登場、2010年頃にはWebゲームメディア数も増え、攻略サイトやまとめブログなど、新興勢力が急激に台頭してきたことが読み取れます。

市場・ビジネス面から俯瞰すると、年々ゲーム雑誌の売上は下がる一方ですが、Webゲームメディアの収益は上がっています。平氏は「市場の規模がダウンサイジングしており、このままではゲームメディアの未来が危ない」と感じたため、これまでにない新しい取り組みを考えたと話しています。

また、ブラウザ型ソーシャルゲームが流行した時期には、いわゆるアイテムコードのような「おまけ」を付けて販売する冊子が、コンビニなどで飛ぶように売れていたことを思い出したと、佐々木は述べました。

続いて、攻略本の売上および攻略サイトのアクセス数をグラフ化しました。2000年頃からインターネットで個人的に攻略Wikiなどを作成して公開する人が増加、さらにアフィリエイト業者が介入して組織的に構築した攻略専門サイトが登場しはじめ、出版社はビジネスチェンジを迫られている状況でした。

佐々木は、モバイルゲームを専門的に開発してきており、攻略情報はネットで取得する世代であり、以前は時代に逆行してモノとして手元に残る攻略本のようなアイテムを作ろう、という動きが当時は多少あったことを明かしました。

リアルに対する接地面を作るため、ネットだけで完結していた時期に比べ、最近ではゲームのオフラインイベントなどを積極的に開催する動きも増えています。

さらに、あらゆるサイトがPCからスマートフォン対応に移行し始めており、広告の運用手法も変わるため、広告収益のみで運営しているサイトは現状かなり苦しく、Webメディアの危機と言えます。

過去にDeNAでは、自社で攻略サイトを制作・運営する取り組みをしてみたところ、とても効率が悪く、数年で中止となったことを佐々木は話しました。自社で攻略に使えるデータをすべて持っているのに、業者サイトに勝てない難しさがあることは確かなようです。

特にオフィシャルで攻略サイトを運営するには、工数や労力、使用した予算に対して効果が見合わず、プレイヤーにとっては、情報さえ早く、正しいものであれば、公式でも業者でもどちらでも構わないカルチャーだと認識できたとのことです。

昨今、スマートフォン向けゲームのシステムが複雑化していく中で、開発側から提供する一時的な攻略情報は「ゲームを売るための手段」として見られてしまいがちで、自身で攻略する楽しみなど、コア化が進めば進むほどその傾向は強くなると考えられます。

ネットの発達が何を変えたのか?

続いては、アクセス計測ツールを利用した2014年度の、商業ゲームメディア、ゲーム雑誌、攻略Wikiなどゲームに関連するメディアについて、発行部数やPV数に基づいた勢力図が発表されました。現在は国内ではTwitterなどのSNS運用が、かなり台頭していると思われると佐々木は話しています。

また、現在のゲーム実況に関してはYouTubeやMirrativ、Twitchなどにほとんどが移行しており、特に最近のゲーマーには動画配信が必須となっていると、平氏は述べました。

開発者とメディアの理想の関係

ここからは、現代に合わせたゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係における、ゲームをプロモーションするためのメディア活用方法の変化などについて、フリーセッションが披露されました。

これまでは、ゲームメディアや雑誌が「ゲームを売るため」の媒体としての強い力を持っていましたが、時代や環境の変化によって、もはや現在ではプライオリティの高い媒体ではなくなっており、役割やミッションの在り方も変化しています。

開発側も、メディアに記事を書いてもらう、プレイ動画で解説をしてもらう、など違った手段でプロモーションを依頼することもありますが、大きな違いは「きちんと伝わりやすく編集されていること」「今思ったこの瞬間の気持を伝える」というどちらの手段にも価値を感じ、どうしても編集して伝えたいメッセージがあるときは、ゲームメディアに頼ることがベストに近い方法だと佐々木は話しています。

現在ではゲームメディアの役割や棲み分けも変化しており、「なぜこのゲームが好きなのか?」「ゲームのこの部分が良い」ことを言語化する、その部分をメディアがインタビューなどでシェアできれば、伝えたい情報をプレイヤーが捉えて反応するところまで含めて、メディアの役割になり得ると言えるようです。

佐々木が特に最近では、作り手の誠意や想い、どんな感情を持っているか、など注目されていることを感じており、開発者の発信が増えてきて、担当者がどんな人格を持ち、どのようなパーソナリティを発信するのかを考えることが重要だと話しました。

その手段として、SNS以外のインタビューなどで引き出させるもの、何を使って何を伝えるのかははっきりと開発側が考える必要がありそうです。特別なタイミングでは、メディア側にインタビューしてもらった記事を発信しないと、情報に偏りが出てしまいます。

一方で自社で完結する情報発信は、陽動的な印象をプレイヤーに与えてしまうことも多分にあるので、第三者が介入して良い質問や厳しい質問を含めた記事を利用することも必要となると、平氏は指摘しました。

ゲームを売るため以外の情報発信が、メディアの価値のひとつとなっていきますが、クリエイターが希望した時期や、ゲーム発売やリリースのタイミング以外のプロモーションでの情報発信を、ゲーム会社側も意識してすり合わせることが必要です。

中長期的な収益、プレイヤーとの関係性、エンゲージメントの部分に対するメディアでの発信の仕方について、KPI・KGIを計測するのはとても難しく、コミュニケーションの効果はすぐに結果として見えません。

数字として見えづらい部分に対して、開発者側が意思を持って取り組むことが重要で、投資判断も必要になります。

Webの世界では数値の換算は当然で、記事を掲載後のPV数や、実際のDL数などがKPIになりがちで、プレイヤーに広める、共感を得るようなインタビュー記事などの効果も、KPIとして計測しにくいのが現状です。

佐々木の過去の失敗事例として、あるタイトルの動画を制作したところ、約400万回再生されたが、実際のゲームDL数は約100人程度だったとのこと。蓋を開けてみると、ゲームではなく動画のファンが大多数を占めていたことが分かったそうです。

もちろん熱量を伝える手段として動画は重要ですが、プロモーションとして届ける目的地のプレイヤーが何を求めているかを正しく理解しないと、どれだけ投資しても効果は出ないことを体感したとのことです。

本当にゲームが好きなプレイヤーに対しては、メディアが発信する強い力を利用し、開発者が思っている気持ちを素直に届ける場合には、個人的に発信したほうが伝わる場合もあるので、開発側も方法を考え、選んでいくべきだと佐々木は述べています。

会場からの質問

参加者に向けて、現在悩んでいることを質疑応答形式で聞き、両者がそれぞれ回答しました。

Q:自社でIPタイトルについてTwitterで拡散をしているんですが、広告宣伝費はほとんどなく、IPの知名度も低く、現在Twitterのフォロワーが1,000人ほど、あと2ヶ月ほどで1万人にしたいのですが、どのようにすればよろしいでしょうか?

平氏:電ファミニコゲーマーでは、約1年ほどTwitterのフォロワーが伸びませんでした。良い記事は掲載されているのになぜだろうと悩んでいました。そこで学んだのは、Twitterに限らずWebの世界では、テクニカルにお客さんの背中を押すことが重要になっています。

また、他社のTwitterの取り組みの中で、フォロー&リツートでプレゼントする企画も増えていますが、単純にフォローさせるために、賞品など直接的な一手を何かしらの理由を付けて実施しています。

YouTuberとのコラボは、お互いのチャンネル登録者を交換するようなイメージの取り組みなんですね。コメントしてくれた人の中から抽選でプレゼント、番組に出演するからフォローしてね、みたいなテクニカルでフォローせざるを得ないような一手を考えると良いと思います。

佐々木:短期間で直接的にフォロワーを伸ばせれば、宣伝効果も高くなると思いますが、併せてTwitterの価値を含めて、基本的なエンゲージメントを伸ばすことも考えたほうが良いですね。

Q:プロモーションやマーケティングのコンサルや広告代理店に相談することはありますか?

平氏:僕の立場だと、広告代理店側から「どういうイベントや取り組みをすれば面白いですか?」と相談を受けることが多いですね(笑)。

佐々木:マーケティングのコンサルタントや、代理店にお願いすると、ほとんどが過去のタイトルで使用済みのパッケージ化されたアイデアが多いので、開発側が意識しなければいけないのは、これまでにない新しい手法を生み出すことですね。

また、費用対効果を含めて、(代理店などに)任せる部分、自分たちでアイデアを出して実行する部分を見極めるのが大事だと思っています。

日本モバイルゲーム産業史を制作中

そして最後に、本セッションの大きな目的とも言える、DeNA特別協賛で電ファミニコゲーマーと作る「日本モバイルゲーム産業史」の情報が公開されました。

電ファミニコゲーマーでは、平氏が率いる株式会社マレに運営が移管後、メディアとして企業協賛といった新しい試みをしています。

協賛第一社目としてDeNAが参画した理由として、まだ歴史が浅く、高速で成長したモバイルゲーム領域について、どのような変遷があり、クリエイターがどんな想いで関わっていたのかなど、これまで語られたことも少ないため、「日本モバイルゲーム産業史」を制作することを決めたとのことです。

平氏によると、「日本モバイルゲーム産業史」は約1年ほどかけて製作予定で、インタビューやコラム記事など展開予定だが、モバイルゲーム業界で過去に何が起こったのかを整理した年表をまず最初に作っていることが明かされました。

これまでどのようなことが起きたのかを当事者に連絡して、情報を持ち寄ってもらう声がけをしている最中とのことです。

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

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【CEDEC2019】「ゲームと機械学習の最前線~現状と未来を正しく捉えるために~」パネルディスカッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月6日に行われた「ゲームと機械学習の最前線~現状と未来を正しく捉えるために~」パネルディスカッションの内容を、一部抜粋してレポートします。

※本文は登壇者の発言をもとに対談形式で記載してあります。

ゲームと機械学習の最前線

奥村:今回のセッションは「ゲームと機械学習の最前線」というテーマでお送りします。AIに関しては、昨年頃からハイプ・サイクルでは、いわゆる幻滅期に差し掛かっていると言われていますが、それでもなお、AI技術の進展や産業への応用は増え続けています。

今回は2名の著名なゲームAI開発者をお招きし、そもそもどのような領域にAIが使われていくのか、AIはどれぐらい使えるのか、などディスカッションをしていきたいと思っています。

本パネルセッションは「CEDEC2018」で実施した「次世代QAとAI」の議論の続編に近い立ち位置になっています。当時は急速に増えて行くゲームへのAI活動の流れを感じながら、特にQA(品質保証)という領域に絞って、現状と今後について議論を行っています。

奥村:このQAに関しては、ゲームのコア部分の体系を作り込む作業とは、少し分離するようなコンポーネントであるため、会社や産学の枠を超えて連携していけるのではないか、というメッセージを発信させてもらいました。

セッションの開催背景

奥村:この1年を振り返ってみると、当時とは比べ物にならないほど多彩な変化があったと思っています。

ひとつの大きな変化としては、AI技術が進歩し続けていることです。連日のように最新のモデルが提案され、応用の幅も広がってきています。その流れはゲーム業界も例外ではなく、1〜2年ほど前まではとりあえずAIを活用してみようといった、導入検証に関する話題が多かった印象ですが、ここ1年ほどは実際にプロダクトに導入され、事業価値を生み出している事例も増加してきています。

そのような状況の中、技術に対する期待感も成熟しつつあり、「ゲーム×AI」に関する議論は、より実践的な話にシフトしてきたと考えられます。また、実際にどのくらい売上貢献可能なのか、AI導入を見据えた開発プロセスや体制の模索も続いています。また、そうした知見は広く世間に公開されており、横断したつながりも増えている印象も感じています。

セッションのモチベーション

奥村:本セッションでは、次に挙げる3つのモチベーションをもとに、ディスカッションを進めて行きたいと考えています。

まず1点目ですが、なるべく多くの実用事業を俯瞰したいということ、2点目はそれらの事例を元にして現時点でAIはどの程度使えるのか、導入の障害について議論していきたいと考えています。

パネリスト紹介

奥村:それではパネリストを紹介したいと思います。まずは株式会社スクウェア・エニックスの三宅陽一郎さんです。

三宅:スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部でリードAIリサーチャーとして、10名ほどのAIチームを率いています。過去にはロボットゲームや『ファイナルファンタジー』シリーズのAIの設計などに携わりました。

自分はこれまで、どちらかと言えば記号主義型、シンボルを使った人工知能について担当してきましたが、これからは機械学習の方に徐々にシフトすると考えており、研究を進めています。

奥村:ありがとうございます。続いて株式会社バンダイナムコスタジオの長谷洋平さんです。

長谷:バンダイナムコスタジオで現在開発中のオンラインゲームタイトル『BLUE PROTOCOL』にて、リードAIエンジニアをしています。実際のゲームタイトル内部のAIの開発をしつつ、並行してAI関連の最先端の技術のリサーチや、技術研究を担当しています。

この技術研究の中にはディープラーニングも含まれますし、それとは別に、ゲームに関連しない汎用的に使用可能なゲームAIのエンジンも開発しています。また、キャラクターのアーキテクチャを中心に、汎用的な開発研究にも携わっています。

奥村:そして最後に私はDeNAのAI本部で、主にゲームAIや強化学習といった技術を使った案件のマネジメントを手がけております。個人的な興味領域は、どのようにAIを事業価値につなげるかを考えており、AIエンジニアとプロダクト間を横断する活動をしています。

AIにまつわる用語の整理

奥村:まず本題に入る前に、セッションで使用する用語について簡単に整理します。

一般的にAIとは、人間と同等もしくはそれ以上の処理を行うためのテクノロジー全般を指します。中でも、判断や予測する能力をデータから機械的に学習するものを「機械学習」、さらにその一種で深いニューラルネットワークを用いたものを「深層学習」、いわゆるディープラーニングと呼んでいます。また、ゲーム業界で厄介な事例として、ゲームAIという別の言葉が存在します。

こちらは、学術領域で使われているAIとは全く別の文脈で進歩した概念です。そちらは区別をして使用したいと思っています。本セッションでは、AIという言葉はあくまでも機械学習全般を指すものとして定義します。

AIが推論をする際は、まず信号を数値変換して入力し、機械学習のモデルに組み込みます。ここで行列演算が実行され、結果が出力されます。たとえば異常検知に関しては、この入力が異常である確率が出力されます。

ネコとイヌを分類するAIを作る際の例として、ネコの画像を3色のRGB値に変換してモデルに組み込みます。するとこのモデルはディープラーニングを想定し、ニューラルネットワークを使って行列演算をして、ネコかイヌかの確率を推論します。

奥村:さらに教師データを用いて、なるべくこの確率ループがネコに近づくように、再度トレーニングし、モデルをアップデートする指示、さらに学習を繰り返すことによって、ネコの認知精度がより上がる仕組みになっています。

強化学習は、動物に芸を教え込むような行動に似ており、AIエージェントに対して、ある状況で行動を取る際に報酬をもらえると仮定し、そのフィードバックを蓄積していきます。それを反復することにより、好ましい行動を取るように訓練されていきます。

AI活用の現在

意思決定

奥村:意思決定に関連して、囲碁や将棋の分野において、人間と同等かそれ以上の賢いゲームエージェントが登場しています。

最近では、AlphaGo(アルファ碁)などは、かなり有名になっていますし、特に今年に入ってからのトピックとしては不完全情報原理が話題に上がっています。

例えば『StarCraft』や『Dota』などのゲームタイトルに代表される、長期戦略を扱うタスクでも、人間を超えるパフォーマンスを出すことが可能になっています。

そのような賢いエージェントが存在するデファクトした世界で、どのようにゲーム開発が変わっていくのか、事例を基にした方向性を紹介します。

奥村:1つ目はコンテンツ応用として「Human vs. AII」になります。eスポーツも同様に、ゲーム外の思考性として、人間とAIを戦わせること自体がコンテンツとなる世界が存在すると考えられます。

またゲーム内の思考性として、プレイヤー補助のためにエージェントを使用することも考えられます。初心者の対戦相手としてバランスの良いAIを使うような、ゲーム内コンテンツとしての応用です。

2つ目にQA文脈での応用については、ゲーム内を賢く回遊できるエージェントがあれば、テストも同時に実行してほしい、という発想から生まれています。

DeNA 奥村純

奥村:ゲームの内部が正しく動作しているかを確認するために、エージェントはゲームの中をひたすら動きまわり、自動プレイのテスト環境を作るQAオートメーションを実装しています。

また、ゲームバランスの担保、そもそも「ゲームが面白いことをエージェントに評価させる」動きも生まれ始めています。

実際の事例として「Human vs. AII」のコンテンツとして、『StarCraft』や『Dota』はもちろん、『ブレイドアンドソウル』『Arena of Valor』などのゲームタイトルでも、実際に人間のトッププロを打ち負かすような成績を記録しています。

奥村:プレイヤー補助に関して『逆転オセロニア』では、初心者から上級者までさまざまな強さをパラメーターで調整しており、それをユーザーに合わせたレベル版のAIを用いた練習コンテンツを提供しています。

また、対戦格闘ゲームタイトル『サムライスピリッツ』では、エージェントをミラーリングして他プレイヤーのように振る舞うAIと、実際に対戦可能なシャドーイングのコンテンツも提供されています。

奥村:一方でQAについては『北斗が如く』では、実際にそのゲーム内をエージェントに回遊させてVRAM使用率を可視化し、コリジョン抜け検知をするエージェントを作っています。

奥村:また、GDCなどでも『Battlefield V』や『The Division』などのゲームタイトルにおいて、実際にクラッシュ検知などで役立つトピックスを紹介するセッションが、注目を浴びていました。

ゲームバランスの担保に関しては『Candy Crush Saga』に採用された、実際に人間のようにプレイ可能なエージェントを、ディープラーニングでトレーニングすることにより、これまで新マップを追加するために、人力でのテストプレイが1週間ほど必要だった工数が、およそ数分に圧縮した例が紹介されています。

さらにCEDEC2018では、『D×2 真・女神転生 リベレーション』『コトダマン』などのゲームタイトルについて、さまざまな強化学習の遺伝的アルゴリズムを使った、ゲームバランスの調整をした事例も公開されています。

奥村:このような強化学習や強いエージェントが生まれることは、もちろん素晴らしいことなのですが、ゲームごとに特徴量のアーキテクチャを設計する必要があります。それをタイトルがリリースされる度に作業が必要となることが問題でもあり、スケールしづらい要因にもなると考えています。

株式会社スクウェア・エニックス 三宅陽一郎氏

三宅:現在、採用されているフレームはエージェントアーキテクチャです。「センサー」「認識」「思考」「行動」「エフェクター」という形ですね。いわゆるロボティクスから借りてきたアーキテクチャにそれぞれのゲームの知識表現を作り、ゲームに対応します。しかし、それはやはりゲーム依存なんです。

ニューラルネットの特徴は、そのような表現の規定が不要なところにありますが、それでもインプットするパラメーターを決める必要があります。

さらに、ニューラルネットワークの形を決めるノードの組み方の問題も存在します。組み方には特に規則性がないため、現在では適当に決めています。特に最初から最後まで、すべてE2Eで組んでしまおう、という方向がこれまでは強かったですね。

ゲームをプレイする人工知能を、すべてニューラルネットで実現することに関しては、アルファ碁やアタリのゲームレベルにおいて成功したところから、若干夢を見た部分がありましたね。大型ゲームにおいてニューラルネットだけでAIを実現しようとしても、思ったとおりに実現できないことが分かりました。

昨今の複雑なコンテキストを持つゲームは、ある程度古典的なアーキテクチャが存在し、その1個のモジュールをニューラルネットで実行する方法に、今後の未来があると感じています。

特に、階層型タスクネットーク(HTN:Hierarchical Task Network)など、問題をタスクに分けた上で、各タスクをニューラルネットワークの学習に任せる、という方向が有望かと思います。

そう考えると、ゲームシステム内のターゲッティングや魔法選択、アイテム選択などの技術はむしろ再利用できるようになるのでは、と判断しています。

奥村:ちなみに長谷さんのチーム内では、BehaviorTreeやBAのアーキテクチャについて、さまざまなタイトルで展開できる標準化がされていると思いますが、その観点でお話しいただけますでしょうか。

長谷:私も三宅さんの意見と同様に、E2Eで機械学習させようとすると、問題が複雑すぎてうまく動作しないことが多い印象です。そのため、BehaviorTreeのノウハウで、機械学習で選択するような仕組みを作るほうが、問題が限定でき、機械学習でも実行しやすくなる部分と、実際サーバがコントロールしなくて良い部分、機械学習に任せて良い部分に分類できるので、最適だと考えています。

機械学習をゲームで応用する方法については、そのゲームのキャラクターの動きに関して、重厚なイメージで動く場面、もっと爽快感を打ち出したい場面など、ゲーム制作の方向性によって求めている内容が違うため、共通化に関してはやや疑問に思っています。

株式会社バンダイナムコスタジオ 長谷洋平氏

奥村:実際に『逆転オセロニア』でもディープラーニングでエージェントを組みましたが、ゼロベースでチューニングしなければならず、大変でした。最近ではオープンAIファイルというエージェントを公開しましたが、そのアーキテクチャを見ていると、結構似通っていると感じますね。

そのような理由で、しばらくはゲームが新しく作られるごとに、ゼロベースでアーキテクチャなどをチューニングする必要があるのですが、ゲームジャンルに合わせて、ある程度アーキテクチャの指針は平準化して、共通のナレッジとして蓄積できる気がしています。

ただ、お二人がこれまで述べたように、やはりE2Eではないことはその通りだと思います。今後ディープラーニングなどが生き残っていく余地は、十分残されている気はしていますね。

続いて、先ほど長谷さんが述べていた「コントロールできる余地がない」話題について、もちろんスーパーヒューマンのエージェントが誕生すること自体素晴らしいのですが、そのテクノロジーを実際にゲームに適用すると考えたとき、コントロール不能だと怖いですよね。

プランナーからは「ここで必殺技を出したい」「変な挙動は絶対やめてほしい」など要望が出ますが、AIはブラックボックスになりがちなので、出力コントロールできないことは多々あると思っています。

その場合、どれぐらいコントロールすべきだと思っているのか、完全にディープラーニングのようなAI化ができるのか、それとも人間側でのコントロールする余地は必要でしょうか?

長谷:やはりその部分もゲーム内容で違い、デザイナーが決めた通りに動いてほしい場合もありますし、最近の複雑なゲームでは、チュートリアルやルール説明では完全に網羅できない部分が増えてきているため、一部機械学習を導入する必要があると考えています。

また、ゲームにどのような遊びを組み込むかによって、どの程度の機械学習を利用するかの判断は、ゲームそれぞれで、きちんと検討しなければいけない部分ではありますね。

特にアクションゲームや格闘ゲームのCPUキャラクターは、ルールベースで書かれている部分が多く、CPU戦でいくら戦っても、対人戦ではうまく動作しないことも多いんです。

さらに、最近活発になっているeスポーツの人気を上げるために、CPU戦をもっと人間らしく動かし、対人戦スキルアップの練習場所として提供できれば、その分野では、より機械学習を活用してAIを組み込む流れが生まれるのではと考えています。

三宅:ゲームAIの活用には3つ条件があって、まずその技術で多様性があること、そして拡張性とカスタマイズ性があることだと考えています。

昨今のゲームは大規模化しているので、細かい部分まで追いきれなくなっていますが、現段階での人工知能は、フレーム問題が解決しないと学習できないため、その問題を切り分けるコンテキストスイッチみたいな上層は、従来通りのステートマシンで大丈夫だと思っています。

例えば、モンスターと戦う、宿屋に泊まる、宝物を入手する、といった単純な作業はニューラルネットで処理し、ゲーム内での変更部分があればWrapする形で、ある条件が来たら逃がすような対応が良いと考えます。

メインはニューラルネットですが、周囲はルールベースで支えるような使用方法が現実的だと考えており、コンテキストスイッチと細かいタスク学習を同時に実行するのは、少し難易度が高いと思いますね。

奥村:結局ルールベースとディープラーニング、機械学習のハイブリッドに進化していくんですかね。

また、ディープラーニングは特徴抽出が得意な部分も含めて、自動的に処理してくれるのが強みなので、どうしてもE2Eで問題を閉じたがる部分はありますが、その観点ではゲームなら存在するイメージではありますね。

さらに似たような観点で、実際にAIのエージェントを作成した際、その挙動を誰がどのようにチェックするか、QAの分野にも関わりますし、トレーニングしたデータを、そのまま野放しにプロファクションに導入していいのか、不確実なデータを出すのは怖い、といった意見があると思います。

三宅:新しいAI技術はデバッグできないことが課題になっていますね。例えば自分が15年前にパス検索を提案した際も同様の状況でした。

ある条件下で、問題のあるアウトプットが出た際には、Wrapして外部、もしくは禁止して逃がす処理が必要です。現時点では、ニューラルネットを完璧に仕上げることは、誰にも不可能であり、保証するアルゴリズムも知られていません。

品質保証については、ある程度は可能ですが、補助策を設置した方が開発工程としては現実的だと考えます。納期があと1週間ほどの時期に、ニューラルネットを再度学習させて、再発注させることは回避したいですよね。

長谷:どうしても守りたい部分だけ、セーフティネットで禁止することは必要ですね。昨今のゲームはAIに限らず、(人力では)デバッグしきれない状態になっているため、すべての不具合を取り除いてリリースすることは、ほぼ不可能だと考えられます。

また、AIや機械学習、現在使用されている技術が100%完成しているわけではないので、禁止したい行動の部分だけコントロールすることが可能なら、それほど完成形を重視することはないと考えています。

QA・デバッグ

奥村:続いてのテーマはQAデバッグについてとなります。

三宅:最近のゲーム開発では、複雑化や大規模化がキーワードになっています。特にAAAタイトルのオープンワールド化が著しく、現在では50キロ四方を超えるような、巨大なスケールのゲームフィールドに対して、人間の手ではデバッグできない規模まで来ていると考えられます。

三宅:そこで、人間の代替役という意味を含め、AIと共に人間がデバッグしていかなければ、もはやコストや時間の意味でも、現実的な世界で普及がストップしてしまいます。その品質管理の部分を自動化するフェーズに、AIの自動プレイや自動バランス調整の案件も絡んでくると考えます。

三宅:ゲームAIの歴史は、大きく分けるとゲーム内外のAIが存在し、キャラクターAI・ナビゲーションAI・ベターAIなど、おおよそ3つに分類されます。

開発工程でのAIは、ゲーム外部のAIのことを指し、さまざまな技術、勝利方法など、その中で一番の重要項目としてQAのAIが存在し、2015年頃からQAのAIについて機械学習を用いることが、GDCでの発表以降、現在ではホットトピックとなっています。

例えば『Battlefield V』の機械学習に関して、現在は実際にあまり応用はされておらず、プレイヤーのインターフェースを発揮する形で、AIがキャラクターを動作することで自動にBotを操作して、デバッグをしています。

三宅:また、Frostbite engineのスクリプト、ビジュアルスクリプトでFrostbite schematicが存在しますが、これは機械学習ではなく、スクリプトを活用してBotを動かし、できるだけcoverageを上げる形で全領域のナビゲーションを使用、多数のキャラクターを出現させて、負荷や衝突のデバッグをしています。

なお『The Division』では、ダウンロードコンテンツで自動生成することが特徴になっています。ナビゲーションの意志や既存のAIシステムを活用し、機械学習ではなく、スクリプティングやBehaviorTreeを使った形でデバッグをしている事例もあります。

三宅:さらに『The Division』では、プレイヤーのインプットを上手く活用する形で、プレイヤーをフォローイングするログデータを使用し、ログサイクルを回しながらデバッグをしています。

もちろん最初のテストプレイは人間が担当しますが、さまざまな場所でジャンプ動作をするような、特殊な操作についても、プレイヤーのインプットから記憶させてトレースしています。それにより、AIに統計的に学習させる仕組みです。

プレイヤーのアクションシステムでは、どの場所でインプットが活用できるのかをレコードし、デバッグを実行しています。

三宅:『Battlefield 1』のオンラインモードでは、16体のキャラクターを導入して、大規模戦闘のデバッグ時に、EA SEEDという研究所で、イミテーションラーニングなど機械学習のテクニックを使用しています。

『Battlefield 1』のテストマップでは、さまざまな行動パターンをキャラクターにビジュアルカメラを付け、カメラインプット、行動アウトプットの形で機械学習をさせています。また、マップ上で自動的に動くようなBotを使用し、多数のキャラクターを登場させて、オンラインの負荷をデバッグ、QAしています。

奥村:最近では、事例が増えてきており、網羅しきれない物量になってきていますよね。

三宅:恐らく現世代が、人間の手でデバックできるギリギリの物量だと思っています。要するに次のコンシューマーや次世代のゲーム機対応タイトルでは、AI抜きでは成立しないという方向に、どこの企業も同じ見解を示しています。

そのための予防策として、コストはゼロにならなくても、QAコストを維持するぐらいでのレベルで機械学習を導入するなど、研究開発として進めつつ、現実的に違ったスクリプティングやナビゲーションを使用したQAを実行、あるいはログデータを使用したQAを実施することも考えています。

奥村:単純にバグ検知などで、エージェントに回遊させてバグを発見することが、自然に導入されていくことも考えられますね。

一方で事例にもありますが、面白さのQAの話題は絶対に発生します。ゲームの面白さをどのように担保するのか、実際にQAは機械化できるのか、といった質問を受けることが増えてきましたね。

三宅:面白さのデバッグは、できないと考えます。ただ可能なのは、そのゲームが「面白くないこと」を検知することだと思いますね。

単純な問題点は、プレイ時間がかなり長いことが挙げられ、戦闘時間が長い、アイテムを上手に使えていない、などの要素も該当します。そのように面白くないパターン、あるいは問題がある部分は検出できるのではないでしょうか。さらにその部分を1つずつ潰していくのが、現実的な活用範囲ではないかと考えています。

奥村:確かにそうかもしれないですね。カードゲームなどで、追加カードのバリエーションが増えると、組み合わせばかりを推奨してしまいがちです。

そもそも、プランナーの認知限界を超えるような量の面白さを担保しないといけない時代に、突入しているのかも知れませんね。

その状況では、何かしら機械化を進めないと大変ですね。実際に長谷さんが人工知能アプリに携わって、面白さを緊張度のようなデータを、線形回帰で実施している資料を拝見したんですが、面白さはマトリクス化できるのでしょうか?

長谷:自分は過去に、ゲーム内の敵の生成や多彩な要素をAI側で整備する、メタAIの分野を担当していました。その中でプレイヤーの緊張度をコントロールする部分で、緊張度が現在どの程度なのかを推定するために、プレイヤーのプレイログから、線形回帰でプランニングからパラメータを抽出して、モデルを作成していました。

現在は、緊張度のデータが正確なのか、細部まで確認ができていないのが現状です。面白さのような、より抽象度の高い項目に関して、何かしらデータから導き出すのは難易度が高いと思っています。

奥村:その部分は本当に同意見で、どちらかと言えばAIの使いどころは、面白くない部分をどのくらい減らせるかといった「検知」に繋がることが、今後重要になっていくと考えています。

最後のトピックスは、ゲーム開発が普通のWEBサービスなどと若干異なる部分になります。ゲームでは面白さが大前提にあり、その仕様が直前に変更されることが多々あります。

例えば、当初の企画では、プレイヤーが1メートルしかジャンプしない設定だったところ、やはり1.5メートルジャンプした方が面白いのではないか、と直前に仕様が変わることが良くあるということです。

そのような開発フローは現在の現場でも続いていると思いますが、(その部分に関して)実は機械学習の導入が相性良くないのではないかと考えています。

要望通り、プレイヤーが高くジャンプできるように作り直したあと、その仕様に合わせて、もう1度ディープラーニングの学習を走らせてエージェントを作ってQA、というフローを毎回繰り返さないといけない部分もかなり多いと思うのですが、そのあたりはどう考えていますか?

三宅:QAの方にヒアリングすると、最初のデバッグは自分たちで作業したい、といった声が多く挙がっています。最初の通しプレイヤーとして、まずはどんなゲームか理解していないため、いきなりAIにデバッグをやらせるわけにいかない、という理由です。

ただ同じ検証を続けるなら、2~3回目ぐらいからはAIに任せたいという声も挙がっています。もちろん人間としても、繰り返し作業はしたくないですし、そちらをAIに作業してほしいと考えています。

ゲームは一種のアートでもあるので、プレイヤーは面白くないことがわかると絶対離脱してしまうんですよね。また、ジャンプの高さをちょっと変えたら、ナビゲーションは全部やり直しになってしまいます。

企画段階から、変更可能なサイクルを見越して体制を作っておかないと、機械学習がきちんと機能して終わりというわけにはいきません。再学習のコストも含め、作業がどれぐらいの速度で終息するのかを推測しておくことも必要ですね。

奥村:リスクマネージャーのような、ゲーム開発においてどこまで仕様の変更を許容するか、ハンドリングするポジションの人間が、どうしても開発には必要です。そこに機械学習が導入されると、再トレーニングやデータ収集プロセスも含めて、AIを活用するには、これまでの仕様を変えていく必要が出てきますね。

三宅:そうですね、海外ではゲーム開発の外部にコントロールする人間がいるんですが、日本はゲームデザインに関しては作家性を重んじる文化がありますので、ゲームデザイナーが変えると言えば、変えてしまう文化が残っており、仕組みとして止めるシステムがないのが、現実です。その部分は、日本特有の問題として今後残るかもしれないですね。

奥村:作家性と機械化の衝突みたいなのがありそうな気配がしますね。長谷さんはその部分で何か感じていますか?

長谷:現在自分が関わっているのはオンラインアクションゲームで、コンテンツや要素も多くてゲームシステム自体も複雑なんですが、複雑なゲームになればなるほど、多少の変更が多岐の要素に密接に関わるので、最初にレギュレーションを決めて、それに沿って開発をするように動いています。

もちろん面白くない部分があれば、組織全体を変更することもありますが、多少のことであればレギュレーションの範囲内で面白くするために工夫したり、現状を許容できるのであれば、AIを使ったテスティングの再学習をします。

それをしてでも、仕様変更をするべきものなのか、問題は大きくないから、この仕様は機械学習のエージェントを、再学習をする必要がないレベルで止めよう、といった判断が重要だと考えています。

異常探知

奥村:続いて最近増えている異常検知について、1つはチート対策が存在すると考えます。ゲーム内でチートしているプレイヤーを検知するものと、ゲーム開発においては、デバッグやバグ検知をなるべく上手く使い分けていきたいですね。

特に最近問題になっているのは、チート検知の部分です。多人数とマッチングする対戦プレイ可能なタイトルが増えてきており、その中のマルチ対戦のゲームでは、少数のチーターの存在が、ゲームの有益数を大きく毀損することが課題になっています。

奥村:例えば、ゲーム内に2%のチーターがいることにより、ダーティーマッチと呼ばれるチーターに巻き込まれる、本当に意味のない試合が約20%ぐらい生まれると言われています。やはりこれは無視できない数字ですよね。

少数のチーターも許せませんが、現在のプロセスではチェックしきれないほどユーザー数も多く、チートの技術も高度化しており、対処しきれないのが現状です。

その状況下で上手な対応として『Sudden Attack』の事例で、FPSでウォールハックと呼ばれる壁を透視する、敵がどこにいるかすべての情報を見れるチートがありますが、AIが判断した根拠が、注目度マップのように表示され、それをCSの人間がチェックしてチートだと判断、BANしやすくなっているシステムがあります。

奥村:このシステムによって、BANまでにかかる時間が24時間から数分に抑えられたという話題があり、結構面白いと思っています。

他には『Counter-Strike』などでも良く使用される、エイミングアシスタンスと呼ばれる必ずヘッドショットになる、銃のエイムを自動的に実行してくれるチートも存在しています。

また、ディープラーニングベースで『Overwatch』を使用して学習をしてみると、人間が報告すると精度が15%ぐらいしか出せないところ、AIを使うと80%ぐらいがチーターと判断されてしまう話もあります。このようにチートに関する部分にも、次々と導入が進んでいくと考えられます。

奥村:また、Kingではインシデント予測と呼ばれる、さまざまなメトリクスを監視して、異常らしき動きを検知すると、すぐにアラートを上げるような事例も公開されています。

異常検知については、結局人間の目検プロセスが不要になることはない、という話もありますが、どこまで自動化するのか、どこまで人間の解明が必要なのか、といった責任分界点に関係する話に関わって来ると思います。

三宅:各社の取り組みは、最終的なBANについては人間が絶対実行する方針ですね。リコメンドはAIが担当しますが、最後は人間が責任を持ってBANするシステムになっており、BANしたデータをまた機械学習に回すことで、AIがリコメンドの精度を上げて行く戦略が必要だと思います。

また、なぜそこまでコストを切るかというと、eスポーツの発展が関係しています。eスポーツの予選はオンラインで実施するため、そこで不正を検知できなければ、eスポーツそのもののビジネスが成り立たなくなります。

その問題も含め、各社コストをかけやすくなっているんじゃないかなと考えています。人間がチートするにしても、リスクとテーマはどんどん高くなるため、導入により一定の効果を発揮していると思われます。

長谷:現在開発しているゲームに関して、チート対策については、かなり話題に上がっていますね。

奥村:特にハッキングの部分ですかね。ゲームごとにチート検知の依存性ってどれぐらいあるのか話題になっていますね。

最近はクラウドゲーミングが登場して、ミドルAIも発達し、そのような機能がAPIとして提供されていくのはスゴイことですし、自社開発しなくても大丈夫なのではとも思います。異常検知に関する研究はこれからも続いていくと思いますが、今後の進め方は多岐に渡る気がしますね。

コンテンツ生成

奥村:コンテンツ生成技術に関しては、自然画像や人間の顔、食べ物や動物など、かなりフォトリアルな画像をAIが自動で生成可能になってきています。

超解像度やdenoisingの研究も大きく成長していますし、それが本物の写真なのか、AIが作った画像なのか、区別が難しい時代が訪れていますが、これからは、その技術をゲームにどうやって組み込むのか、が課題になってきます。

奥村:特にGAN(Generative Adversarial Network)などの技術は、人間の全身のように複雑な構造の生成はまだ困難なので、どうしても対象が限定されてしまうことが課題となっています。

DeNAで進めているプロジェクトでは、二次元の画像から構造などを踏まえて学習をして、後ろ向きに構造を変えてみたり、構造とセットで学習するトライアルをしています。

奥村:また、指定された構造やラフから生成する、あるいはコントローラブルな技術でGANを扱う案件は増えると考えています。

この技術を用いると、「このあたりを海や空にしたい」「この部分に木を置きたい」というざっくりとした要望を入力すると、それらしいフォトリアルな画像が生成できます。アニメ調のイラストも同様に生成が可能です。

最初に簡単なラフを作って、まず完成度70%ほどの画像を生成し、その後にアーティストが修正するみたいなプロセスの導入が進んでいくと思われますね。

奥村:それ以外にも、カメラのライティングやスタイルを変換する技術では、少ないアセットから夜や夕方のシーンを作れたり、季節の秋を冬に変えるなどの技術など、今度は可能になると考えています。

奥村:さらに、一枚の写真画像からメッシュやテクスチャを生成する技術もかなり進んできているので、3Dモデルが作りやすくなる時代も来るはずですね。普及の背景としては、学術研究はもちろん当然ですが、それ以上にゲーム業界でのニーズが高まっていることが要因と考えられます。

例えば『Assassin’s Creed Odyssey』などでは、シネマティックカットと呼ばれるストーリー上で重要なシーンの工数が、数時間から30時間に増えていますが、よりスマートにコンテンツを作るために、約20%を完全プロシージャル化しています。

つまり、あまり重要ではないシーンは、完全AI化してプロシージャル化し、草や木の位置など影響が少ない描写をAIに任せています。

ただし、重要な人間の表情や、ここはしっかりと演出したいというプランナーの思いが介在する部分については、人間がモーションキャプチャーを用いて、従来どおり細かく作り込んで演出する、というようにレベル分けをして作業しています。このような分業型の導入が今後は進んでいくと思います。

また、ラフスケッチからの生成に関して、地形などもラフのような画像からでもフォトリアルな画像が生成できるようになってきています。

長谷:最近のスマートフォン対応ゲームでは、画像が高精細になってきており、それに伴ってダウンロード時間などの課題も発生しており、それを解決するために小さい画像から超解像の技術を使って、高クオリティな画像を作れないかといった研究開発を続けています。

奥村:『Fantasy Raiders』というゲームでは、レベルに応じて自動生成するシステムを導入しており、単純に画像が生成できるだけじゃなく、マップのオブジェクトの配置や、そのユーザーの成熟度やキャラクターの疲労度などに応じて自動で生成してくれます。

キャラクターのHPの少なさなどに応じて、疲れている時はなるべく簡単なマップのオブジェクト配置にしたり、元気な時は難易度の高いマップを作ったりなど、普通はレベルデザイナーが頑張ってハンドメイドで調整している部分を、ある程度オートメーション化する未来はかなり近づいていると思われますね。

奥村:ですが、やはりコンテンツ生成のQAに関して気になるのは、場合によっては求める世界観に好ましくない画像の生成がされてしまうことです。

例えば、十字架が生成された場合、宗教のモチーフだからNGなど、倫理的に人間が見れば判断できる事象でも、AIには判断しにくいものを生成することもあります。その部分は実際どうなっていくのでしょうか?

三宅:以前、弊社のタイトルではありませんが、海外で開発ゲームタイトルで、あまり好ましくないオブジェクトが多く生成されてしまい、動画サイトにアップされ、ネガティブな意見が増えた事例がありました。QAの意味では、作った後にもう1度解析することも必要だと思われますね。

GANに関しては、あまりデザイナーの反応は良くなかったですね。3Dのオブジェクトを生成できたら使えると話していますが、現在の3DのGANについては、研究レベルでも論文が数本あるぐらいで、まだ完成は遠いと思われます。業界的には3DGANが完成してからは、かなり実用化が進むのではないでしょうか。

奥村:そうですね、実際どれぐらい機械化できるのか、完成までに何十年も必要な技術もありますしね。

アニメーションとメタAI

奥村:最後は、アニメーションとメタAIについて。アニメーションというのは主にモーションキャプチャーのような技術を想定しており、モーションキャプチャーで撮った画像を、3Dモデルに移行するときに点の位置がズレることがあります。それを人間が手動でチューニングするのではなくて、Solvingをディープラーニングで高精度化することが実施されています。

また、言語に合わせて唇の動きを変えるリップシンキングが、他の地域のローカライジングに役立っている話もあり、実際に実用化されています。

三宅:メタAIでは、ゲーム全体を俯瞰してコントロールをするAIですが、緊張度を取得して、全体をコントロールする傾向があります。

ゲーム全体の流れを作るAIにおいて、メタAIが構築するのではなく、ユーザーの心理状態をいかに把握するか、そこに機械学習を用いて、ある自動生成した時にユーザーの反応の良し悪しなど、統計から学習データを、ゲームデザイナーのノウハウを吸収していくような形の学習を考えています。

取材・文・撮影:細谷亮介

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【CEDEC2019】「『逆転オセロニア』における、機械学習モデルを用いたデッキのアーキタイプ抽出とゲーム運用への活用」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では9月5日に実施された、『逆転オセロニア』における、機械学習モデル (トピックモデル) を用いた、大規模データからのデッキアーキタイプの抽出、関連するKPIの可視化などについて紹介されたセッションの内容を一部抜粋してレポートします。

セッションの冒頭では、分析部 アナリストの安達涼より、登壇者の簡単な自己紹介のあと、DeNAゲーム事業部分析部について、現在では各ゲームタイトルに専属アナリストをアサインする体制があること、行動ログ分析、ユーザー調査など、さまざま分析手法を利用して分析に取り組んでいることが説明されました。

また、新しい分析手法や機械学習などの高度な技術を活用したR&Dにも挑戦しており、本セッションでの発表は、その実践例の一部を抜粋して紹介するとのことです。

『逆転オセロニア』では、これまで積極的にAIや機械学習の活用を実施しており、特に深層学習を用いた「対戦AI」、アソシエーション分析を用いた「デッキのオススメ編成」などをゲーム内に実装するなど、プレイヤー体験を向上させる施策を実施してきました。

最近では、ゲーム外(運営側)でも、AIや機械学習の手法を用いて、作業の効率化やプレイヤー体験の向上のために、さまざまな検証を行っていると、安達は述べました。

DeNA 安達 涼

『逆転オセロニア』とデッキアーキタイプ

『逆転オセロニア』は、オセロのルールに基づいた対戦型スマートフォンゲームアプリで、駒のスキルやコンボを組み合わせて戦う高い戦略性と、劣勢からでもドラマチックに逆転できることが特徴となっています。

ゲームプレイコンテンツとしては、キャラクター(駒)の中からプレイヤーが自由に構築したデッキでの対戦が中心で、PvPがメインで遊ばれています。

なお、PvPコンテンツ内ではプレイヤー同士でポイントを奪い合い、月間の到達クラスを競うリアルタイム対戦「クラスマッチ」が最も遊ばれていることが分かるデータも紹介されました。

『逆転オセロニア』のキャラクター(駒)には「神・魔・竜」の3種類の属性が設定されていますが、これらの属性に属性間の相克や優劣などはありません。

また、クラスマッチには「属性補正」が設定されており、「神・魔・竜」それぞれの属性のキャラクター(駒)のHP/ATKなどに対して、ステータス補正が設定され、属性補正によって毎日環境が変化するため、その日の相性の良いデッキを選ぶことで、飽きを防ぐ仕組みになっているとのことです。

プレイヤーは約3,500種類以上存在する駒の中で、自分が保有している駒から16個を選んでデッキを構築し、そのうち1つをリーダーの駒に指定します。

それぞれの駒には固有のスキルやステータスが存在するため、盤上に駒を置いた際、相手の駒を自分の駒で挟んだ場合に特定条件下で発動する「コンボスキル」を決めて勝利するには、駒同士のシナジーを考えてデッキを組むことが重要なようです。

このデッキ構築に関して、戦い方を考慮したおおまかなデッキ構成に「アーキタイプ」という概念が存在します。

『逆転オセロニア』には、現在20種類前後のアーキタイプが存在しており、アーキタイプは属性を統一することで効果を発揮するものなどもありますが、リーダー駒とアーキタイプは必ずしも紐づいていないとのことです。

デッキアーキタイプの例として、竜属性の駒のみで構成され、高い攻撃力と強力なコンボスキルで早い決着を狙える「貫通速攻」と、3属性の駒で構成され、バランス良く戦える「混合」のアーキタイプが安達より紹介されました。

アーキタイプの相互関係は、対戦環境に大きな影響を及ぼすため、バランスが崩れると「特定のアーキタイプが強すぎてつまらない」など、中長期の継続率に大きな影響を及ぼします。

特に『逆転オセロニア』のようなPvPが主体のゲームでは、プレイヤー数は非常に大切なため、バランスの把握やメンテナンスが重要になります。

運用上の問題点と、既存手法の限界

これまでの運用上の問題点として、「特定のアーキタイプが強すぎる」「アーキタイプの優劣が固定化されている」ことが挙げられ、対戦環境を平均化かつダイナミックにして、プレイヤー体験を向上させることが必要となってきたとのこと。

強い駒を単純に禁止や制限する運用もありますが、『逆転オセロニア』では、駒の追加と属性の追加がプランニングの主なアクションになるようです。

運用チームでは対戦環境の改善のためにプランニングを実施する際、これまではプランナーがクラスマッチを徹底的にプレイすること、プレイヤーの声をもとに人力で対戦環境を把握し、その定性情報を用いてプランニングをしていたと語られました。

この方法での問題点は3つあり、まず1つは、さまざまなデッキを使って、何ヶ月も膨大なバトル数を消費するため「プレイング習熟まで時間が必要となる」こと。

2つ目はプレイヤーの声や人間の主観的な見解は、ネガティブな要素に引っ張られる傾向など、心理的なバイアスにも影響を受ける恐れがあることです。

3つ目は、増え続けるアーキタイプ数への対応が難しいこと。アーキタイプが少ない時期は、徹底的にプレイすることにより、異なるアーキタイプ間の対戦を網羅的に十分なサンプル数を取得できますが、現状20種類ほどのアーキタイプがある中で、人的リソースの観点からも、人力で対応するには現実的ではなくなっているようです。

これら述べてきた理由で、定量的に対戦環境を把握することが、必要不可欠と言えるでしょう。

そこで、ログデータを参照し、リーダー駒の編成率や勝率を分析してみると、デッキアーキタイプという抽象度でデータを解釈するのが難しく、リーダー駒レベルの情報でプランニングをすると、意図せずに対戦環境のバランスを崩す可能性があることが説明されました。

例えば、勝率35%のリーダーaのデッキ、勝率50%のリーダーbのデッキがあった場合、対戦環境を整えるためにリーダーaのデッキに駒を追加すると勝率が50%に上がりますが、なぜかリーダーbの勝率が65%に上がってしまいました。

このプランニングの失敗の理由は、どちらのデッキもアーキタイプAに属しており、追加した駒はどちらのデッキにも組み込まれてしまったため、バランスが崩れてしまったことにあります

アーキタイプレベルでプランニングをすれば、デッキのコンセプト自体が異なるため、勝率を上げることを狙ったアーキタイプには効果的で、他のアーキタイプでは使用されないような駒をピンポイントに考えられ、このような事故を防ぐことができます。

アーキタイプの抽出方法について、ルールベース(定義に基づいた分類)で対応できないのは、3,500種類以上の駒が存在し、同じリーダーでも異なるアーキタイプに所属することもあるため、ルールを構築することが不可能になっているようです。

また、プランナーが抽出したいアーキタイプに含まれる駒を事前に指定しなければならず、プレイヤーが編み出した、プランナーが想定しない新しいアーキタイプは抽出できなかったとのこと。これらの問題点をふまえてチーム全体で「機械学習によるデッキのアーキタイプ抽出してみよう」という動きになったと、安達は述べています。

機械学習モデルの概要

機械学習のデータについて、プレイヤーのリテラシーが高く、デッキのアーキタイプが成立している、クラスマッチのダイヤモンドクラスデッキデータを使用しています。

このデータを用いて、数十万のデッキでアーキタイプを抽出する週次データと、月次データで属性補正ごと、2種類の粒度で分析を行っているとのことです。

概要として、トピックモデルと呼ばれる手法、その中でも良く使われるLDA(Latent Dirichlet Allocation)のアルゴリズムを用いて、アーキタイプ抽出を行っています。

このモデルに大量のデッキデータ、パラメータとして抽出するアーキタイプ数を入力すると、2つの結果を出力し、1つは自動的に抽出されたアーキタイプそれぞれの組成になります。

各アーキタイプはデッキに存在した、すべての駒上の確率分布として表現されます、つまりそれぞれのアーキタイプのデッキで各駒がどのくらい採用されやすいのか、ということが表現されているとのこと。

アーキタイプAは駒1と駒99の確率が高く、これらの駒が良く採用されているアーキタイプだと解釈することができます。

このキャラクター組成の情報をもとに、それぞれがどんなアーキタイプなのか、という解釈をプランナーが実行します。

今回のデータでは『逆転オセロニア』をある程度遊んでいるプレイヤーなら、この組成を見れば何のアーキタイプなのか、紐付けられるレベルの抽出ができていると考えられています。

これは使用データをダイヤモンドクラスに絞っていることで、成立しているデッキタイプが多く、ノイズが少ないことが考えられます。

2つ目は、1~100,000番目までのデッキがそれぞれどのアーキタイプに属するのか、という情報が出力されます。

それぞれのデッキはアーキタイプ上の確率分布として表現され、デッキ1だとアーキタイプBに属する可能性が高く、デッキ100,000だと、アーキタイプGに属する可能性が高いと言えます。

LDAというアルゴリズムは、大量のドキュメントをその中の単語の分布をもとに、トピック別に分類する用途で開発されたことも明かされました。

本モデルでは、各トピックはドキュメントに出てくるすべての単語上の確率分布、各ドキュメントはトピック上の確率分布として表現されます。

ドキュメント内の各単語に対し、そのドキュメントに紐付いたトピックの確率分布を参照し、その単語が何のトピックから生成されているのかを決めます。

次に、選ばれたトピックに対応する確率分布を参照し、その単語が生成される確率を求めます。この作業をドキュメント内のすべての単語について実行し、ドキュメントが生成されます。

続いて、トピックに紐付いた確率分布と、ドキュメントに紐付いた確率分布の事前分布に、Dirichlet分布を仮定し、サンプリング手法によってこれらの事後分布を求めます。

次にトピックモデルを用いたデッキアーキタイプ抽出に活用するために、ドキュメント内の単語を「デッキ内の駒」、ドキュメントを「デッキ」、トピックを「アーキタイプ」に置き換えます。

先述のモデル推定を実行することで、ここではアーキタイプが駒上において、各ドキュメントがトピック上の確率分布でしたが、ここでは各デッキがアーキタイプ上の確率分布として求められます。

トピックモデルの利点は、実装が簡単で、新しいアーキタイプを抽出可能、時系列でのアーキタイプの紐付けが容易、パフォーマンスも良いことが挙げられました。

デッキアーキタイプの抽出フローは、まずBigQueryからRaw対戦ログ(デッキ情報、勝敗など)を取り出し、その中からタスクキルなどの使用しないデータを取り除いたり、デッキ情報をモデルが使える形に変換したりと前処理をします。

次にルールベースで抽出できるアーキタイプを抽出します。LDAだけでもきちんと抽出できますが、ルールベースで抽出されるアーキタイプ、機械学習で抽出するアーキタイプの両方にとってノイズが減ることが判明しているとのことです。

実際の運用では、プランナーに依頼し、Googleスプレッドシートにルールベースで抽出するアーキタイプ名と駒に関するルールを書いてもらい、アルゴリズムがそのシートを読み込み、指定されたものを抽出しています。

その後、デッキデータに関してLDAアルゴリズムを適用し、指定した数だけアーキタイプを抽出します。最後にそれぞれアーキタイプに関して、過去に抽出されたアーキタイプと比較して紐付けをします。

アーキタイプは駒上の確率分布なので、分布間の距離を用いて紐付けを行います。これを抽出したすべてのアーキタイプについて繰り返し実行し、どのアーキタイプとも紐付かない場合は、新しいアーキタイプとして検出します。

可視化ツールの紹介

対戦環境の改善により、プレイヤー体験向上を実現するという目標を考えたとき、2つのポイントが重要だと、安達は述べています。

1つ目は「現状把握と運営のアクションの効果確認が容易にできる」こと。ここでは使用率や勝率などアーキタイプに関連する統計量がひと目で分かり、かつ時系列で比較できる必要があります。既存の内製BIツールでは自由度が低く、実現できなかったとのこと。

2つ目は「運営チームの誰もが対戦環境を意識できる状況を作り出す」ことです。今回の分析手法により対戦環境が誰にでもわかるようになったため、ゲームプランナーだけでなく、運営チームの他のメンバーにもプレイヤー体験向上のためにできることのアイデアを出して欲しいとの思いがあったことも語られました。

これを実現するためには、ローカルPCで結果を表示してスライドに貼って共有する方法では不十分と考えたようです。

この要件を実現するために、「Dash」と呼ばれるPython製のWebアプリケーションのフレームワークを採用しました。これを利用することでベーシックなレポート、インタラクティブなダッシュボードなどを作成することができます。

さらにDashはオープンソースであり、無料で使用できる上、開発もアクティブに実施されています。JavaScriptの知識がなくてもPythonのみですぐにダッシュボードを作ることが可能だとのこと。

高い自由度も魅力で、レイアウトも簡単に変更でき、公式ページには40を超えるダッシュボード例とソースコードが公開されています。

また、誰でも簡単に対戦環境を確認できる点に関しては、ダッシュボードをGCP(Google Cloud Platform)インスタンス上でデプロイすることで解決しています。運営チームのメンバーは、Webブラウザからダッシュボードにアクセスすることで、いつでも対戦環境を確認することが可能になったとのことです。

また、週次と月次の2種類のデータを使用してアーキタイプ抽出を行っていますが、可視化ツールも用途に応じてそれぞれに対応するものを作っています。

週次の可視化ツールは、月~日まで一週間のデータを用いてアーキタイプを抽出し、月曜日にツールを更新しています。ここでは、新しい駒の追加で対戦環境が崩れていないかなど、最新の対戦環境の把握のために使用しています。

このツールで「このアーキタイプにはどんなデッキが含まれるのか」「どの駒がどのくらいの確率で採用されているのか」「使用しているプレイヤー数や勝率」「自分が先行/後攻の場合の変化」「決着までの平均ターン数」などを簡単に確認できます。

対戦分布では、対戦表で抽出された各アーキタイプの勝率や、アーキタイプ間の勝率を確認可能で、プレイヤー分布ではそれぞれのアーキタイプを使用しているプレイヤー数を表示しています。

月次データを使ったツールでは、属性補正ごとにアーキタイプを抽出した結果を表示しています。月次のクラスマッチの補正ごとの抽出結果を表示、より詳細な対戦環境情報の把握やプランニングのPDCAサイクルに活用しているとのことです。

ゲーム運用への活用

ここからはDevelop統括部 企画部 プランナーの岩城にバトンタッチし、実際の運用現場でこの分析ツールがどのように活用されているのか、いくつかの具体例と共に説明されました。

DeNA 岩城 惇

『逆転オセロニア』の運用課題について、分析ツール導入前は「アーキタイプの優劣が固定化」「特定のアーキタイプが強すぎる」という2点の問題点を挙げました。

これまではプレイングを習熟したプランナーの意見および、プレイヤーからの定性意見を中心に、一部ですがルールベースの定量分析を加えつつ、改善とプランニングを実施してきたとのこと。

ですが、「客観的に判断をする難易度が高い」「プレイング習熟まで時間が必要」「増え続けるアーキタイプ数の対応が難しい」「新しいアーキタイプを検知しづらい」といった課題で、正確で網羅的な現状把握が難しく、改善結果が正確に評価しづらくなっていました。

分析ツールの導入後は、運用チームなら誰でもアクセスできるツールを採用したことで、運用上の問題点は変わりませんが、定性意見とツールによる定量評価を併用することにより、チームに非常に良いインパクトをもたらしたようです。

客観性に関しては「実際に数値として環境の情報が確認できるので、客観的な判断がしやすくなり、さらにトッププレイヤー傾向を分析しやすくなったことで、プレイング習熟の時間が短縮され、プランナーの属人化が大きく改善しました」と岩城は語っています。

また、アーキタイプが増えても相性があるため、相関関係をひと目で確認でき、新しいアーキタイプの検知についても、ツールが自動で検知するためスムーズに対応できるようになったようです。

その結果、正確に網羅的な現状把握を継続的に行い、改善アクションがスムーズになりました。その中でも個人的にインパクトがあったのは、ツールのデータをWebブラウザ上でいつでも手軽に確認できることによって、誰でも客観的に確認できる点だと、岩城は述べました。

プランニングの前段階の問題が改善されたことで、課題点に確信が持てなくて日々悩んでいたプランナーにとって、改善のプランニングに集中でき、今までに比べて業務効率が何倍にも向上した印象がありました。

続いては、実際に活用された改善プランニング具体例が紹介されました。

改善アクション1「対戦環境のバランス平均化」

運用チームでは対戦環境のひとつの理想状態として、アーキタイプ同士の相性が拮抗していて、プレイヤーの選択肢が多様に存在する状態を考えているようです。

その多様性が失われることがしばしばあり、一部のアーキタイプが駒追加が続いたり、属性補正に相性が良かったり、いくつかの要因によって相性の弱点がなくなり、一強状態になる状態が実際に発生しました。

一強状態が続くと、他のアーキタイプが淘汰されてしまい、代わり映えのしない対戦が続き、中長期の継続率に大きな影響を及ぼします。

分析ツールで抽出した勝率のグラフでは突出しているようには見えませんが、対戦表を見ると、他のアーキタイプにほとんど勝ち越していることから、一強になる可能性をはらんでいると判断できます。

このように実際にグラフとして可視化されることで、明確に課題が検出できると同時に、一強状態を改善し、多様性を維持するために何らかの対策が必要だと感じたとのことです。

そこで実施したアクションが「適切な抑止力の選定と対戦環境への配慮」になります。

簡単に既存のアーキタイプの弱体化を行えない制約を考慮しつつ、一強になりそうなアーキタイプを平均化しようというアクションです。平均化の実現のために、対戦表の相性比較から「すくみ」が生まれるように、抑止力となるアーキタイプを複数選出しました。

そして一強の抑止力となるアーキタイプを強化することで、相対的に一強状態を解消することを狙いました。

ここで大事なのが環境への配慮で、単純に抑止力を選定するとどちらかのバランスが崩れやすいため、必ず複数を強化することでアーキタイプの勝率バランスを平均化することを心がけた、とのことです。

そのため属性補正に関しても、複数のアーキタイプの勝率が拮抗するものを採用したり、使用率の低いアーキタイプに駒を追加して、強化と普及を促しました。

このアクションの結果、突出しかけていたアーキタイプのバランスを、対戦環境に配慮しながら抑えることができ、適切な属性補正を特定し、スムーズに調整ができた上、抑止力となるアーキタイプの選定がピンポイントに実施できたとのことです。

改善アクション2「勝てるアーキタイプの選択肢を増やす」

このアクションでは、アーキタイプ間の優劣が固定化しているという課題に対応しています。

一定のアーキタイプの勝率が相対的に他のアーキタイプより高いことから、プレイヤーの使用が偏り、他のアーキタイプが徐々に淘汰され、結果的にプレイヤーの選択肢が少なくなってしまう状況になります。

アーキタイプ間の優劣が固定化してしまうと、プレイヤーの選択肢が少なくなり、それにより「飽き」につながり、中長期的の継続率に影響が出てしまいます。

ある月の同じ属性補正で、3ヶ月後の勝率を比較すると、いくつかのアーキタイプの順位は多少上下しましたが、上位の序列に変化がないことがわかりました。

この課題に対する改善アクションは「既存のアーキタイプを強化することで、固定化した環境を変化させることを目指してプランニングしています」と岩城は話しました。

つまり固定化したグラフに割って入るように、アーキタイプを強化しました。参照したのは勝率の比較とアーキタイプの使用率の比較データになります。

まずは勝率の比較によって、勝率は悪くなく、かつ使用率の低いといった条件を満たすアーキタイプを探します。

その理由は、キーとなる駒が足りない、プレイヤーにあまり普及していないといったアーキタイプそのものの強さに比較的ネガティブな要素が少なく、強化および普及が容易だと考えられたためです。

具体的な改善アクションは、選出したアーキタイプに対戦環境をもとに、その勝率が高くなる属性補正を追加、デッキの核となる駒の追加、アーキタイプに必要な駒を普及させるために定期的に開催されるガチャを実装しました。

結果として、アーキタイプの選択肢を増やすことに成功し、キャラクターの設計方針がスムーズにでき、アーキタイプそのものを追加する場合に比べて、少ないコストで環境を変化させることができました。

改善アクション3「新しいアーキタイプの検知と使用率向上」

アーキタイプは運用から提供するもの以外でも、プレイヤー間で日々生み出されているそうです。想定外のアーキタイプは『逆転オセロニア』でも検知されており、毎月新たなアーキタイプを見つけることができます。

この事象は、アーキタイプの優劣が固定化していることに対して、新しい選択肢を広げるという意味で、良い影響を与えることが可能です。

新しいアーキタイプについては、ツール上で「NEW」と表示され、それらの勝率や使用率を参照可能になっているとのことです

検知したアーキタイプについて運用側では、対戦環境に悪影響はないのか、どうやったら強化できるかを調べる必要があると、岩城は話しました。

ここでツールを用いて対戦成績と使用率を比較して、検出したアーキタイプを分析します。まず新しいアーキタイプと既存のアーキタイプの使用率を差分比較します。一見新しいアーキタイプに見えても、広義では他のアーキタイプに含まれる可能性もあるからです。

この時点で新しいアーキタイプであると判断された場合、次に対戦成績を比較し、勝率が高くなる補正は何か、逆に勝率が突出してしまう補正はないか、について検討しています。

そこで問題ない場合、この属性補正について新しいパターンとして蓄積し、新しいアーキタイプの使用率の向上を図りたい場合、適切に使用できる体制を整えました。

このアクションの結果、新しいアーキタイプの使用率が向上するシーンを生み出すことができました。

検知に関しては、ツールがない場合は、非常に難易度が高く、明確に新しいアーキタイプを検知できたことは大きな価値になっています。

また、新しい場合でも対戦表や相性を確認できるので、対戦環境の傾向をつかむことで、もし将来的に新しいアーキタイプを強化したい、再検知したときに強化したいときでも速やかに対応できるナレッジを蓄積できたことも、大きなメリットだと岩城は述べています。

まとめと展望

最後に安達から、今回のセッションの簡単なまとめと、今後取り組みたいこととして、現在『逆転オセロニア』に実装されている駒の属性レベルでのレコメンデーションに、アーキタイプレベルでのデッキレコメンデーションを追加すること、対戦環境のダイナミックさを担保する「属性補正の最適化」「プランニングプロセスの自動化」や、対戦環境変化の予測などにも注力していきたいと、本セッションを締め括りました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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【CEDEC2019】「組織的にGame x AIを推進していくための方法論~『逆転オセロニア』のAIの一歩先へ~」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月4日に行われた「組織的にGame x AIを推進していくための方法論~『逆転オセロニア』 のAIの一歩先へ~」について、ディー・エヌ・エー AI本部 データサイエンティストの田中 一樹とMLエンジニアである岡田 健によるAI開発のあるべき姿や、具体的な設計方法などが語られたセッションの内容を一部抜粋してレポートします。

DeNAにおけるAI開発の歴史

まず序盤では田中 一樹より、DeNAにおけるAIの開発の歴史から、上手くAIを使いこなすための手法が解説されました。

DeNA 田中一樹

DeNAでは、2016年頃から本格的にゲームAI開発に本腰を入れており、重要な分岐点となりました。特に古典的なゲームAIだけでなく、機械学習、ディープラーニングといった最新技術まで視野を広げて新しい領域を切り開いていきたいと田中は語っています。

2016年は「ゲームアプリ運用の課題解決にAIを活用できないか?」と考えた時期でもあり、未知の事象が多く、AIでできることの可能性を模索していたフェーズです。

その後に得られたAIの可能性に関する知見や経験をもとに、2017年に『逆転オセロニア』において強化学習を使ったバランス調整をするため、強いAIをつくることから始めて、最終的に複数のAI機能をリリースすることができました。

そして現在のフェーズは、見えてきた課題の解決を目指して今までの知見や技術をスケールさせ、さらに応用の範囲を拡大するために、組織的に注力しています。

AI利用の模索

続いて、目指している世界に確度高く近づくために、どのようなことを考えて実行しているのか、詳細が説明されました。

2016~2017年に取り組んだのが「AIにおけるゲームアプリ運用の課題解決へのアプローチ」です。

この取り組みの背景にあった課題は「ステージ設計の難易度調整が大きい」ことが挙げられました。具体的には、パラメータを設計し入力した後、意図通りの難易度になっているかをテストプレイする、という作業を繰り返すことで、理想的なステージの難易度調整をしていました。

このフローをAIで実装するために、ユースケースとして「強いAI」を作り、自動でテストプレイをして、その結果をもとにステージの難易度調整を適切、かつ効率的に実行することを目指していました。ちなみにここでの「強いAI」とは、「人間らしくて強いAI」とも呼べると田中は話しています。

手段としては、古典的なMCTS、強化学習、ニューラルネット、遺伝的アルゴリズムなども検証しており、社内ではほとんど研究されていない領域だったとのことです。

振り返りと学んだことに関しては、AIを学習してつくる部分については一定成功し、特定の条件下では強いAIを作成でき、さらにAIのプレイ結果を可視化することで、AIの可能性を垣間見ることができたのは、大きな収穫だったようです。

課題については、最終的に導入するまでに至らず、シミュレータ制作にも苦戦しましたが、さまざまな学びと自信を得たことは事実なようです。良かった点は、2016年の発想からAIが持つ高い可能性を見つけたことで、それはすなわち今後本格的にゲームでAIに取り組むきっかけとなる「テーマを発掘」したことになります。

『逆転オセロニア』へのゲームAI導入

スマートフォン向けゲームアプリ『逆転オセロニア』について、2つのAI機能「オセロニア道場」「オススメ編成」を開発しました。

「オセロニア道場」開発の背景は、手強いAIと戦える気軽な場所がなく、アーキタイプの特性を学ぶ場所もなかったためで、ディープラーニングなどを駆使しています。

所持駒からデッキをレコメンドしてくれる「オススメ編成」については、初心者プレイヤーがデッキの組み方で迷うことが課題であったため開発したもので、技術はアソシエーション分析、レコメンド技術を主に応用していますが、ゲーム特有のドメイン知識も活用しています。

この機能を開発するにあたり、一番の成果は実際にリリースして運用できたことであり、意味のあるAIを作れたこと。事業価値的にもAIのポテンシャルを実証できたことは大きな収穫だったとのことです。

しかし、苦労する点も多く、企画からユースケースへの落とし込み、技術への結び付けなどは試行錯誤を繰り返し、かなりの時間が必要となりました。事業貢献の観点では、AIを使うとプロダクトやプレイヤーにどのような価値を還元できるのか、議論を重ねたとのことです。

振り返りとして、AIはゲームに新たな価値をもたらすことは、この段階から確信に変わり、その確信を効率的に活かすには、組織的にAIの活用をスケールさせることを意識するようになりました。

また、PoCではなく「使えるAI」を企画から開発まで作りきり、リリースできたこと、プレイヤーから定性意見やKPIなどへのフィードバックを受けることができたことは、現在のDeNAのゲームにおけるAI開発に大きな影響を与えています。

どうすればもっと上手くAIを使いこなせるのか?

DeNAのゲーム開発におけるAI活用をどうすれば加速させられるかを考えたときに、今まで得た経験を無駄にせずスケールさせていくことが最も重要だと、田中は語っています。

『逆転オセロニア』だけでなく、さまざまなゲームタイトルでAIをうまく活用することができれば、DeNAはより強い組織に成長することができると考えているようです。

ここでのキーワードは、現場レベルで課題を探索する取り組み「Bottom Up」とAIを計画的にスケールさせる取り組み「Top Down」の2つになります。

「Bottom Up」は、まだ誰も気付いていない、埋もれているユースケースを探索する意味を持ち、「Top Down」はできそうなことがある程度分かっていて、価値も大きそうなユースケースを計画的に推進していく意味を持ちます。

「Bottom Up(AIでできることの探索)」

「Bottom Up」の目的は、ゲーム領域で目の前にある事業課題を、データおよびAIの力で解決することであり、サービス・データに触れている各メンバーが双方向で協力して、目的達成のために動くことが重要です。

特定のゲームタイトルだけでなく、マーケティングやCS(カスタマーサポート)など広範囲の事業と連携すること、新技術やユースケースの発掘の中で潰れてしまう取り組みも一定許容するなど、重要なことも多数明かされました。

また、明確な戦略もなく、課題や案件の探索を行うと、それぞれのメンバーの責任分界点が非常に不明瞭になり、案件を進めづらくなるため、しっかりとあるべき姿や適切な役割分担を定義して、関係者の認識を揃えることで、効率化を図ります。

成功や失敗にこだわらず、しっかり振り返って次に繋げることができる体制をつくるために、AIや機械学習、データサイエンスの案件を、円滑にすすめるための推進フローも社内で策定しています。

これにより、取り組む価値が不明確であったり、明らかにAIでは不可能な無理難題な案件が進んでしまうことを、回避できるようになっています。このような地道な地盤作りを行うことで、簡単ではないAI開発を持続可能な状態にすることが可能になりました。

この取り組みを進める中で得られた価値として、今まで見えてこなかった課題を幅広く発見することができ、組織としてAIの活用の幅を広げることができたことが挙げられます。

また、さまざまな関係者を巻き込んで議論を重ねたため、組織レベルでリテラシーが向上し、タイトル側から「こういうことを実現したい」と相談がきた場合にも、必要十分なAIリテラシーがあるため議論もしやすくスムーズに開発が進みます。

共通の推進フローを整備したため、導入プロセスが確立し、スムーズな導入の実現が可能になってきたとのことです。

「Top Down(計画的にAIを推進)」

ここからはMLエンジニア岡田 健にバトンタッチし、「Top Down(計画的にAIを推進)」についての発表がなされました。

DeNA 岡田健

「Top Down(計画的にAIを推進)」とは、前述された「Bottom Up(AIでできることの探索)」とは対照的に、事業インパクトが出せそうな領域で計画的にAI活用をスケールさせる動きのことです。

組織的な動きをするために、DeNAではAI推進チームを発足しました。ゲームの分野でAIの応用を加速させていくチームになります。

計画的にスケールさせるためには、まず過去の歴史を学ぶことが重要です。推進チームでは社内外問わず、CEDECやGDCなどの過去の事例を蓄積しています。ユースケースは課題に対して何らかの技術をもって結果に導くものであり、他社が抱える課題やその解法などを調べた上で、組織に還元する動きを大事にしています。

課題を抱える各プロジェクトの開発現場にヒアリングし、過去の事例をどうやって適用するか、工夫するか、などの提案をして、その後適切な専門家とつなぎます。

また、DeNAにはAIシステム部というAI専門家集団を擁しており、Kagglerやコンピュータビジョンの専門家なども所属しています。自動化を推進している部署ではさまざまな専門家と、ゲームの開発をつなぐ架け橋となることを意識しています。

過去の『逆転オセロニア』チームには、タイトル側と専門家しか存在しませんでしたが、現在はAI推進チームが橋渡しの役割を担い、Kagglerが問題を解決しやすいようにセッティングしたり、シミュレータを制作してサポートします。

このチームでは、機械学習の勘所、ゲームのドメイン知識やゲームの開発経験だけでなく、エンジニアリング力も必要となります。

具体的には、最も重要なのはゲーム事業を把握して、力を蓄積して何ができるかを判断することです。

Simulator

続いては、「Top Down」の動きの中でも、技術的に中心となる「Simulator(シミュレータ)」について語られました。

ゲームに機械学習を応用させる中でSimulatorはひとつの大きな役割を担っています。AIを絡めた取り組みで必要なのは「課題とユースケースの設定」で、Simulatorはそれを解決する手段であり、技術となります。

Simulatorについて「初期段階からちゃんとつくる」「ビューとロジックを分離した作りにする」ことは当たり前で、ユースケースありきで考えると「ゲーム本体とAIの境界」「要件定義が大事」と考えられます。

そこで「Simulator=境界」とは何なのか、『逆転オセロニア』で運用中のオセロニア道場では、インバトルで強いAIを教師あり学習で作ることが目的でした。

具体的なユースケースは、強いAIと自由に対戦可能な環境を作るために、プレイヤーの棋譜ログを使用して教師あり学習で強いAIを作ることです。

『逆転オセロニア』では、キャラクターやスキルが定期的に追加されます。これに対して常にAIの最新化をしたいとき、その設定で境界には何が必要になるでしょうか?

まず「内部構造」について。オセロニア道場はGCPを利用して作られており、ゲームの端末から棋譜を推論APIへ、そこから特徴量抽出APIで特徴量に変換し、AIモデルにより推論して出た打ち手の結果をクライアントに返送します。

そのフローの中で「推論API」「特徴量抽出API」はゲームとAIの境界となります。『逆転オセロニア』では、特徴量抽出は今の盤面を再現して、そこから情報を抜き出します。

情報には「どのマスに黒い駒が置かれているか」「手札にどんなキャラクターがいるのか」を数字の配列で表し、それをもとにディープラーニングの行列計算をします。

棋譜には盤面やデッキの情報などが記載されており、特に重要なのが「各ターンに何が起こったか」という事象です。1ターン目にどの駒を置いたのか、どれくらいのダメージが出たのか、などバトル開始時から順を追って、現在の盤面の状態を復元します。

この仕組みはPythonで開発していますが、もし仮に最初から作り直すとした場合、棋譜ログをあるべき設定にすること、バトルロジックの二重管理をやめることを実現したいと岡田は話しました。

このような課題をハンドリングするためのキーワードは「リプレイ可能であること」。課題解決のため、棋譜はバイナリ形式で、特徴量抽出はゲームのバトルロジックをリプレイ可能にしておき、それを使って棋譜をビューなしでバトルリプレイして特徴量を抽出します。

バトルロジックは入力を出力に変換する機械と呼べるもので、直接のインタラクトはしません。

『逆転オセロニア』を例にすると、まずプレイヤーからの「どこに何の駒を置いたのか」という入力コマンド情報をバトルロジックが現在の盤面に置き、ダメージ計算をして内部状態を変化させます。

その結果、どういった描画をするのかを「描画ロジック」に指示します。シミュレータ側では入力コマンドは棋譜ログとして保存、学習段階では棋譜ログをバトルロジックに流し込み、同じコマンドを入力して特徴量を抽出します。

バトルロジックをリプレイ可能な仕組みに作っておけば、同じ入力なら内部状態や後段の出力も同じになるはずで、これが「リプレイ可能」な機能が必要で、重要な理由になります。

作業フローに関して重要なのはAIの学習だけではないということ。AIモデルに対してもAIの専門家が品質保証をしなければなりません。

まずAIの学習については、バトルロジックをwrap(ラップ)した「特徴量抽出リプレイヤー」を使用します。ここでは複数のマシンを並べての高速化が可能です。ここでのアウトプットは「学習したAIモデル」になります。

勝率評価に関しては、AIの学習でアウトプットされたAIモデルを、NPCや既存の他のモデルと対戦させるという「ふるい」にかけ、この時点で弱いモデルは捨てられます。ここでの境界は「対戦サーバー」になります。

勝率評価で得た対戦ログは打ち手の評価に使用されます。打ち手の評価とは、AIが打った手を人間が実際に目で見て確認し評価することです。その段階でなぜ勝率が上がらないのか、どんな状況のときにどんなパターンで負けるのか、などを分析します。

このイテレーションをできるだけ短く実行するために、ゲームデバッグ機能のひとつとしてバトルのリプレイ&観戦機能が必要です。ここまで勝ち残ったモデルは、試し打ち(人間 vs AI)を経て、AIコンテンツにデプロイします。

以上のように、ひとつのユースケースにおいても、ゲームとAIの境界は多数存在します。それらをすべて機能させる必要があり、そのために(シミュレータで)重要なのがリプレイ可能であることです。

最後に岡田は「AI-native」なゲーム開発は面白いが、ゲーム開発者の設計や実装による協力が不可欠であり、密に連携して開発を続けていきたいとの言葉で、セッションを締めました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitterアカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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【CEDEC2019】「自由に移動できるVRゲームにおけるプレイヤーの誘導、こうやってみました」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、DeNAとあまた株式会社が研究開発している、謎解きアドベンチャーVRゲーム『VoxEl(ボクセル)』を実例として、VR空間内を自由に移動できるタイプのゲームにおいて、いかにプレイヤーの行動を制御しゴールまで導くかという課題を、どのように解決したかを解説する、ショートセッションの内容を一部抜粋してレポートします。

登壇者は、株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部 ゲームデザイナーの永田峰弘、あまた株式会社 代表取締役社長・プロデューサー・ディレクターの高橋宏典氏となります。

『VoxEl(ボクセル)』とは

永田:『VoxEl(ボクセル)』は、ハイエンドVRの研究開発を目的としたタイトルとして着手し、過去に「東京ゲームショウ2018」や「LAVAL VIRTUAL 2018」などでプレイアブル出展、開発の中心メンバー10人が約5ヶ月を要してVIVE向けに開発しました。

ゲーム内容は、謎の少女「エル」と共に冒険するVRゲームで、フィールドのオブジェクトを使用したギミックを解きながらステージを進める「謎解き要素」と、そのギミックを利用して終盤に登場する巨大な敵と戦う「バトル要素」を融合させた作品になります。

VRゲーム『VoxEl』開発メンバーが語る技術的な試行錯誤

VRタイトルに必要なもの

永田:VRを利用した作品で必要なのは、その世界に「存在している」という実在感です。VRの世界に入り込んで楽しむためには必須の要素であり、その実在感を得られないものは、据え置き機のようにモニターで遊ぶ体験と大差がありません。

そして、実在感を得るために必要なのは「納得感」です。なぜプレイヤーはこの世界にいるのか、ビジュアルやサウンドはどんな理由で構築されているのか、表現がリアルである必要はなく、プレイヤーに納得してもらうことが重要になります。

DeNA 永田峰弘(左)・あまた株式会社 高橋宏典氏(右)

『VoxEl(ボクセル)』の遊び方

永田:プレイヤーはVIVEコントローラを、ワンドと呼ばれるアイテムとしてゲーム内で持つことで行動できます。移動はなるべくVR酔いをしないように、ワープ移動を採用していおり、VIVEではルームスケールで空間内を歩くことが可能なため、その機能も有効活用しています。

永田:ワンド(コントローラ)のトラックパッドを触れたまま、地面に向けるとサークルが出現し、その状態でトラックパッドを押し込むと、サークルにワープ可能です。もちろん操作によりワープ先の角度を変えることも可能です。

また、ステージに設置されているエネルギーの塊に向けてトリガーを引くと、エネルギーを抽出、再度トリガーを引くとストックしたエネルギーの発射が可能です。

永田:動かせるオブジェクトに関しては、物体に向けてトリガーを引くと、念力のように物体を動かすことが可能です。

プレイヤーへの情報提示と誘導

ゲーム開始時の情報制限

永田:ゲームを始めた際には、納得感を与えるために、プレイヤーが何者なのか、何をすればいいのかを理解してもらう必要があります。

ですが、プレイヤーを完全に自由な状態にしてしまうと、迷いを与え、余計な動作をしてしまうため、見てもらいたくない部分まで見られてしまう、という課題が発生します。

高橋氏:『VoxEl(ボクセル)』では、ゲームスタート時は真っ暗な通路のような場所に閉じ込め、少し先に光がもれている扉が見えるデザインにしています。

高橋氏:このように、情報を大きく制限することで見るべきポイントを明確にしています。その後に、扉の外からガイド役でもある少女エルから声がかかり、移動方法のレクチャーを受けるフローになっています。

チュートリアルを兼ねた初期誘導

永田:ここからは「世界観のチュートリアル」と「操作に関するチュートリアル」に分けて説明していきます。

『VoxEl(ボクセル)』は、短時間で完結するプレイアブルタイトルであり、冒頭でおおよその説明が入ります。この部分がないと、一体何をするゲームなのか理解できないまま、プレイすることになってしまいます。

家で長時間じっくりプレイをするタイトルでは、このような早急な説明は必要ありません。まずはどのようなタイトルで、どの程度のプレイ時間を必要とするのかを設計することが重要です。

ゲーム冒頭で暗い部屋から出ると、エルから「この世界について」「プレイヤーがここに存在する理由」「プレイヤーの現在の状態」など、簡単な説明が開始されます。

この演出により、ゲームシステムと世界観の融合を実行し、プレイヤー自身がVRの世界に来たことを実感させます。

高橋氏:VRにおいて、触感が得られない点は大きな問題になりますが、それを逆手に取って、プレイヤーは実体を持たずに、実際に触ることができるのは、ワンド(コントローラ)だけに限定しています。

高橋氏:その後の「不完全な召喚になった」と世界観側による補足と、エルによるキャラクター表現で補っています。

長時間一緒にゲーム内で旅をするゲームデザインでは、人間型のキャラクターを実装することは非常にコストも高いですが、その価値は大いにあると考えられます。

永田:続いて、エルから基本操作とゲームルールの説明がされますが、場所を比較的狭い空間にすることで、情報を制限しています。

永田:ゲーム内では序盤で「ゲームの操作方法」「どうやって進むのか」「何を見ればいいのか」についてレクチャーされます。

VR空間内にはデザインしたオブジェクトを自由に配置できますが、置きすぎるとプレイヤーが何をすればオブジェクトが動くのか、判断に迷ってしまいます。

そのため、この画面で印象的なオブジェクトを見せることで「この系統のデザインのモノを見て触れば次に進める」という感覚を持たせ、謎解き要素に集中できるようにしています。ここでも、テキストを使用せず、エルのセリフのみで説明、進行していきます。

謎解きステージでの情報提示

永田:本作では、進行方向について、基本的に「前を向いていれば理解できる」デザインにしています。VRでは360度自由に視点を変えることができるため、ゲームに関係する情報をさまざまな方向に置いてしまうと、プレイヤーは総当たり戦のようなプレイをしてしまう恐れがあります。

永田:それを回避するために、基本的に前進するような構造設計にしており、謎解きに必要な情報はすべて前方(進行方向)に置いてあります。実は、ゲーム内で360度の世界が広がっていても、VRに慣れていないプレイヤーは、ほとんど前方向しか見ない傾向があるんです。

分かりにくい場所にあるオブジェクトに対して、徐々に誘導して発見する体験をさせることも可能ですが、その場合にはきちんとした導線の設計が必要となります。

高橋氏:『VoxEl(ボクセル)』のレベルデザインについては、エリアを小分けにして、縦シューティングゲームのように奥に進むような構成が基本となっています。

高橋氏:エリアをまたぐたびにチェックポイントを設置し、途中で向きがわからなくなったり、エリアが変わったときに方向をリセットするようにしています。

本作では、最終ステージにて巨大なボスキャラクターが出現し、これまで駆使したギミックを使って戦いますが、このタイミングでは進行方向が逆になるので、進む方向と戻る方向を明確に認識できるようにしています。

キャラクターによる誘導

永田:現実と同様にVR空間内においても、単純に動いている物体よりも、コミュニケーションを取ろうとする物体に対して、人間は強い反応を見せます。

本作ではエルのセリフやモーションによって、「次に何を見ればいいか、何をするべきか」という情報を与えて、プレイヤーを導いています。

先に述べたとおり、VR空間内で成立する人間型のキャラクターの制作はコストが高いのですが、苦労に見合うほどの価値があるので、ぜひ挑戦してほしいと思います。

もちろん、人間型ではなく、シンプルなデザインのロボットのようなキャラクターでも、コミュニケーションを取る意思のある存在であれば、十分代用可能だと考えられます。

失敗例としては、とある場所に落ちてきた物体に対して、エルが「どかして」と話すのですが、その会話の際にエルの顔を別の方向に向けさせてしまい、かなりの人がそこで迷ってつまづいてしまったことです。

永田:視線誘導のギミックはVRタイトルでは良く採用されますが、本作では自由移動が可能なので、視線誘導の難易度が上がっています。そこで、要所ではガイドのキャラクターを動かしてプレイヤーの視線をコントロールしています。

もちろん、音による視線誘導もしていますが、ゲームのリテラシーが高くない人、ゲームに慣れていない人には、現実の音ほどの効果がないので、明確にやや長めに音を鳴らすことを意識した方が良いと言えます。

特にゲームショウなどの屋外イベント会場では騒音も大きく、それによって視覚情報がより重視されてしまう恐れがあり、サウンド設計時にはプレイする環境を考慮することも重要だと考えられます。

実在感を上げるための演出

高橋氏:VR空間において、キャラクターがプレイヤーの方向を向く、動いて話しかけてくる仕組みは、エルというキャラクターを使って表現しましたが、試遊した人のフィードバックを含めて、非常に大きな効果を上げた、とてもエモい経験でした。

高橋氏:これまでセッション内で伝えてきた通り、人間型のキャラクターをプログラムやモーションを開発して制御することは非常にコストも高く、チャレンジしづらい領域ではあります。ただ、エルと協力して謎を解いたり、敵と戦ったりする体験は、非常に魅力的でトライする価値がある演出だと感じました。

私は過去に、キャラクターとお話を楽しむPS対応タイトルの開発に携わっており、仮想キャラクターとコミュニケーション可能なゲームデザインをしていました。

VRの特徴として、自分がそのままゲーム空間に存在するような体験ができることだと考えており、キャラクターとのコミュニケーションにより、自分の心にもたらす変容のようなものが、VRの世界でも効果があると感じています。

永田:それでは最後に、サウンド開発に関する話をしたいと思います。VR空間では視覚情報の比重が大きくなりますが、サウンドの中でも特に「環境を表現する音」は非常に効果が高いと考えられます。

特に、ボイスやSEが鳴ることによって発生する「残響音」については、空間の中で鳴る、しゃべっている音声が残響するイメージを考慮して作ると、そこにいる雰囲気が強く感じられるので、コストも少なく、演出としては非常に効果が高くなります。

永田:本作のサウンドに関しては、研究開発の観点から、ミドルウェアを使用せずに、空間ごとにボイスの残響音を全て自力で計算して、エクスポートしましたが、その作業はかなり大変でした。

今回のセッションは以上となります。もし質問やVRタイトルの相談があれば、ぜひ、個別にご連絡ください!

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

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【CEDEC2019】「サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術」セッションレポート

2019年9月4日~6日の期間、パシフィコ横浜において、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2019」が開催されました。

本記事では、9月6日に行われた「サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術」について、『天華百剣 -斬-』プロデューサーのナカムラケンタロウが登壇したセッションの内容を、一部抜粋してレポートします。

冒頭、ナカムラは今回のセッションの重要なポイントとして「プランナーとしてTwitterのプロモーション効果を意識しつつ、ゲームについて深く考えることが重要」だと述べ、マーケティングに携わる参加者には「プランナーと連携すれば、プロモーション効果をより高めることができる」といった視点で見てもらいたい、と説明しました。

『天華百剣 -斬-』とは

『天華百剣 -斬-』は、乙女の姿を持って生まれてきた刀剣「巫剣(みつるぎ)」 たちとともに、世を乱す邪悪な敵との戦いに挑む、スマートフォン向けベルトスクロールアクションゲームです。

本作はKADOKAWA社とDeNAの協業案件であり、ゲームだけでなく、コミカライズやノベライズ、キャラクターソングなど、各種メディア展開を続けているタイトルになります。

登壇者のナカムラは、2013年に株式会社DeNA Games Osakaに入社し、プランナーとして運用中および新規タイトルを担当。2017年の11月に『天華百剣 -斬-』にディレクターとして参加し、タイトルの一周年を迎えた2018年4月にプロデューサーに就任しました。

サービス終了寸前まで追い込まれた歴史

『天華百剣 -斬-』プロデューサー ナカムラケンタロウ

『天華百剣 -斬-』は2017年4月20日にリリース後、順調に運営がスタートしたものの、あるトラブルが原因となり、ユーザー数が減った経緯があります。

そんな低迷期の中、ナカムラは2017年11月に『天華百剣 -斬-』の開発チームに参加。2018年1月の半ばにプロデューサー交代の打診を受けました。

その直後の2〜3月が最も低迷した時期となり、会社から「2018年8月末の状況でサービス終了かどうかのジャッジをする」という通告も受けたとのことです。

下図は2017年4月~2018年3月の1年間の月間のアクティブユーザー数を、ざっくりとイメージしたグラフとなります。

あと数ヶ月後にはサービス終了の可能性がある状況で、ナカムラは「絶対にタイトルを終わらせたくない!」「そのためにどうすればいいか?」と自問自答していたそうです。

もともと本作のリリース時から一人のプレイヤーとして遊んでおり、個人的に思い入れが強いタイトルだったこともあって、彼のプロデューサー生活は「タイトルをサービス終了させないために、どうすればいいか?」を、具体的かつ真剣に考えることからスタートしました。

そんな彼が、絶対にサービス終了させないためにと心に決めたことは「予算が限られている中で必ず最大以上の成果を出す」こと。そして「最大以上の成果を出すために、できることは何でもやる!」ことだったそうです。そのような強い想いで様々なチャレンジを行っていきました。

Twitterのプロモーション効果に注目

『天華百剣 -斬-』の存在を、たくさんの人に知ってもらうためのプロモーション手法として、たとえば「テレビCM」はすぐに頭に思い浮かびますが、その実施にはかなりの費用が必要になります。また、電車の車体に広告を掲出するラッピング広告や、中吊り広告ジャック等もインパクトは強いのですが、こちらも一定の費用が必要になります。

そこでナカムラは大きな費用をかけてのプロモーションが不可能な中、「自分たちが届けたいと考えるターゲット層に、ピンポイントサーチで情報が届く」ことを目標設定しました。その理想の状態を実現させるためのツールとして「Twitter」がベターな選択肢だったと語っています。

Twitterの特徴

Twitterには「匿名性の高さ」と「他のSNSに比べて一人で複数アカウントを使い分けやすい」という2点の大きな特徴があります。ゲームやアニメなどのいわゆる「オタク系コンテンツ」と相性が良いため、「趣味嗜好が似た人同士が繋がっていることが多い」という状況がTwitterの世界では発生しています。

「自分が好きなゲームの話題をツイートする専用アカウントをつくり、同じゲームが好きな人をたくさんフォローする」といった使い方をしている人は珍しくありません。

そのように趣味嗜好が似た人たち同士で繋がっているため、「情報の伝播のしやすさ」と「情報の伝播の速さ」が、Twitterをプロモーションで使う際の大きなメリットになっており、それを最大利用することを考えたそうです。

たとえば、Aさんが「天華百剣の新情報」についてツイートすると、その新情報は趣味嗜好が同じフォロワーのBさんに伝わります。さらにBさんがその情報についてツイートやRTすることで、その情報はより広く、多くの人に伝播していきます。

伝播していく先々で、仮に『天華百剣 -斬-』についてまだ存在を知らない人がいた場合、その人はTwitterを通して本作を初めて知ることになります。このようにして情報が拡散していくことが「Twitterのプロモーション効果」であるとナカムラは説明しました。

Twitterを通して情報を広げるプロモーション手法と聞くと「バズる」「バズらせる」といった用語をイメージすることが多いかもしれませんが、ナカムラが目指したものは実はそうではなかったようです。

もちろん『天華百剣 -斬-』に関連する情報がバズり、これまで本作に興味がなかった層まで伝わることは、プロモーションとしては成功だと考えられます。

ただし、Twitterでバズった情報は、一定時間が経てばすぐに収束するため、中長期的にはほとんど効果がないと説明しました。

ナカムラが実現したかったのは「同時多発的にさまざまな情報がツイートされ続ける」「同時多発的に何かしらの新しい情報が発信され続ける」といった状況でした。これは「バズる」こととは、微妙に概念が違うと捉えることができます。

3つの法則

なぜ「同時多発的にさまざまな情報がツイートされ続ける」状態を目指したか、その理由は「3つの法則」を発動させられるから、と語りました。

まず上図1.のように、Twitterでつながっている人が注目している情報は、なぜか自分も気になってしまう法則です。

これは自分でCMを見て気になるより、知人が「このゲーム面白いよ」と発言しているのを見て、「あの人が言うなら、きっと面白いはず」と自然に気になってしまう現象です。

また、気になっている情報については2.「最近、○○をよく見る気がする」法則が発動すると考えられます。

ナカムラの過去の話で、母親が「緑色の車を買おうと思っている」と言った数日後に「世の中には緑色の車がたくさん走っているから、やっぱり別の色にしたい」と急に意見を変えたことがあったそうです。

そのような状況になったのは「緑色の車が欲しい」と考えていると、自然とそれに注目してしまい「世間には意外と緑色の車が多い」と感じてしまったと考えられます。

それと似たように、無意識に注目する情報は目につきやすく、記憶に残りやすい傾向があるようです。その状態をTwitter上で作りたいと、ナカムラは思っていたことを明かしました。

つまり、同時多発的に『天華百剣 -斬-』のさまざまな情報がツイートされ続けることで、今このゲームが盛り上がっている、という空気を作る部分が彼が目指したポイントになります。

プレイヤーと運営間のコミュニケーション

そしてプロモーション効果を高めるために、「プレイヤーと運営間のコミュニケーションについて、意識を変えること」をナカムラは挙ました。

ゲームプレイヤーと運営のコミュニケーション方法には、ゲーム内お知らせ、動画チャンネル、生放送やアンケート、人気投票、プロデューサーレターなど、さまざまな種類が存在します。

プレイヤーと運営の間での、何かしらのインタラクティブな要素は、全て広義にコミュニケーションだと捉えてもいいのではとナカムラは考えています。

直接的な発信はゲーム側より実施することが多く、プレイヤーからの発信手段は、Twitterでつぶやく、掲示板に書き込む、YouTubeに自分が撮ったプレイ動画をアップするなど、さまざまな手段が存在しています。

また、双方向のやりとりとして、リアルイベントで開発陣と直接会話したり、ゲーム内でアンケートを取り、意見を収集することもあります。

ゲーム内に実装している全てのコンテンツは、プレイヤーに対して何かしらの情報や運営のスタンス、メッセージを発信しています。それらをエゴサーチで受信することによって、間接的なコミュニケーションが成立するとナカムラは考えています。

つまり、ゲームに実装している全ての機能は、プレイヤーに対する広義のコミュニケーションであると認識することで、Twitterのプロモーション効果をより高めることが可能になるとのことです。

Twitterのプロモーション効果を高める3つの方法

その1:人格を意識して情報を開示

続いてプロモーション効果をさらに高めるために、プレイヤーが感じているゲーム全体の「人格」を意識しつつ、さらに運営側は可能な限りの情報を、さまざまな手段で「開示」していくことが重要だということが説明されました。

『天華百剣 -斬-』では、公式も含めてTwitterでは「天華百剣くんは~」「天華百剣ちゃんが~」のような呼ばれ方をすることが多く、ゲーム全体に人格があるかのように感じる、とナカムラは話しました。

そこに存在する「ゲームの人格」を意識することが非常に重要だと考え、運営側として、より良い人格を持っている状態を作るため、下図の2点を目指しました。

プロデューサーレター
2018年4月に1回目のプロデューサーレターを公開。プロデューサー交代の報告や、超低迷期を迎えていた時期、サービス終了の噂などでプレイヤーを不安にさせてしまったことへの謝罪や、今後のスケジュールなどが公開されました。

また、シナリオやボイス関連の制作上の都合の説明や、β版だったマルチバトル機能に寄せられた意見に対する返答などを実施し、それを重ねることでプレイヤーと運営側のコミュニケーションを具体的に進めていったとのことです。

エイプリルフール施策
エイプリルフール施策では、当時プレイヤーから嫌われていた敵キャラを主人公にした、ネタシナリオのイベントが実装されました。

その敵キャラは、主に掲示板の中でスラング的に「金棒先輩」という愛称で呼ばれていたため、ゲーム内でシナリオにそのまま採用してみたとのこと。

さらに、某人気ゲームのパロディを入れ込むことで、「運営はきちんと掲示板やTwitterを見ている」ことを、ゲームへのイベント実装で証明した形になり、それを意識させることで「自分のツイートやレスも運営側が見ている」ことを認識できるように設計したそうです。

 

このような施策の実施で、プレイヤーの声を積極的に取り入れるスタンスの表明に加え、SNSでの発信の意味や価値が高まりました。

その結果、ツイートの活性化にもつながり、Twitterのプロモーション効果を高める方法として、プレイヤーのツイートの意味と価値も高めることができたようです。

その2:ネタを仕込みまくる

さらにプロモーション効果を高める方法として、「ゲーム内にスクショを撮りたくなるポイントを仕込むこと」が挙げられました。

ツイート数が増えないとTwitterは盛り上がらないため、ゲーム内にスクショを撮りたくなるようなポイントを増やすことをまず考えたそうです。そしてスクショを取りたくなるポイントとして、「エモいポイント」と「ツッコミポイント」を2大ポイントとして挙げました。

エモいポイントの事例として、一周年イベントシナリオのエンディングの一幕が挙げられました。ここではシナリオに登場したキャラクター全員が出迎えてくれて、プレイヤー名を呼んで祝ってくれます。このような演出を入れることで、プレイヤーは思わずスクショを撮りたくなり、その中の何割かの人がTwitterなどにアップする効果が期待できます。

結果として、プレイヤーによるスクショの投稿数は大きく増加したと明かされ、「エモいポイント」をシナリオの内容や演出、バトルキャラクターの細かいこだわりなどに反映することは効果的だとナカムラは説明しました。

また、実在した刀剣をモデルにしたキャラクター同士の組み合わせも重要になっているようです、たとえば、伊達家の刀剣同士が絡んでいたり、史実をなぞるような演出やオマージュも、歴史が好きな人、他の歴史ものIPが好きな人には、特に喜ばれていると考えています。

ツッコミポイントの一例としては、普段はしゃべることのない敵キャラクターが、なぜか会話しているネタを設置したことが紹介されました。

たとえば「田舎のヤンキー口調でしゃべる」「普段の3倍くらいの長さの金棒を持っている」などのツッコミどころを用意し、スクショを撮ってプレイヤーにつぶやいてもらうことで、それ自体がツッコミとして成立することを設計しています。

そのようなツッコミポイントを増やすことが、同時にスクショポイントを増やし、さらに投稿数の増加につながっていくとナカムラは考えました。

その3:ゲーム内外の施策を連動

さらにプロモーションの効果を高める3つ目の方法として「ゲーム内外の施策を積極的に連動させる」ことが有効だそうです。

たとえば2018年6月から一か月に渡って開催されたコラボカフェでは、メニューや特典の他に、オリジナルの割り箸袋や紙ナプキンを来場されたお客様に提供しました。するとお客様が「こんな細かいところにまでこだわったグッズ作ってくれて嬉しい」とつぶやいてくれたそうです。

さらに店内ではボイスドラマを流し、実際にゲーム外の施策としてもツイートできるネタを仕込み、盛り上げていったとのことです。

それに加えてゲーム内連動として、実際にコラボしたお店の内装をそのまま再現した背景を作り、ゲーム内アイテムとして配布すると、実際に自分のお気に入りのキャラをセットして、それを撮ってつぶやく人がかなり増加したとのことです。

実際にコラボカフェに訪れた際に「配布された背景と一緒だ!」と、その様子をツイートする人もいたようです。

また、コラボカフェが終了したタイミングで、店内で流したボイスドラマをゲーム内に実装して、誰でも楽しめるようにしました。

それにより「店内で流れたボイスドラマがゲームでも聞けるようになった」「自分の好きなキャラのこの部分が可愛い」「次はこのキャラでボイスドラマ作ってほしい」など、派生したツイートも増え、連動させればさせるほど、ツイート数を増やすことが可能になったようです。

一周年に多くのお祝いツイートが

今まで紹介してきた取り組みの効果を加速したトピックスとして、2018年4月に一周年を迎えた際に、イラストレーターやキャスト、シナリオライターをはじめとする関係者やプレイヤー、ファンから、たくさんのお祝いツイートをもらったことをナカムラは明かしました。

そのおかげで『天華百剣 -斬-』をさらに多くの人に知ってもらえることができ、新たにゲームを始める人もたくさん増えたことが、本当に嬉しかったとナカムラは振り返りました。

結果、無事にタイトル継続が決定

冒頭でも述べられたように、2018年2月から3月が超低迷期、そして4月に一周年を迎えていますが、これまで説明された施策により新規ユーザー数を増やすことができ、8月に無事にタイトル継続が決定しました。

さらに上図の棒グラフが右上がりになっている部分では、2019年3月に実施した劇場版アニメ「魔法少女リリカルなのは Detonation」とのコラボの影響で新規ユーザーがさらに増え、そこから二周年に突入した時期だと読み取れます。

2019年10月より開始したショートアニメのTV放送や、2020年以降に向けての準備もスタートしているということで、継続的にタイトルを続けられる基盤が整いつつあるとナカムラは述べました。

プロデューサーそしてプランナーとして深く考える

ここまで紹介された「Twitterのプロモーション効果を高める方法」の3つの手法の組み合わせでツイート数が増え続け、比例してRT数やいいね数も増加していきました。

それらの相乗効果により、同時多発的にゲームのさまざまな情報がツイートされ続けることで「今、このゲームがアツい!」といった空気感を生み出すことができると考えられます。これがナカムラが考える『天華百剣 -斬-』が目指した状態に近いと言えるでしょう。

最後にナカムラは、

「『天華百剣 -斬-』のような、オリジナルIPのゲームは運営を続けるのが本当に難しく、さらにサービス終了の可能性と常に隣り合わせです。モバイルゲームの運営を任され、それを続けていく責任はかなり重いと感じています。

プランナーの目線で、Twitterのプロモーション効果を意識しながら、ゲームについてあれこれ考えることが重要で、チーム全体が協力して今後もタイトルを盛り上げていきたいと思っています。」

と、プロデューサーとしての自身の思い、実際に行ってきた施策のプロモーション効果など、これまでに得た知見や知識を最大限に生かして、今後も良質なタイトル運営を続けていくことを誓い、セッションを締め括りました。

取材・文・撮影:細谷亮介

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitterアカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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【CEDEC2019】DeNAゲーム事業部関連のセッション内容をチェック

CEDEC2019

2019年9月4日(水)~9月6日(金)の3日間で開催された「CEDEC2019」では、DeNAゲーム事業に関する7つのセッションが行われました。編集部では、今回はその7セッションをピックアップしましたのでぜひご確認ください!

登壇情報(9月4日)

ゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは?

■セッション内容
リアルイベントやコミュニティの醸成、企業が独自のオウンドメディアを展開するなど、ゲーム開発者がSNSなどで自ら発信することも増えてきた昨今、ゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは何か? DeNAのゲーム事業部を率いる佐々木悠と、2019年7月より、まったく新しいメディアの形を模索して完全独立系のメディアとして再スタートをした電ファミニコゲーマー編集長のTAITAIこと平信一によるディスカッションです。(開始時間/14:50〜)

■登壇者
佐々木 悠(株式会社ディー・エヌ・エー)
平 信一(株式会社マレ)

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■DeNA登壇者プロフィール

佐々木 悠
執行役員 ゲーム・エンターテインメント事業本部 ゲーム事業部長

慶應義塾大学卒、2009年DeNA新卒入社。入社後はモバイルオークションのサイト運営、広告営業の経験を経て、2010年にゲーム事業に異動。住み着き妖精セトルリンの運営、有名IPゲームの立ち上げを行いつつ、組織マネジメントに従事。アプリ開発部署の部長として『三国志ロワイヤル』、『FINAL FANTASY Record Keeper』の立ち上げ後、職能組織長として部署の立ち上げとマネジメントを実施。その後、専門役員として協業案件に従事して新規ゲームの立ち上げに尽力。2019年4月からゲーム・エンターテインメント事業本部ゲーム事業部長に就任。

■受講者へのメッセージ

新しいメディアの形を模索し続ける電ファミニコゲーマー様と、ゲームの文化を伝えていくために開発者とメディアがどう向き合い語り合うのがよいか?情報発信の選択肢が多様化している今だからこそ改めて検討していければと思います。

【CEDEC2019】「ゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは?」セッションレポート

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組織的に Game x AI を推進していくための方法論
〜『逆転オセロニア』 の一歩先へ〜

■セッション内容
私たちは運用中のモバイルゲーム『逆転オセロニア』においてデッキ編成をする AI、人間のような戦いをする AI をリリースしました。まず今回は、AI をうまく活用することができた開発プロセスなどを整理し、リリースまでの軌跡を振り返ってみます。

その中で技術検証からリリースまで一貫して行った経験から、AI 活用を成功させるために重要な要素がいくつか見えてきました。過去事例の収集、自社の個別ゲームタイトルの要望の把握、投資領域の選定、課題設定への落とし込み、AI開発をスムーズにするような周辺ツールやデータの整備、そしてそれを可能にするための部署横断での体制の整備……。

本セッションでは、これらの「AI 開発のあるべき」を検討します。その中でも技術的に重要になってくるシミュレータについては具体的な設計を交えてお話しします。(開始時間/17:50〜)

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■登壇者プロフィール

田中 一樹
AI本部 AIシステム部 データサイエンス第一グループ
データサイエンティスト

2017年に DeNA 入社後、データサイエンティストとしてアプリゲーム『逆転オセロニア』に関する AI 機能の開発に従事し、機械学習、強化学習、データサイエンス技術の研究開発 / 設計から実応用に携わる。現在は、多様な事業へのデータサイエンス活用を目指した研究開発や課題発掘に従事。大学時代は電力系統に関する数理計画や統計的機械学習の工学的応用を研究。『速習 強化学習 −基礎理論とアルゴリズム−』(共著)を執筆。データ分析の大会に没頭し複数大会で入賞。Kaggle Master。

■受講者へのメッセージ

AIをモバイルゲームに活用するのはとても面白くもありますが、大変な面もあります。特に、AIの不確実性や、どんなAI機能がプレイヤーさんに価値を提供できるのか、真摯に向き合って考えなければいけないことは多くあります。

本セッションでは、現在AI機能を開発しているまたは将来に開発をしたいと考えている皆様のお役に立つ情報を発信できればと思います。[/su_column][/su_row][/su_note]

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■登壇者プロフィール

岡田 健
AI本部 AIシステム部 MLエンジニアリンググループ
MLエンジニア

DeNA所属のエンジニア。元数学徒。ゲーム『FINAL FANTASY Record Keeper』を開発 / 運用していたが、2018 年からはその経験を生かして AI によってゲームのおもしろさの軸を増やしたり、ゲーム作りの方法を変革する側に。『逆転オセロニア』への AI 導入では学習高速化、学習管理の仕組み作り、実サービスのためのアーキテクチャ設計と実装などを担当。

■受講者へのメッセージ

AI は、言うなれば魔法です。便利な半面、それなりにコストがかかりますし、専門家が必要なことが多いです。準備が不完全であれば、不発になるときだってあります。敵の弱点を突けなければ、費用対効果に合わないこともあります。

魔法使いを上手く既存のパーティーに組み込んで、より難易度の高いことをなしたり、今まで行けなかったところに行くためにはどうするべきか? 我々のケースを通じてお伝えできればと思います。

【CEDEC2019】「組織的にGame x AIを推進していくための方法論~『逆転オセロニア』のAIの一歩先へ~」セッションレポート

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登壇情報(9月5日)

自由に移動できるVRゲームにおけるプレイヤーの誘導、こうやってみました

■セッション内容
このセッションでは、VR空間内を自由に移動できるタイプのゲームにおいて、いかにプレイヤーの行動を制御しゴールまで導くかという課題をどのように解決したか、実例をもとに説明します。加えて、VRゲームに没入するために必要な『没入感』や『納得感』を上げるために行った、世界観を含めた演出についても取り上げます。

カテゴリはAC分野としていますが、ゲームデザインやサウンドまで幅広く演出のお話をする予定です。今回はDeNAが研究開発しTGS2018やLAVAL VIRTUAL 2018にも出展した謎解きアドベンチャーVRゲーム『VoxEl(ボクセル)』を実例としてご紹介します。(開始時間/14:50〜)

■登壇者
永田 峰弘(株式会社ディー・エヌ・エー)
高橋 宏典(あまた株式会社)

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■DeNA登壇者プロフィール

永田 峰弘
ゲーム事業部Publish統括部第四プロデュース部
ゲームデザイナー

サウンドクリエイターを経てゲーム業界にプランナーとして入り、2011年にDeNAに入社。モバイル、スマートフォン向けタイトルを中心に企画、ディレクションを担当。

複数タイトルの企画面を横断でサポートしつつVRの研究開発に着手。2018年にハイエンド向けVRゲーム『VoxEl』を開発、TGS018やLAVAL VIRTUAL 2018に参考出展。本タイトルではプロデューサー、企画、シナリオ、サウンドを担当。酒粕から作った甘酒がすきです。

■受講者へのメッセージ

『VoxEl』開発中に試行錯誤したこと、またTGS2018などで試遊していただいた際に得られた知見を元に、VR開発の初歩的な注意点から、VR空間内でのプレイヤー誘導、また納得感や没入感を高めるために実装した内容をご紹介します。
受講していただく皆様にとって、より楽しいVR体験を作るための手助けになればと思います。

【CEDEC2019】「自由に移動できるVRゲームにおけるプレイヤーの誘導、こうやってみました」セッションレポート

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『逆転オセロニア』における、機械学習モデルを用いたデッキのアーキタイプ抽出とゲーム運用への活用

■セッション内容
プレイヤーが構築したデッキを用いて対戦する PvP ゲームにおいて、代表的なデッキ構築パターン (アーキタイプ)、そして各アーキタイプの使用頻度、 総合勝率、 対戦成績などの KPI を継続して観測することは、 現状のゲームバランスを把握し、 プレイヤーのゲーム体験を向上させる上で有用である。

本講演では、 『逆転オセロニア』における、 機械学習モデル (トピックモデル) を用いた、 大規模データからのデッキアーキタイプの抽出、 アーキタイプに関連する KPI の可視化、 これらを用いたゲーム運用への活用について紹介する。(開始時間/16:30〜)

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■登壇者プロフィール

安達 涼
ゲーム事業部Publish統括部分析部
アナリスト

人間の意思決定プロセスの数理モデル化と、その神経基盤を解明する研究に従事し、カリフォルニア工科大学PhD(計算論的神経科学)を取得。2018年3月にデータアナリストとしてDeNA入社。機械学習の手法のみならず、行動経済学の知見などを用い、人間のゲーム内外での行動データを包括的に理解することで、ゲームタイトルの運営力・UX向上を目指している。

■受講者へのメッセージ

モデル構築から実運用まで幅広い内容をカバーしますので、みなさまお気軽にお越しください。

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■登壇者プロフィール

岩城 惇
ゲーム事業部Develop統括部企画部
プランナー

大学卒業後、ゲーム制作の道へ。アクションゲームやRPGの開発に携わる。『逆転オセロニア』では運用プランナーとして機械学習を用いたキャラクターのレベルデザインに携わっている。

■受講者へのメッセージ

機械学習が実際に運用の現場で活用されている「生」の様子をお伝えできればと考えております。

【CEDEC2019】「『逆転オセロニア』における、機械学習モデルを用いたデッキのアーキタイプ抽出とゲーム運用への活用」セッションレポート

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登壇情報(9月6日)

ゲームと機械学習の最前線
〜現状と未来を正しく捉えるために〜

■セッション内容
近年の機械学習研究の進捗は目覚ましく、ゲーム産業でも様々な活用事例が報告されてきています。一方で、これらの技術に対する加熱した期待値も成熟を迎え、「ゲーム開発・体験にどの程度インパクトを与えるか」「どのように戦略的な活用を目指していくべきか」といった論点に注目が集まっています。

本セッションでは、ゲームと「機械学習」の関わりについて認識を深めていきます。パネリストとしては、機械学習導入を実際に成功させ、ゲーム開発やUXへの影響について見通しを持つメンバーを集めました。国内外で発表されている多くの事例を整理し、2019年時点で出来ること・不足している要素、中長期的な戦略について、現実的な目線で議論を展開します。(開始時間/11:20〜)

■登壇者
奥村 純(株式会社ディー・エヌ・エー)
三宅陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス)
長谷 洋平(株式会社バンダイナムコスタジオ)

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■DeNA登壇者プロフィール

奥村 純
AIシステム部 AI研究開発グループ
AI研究開発エンジニア

国内外の研究機関で観測的宇宙論の研究に従事し、京都大学理学研究科宇宙物理学専攻にて博士号取得。DeNAではデータアナリストとしてユーザー体験や事業推進をデータからサポートすることを目指し、主にゲーム領域のデータ分析・パラメータ設計の経験を積む。2017年よりAI研究開発エンジニアに転身しゲームAIの研究開発を推進、 複数のAI施策をリリース。機械学習の実ビジネス適用や、UXデザインに興味を持っている。

著書:
『データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編』
講演:
『次世代QAとAI 』(CEDEC2018)
『一周年で爆発した「逆転オセロニア」における、ゲーム分析の貢献事例』(CEDEC2017)

■受講者へのメッセージ

昨年は『次世代QAとAI』というテーマで、QA文脈にフォーカスして機械学習の活用方法や見通しを議論しました。その後も技術は様々な形で進展しており、ゲーム開発の多くの領域で機械学習導入のトライアルが行われたり、学術業界によるゲームAI研究も進んだりしています。

本セッションではより広い観点から「ゲーム」と「機械学習」の関係を考えます。国内外の最新事例の紹介から現在の状況を俯瞰し、現実的な目線で今後の見通しについて議論を広げていけたら嬉しいです。

【CEDEC2019】「ゲームと機械学習の最前線~現状と未来を正しく捉えるために~」パネルディスカッションレポート

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サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術

■セッション内容
本セッションでは、SNSでの情報の伝播を戦略的に盛り込んだコミュニケーションの手法を紹介します。
主にtwitterを通してゲームの情報が伝わったり、SNSでの盛り上がりによって「いまこのゲームがアツい」といった雰囲気を作り出すことで、新規のプレイヤーを呼び込んだり、ゲームから離れていたプレイヤーに復帰していただいたりすることが可能です。

ゲームリリース1周年のタイミングを機にプロモーション戦略の柱の1つに「SNSでの盛り上がり」を設定し、サービス終了の危機を脱することができた「天華百剣 -斬-」の事例と共にその手法を紹介します。(開始時間/13:30〜)

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■登壇者プロフィール

ナカムラ ケンタロウ
ゲーム事業部Publish統括部第四プロデュース部
「天華百剣 -斬-」プロデューサー

2013年に株式会社DeNA Games Osakaに入社。
プランナーとして社内の運用タイトル、新規タイトルを担当。
2014年の夏頃より金髪になる。
2017年11月より「天華百剣 -斬-」にディレクターとして参加。
2018年1月に株式会社ディー・エヌ・エーに転籍。
2018年4月「天華百剣 -斬-」の1周年のタイミングでプロデューサーに就任。

■受講者へのメッセージ

リリース1周年のタイミングで多くの方から応援をいただけたこと。自分自身がオタク、サブカル厨であることと前職の広告業界で制作をやっていた知見が上手く融合したこと。それらが上手く合わさった結果、1つのゲームが生き長らえることができました。

その時に得られたあれやこれやがみなさんの何かのお役に立てば幸いです。

【CEDEC2019】「サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術」セッションレポート

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大規模モバイルゲーム運用におけるマスタデータ管理事例

■セッション内容
DeNA はこれまで様々なゲームをリリース・運用してきました。その中には100名を超えるメンバーで運用しているタイトルもあれば、運用10周年を迎えるタイトルもあります。

本セッションでは、モバイルゲーム運用におけるマスタデータの管理で、特に大規模なチーム人数や、長期運用で発生してきた課題や失敗事例をご紹介します。その上で、それらの課題解決のために開発した共通マスタデータ管理システムの概要と、その機能や運用ワークフローを説明します。

そして実際のゲームの開発・運用にそのシステムを導入してみて、どのような効果があったかをお話します。(開始時間/16:30〜)

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■登壇者プロフィール

人西 聖樹
ゲーム事業部Publish統括部共通基盤部
ゲームデベロッパーライブラリグループ エンジニアリングリード

DeNAの大規模mobageタイトルの開発・運用のリードエンジニアを経て、現在はゲーム横断の開発基盤の部署にて、マスタデータ管理システムの開発リーダーを担当。

■受講者へのメッセージ

モバイルゲーム特有のマスタデータの運用周りの苦労や、それに対してどのようなアプローチをしていったかをお伝えできればいいなと思っております。

【CEDEC2019】「大規模モバイルゲーム運用におけるマスタデータ管理事例」セッションレポート

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitterアカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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引用:「CEDEC2019」公式サイト

※掲載内容は、公開日時点の情報です。セッション内容等は当日変更になる可能性もありますので、ご了承ください。

【CEDEC2018まとめ】ゲーム系登壇者の一言感想&資料つき

注目のゲーム系セッション振り返り

2次元キャラが3次元にやって来る!~歌マクロスでのAR施策~

登壇する小野と北林

ゲーム・エンターテインメント事業部第三開発部の小野と北林が登壇。「ARとVRの違い」「なぜARを実装しようと思ったのか」「実装してみての苦労話」など、訪れた来場者の興味を惹きつける内容となりました。

 

Q:まずは小野さん、登壇してみていかがでしたか?

登壇する小野

キャパが120名の会場だったんですが、事前にはどのぐらいの聴講者が来るのか全く予想できず、「ガラガラだったらどうしようかな……」とか思っていました。実際には、開始前にはかなりの行列ができており、講演途中で「満員で入れません」になったとあとから聞きまして正直ホッとしました。

終わったあと喫煙所で、セッション聞いてくれた専門学校生3名に突撃質問されたのですが、熱量高い人達でなんだかうれしくなりました。やっぱゲーム作る人は熱量大事! とあらためて思った一日でしたね。

Q:続いて北林さん、登壇してみていかがでしたか?

登壇する北林

途中でスライドが入れ替わっているトラブルがあったりして少しオタオタしましたが、やってみてとても良い経験になりました。また、その後の登壇者懇親会やDevelopers’ Nightなどでも、講演内容をきっかけにして多くの方々と交流させて頂きました。

CEDECへの登壇を通じて、業界の方々にノウハウやナレッジの共有ができ、今後ARを活用した施策の参考になればと思います。

次世代QAとAI 〜ゲーム開発におけるAI活用に正しく向き合うために〜

パネルディスカッション

パネルディスカッション式のセッション。DeNAからはAIエンジニアの奥村(写真:右から1番目)が登壇。株式会社スクウェア・エニックスの三宅氏、株式会社セガゲームスの阪上氏、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社の大野氏とともに、QAとAI活用における各社の取り組みなどが紹介されました。

 

Q:奥村さん、登壇してみていかがでしたか?

今後より複雑化していくゲーム開発と人手不足に対する危機感から、AI活用について真面目に向き合いたいという気持ちで登壇しましたが、業界の第一人者の方々とのディスカッションはとても実のあるものになったと思います。打ち合わせでは何時間にも及ぶ白熱した議論がありましたが、その一端をお見せできていたら嬉しいです。

『逆転オセロニア』におけるAI活用〜ゲーム運用における取り組みとノウハウ〜

最終日となる24日(金)は、奥村が『逆転オセロニア』でのAI活用の取り組み・ノウハウを紹介。

 

Q:奥村さん、登壇してみていかがでしたか?

談笑する奥村

現在関わっているAIプロジェクトの技術を余すことなく公開することを目的に登壇しました。講演後、技術の中身やプロジェクト観点での質問が非常に多く寄せられて嬉しかったです。ここでの議論やノウハウが、他のゲーム開発者の方々の参考になれば、業界のAI活用もより一層進んでいくと思います。

『逆転オセロニア』が実践した“コミュニティと共創するゲーム運営”

登壇するけいじぇい

ラストは、先日2,100万DLを達成した「逆転オセロニア」のプロデューサーである香城(けいじぇい)が登場。ゲームではなく、「サービスとしてプレイヤーに届ける価値」という観点から、事例を交えて紹介しました。

 

Q:香城(けいじぇい)さん、登壇してみていかがでしたか?

CECECでの登壇は初めてでしたが、非常に刺激的な体験になりました。

はじめはオセロニアのコミュニティマネジメントの話に終始しようと思っていましたが、発表されたタイムスケジュールを見て、CEDEC20周年記念の基調講演として3日間の最初の講演がマリオの生みの親である宮本茂さん、3日間の最後の講演が私だったのを何かの縁だと思って、脈々と続くゲームの歴史の流れの中でバトンをつないでいけるような未来への提言をしたいと思いました。色々思案した結果、「For2020 ポストソーシャルゲーム時代」という形で想いも伝えました。

談笑するけいじぇい

講演終了後も、ありがたいことに、たくさんの方が列をなして、もっと話を聞かせてほしい、今度、別のイベントでも話してほしいなど反響がポジティブだったのは嬉しかったです。

 

DeNAもCEDEC2018をサポート

多くの来場者

今年で20週年を迎え、先日無事に閉幕したCEDEC2018。任天堂株式会社 代表取締役 フェロー 宮本氏の基調講演から始まり、のべ3日間で来場者は数千人を超え、多くの賑わいを見せました。

water

CEDEC2018会場では、来場された皆さんに、冷たいペットボトルウォーターを配布。暑い中来場くださったので、大変好評をいただきました。

関連リンク
【公式サイト】逆転オセロニア
【公式サイト】歌マクロス スマホDeカルチャー

©1982,1984,1992,1994,1995,1997,2002,2015,2017,2018 ビックウエスト
©2007 ビックウエスト/マクロスF製作委員会・MBS
©2009,2011 ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会
©DeNA Co.,Ltd.

【CEDEC2018】注目のゲーム系セッションまとめ。気になる見どころを、登壇者に聞いてきた

CEDEC2018開幕

いよいよ開催が近づいてきたCEDEC。1999年にスタートし、20回目という節目を迎えた今年は、AIやARなどの最新事例の他、大ヒットゲームの運営術など、見どころが盛りだくさんの内容になっています。(最新情報や詳細は「CEDEC2018公式サイト」をご覧ください)

期間:2018年8月22日(水)~8月24日(金)
会場:パシフィコ横浜会議センター (横浜市西区みなとみらい)
主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 (CESA)

注目のセッションと見どころ

GeNOM編集部では、注目する登壇者にセッションの見どころをインタビューしてきました。ぜひこちらを読んで、会場に足を運んでみてください! 当日は「そこまで話していいの!?」というくらいの実例をまじえたノウハウが聞けるかもしれませんよ。

 


2次元キャラが3次元にやって来る!~歌マクロスでのAR施策~

=登壇者紹介=

小野 良憲 | Yoshinori Ono

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部
ゲームコンテンツ事業部 第三開発部
プロデューサー

北林 達也 | Tatsuya Kitabayashi

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部
ゲームコンテンツ事業部 第三開発部
グループマネージャー

=セッション日時=

8月22日(水) 16:30〜17:30

お二人それぞれの自己紹介をお願いします!

小野:

株式会社ハドソンにて、プランナー・ディレクター・プロデューサーとして勤務。2011年DeNA入社、『Marvel: War of Heroes』や『歌マクロス スマホDeカルチャー』に携わっています。

北林:

『歌マクロス スマホDeカルチャー』ではディレクターを担当していました。ゲーム業界歴は長く、前職カプコンでもプログラマーやプロデューサーとして数多くのタイトルに関わらせて頂きました。

お二人でのセッションとのことですが、登壇内容を教えてください!

小野:

“大好きなキャラが2次元から飛び出して来てくれる” その気持ちよさ・楽しさをプロモに活かすことができた!
という実例を共有するセッションです。

北林:

可愛いキャラクターたちと現実世界で会いたい! 一緒に写真撮ってみたい! 自分の部屋で踊って欲しい!
そんな想いを形にするために選択したのがARでした。これをどのようにしてプロモーションに活かしたのかお話したいと思います!

どんな人に聞いてほしいですか?

小野/北林:

・ARに興味がある人
・プロモでネタを探している人
・ARを使ったプロモーションに興味がある方
・3Dキャラを使ったゲームでユーザの気を引きたい人

=受講難易度=
甘口(学生含めどなたでも)

注目ポイントは?

小野:

3Dキャラがかわいく&カッコよく踊る『歌マクロス スマホDeカルチャー』ですが、ARを使用したプロモーションでユーザーやファンの皆さんに大いに盛り上がっていただけました。どのような点が支持されたのか、実際の反響はどうだったのかなどを共有しつつ、AR施策において注意すべき点の知見なども併せてお伝えできればと思っています。

北林:

歌マクロスは、他のリズムゲームには無い本格的なダンスが特徴です。その歌姫のダンスをあらゆる方向から見ることが出来るARモードについて、やってみての知見や失敗談などについてお伝えいたします。

当日の意気込みを聞かせてください!

小野:

CEDEC登壇するの、実に13年ぶりでして。
前回とはモバイルゲーム業界のユーザ層、タイトル群など環境が全然変わっていますが、よいゲームをユーザに届けて楽しんでもらおう! という気持ちは変わっておらず。ぜひ、今回のオーディエンスにも“歌マクロスとその施策の楽しさ”が伝わるといいな! と思っています。

北林:

CEDECはいつも聞く側での参加でしたが、今回登壇側での参加ということで気合入ってます!
手法の話だけでなく、一歌マクロスの魅力も一緒にお伝えできたらと思っています!


次世代QAとAI 〜ゲーム開発におけるAI活用に正しく向き合うために〜

=登壇者紹介=

奥村 純(株式会社ディー・エヌ・エー/写真)
三宅 陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス)
大野 功二(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)
阪上 直樹(株式会社セガゲームス)

=セッション日時=

8月22日(水) 17:50〜18:50

奥村さんの自己紹介をお願いします!

国内外の研究機関で宇宙物理学の研究に従事し博士号取得。2014年4月にDeNAでデータアナリストとしてのキャリアをスタート。ユーザー体験や事業推進をデータからサポートすることを目指し、主にゲーム領域のデータ分析・パラメータ設計の経験を積む。2017年1月より機械学習エンジニアに転身し、強化学習技術を中心としたゲームAIの研究開発を推進。

登壇内容を教えてください!

近年、多くの領域でAI活用が期待されており、ゲーム業界もその例外ではありません。このパネルディスカッションでは、AI活用の中でもQA領域に目を向けて、現時点での課題感の整理やどのような導入が期待されているか、また各社の具体的な取り組みや今後の未来予想図について幅広い話題を提供したいと思っています。

AIを導入するといっても難易度は高く、各社が独自に取り組んでいてもなかなか進まない可能性があります。このセッションではこのような課題意識のもと、どのように業界全体が連携できるかというテーマにも触れる予定です。

どんな人に聞いてほしいですか?

これからどのようにAIが活用されていくのか知りたい、現在モバイル・コンシューマ領域でどのような取り組みがあるのかを知りたい、という方々に向けて幅広い話題を提供します。AI技術についても甘口レベルで解説を行うため、機械学習やAIといった領域に習熟している必要はありません。

=受講難易度=
甘口(学生含めどなたでも)

注目ポイントは?

モバイルやコンシューマで実際にAI導入を検討し活動しているメンバーの取組事例から、広く業界を俯瞰していただけることがポイントです。


『逆転オセロニア』におけるAI活用〜ゲーム運用における取り組みとノウハウ〜

=登壇者紹介=

奥村 純 | Jun Okumura

株式会社ディー・エヌ・エー
AIシステム部 AI研究開発第二グループ
AI研究開発エンジニア

=セッション日時=

8月24日 (金)16:30〜17:30

登壇内容を教えてください!

現在、DeNAのゲームタイトル『逆転オセロニア』にて、様々なAI活用が検討・推進されています。
具体的にはオセロニアのような複雑なゲームを人間レベルでプレイできるAIの構築を始め、長期運用をサポートするためにキャラクターのスキルをリリース前に評価するAIなど、野心的な挑戦を続けています。

この講演では、技術的な解説にも踏み込みながら、私たちがどのようにゲーム領域のAI開発に取り組んでいるか、AI導入という特殊なプロジェクトを進める上で気をつけるべきことなど、様々なノウハウにふれる予定です。

どんな人に聞いてほしいですか?

ゲーム領域でのAI活用を検討したい開発者をターゲットにしています。具体的な事例を多く取り入れ、現場目線でのノウハウを共有するので、実際にAIプロジェクトとして足を踏み出す際の参考にしていただけると思います。

=受講難易度=
辛口(ある程度の経験がある人へ)

注目ポイントは?

実際にどのようにAIプロジェクトを進めているか、どのように技術開発が行われているか、という事例を持ち帰ってもらえるのがポイントです。特に『逆転オセロニア』をプレイするAIエージェントを作る、という難易度の高い課題に対して、どのように考えてアプローチしたのか、思考プロセスも合わせて知っていただくことができます。

当日の意気込みを聞かせてください!

近年、ゲーム領域でもディープラーニングなどの最新技術を利用したAI活用が話題になってきました。ビジネスとして夢のある話は多いですが、一方で実際にプロジェクトとして取り組んでいくと、多くの苦労があるのも事実です。実際に、DeNAで進めている『逆転オセロニア』でも様々な試行錯誤や反省がありました。

どちらの講演でも、なるべく現実的な目線でAIについて語りたいと思います。このような場を作ることで、AIに対する正しい期待値のもと、今後地に足のついたユースケースが業界全体で増えていくことを期待しています。


『逆転オセロニア』が実践した“コミュニティと共創するゲーム運営”

=登壇者紹介=

香城 卓 | Taku Kojo

株式会社ディー・エヌ・エー
ゲームサービス事業部 第一ゲームサービス部
逆転オセロニア プロデューサー

=セッション日時=

8月24日 (金)17:50〜18:50

自己紹介をお願いします!

1982年石川県生まれ。中央大学卒。2011年株式会社ディー・エヌ・エー入社。Mobageプラットフォームでのソーシャルゲーム運用・開発を経て、『逆転オセロニア』を企画・開発。「けいじぇい」の愛称で、同タイトルのプロデューサーに従事。

登壇内容を教えてください!

GDC2018でもたくさんのセッションがあったように「コミュニティ」に関するサービス手法は全世界で大きなトレンドとなっています。しかしながら、現在の国内ゲーム市場で実践できているケースは決して多くありません。

・年間30本以上! “オフラインイベント全国行脚”の効果と目的
・ゼロ距離でプレイヤーに接する“顔を見せる運営スタイル”
・本邦初公開となる“コミュニティマネジメントの分析手法” …etc

『逆転オセロニア』のコミュニティマネジメントのノウハウを、具体的な実践例と共に、余すことなくご紹介します。

どんな人に聞いてほしいですか?

ソーシャルゲームのみならず、toC向けサービスの運営・開発経験がある方はよりお楽しみいただけます。

=受講難易度=
中辛(この分野の初心者へ)

注目ポイントは?

いわゆるコンテンツマーケティングのみに閉じず、コミュニティの力を借りて、コミュニティと一緒に成長させていくゲーム運用手法を、具体的な実践例と共にお話いたします。

当日の意気込みを聞かせてください!

国内最先端のコミュニティマネジメント手法をお届けします。お楽しみに!

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1600万ダウンロード突破!『逆転オセロニア』〜オセロニアの誕生から今後の展望まで〜

入場パスについて

いかがでしたか? これで予習もバッチリ! レギュラーパスやデイリーパス、エキスポ&スポンサーパスなどの事前登録は8月15日(水)までとなっています。一部のパスは当日販売も可能。来場を迷われている方も、ぜひ友人をお誘い合わせの上、各セッション会場でお会いしましょう!

受講のお申込みはこちら
※事前受講登録期間:7月1日(日)~8月15日(水)

 

関連リンク
【公式サイト】逆転オセロニア
【公式サイト】歌マクロス スマホDeカルチャー