【イベントレポ】令和時代を生き抜くゲームディレクター談義:歴戦ディレクターの「これまで」と「これから」

毎回様々なゲストをお招きして、最新の技術や情報をシェアするDeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】(以下、GDM)。

本稿では、2019年11月29日(金)に開催された「GDM Vol.38 ディレクター向け座談会」にて繰り広げられた当日の模様を、一部抜粋してお届けします

“ディレクターに関する”6つのテーマ

テーマその1「ディレクターに至るまでの経緯」

まずは現在ディレクターとして活躍中のセガ・インタラクティブ松永純氏、カプコン山田倫之氏に対しての1つめのテーマとして、彼らがディレクターになるまでの経緯が質問されました。

松永氏はもともとプランナー出身で、当時の業務の中で「企画や提案ではなく、自分で判断をしたくなった」と気付き、その後ディレクターを目指したと明かしました。

一方、山田氏はプログラマーからキャリアをスタート。当時担当していたMMORPGタイトル開発時にディレクターが空席となり、その権利を持った人が不在だった中、リーダー陣で補完しながらプロジェクトを進める状況を経て、その後ディレクターになったと語っています。

テーマその2「プランナーとディレクター、一番の違いは?」

続いては、プランナーとディレクターについて、実際に開発現場で感じている一番の違いは?というテーマです。

松永氏、山田氏ともに、ディレクターはゲームの完成形を判断し、プランナーは提案や企画をする役割を持つ職種だという見解を述べました。また、プロジェクトの規模に応じて、ディレクターも提案をする場合もあるとのこと。ちなみに松永氏は「自分は小さいプロジェクトの方が好きです」と微笑みました。

松永純氏 | 株式会社セガ・インタラクティブ
2002年にSEGAにプランナーとして入社。アーケードゲーム市場にて『三国志大戦』シリーズ、『戦国大戦』シリーズの企画原案、メインゲームデザイン、ディレクションを務める。その後、モバイルゲーム市場で本格RPGジャンルの草分けとなる『チェインクロニクル』を制作。このタイトルでは、企画原案、ゲームデザイン、ディレクションに加えて、キャラクター・世界観設定、シナリオ制作を担当。現在は各モバイルタイトルの総合ディレクションに従事している。CEDEC2019のアワードにて著述賞を受賞。

プランナーの延長線上、目指す先にディレクターがあるのか、それとも違うスキルセットが必要なのか?という質問に対しては、プランナーだけでなくデザイナーやプログラマーなど、それぞれのスペシャリストの中で、全体を広く見て判断したい人がディレクターになるのではないか、と山田氏は述べました。

また、プランナーは他の職種に比べ全体を見る機会が多いだけで、プログラマーなど他職種でも全体を俯瞰して見られる機会と意欲さえあれば、ディレクターになれる可能性はあると、松永氏は話しています。

ディレクターとして大事にしたいこと

一般的に大規模プロジェクトでは、プランナーからディレクターになりたての頃は、現場のプランニングの仕事ばかりに集中していると、ディレクションがおろそかになり、プロジェクトが停滞してしまう傾向があるとのこと。「ゲームを完成させる」方向を見据えてアプローチをするのが良いそうです。

ディレクターはゲームの進む道を守りつつ、チームメンバーや実際に遊ぶプレイヤーに対して、一番理解させたい部分だけに手をかけるべきで、その他の部分は思い切って他者に任せるような線引きも必要だと語られました。

描いたゲームの完成形を決してブラさず、必要な部分はディレクターが手を動かして進めていくべきですが、スペシャリストとしてこだわる部分は持ちつつも、ある程度俯瞰して全体を見ることを心がけることがポイントだそうです。

また、ディレクターに至るまでの出自はそれぞれ違うので、その人の能力やカラーを生かし、開発チームが前進するための役割を果たしながら、[su_highlight background=”#fcff99″]「ディレクターとして元気にPJの最後まで存在すること」[/su_highlight]が最も重要だと、全員が口を揃えて話していました。

企画書を大事にする意味

松永氏は自身の業務の進め方について、企画書をとにかく大事にしており、プレイヤーに届けたい本質の部分を変えないために、ゲームが完成するまで、自分の進行方向が間違っていないか、都度確認していると述べました。

さらにその企画書を開発チームのメンバーと共にチェックし、死守して欲しい箇所を再確認することも大切にしているとのことです。これに関しては山田氏も同意見だそうです。

ちなみに本イベントのモデレーターを務めるDeNA佐伯は自身の企画書の作り方について、プレイヤーが実際にゲームを遊んで感想インタビューを受けている場面を想定し、プレイ後にどのような意見が挙がるのか、指標や改善点などを探れるような手法を取っていると話しています。

佐伯嶺 | 株式会社ディー・エヌ・エー
コーエーテクモゲームスを経て、2013年中途入社。『FINAL FANTASY Record Keeper』開発から携わり、運営開始後はディレクターを担当。現在はDeNAのゲーム事業部の企画を統括する部門で副部長を担当。今回のGDMではモデレーターを務める。

テーマその3「ディレクターとして一番面白い部分」

次のテーマは、ひとりのディレクターとしてゲームを作る上で一番面白い部分について。

松永氏は、自分の頭の中のアイデアをチーム全体で共有できたときや、企画書を社内メンバーに共有して現実味について相談しながら、このプロジェクトで進めることができると確信したときが最も面白い時期だと述べました。

山田氏も作品が「これなら大丈夫、イケる!」状態にまで完成形が見えてきた時期が、達成感があって面白いと話しました。

ちなみにゲームが完成した時点は、嬉しいよりもホッとする、救われた気持ちが強くなると2人はうなづいていました。

またディレクションに携わっていると、リリース後のゲームがどのように展開して、どうやってプレイヤーが楽しむのか、ディレクターはある程度イメージできており、プロデューサーとは少し違った目線で状況判断していることも明かされました。

山田倫之氏 | 株式会社カプコン
2001年コーエーテクモゲームスに入社。プログラマからキャリアをスタートし、MMORPGやソーシャルゲームのプランナー、ディレクターを担当。2013年カプコンに入社。スマホアプリのプロデューサー、ディレクターを経て、現在『戦国BASARA バトルパーティー』のディレクターを担当。CEDEC2014~2019、運営委員会プログラムワーキンググループゲームデザイン担当。

テーマその4「ここはしんどい!と思う部分」

今度のテーマは逆にゲームを作る上で大変で苦労する部分について。「楽しい部分以外は、全部ツライです(笑)」と最初に松永氏は笑って話しました。

「孤独」との戦い

孤独感については、ゲームの完成形がディレクターの頭の中にしかない時期や、チームメンバーが増えて規模が大きくなっても、うまくアイデアや企画を共有できないときに感じることがあるようです。

※編集部補足
会話の中に登場する「孤独感」については、イベントの事前インタビューでも深く語っていただきました。以下からご覧ください。

【インタビュー】プロデューサーとの関係値にも変化が!? 現役ディレクター陣に聞く、ゲーム開発現場での本音

ゲームが世の中にリリースされる瞬間まで、開発陣や社内のメンバーに「これって本当に面白いの?」と思われ続けることも、ディレクターが孤独な時期なのかも知れません。

特にマルチプレイ搭載のゲームなどでは、プレイヤーの遊び方について一部のコアメンバーだけが想像できている状況が多く、遊び方の正解や面白さをハッキリと定義するのは難しいようです。

ただ松永氏がプランナーの時代には、周囲のメンバーが「このゲームって面白い?」と疑問に思っていても、全くツラくなかったのは、自身がディレクターという責任者(最終的に判断する人間)ではなかったためではないか、と話しました。

そしてこれまでの要素を総合して「ディレクターはタフで、最後まで生き残っていることが大切」だと共通の答えが出ていたのも印象的でした。

テーマその5「ディレクターの後進育成について」

次のテーマは、社内でのディレクターの育成とキャリア形成について。

ディレクターの定義については「これをやれば必ずディレクターになれる」と判断できる確固たる指標がないため、研修制度などもあまり導入されていないのが現状のようです。

また、いきなりプロジェクト内にディレクターとして業務することは難しいので、チームの中でどのような関わり方をするのか、現場の他の職種の人とのコミュニケーションの仕方によって、成長度合いは変わっていくようです。

ディレクターになりうる適性は「自分の意見はAですが、現在のプレイヤーはBだと感じている」といった複数方向の目線で考え、提案できるような人が向いているのかもしれないことも語られました。

また、猪突猛進型、バランス重視型、多角的な視点を持っているなど、メンバーの得意領域や能力、適性に合わせた役割分担、チームアップやディレクターのサポートが重要だと思われます。

さらに開発全般において、疑問を持つ、興味を常に持つ、好奇心旺盛といった姿勢は今後ディレクターにとって重要な素養になるようです。

テーマその6「これからのディレクターの戦い方」

これまでのディスカッションを踏まえ、最後のテーマとして今後のディレクターの戦い方や、将来必要とされるディレクター像などについて話し合いました。

現在のゲームサービスは、プレイヤーとの距離が昔より近くなり、自分たちが作ったゲームの魅力をどうやって届けるのか、収益を上げ方も含めて、プロデューサーだけでなく、総合的にディレクターが考えるべき責任の領域が大きくなっています。

そこに関して「一人で全部を対応するのは到底無理なので、信頼できるメンバーに自分の不得意な部分を任せて、各個人が責任を負えるような環境でゲームを完成させることが重要です」と松永氏は述べました。

これまで小規模のプロジェクトでの開発では、ソフトウェアやプログラム、デザインの知識が必要でしたが、現在のディレクターには「勝つ」ための要素に集中することが今後必要となるようです。

また、現在DeNAでマネージャーとして働いている山浦が当日来場者として会場に来ており、過去に松永氏と一緒に『チェインクロニクル』を開発していた時、α版の社内審査会の時は、実はサーバとまったく疎通していなかったというのを、サービスイン後に明かされて驚いた、というエピソードが紹介されました。

当時、社内にサーバ開発経験者が少なく、松永氏も実装が難航していたのは危惧していて、審査会の際にサーバが動いていないと、プロジェクト中止もありうると不安だったものの、現場を信じて任せていたら、実は山浦を含めたメンバーが、まるでサーバを介して動いているように見せかけて乗り切って、助けてくれていたことも説明されました。

この出来事にもあるように、ディレクターが何もわからないことを恥じずに、任せられるところは任せて、自分の限界をチームの限界にしてしまわないように、価値を作り上げるのがディレクターの手腕を発揮できる部分であり、醍醐味でもあると松永氏は述べました。

大切なのは、柔軟性

変に自分にこだわりすぎず、他人のセンスや意見を受け入れる姿勢、謙虚さを持つことも今後重要になると山田氏は述べています。その人の表面的な意見だけでなく、その裏側に隠された言葉、自分では理解できない要素を汲み取って形にできるディレクターが、今後必要になると予測できます。

これまで長くディレクターを続けてきても「完璧にディレクターとしてこなせた」と自負できることは全然なかったと山田氏は明かし、「今回うまくできなかった部分を次のチャレンジに活かすなど、自分なりに勉強する、そしてディレクターになることがゴールだと思っていない人が、今後は生き残るのかもしれません」と述べました。

さらに、松永氏が手がけた書籍[su_highlight background=”#fcff99″]『チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方』[/su_highlight]では、ディレクターの手法論だけでなく、開発に関わる話題が赤裸々に書かれており、ディレクターのことを深く知る機会になれば、ゲーム業界全体の底上げになると期待していると話していました。

そして最後に、ディレクター同士で情報交換できるイベントは本当に少なく、お互いのディレクターとしての手法などをもっと共有したいことを話し、実は「ディレクターは孤独じゃない!」とのメッセージで座談会は幕を閉じました。

話題のデザート

今回は、渋谷エリアに新たにオープンしたばかりの「渋谷スクランブルスクエア」の人気スイーツ店(毎日すごい行列!)で話題の、エシレバターをふんだんに使ったサブレサンドをご用意。

取材・文・撮影:細谷亮介

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DeNA主催のゲームクリエイター向け勉強会の【Game Developers Meeting】では、毎月さまざまな職種のゲストを招いて、ゲームクリエイター向けに勉強会や座談会が繰り広げられています。

去る2019年11月29日(金)に開催された「GDM Vol.38」では、ディレクター向けの座談会が実施されました。GeNOM編集部では登壇者に事前インタビューを行う機会を得たので、その内容をお届けします。

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◆参加者紹介

株式会社セガ・インタラクティブ
松永純氏

2002年にSEGAにプランナーとして入社。アーケードゲーム市場にて『三国志大戦』シリーズ、『戦国大戦』シリーズの企画原案、メインゲームデザイン、ディレクションを務める。その後、モバイルゲーム市場で本格RPGジャンルの草分けとなる『チェインクロニクル』を制作。このタイトルでは、企画原案、ゲームデザイン、ディレクションに加えて、キャラクター・世界観設定、シナリオ制作を担当。現在は各モバイルタイトルの総合ディレクションに従事している。CEDEC2019のアワードにて著述賞を受賞。

株式会社カプコン
山田倫之氏

モバイル開発部 MC第二開発室に所属。2001年コーエーテクモゲームスに入社。プログラマからキャリアをスタートし、MMORPGやソーシャルゲームのプランナー、ディレクターを担当。2013年カプコンに入社。スマホアプリのプロデューサー、ディレクターを経て、現在『戦国BASARA バトルパーティー』のディレクターを担当。CEDEC2014~2019、運営委員会プログラムワーキンググループゲームデザイン担当。

株式会社ディー・エヌ・エー
佐伯嶺

コーエーテクモゲームスを経て、2013年中途入社。『FINAL FANTASY Record Keeper』開発から携わり、運営開始後はディレクターを担当。現在はDeNAのゲーム事業部の企画を統括する部門で副部長を担当。
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ディレクターの担うべき領域

今回のインタビューでは、セガ・インタラクティブの松永純氏とカプコンの山田倫之氏に、「GDM Vol.38 ディレクター向け座談会」のテーマを深堀りつつ、GDM本番とは少し違った視点で、ディレクターとしてゲーム開発に携わりながら感じる思いや苦悩、これからのディレクターの在り方などを伺いました。聞き手はイベント本番でモデレーターを務めた、DeNA佐伯嶺です。

終始盛り上がったインタビューでは、DeNA佐伯(写真右)が聞き手となり、
松永氏(写真左)と山田氏(写真中央)が快く質問に答えてくれました。

佐伯嶺(以下、佐伯:それではまず最初に、先日の事前MTG(と言う名の飲み会?)での振り返りをしながら話していきましょう!

山田倫之氏(以下、山田氏:最初は「そもそもディレクターって、どんな立ち位置なんだろう?」というクエスチョンから始まりました。各社・各開発チーム内でもそれぞれ立場が違うため、ディレクターがどんな役割を持っているのか、まずはお互いの認識のすり合わせをしましたね。

松永純氏(以下、松永氏:そうそう。その中で特に楽しかったのは「社内外の垣根を超えたドリームチームを作ろう!」といった話題でした。

佐伯:その話は盛り上がりましたね!

松永氏:ですよね! 現在のゲーム市場の課題なども含めて、最終的にどうすれば自分たちが一番面白いゲームを作れるのかを考えたときに「まずは垣根を超えていこう!」といった話で共感できたのは、非常に嬉しかったですね。

佐伯:未来に向けて、会社の枠組みや垣根も超えたチームで、ゲームを作れたら楽しいですよね。ちなみにゲームを作ること、そして売ることについて、ディレクターとプロデューサーの役割の違いはどのように感じていますか?

松永氏:本質的には同じだと感じています。ゲームはエンタメなので、基本的に面白くなければ売れないですし、その面白さをしっかり設計するのがディレクターで、そのゲームがどうすれば世の中に広まるのかを考えるのがプロデューサーだと思っています。

ただ、昨今ではディレクターのやるべき領域は広がってきており、面白さを伝えることもディレクターの仕事になりつつあるので、昔よりもハッキリとした区別はしづらくなっています。

山田氏:その部分は自分も感じています。「開発チームをまとめるのがディレクター」「ゲーム情報を外部に発信するのがプロデューサー」と役割は区別されていて、本来進むべき方向は違うのですが、[su_highlight background=”#fcff99″]「面白いゲームを作り、プレイヤーに楽しんでもらうこと」[/su_highlight]を大目的として、時代に合わせて両方の目線がどちらの職種にも必要となっているのは、確かだと思います。

佐伯:現在のスマートフォンゲームは、アプリのバージョンアップやアップデートが頻繁に行われますし、作りながら売ることを考えるといった、開発と運営のどちらの知識も必要とされているため、ゲームディレクションの難易度は高くなっていますよね。

松永氏:ええ、担当領域も広くなり、複雑になってきています。

佐伯:そうなると、昔ながらの職人気質なディレクターのように「自分の方針を曲げず、領域だけ守る」スタイルでは、壁にぶつかることも多いと思います。

山田氏:もちろん、そのような思想の人もいまだに現場には多いですし、必要ではあります。ディレクターが中心となって稼働しているプロジェクトでは、実はサポートに強いアシスタントディレクターのような人が側にいることが多いんですよ。

松永氏:そういえば確かに! スケジュール管理やチームをバランス良くまとめる存在は大事ですよね。

佐伯:なるほど。小さなチームで作るプロジェクトでは、ディレクターが「俺が全部やる!」みたいにリーダーシップを発揮していましたが、大規模開発のタイトルが多くなった最近では、ディレクターの得意領域以外の部分は、他の人に任せる運用が増えているということですね。

山田氏:さすがに100人を超える規模の開発チームでは、一人のディレクターにかかる負荷が重くなるので、やるべきことを細分化し、それを信頼できるリーダークラスに任せるのがベターだと思いますよ。

ゲームづくりの面白さを感じる瞬間

佐伯:このあとの本番でもテーマに上がる予定ですが、お二人がゲームを作っていて面白い、ディレクターやってて良かった、と感じるのはどんなときですか?

松永氏:プランニング時のかなり手前の段階にはなりますが、一番良い企画を立てられた瞬間や、全体の設計がまとまったときが、個人的に一番気持ち良いですね。

セガ・インタラクティブ 松永純氏

佐伯:ちなみに、最初に考えた企画をほぼ変えずに、ゲームを作り続けることって可能ですか?

松永氏:ええ、そのまま作り上げるのがディレクターの仕事ですからね。とは言っても開発しながら仕様もシステムも、ガラッと変わってしまうことも良くあります……(笑)。

山田氏:確かに当初の企画通りに作り続けるのは大変ですよね。私は企画を立ち上げて形になり始めて、完成版が見えてきたと判断できる状態を見たとき、ディレクターとして充実した気持ちになります。もちろん、リリース後にプレイヤーさんに「面白かった!」と言ってもらえることも嬉しいですよ。

佐伯:やっぱり作る過程は楽しいですよね。最近のゲーム開発では、売ることを考えつつ、要件に合わせて作ることはかなり難しくなっていますが、その中で自分なりのカラーを表現したり、作りたいものにこだわるための苦労はどんな部分ですか?

山田氏:すべてをバランス良く、納得できる落とし所を見極めるのは、今でも苦労しています。期限を守って中途半端なタイトルをリリースして失敗するより、納期を延ばしてでも、さらにクオリティの高い作品を作りたい信念を、プロデューサーや役員クラスのメンバーに進言することも重要です。

ただ、ディレクターはアーティストではないため、会社に求められているクオリティに対して、一部分が100点満点で、もう一方が50点という結果では説得力がありません。どちらも平均で80点を目指すような、バランス調整は必要だと思いますね。私は比較的バランス型だと思いますよ。

佐伯:特化して一点突破するよりは、バランスを意識しながら取り組むことも考慮しているんですね。

山田氏:そうですね。一方でカプコンには、クオリティを超重視して「絶対に実現したいから、予算と期間を確保して欲しい!」とプロデューサーと熱く議論しているディレクターもいますよ。

そういえば松永さんは現在、会社の役職も兼任してるので、自身の中でジレンマを抱えているように見えますけど……(笑)。

松永氏:そうそう、最近バランスが取れなくて……役職辞めたいな……って(泣)。

山田氏:どうしてもクリエイター側の気持ちが強くなってしまうと(笑)。

松永氏:それもありますし、逆に我慢している自分に気づくことが多くて。チームアップに関しても、自分の思い通りにしようと思えば可能ではありますが、他の運営タイトルに気を使っていると、自分のワガママさが消えていることに気付いてしまい、なんだか複雑な気持ちになったんです……(泣)。

山田氏:やはり部長という肩書のせいで、本人が気軽に発言したことがメンバーには「部長が指示、命令している」ように伝わってしまうのかもしれないですね。

佐伯:部長から「マネージメントされている」ような印象も受けるんでしょうかね。

松永氏:そうかもしれないですね。最近では、役職関係なく気を使わずにコミュニケーションを取ってくれるメンバーと開発することがとても心地いいな、と感じています。

佐伯:リーダーとしてのディレクター、クリエイターとしてのディレクター、と両方の立場を重視しながら、バランスを取るのは難しい局面も多いようですね。

アイデアを共有するまでは孤独?

佐伯:これも本番時にも聞いてみたいのですが、会社の中でディレクターとして孤独を感じるときはありますか?

山田氏:ディレクターだけでなく、プロデューサーも少なからず孤独な部分を持っていると思いますよ。決めることに関しても大勢から意見を聞きつつ、最終的にディレクターが決断するときには、結構勇気が必要です。

残念ながら、チーム全員の意見が完全一致することは少ないので、一人で決めなければならない場面では、孤独を感じるのかもしれません。

カプコン 山田倫之氏

松永氏:ディレクターは開発中でも少し先のことを考えるべきであり、その時点では、自分の頭の中でまとまったイメージは自分だけしか持っていないので、周囲にそれを共有できるまでは、確かに孤独です。完成しても、そのあとの運営でまた、先の計画を考え続けるときに孤独を感じたり。

山田氏:確固たるアイデアを持っているのは、その時点では本人しかいないので、それを共有して賛同してもらう作業を繰り返して、チームの足並みを揃えるまでが大切ですね。

松永氏:そうですよね。自分の中に企画やアイデアがあるだけでは、プロジェクトは成り立たないので、それを関わるメンバーに説明、共有して進行方向が本格的に決まったときが「俺、孤独じゃないんだ!」と安堵できる瞬間と言えるかも知れません。

佐伯:時期によっては「お、今はディレクターが抱えているな!」って周囲が感じるときがありますからね。

山田氏:先ほど松永さんも話していたように、常に半歩先を見ながら、自分だけが持っている情報を整理しつつ、うまく共有してチームをコントロールしていきたいですね。

松永氏:セガの昔ながらの開発現場では、作りながら考えていくカルチャーがあって、企画書もかなり簡潔で、ディレクター自身にもゴールが見えていないことが多かったです。そんな状況だと逆に、実際に現場のメンバーと話し、一緒に悩みながら作り上げていくので、作る楽しさが強い側面がありました。

でも最近では、確固たる完成形をディレクターが持ち、それを随時共有しながら作っていく開発スタイルが多く、ディレクターが必ずボールを持たなくてはならない現場が、大変だとは思いますね。

佐伯:メンバーからスーパーマンのように、すべてを要求されるのはキツイですよ……(笑)。

山田氏:まあそうは言っても、過去の現場では自分たちがディレクターに同じようなことを求めてましたし……(笑)。その立場になってはじめて気付くことも多いですよね。

佐伯:自分もディレクターになったときには「こんなに仲間っていないんだ……想像していたのと違うぞ……」って落胆したときもありました。

松永氏:そんな孤独な時期に、プロデューサーが側にいると、対等に話せて助かることもありますね。

山田氏:ええ、一歩先の話を誰かと共有できることは嬉しいですね。

求められる能力や視座

佐伯:昔のプロデューサーとディレクターの関係性に比べて、最近ではお互いが違う立ち位置が増えてきたため、その部分も孤独感に繋がっているんですかね?

松永氏:もしかしたら分業感が増しているためかもしれません。昔のプロジェクトではプロデューサーとディレクターが1人ずつのチームがメインだったのですが、最近ではプロデューサーだけでなく、ディレクターやPMも複数人が配属されていることが多いです。

同じ役割を持つメンバーが複数になると、必ず真ん中にしっかりと旗を振る人が必要なので、そこで孤独を感じる可能性はありますよね。

佐伯:そういえば昔の開発現場には、PM(プロジェクトマネージャー)って存在していませんでしたよね。私はDeNAに転職してきたときに初めてPMを知ったんですよ。そういった専門性を持つ職種も増えてきましたね。

山田氏:数人で作るチームなら、一人ひとりのスケジュールを確認する必要もないですが、大規模開発では、全体の見方や管理方法も変わってきて、どうしても細部まで見れなくなります。そうなると同じディレクターでも、視点や求められている能力も全く変わってきてしまいますね。

佐伯:本当にそうですね。コンシューマとモバイル、開発の規模感によっても全く違いますからね。育成に関しても、単純に「ディレクターを目指そう」ではなく、過去の経験や将来的なキャリアを描いていくことが重要になりそうです。弊害としては、社内で似たようなディレクターがいなくなることですかね。

松永氏:本当にいないですね~(笑)。プランナーからディレクターに、プログラマーからディレクターになるといった、その人自身がこれまで辿ってきたキャリアによっても違いますし。

ですので目指す道としては[su_highlight background=”#fcff99″]「あの人のようなディレクターを目指すべき」[/su_highlight]と示したほうがわかりやすいのかも知れませんね。

佐伯:それこそ冒頭で話した「垣根を超えるドリームチーム」のように、社内での自分に合うロールに対する疑問や、社外で同じように孤独を感じているディレクターについて、もっと情報交換ができればいいなと思いますね。

山田氏:できれば、そんな取り組みをゲーム業界全体で実現したいですね。

松永氏:本当にそれは大賛成です。クリエイターには、絶対的にその人に合った作り方って存在しますから。ちなみにうちでディレクター報告会とかをすると、どれだけフォーマットを作っても、報告の仕方がバラバラになります(笑)。

そもそもプロジェクトで大切にしていることも違いますし、進め方も違うので、報告内容も変わるのは当然ですよね。でもそれに対して無理に合わせることもなく、それぞれが違うことはむしろ面白いことだと思っています。

山田氏:プロデューサーの場合、予算や売上の報告をする相手は、マネージャークラスの人でもあり、どうしてもその話が中心になりますが、ディレクターは担当タイトルのどの部分の開発が進んでいるのか、というゲーム内部の話になってしまうので、報告の仕方は当然変わりますよね。

佐伯:そのあたりの違いもあって「あの人は果たしてイケてるプロデューサー・ディレクターなのか?」という判断をするのも難しくなっています。前任ではうまく立ち回っていたのに、新規タイトルで失敗してしまったり、マネージメントをする立場での判断も、ディレクターの難易度は上がっている気がします。

山田氏:最近ではディレクターが単独でなんとかできる時代ではないですから。プロデューサーやPM、リーダークラスとの密接なチームワークが大切になっているのではないでしょうか。

『チェインクロニクル』書籍出版の経緯

佐伯:またまた少し話題を変えて。松永さんは書籍「チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方」を執筆していますが、手がけた経緯を教えてもらえますか?

松永氏:書籍に関しては『チェインクロニクル』リリースからしばらくしてすぐ、執筆して欲しいと依頼があり、そこから約5年間も引っ張ってからの出版となってしまいました(笑)。初期の段階だと、話せないことも多くて……。

ただ運営を長く続けていく中、自社でシステムを流用した他のタイトルがリリースされたこともあり、今さら秘密にすることも少ないだろうと、その技術を若い方たちに共有したいと考えて、CEDECでのセッションで発表しつつ、情報を書籍でまとめて出版することになったんです。

山田氏:ディレクターが実際の業務について外部に話してくれることは、とてもありがたいですよ。

佐伯:そうですよね。ちなみに松永さんの書籍は部下やメンバーに「読んでみて」と伝えてないんですか?

松永氏:いや、恥ずかしいのであまり言ってないです(笑)。社内外で買ってくれた方からは声をかけていただきました。チョット提案なんですけど、もし良ければ、他社のゲームディレクターもひとつのタイトルを作りきったら、一冊このような本を書いてくれないですかね(笑)。

山田氏:そうそう! そういう流れができたら楽しいですよね。

松永氏:「分かる分かる! そこって実際大変だよね」といった、ディレクターあるあるや、悩んだり、孤独な部分を共感してほしいんです。

この本を執筆するときに、当初ロジックやメカニクスが中心のネタを考えていたんですが、それだけでは説明しきれなくて、生々しい出来事も書いてみたら、意外と反響が大きくて良かったと思っています。

佐伯:このような本がどんどん出版されれば、もっと体系化されて、ゲーム業界全体が引き上がっていくと思いますよ。

松永氏:自分も同じ意見ですね。プランナーに関する書籍は少しずつ増えているのですが、ディレクション領域に関しての書籍はほとんど販売されていないので、もう少し他のディレクターの経験論が外部に発表されると嬉しいですよね。

山田氏:本当にそう思います。世の中には多種多様なゲームディレクターがいるので、未知のディレクション手法を知ることもできますし。

佐伯:実はディレクター同士の飲み会の席でも、あまり仕事について話さないんですよね(笑)。外部メディアでは、プロデューサーのインタビューは多いんですけど、ディレクターは少なくて……。

山田氏:その原因は、ディレクターは「これが正解だ!」と思って仕事してるので、他の人から見て変わっていると気付かないからではないでしょうか(笑)。

進化する技術に合わせた遊び方を追求

佐伯:お二人とも、コンシューマ開発の経験も豊富だと思いますが、コンシューマとモバイルのゲーム開発の違いに関して思うことはありますか?

山田氏:現在ではコンシューマでもパッチやDLCなど、オンライン接続が必須なコンテンツも増えています。また、端末の性能が上がり、モバイル向けでも高クオリティのゲームが増えているので、近い将来のゲームの姿は「プラットフォームが違うだけ」のスタイルになっていくのではないでしょうか。

佐伯:確かにモバイルゲームも、以前はスピーディーに開発できたのに、現在ではコンシューマと変わらないくらいの開発規模で時間やコストも膨大になってきていますよね。

山田氏:ええ。タイトルの供給が増えれば、当然プレイヤーの目も肥え、ただポチポチするだけのゲームに飽きてくるため、求められているクオリティはどんどん上がっています。

松永氏:そうやって徐々に開発コストが膨らんでいく中で「何を本当に表現したいのか、何をプレイヤーに届けたいのか」といった絶対に揺らいではいけない部分も、当然変わってきていると考えられますね。

山田氏:その状況で「ハードの性能に合わせてグラフィックが良い」だけのゲームに留まらず、ユニークなアイデア勝負のゲームが生まれてきたりと、進化の方向は決してひとつではないと感じます。

佐伯:本当にそう思います。それでは最後に、今後作ってみたいゲームはどんなものか教えてください。

山田氏:私はじっくりと頭を使うゲームを作りたいですね。

松永氏:私はやっぱりRPGかな。今後もゲームの形が似通って、プラットフォームの区別なく混在していく中でも、一番楽しい遊び方を追求していきたいですね。

山田氏:スマホって普段ずっと持ち歩いている身近なデバイスなので、生活の一部に溶け込むようなRPGとか面白そうですね。

佐伯:最近ではスマホの特徴を生かしたタイトルも出てきていますよね。過去に私は、主人公が自分の体調と連動していて、血圧や血糖値を図りつつ、太っているとデバフがかかるような企画を考えたこともありましたね(ボツになりましたが)。

松永氏:それはなかなかユニークですね! その時代の技術に合わせて作れるゲーム開発はやはり面白いですよ。いつまでも飽きないですしね。

山田氏:技術もどんどん進化していくので、ゲーム開発の将来がとても楽しみですね。

佐伯:ありがとうございました。それでは本番に向かいましょう!

【イベントレポ】令和時代を生き抜くゲームディレクター談義:歴戦ディレクターの「これまで」と「これから」

取材・文・撮影:細谷亮介

『キン肉マン マッスルショット』4周年運用うら話〜初代&二代目が語る! 幾多のピンチはこうして乗り越えた〜

『キン肉マン マッスルショット』は、超人同士のリアルタイム協力バトルが楽しめるアクションRPGとして2015年3月にリリースされ、今年で4周年を迎えました。今回、初代プロデューサー小林、初代ディレクター黒住、二代目プロデューサー高橋、二代目ディレクター谷口に、タイトルリリース後から現在に至るまでの運用うら話など、これまでの4年間の軌跡を振り返ってもらいました。

歴代プロデューサー、ディレクターにインタビュー

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Profile

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

小林 繁議|株式会社ディー・エヌ・エー
初代プロデューサー。2006年にDeNA入社。入社後はモバゲー、モバオクを経てゲーム事業部へ。現在は新規タイトルのプロデューサーとして奮闘中。
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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

黒住 豊|株式会社ディー・エヌ・エー
初代ディレクター。家庭用ゲーム機向けの開発会社、スタートアップでのアプリ開発を経て2013年にDeNA入社。『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリースの2ヶ月後にジョイン。[/su_column][/su_row]

[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]

髙橋 翔吾|株式会社ディー・エヌ・エー
二代目プロデューサー。ゲーム開発会社にて家庭用ゲーム機やモバイルゲーム開発に携わり、2011年にDeNA入社。『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリースの1年半後にジョイン。社内では「ごりさん」と呼ばれている。[/su_column][/su_row]

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谷口 敢一|株式会社ディー・エヌ・エー
二代目ディレクター。ソーシャルゲームのエンジニアを経て、2016年にDeNA入社。自社タイトルのプランナーを経て、『キン肉マン マッスルショット』にはタイトルリリース後の3年目にジョイン。[/su_column][/su_row]

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1年目:CM放送を目指し、泥臭くもがいた苦戦の日々

―― 『キン肉マン マッスルショット』は2015年3月に正式リリースとなりましたが、改めて振り返ると1年目はどのような状況だったのでしょうか?

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小林(以下、しげさん):『キン肉マン マッスルショット』は、マーケティングやプロモーションをDeNAが担当し、開発と運営をカヤックさんが担当する座組みのタイトルとなります。

当時のDeNAにはアプリゲームの開発経験がまだまだ少なかったため、開発を外部のパートナー企業様に依頼させていただいてスタートしました。[/su_column][/su_row]

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黒住当時はDeNAとしても開発は手探りな状態だったため、リリースを優先し、そこからプレイヤーの声などを聞きながら改修を進めていきました。社内には、アプリゲームの運営ノウハウが今ほどなかったので「まずはやってみよう!」ということが多かったんです。[/su_column][/su_row]

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しげさんそのような理由で、最初の1年は私たちの運営の至らなさから、プレイヤーの皆さんにはご迷惑をおかけしたこともあったと思います。

そんな中でも、「CM放送をしたい」という目標をリリース前からチームみんなで持っており、CMを実現させるためにとにかくKPI達成を目指して改修を進めていきました。[/su_column][/su_row]

―― 具体的にはどのような不具合や課題があり、改修を進めていったのですか?

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しげさんゲームプレイの継続率が最初の大きな課題でした。一回遊んでくれたプレイヤーが、また次も遊ぼうと思っていただけなかったんですね。

ただ、その主な理由は「ゲームのローディング時間が長すぎること」だと感じていたので、その解消に向けてカヤックさんと一緒に、改善方法を話し合いながらシューティングしていきました。[/su_column][/su_row]

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黒住ローディング時間の問題以外にも、いろいろ試行錯誤の毎日でした。現在の『キン肉マン マッスルショット』はゲーム内コンテンツが充実していますが、当時はバトルのバリエーションも少なく、イベントのお知らせも十分にできていない、という状態でした。

そのため、プレイヤーにとっての「遊びやすさ」はまだまだ満足のいくものではありませんでした。お知らせの自動化やSNS運用フロー見直し、機能改善など細々と改善を続け、徐々にゲームを遊べる環境を改善していったことが、CM放送前までに手がけたことです。[/su_column][/su_row]

―― そのとき、DeNA側の人員はどれくらいだったのですか?

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しげさん当時は少数精鋭でしたね。DeNA側のタイトル運営チームは4人の固定メンバーでクイックに改善を進めていきました。人数が多くないのでやりやすかったと思います。

ゲーム内でこまめに定点アンケートも実施して、プレイヤーの声も聞きながら、どの部分が課題なのかも詰めていきました。分析の専門メンバーが参加したのは、だいぶ後でしたね。[/su_column][/su_row]

2年目:座組を超えた越境で、遂にCM実現

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しげさん1年目の後半から2年目にかけて、DeNAとカヤックさんの関係性に変化が出てきました。リリース当初は、DeNAはマーケティングやプロモーションを担当する座組みでしたので、ゲーム開発現場とは一定の距離がありました。

このあたりの体制を含めた課題は、カヤックさんも認識されていて、この頃からプレイヤーの満足度を最大化するためにはどうするか、座組みを超えて頻繁に話し合いを行うようになりました。[/su_column][/su_row]

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黒住私たちがカヤックさんに訪問して、バトルの企画を作ったり、キャラ設計の担当の方とMTGを繰り返し、その場で設計してもらったりしていました。それこそ、リリース直前まで調整を続けて、ギリギリまで粘って考えてましたね。

「もっとこうしたい!」と積極的に提案もしましたし、カヤックさんからも「こういう施策をやりましょう」とアイデアも出していただき、そこから落としどころを探っていきました。当時はこのようなやり方がメインだったと思います。[/su_column][/su_row]

―― 座組みにも変化が起こり、その中でKPIを達成できた。そしてリリース翌年にCMが放送されたんですよね。

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しげさんそうですね、リリース後からCM放送までのマイルストーンを半年スパンで設計し、そこに向けてのひとつひとつのKPIをクリアし、最終的には「この状態まで改善できれば、CM放送をやりましょう!」というプランを練って社内で承認を取りました。そしてリリース翌年のGWに無事に実現することができたんです。

そしてCM放送後は多くのキン肉マンファンに『キン肉マン マッスルショット』を知っていただき、そこからたくさんの方に楽しんでいただきました。また当初の継続率の課題も、改修を重ねてきたことで改善することができました。

このようにして、各KPIも順調にクリアすることができ、自分たちもとてもテンションが上がりました。この頃から、DeNA社内でも「あのタイトルは面白い!凄いらしいぞ!」と注目を集めた時期ですね!
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黒住ゲームに対してプレイヤーの評価も目に見えて上がるようになり、カヤックさんとさらに協力して開発に力を入れるようになりました。

この頃のプレイヤーからの評価を維持するためにも、機能の追加開発や改修、超人のリリースを加速させようと、カヤックさんには人員増加などの体制を変えていただきました。CM放送後は、このような体制づくりを積極的にやっていたことが多かったですね。[/su_column][/su_row]

―― 二代目プロデューサーである髙橋さんはその頃くらいにジョインしたんですよね?

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髙橋(以下、ごりさん):そうですね、リリースして1年半経った8月にジョインしました。当時はプロデューサーというポジションではなく、メインはプランナーだったのですが、実際には「何でも屋」でしたね。[/su_column][/su_row]

3年目:プロデューサー交代、そして大きな体制変更

―― 3年目に突入し、プロデューサー交代となりますが、その背景を教えてください。

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しげさんメンバーを入れ替えることで、組織をリフレッシュする必要はあると思います。あと私が今後も別の新規タイトルをゼロから生み出していく必要があったため、このタイミングで交代の判断をしました。

ごりさんはプロデューサー志向が強く、黒住さんはディレクター志向だったので、ごりさんに必然的にお任せした感じです。
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―― ごりさんはプロデューサーになってから、何か意気込みあったのでしょうか?

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ごりさん「全盛期は俺がつくる!」と強く思いましたね。ここでさらに押し上げていかないと、このチームに参加した意味がないな、と。
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しげさん当時の『キン肉マン マッスルショット』のダウンロード数は、ある時期から伸び悩み、新規プレイヤー数の拡大はひとつの課題でした。

CM放送も2回実施し、ゲームを楽しんでくれるプレイヤー層へのリーチは、一定のレベルに到達した感じがありました。その中で、3年目は1〜2年目とは違った課題も出てくるでしょうし、そんな中での交代でしたね。
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ごりさんでもそんなに大変さは感じなかったですよ。僕は外のチームからきたので、それまでの『キン肉マン マッスルショット』とは違った運営をしようと考えていました。これまでの経験をフルに発揮しようと!
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―― ごりさんの前職はゲーム開発会社だそうですが、そこでは何をやっていたのですか?

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ごりさんPCのFlashゲームや家庭用ゲーム機、アーケードからモバイルゲームのアプリなど、様々なプラットフォームに対応したゲームのプロデューサーやディレクター、プランナーを経験してきました。

前職では本当にいろんな経験をしていて、実はゲームの広報やマーケティングを担当していたこともあったんです(笑)。

そんな風に、開発部門だけではなく、ゲーム運営における仕事を一通り経験しているつもりなので、現在の『キン肉マン マッスルショット』には今までのノウハウが最大限活かせていると自負しています。[/su_column][/su_row]

―― オールラウンダーとして様々な経験を積んできたのですね! ちなみにプロデューサーに交代してこの時期は、どんな運営を心掛けていたのでしょうか?

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ごりさんとにかくプレイヤーにどうすれば喜んでもらえるか、を徹底的に考えて実行しました。惜しみなくサービスをプレイヤーに提供するためにも、カヤックさんにはこれまで以上に関係性を向上していこうと試みました。[/su_column][/su_row]

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谷口いろいろ踏み込みましたよね(笑)。[/su_column][/su_row]

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ごりさん2年目あたりで、カヤックさんとの距離を縮めていった話がありましたが、僕がプロデューサーになってからはさらに縮めていったと思います。いろいろゲームに対する要望なども話させていただきました。このあたりは前職でのコミュニケーション方法の経験が活きているのかもしれません。[/su_column][/su_row]

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谷口私もカヤックさんのオフィスがある鎌倉にもよく行って、何度も打ち合わせを重ね、どうやったらもっとプレイヤーに喜んでもらえるかを一緒に考えていきました。

自分たちも向こうに介入しますし、カヤックさんもこちら側のマーケティング施策にも意見を言ってくれます。開発の現場は、一緒に作っている感がすごくあって、雰囲気も良いですね。[/su_column][/su_row]

―― 2年目は泥臭く開発を進めていた話がありましたが、3年目の開発のやり方に工夫や体制に変化はありましたか?

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谷口はい、今は1年先のスケジュールまで、マイルストーンをしっかりと設計するようにしています。

運営が長引くとゲーム内のコンテンツも増えていきますし、運用コストだけでなく、新たにやるべきことも増えていきます。いつまでも同じやり方では通用しないので、人員も増えていく中で手法は常に工夫して変えています。[/su_column][/su_row]

―― だいぶ洗練されてきたイメージがありますね。DeNAの中でもチームの人数にどんな変化があったのでしょうか?

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ごりさん3年目を迎えてすごくメンバーが増えました。ディレクターやアシスタント、マーケター、アナリスト、コミュニティマネージャーなどが新たにチームに加わり、できることも一気に増えました。[/su_column][/su_row]

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谷口人が増えてきたので、社内の運営体制もそれに合わせてどんどん変えていきました。たとえば、一度に多くのメンバーのタスク状況やスケジュールを共有する仕組み(開発ツールの導入など)を取り入れたり、会議体も工夫して各メンバーに情報漏れがないようにするなど、社内のコミュニケーションは大事にしてきました。

さらに、前職でのエンジニア時代の経験を活かして、人力でやると手間がかかる作業を効率化するツールを自分で作ったりもしています。[/su_column][/su_row]

―― 3年目はプロデューサー交代や、人員増加とかいろいろあったのですね!

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ごりさんそうですね、リリース時からタイトルを支えてくれた黒住さんもこの頃に抜け、一方で谷口さんが二代目ディレクターとしてジョインしてもらうなど、チーム総とっかえみたいな感じでした(笑)[/su_column][/su_row]

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谷口確かにその時期は、DeNA側だけでなく、カヤックさんもメンバーの入れ替わりと人員増加がありましたね。

自分はDeNAに入社してすぐオリジナルタイトルのキャンペーンプランナーとして、イベント周りの企画を担当していました。ですが、さらにゲーム全体のディレクションにチャレンジしたいと思って、『キン肉マン マッスルショット』チームに異動してきた経緯があります。

そうやってチーム編成も変化していった3年目から、さらに新しい『キン肉マン マッスルショット』を作っていくフェーズに突入した感じです。
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4年目:コミュニティへの取り組み、そこで得られた手応え

プレイヤーに喜んでもらえるコトに全力投球!

―― 4年目を迎え、思い出に残っているエピソードはありますか?

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谷口3周年イベントで実施した「無料33連ガチャ」は思い出深いです。このようなガチャは今までにやったことないレベルでの大出血チャレンジでした。

さらにもっとプレイヤーに喜んでもらうため、★5超人が3体以上必ず出現し、さらにマッスルショット総選挙で輩出されたキャラの中から1体確定というおまけも付けました。[/su_column][/su_row]

 

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谷口4年目を迎えると、実装されている超人の数がかなり増えているので、なかなかプレイヤーが希望の超人を入手しにくくなっていた課題もあったんです。

この「33連ガチャ」ではプレイヤーの皆様に選んでいただいた人気のラインナップの中から確定で1体排出とし、かつ無料で手に入るという内容でしたので、本当に多くのプレイヤーの皆さんに喜んでいただけたと思っています。[/su_column][/su_row]

―― 企画の案出しから決定までは、どのくらいですか?

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谷口大体、企画の案出しから決定までは2週間くらいです。このキャンペーンに関しては、DeNA社内で企画を詰めて、その後カヤックさんと企画の内容をすり合わせていく流れです。

ステークホルダーが多いので、全員がきちんと納得してもらえるようなコミュニケーションを心掛けています。[/su_column][/su_row]

―― この座組みで2週間は早いほうですね。スピード感を大事にしながらプレイヤーに喜んでもらう施策を考え抜いているんですね。ちなみに体制変更後、何かピンチだったエピソードはありますか?

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ごりさんそうですね、2019年2月9日にキン肉マン40周年記念イベント「キン肉マンカーニバル2019」というイベントが開催されたんです。

そのイベントでは会場で、GPS機能を使って限定超人をプレゼントするという企画を実施したのですが、そこにトラブルがあり……。[/su_column][/su_row]

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谷口会場がまさかの「圏外」で、GPSが使えないという事態になってしまったんです……。

そのため、イベントに来てくださったプレイヤーが限定超人を入手できなくなってしまいました。そこで、急いで公式Twitterで状況をお知らせしたりなど対応をしましたが、本当にあの時は申し訳なかったです。

しかし、緊急事態のためのバックアッププランはいくつも綿密に用意はしていました。GPSを経由しない入手方法も用意していたため、何とかプレイヤーに限定超人をお届けすることができました。[/su_column][/su_row]

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ごりさん当初の案内とは異なるカタチでのプレゼントとなってしまいました。当日楽しみにして来ていただいたプレイヤーの皆さまには、本当に申し訳なかったです。[/su_column][/su_row]

―― なるほど、当日は何が起きるか分からない中、様々なバックアッププランを用意しておくのは大事ですね……。他にこのイベントではどのような施策をやられたのですか?

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谷口キン肉マンのタトゥーシールも無料で1,000枚配布させていただきました。皆さん喜んで手にとっていただき、あっという間にシールが無くなったんですよ。[/su_column][/su_row]

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谷口このシールは、タトゥーシールなので汗をかいても剥がれないんです。当日のアーティストのライブ時には何名かの方が「肉」マークをおでこに貼っていただいるのを見かけて嬉しかったですよ。SNSにも投稿してくださって、イベント全体もとても盛り上がりました。[/su_column][/su_row]

リアルイベントで大切にしている、手作り感

―― 『キン肉マン マッスルショット』はリアルイベントを大事にしている印象が強いですが、いかがでしょうか?

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谷口そう思います。うちのチームって、リアルイベントに手作り感があるのが特徴だと思います。外部のイベント会社さんにお願いするのではなく、自分たちで企画して、当日の小道具とかも自分らで工作したりして、学園祭の前日みたいな雰囲気がありますよね。
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黒住そうそう、イベント当日に配布する用紙とか自分たちで買ってきて、それをみんなでハサミで切ってたりしてたね。

あと、会場をおさえるためにプロデューサーがめちゃくちゃ電話してました。当時、しげさんに「電話ばかりしてないで、ちゃんと仕事してくださいよー」って言ったら、「これが仕事だ!」って(笑)。[/su_column][/su_row]

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しげさんそう、いっぱい電話しました。会場が空いてなくて(笑)。1〜2年目のとき、実はCM放送以外にもリアルイベントやコラボ(※1)もやりたかったので、実現できてよかったと思います。
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<編集部注釈(※1)>
2016年7月にはリアルイベント「キン肉マンの日火事場の延長戦!Muscle Summer Festival(M・S・F)」を開催し、翌年以降も定期的にリアルイベントを開催している。

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ごりさん最初の1〜2年目の運営は完全に社内のメンバーだけでしたね! 僕ら以外に、社内のほかの部署から有志を集めたりして、全部自分たちで運営しました。

今でもはっきりと覚えているんですが、僕がこのチームに異動してきた初日がリアルイベントの開催日で、キン肉マンの等身大人形を抱えて渋谷のセンター街を歩いたりしました(笑)。[/su_column][/su_row]

―― DeNAの運営する各ゲームでは、リアルイベントが活発に行われている印象もあります。『キン肉マン マッスルショット』はその先駆けだったのでしょうか?

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ごりさん今思えば、そうだと思います。DeNA社内にリアルイベントの存在がなんとなく広がったのは、『キン肉マン マッスルショット』が最初かも知れません。僕も最初は「リアルイベントって何?」って思っていました。なんでゲームのイベントで人が集まるのかと疑問を持っていたんです。

でもリアルイベントに初めて実際に参加したときに、思った以上にゲームに熱狂してくれているプレイヤーがたくさん来ていて、すごく驚きました。開始前には長蛇の列もできて、めちゃめちゃ嬉しくなりましたね。
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黒住リアルイベントのおかげで、プレイヤーの熱量を直接感じられるようになりましたよね。リアルイベントで実際にプレイヤーの声を聞きつつ、それをゲームの中身に反映させていくサイクルも、この頃から始まったんじゃないでしょうか。
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ごりさんそうですね。運営が長期化するタイトルが世の中にたくさん出てくる中、いかにプレイヤーの皆さんにずっと楽しんでいただくかを考えた時、熱量を維持することができるコミュニティ運営の重要性が、だんだんと見え始めてきた時期なのかもしれません。

何より、プレイヤーの熱量をダイレクトに感じられる環境で僕らもテンションがドンドン上がるので、定期的にやりたくなっちゃうんですよね。もっと喜んでもらいたいって!
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―― そして昨年の「海の家」も?

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ごりさんCM放送などとは違ったアプローチを考えていたときに「海の家」の話題が社内に挙がっていて、実施することになりました。

オリジナルの食事メニューを用意したり、ゆでたまご先生が来てくださったり、本当に盛り上がったと思います。
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―― やはりコミュニテイの力を重視しているのでしょうか?

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ごりさん去年はまさにそういうフェーズでした。『キン肉マン マッスルショット』を遊んでくださるプレイヤーは、往年のキン肉マン世代だけでなく、親子世代、そして現在も連載は続いているので、最近ファンになられたプレイヤーなど様々です。

4年目以降はプレイヤーとの直接的なコミュニケーションを増やし、どういうニーズがあるのか、そして何を期待されているのかを受け取って、さらにその期待値以上のものを実現していければと思います。
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5年目:版元との関係性、そして今後の決意

―― リアルイベントでは、ゆでたまご先生も来場されているシーンをよく見かけます。4周年を迎え、版元との関係はどのような変化があったのでしょうか?

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しげさん最初から関係性はすごい良かったと思います。もともと「キン肉マンの日」というのが29日の金曜日に当たる日(金29=きんにく)にあって、『キン肉マン マッスルショット』をリリースする前は、別のコミュニティでキン肉マンを盛り上げていました。

そのようなキン肉マンファミリーの中で、スマホゲームの『キン肉マン マッスルショット』は新参者なので、ゲームがキン肉マンファンに喜んでいただけるのか、コミュニティを盛り上げることはできるのかな、など多くの不安は消えませんでした。

でも実際には、『キン肉マン マッスルショット』をきっかけにし、たくさんのキン肉マンファンに盛り上がっていただくことができました。その後も、私たちの企画にはゆでたまご先生を含め、多くの関係者の方にも喜んでいただき、リアルイベントにも何回も来てくださっています。
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ごりさん長期運営を続けていくことで、ゲーム自体の中身もより良くなっています。開発や運用体制もいい意味で安定し、ゆでたまご先生や出版社の皆さんと「これからも協力して盛り上げていこう!」という雰囲気にもつながっていますね。

そして今年は「キン肉マン」原作40周年で、『キン肉マン マッスルショット』も4周年という節目の年になります。特に4周年イベントでは、昨年以上の期待に応えられるように、たくさんのネタを仕込みました。

とにかく今は、プレイヤーの皆さん、そしてキン肉マンのファンの皆さんに喜んでもらうことに集中したいですね。ぶっちゃけ、ビジネスとか関係なく(笑)。
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谷口そうですね、 僕もめちゃめちゃ気合い入れてがんばっていきますよ!

今回の4周年のリアルイベント(2019年3月29日開催)では中井先生も来ていただき、ゆでたまご両先生が揃った初のイベントになりました。これからも「キン肉マン」をどんどん盛り上げていきたいですね![/su_column][/su_row]

[su_button url=”http://muscleshot.jp/anniversary/4th/” target=”blank” style=”soft” background=”#BB0311″ size=”6″ center=”yes”]【4周年記念特設サイト】
キン肉マン マッスルショット[/su_button]

――5年目は、どのようなデライト(喜び)をプレイヤーに届けていきたいと考えていますか?

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ごりさん私がプロデューサーに就任した後、ゲーム内外で不手際もいろいろあったと思います。そしてまだまだ実現できていないことも多く、正直プレイヤーの皆さんにご迷惑をおかけしたと思っています。

ですので、5年目は今まで達成できていないことを実現する年にしていきたいですね。『キン肉マン マッスルショット』だけでなく、キン肉マンというIPがさらに盛り上がっていくことが、僕らの目指したいこと。そこを目指していかないと、僕らの仕事には意味がないと考えています。
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谷口このゲームがここまで続いたのは、プレイヤー一人ひとりのキン肉マンへの愛があってこそだと思います。

ゲームを運営している中、ときにはプレイヤーの皆さんからお叱りをいただくこともありますが、新しい超人をリリースして「いいね!」とか「次はあの超人を出してほしい」などご意見をいただき、キン肉マンへの愛をとても感じています。

今後リリースしていく際に、プレイヤーの期待を裏切らないようにすることと、作品に対する愛を裏切らないように安定したサービスを提供したいと思っています。そしてそれ以上に、プレイヤーに驚きと感動を継続して提供していきたいと日々考えています。
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以上、『キン肉マン マッスルショット』チームのこれまでの軌跡と、これからの想いをお伝えしました。

苦戦してきた1年目からCM放映をきっかけに、ここまでどのように成長してきたのか、チームの熱い気持ちと「キン肉マン」に対する深い愛を感じられるインタビューとなりました。

今後、ゲーム内施策はもちろん、リアルイベントなどでも驚きのアイデアでプレイヤーをさらに喜ばせてくれることを、今後も期待したいと思います!

インタビュー後日、オフィスの隅でリアルイベントの準備(封入作業)をしている様子
(撮影:GeNOM編集部)

■公式サイト
https://muscleshot.jp/

©ゆでたまご/©COPRO/©DeNA

※本記事は2019年3月時点での情報です。

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitter アカウントにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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『FFRK』4周年開発秘話! DeNA開発チームが乗り切った新機能実装までの道のりとは?

FFRK開発チームにインタビュー

スクウェア・エニックスとDeNAが開発・運営中のiOS/Android用RPG『FINAL FANTASY Record Keeper』(以下、FFRK)は、2018年9月に4周年を迎え、新たにさまざまな機能が追加されました。今回は、2つの新機能『マギアクリスタル』と『記憶の神器』が、どのように開発されてきたのか、リリースまでの裏話をDeNA開発チームにインタビューしました。

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Profile

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杉原健太郎
DeNAに入社後、ゲーム事業部の新規タイトル開発チームでアシスタントプロデューサーなどを経験。FFRKではプランナーを経て、現在はディレクターを担当している。
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[su_row][su_column size=”1/5″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”4/5″ center=”no” class=””]

中尾亮介
FFRK開発ディレクター。IT系企業でPC/スマホのゲーム開発・運営に携わった後、2013年にDeNAへ入社。FFRKでは、『レコードダンジョン』の開発を担当後、開発ディレクターに
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[su_row][su_column size=”1/5″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”4/5″ center=”no” class=””]

土井将之
ゲームメーカー、IT系企業でコンシューマーゲーム/ソーシャルゲームなどの開発・運営に携わった後、DeNAへ入社。FFRKでは、イベント運用オーナーを経て、新機能開発チームのプランナーとして『記憶の神器』などを担当[/su_column][/su_row]

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鈴木穂高
ゲームメーカーでのコンシューマーゲーム/ソーシャルゲームなどのプランナーを経て、DeNAへ入社。FFRKではイベント運用オーナーを担当した後、現在は新機能開発チームで『マギアクリスタル』など担当
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FFRK4年目の課題は、
成長要素を感じられるコンテンツ

――今年で4周年を迎えた『FFRK』ですが、注目の新機能である『マギアクリスタル』と『記憶の神器』はどういったものなのか教えていただけますか。

開発ディレクター 中尾

中尾:まず開発の背景からお話させていただくと、FFRKの今後の運営を考えた上で、新しい成長要素が必要という課題がありました。4年間続けてきた現在、プレイヤーのアクティビティに対して、劇的な成長体験がしづらくなっています。

RPGにおいて、英雄を強くして敵を倒していく成長実感や達成感は必要。そこで、プレイヤーのアクティビティにおけるさらなる成長要素として、英雄とその装備に着目して作ったのが、『マギアクリスタル』と『記憶の神器』です。

[su_highlight background=”#99eaff”]マギアクリスタル[/su_highlight]は、最高レベルのLV99以降でも、英雄を自分好みに強くしていけるというのがコンセプトです。新たな経験値を入手してマギアクリスタルを強化し、属性や攻撃力など自分好みのステータスを高めることができる機能です。

[su_highlight background=”#f5ff99″]記憶の神器[/su_highlight]は、今までの装備と異なる強力な新しい武器です。強化に時間がかかりますが、一定レベルを超えると、既存装備を超えるパラメーターになります。

FFRKでは、剣や刀、杖など12種類の武器があるのですが、記憶の神器も、『FINAL FANTASY』の各シリーズごとに用意されています。まずは、自分の好きなFFのシリーズや、お気に入りの英雄が装備できる記憶の神器から入手して、じっくりゲームを遊びながら強くしてもらうのが遊び方の趣旨です。

――すでにレベルがカンストしたプレイヤーも多い中、いろいろな意見や要望も多いかと思いますが、今回の新機能については、どのような背景で開発が始まったのでしょうか。

ディレクター 杉原

杉原:プレイヤーの皆様からたくさんのご意見をいただいていますが、開発メンバーも1プレイヤーとして遊んでいるときに「育てる楽しさがなくなっているな……」というのが課題としてありました。

やはり、RPGの楽しさのひとつは「キャラクターを育てる」ということだと思います。「キャラクターを育てるためにレベル上げしていたはずなのに、いつの間にかレベル上げ自体が楽しくなっていた」ということを経験された方も多いと思いますが、FFRKではその感覚がなくなってきていると感じていました。そこで、ゲーム性を高めるために必要だということで、今回の開発に至りました。

『FF』の世界観をモチーフに、
『FFRK』らしさをつくり上げる

――なるほど。こうした新しい要素をつくる際、『FF』という日本を代表するようなIPであることから、特に心がけた点やこだわった点はどんなところでしょうか。

プランナー 土井

土井:記憶の神器は、『ファイナルファンタジーV』に登場した伝説の武器が眠る『封印城クーザー』を発想の原点として作っています。FFRKの中で封印城のようなコンテンツをどう表現するかという点にこだわりました。

デザイン面での話をすると、当初はそれぞれの武器アイコンを台座に載せるというシンプルなものにしていたのですが、よりFFらしさを出したいと考え、ジョブキャラというFFになじみの深いキャラクターをモチーフに、各武器のイメージと紐付くジョブキャラの石像を並べるという形式に変更しました。

また苦労した点は、各12種の武器種にそれぞれ全シリーズの武器を用意する必要があったため、100種類を超える大量の武器をどうUIデザインとして綺麗に見せるかというところです。
目的の武器を迷わず探せるよう、入り口で12種類の武器種を並べ、その先で各シリーズの武器を一つ一つスライドやリストで眺めることができるという見せ方に落とし込みました

プランナー 鈴木

鈴木:マギアクリスタルに関しては、FFらしい成長要素を盛り込むことと、FFRKのたくさんの英雄を最大限愛でられることにフォーカスしたいと思いました。プレイヤーが英雄を自分好みに強化できるという要素は、これまでのFFRKにはありませんでした。

また、FFらしさとしてクリスタルをモチーフにしたコンテンツをつくりたいというところも着眼点でした。操作して面白いだけではなく、眺めていても楽しいものが出せればと思っていましたので、演出面でも英雄がちょっとしたアクションをするといった細かい仕様を重視しました。

――属性やステータスの強化というと、調整が難しい部分かと思いますが、いかがでしたか。

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鈴木:マギアクリスタルに関しては、そこが一番苦労したところですね。4周年の新要素として、『覚醒奥義』というものすごく強い必殺技が出て、さらに記憶の神器でも今までにない強力な装備が出たため、4周年を境に英雄がかなり強化されるようになりました。

そのなかで、運用チームや開発チームで横断的に話し合いをして、どれだけ強くするのか、今後はどのように戦っていくのかといったことを徹底的に考えました。

そういった過程を経て、プレイヤーに納得いただけるようなバランスへと落とし込んでいきつつ、ボスが弱くなったり、今まで成長させてきたことが無駄になったりしないよう心がけました。[/su_column][/su_row]

――FFのモチーフがあったとはいえ、これらのコンテンツを1からつくっていくのは大変だったかと思いますが、企画していく際の工夫などはあるのでしょうか。

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土井:その企画で「何を達成するのか」という目的をまず明確にするのが大事だと思います。そこをスタートとして様々なアイデアを出し、このアイデアならこの目的を達成できる、この課題を解決できる、という風にプロジェクトを進めていきました。

記憶の神器では、プレイヤーの持ち物が多くなり、倉庫が圧迫されストレスになっていることの解消や、アクティビティで1段階強くなる要素を増やしたい、といったことを考え、アイデアを出していきました。
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鈴木マギアクリスタルは育成というテーマで、早い段階でやりたいものの案は出していました。そのなかで、FFにあったモチーフを積極的に取り入れていきたいと思っていました。

また、今までになかった要素として、好きな英雄がレベルカンストした後もダンジョンに連れていきたい、とプレイヤーに思ってもらえるようになればなと。いろいろなダンジョンに行くことでまた成長感が得られ、さらに昔懐かしいRPGらしさも出せれば、と考えていました。[/su_column][/su_row]

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杉原:プロジェクトを始める際には、運営上の課題の解消も考えていますが、最近は「どんなプレイヤーに、どんなことを思ってほしいのか」という、主語をプレイヤーにすることを意識しています。

今回の新機能ではそれを踏まえて、FFらしさや、FFRKとはどうあるべきかということを二人がしっかり考えてくれたので、いいものが出せたと思います。[/su_column][/su_row]

間に合わない機能は有志がつくった!?

――今回の新機能は、企画から実装までどれぐらいの開発期間がかかったのでしょうか。ゴールは、4周年ということで決まっていたと思うのですが……。

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土井記憶の神器の開発期間は着手から5ヶ月ほどでした。

実を言うと、全ての仕様が決まった段階で概算を出してみたら、この2倍はかかりそうでした(笑)。4周年には必ず出すという目標があったので、どの機能や要素が必須なのかというところを精査し、「ここまでは4周年に出そう」「ここは4周年以降に追加していこう」と決めました。[/su_column][/su_row]

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中尾:記憶の神器では、どうしても入れたい機能があったのですが、記憶の神器チームだけでは間に合わなかったんですね。そこで、チーム外の有志を集めて「これつくりたい人、集まって」と募集したんです(笑)。[/su_column][/su_row]

――それはすごいですね!

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中尾既存の業務があるなかで、やりたい人だけを集めて、なんとかつくり上げました。結果として、この機能を入れたおかげで大きくUXが向上しました。

どうしても開発を進めていく上で、機能として漏れてしまうものは出てきます。そこで、組織面でも柔軟に動いて工数を捻出し、その漏れた機能をつくって世に出すなど、できるだけやりたいことを実現できるようにしています。[/su_column][/su_row]

――こういったフレキシブルな対応は、これまでにもやってこられたのですか。

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中尾自分が開発ディレクターとしてFFRKに参加した際に、そういう動き方をしたいと思い、兼任で何でもつくる小回りのきく部隊みたいなものを立ち上げて、フレキシブルにやりたいことをどんどんやっていくようにしました。

その部隊では、時間のかかるものには手を出さず、開発難易度が低く、「これがほしいよね」と分かっているものの優先度が落ちがちな改修案件をどんどん実装したり、既存のチームで作りきれないものを受け持ったりしています。[/su_column][/su_row]

――その部隊は、チームを横断的に担当している感じでしょうか。

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中尾:FFRK全体で「この機能がほしいけれど、誰もつくる人がいない」といった際に担当したり、自分たちでこれがやりたいと思ったときに担当したりしています。開発メンバーだけでなく、各チームのリーダーや、マネジメントレイヤーも前線に出てもらいます(笑)[/su_column][/su_row]

――どんな風に呼びかけるのですか。

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中尾:最初に、私が「これをつくりたい」と声をかけていきます。まずリーダー陣に話して、担当できそうな人がいればお願いしますが、いなければリーダーがつくる(笑)。指揮を執るレベルの人間でも兵隊となって戦う、というのが開発姿勢としてやりたいことです。[/su_column][/su_row]

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杉原「この機能があれば、プレイヤーはうれしいよね」という主旨を納得してくれれば、リーダーでもみんな動いてくれます[/su_column][/su_row]

――動ける人がリーダーになっている、ということでしょうか。

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中尾それもありますね。メンバーからしても、リーダーが前線に立って動いていたら、士気も高まると思います。「あいつ、仕事してるのかな」と思われるより、ガンガン実装もしてマネジメントしている方がカッコいいじゃないですか。[/su_column][/su_row]

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土井実際、提案して入れるべきだと言う判断がされれば、例えチーム内の工数がなくともすぐに実装すべく動くので、スピード感が現場にはありますね。リーダー陣が自ら動いているのを見て、チーム全体も自然と「いいものをつくろう」という空気感が出ていると思います。[/su_column][/su_row]

チームで完成イメージを共有する

――マギアクリスタルの方はいかがでしたか。

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鈴木マギアクリスタルは、3ヶ月ほどでした。スケジュールを組んで進めてみたら、記憶の神器と違って何も問題なく収まった上に、例を見ないぐらい平和な開発になりました。

スケジュールはバッファ込みで引いているものなので、浮いた時間で中尾さんの話にあった有志部隊に参加したり、運用チームに首を突っ込んだり、特別な案件の企画書を作成したりできました。[/su_column][/su_row]

――その平和な開発になった理由をお聞きしたいのですが……。

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鈴木これだ!っていうものはないんですよ。開発チームだけでなく運用チームもふくめて、メンバー皆がとても優秀だったというのはあります(笑)。

とはいえ個々が優秀でも、チームとしてかみ合わないとうまくいかないこともあるのですが、FFRKのチームは協調性があり、親和性も高く進められたので、そこが主要因かなと思います。[/su_column][/su_row]

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中尾あとは、プロジェクト開始時に、企画や仕様をかなりきっちりと詰めてから動かしたこともありますね。「これをつくる」とはっきりイメージできるように、仕様が右往左往しないように準備をして進めたことも、平和に開発できた要因です。[/su_column][/su_row]

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杉原最初の企画こそ喧々諤々でしたが、そこでしっかりイメージを固められたのでスムースにできたのだと思います。[/su_column][/su_row]


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土井:記憶の神器の方は、ゲーム内での影響範囲が広かったので、最初に運用チームや分析チーム、デザインチームも含めて、みんなで沢山話し合いました。イメージがきっちりと固まるまで落とし込んだため、企画だけで2ヶ月ほどはかかりました。[/su_column][/su_row]

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鈴木マギアクリスタルも、企画に関しては1ヶ月ほど時間をかけて、開発だけでなく、UIやシステムのリーダーも参加し、きちんと落とし込みました。

方向性が固まったら、チームメンバー全員がイメージできるように画面をつくってもらったり、開発前にGIFで動くものをつくってもらったりと、明確にどのようなものにするのかがわかった状態で始められたのが、スムースに開発できた要因だとも思います。[/su_column][/su_row]

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杉原FFRKでは、これまでの4年間ずっとタイトなスケジュールで進めてきたことが反省点でもあったのですが、最近は企画をしっかり詰めることがようやくできるようになってきました。企画で最初に苦労する分、後が楽になりましたね。[/su_column][/su_row]

――では、スケジュール以外で苦労したことなどはありますか。「記憶の神器」は、元々は違う名称だったとお聞きしましたが。

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土井はい、当初は別の名前をつけてコード名にしていたのですが、途中で変更になりました。そこで、聞いただけで「伝説の武器」と思ってもらえるネーミングはなんだろうと改めて考え……三種の神器などで用いられる“神器”という言葉なら、「神々しい装備」という雰囲気が出せ、「Record Keeper」ということで、“記憶”と言う単語を使いました。

結果として、元の名称よりもFFRKらしく、かつイメージの湧く良い名称になったと思います。決まるまではいくつも名称アイデアが出てはどれもしっくりこないという感じだったのですが、決まった後はチーム内でも「これしかない」という感じでした。[/su_column][/su_row]

コミュニケーションコストを惜しまない

――企画の段階で他部署と話し合いをしたというエピソードがありましたが、連携の上で苦労したことなどはありますか。

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鈴木冒頭でもお話ししたように、マギアクリスタルは、連携で苦労したというよりは、どこまで英雄を強化するのかという調整の面で本当に苦労しました。

分析チームや運用チームと一緒に調整していましたが、他部署のメンバーも、みんな「より良いゲームにしよう」と積極的に考えて提言してくれたので、助かった部分も多いですね。[/su_column][/su_row]

――逆に、自分たちが貢献できるところはしていきたいですか。

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鈴木はい、すでに余計なぐらい、他部署へ首を突っ込んでいます(笑)。いろいろな部署に「こうした方が良いのでは?」と提案したり、お手伝いしたりしていますが、そこは持ちつ持たれつかなと思っています。[/su_column][/su_row]

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土井記憶の神器も影響範囲が広く、ほぼすべての部署との連携が必要だったので、コミュニケーションコストはかかりました。それも2ヶ月かかった理由のひとつです。マギアクリスタルと同様に、最後まで調整作業を行っていました。

DeNAやFFRKチームは、「コンテンツを良くしたい」というスピリットが非常に強いメンバーが多いと感じます。

その分様々な意見が出るので、それらを加味した上でベストな案としてどう落とし込むか、コミュニケーションに時間がかかる場合が多いです。[/su_column][/su_row]

――どうやって落とし込んでいったのですか。

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土井Aの仕様がいいかBの仕様がいいかに悩んだ際は、各仕様のメリットとデメリットを洗い出していって、それらについて比較検討を行った上で意思決定していきます。

一方で、結局プレイヤーがやっていてどれを面白いと感じるか?という感覚的な部分も大切にしています。仕様が決まるまで、延々と会議をしたこともありました。[/su_column][/su_row]

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杉原:あとは「どうつくるか」と同じぐらい、プレイヤーに「どう伝えるか」も重要だと思っていまして、マーケティング部と一緒に情報の出し方についても考えています。[/su_column][/su_row]

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鈴木同じことは、チーム連携にもいえます。つくろうとしているものがどんなものなのか、他部署の方にはわからないので、それを理解していただけるよう、協力したいと思える面白さは伝える必要があると思います。

会議ごとに説明したり、意見を言っていただいたりして、一緒につくっていく環境を整えました[/su_column][/su_row]

――そういうコミュニケーションには、手間暇を惜しまないのですね。

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鈴木惜しまない、というのもありますが、DeNAは風土として話がしやすいんですね。みんな顔が見えるところで、大事なことは職種やチームが違っても関係なく、自由に話し合っています。

コミュニケーションコストは確かにかかるのですが、大変だというより、必要なコストだと思っているので、やりやすい雰囲気があります[/su_column][/su_row]

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中尾:企画同士は話し合うことが多いので、近い席で椅子をつけてよく話していますね。すぐ向かいにはエンジニアがいて、話し合ったことについてそのまま相談することもできます。[/su_column][/su_row]

FFらしさを追求し、
懐かしさと新しさのいいとこ取りを目指す

――新機能がまだ実装されて間もないですが、プレイヤーからの反響はいかがでしょうか。

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土井記憶の神器に関していえば、倉庫の圧迫についてはまだ神器の配布数が少ないので、大きく解消された状況とまではいってないですが徐々にされてきております。

それから、パラメーターが今まで最大でも3桁だったところが初めて4桁を突破するという見た目上わかりやすいグレードアップを行ったので、効果に感動してもらってる様子も伝わってきてよかったです。
バランスを崩しすぎるインフレを起こさずに、それでいて新装備としてのインパクトを届けることはできたと思います。

また装備の量が多かったので、プレイヤーがどれを交換していいのか迷ってストレスになってしまうのではという点は懸念していました。しかしいざ実装してみるとそういったネガティブな反応は多くなく、「どの神器がいいか」といった議論が活発に行われていたのがとてもうれしかったですね。[/su_column][/su_row]

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鈴木マギアクリスタルで一番大きかった反響は、自分の好きな英雄をレベル99以降も育てられるということでした。

バトルをクリアした回数でマギアポイントがもらえるのですが、クエストをクリアしたついでにポイントを得られるのが良い、と一定評価をいただいている反面、回数をこなすのが大変という声もありました。

ただ、マギアクスタルで強化することで今まで倒せなかった敵が倒せるようになったり、ひたすら好きな英雄を連れて強化できるRPGらしさがあったりするので、徐々にポジティブな声が増えてきているのは良かったと思います。

演出面では、英雄が飛び跳ねたりするといった、これまでFFRKになかった動作などを入れたこともプレイヤーから好評をいただいているようです。[/su_column][/su_row]

――では最後に、これからの目標をふくめて、抱負などいただけますでしょうか。

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鈴木大事にしているのは、FFらしさがありつつも、「懐かしさと新しさのいいとこ取り」をしたようなコンテンツをつくっていくことです。

僕はDeNA入社前からFFRKをプレイしていて、自らも運営に加わりたい思って転職しました。なので、つくる側の人間ではありますが、同時に1プレイヤーでもあるので、そういった気持ちをもって良いものをつくっていきたいと思います[/su_column][/su_row]

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土井記憶の神器は、最初に実装できなかった要素も引き続き追加で実装しています。またプレイヤーから頂くご意見やご要望にも一つ一つきちんと対応して行きたいと考えており、ただ出すだけではなく、今後もスピード感をもって改良していきたいと思っています。[/su_column][/su_row]

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中尾年末年始に向けても大きな要素が入ってくるので、そこを楽しみにしてほしいですね。プレイヤーからのご意見にはしっかり目を通しています。

少数精鋭で開発する部隊もあるので、小規模の改修や、良い機能はスピード感を持って対応していきたいと思います[/su_column][/su_row]

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杉原1日でも長く遊んでもらえるよう、チーム一丸となって日々頑張っています。プレイすることで歴代のFF作品の思い出がよみがえるようなゲームとすべく、さらなる改善を続けていきたいと思います。[/su_column][/su_row]

 


 

以上、FFRKチームからの熱い思いをお伝えしました。

印象的だったのは、全員がFFRKの熱心なプレイヤーであり、プレイヤーの視点をきちんと持っているということ。開発者とヘビープレイヤーという2つの視点で、「どうしたらFFRKがもっともっと楽しくなるか」を考え、そして実践している様子が感じられました。

時には部署を超えて意見を出し合い、必要な機能があれば有志が集まって実装してしまうというFFRKチーム。4周年という大きな節目を迎え、どう発展していくのか……今後も、要注目です!

■公式サイト:https://ffrk.jp/

(C)SQUARE ENIX CO., LTD.
(C)DeNA Co., Ltd.

※本記事は2018年12月時点での情報です。
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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitter アカウントやFacebookページにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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宍倉さん、ぶっちゃけDeNAと組んでどうだった?──『メギド72』開発うら話

『メギド72』宮前プロデューサーと
宍倉ディレクターにインタビュー

2017年12月にリリースした、メディア・ビジョンさまとDeNAの共同開発タイトル『メギド72』。今だからこそ話せる“[su_highlight background=”#f7ff99″]開発うら話[/su_highlight]”をはじめ、3年半の開発期間を共にしたからこそ見える“[su_highlight background=”#f7ff99″]ゲーム開発会社としてのDeNA[/su_highlight]”についてインタビューしました!

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[su_row][su_column size=”1/6″ center=”no” class=””][/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]宮前 公彦 | Kimihiko Miyamae
『メギド72』プロデューサー。2014年にDeNA入社。デザイナーとしてキャリアをスタート。コンシューマーからモバイルゲームの開発・運営と幅広くタイトルに関わる。[/su_column][/su_row]
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[/su_column] [su_column size=”5/6″ center=”no” class=””]
宍倉 紀春 | Kiharu Shishikura
『メギド72』ディレクター。プログラマーとして、メディア・ビジョンに入社。
DeNAとの共同開発1作目『マジック&カノン』などを手掛ける。[/su_column][/su_row]
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突如現れた“ガチンコなプロデューサー”

ーーまずは、両社の役割についてお聞かせください。

宮前
DeNAは企画担当で、私含め少人数でやっています。メディア・ビジョンさんには開発をお願いしています。ゲームの大筋はこちらで作って、それをメディア・ビジョンさんがディテールアップしてくれる感じです。

ーープロジェクト開始当初から役割分担を明確にしていたんですか?

宍倉
実は、元々はふたりとも現在の役割ではなかったんですよ(笑)。

宮前
このプロジェクトが立ち上がったとき、僕は入社して間も無い頃だったんですけど、「プロデューサー的立場の人が居ないから入ってください」と言われて入ったんです(笑)。ディレクターも宍倉さんではありませんでした。

ーーそうなんですね! どのフェーズでアサインされたんですか?

宍倉
開発の最初の段階ですね。プリプロダクションくらいです。

宮前
僕が入ったのはαが通った直後くらいです。

ーー宮前の第一印象は?

宍倉
最初は、「大手パブリッシャーで超有名タイトルを作っていたすごい人が来るらしい」と聞いていたので、「経験を積んでいるすごい人が来るんだな」と思っていました(笑)。宮前さんが所属されていた大手パブリッシャーのイメージはスタイリッシュな人が多いイメージがありましたが、実際に一緒に仕事すると宮前さんは“ガチンコな人”で、だいぶイメージと違いました(笑)。

宮前
なんだそれ(笑)!


『メギド72』プロデューサー宮前(DeNA)

ーーアサインされて、はじめに取り組んだことはなんでしょうか。

宮前
当時はもっと短いスケジュールで軽い内容のゲームをつくる予定でした。しかし、当時の事業部長と「これだと今の市場ではライトすぎるんじゃないか」と話をしたことがきっかけで、そこからガラッと切り替えていく決断をしました。

ゲームとして深みがあるものにしようと決めたのと、「DeNA発のIPタイトルの位置付け」を狙っていたので、前任者の「中二感のあるRPGを作りたい」という意思を引き継ぎつつ、マルチな展開ができるゲーム性を目指して作り上げていきました。

そのタイミングで宍倉さんがディレクターになられて。

宍倉
元々はプログラマーとしてベースになるシステムやプログラムを担当し、その後ディレクターとして参加するようになりました。

 

“球なら球なりに、面白いゲームをつくろう”

ーーゲーム性に深みを持たせるために、どんなことに取り組まれたのですか?

宮前
「バトル前に陣形を組む」と「キャラクターの役割をもっとはっきりさせたゲーム性にする」という2つの施策を立てました。

限られた時間の中でとったバトルの表現方法は、キャラクターを丸いアイコンにした“球”を敵にぶつけて、攻撃やノックバックを表現するという方法でした。メディア・ビジョンさんが、期間的な面で出来る、出来ないを判断した上で、「球なら球なりに、バトルとして面白いものを作ろう」と前向きに切り替えて進めてくれたことをとてもよく覚えています。

ーー「球なら球なりに」ってなかなかの名言ですね!

宍倉
「最高の球ゲーを作ろう!」と。

宮前
当時のゲーム性、すごく好きでしたね! みんなやってくれればわかると思うけど、テンポも良かったし面白かった。

宍倉
テンポ感はめちゃくちゃ良かったですよね。


  キャラクターが球だった頃のスクリーンショット

 

 

突然突きつけられた、
プロジェクト見直しの通告

ーー「もうダメかも……」と思うピンチはありましたか?

宮前
2016年11月ごろ、ゲーム事業部長が交代したタイミングで、プロジェクトの再確認が行われたんです。

この時点で、当初の想定以上に時間が掛かっていた『メギド72』は、当然議論の対象になって。本当に続けるべきか判断する為に、現状説明とか事業計画をプレゼンする事になったんです。

プレゼン後、今後どうするかのジャッジの時間になり、まずは「面白くなるのか?」と質問されました。「面白くなる」って言うしかないし、そう確信していたので、「面白くなります」と答えて。「いつ遊べるようになるのか?」という問いには、その場で計算して「(2017年)1月末」と答えました。

1月末にもう1度触ってみて、そこで面白くなかったら開発終了にするというジャッジが下り、その後すぐ宍倉さんに「1月末って言っちゃったから、1月末までに面白くするぞ!」って電話して(笑)。

 

ーーそう言われた時、どう思いました?

宍倉
これはまずいなと……。今までは、なんとか切り抜けてきたのですが、「面白くなかったらやめる」と言いきられたので、本当にその場合はプロジェクトが終了するんだろうなと思いました。

でも、面白いかどうかなんて、作ってみないとわからないですよね。その時一気にプレッシャーがかかりました。

宮前
2016年8月のOBTの結果を踏まえて、がらっと作り直すことを決めてから、キャラクターを3Dにすることと、ゲーム性にもテコ入れをしようってなったんですね。

そこから僕らとメディア・ビジョンさんのメインスタッフで企画を出し合って、何度も試行錯誤をしました。この流れでメギドのコア部分である『ドラフトフォトン』システムも生まれました。

11月ごろにデジタル化を進めることになり、メディア・ビジョンさんが作ってくれた画面イメージとルール説明をベースに、企画書としてまとめて、2016年11月のプレゼンに臨みました。
そのシステムが面白いか面白くないかは、やれるだけやって待とうと。

ーーそれはしびれますね……。1月末までに実装となると、時間がない……。

宍倉
実質2ヶ月で丸々新規をつくることになったので、かなり大変でした。しかも、12月の段階で全然面白くなかったんですよね。なにせ新しい発想だったので、ベストなUIはどんな形なのかがわからなくて。どんなにゲーム性がよくても、表現の仕方が間違ってしまったら面白くないものになってしまうので、延々作り直し、作り直し、作り直し。
何度もトライアンドエラーを繰り返していました。12月時点で面白くもないし、テンポも悪い。キャラクターは3Dだけど、見た目もそれほど大したことがない。「あと3ヶ月ちょうだい!」という感じでした。

厳しい状態が続いていたんですが、年が明けて1月20日くらいだったかな。本当にギリギリのタイミングで劇的に面白くなったんですよ。

宮前
「これならいける!」ってなりましたよね。

ーー劇的に変わった要因は?

宮前
全体的なブラッシュアップだったと思います。例えば、操作の順番だったり、変身するタイミングだったり、奥義の演出がわかりやすくなったりとか、そういったところの積み重ねですかね。

宍倉
グラフィックのブラッシュアップも同時に進んでいたので、全てが一気に噛み合いました。対戦機能もギリギリで出来て、入れられるかどうかは50パーセントくらいの確率でしたが、ちょうどぴったり間に合いました。奇跡的な着地でしたね。

宮前
そこからも更にブラッシュアップされて、プレゼン直前までにかなり綺麗になりました。肝心の『ドラフトフォトン』システムも、体験できる状態でプレゼン出来ました。当日はレビュアーにPvPもプレイしてもらったんですが、「面白い」と言ってくれて。

レビュアーから「実際に触ってみて面白いって思ったから、続けた方がいいんじゃない?」と意見をいただけました。忘れられない瞬間ですね。もちろん宍倉さんにすぐ電話しました!

宍倉
11時半スタートのプレゼンと聞いていましたが、12時半には電話がきて、早かったです。

ーー12月にリリースしてから数ヶ月経過しましたが、最近の『メギド72』の調子はどうですか?

宮前
今は良くもなく悪くもないと思っています。とてもありがたいことに、プレイヤーさんから高い評価をいただいていますが、ゲーム性が濃いので、そういう意味でいうと、面白さが伝わる前にやめてしまう方もいるかなと。現在、その部分を改修中です。

宍倉
実際の数字はまだこれからだという判断だと思います。ただ、プレイヤーさんからは今までにない反響があって、アツいものを確実に感じています。

ーー数字以上の熱量を感じられているんですね。しっかり遊んでくれるファンを掴みたいというのは狙い通りだったんですか?

宮前
僕の中では、もう少しライトに受け入れられると思っていました。世界観は中二感がありつつも、ゲーム自体は深みのあるRPGを目指していて、絵柄もアニメっぽくしたところもあったので、そういったものが好きな方にも遊んでもらえるかなと。

宍倉
ガチガチな対戦好きみたいな人以外にも、世界観だったり、キャラクターが可愛いとかかっこいいとか、そういったところでついてくれる方もそれなりにいると感じています。女性ファンもいますしね。


『メギド72』ディレクター宍倉氏(メディア・ビジョン)

『メギド72』の安定稼働を支えた
共通コンポーネント『Sakasho*』

*DeNAが開発運営しているゲームサーバー。アカウント管理やユーザーデータ管理など、ゲーム開発に必要な汎用的な機能を提供する。

ーー開発にあたって、DeNAが開発したSakashoをご利用になられたかと思うのですが、印象や、使い勝手はいかがでしたか?

宍倉
ソーシャルゲームサーバーには、一番の基本であり、絶対に外してはならない最も重要な部分があると思っているんですが、そこに対してかなりの安定と信頼感があります。

人数が増えてわーっとプレイヤーが入ると、サーバーが落ちてしまってしばらく動かせなくなるのはよくあることですが、Sakashoに関してはその辺がとても安定していると思います。導入にあたって最初に触った時の印象は「開発者を信用していないシステムだな」と感じました(笑)。でも、実際に運用してみたら「やっぱこれくらいじゃないとダメだよな」と思い直して……

最近になってようやく少し落ち着いてきましたが、年末ごろから運営の中でトラブルが続いてしまいました。改めて、運営システムの重要さに気づかされました。それを痛感した時に、Sakashoはすでにそういったことを通ってきた人が作ったんだと理解できました。

 

“やりやすい”関係性を築く秘訣は、
物理的距離を埋めてしまうこと

ーー宮前さんは開発中からメディア・ビジョンさんによく行かれていたそうですね。

宮前
最初はDeNAの中に自分以外のメギドの開発メンバーがいなかったので、メディア・ビジョンさんのオフィスに席を作ってもらって直行直帰して、月曜日だけDeNAに出社していました。そうこうしているうちにDeNAの中にも『メギド72』の開発メンバーが増えて、DeNA社内でシナリオの倫理チェックや、QAの打ち合わせが入り始めてからは、メディア・ビジョンさんに行く頻度を減らしたり、時間を限定したりというように切り替えていきました。

ーー物理的に離れていることから発生した問題はありましたか?

宮前

話せばすぐにわかることが、チャットだと伝わりづらいですね。僕は今でもすぐ電話しちゃうんですけど、人って文字で伝えるタイプと喋るタイプがいると思っていて。僕は喋るタイプなので、すぐ宍倉さんに電話しちゃいます。

ニュアンスが伝わらないとか、ちょっとしたことだけど確認ができなくて意思決定が遅れてしまうとか、そういったことがありました。離れていると、「来週火曜日のMTGで話しましょう」って先送りしちゃうんですよ。今思えばその辺はもっとフレキシブルにできたと思いますし、今後も改善できるといいなと思います。

宍倉
確かに、フロアが違うだけでも距離が遠く感じることもありますし、一緒のフロアにいて、何もしないでも近くにいるというだけでコミュニケーションが滑らかになって行くというのは単純に思います。

ーー様々な制約がある中でメディア・ビジョンさんに改修や変更をお願いしたと思うんですが、メディア・ビジョンさんの反応はどうでしたか?

宮前
正直に言うと、最初は距離感があるなと思ってたんですが、時間が解決してくれるところもありました。例えば球ゲー仕様に変更しようとなった時でも、「球のところに目がいかないようにしよう」とか、困難な状況の中でも常に前に進めてくれて。そういった部分に感謝しましたし、今も信頼しています。

ーー時間の経過と共に信頼を深めていったということでしょうか。

宮前
そうですね、よくランチに行ったり、飲みにも行ったし。「合宿」といってずっと話していたこともあります。

宍倉
一日中話をすることもありましたね。休日の朝から。

 

ぶっちゃけ、
パートナーとしてのDeNAの印象って?

ーー宍倉さんにお伺いします。ぶっちゃけメディア・ビジョンさんから見て、DeNAは付き合いやすいパートナーでしたか?

宍倉
かなりやりやすいクライアントさんだと思っています。

宮前
でも「こんなに口を出してくるプロデューサーは初めてだ」って言われたの覚えてますよ(笑)。

宍倉
それはそうですね! 確かに(笑)!

宮前
席を作ってもらったことも、メディア・ビジョンの福島社長曰く「プロデューサーが常駐することは今までになかった」そうです。

宍倉
いろいろなケースがある中で、宮前さんとは同じ目線で作っているという感覚があります。単に上からきたものを吸い上げて審査に通して、「ダメでした」ってなるんじゃなくて。

 

ーーやはり、必要な意見のぶつけ合いがあったんですね。考える時間を積み重ねて、ようやくここまでたどり着いて。

宮前
メディア・ビジョンさん側は、僕らが喜ぶものを作って納品して、僕らはリリースして広めなければいけないところがあると思っていますが、宍倉さんには「僕たちではなくて、リリースしてお客さんに喜んでもらうことがゴールだ」とよく伝えていました。そこが埋まるのにはやっぱり時間が必要で。文化の違いもあるし、会社自体のビジネスモデルの違いもあるのでそこはしょうがないかなと思います。

でも今は、福島社長もMTGに参加してくれていて、「このゲームを世の中に受け入れられるところまで持っていきたい」と言ってくれているので、そういう意味でいうと、両社でちゃんとタッグを組んで、同じ目線で同じ目標に向かっているなというのを僕は感じています。

ーーDeNAという会社について、宍倉さんから見て、率直に思うところはありますか?

宍倉
もう5年以上の付き合いがある中で、ずっと側から見ていた一人からすると「速い」ということを感じます。ひたすらどんどん変わっていって、成長して成熟して。失敗と反省を繰り返しているんだろうなと。その都度、進化しているんでしょうね。

 

3年以上苦楽を共にしたからこそ、
次のビジョンが広がる

ーーこれからの『メギド72』の世界の広がりは、すでにお二人の中にありますか?

宮前
細かな起承転結はこれからですが、最後のボスまでは決めていて、そこまでどのようなストーリーで行くかの大枠はできています。

宍倉
とりあえず登場キャラクターだけ決まっています。あとは中身をどう詰めて行くかですね。

ーーもし次、DeNAと新しいタイトルを制作することになったら、前のめりでまたやりたいですか?

宍倉
そうですね、是非!(笑)。やらせていただける機会があるなら、私はやりたいです、宮前さんと。お願いしますよ!

宮前
うれしいなあ。メギドはRPGだけで終わらせないっていつも言っているので!メギドの音ゲー、アクションゲーム……。『メギド72』はゲーム以外でもいろんな展開ができるように、敢えてキャラクターの設定もフラットにして、誰が主役になっても良いようにしています。

宍倉
もっとキャラクターたちを活かせるようにしたいですね。

宮前
まだまだやりたい事がたくさんありますので!よろしくおねがいします(笑)!

 


 

メディア・ビジョンさまとの共同開発で生まれた『メギド72』。3年半という年月、苦楽を共にしたメディア・ビジョンさまとDeNAの間には、なにか見えない絆があるように思えます。

インタビュー中、宍倉ディレクターと宮前との間には、終始和やかな雰囲気が漂っていました。そして今日も宮前は、足取り軽くメディア・ビジョンさまにご用意いただいた自席に向かうのでした……。

そんな熱いチームが心血を注いでつくる『メギド72』から、今後も目が離せません!

宍倉ディレクター、インタビューのご協力ありがとうございました!

 

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運営メンバーが語る、『メギド72』リリース3ヶ月後の試練とは?【DeNAゲームクリエイター採用ページ】

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GeNOM(ゲノム)とは

DeNAのゲームクリエイターを様々な切り口で紹介するメディア(運営:株式会社ディー・エヌ・エー)です。ゲーム開発の現場で生まれる様々なエピソードや、クリエイター紹介、イベント紹介などを通して、DeNAで働くメンバーの”ありのまま”をお伝えしていきます。

GeNOMの最新情報は、公式Twitter アカウントやFacebookページにて確認いただけます。ぜひフォローをお願いします!

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ディレクター・長岡靖仁のDNA

個性的かつ唯一無二のDNAが集合したDeNA。
何といってもその魅力は人にあり!
働くスタッフの業務内容からプライベートまで公開します。

長岡靖仁のDNA(ディレクター)
・ゲーム〜法律〜ゲームな人生
・ゲームにドラマを生み出したい!
・夢はハワイでゴルフ三昧

ーーあなたにとってゲームとはなんでしょうか?

自分が小学生の頃は、世の中にテレビゲームやマイコンが出始めた頃で
ファミコンはまだありませんでした。
遊びと言えば友達で集まって空地でドッジボールや鬼ごっこといった感じでした。

ゲームセンターは不良のたまり場なので行くなと言われていましたが、
友達とこっそり行ってましたね。
当時、ゲームはゲームセンターでお金を出して遊ぶものという認識でしたが、
ある日友達の家でマイコンを見て衝撃を受けました。

「プログラムさえ打ち込めば、タダで好きなだけゲームが遊べる…夢のようだ!」
そこからマイコンにのめり込みましたが、もちろん買ってもらえるはずもないので、
街の電気屋さんに朝から居座ってマイコンベーシックマガジンや
Oh!PC等の雑誌のプログラムをひたすら入力してました。

タダでゲームを遊びたいという不純な動機でしたが、いつしかゲーム作りの魅力にハマり、
気が付けば学校の勉強ノートに鉛筆でBASICのプログラムやフローチャートを書いてました。

中学生の時に一度だけ応募したMSXのプログラムがベーマガに掲載されたことがきっかけでゲームプログラマーになりたいと思うようになりました。
マシン語が難しくて挫折しましたが…

プログラマーは挫折して法律系の大学に進学しましたが、
就職の時になってあの頃の気持ちを思い出し、
ゲーム作りに関わる仕事をしたいと思い、色々あって今に至ります。

自分の思うゲームとは?ですが、ゲームは突き詰めれば「ルール」の集合体で、
良いゲーム作りとは「ドラマチックな体験を生み出せるルール作り」だと思っています。

例えば野球で言うと、「2ストライクからのファウルはストライクにカウントしない」ルールがあります。このルールのおかげで、2ストライクからファウルで粘りに粘って
最後に逆転ホームランといったドラマチックな体験が生まれます。
簡単なルールですが、これがあるとないとでは雲泥の差ですよね。

そんなドラマを生み出せるような新しくて面白いルールを日々模索しています。

ーーDeNAに興味を持ったきっかけ、入社を決めた理由を教えてください。

経歴としてはずっとコンシューマーゲームの企画として働いて来たのですが、
コンシューマーゲームの表現がリッチになり、開発費が高騰していくにつれて、
自分のやりたかった「シンプルなルールで人を楽しませる」ゲームが提案しづらい閉塞感を感じていました。

そんな時スマートフォンが台頭し始めて、某パズルゲームのようなゲームがヒットしているのを見て、スマホでも本格的に遊べるゲームが作れると知りました。コンシューマーゲームを遊んでもらうためにはまずハードを買ってもらう必要がありますが、スマホは電話として買っている人がすでにいるため、その必要がありません。
フリーでダウンロードしてもらうスタイルも、ルールで人を遊ばせたいという自分のやりたい事にマッチしていました。いつしか自分もスマホで遊ぶゲームを作りたいと思うようになりました。

DeNAに興味を持ったのは「永久ベンチャー」というキーワードがきっかけです。
コンシューマーゲームでは、一度ヒットしたタイトルはひたすら続編を作るというのが当たり前だったので、永久に新しいことにチャレンジするという考え方を会社方針として掲げるのは自分には新鮮に映りました。

DeNAも、ブラウザタイトル中心からスマホアプリへシフトしようとしていた時で、
コンシューマー的なコアゲームデザインができる人を求めており、自分の知見が役立つかもと思いました。

入社を決めた理由は、面接官や現場で働く方々と会って、その人柄や情熱に触れたことが大きいです。
若い人ばかりかと思ったら、年代的にも近い方が意外といて、ゲーム作りの話で熱く語り合うことができました。
この会社なら新しいゲームを作って行ける。そう思いました。

ーー入社後やってきたこと、今やっていることを教えてください。

入社直後に新規パズルゲームの立ち上げに企画として参加したのですが、これは残念ながら中止となりました。
ただ、新しいことをやっていくというのは言葉だけじゃなく本当なんだと実感できたので、とても良い経験でした。

次に有名IPを使った新規タイトルの立ち上げに参加し、コアゲームの設計やレベルデザインを担当しました。
これは大まかな方向性こそあったものの、コアゲームの仕様は決まっておらず、
自分に任せてもらったので、大変でしたがやりがいのある仕事でした。
エンジニアさんに優秀な方が多かったので、驚くほど短期間で開発が進みました。

リリース後しばらくはクライアント開発の企画を担当し、運用に関わる開発業務を行っていました。
コンシューマーではマスターアップしたら開発は完了で、ダウンロードコンテンツもオマケ程度といったスタイルだったので、
リリース後も開発が続くといったことは初めての経験でした。足りない点も多々あり、非常に勉強になりました。

今はプロトタイプ制作チームでオリジナルタイトルの企画立案、プロトタイプ制作を担当しています。
ゼロから今までに無いゲームを作る仕事ですので、うまく行かないことも多いですが、やりがいはあります。

ーープライベートとの両立はどのようにしていますか?

ゲームを考える仕事って、日常生活の中からアイデアを得ることがほとんどなので、
厳密には仕事とプライベートみたいな分け方はできてない気がします。

通勤電車で窓の外を流れる景色を見ながら「これってスクロールシューティングの背景に使えないかな…」とか考えたり、
日常でトラブルに見舞われても、「ひどい目にあったけどこれってゲームに使えるかも」とか考えたりします。
区別が付いていないという意味では両立しているかもしれませんね。

ウチは共働き家庭で、妻はゲームとはまったく関係の無い職場ですが、
それだけに話が新鮮で色々とタメになります。
妻は自立した人で、私に対して過度に夫や父親としてのリーダーシップを求めて来ないので、感謝しています。
自分は父親が家族の大黒柱的な考えがあまりピンと来てなくて、
家族はサッカーチームみたいなものだと思っています。

金を稼ぐ人が偉いのじゃなくて、義母が家にいてくれて守りを固めてくれるから、
自分と妻がツートップで点を取りに(お金を稼ぎに)行ける。
ポジションによって役割が違うだけで、みんなで家族というチームを支える。
だから家事も分担が当たり前。そんな風に考えています。

ーー1ヶ月お休みだよ!といわれたら何しますか?

ゴルフが大好きなので、ゴルフ三昧したいですね。
最近ようやく100切りが見えてきました。
お金があればハワイに住んで、毎日ゴルフして暮らせたら思い残すことは無いですね。

個人的にはゴルフほどシンプルかつ奥の深いゲームは世に無いんじゃないかと思っています。
週一で打ちっぱなしに通っているのですが、それだけでも、
自分の心と身体を思い通りにコントロールすることの難しさ、
それができて球が遠くへ飛んだ時の達成感を感じています。

ラウンドするとなおさらで、一打毎に失敗できないと思うプレッシャーを乗り越えて
うまく打てた時の達成感は得も言われぬものがあります。
ホームランを打った時の野球選手の気持ちが少し分かるような感じです。

また、ゴルフは1ホール毎にスコアに区切りをつけて次に進むゲームなので、
このホールで失敗しても次で取り返そうといった考え方ができるようになります。
この考え方は、日常生活や仕事にも活かせます。
今日は失敗したけれど区切りをつけて、明日からまたがんばろうといった
切り替えができるようになるからです。

最近はゴルフ離れが進んでいるという話を聞きますが、
敬遠しないでぜひやってみて欲しいと思います。

 

※本記事は2017年10月時点での情報です。